新聞の全国世論調査で安倍内閣の不支持率が1年8カ月ぶりに支持率を上回っており、安倍内閣を支持すると答えた人は39.8%に低下している一方で、支持しないと答えた人は41.8%となってだんだん上昇しているというのだ。安倍内閣の支持率が30%台になったのは安全保障関連法成立直後の1年8か月ぶりのことだとされ、安倍首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部開設をめぐる安倍首相の説明については、「納得しない」が68.6%に達し「納得する」は9.6%だったという。自民党と公明党が「共謀罪」法を国会最終盤で参議院では禁じ手まで使って強引に成立させたことに加え、学校法人「加計学園」の問題で早期幕引きを図る安倍政権の姿勢にも批判が向けられているそうなのだ。
文部科学省の内部文書をめぐる内閣府による「文科省に総理のご意向などと伝えた認識はない」などとする調査結果については、「納得しない」が68.1%に上り「納得する」は11.3%だったという。共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法をめぐり与党側が委員会採決を省略して本会議採決に踏みきったことについては、65.1%の人が「よかったと思わない」と答え「よかったと思う」は16.6%だった。加計学園の獣医学部新設計画を巡り内部文書が存在すると職員が内部告発して明らかにした場合、国家公務員法の守秘義務違反に問われる可能性があると述べた義家弘介副文部科学相の発言に対しても、専門家から「文書は秘密ではない。仮に秘密であっても告発には公益性がある」と批判がなされている。
安倍内閣では安全保障関連法の国会審議中には、不支持率が支持率を最大で17ポイント上回ったことがあるが成立後に支持率は持ち直した。これに対し今回は支持率が下がった要因は「共謀罪」法への反発だけではなく、加計学園の獣医学部新設計画を巡っては安倍晋三首相の意向が働いたかどうかを政府が真摯に調査しようとしていないという疑念が向けられており、政府関係者は「よく10ポイントの下落ですんだ」と率直に語っているそうなのだ。文部科学省の再調査で名前が挙がった萩生田光一官房副長官は、都内での街頭演説で「都議選前に党都連役員の私にダメージがあれば、自民党にダメージを与えられるのではないかという理由で難癖を付けられている」と不満をあらわにしているというのだ。
安倍内閣への逆風は一過性なのかそれとも下り坂の始まりか、与党は世論の動向に神経をとがらせているそうなのだ。自民党の下村博文幹事長代行は支持率急落に「非常に厳しい数字だ。謙虚に受け止めなければならない」と語ったというが、都議選の告示が迫っており、「都議選に影響が出ないよう最大限に努力しなければならない」とも述べたという。「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法について、与党は参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」を行い採決時の混乱回避を狙った。都議選をにらんだ対応だったはずが、今回の調査で「審議不十分」との回答は69%となってしまい、公明党幹部でさえ「中間報告が裏目に出た」と認めているというのだ。
野党である民進党の山井和則国対委員長は「説明責任を果たさずに逃げまくった首相への不信感が高まり、うそをついているのではないかという思いを国民が持ったのだろう」と指摘しているが、国会は閉会したが野党各党は加計学園問題を解明するため、衆参両院の予算委員会を開くよう与党に迫る方針だという。共産党の志位和夫委員長は「情勢激変だ。都議選で与党に退場の審判を下すことを第一歩にしたい」と記者団に語ったという。それでも自民党の竹下亘国会対策委員長は民進党から国会閉会中も集中審議を実施するよう求められたが拒んで記者団に、「今日は終業式。夏休みというわけではないが、ホッとして一拍置こうという心境だ」と審議の打ち切りを行うことを宣言している。
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