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90年以上の歴史を持つ関西屈指の老舗BARグループ「サンボア」(SAMBOA)のことはこれまでも折りに触れて何度か書いた(例えば、2005年3月12日の日記)。しかし、うらんかんろがまだ取り組んでいなかったことがあった。サンボア・グループ11店(この投稿当時でのグループ全店。※その後増えて2021年4月末現在では15店になっている)の「詳細な紹介」と「飲み比べ」である。 一口にBARサンボアと言っても、一様でない。微妙に違うのである。他のサンボアでは常識であっても、別のサンボアでは通用しないこともある。そもそもメインのお酒だって、「サンボアだから当然、サントリーの角瓶でしょう」と思っている貴方、そうじゃないという事実に驚かされるに違いない(写真右=堂島サンボア)。 貴方の持っている「バー・サンボアの常識」は当たっているのか。うらんかんろも今回11店すべてを改めて訪れて、初めて知った驚くべき事実がいろいろある。それではテーマごとに紹介していこう。 【メインのウイスキー】 バー・サンボアと言えば「ハイボール」が代名詞。そしてハイボールに使われるウイスキーの銘柄は基本的には、前述したように「サントリーの角瓶」である。 しかし、なぜか京都(寺町)サンボアと木屋町サンボアだけはニッカである(ちなみに、京都サンボアはグループ最古の歴史を持つ店)。前者はなんと竹鶴12年(ハイボールで飲むなんてもったいない!)、後者はスーパー・ニッカを使う(なお、竹鶴12年のコンスタントな入荷が難しくなってきた2015年頃からは、京都サンボアもスーパー・ニッカに切り替えたと聞いています)。 理由は正確には知らないが、BAR業界関係者に聞いたところでは、京都サンボアはサントリーの営業マンとある時、喧嘩別れしてから、ニッカ一本に宗旨替えしたのだとか(個人的にはやはりサンボアを名乗る以上は「角瓶」でやってほしいと思うのだけれど…)。(写真左=北サンボア)。 【氷を入れる・入れない】 サンボアと言えば、ハイボールに氷は入れないというのが定番。グラスに冷凍庫で冷やした角瓶とこれまたキンキンに冷やしたソーダを注ぎ、仕上げにレモンピールをさっとかけるのが正しいハイボールだ(写真右=北新地サンボア)。 店によってはグラスまで冷蔵庫で冷やしておいてくれる店もあるが、ほとんどの店は常温保存のグラスに注ぐ。だからいくらウイスキーとソーダがよく冷えていたとしても、20分以内で飲み干さないと美味しくは飲めない。 なお、「サンボア=氷なしハイボール」と書いたが、前項で紹介した京都サンボアと木屋町サンボアはなぜか少量の氷を入れる。理由はあえて聞かなかった。聞いても、「うちは最後までぬるくならないように、氷を入れた方がいいと思ってるんです」という答えが返ってくるのは予想できる。京都サンボアと木屋町サンボアは、サンボア・グループの「異端児」ということなんだろう(写真左=ヒルトン・サンボア)。 【飲むスタイル】 サンボアと言えば、これまたスタンディングで飲む店ばかりと誤解している人も多い。確かにカウンターがスタンディングの店は多い。堂島。北、梅田、北新地。銀座の5店はそう。しかし、それ以外の6店にはカウンターに椅子がある。またカウンターがスタンディングの店でも店内の別の場所に椅子席もあるので、疲れた場合はそちらに移動することもできる。 ハイボールは基本的にダブル(ウイスキーが60ml)で供される店が多い。これが強すぎるという方は、「シングルでお願いします」と頼めばそうしてくれる。ただし、お値段は半額とはいかず、100~200円お安くなるという程度(写真右=梅田サンボア)。 【付き出し】 「サンボアの付き出しと言えば、そら、南京豆に決まっているでしょうが」と思っている貴方、そうした先入観も大きな間違い。今回11店を回って、うらんかんろもそのバリエーションの多さに驚いた次第。 南京豆だけを出しているところは堂島、北、北新地、京都、木屋町、銀座の6店だけ。その他の5店は、梅田=塩豆、ヒルトン、南、島之内=南京豆とピクルス、祇園=ホット・サンドイッチだった(写真左=南サンボア)。 という訳で、付き出しとチャージ(後述)のコストパフォーマンスで比較してみると、ヒルトンと南、島之内の3店が一番お得感がある。個人的には、ヒルトンのピクルスは結構いける味わいで気に入っています。 【雰囲気】 サンボアだから基本的には英国調でウッディな造りの店が多く、どこもまず落ち着いて飲める。