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新宿発の最終電車は僕の住む街まで五つ足りないさほど 馴染みが無い駅の何処かよそよそしい夜に迎えられ電車を降りる春先の闇は命の息吹を孕み穏やかな子守歌を謡う見えない歩行者に 指示を送り続ける 信号機それぞれに 低く独り言を呟いている 自販機の列空には 三日月が 笑っているどうして僕はあの角を曲がったのだろう?どうして僕は意味も無く歩道橋をのぼる?その路地を抜けても近道にはならないのを僕は知っているこれは散歩ではなく帰り道なのに一体何をしているのやらあぁ そうか僕は夜に なりたいんだ
2004年02月25日
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嘘 偽りは 申しません確かにそれは 己が胸に摘みとりし影の無い花だって 欲しくて仕方がなかったから罪は無いとは 言われても無罪の主張もいたしませぬ手折った事は 本当だから贖わなければならぬ罪支払わなければならない代価それでも 繰り返しましょう同じ あやまちだからまどうてあげましょ 罪と利子かほり無く 名も無く 色も無い花の何処にも 此処にも 無い花の
2004年02月15日
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最終電車が走り抜けてゆくまた夜は僕だけのものになる月のいない今宵星の導きで旅をする術を知らない僕は乾いた海の漂流船歩道には 無機質な明かりが等間隔に燈り闇の中に 新たな陰を生んでいる随分と 遠くまできてしまった履き古した靴が鳴る蛍光管のちらつく自販機の前で立ち止まり暖かい飲み物でも と何の気まぐれか 吐き出されてきたのは冷たい トマト・ジュースの缶誰かが僕を笑わせたがっているしてやられた漂流を切り上げて 部屋に戻ろうベーコンとレタス そしてトマトでサンドウィッチを作ろうポケットのトマト・ジュースで朝食を一人でいる事の厳しさと一人でいられる気楽さを朝のテーブルで甘受しよう帰り道 何気に見上げたネオン管が一つ切れているのが何故か妙に可笑しく思えてしまう自分がおかしい
2004年02月11日
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窓の外 誰かが霜柱を踏んでゆくまだ薄明かりの空のした足音が遠ざかるにつれ 夜が白みはじめる毛布に包まったまま意志の力のみで ガスレンジに点火しようと試みるやはり 今朝も成功しなかったずるずると毛布の端をひきずり お湯が沸くまでのあいだぼんやりと紅茶の葉っぱを見つめているなぜだか無性にキミに逢いたくなるキミの笑顔がみたいキミの声が聞きたい大急ぎで服を着て 部屋のドアを蹴り開けて 戸締りするのももどかしく 息を切らせて駅へと疾走るこんな時間の突然の来訪思いつく限りの正当な理由ってやつを用意して結局 正直に言おうと心に決める頃には キミの部屋の前呼び鈴に指をかけて…ケトルがけたたましく鳴りはじめシミュレーションはタイムアップそうだね紅茶を一杯飲み干したら あらためてそう あらためて毛布に包まり横になろう時間いっぱい 二度寝をしよう
2004年02月03日
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冗談半分に寄せられた貴女の唇の震えを憶えている今は 沸かしすぎた珈琲で 火傷した唇痛みをやわらげるためにごめんね 勝手に想い出しているこの刹那の痛みから逃れるため呼び出される記憶は改竄され 上書きされ 歪んでゆくより 自分に優しい方向に
2004年02月02日
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