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その20:結び 「いいBAR」が生まれるには ◆店と客、双方が力を合わせてこそ 「いいBAR」が生まれ育つには、店側と客、両者の協力が欠かせない。この「入門講座」でも繰り返し書いたが、「店が客を育て、客が店を育てる」という好循環があってこそ、「いいBAR」が生まれる。ただし、そのBARが「いいBAR」になったかどうかを最終的に評価するのは、やはり、1人ひとりの客であることは間違いない。BARは、大衆(消費者=客)の支持がなければ存立し得ないのである。 誤解をおそれず言えば、例えば、カクテルの味が美味しいかどうかを決めるのは、最終的には、そのカクテルの対価を払う1人ひとりの客であって、バーテンダーやBAR業界の関係者ではない。しかし、BAR業界のカクテル・コンクールでは、「味わい」審査も含めて、身内だけの審査で順位を決めるケースがほとんどである。 「味わい」の審査ならば、一般人でもBARに通い慣れた、カクテルをよく飲みつけた人なら出来るはずだ。「(味わい審査に)一般人を参加させてはどうか」と業界幹部の方に提案したことは何度もあるが、残念ながら、いまだに実現していない(メーカー主催のコンクールでは、有名人の一般審査員が加わることもあるが…)。 業界のコンクールで上位にならなくても、素晴らしいカクテルをつくる優秀なバーテンダーはたくさんいる。だから、コンクールの審査結果というものに、うらんかんろはあまり重きを置いていない。いかなるカクテルも大衆の支持がなければ、客に愛されなければ、それは自己満足でしかないからだ。 ◆後世へ守り育てたい「素晴らしき非日常空間」 この「入門講座」では、オーセンティックBARに通う客が知っておくべきBARでのマナー、ルール、基礎知識などについて詳しく綴った。BARに通うすべての人たちが、そうしたマナーや知識をしっかり身に付けて、BARという素晴らしい非日常空間を「紳士・淑女の社交場」として末永く守ってくれることを心から願う。 同時に、BARのオーナー、オーナー・バーテンダー(マスター)、バーテンダーの皆さんには、これからも「いい客」を育て、「いいBAR」を目指す努力を続けていってほしい。本文中では、BAR業界関係者にとって、いささか耳の痛いようなこともあえて数多く記した。それは誰よりもBARを愛してやまない筆者であればこその言葉と思い、どうかご容赦願いたい。 この「入門講座」が、これからBARという世界をよく知ろうという人たちの「手引き」として役立ち、BAR業界全体ならびに各店の繁栄・発展だけではなく、バーテンダーという素晴らしき職業のさらなる地位向上につながれば、それに勝る喜びはない。 ◇ ◇ ◇【御礼&お知らせ】 全20回に渡った連載はこれで終わります。長い間ご愛読ありがとうございました。【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/17
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その19:私の「おすすめBAR」 ◆あえて「主観」で選んでみたけれど… 楽天ブログではこれまで、日本全国各地で訪れたさまざまなBARのことを綴ってきた。その内容は基本的には、地元関西のほか、旅先や出張先で訪れた「気になるBAR」の訪問記(感想)である。 訪れたBARのことを、「とても居心地が良かった」「(マスターに)親切にされて嬉しかった」などと評価したことはあっても、接客・サービスや雰囲気などをあからさまに批判したことはほとんどない(誉める時は具体的な店名を出すことはあっても、批判する際は「武士の情け」で匿名にした)。逆に、具体的に名前を挙げて、個人的な「おすすめのBAR」というテーマで日記を書くこともしなかった。 むろん、ブログで紹介した中でも幾つかのBARは、個人的に「とても大好きなBAR」であり、「馴染みのBAR」である。だが、私が好きなBAR、馴染みのBARが他の方にとってもそうであるという保証はない。私が日常訪れるBARたちも日々進化し、変化している。過去訪れたBARもその後、進化・変化しているだろう。 今回の「BAR入門講座」でも、当初は「おすすめBAR」というテーマで一項を設けるつもりはなかった。具体的な名前を挙げて、この場で「いいBARです」と紹介するのはあまり気が進まなかった。しかし、二、三の読者の方から、「最後には、『おすすめBAR』を必ず紹介してくれるんでしょうね」「あくまで主観でいいから、あえて書いてほしいな」などという言葉をいただき、やはりそうした要望に少しは応えなくてはいけないと思った。 ◆自分で探し当てる努力も必要 今回紹介する「おすすめBAR」43店は当然、筆者がこれまでに訪れたBARや今も通い続けているBARの中から選んだ。