ただし、歴史と伝統に裏打ちされた重みという点では、やはり北、堂島、京都の3店が群を抜く。どの店も内装を見ているだけでも飽きない(写真右=島之内サンボア)。 個人的には、比較的新しいサンボアだけれど、北新地とヒルトンも大好きだ。前者のバック・バーの棚はあの伝説の名バー「コウベハイボール」のものを移築したもので、一見の価値がある。後者は意外といつもすいている都会の穴場で、ゆったり落ち着けるカウンターがとてもいい。 【ハイボール1杯のお値段】 サンボアだからハイボールのお値段は基本的にはリーズナブルだけれども、1杯のお値段は当然、店によってかなりばらつきがある。梅田、島之内=700円、堂島、北、ヒルトン=800~850円、北新地、南、京都、木屋町、祇園、銀座=900~1000円(写真左=京都サンボア)。 グラスの大きさや作り方も微妙に違うから、どの店が一番とは一概には言えないが、コストパフォーマンス的に言えば、堂島、北、ヒルトンが僕のおすすめ(なお、1杯の値段を「消費税込み」にしている店もあれば、「税別」の店もあります)。 【チャージ】 「サンボア=ノー・チャージ」と意外とみんなそう思っている。しかし、今回改めてお邪魔してお勘定をしてみた結果では、多かれ少なかれ何らかのチャージはとられていることを確認した。その額も店によりまちまちだ(写真右=木屋町サンボア)。 150円(北)の店もあれば400円(祇園)の店もある。だいたいが200~300円だ。ただし、どんなに高い店でも銀座や北新地で無意味に法外なチャージをとるBARに比べれば、十分良心的であることは言うまでもない。 【キャパ】 店の広さはまちまち。比較的広い店で言えば北新地、北、ヒルトン、南、銀座。中くらいなのは堂島、京都、祇園の3店(写真左=祇園サンボア)。 梅田、島之内、木屋町は10人も入ればいっぱいになるような小さい店だ。なお北新地と銀座では、広いキャパを生かして時々ライブ演奏などの催しもある。 【その他】 ・北サンボアと南サンボアでは、おしぼりまで出してくれます(北サンボアは、マスターも奥様もいつも笑顔で親切で、とても気持ちのいい接客です)。 ・午後3時開店の北新地と銀座では、6時までは「ハッピー・アワー」として、65歳以上は半額という嬉しいサービスをしています。それ故、開店後の早い時間帯はお年寄りが一人でふらっと来て、楽しそうに飲んでいる姿をよく見かけます(写真右=銀座サンボア)。 ・ヒルトン・サンボアでは、サンボア・グループではただ1軒、ランチもやってます。 ・祇園サンボアの正面玄関には素敵な暖簾がかかっています。暖簾の「サンボア」の文字は、ここの常連だった作家の故山口瞳氏の筆で、とても味わいのある筆致です。一見の価値があります。 ・京都と木屋町のマスターはスモーカー。目の前でタバコを吸われるのがお嫌いな方は行かない方がよろしいかと。 ◆サンボア・グループ(営業時間は各店へお尋ねください)【堂島サンボア】大阪市北区堂島1-5-40 電話06-6341-5368 日祝休 【北サンボア】同北区曽根崎2-2-12 電話6311-3645 日祝&第2土休 【北新地サンボア】同北区曽根崎新地1-9-25 玉美ビル1F 電話6344-5945 無休 【梅田サンボア】同北区角田町9-26 新梅田食堂街2F 電話6312-8987 日休 【ヒルトンサンボア】同北区梅田1-8-16 ヒルトンプラザイーストB2F 電話6347-7417 無休 【南サンボア】同中央区心斎橋筋2-1-10 電話6211-0215 日祝休 【島之内サンボア】同中央区東心斎橋1-6-23 清水町会館1F 6241-9513 日休【京都サンボア】京都市中京区寺町通三条下ル桜之町406 電話075-221-2811 火休&第2水休 【木屋町サンボア】同中京区西木屋町通四条上ル紙屋町367 電話222-2389 月休 【祇園サンボア】同東山区祇園南側有楽町570 電話541-7509 月休 【銀座サンボア】東京都中央区銀座5-4-7 銀座サワモトビルB1F 電話03-5568-6155 無休【追記】2010年以降、サンボア・グループでは新たに4店がオープンして、2022年1月現在、計15店となっています。新しくできた4店を以下ご紹介しておきます。いずれも素敵な雰囲気の店です。【数寄屋橋サンボア】東京都中央区銀座7-3-16 東五ビル1F 電話03-3572-5466 日休(2010年10月開業)。【浅草サンボア】東京都台東区浅草1-16-8 電話03-6231-7994 水休(2011年2月開業)。※オーナーは北新地サンボア、銀座サンボアと同じです。【天神橋サンボア】大阪市北区天神橋3-8-3 電話06-6360-4212 火休(2013年8月開業)。 【神戸サンボア】神戸市中央区加納町4-2-1 電話078-381-8179 定休日は現時点では未定(2021年4月26日開業)。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/03/29
