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2024年08月27日
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テーマ: 世界経済(47)
カテゴリ: 経済
 2024年6月7日、中国人民銀行(中央銀行)が保有する金地金は5月時点で7280万トロイオンスと、前月と変わらなかった。中国が準備資産としての大規模な金購入を見送ったのは2022年10月以来で1年半ぶり。
 中国人民銀行が発表した2024年5月末時点の外貨準備高は3兆2320億ドル(約502兆円)。外貨準備高は4月末比で312億ドル増えた。
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 中国人民銀行が金準備の積み増しを5月に続いて6月も行わなかったことが、7月7日発表の公式データで判明したと報じられた。
 6月末時点の中国の金保有量は7280万トロイオンス。ドル建ての金準備は5月末の1709億6000万ドルから1697億ドルに減少した。
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 8月16日、中国の銀行が8月、中国人民銀行(中央銀行)から新たな金輸入枠を割り当てられたことが、4人の消息筋の話で分かった。金相場が足元で過去最高値を更新しているにもかかわらず、需要が再び盛り上がるとの見込みが背景にあるとロイターが報じた。

 各国が外貨準備の多様化、米ドルからの転換を進めていることから、金需要は過去2年間急増、金価格は上昇を続けている。
 安定資産とされる金価格が上昇を続けていることもあり、中国では若者の金購入が空前のブームとなり、中高年の需要は歴史的高値でも衰えていない。
 自国経済・社会の将来への不安が増す中、金保有願望は続くと思われる。
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プレジデントオンライン  2024年8月19日 9時15分
■中国・インドなどの新興国が買い漁っている
 足元で、金価格の上昇が一段と鮮明化している。8月9日まで、シカゴ・マーカンタイル取引所の 金先物価格は約18%上昇 した。同じ期間、わが国で人気の“オルカンETF”の基準となるMSCIのオールカントリー株式インデックス(ACWI、ドルベース)は約8%、米ナスダック総合指数は12%の上昇だったことを見ると、金価格の上昇の勢いがわかる。
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 7月下旬から8月上旬、 日米など主要国の株価は急落 した。その後、米国などで株価は小幅に持ち直したが、その間も金価格は高値圏で推移した。その背景には、金に対する根強い需要がある。主な買い手は、中国やインドなど新興国の中央銀行や個人投資家だ。わが国など先進国でも、金の保有を検討する人は増えている。
 金価格の堅調な展開は、今後も続く可能性が高そうだ。
 米国や欧州で、右派と左派、保守とリベラルの社会の分断はかなり深刻だ。総選挙後の英国では、移民問題で大規模な暴動が発生している。
 また、長い目で見たドル離れや地政学リスクの高まりなどで、世界的に金融市場は不安定化する懸念やインフレが再燃するリスクもある。価値が最も安定している金に対する需要は今後も高まることが想定される。当面、価格の上昇は続きそうだ。
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■リーマンショック以降、「金地金」のニーズが増加
 基本的に、金価格が上昇する背景には、需給バランスの変化がある。需要が増える一方で供給は増えない。価格上昇の期待が高まることで、ヘッジファンドなどの投資家は金を購入し価格上昇に勢いがつく。
 世界的に金の需要は増加傾向にある。金に関する情報提供や分析を行う“ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)”によると、2024年4~6月期、世界の金需要は2000年以降で最高水準に達した。WGCは主な需要を宝飾品の製造、半導体や電子部品など産業用、金地金(きんじがね)や金貨としての保有、ETF(上場投資信託)による金保有、中央銀行による購入などに分けている。
 インドや中東などの宝飾品ニーズは時期によって多少の増減はあるものの、趨勢としては右肩上がりの基調を維持している。 リーマンショック後、金地金や金貨としての保有は増加基調にあり、中央銀行の保有も増加 した。
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■高まる需要に対し、金は産出を増やしづらい
 2020年の年初以降、新型コロナウイルスのパンデミックで、世界の中央銀行は金保有量を増やした。2021年、世界の中央銀行などによる金保有量は31年ぶりの水準に達した。また、ウクライナ紛争の勃発以降、中国、ロシア、インド、サウジアラビアなど中東諸国、トルコ、ブラジルなど新興国の中央銀行が金の購入を増やした。
 一方、供給は伸び悩みの状態にある。産金世界最大手のバリック・ゴールド(カナダ)の予想では、2024年まで採掘や鉱山開発にかかるコストは増加する模様だ。近年の世界的な物価上昇で、掘削に必要な電気、薬品、装置の維持費、人件費などは増加した。生産量は前年から横ばいで推移している。
 金の鉱脈は見つかりにくいといわれている。産金会社は、既存の鉱山の掘削を進め金の産出を増やそうとしているが、金鉱石の金含有量は低下傾向にあるようだ。
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■中国人民銀行が金を“爆買い”する背景
主な金の需要主体の中でも、中国などの中央銀行の金購入は相場を押し上げた。 金は安定した鉱物で耐食性に優れる。多くの人が金に対する一種の憧憬を持つこともあり、金の価値は太古の時代から安定してきた。最近の金価格の上昇については、金に価値が上がったというより、むしろドルなどの通貨の価値が下がっているとみたほうがよいかもしれない。
 ウクライナ紛争の勃発後、米国は事実上、ロシアをドル資金決済網から排除した。G7はロシア中央銀行の外貨準備の凍結を決定した。米欧は、“国際銀行間通信協会(SWIFT)”からロシアの主要7行も排除した。
 半導体や台湾問題で米国との対立が先鋭化する中国は、基軸通貨の米ドルに自由にアクセスできないリスクを認識しただろう。2023年、中国人民銀行は723万オンスの金を買い越し、公的な機関として世界最大の買い手となったようだ。
 ロシア産の割安な原油を輸入し、国内の物価上昇リスクの抑制、石油関連製品の輸出増加につなげたインドも、米ドル依存度の低下に取り組み金の保有を増やした。 中印以外の新興国の中央銀行も、外貨準備に占める金の割合を引き上げた。
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■「コストコで金の延べ棒が買える」とSNSで話題に
 今年5月から7月まで、金価格は高止まりでほぼ横ばいの動きとなった。7月末、中国人民銀行の金保有量は7280万トロイオンスで横ばいだった。高値警戒で中国は金の追加購入を控えていたとみられる。逆に、価格上昇にもかかわらず金を売却していない。ドル依存を引き下げようとする中国の意思が読み取れる。
 山東黄金鉱業など中国の産金企業は、アフリカ、南米、オーストラリア、カナダ、中国国内などで鉱山を取得している。中国の個人投資家の金保有動機の高まりも、国有鉱山企業などの資産取得の要因だろう。
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  ―  引用終わり  ―
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 国際決済通貨としての米ドルの機能は続くものの、紛争による国際社会、資源供給の不安定化、米国社会の分断による経済の不安定化などで、米ドルの保有資産としての安定性は大きく損なわれている。
 各国、中央銀行の脱米ドル依存の動きは、経済安全保障の観点からも高まり続けるとみられている。
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 富の偏在でオイルマネーなど投資資金(=マネー)は、各国の中央銀行の通貨政策をものともしないほど巨額となっている。
 少しでも多くの超過利潤を求めるマネーは、実態経済を大きく混乱させながら、新たな投資先を求めて蠢く。
 世界経済の不安定化が続くほど、金需要は増し続ける。





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最終更新日  2024年08月27日 06時00分20秒
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