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着物業界の不振は続いたままですが、中国のインフレがもたらす諸現象が大きく着物業界を揺さぶっています。生糸の高騰は今までもお伝えしましたが、それは中国のインフレが主な原因。安い工賃を求めて絞りの仕事の大半が中国で行われ、日本で消滅した技術も中国に移転していたのですが、絞りなんて安い仕事はやってられないと止める人が殆どだとか。要は日本の伝統技術が移転の果てに消滅したと言う事。疋田の最高級品の本疋田も中国では全滅、京都で数人の職人さんが残っているだけになりました。中国製の生地は特段の高騰で、日本の丹後などの産地と価格を並べる様になっただけでなく、安く設定されていた種類は生産そのものを終えてしまいました。既に手に入らなくなった物がありますが、まだ増えそうです。生糸が高騰しているから、日本産を使えば良いとか、日本産を増やせば良いとか言うのは簡単ですがそうはいかない事情もあります。日本産の生糸の品質が日本産と聞いただけで良い様に思われがちですがそんな事がないのが現実です。最高級の6等級の糸は日本産では殆どありません。2等級かせいぜい3等級とされています。着物に使う糸は6等級か5等級を使うので日本産を使えば生地難が起きてしまいます。特に縦糸に使うと太さの均一性の欠如や節などの問題が「さし」と言う生地難を生んでしまいます。日本産の生糸を使って良い物を織っていると宣伝はされていますが、織る人は輸入糸を使うより数段の苦労が要ると言います。緯に使えば事故率はぐっと減るのですが。仕立を外国でやる企業が増えています。中国での仕立が先鞭を付けたのですが、インフレの影響で離脱する所が増えてベトナム等の新興国に移っている様です。ベトナムではパールトーン社が先年から始めて居ますが、今では結構腕も上がったと言います。安い工賃を求めて奥地へ奥地へと進んでいる様ですが、施設は酷い物でトタン屋根に地面はむしろが引いてあれば御の字、ほどんど土間のままだとか。扱う手も汚い手なので文句を言うと入れ墨だったと言う笑い話もあります。安い工賃を求めて新興国に生産現場を移すのは、愚の骨頂です。いずれ、民度や生活水準が上がれば工賃が上昇するのは当たり前。今までに韓国や台湾で経験してきた筈が、勉強しない人達の多さには辟易してしまいます。ましてや、日本の伝統技術を本国から削除してしまう暴挙に至っては、犯罪的と言わねばなりません。
2011年02月25日
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我が友人が着物の小売屋をやっています。二年前の二回目の売出しから悲劇が始まりました。売出しをすれど客無し。「どうなっているんだろう」と電話が掛かってきた事もあります。客が激減したまま昨年を終わり、この月始めの売出しも期待はしていなかった筈です。ところが今回の売出しではお客様が前程ではないにしても、可成り戻ってきたと言います。大喜びしていました。名古屋圏ですから、嫁入り道具は可成り揃える風習があります。その風習が頼りの商いですから、風潮が変ればまともです。頼りない助言はしていますが、風土も変れば人間も変ります。どんどん良い小売屋さんになる様頑張って貰いたいものです。工房のお得意先に奄美の織元があります。大島と我が工房の特殊な技術のコラボで変った作品を作り出す為に時々注文を頂きます。伝統工芸師でもあるその織元の社長が昨日来られました。全国の問屋さんや小売屋さんの個展に赴いて販売促進をされています。昨年までは小売屋さんの個展に行っても、お客様自体が来ないので商売の話も何にも出来ないと言っていました。ところが、今年になって小売屋さんの個展で人が動き出した気配がすると言われました。ちょっと様子が良い方に動き始めた気がするとの事。工房でも未だ二月と言うのにお客様の数が増えてきた様に思います。何となくという感触だけですが。ネットからご質問や注文も少し増えたのではないかと言う気もします。2,3年前の様に高額なものが売れている訳ではありませんが、買いたいという意志を感じるのです。不況に倦怠感が出て慎ましくする事に嫌気がさしてきたのかも知れません。大企業の三月の決算は大半がいい結果を出すと言われています。内部留保に血道を上げる事は止めて、社員への還元や新社員を増やす事にも振り向けて欲しいものです。政治に期待出来ない分、大企業の責任は重いと思うのですが。
2011年02月17日
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京都は古より呉服の集散地。財閥となった問屋さんまでありました。呉服の小売屋さんからデパートに成長したお店も。着物と言えば京都。生産に関与する職人さんも群を抜いて大勢いらっしゃいます。京都の街を肩を切って歩いていたのは問屋さんの社員でした。夜の祇園も室町問屋さんの社交場でした。あちこちで出くわした人達が「まいど」「まいど」と挨拶する姿があったのです。そんな京都の呉服問屋の形態が変り始めたのは十年程前から。問屋のビルがマンションに変貌、何時も糞詰まりの渋滞であった室町通は今はすいすい。それでも一定以上の問屋さんが存在はしていたのです。ここへ来て新たな地鳴りが生じてきました。名前は伏せますが、製造卸問屋さんの名店数店がニッチもサッチも立ち行かなくなった様子。聞いたときは信じられませんでした。それほどのお店だったのです。やはり、それぞれ何年も赤字続きだったとか。ある店は廃業、ある店は小さなビルに移転、ある店は資金繰りに詰まってお手上げ状態。室町問屋さんへ卸す製造卸問屋さんは体質的に室町問屋さんより強いと言われていたのです。勿論室町問屋さんも廃業縮小が続いています。製造卸問屋さんの下には大勢の悉皆屋と職人がいます。これが路頭に迷う事に。失われる伝統技術は復活が困難。それぞれ結構高齢の方が多いのですが、再就職は難しいですね。お金の有り余った方はどんどん小売屋さんで着物を買って下さい。
2011年02月09日
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以前から、生糸の高騰はお伝えしていました。中国のインフレや生産農家の減少で生産国である中国の言いなりになっています。昨年末で既に高騰前の倍に。その影響でじわじわと生地が高騰しています。工房では昨年に仕入れた多めの生地が残っていたので、大きな影響は避けられていました。それでも帯系統の普通に使う塩瀬や古代縮緬は既に高く仕入れています。ところが、お陰様と言うべきですが、遊小紋等の注文が続いたので生地の在庫が可成り減ってきました。新規に仕入れる丹後縮緬の生地は二千円以上値上がりしています。面白い生地があったので実際にサンプルとして三反程仕入れました。福袋の特別企画で在庫の生地を染め潰すと、一気に新しく仕入れた生地に変更する事になるかも知れません。そうなると、遊小紋も価格の変更を余儀なくされる事になります。価格の高騰は生地だけではありません。仕事をする度に使う蒸しや湯伸しも石油価格の上昇に伴って値上がりしています。一旦上がると石油価格が下落してもそのまま。仕事量が減っているので値下げ出来ないのです。遊小紋は現在48,000円。多分四月位から最低50,000円前後に価格変更しそうです。仕立て上がりなら現在の86,500円から90,000円位に。そんな事もあってご注文はお早めに。
2011年02月04日
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