安倍晋三政権が重要政策に掲げる 「生産性革命」の実現に向け、政府は災害時を含めた安定的な道路物流網確保を目的とした新たな政策パッケージを創設する方針を固めたという。物流上重要な幹線道路などに対し大型トラックの通行規制緩和や災害時の復旧迅速化などを図る方針だが、ドライバーの高齢化などに伴う人手不足へ対応するほか、災害や慢性的渋滞による経済損失を最小限にとどめる計画だという。新政策パッケージ「重要物流道路制度」は都道府県庁や拠点空港・重要港湾など、平時や災害時の物流拠点を結ぶ幹線道路・アクセス道路について国土交通相が「重要物流道路」に指定し必要な機能強化や支援策を実施するなど、通常国会に制度の規定を盛り込んだ道路法など関連法改正案を提出するという。
政府の言う「生産性革命」の実現に向け安定的な道路物流網確保の具体策の一つは大型トラックの通行規制緩和というわけなのだが、40トン級の国際海上コンテナ車について長さや高さなどが規定範囲内ならば通行許可を不要とするという。これまでは一般に20トンを超える大型車は許可が必要で、「道路情報便覧」等による行政機関の審査が必要だったのだ。その許可取得に1カ月以上かかるケースもあり、突発的な物流需要へ対応が難しかった。安定的な物流網確保には輸送効率化が不可欠だが、現行法ではトラックの大型化や渋滞への対応が不十分で、熊本地震では熊本県内の約50カ所で主要道路の通行止めが発生しており、災害への備えも急務だったことから整備するというのだ。
激甚化する災害時の物流機能を確保するため重要物流道路は被害規模が比較的小さい場合でも、国が地方道部分の災害復旧を代行できる新たな規定を道路法に盛り込む方針で、大規模災害では大規模災害復興法などに同種規定があるが小規模の災害でも物流網の復旧を迅速化できるようになるという。渋滞による物流生産性の低下を緩和するため、道路財特法に民間企業の負担で高速道路のインターチェンジから物流拠点につながる重要物流道路を新たに整備する際には、政府が無利子貸し付けできる規定を盛り込むというのだ。交通量の多い道路や狭い道路などにも緊急輸送道路のような制限をかけることとし、災害時の倒壊といった不経済性を加味して電柱の道路占有料を見直すべきともされている。
その無電柱化の実施環境を支える施策では道路について、現在は災害時に物資輸送などで重要となる緊急輸送道路の電柱設置を制限しているが、人口密集地以外の無電柱化はあまり進んでおらず全緊急輸送道路での無電柱化率は約9%と、世界の主要都市の中でも最低のレベルだという。地上設備を置く必要もあって無電柱化した道路は歩道幅員が 2.5m 以上の道路が約 8 割を占めており、このため交通量が多い道路以外に狭い道路や通学路で無電柱化を進めるべきとしている。歩道上に電柱がある場合は歩行者の安全やバリアフリーを妨げていると指摘されたそうなのだが、無電柱化の方法として国土交通省は共同溝方式以外に浅層埋設方式や小型ボックス活用埋設方式の低コスト手法導入の手引き案を示している。
今年度に私の住む愛媛県松山市の国道 33 号で民間資金を活用した 民間資金等活用方式で無電柱化を実施する計画も有り、コストがかかる無電柱化を民間資金で行い国が選定事業者に工事費や管理料を分割で支払っていく方式をとるという。既に国土交通省では 民間資金等活用事業の採用に当たり入札説明書の作成から事業者の選定・契約に至るまでの発注者支援業務をコンサルに発注しているという。東石井地区・天山地区の整備延長は計 3.1km で総事業費は 26 億円だが、全てを民間資金等活用事業とするかどうかは決まっておらず、国庫債務負担行為の上限は 15 年だが事業期間を何年に設定するかは未定だという。電線共同溝の所有権事業期間が終わるまで民間が持つのかなども今後協議するという。
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