長寿化が進む人生 100 年時代といわれるが、今年 6 月には夫 65 歳以上で妻 60 歳以上の夫婦のみ無職世帯では、単純計算で約 2000 万円の貯蓄が必要という金融庁の試算が話題になった。老後の生活はそれぞれの世帯によって千差万別であり、こうした調査の平均値だけで一律に語ることは難しいというが、ただし調査をもう少し細かく見ていくことでそれぞれの世帯が自分の老後の生活について考えていく際のきっかけや参考にはなるという。そこで最新の家計調査に基づいて第 1 に世代別に見た高齢無職世帯の収支状況を調べつと共に、第 2 に高齢者世帯の支出の特徴と変化を示した指標を見つけた。家計調査によれば高齢夫婦無職世帯の実収入は年金受給が主体で月平均では 22 万 2834 円となっているという。
一方で消費支出が 23 万 5615 円に税金や社会保険料等の非消費支出が 2 万 9092 円となっており、月間の収支では 4 万 1873 円の不足が発生している。そして月平均の不足額は前年比で大幅に減少し過去 3 年で見ても減少傾向にあるという。平均的な高齢無職世帯の調査に基づくと今のシニア世帯は夫婦世帯で不足額が減少傾向にあるが、 2 人以上の高齢無職世帯の実支出は世帯主の年齢で変化していることには注意が必要だというのだ。毎月の不足分は世帯主の年齢階層別によって変わってくる可能性があって、世帯主が 60 代前半まで働き 60 代後半からは無職になり、それまでの貯蓄を切り崩して 30 年間生活すると仮定すれば今後の年金支給額が不変として概算すると 1029 万円の貯蓄が必要と試算されている。
高齢者世帯の消費支出の特徴と変化を見てみると、家計調査の消費支出は「食料」・「住居」「光熱・水道」・「家具・事用品」・「被服及び履物」・「保健医療」・「交通・通信」・「教育」・「教養娯楽」・「その他」の 10 大費目別に分けて見ることができるそうで、このため消費支出の 10 大費目別に分けて 2 人以上の世帯平均に対する倍率を計算すれば高齢者世帯の消費支出の傾向がわかるという。 10 大費目別に 2 人以上世帯平均に対する倍率を計算すると高齢者世帯は「保健医療費」への支出が多く、世帯主が 60 ~ 69 歳の世帯で平均より 1.11 倍で世帯主が 70 歳以上の世帯で平均より 1.14 倍も支出しているという。さらに細かい費目別に見ると特に「保健医療サービス」や「医薬品」・「健康保持用摂取品」への支出が多いという。
高齢者世帯では「教育費」への支出が圧倒的に少なく、世帯主が 60 ~ 69 歳の世帯で平均に対して 0.16 倍だし、世帯主が 70 歳以上の世帯で平均に対して 0.04 倍しか支出していないそうなのだ。 60 歳前後には子育てを終え授業料などを中心に教育費が大きく減る姿が見て取れるわけだが、これを金額で見ても高齢者世帯の教育費支出は世帯主が 60 代世帯で月 1866 円だし、世帯主が 70 代以降世代に至っては月 482 円となっており、平均世帯の 1 万 1785 円よりも月 1 万 1000 円以上も支出が少なくなっている。高齢者世帯の「その他の消費支出」も金額的にはかなり減るが内訳を見ると「仕送り金」が最大の減少要因となっているため、こちらも幅広い意味で子供にかかる負担が減ることを示しているという。
10 大費目の中で特に世帯主が 70 代以上の高齢者世帯の支出額が平均より月 4000 円以上減るのが「食料」・「被服及び履物」・「教養娯楽」となっているが、それぞれの支出減のけん引役となっているのが「外食」や「洋服」に「教養娯楽サービス」となっており、主に外出を伴う負担が減る要因が大きいという。特に世帯主が 70 代以上の 2 人以上高齢者世帯の支出としてはトータルで月 23 万 7000 円と、平均世帯の月 28 万 7000 円から 5 万円以上も支出が減るというのだ。このような支出の特徴や変化を知っておくことは自らの支出を見直す際の参考となるはずで、収入に併せて支出も見直すことも必要だがこうしたライフサイクルとともに家計の収入・支出の構造変化が生じることを理解することが老後の備えの第一歩というのだ。
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