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以前、「科の特性」という記事を書きました。結構医療関係者や、お知り合いに医師がいる方には共感を頂いたようで、「地位が人を造る」ということわざではありませんが、それぞれの医師の科によって、似た雰囲気というのは日本全国であるような印象を受けました。 head&neckも他人に影響を受けやすい面がありますから、やはり自分の科の雰囲気に染まってきているんだと思います。そこでふと考えたのは、「じゃあ、他科の先生の前では自分の態度が変わっているのかな?」という点です。勿論、年齢がぐっと離れている相手には共通した常識が態度にでます。例えば、うんと年上の先生には目上の年長者にたいする物腰になるし、後期研修医などが相手であればこちらが教え諭すこともあります。ですから、以下の記事はあくまで自分と同年輩の医師に対するhead&neckの態度としてお読み下さい。題して、 「~科の先生に相談する時」・内科 自分がマイナー科の外科系のせいか、何を尋ねても答えてくれると勘違いしてしまう。呼吸器の先生に心電図のことをついでに聞いたり、神経内科の先生に糖尿のことを質問した事あり。⇒「優等生に質問する不良」・外科 こちらは内科と逆に、自分も外科系なので、つい自分のキャパシティをこえる要求がきてもがんばってしまう。下咽頭癌で移植用の腸を取ってもらった患者さんの術後、つい腹部の創も診察する。←判るワケ無い。⇒「部活のコーチの前で頑張ってしまう選手」・眼科 なぜか病棟が同じことが多くて、マイナー科の悲哀を語り合うことあり。⇒「放課後のひと時」・皮膚科 自分の湿疹や手荒れを診せてしまう。⇒「いま私は患者」・放射線科 CTとかMRI写真だけしか診せていないにも関わらず、患者さんのことをすべて相手が判っていると勘違いしてあれこれ相談することもしばしば。放射線治療の先生にもかなり無理な要求をしている気が・・⇒「おまわりさん助けて」・病理 相談に行くと色々と教えてくれる先生が多いがhead&neckにはチンプンカンプンだったりする。⇒「学校の先生の前に立った生徒」・麻酔科 電話がかかってくると<びくっ>・・なんか術前検査で問題あったの見逃したかな?⇒「花粉症なので診てください~」⇒<ほっ>⇒「風紀委員にいたずらを見つかった学生」 ・・・・書いていて、だんだん自分の医師としての欠点をえぐりだしている気分になってくるのでした。 ←まだまだ参加中。一日一回クリックを。
2008.02.28
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学会というのは、我々医師にとって最新の知識を仕入れる場所であり、自分の成果を発表する場であり、遠方への出張の楽しみでもあります。 小規模なものは同じ市内や県内の医師だけで行われる研究会で、土曜の午後や、時に平日の夕方や夜から数時間の短いセッションで、多くは製薬会社の協賛がついていたりします。 少し大きなものになると、地方会と呼ばれる定期的な学術集会で、たとえば外科、内科、小児科、その他のほぼ全ての科には元締めの日本~科学会というのがあり、その下部組織が県ごとにありますから、東京なら日本~科学会東京地方部会、といった具合に、まあ年に2、3回の割合で開催されます。場所が決まっていることが多いようです。 さらには、それがいくつか集まった関東地方連合会とか、中部地方連合会といった、やや規模の大きな学術集会もあります。これは概ね年に1度、各県の地方部会が持ち回りで開催するようです。 全国学会になると、上に述べた日本~科学会というのが各科の一番大きな学会ですが、その他に関連する学会としていくつか開催されます。head&neckは耳鼻咽喉科ですが、関連する学会は、日本耳鼻咽喉科学会、耳鼻咽喉科臨床学会、日本耳科学会、日本鼻科学会、日本気管食道学会、日本頭頸部癌学会、日本頭頸部外科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会・・・きりがありません。さらに、実際の専門分野に近い他科の学会に2.3所属しており、とうてい全てに参加するわけにも行きません。結局、日程と開催地を決めていけそうな学会に年数回参加することになります。