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このブログで先頃連載した「『私的』BAR入門講座」が、「今宵も、BARへ--『私的』入門講座20章」と改題したうえで、簡易製本の本になりました。 神戸・元町「Bar・Heaven」(神戸市中央区栄町通2丁目10-3 アミーゴスビル4F 電話078-331-0558)での販売も予定通り、3月20日から無事スタートしました。 連載に加筆・修正し、全76頁。表紙と裏表紙のワンポイントの切り絵は、あの成田一徹氏が出版を祝って切ってくださいました。感謝感激です! 表紙製作に協力していただいたYさんにも、この場をかりて御礼の言葉を伝えたいと思います。 頒価はワンコインの500円。製作経費を計算したら、ほとんど儲けはありません(涙)。プリンターのインク代が高いぞー(インク代で儲けようする大手メーカーE社、C社にはほんまに腹が立ちます)。 Bar Heavenにはとりあえず20部ほど置いて帰りました。たまたまいたお客さんが購入第一号になってくださり、サインまで求められて恐縮です。Heavenで現物をご覧になったうえで、お気に召したらお買い上げいただければ嬉しいです。「神戸まで行くのは大変だよー」と言う方は郵送もいたしますので、「メッセージを送る」を通じてご相談くださーい。【追記2021年1月】申し訳ございませんが、現在では、製本版は販売しておりません。WEB版のみでお楽しみくださいませ。
2009/03/20
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皆様すみません、1カ月近くも日記の更新をさぼってしまいました。 連載「BAR入門講座」を書き終えた後、バーテンダーさんたちとのテイスティングの集いの準備(7日に無事挙行!)や次のブログネタの充電にいそしみ、さらに「BAR入門講座」の販売用(神戸Bar Heavenで20日から)の印刷・製本作業に追われ、久々に取り組んだヤフー・オークションに忙しく、あげくの果てに今冬初めての風邪をひきました(8日にひいた風邪は、症状はかなり改善されたものの、なお現在進行中です)。という訳でとりあえず再開第1回は、前述した「テイスティングの集い」のことを--。 BAR好きの友人と2人で、2~3年に一度のペースで「テイスティングの集い」というのを催しています。懇意にしているBARを営業時間前にお借りして2時間ほど。親しいBARのマスターやバーテンダーさんたち約20人を招いて、僕らがこれまでに買い集めた(主に)ウイスキーを何本か開けて、一緒に楽しもうという無料(太っ腹!)の催しです。 テイスティングの他にも、銘柄名を隠した酒を飲んで何かを当てる「ブラインド・クイズ」(賞品付き!)という余興も楽しみます。参加者の皆さんはそれぞれ手作りの酒の肴やパン、チーズ、ドライフルーツなどを持ち寄ってくれます(今回も!)。僕は自家製のスモーク・チーズを持参しました。 これまでに2004年、2006年の2回開催しました。本来なら3回目は2008年にするべきなんでしょうが、事情があって今回、3年ぶりの開催となりました(3月7日午後3時~)。今回は、6月からイギリスへバーテンダー“留学”するBar・KのT君と、4月から松山へ転勤する共催の友人の送別会も兼ねています。 テイスティングの会では毎回、5~6本(種類)のボトルを開けます。その半数くらいは1960~80年代に造られた、いわゆる「オールド・ボトル」にしています。「オールド・ボトル」はBARのマスターやバーテンダー、それに僕のようなウイスキー愛好家にとても人気のある「ジャンル」です。 なぜ人気があるのか理由は単純です。オールド・ボトルのウイスキーは、同じ銘柄でも現行品では決して経験できない、素晴らしい味わいを秘めているからです(なかにはそうでもない銘柄もありますが…)。 