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とろり と揺れるグラスのふちからあふれたそれは 思い道理に歪む 粘土細工のような時間喉を焼く 熱い酒なのに柔らかな酔い心地は懐かしい顔が語る ブリキ缶に納め埋められていたような古くひなびた 懐かしい そんな話のせいなのかお互いが知らず重ねてきた年月と距離を測る 慎重さからなのか紫煙の燻るテーブルの向こう側時折 僕の知らない貌を魅せる風のうなりに 君の嬌声や怒号を重ねたこともあった今は君の声が 風にきこえる
2004年01月31日
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いい加減に目を覚ませと言う何時までも寝ぼけて夢なんかみているんじゃ無いくすくすそれは まったく あなたの勘違い問題児であるボクの問題は 眠れないこと素直でよい子のあなたは すっかり寝かしつけられて目覚まし時計の音すら聞こえない凍った夜に 月とワルツを踊るのも爪先立ちで 星に手を伸ばすのもまだ ボクが眠るのを忘れているからあなたはきっと 虚空を一心に見つめる猫の瞳に何が映っているのか 想像したことも無いだろうねだから 一緒に 地べたに座っている僕をみて顔を顰めるあなたの人生の貴重な時間を僕のために割いていただけるのは嬉しいことだけれどありがとう ごめんなさい僕のなかの子供は まだ 眠らない
2004年01月21日
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その紅い唇からは優しさを通り越して 甘い蜜になった嘘が受話器の向こうから 僕の耳に注ぎ込まれる白熱灯にさらされて くったりとした飴細工今の僕はまさに それシロップ漬けになった脳みそを取り出してショーケースに飾り付ければ誰かが買ってゆくかも知れないねマロン・グラッセと間違えてサイズもそれほど 違わないだろうことだし熱にうなされ 溶け出す脳シロップが目からこぼれ落ちるなのに雫の落ちたカップのなかエスプレッソはいつものように苦いまま
2004年01月15日
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高台から見下ろす中学校の屋上改修工事のシートで覆われているそういえばあそこに寝そべって雲を眺め時には星を数えたのは随分と昔の話キミが好きだったアップルパイを焼いていたかどのパン屋さんは今ではコンビニ揚げたてのコロッケを買い食いした商店街のお肉屋さんはすっかり老けたご店主が今でもメンチカツを揚げている値段も少し上がっている初めてのバイト 初めての給料つぎ込んだのは当時流行のステレオ・ラジカセ浮かれてはしゃぐ馬鹿騒ぎが一本のテープに残っていた機械で再生される自分の声の違和感を訴えるキミからかった僕たちを教室中追い回し本気で箒で殴ったね記憶は古いテープと同じように歪んでゆくのかも知れない正確さに欠ける僕の中のテープ・レコーダーは些細な日常の出来事をハリウッド映画並みに脚色して再生している
2004年01月14日
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氷水のような夜重く広がる雲が 空に蓋をする音も無く 風も途絶え導き手のないまま 四辻に 一人佇むコートの背には幻の温もりお互いに十歩離れたら銃を抜き 撃ち合う約束だったのにキミはただ 歩き去って行く撃たなかった キミを憎み撃てなかった 自分を蔑む目には見えなくても 雲の上満ちてゆく月夜想曲が狂騒曲へと移りゆく弾丸を込めた銃を持て余しながら四辻に咲く青い花を横目に風の匂いを探している
2004年01月09日
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開ける扉の存在しない鍵壁の裏側に隠された広告看板微笑みと握手に隠され 振り下ろされるのを待つ手斧愚者を嘲笑する愚者待ち合わせの時間が過ぎてから見つかる覚書自由 平等 博愛それでも虐げられる弱者はいる茶碗蒸しの中の椎茸を「ペンギンさんのお肉」だと嘘を教える母親疑わずに育った子供は 餃子を「さめこ」と読んだどうして「餃子ライス」にスープがついて「半チャンラーメン」には何もつかないのだろう…そんな こんな解らないことだらけさしあたって 一番 僕を悩ませているのはキミが 何を考えているのかが わからないこと
2004年01月05日
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