まあ以前にも書きましたが、いくつかは統廃合しても良さそうなものもあり、お偉方が学会長をしたいためにたくさん集会を増やしてしまったという弊害があるというのも事実ですが、学会で話を聞かないととよその施設での治療や、自分たちが行っている治療が標準的なものかという判断の把握が出来ませんから、それなりに意味はあります。 国際学会というのは、世界中からその分野の専門の医師が集まって発表します。現在はインターネットが出来て、随分手続きが簡単になりましたが、head&neckが医師になった頃は大変でした。雑誌で学会の告知があれば、まず国際郵便で問い合わせをし、faxを使って(言語に堪能な先生は直接電話してましたが)書類を取り寄せ、さらには抄録を送り、銀行で外国の口座にドルやユーロで代金を振り込む。もちろん全て英語・・。大仕事ですね。したがって主催者側も参加者も準備に1年以上かかりますから、数年に一度というのが恒例です。その習慣が今も残っていて、毎年開催される学会は少ないようです。 head&neckは9月にイタリアで発表するので、いまその準備に悪戦苦闘しております。手続きがネットで簡単になったと言っても言語の壁は厚いです。 ←本日も参加中。一日一回クリックを。
2008.02.26
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head&neckのお気に入りにも登録させてもらっている、れい0233さんのブログ(非常に鋭い意見と、常識的な見識をお持ちで、head&neckもよく訪問して拝読させてもらっています)に、以下のニュースが取り上げられていました。「がん」主治医に伝わらず、厚木市立病院が治療ミス(2008年2月22日 読売新聞) 神奈川県の厚木市立病院(田代和也院長)で、胃がんの診断結果が主治医に伝わらず、50歳代の男性患者が1年2か月間も胃かいようの治療を受けていたことがわかった。 男性は昨年5月、転移した肝臓がんで死亡した。病院は21日、「最初に胃がん治療をしていれば命を救えた可能性がある」として、損害賠償金5800万円を支払うことで遺族と合意したと発表した。 病院によると、同市内の男性は2003年6月、吐血して救急搬送された。胃の組織を検査した病理医は当初、胃かいようと診断したが、3週間後の再検査で胃がんと判明した。 しかし、男性は入院から2週間後に退院し、胃かいようの投薬治療を続けていた。04年8月の検査で、当初より進行した胃がんを確認。病院は9月に胃の切除手術を行ったが、リンパ節に転移しており、その後、肝臓にも転移した。 カルテには、病理医による診断結果の訂正書類があったが、その上に別の書類が添付されるなどしていたため、主治医は気付かなかったという。 田代院長は記者会見で「あってはならないミスで、患者さんに大変申し訳ない」と陳謝した。 非常に残念な出来事で、ご遺族も無念に感じたことと思います。そして、この報道は非常に客観的に冷静に記事を書いていると思います。 この結末について、感情論を排除して考えて見ましょう。 まず、現場にいる立場から考えると主治医にしてみれば「その上に別の書類が添付される」ことは、結果を知らされないのど同じことです。すべてのカルテをいちいちばらして見る訳にはいきません。 病理医は、きちんと訂正して、書類を各部署に送り、自分の仕事を果たしています。 おそらく、「上に別の書類が添付した」のは病棟のクラークさんか看護師さんと思いますが、書類はとめどなく大量に発生していますから、内容は確認せずに貼り付けた可能性が高いと思います。仕事として、書類を各患者のカルテに仕分けしてすばやくさばいていくということをやっているのですから、これもある意味有能であることの裏返しです。 こういう流れの中でのミスを、システムエラーと呼びます。医師個人、看護師、クラークのミスではありません。もちろん、このエラーに関しては二度とあってはならぬことで、予防策が充分検討されるべきであるし、保障がされるべきと思っています。 このシステムエラーから学んで訂正すべきシステムは、(1)最初の病理と違った結果が出たときは、書類でなく電話や口頭で直接主治医に連絡する(2)病理結果などの診断結果を示す書類を新しく貼り付けする場合、重ねない(3)病理結果の伝票は、必ず(週に一度位の割合で)主治医がまとめて目を通せるようにする などが考えられます。 もちろん、院長先生もおっしゃっているように、「あってはならないミス」です。ただ、医療の中では、ミスは必発することも事実です。