プラスチック製のレジ袋については世界の多くの国が使用を禁止したり有料化を義務付けたりしているが、日本は国民一人当たりのプラスチックの容器や包装のごみの量が世界2位となっており、レジ袋も国民一人一日一枚は使っているといわれるなど使い捨てプラスチック大国なのだ。プラスチックごみによる海の汚染が世界的に大きな問題となり、それを燃やすことで地球温暖化につながることが懸念されている中で日本は取り組みが遅れているという批判があがっている。このため政府はレジ袋をきっかけに使い捨てプラスチックに頼るライフスタイルの変革につなげたいという狙いがあって、東京オリンピック・パラリンピックで多くの外国人観光客がくる前になんとかしたいと7月から有料化を義務付けることになったという。
スーパーやコンビニなど全国の小売店でプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられることになったが、ただしプラ袋の素材などによって一部は除外され対象が分かりにくいという声も聞かれている。プラスチックごみは海に流れ出して深刻な汚染を引き起こして世界的な問題となっている。しかも2050年までに海洋中のプラごみの総重量が魚の総重量を超えるとの試算も報告されていることもあって、国内で年間20万トンが流通しているとみられるレジ袋を減らすため買い物にマイバッグを使う習慣を促進するのが目的だという。国内では富山県をはじめ19県がスーパーといった事業者と協定を結ぶなどして有料化を進めているが、兵庫県内でも20市町で削減協定などの取り組みがなされているそうなのだ。
新制度は事業の規模にかかわらず全国一律で有料化の義務付けとなるが、小売業以外の業種でも美容サロンで美容グッズを販売する場合などにも適用されるという。袋の価格や使い道は各事業者の判断に任され、レジ袋を提供しない代わりに値引きをしたりポイントを与えたりすることは有料化とは認められないという。環境に配慮した素材や繰り返し使える厚手の袋などは有料化の対象から外れており、具体的には厚さ0.05ミリ以上の袋やトウモロコシ等の植物由来のバイオマスプラスチックの配合率が25%以上の袋に、海の中で微生物が分解する海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の袋だという。これら対象外の袋には「この袋は厚さ0.05ミリ以上であり、繰り返し使用することが推奨されています」との表記がされるという。
地域のお祭りや学校のバザーなどの屋台でまとめて買うと袋に入れてくれるが、地域の住民や学校の保護者が屋台を出している場合は「業」ではないので有料化の対象外になるという。また肉や魚のような生鮮食品を入れる持ち手のない袋やクリーニングされた服にかぶせる袋などは有料化の対象外となっている。通信販売などで事前に消費者が袋を辞退できないケースも対象とはならないが、ただし国はこうした店に対しても自主的に有料化を進めるよう呼びかけることにしているそうなのだ。すべて有料になるわけだが一枚いくらになるのかは今後店ごとに決めることになっているのだ。今でも自主的にレジ袋の有料化を進めてきたスーパーの多くは1枚2円から5円なのでそのあたりがメドになるのではないかとみられいる。
環境科学が専門の高田秀重東京農工大教授は「世界100カ国以上が取り組みを進める中、レジ袋有料化は第一歩として意識付けの意味はあるが、ペットボトルを規制しなければプラごみ削減の実質的意味はあまりない。例外規定が問題。海洋生分解性といっても酸素がなくて分解が進まない場所もある。実際に東京湾の海底で生分解性プラスチックの一種を見つけた。また、バイオマス素材の配合が25%以上といっても、石油と材料が違うだけで分解しにくいのは同じだ。リサイクルに対する幻想を捨て、もとを絶たなければならない。過剰包装を減らすなどメーカーや行政の取り組みも必要だが、消費者が声を上げることが大事だ」と語っているが、我々消費者も「要りません」と意思を示すことが大切だというのだ。
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