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ネットショップでは着物や帯は仕立て上がって販売されている事が多いですね。裏物屋さんの話では中国製の半練りの胴裏が無茶に売れているそうです。買ってはゴミに出しているのでは思う程の大量だとか。半練りしているのは本練りにするとスケスケになったり軽過ぎて使い物にならないからと聞いています。半練りだと皺が入ると除去するのは不可能、スチームアイロンでも折れた跡は消えません。そんな半練りの胴裏を何に使うかと言うと勿論仕立てです。ネットショップで安く売る為に、仕立て上がりの着物用として激安の胴裏を使うのです。使用する胴裏の価格は最高で2,500円足らずとか、工房で使っている胴裏の半額以下三分の一に近い価格です。勿論仕立はベトナムでミシン仕立。着物の一番の魅力である解けば一枚の布になると言う特性は消滅、何回かは着用出来ても次の世代に残す事は不可能です。この胴裏も素早い経年劣化で紙の様になってしまうそうです。安かろう悪かろうの典型ですが、価格に見合った事なので文句を言う人は少ないかも知れません。古着屋さんの大繁盛から、仕立て上がり着物の隆盛に向っているのかも知れません。仕立て上がりでは裏は見えませんから、プリント着物でも十分なんですね。体型の一般的でない人はつまはじきになりますが。
2011年08月27日
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丹後縮緬や浜縮緬の組合等着物の生産に携わる所では毎年カレンダーを作ります。それぞれの組合が得意先へ意向を打診して提供を受けるのです。特に浜縮緬は高額と言う事もありこのカレンダーに掲載されるのは名誉とされていました。カレンダーとしては最大級で欲しい人が沢山居ましたが、一部千円以上した筈、簡単には贈呈出来るものではありません。十年程前、我が工房の作品が掲載された事があります。ずっと昔は掲載されるともの凄い注文が来たので期待しましたが、それほどではありませんでした。その作品は既に販売量が多く、業界に行き渡っていた事もその理由かも知れません。その浜縮緬のカレンダーに我が工房の振袖が掲載されました。勿論来年の。表紙と一月二月の二ページになります。枝垂れ梅文様、黒鼠に裾が深緑の染分けぼかし。先日得意先の社長から出来上がったからと一部頂きました。八月に来年のカレンダーが出来上がるんですね。本来はこのカレンダー秋も深まりを見せた頃に配布される筈なんですが、既に手に入れた小売屋さんも居られるとか。蛇の道は蛇と言う所です。商売熱心な小売屋さんは力がありますからね。さあ、百枚程注文が来る筈。お待ちしています。
2011年08月24日
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こんな話を聞いた事があります。豪華な蒔絵はきらびやかで荘厳です。しかし、豪華過ぎて華美が鼻につくと言う人も居られます。普通に見ればそう思えるかも知れません。ところが、現代の明るさから離れ、江戸時代の夜の明るさ、つまりロウソクを灯した部屋で金蒔絵を見ると蒔絵の本当の凄さが分かると言います。これは彼の文豪谷崎潤一郎が記した文章にあったと聞いています。なるほど、少ない光、それも微かな暖色系の光ならさもありなんと思ってしまいます。重厚さや侘び寂びが醸し出されてくるのです。日本の文化は現代の明る過ぎる生活では再現出来ないのではないでしょうか。日本は光を浪費していると言えます。蛍の光、窓の雪で照明を取るのは今や不可能ではありますが、言われてみればその通り。もっと暗い場所で生活や勉強していた事を思い出します。使い過ぎなのかも。今日、「京の七夕」に行ってきました。本家のブログには明日、写真を掲載するつもりですが、明る過ぎない明るさは風情があります。光と日本文化の整合性をもう少し考えてみる必要性があるかも知れません。それはそうと、大分前のメルマガで紹介した蒔絵、漆が完成に近づきつつあります。西陣の袋帯では蒔絵を使う事は創案されていました。細い一ミリ程度に裁断するので柔軟性が生まれたからです。今回は染帯の一種として蒔絵の帯を発表する一歩手前まで成功を納めています。漆は何回も重ね塗りを施します。そして、染とは全く反対の乾燥させるのに湿気を必要とするのです。試作は完成し、帯の加工が始まろうとしています。暫くするとお目にかかれる予定です。
2011年08月08日
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