このようなシステムエラーの狭間に落ち込んで不幸な結果を辿った患者さんのためにも、また、これに関わった医療関係者のためにも、裁判という手段をもってエラーを医師個人や、医療関係者の責任に帰結することは不毛なことです。患者さんの側にも多大な労力と精神的負担を強いることになります。 スウェーデンなどでは、個人の過失のないシステムエラーに対する保障をする制度があります。個人個人はしっかり仕事をやっており、悪意のないところにも不幸な結果が発生するのが医療であるという考え方から、双方に無用な軋轢を生じさせない評価制度を考えてあるのです。 いま、厚生労働省が立ち上げようとしている「医療事故調査委員会」も、もともとは上記の考え方から派生したものですが、「事故調」とは現場に干渉してすばやく犯人を見つける制度だと勘違いした不勉強なへっぽこ政治家やお役人の手にかかると、内実は全く別のものに変質させられてしまっています。 真面目な現場に対して不真面目で不勉強な政治と官僚。これが今の日本の医療行政の姿だと思うのでした。 最期に、亡くなられた患者さんに、心から哀悼の意を表します。 ←日曜日も参加中。一日一回クリックを。
2008.02.22
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ジェネリック医薬品とは、「後発品」「ゾロ」とも呼ばれています。例えばipodは先発品。その他後から出てきたデジタルオーディオプレーヤーはジェネリックですね。ただ、家電と違い、医薬品は身体の中に入り作用を及ぼすものですから、簡単に代替品を選んでよいか不安が残ります。そこで、以下のニュース。2008.2.19 共同通信社より 先発医薬品と主成分は同じで効き目も同じとされる後発医薬品(後発薬)を患者が希望すれば、医師に頼まなくても、薬局で簡単に出してもらえるようになる。価格は先発薬より7割から3割ほど安いため、患者が後発薬を選べば薬代は少なくて済む。 後発薬はジェネリック医薬品とも呼ばれており、今は使いたい時に医師に頼んで処方せんの「保険医署名」欄に、署名または記名・押印してもらう必要がある。 これが4月からは、医師が後発薬に変更するべきでないと判断した場合に限り、署名や記名などをする様式に変わる。 医療費のうち、かなりの割合を占めるのが薬剤費です。国はこれを安価にするため、上の記事のように、値段の安いジェネリックを推奨しています。実際、アメリカやドイツはジェネリック率が高く、これを根拠に経済的メリットを前面に押し出しているようです。しかし、日本のジェネリックの定義はアメリカやドイツとはまったく異なります。 アメリカなどのジェネリックは製造工程、使用材料、製品管理の基準など全てを開発社にオープンにさせ、それと全く同様の方 式で同様のものを創ってある薬をジェネリックというそうです。 これなら、ジェネリックといっても「同等の作用」が認められるはずです。 しかし日本でのジェネリックは、主成分の含有量だけが同じならば、あとの製造工程や賦形剤などの製薬技術に関しては、規制がありません。 これでは、開発元の薬剤とジェネリックとの効果発現、副作用に違いがでるのです。例えば、いくら薬効成分が同じでも、胃の中で溶けにくかったりします。添加物も違い、ひどい場合は薬剤がそのままの形で便に出てきたり、下痢や便秘などの症状が強くでたりすることもあります。 こうした事実は、一般の方に知られていません。さらにお役人がずるいのは、「医師が後発薬に変更するべきでないと判断した場合に限り、署名や記名などをする・・ 」とありますが、これはつまり、 署名をしなかった→変更を容認した→その過失は当然医師にある・・ というロジックを持って責任を医師に転嫁している点です。これまでの多くの医師の考えでは、ジェネリックに変更した場合、値段や副作用を考慮して各患者さんが判断しているわけで、自己責任で行っていただいているという印象でした。しかし、head&neckは最近これに気づいて、ジェネリックOKに印鑑を押すのを止めました。逆に、4月からは「ジェネリック不可」に印鑑を押そうと思っています。 もちろん、信頼できるジェネリックもあります。先発品に関して言えば、やや法外とも言える値段設定になっているものがありますから(この辺はおそらく発売元の製薬会社に天下り職員が居るかどうかに関係ありそうです)、一概には言えません。ただ、ジェネリックの中には、すべて中国で生産しているような薬もあるということを知っておいたほうが良いと思います。 何を信用してよいかわからない世の中になってきつつあるとつくづく感じるのでした。 ←上ったり下がったり苦闘中。・・一日一回ポチっと。