この「入門講座」で記した、いわゆる「いいBAR」の12の条件をすべて満たしている訳ではない。いくつかの条件は満たしていない。貴方にとっての「いいBAR」であるかどうかも、私には分からない。 しかし、30年余のBAR遍歴のなかで、私に「選び抜かれ、残ってきた」BARであることは間違いない。そして、お値段が少し張るBARも一部にあるが、そんなBARも含めて会計は明朗なBARばかりだと思う。また、ここに名前を挙げなかったBARにも、私が通う好きなBARはまだ数多くある。「おすすめ」に入れなかった理由は些細なことだとご理解願いたい。 「おすすめBAR」はあえて名前だけにして、詳しい住所や連絡先は記さなかった。貴方がその素晴らしさに出会いたければ、BARのマスターや友人に尋ねるなり、ネットで検索するなりして自力で探して訪ねてほしい。「いいBAR」と出会うにはそういう努力も必要だ。この「リスト」が貴方とBARとの良き出会いのための「手掛かり」になれば、とても嬉しい(☆印のBARはお値段は少し張りますが、私がその値打ちがあると思うBARです)。【北海道・札幌/小樽】Bar やまざき、 Bar Proof、Bar Adonis、Bar コオ、The Nikka Bar、ドゥ・エルミタージュ、Bar HATTA【秋田】Bar Lady、The Bar 1980【千葉・船橋】Bar Cooperage【東京】ル・パン、 銀座サンボア、 Bar 保志☆、 Bar Taliskar☆、 Bar オーパ、 Bar Slugs’、Bar Riddle、Rockfish、Bar Anthem、数寄屋橋サンボア、Maeda Bar、東京會舘・Main Bar、Helmsdale、 Bar コレオス、Nikka Blender’s Bar、 bar Salvador、Jus de Peche☆、中野ブリック、 Speyside Way【横浜】スリー・マティーニ、 らんぷ、Bar Casablanca、Sea Guardian2【静岡・沼津/三島】Bar Victory、 Bar 奈良橋【富山】仏蘭西屋・洋酒肆、Bar リクオル、舶来居酒屋・白馬館、Jazz&Liquor ジェリコの戦い【金沢】倫敦屋酒場、 MACHRIHANISH【名古屋】Yoshino Bar、Bar Barns、酒肆・蘭燈(らんたん)、Bar 立礼(りゅうれい)【滋賀・彦根】Bar Thistle、Salon Bar Thistle【京都】フィンランディア・バー、 祇園サンボア、 フェロー&フェロー、Bar Rocking Chair、K家、Bar YANAGI、The Common One Bar【大阪】Bar K、 Bar Cluricaun、 Bar Beso☆、 北新地サンボア、 Bar Arlequin、Bar TIME天神、 北サンボア、 Barキャシー、Bar Cadboll、 Bar the Monarch、Bar Sagitta、Bar Hardi、Bar Savoy Osaka、Little Bar、OTIS、 Just A Little Bit、 EVE、 吉田バー、ZAISON、十三トリス、街のあかり、Bar kiln、Whisky Cat、Bar 中原【神戸】Bar Mainmalt、 Bar Yanagase、 Bar Savoy(旧・Bar Savoy北野坂)、 Bar Savoy Hommage、Bar Moon-Lite【奈良】Bar COTTON CLUB、Bar Dalwhinnie【和歌山】Bar Tender、The BARMAN、Bar Roge【広島】Bar Slaintheva(スランジーバ)、Bar Oldies、Bar Fouque、Bar Brown、Bar Usquebaugh(ウスケボ)、Barさくま、Bar壱乃蔵、暁(福山店) ※尾道の本店は現在休止中【岡山/倉敷】Utena Bar、Bar 北田、Onoda Bar、Bar 胤(つぐ)【鳥取】Bar Style、Misty Bar【松江】Bar 山小舎(やまごや)、Bar Loch Side、中村Bar【山口・岩国】Bar Prelude【徳島】Bar 鴻(こうの)、Bar BARATEI、Long Bar、Bar Glen K、JAZZ BAR SWING、Bar ARCHE(アルシェ)、KOZO’S Bar【高松】Bar le Camarade(ル・カマラード)、Bar ダンク、Bar ふくろう 【松山】Bar 露口、Bar JuJu、Marinecco、Bar 独奏、Bar信天翁(あほうどり)【高知】Bar フランソワ、Walton Bar【福岡】Bar オスカー、 Bar Higuchi、 Bar 七島、Bar Heart Strings、Bar GITA、Bar 倉吉、スタンドバーいしばし、Bar Seven Seas、Bar Palme d’Or、Bar粋七(いきしち)、MOMOTA Bar【長崎】Bar Waverly【その20(完)へ続く】【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。