おしゃれ手紙

2010.06.26
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テーマ: 愛しき人へ(901)
カテゴリ: 父の麦わら帽子
銀の滴(しずく)、降る降るまわりに、金の滴、降る降るまわりに・・・。

文字を持たないアイヌが、口伝えに伝説や神話を伝えたように右手の不自由だった父も、書くということはしないで、もっぱら、しゃべって、いろんなことを伝えた。

そんな中に父の伯父、■ 健三郎の妻・タマノは、 ■二人目の子供が生まれる産後の肥立ちが悪く、死の床に着き、父親にも会えないまま死んでしまったことを父から何回も聞かされた。

この話には、続きがある。
タマノの残した子ども、父のいとこは、名前を友一(ともいち)と重次(しげじ)と言った。

タマノの死後、父親が再婚し、二人には新しい母親が来た。

しかし、二人が新しい母親になつかなかったのか、継母が可愛がらなかったのか、折り合いが悪かった。

死んだ母親を恋しがり、そんな二人を継母はこころよく思わなかったのかも知れない。



ある日、兄の友一は弟を誘った。
「シゲ、藤田(とうだ)に行こう。」

二人は、歩き始めた。

親戚の家は、子どもの足で歩いて何時間もかかる。

そのうち、幼い重次が足が痛いと泣き始めた。

「シゲ、もうちょっと、我慢せぇ」と友一は、言い聞かせたが、弟の重次は泣きやまない。

なだめても、泣きやまない弟の重次に兄の友一は、こう言った。

「なぁ、シゲ、あそこに、トロッコがある。
あの中で座って休もうか。」

家からもう、だいぶ歩いていた。

この辺りには、柵原(やなはら)鉱山から出る鉱石を運ぶ片上鉄道があって、そのためにトロッコが置かれていたのだった。



泣いていた重次も喜んだ。

それからしばらくして、疲れていた二人は、そのトロッコの中で眠ってしまった。

やがて、暗くなっても帰ってこない幼い兄弟に村中、大騒ぎになった。
村中、総出で探したが見つからなかった。

翌日、何事もなかったかのように、兄弟が帰って来たと父は涙を流しながら何度も話してくれた。

「トロッコ」 ■を見たからかも知れない。

父のいとこにあたる、友一と重次は、二人とも若くして亡くなった。

私の父と子どもの頃、一緒に遊んだこともある、友一と重次。
母親の姿を知らない二人の幼い兄弟を想うたびに、胸がキリキリと痛む。

■ 父の麦わら帽子 ■
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◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。
★2020年6月23日 *探偵!ナイトスクープ:にわか*
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Last updated  2010.12.26 13:51:36 コメントを書く
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