松山市の近年のミニバイク普及率が世帯数20万以上の47市区のうちトップであることが日本自動車工業会の調べで明らかになったという。私の住む松山市は中心部に都市機能が集結するコンパクトシティーである点や温暖な気候が背景にあるとされているが、便利な市民の足として定着しているミニバイクも県内事故件数のうち約7割が松山市と近郊で発生し、事故時の死亡率も高いという負の側面もあるという。年間を通じて雨も少ないこともあってミニバイク利用者の多さについて市民税課は「松山はコンパクトシティー。経済産業省の調査では市民の居住地からショッピングセンターや病院、診療所までの距離の近さが全国1位だった。短距離を気軽に移動できるミニバイクが便利なのだろう」と分析している。
松山市は公共交通の利用者も多く松山市の都市・交通計画課は「市内中心部では鉄道網が放射状と環状に張り巡らされ、補完する形でバスがある」とするが、都会と比べると終電の時間が早いことから「夜遅くまで活動する若い社会人や大学生らにとってはバイクの方が自由度は高いのかもしれない」と推測している。愛媛大・松山大・聖カタリナ大・短期大学部・松山東雲女子大・短大の学生数とバイク駐輪許可証を調査した結果約6人に1人が許可証などを登録していたという。登録をせずに通学に使う学生も多く関係者は「比率はもっと高い」としている。交通安全指導を担当者も「全国的には子どものバイク事故を心配する親も多いが、松山市では親世代が日常的に使っていたことで、子どもも乗る傾向にあるのだろう」と分析している。
この「原動機付自転車」とは日本の法規における車両区分の一つで、原動機を備えた二輪車を指すが、法規上の条件を満たせば三輪あるいは四輪のものもこの区分に該当する場合があるという。道路交通法では排気量 50cc 以下だが道路運送車両法では 125cc 以下の原動機を備えた側車のない二輪車が該当し省略して「原付」と呼ばれることも多いという。さらに道路運送車両法では排気量により第一種と第二種とに区分されるが、この原動機付自転車の起源は自転車に小型のガソリンエンジンを取り付けた「モペット」と呼ばれる乗り物であるとされ、当初は自転車と同じ計車両扱いで免許が不要であったが 14 歳以上を対象とする許可制となり、1960年に道路交通法施行に伴い 16 歳以上を対象とする免許制になったそうなのだ。
現在の原動機付自転車はオートバイの一種に分類され特に車輪が小型であるスクータータイプのものが広く浸透し一般には運転免許の区分ともなっているという。排気量が 50cc 以下のものを指す場合が多く自転車の俗称であるチャリンコと組み合わせた「原動機付チャリンコ」を略して「原チャリ」や「原チャ」といった俗称も広く用いられている。また排気量が 750cc の大型自動二輪車を「ナナハン」と通称する例に倣い原動機付自転車を「ゼロハン」と称する場合もあるが報道では「ミニバイク」と呼ばれることが多いという。オートバイ全体の年間販売総数は約 40 万台とされているがおよそ 8 割以上はこの原動機付自転車のみで占められており、積載量や車両寸法・最高速度に制限があるほか運行に条件がつく場合があるという。
ミニバイクの利便性の陰で多いのが事故と死者で、ミニバイクの県内事故件数628件のうち松山市のほか東温市と砥部町管内での発生が計420件と66・9%を占め、過失の最も重い「第1当事者」の死亡率は乗用車が0・1%に対しミニバイクが4・5%となっているそうなのだ。 60代の男性タクシー運転手は「朝の信号待ちでミニバイクが前に割り込んできたり、2段階右折をしていなかったりする」と話し、乗客を降ろす際にもバイクが横をすり抜けてこないか警戒しているという。愛媛県警交通企画課は「バイクは車の死角に入りやすく、右折車両と、対向車線を直進するバイクが衝突する『右直事故』がよく起きている。転倒時に大きなけがをする可能性もあり、スピードを出し過ぎないようにしてほしい」と呼び掛けているそうなのだ。
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