2008.02.22
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ことしも花粉症の季節がやって参りました。head&neckも花粉症があります。正式にはアレルギー性鼻炎、結膜炎といいますが、何でも日本人の15~20%が花粉症なんだそうで、有病率は世界随一です。もともと、戦後に木材として価値の高い杉を山に植林したのですが、その種類が特にアレルギー源としての抗原性が高いということです。 この季節、花粉症がある人は憂鬱です。とは言え、head&neckの場合は外来で花粉症の患者さんを診なければいけないので、まずは自分の症状を抑えなければなりません。だって、鼻水をずびずば出しながら「この薬効きますよ~」なんて言っても全く説得力ありませんから、そりゃあ必死です。 もっとも効くのはステロイドの注射と内服ですが、これは長期的に見ると身体によくありませんし、副作用も強いので、よっぽど症状のひどい時しか使いません。身体に優しいのは外用薬の局所ステロイド点鼻薬と、抗アレルギー薬の早めの内服です。花粉が飛散する1週間ほど前から飲み薬を始めて、大量飛散する頃に点鼻薬を併用すると、症状は軽くて済みます。しかし、何より効果があるのは、花粉を吸わないように努力することです。まずはマスクと、めがねです。花粉飛散量が多い日は野外で活動するとめがねにたっぷりと花粉が付いているのが観察できますから、これだけで結構ブロックされるのです。 まあ、色々やってもどうしても少しは症状が出てしまいます。鼻をかみまくると、鼻の下がただれて真っ赤になり、見苦しいですね。head&neckは職業柄いつもマスクをしますから、ひどいときはマスクの下にガーゼを敷いて、垂れ流しにしています。 医者として情けないとは思いながら、花粉症の患者さんの気持ちがとってもわかるhead&neckなのでした。 ←花粉症にめげず参加中。・・一日一回ポチっと。
2008.02.20
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すでにあちこちの医療系ブログでこの内容は詳細に書かれています。この国の行く末を案じる一人の医師として、福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医の無罪を信じ支援します。 適正な医療、教育、裁判、福祉を忘れた国家は滅びます。「国」というものは消滅することがあるのです。 この国に住む人々の命を守るべく働いたこの医師に、理不尽な仕打ちをすることを許してはなりません。 ←参加中です。・・一日一回ポチっと。
2008.02.18
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昨日は、当院の初期研修医2人を食事につれてゆきました。head&neckの病院では、「メンター制度」というものがあります。メンター(Mentor)とは、ギリシア神話に登場する賢者「メントール」が語源です。オデュッセウス王の友人で助言者、王の息子テレマコスの師も務めた人です。転じて、良き助言者、指導者、顧問を指し、先輩社員や上司を指導者として、業務上の問題点のみならず、職業人としてのマナーなどについても学びます。指導者をメンター、指導を受ける人をプロテジェ(protege)と呼びます。 このメンター制度は、元はアメリカなどで非公式に自分が尊敬できる先輩などをメンターとして選び、長期的に指導を受けたことから始まったようです。徐々に会社の公式な人事制度として取り入れられています。 2年間の初期研修中、じっくりと話を聞く機会は少ないのですが、それでも一度は総ざらえ的な意味で食事でも、ということになり、head&neckとあと一人がメンターとなっているプロテジェの二人を誘って食事会となったのです。色々と話をしましたが、二人ともすでに進路が決まっており、医師としての目標も何となく見えてはきている様子でした。 医師になってから十数年たちますが、自分自身が研修医のときに学んだことは今でも覚えています。「鉄は熱いうちに」ということわざどおり、初期の数年のモチベーションの高いときに覚えた知識や手技は身体と本能に染み付いているのです。 彼らの話を聞くと、進路が決まっているせいか、2年間の研修期間が早く終わることを熱望し、自分のやりたい科の勉強をしたい印象を受けます。