貧困と聞いて大勢の人がイメージするのはアフリカの貧困国のように極端に背が低くガリガリに痩せ細った子どもたちの姿が浮かぶのだが、そうした貧困は 「絶対的貧困」と呼ばれ世界銀行では「 1 日 1.90 米ドル日本円にして約 200 円未満で生活する人々」と定義されている。4年前の統計だが「絶対的貧困」に該当する人は全世界で約 7.36 億人いると試算されているが、貧困にはもう 1 種類「相対的貧困」と呼ばれる指標があって、その国の文化・生活水準と比較して困窮した状態を指し、具体的には「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」と定義されているのだ。日本の相対的貧困率は10年前には 16.1 %で直近でも 15.7 %もあって約 6 人に 1 人は 「相対的貧困」だといわれている。
私たちの世代の政治家などは「昔はもっと貧しかった」と主張する人もいるが、私たちの学生時代を江戸時代と比較して「あなたは昔に比べて裕福だった」と言われてもしかたが無いように、成長を続ける現代において昔との比較は意味がないことだという。「相対的貧困」とはあくまで相対的な概念であって目で見えにくいが、だからこそあまり注目を集めず今も苦しんでいる人たちが多いというのだ。また「相対的貧困」層とはどのような人たちが多いかを調べてみた結果によると、主に 10 代後半~ 20 代前半の若者と 70 代以上の高齢者の相対的貧困率が高いと分かり、 70 代後半の女性の 4 人に 1 人が相対的貧困というのはなかなか衝撃的な結果だとされおり、特に高齢者の品行が問題となっているそうなのだ。
厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査」を見てみると、 65 歳以上の高齢者世帯の生活は年々厳しいものになっていることがわかるそうで、生活意識について「大変苦しい」や「やや苦しい」と回答した人の合計はドンドン増えており厳しい状況が伺えるというのだ。問題となっている現在の年金制度などでは事実上老後の生活を年金のみで支えることはできないのは明白なのだが、持続可能な社会を目指すならこの「相対的貧困」は低い方が良いといわれているとされている。実際に持続可能な開発目標では「目標 1 」として「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」と掲げるだけでなく、「目標 10 」に「各国内および各国間の不平等を是正する」と掲げ、相対的貧困層の減少を訴えているという。
「相対的貧困」の原因の一端は非正規雇用者の増加で、賃金労働者の 4 割がパートや派遣などの非正社員です。30年ほど前には非正社員の割合は 2 割ほどだったので、非正社員の割合は倍にまで増えているとされるが、非正規雇用率が上昇している理由のひとつが団塊の世代の定年後再雇用で、正規社員として働いていた団塊の世代が再雇用で非正規社員として働き始めたこともこの割合を大きくしている要因のひとつだという。高齢者における正規雇用者も多く未だに自立できない子どもを抱えている場合には親に寄りかかっているケースも多いとされている。貧困から抜け出すための手段の 1 つは生活保護なのだが、日本は海外に比べて 生活保護を利用する資格がある人のうち実際に利用している人の割合が低いという。
また貧困率が低いと生活保護を利用する資格がある人のうち実際に利用している人の割合が低くなる傾向にあるのも気になるとされ散るが、捕捉率は「生活保護が必要な世帯に保護が行きわたっているか」を表す指標なので本来はこの 2 つの指標は無相関になってもおかしないとされている。貧困率が低いと補足率が低くなる老後の収入や支出を意識し、早め早めに行動していくのが貧困老人にならないためのポイントだという。すでに 60 歳以上という我々の世代ではこれらを急ピッチで進める必要があるというのだ。自分がもらえる年金額だけでなく月々の支出特に今後はずっと健康でもいられず医療費の増大も予想されることから、収入と支出をきっちりと計算し貧困老人にならないための対策を行うべきだという。
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