1950年代から80年代前半くらいまでのウイスキー造りでは、大手のメーカー(蒸留所)でも現在ほど大量生産の必要がなかったため、家族的な経営で少量を機械に頼らず手づくりしていたところがほとんどでした。材料も今では得られないような上質なものを使っていた蒸留所もありました。ブレンディド・ウイスキーではモルトも含有量も多く、しかも上質のモルトが使われました。 今では、大手の蒸留所ではほとんどのところがコンピューター制御の機械を使って発酵や蒸留作業をしています。その結果、「均質」という意味ではレベルはアップしたのですが、昔の手作り時代のような個性ある、深みのあるモルトはなかなか生み出せなくなったことも事実です。 「オールド・ボトル」は日本でも90年代半ばまでは街の酒屋さんでも見つけることができました。さすがに今ではほとんど見かけません(ネット・オークションでは、今もそこそこに登場しますが…)。だから、時たま「ウイスキー特級」と書かれたスコッチ・ウイスキーを出張先の地方の酒屋さんで見かけたら、僕はつい手が出てしまいます。 BAR業界で働くプロである以上、「今=現行品」のウイスキーとの比較の意味でも、バーテンダーの皆さんは「オールド・ボトル」の味わいを知っておく必要があります。しかし今ではオールド・ボトル自体の絶対数が少なくなったため、若い20代~30代前半くらいのバーテンダーさんだと「味わった経験がほとんどない」という方も珍しくありません。 僕らがテイスティングの会に出す銘柄に必ずオールド・ボトルを混ぜるのは、参加してくれる若いバーテンダーの方にぜひ、スコッチ・ウイスキーにもこういう味の時代があったということを知っておいてほしいという願いからです。とは言え、僕の持っているオールド・ボトルにも限りがありますので、いつかは限界が来るかもしれません。 そういう訳で僕と友人が今年のテイスティングの会に出したボトルは、(1)ハイランド・パーク21年(70年代オールド・ボトル)、(2)グレンドロナック25年(1968年蒸留)、(3)グレンフィディック18年(1977年蒸留)、(4)キング・ジョージ4世(ブレンディド=70~80年代のオールド・ボトル)、(5)ニッカ50周年記念ボトル(1984年発売)、(6)ラフロイグ・カーディス(2008年「ラフロイグ友の会」会員限定ボトル=17年もののクォーター・カスクのヴァッテド・モルト)の6本です=写真右上。 どれも素晴らしい味わいのウイスキーばかり(自画自賛?!)でしたが、参加者の中でとくに人気を集めたのは(1)と(2)でした。とくに(1)は現在のハイランド・パークでは味わえない、芳醇な香りと深い奥行きに満ち満ちていました。(4)もオールド・ボトルによく見られるアルコール分の低下もほとんどなく、驚くほど凝縮された味でした。(6)はBar・Kの20周年に贈ったものと同じです。 さて毎回催している「ブラインド・クイズ」ですが、会場となったBARのマスターと相談しながら今回は3本(銘柄)=写真左=を出題しました。シングルモルトの「カーデュ」(オールド・ボトル)、インバーゴードン社の「シングルグレーン・ウイスキー」、マルカイ・コーポレーションのオリジナル・ブレンディドウイスキー「鳳」。 あるBARのマスターと相談しながら、出題銘柄を決めたのですが、予想通り、少し難しすぎたのか、1回目はどれも正解者はなし。少しヒントを出しての2回目でようやく正解者(優勝者はなんと全問正解!)が出て、9位までの賞品は無事、参加者の手に渡りました(ちなみに1位賞品は「アンティーク・グラス」でした)。 プロのバーテンダーにとっても、やはりブラインド・テイスティングというのは難しいものです。シングルグレーン・ウイスキーはアイリッシュなどと間違えた方多数でした。本音を言えば僕自身もブラインド・クイズに参加したかったところですが、プロが真剣に悩みながら飲んでいる姿を横目で見ながら、テイスティングをするのもなかなか楽しいものです(嫌な性格だねぇ(笑))。 楽しい2時間はあっという間に過ぎて、お開きに。参加者の皆さんは昼間から美味しいウイスキーをたっぷり味わい、赤い顔をして上機嫌でご自分のお店にお帰りになられました。次回開催は友人がまた大阪へ戻って来る3年後でしょうか。それとも、その頃は僕がもうBARをオープンしているかなぁ…(笑)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/03/16
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