確かに、進路を決めた人間にとって、関連の少ない分野での研修はある意味苦痛かもしれません。長い医師生活にとっての2年間が有意義なものか無駄な時間かを評価するのは難しいと思いますが、日本の現在の初期研修制度は厚労省の決めた規定があまりにも多すぎて現場で決められる自由度が少なすぎるという欠点がはっきりしているように感じます。 もともと、すべての科を網羅していくことは現在のように細分化され高度になった医療水準では不可能なのです。更には個人の資質や好みもあります。一律に研修をさせるこの制度では却ってやる気を奪ってしまうという面が否定できません。 どういった制度がいいのかはhead&neckにも判りません。ただ、個人的には1年間で切り上げて試験を課すか、更には大学医学部の学生時代に試験をもって仮免許を与え、もっと若いうちからどんどん現場に出すべきだと思っています。 外科系に限って言えば、一人前の外科医になるのに10年はかかります。医学部は6年、研修は2年かかる今の制度だと、ストレートに進んでも専門研修に8年です。それから10年たつと、年齢は36歳になります。50歳を越すと技術、体力が低下してくる外科系では実耐用年数は14年しかありません。(無論個人差があります)医師不足時代が叫ばれている中で、手術を必要とする患者さんにより多くの完成された医療を提供するには、そういった現実的な面にも目を向けなければならないのではと思うのでした。 ←最近ランクが低迷しつつ参加中。・・一日一回ポチっと。
2008.02.16
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2月13日 毎日新聞より 東京都杉並区で99年、のどに割りばしが刺さって死亡した杉野隼三(しゅんぞう)君(当時4歳)の両親は13日、杏林大付属病院(三鷹市)側に対する賠償請求を棄却した東京地裁判決(12日)を不服として控訴した。判決は「割りばしが刺さったことによる脳損傷の予見は不可能だった」と担当医の過失を否定していた。【北村和巳】 まず、このお子さんのご冥福をお祈り致します。 あちこちで取り上げられていて、詳細については省きますが、被告の医師は、head&neckと同じ科であり、とても他人事とは思えません。 この損害賠償請求が妥当かどうか。現時点での裁判所の判断は「妥当でない」となり、遺族は「子供が亡くなったのは医師と病院のせい」と思っているので、損害賠償は妥当と考えているのでしょう。少し前にアメリカで、「コーヒーをこぼして火傷したのは売った店のせい」という裁判がありましたが、これと似たものを感じます。 いちおう、知り合いがいますから、直接効いた話や、その他確認した情報をもとに書いてしまいますが、もし間違った情報等があれば指摘いただきたく思います。 まず、この親御さんご自身による事故当時の様子が、小学館文庫「割り箸が脳に刺さったわが子」と「大病院の態度」につづられています。それを読むと、親は事故のとき子供の様子を見ておらず、転んだときの状況をはっきり説明できていないようです。はっきりした麻痺や意識障害などの神経症状もありませんでした。 さらに、保護者が子供を観察しており、割り箸が刺さった。証拠はこの折れた割り箸だと医者に呈示できていたら医者も診断の手がかりになったはずです。 しかし、杏林大学の救急室でそのような訴えは無かったようです。 診察時の様子は、原告側はぐったりしてよほど重症と思ったと述べられていますが、杏林大学の医師のカルテ、看護師の記載、さらには搬送した救急隊の記録が公開されており、それによると患児は目を開けたりうなずいたりしており、看護師のエプロンのひもにしっかりとつかまっていたようです。また、看護師が抱きかかえようとすると、患児はそれに応じ、手を広げて、だっこをせがむ姿勢をとっていたそうです。 この意識状態の記録について、原告側は「改竄ないし書き足しではないか」と主張していますが、現時点では明らかに矛盾する記録はなく、これだけ違う職種、違う場所での記載がすべて改竄されることは考えにくいでしょう。 その他、原告側の記した事故当時の様子と、複数の人間が書いた事故当時の様子がずいぶん食い違っていて、やや信憑性に欠ける感は否めません。 そういった記録をすべて考慮し、裁判所の判決が出たのでしょう。 厳しいことを言えば、子供が事故にあったとき、その状況を正確に把握して医療機関につたえるのは、親の役割であり、義務なのです。幼い命が消えたことはきわめて残念で悲しいことですが、それは「割り箸が頭蓋底を貫いて脳に刺さった」ことが原因なのであって、「医師のせい」ではありません。 いま、この子供のためにできることは、静かに冥福を祈って、保護者とは子供を保護観察して子供の様子をしっかりと医者に呈示するべきという当たり前のことを啓蒙することであって、9000万円もの損害賠償を請求することではないと思うのでした。 ←最近ランクが低迷しつつ参加中。・・一日一回ポチっと。
2008.02.13
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本日、アクセスが2万を越えました。1万から3ヶ月あまりです。 ここのところ、コンスタントに100を超えるアクセスがあります。臨床医のぼやきに付き合っていただいている皆さん、ありがとうございます。 今後も、宣伝もせず、自粛もせず・・淡々と続けることが出来たらいいなと思っています。 ←そんなことを言いつつ参加中。・・一日一回ポチっと。
2008.02.10
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今でこそhead&neckは私立病院に勤務していますが、かつては大学病院の助手(いまは助教といいます)をしていたこともあります。その前は公立病院の医長、さらにその前は私立病院の平医員と、あちこち職場は変わっています。これはhead&neckだけではなく、我々の世代の医師は大抵医局の人事でローテートしているので、キャリアにあわせて実務と研修が出来るようにいろいろな職場を経験してゆくことになっていたのです。このシステムの良し悪しは別にして、公立、私立の病院を転々とすると、いかに国公立病院の要領が悪いかということが良く見えてきます。すべてにおいて国公立は非効率的ですが、特に事務の要領の悪さというか、やる気の無さというのは特筆すべきものです。下に一例を挙げましょう。 4月。世の中、色んな書類の更新時期になります。病院でも新年度にあたりたくさんの書類の提出が求められます。面倒ではあるが必要なことなので、各職員は真面目に書類を作成して事務に提出します。これは公立であれ私立であれ、極端なことをいえばどんな職場でもおなじです。 大学病院では、各々の職員が個々の書類を自分で事務まで持ってゆきます。事務部には担当の職員がいて、書類をその都度チェックしますが、これがたった一人。人が他にいないかというとそんなことはなく、隣のデスクの事務員は担当が違うといわんばかりにパソコンを打っています。向こうのほうでは湯飲みを片手に複数の事務員が談笑している姿も見られます。たった一人の担当事務の方があれこれ書類を処理する間にも、順番待ちの職員がいらいらしながらずらりと列を成して並んでいます。職員は各々、昼休みを利用して提出しにきたりしているのですが、とても休み時間中に全員終わるわけもありません。結局その日のうちに書類を提出できずに引き返す人もたくさんいました。すべての職員の書類事務が終了するのにおおよそ1ヶ月かかると聞きました。 私立病院では、あらかじめ決まった期日に、各職場に事務員を派遣することを通達します。書類のチェック事項は事務方でマニュアルを作り、この時期には手の空いている事務員全員で対応できるようにしてあります。職員は期日までに書類を記入し、各職場に来た担当事務の方に提出します。その場で軽いチェックをしたあと、もし不備があれば翌日連絡が入ります。その際に印鑑が必要である等の情報も教えてくれます。連絡があると初めて自分で事務まで足を運び、その場で訂正すると書類は終了です。書類整理期間は1週間です。 文章にすると、システム不備ばかりが目につきます。しかし、このような効率の差は、結局上司の号令次第であり、職場のやる気であり、雰囲気が影響します。大学にいた頃、用事があって事務に行くと、まるで牧場に来たようなのんびりとした空気。部屋に入っても誰も「御用ですか?」とも声をかけてこない。こちらが「すみません、○×の担当の方おいでですか?」と言うと初めて顔を上げる感じです。一方、私立の職場では、事務へ行ってもみな忙しそうに動き回っています。しかし、部屋に入ると必ず、「あ、どうしました?」と声がかかります。 すべてのお役人が腐っているとは思いません。しかし、箱の中に一つ腐ったみかんがあると他も腐り始めるのもです。何とかならないかなあと思うのでした。 ←参加してます・・一日一回ポチっと。
2008.02.09
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N先生は、異色の経歴の持ち主です。 年齢はhead&neckより一つ上ですが、学年は3つ下になります。というのは、一旦大学を卒業してから医学部に入りなおして医師になったため、通常よりも遠回りをしているのです。卒業後、関東の大学の耳鼻科の医局に入り研修をしていましたが、その医局の教授選に敗れた先生が医局を去るとき、一緒に医局を飛び出して市中病院に就職し、派遣でもって当院にやってきたという次第です。 都会の病院ではよくあることですが、貴重な症例や手術はすべて上級医がやってしまい、下の人間はただ見ているだけ、そういった環境でも腐らずにたゆまぬ勉学をしてきているのか、知識は該博で、head&neckよりも物知りです。うちの病院に来たのは、ただただ手術の腕を磨きたいためだとのこと。何しろ週に20件以上手術のあるようなところですから、この一年でずいぶん上手になりました。 とはいえ、手技をやらせてもらっていないハンデは厳しいものです。年数で言えば自分より5年、年齢で言えば9つも下のS先生に教わりながら手術をしています。S先生「先生、ここはつまんじゃ駄目です」N先生「あっ、そうか。ごめんごめん」・・といった3秒後、また同じところをつまんでいるS先生「先生、そこは駄目なんです」N先生「あっ、そうだった。ごめんごめん」・・・その1分後S先生「先生、だからそこは駄目なんです」N先生「あっ、またやっちまった。ごめんごめん」 こんなことを繰り返しつつも、N先生はちっとも気分を害しません。普通は10年選手になると、キャリアが逆に邪魔をして、なかなかまわりに教えてもらえなくなって苦労することが多いのですが、N先生のものにこだわらない素直な性格が幸いして、ついつい皆でよってたかって指導をしています。 N先生を見ていると、いくつになっても、人間成長が必要で、成長するためにはそれにふさわしい人格が不可欠だと感じるhead&neckなのでした。 ←参加してます・・一日一回ポチっと。
2008.02.07
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ようよう体調も回復して参りました。さて、先日「厚生労働省の医療事故調査機関について」の記事を少し書きましたが、私のお気に入りにも登録させていただいている春野ことり先生の天国へのビザというブログで、自民党の医事紛争のあり方検討会座長をしている大村秀章衆議院議員の発言が取り上げられています。詳細はリンク先をごらんになっていただくとして、概要は、医療現場への恫喝に近いものです。 大村議員曰く、「自民党案が不満なら警察をもっと動かして医師を逮捕させる」「医療側はごまかすから信用ならない」「処分するしないは簡単。これまでの判例があるから」といった暴言ともとれる内容がめだち、これを読んだときにhead&neckは愕然としました。 この議員、いったいどういった人となりなんでしょうか?少ししらべてみると、このような討論の動画を見つけました。年金問題について民主党議員と討論していますが、もう無茶苦茶。こういった人間が政府与党の衆議院議員であること自体が信じられない気持ちになります。 皆さん、現場でなんとか頑張っている医療を壊しゆくのも救うのも、やはり政治であることを肝に銘じて、ぜひ選挙で審判していただきたいものだと思うのでした。 ←体調不良ながら参加しています。よろしければ一日一ポチを。
2008.02.05
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京都で学会があったついでに、三重の実家によって来ました。老父母がまだ開業医を続けていますが、この2月で引退して兄に譲るとのこと。 兄もいて、久々に話をしました。 ところが、昨日からどうも体調が悪く、下痢、悪寒、ふしぶしの痛み・・・これはもしかしてと思いしらべたらやっぱりインフルエンザでした。 予防接種したせいか、高熱は出ませんが、三重から帰るのにふうふう言って戻ってきました。あー明日からまた仕事です。今日は早く寝なければと思うのでした。 ←風邪を押して参加中。・・一日一回ポチっと。
2008.02.03
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