【追記】第19章「おすすめBAR」については、その後何度か内容を更新いたしました。最新の内容は、2016年2月11日付の改訂版でご覧頂けます(内容は2017年以降も追記・修正する形で更新しています)。ただし、この頁につきましては、最初の投稿時のオリジナルな形を残していますが、何卒ご了承ください。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/15
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その18:BARと酒をめぐる雑学(2) ◆洋酒に出会った最初の日本人は? 1549年(天文18年)8月、宣教師フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸する。ザビエルはワインを数多く持参していた(ただし、当時は保存技術も発達していなかったこともあり、長い距離を運ぶことを考えれば、おそらくは温度変化に強いポート・ワインかブランデーに近い酒精強化ワインではなかったか)。 そしてザビエルは1カ月後、薩摩藩主の島津貴久に謁見する。布教の許可を得るために、ザビエルがワインを献上したことは十分に考えられる。従って史実にもとづく可能性という点では、日本で最初に洋酒を味わったのは、おそらく藩主・島津とその重臣らだったのではないかと、うらんかんろは想像している。 ザビエルはその後、約1年間鹿児島で宣教活動した。ワインはミサで使うだけでなく、布教のための“道具”として家臣らの接待に使ったに違いない(来日翌年には、周防・長門の大名・大内義隆にワインを献上した記録も残る)。他にも織田信長や豊臣秀吉らが、謁見した宣教師や南蛮貿易の商人らと一緒にワインを楽しんだという話は有名だが、一般庶民がワインを味わえるようになるには江戸末期まで待たなければならなかった。 ◆日本の酒に出会った最初の西洋人は? 一方、外国人が最初に飲んだ日本の酒は、おそらくはザビエルが来日する6年前の1543年(天文12年)、種子島に鉄砲を持ち込んだポルトガル人が味わった焼酎か「どぶろく」だったのではないか。江戸期の長い鎖国時代は、オランダ人などごく一部の外国人が長崎・出島などで日本酒をたしなんだのだろうが、母国へ持ち帰って紹介するということはなかった。長い輸送時間中の保存技術がなかった時代だから、やむを得ないだろう。 その後、1853年(嘉永6年)と翌54年(同7年)、日本に開国を迫るため、米国からペリー艦隊が黒船を率いて浦賀沖にやって来た。ペリー提督一行をもてなすために、幕府が出した料理や酒の記録が残っているが、その酒とは「保命酒」(ほうめいしゅ)という備後・福山生まれの酒だった。「保命酒」についてはかつてブログで一度取り上げたが、熟成感のあるリキュールのような酒である。ロックで飲むとなかなか旨い。米国人が飲んだ初めての日本の酒であったが、果たしてペリーは「旨い」と言ったのかどうか。 ◆正倉院とワイングラス ワインは古代エジプトやローマの頃から飲まれていたことが分かっている。ただし、当時のワインは葡萄酒にハチミツやスパイスを壺の中で熟成させ、時には温めて飲んだというから、今のワインとはかなり趣の違った酒だったろう。我が国でも奈良の正倉院に保存されている御物のなかに、聖武天皇(701~756)愛用のワイングラス(白瑠璃碗)=写真右 ( C )宮内庁正倉院事務所=が残っている。 シルクロードを通って伝えられたササン朝ペルシャ(西暦226~651)時代のグラスで、御物の中でも「螺鈿紫檀(らでんしだん)五弦琵琶」と並ぶ超一級の文化財だ。ワインそのものはペルシャや唐の都・長安などではよく飲まれていたらしいが、残念ながら、聖武天皇自身がこのグラスでワインを飲んだかは定かでない。もし飲まれたという記録があるなら、洋酒を飲んだ最初の日本人ということになる。 正倉院御物の中にはワインの瓶のようなものもあるが、当時宮中でワインは飲まれていたのだろうか?(どなたかご存じでしたらご教示を!)。もし8世紀当時、渡来人によってワインが日本へ持ち込まれていたとしても、前項でも書いたように、長期輸送のための保存技術が発達していなかった時代。どんな味わいだったのか興味は尽きない。 ◆有名人とカクテル 有名人にまつわるカクテルはいろいろある。代表的なものを少し紹介しておくと――。 (1)マティーニ 英国の元首相ウィンストン・チャーチル(1874~1965)が愛したカクテル。彼はとてもドライなマティーニが好きで、最初は、ジン1に対して10~15分の1のドライ・ベルモットを加えるレシピ(普通はジン5に対しドライ・ベルモット1の割合)で飲んでいたが、そのうちドライ・ベルモットは加えずに、ただボトルを眺めながらマティーニを飲むようになったという逸話が伝わっている。 「007」のジェームズ・ボンドが愛したのもマティーニ。だが、ボンドのマティーニは、ジン90ml、ウオッカ30ml、キナ・リレ(ベルモットに似たワインベースのリキュール)15mlというちょっと変わったレシピ。ちなみに考案したのは原作者のイアン・フレミングという。映画では、ボンドの「Vodka Martini, shaken, not stirred(ウオッカベース、シェイクして)」という決めゼリフで有名なシェイク・スタイルのマティーニもよく登場する。 (2)フローズン・ダイキリ(マルガリータ)、モヒート ともにキューバのハバナに暮らした文豪アーネスト・ヘミングウェイがこよなく愛したカクテル。彼がフローズン・ダイキリ(またはマルガリータ)を飲むためによく通った「バー・フロリディータ」と、もっぱらモヒートを飲むために訪れた「バー・ボデギータ」では、今では観光客が、これらのカクテルを競い合うように頼むという。 (3)シンガポール・スリング シンガポールのラッフルズ・ホテル内の「Long Bar」で生まれ、このホテルに滞在した文豪サマセット・モームが愛したカクテルとして、あまりにも有名。しかし今日我々が飲んでいるレシピは、その後ロンドンのサヴォイ・ホテルのバーテンダーが改良したもので、オリジナル・レシピとは違う部分が多い。「Long Bar」では今もこのカクテルが人気No1という。 (4)ギムレット 創作上の人物だが、レイモンド・チャンドラー作の推理小説「長いお別れ」に出てくる探偵、フィリップ・マーロウが好んだカクテル。「ギムレットには早すぎる」というセリフがあまりにも有名。 (5)テキーラ・サンライズ ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが、1972年のメキシコでのツアー中に好んで飲んだことから、その後世界中に大ブレイクしたカクテル。その後、イーグルスがこのカクテルの名前を曲のタイトルにし、これがヒットしたことからさらに有名になった。 ◆日本のBARで人気のカクテルは? NBA(日本バーテンダー協会)の2007年度の会員アンケート調査によれば、各店でオーダーの多い人気のカクテル「総合ベスト10」は(1)ジン・トニック、(2)マティーニ、(3)ギムレット、(4)ソルティ・ドッグ、(5)モスコー・ミュール、(6)サイドカー、(7)ジン・リッキー、(8)ダイキリ、(9)スプモーニ、(10)マルガリータという順位になっている。最近の傾向として、ジン・ベースのきりっとしたカクテルが好まれる傾向にあるようだ。 これが女性客だけに限った調査だと、(1)スプモーニ、(2)ソルティ・ドッグ、(3)ジン・トニック、(4)チャイナ・ブルー、(5)カシス・オレンジ、(6)ファジー・ネーブル、(7)モスコー・ミュール、(8)カルア・ミルク、(9)カシス・ソーダ、(10)シー・ブリーズ、ホワイト・レディ(同点)だったそうな。ご覧のように、甘口、中甘口の飲みやすいカクテルにやはり人気は集まっていて、辛口、中辛口なのはマティーニ、ギムレット、ジン・リッキーくらい。貴方がカクテルの初心者であれば、こうした有名かつ人気のあるものの中から一つずつ制覇していくのがいいだろう。 上記以外で人気ランキングによく顔を出すカクテルは、ジン・フィズ、スクリュー・ドライバー、シンガポール・スリング、マンハッタン、XYZ、グラスホッパー、トム・コリンズ、カンパリ・ソーダ、カンパリ・オレンジ、キール、ボストン・クーラー、ブルー・ハワイ等々。しかしあまりポピュラーでないカクテルの中にも、美味しいものはたくさんある。知らないカクテルの中から、旨いカクテルを見つけた時は、砂金探しで金を見つけた時のような嬉しさがある。 ◆世界で・日本で人気のウイスキー 洋酒をまだ「舶来の酒」と言っていた1950~60年代の頃、酒には特級、一級、二級という格付けがあった(「従価税」制度=1990年に撤廃された)。その頃、日本国内の酒屋で売っていたウイスキーと言えば、ジョニー・ウォーカーの赤、黒、シーバス・リーガル、オールド・パーくらいで、値段もジョニ赤で6~7千円、黒だと1万円前後、シーバスやパーは1万5千円~2万円くらいする貴重な酒だった。 今では従価税も撤廃されて関税も下がり、並行輸入品も増えたおかげで、3分の1くらいの値段になったのは非常に嬉しい。さらに、国産でも素晴らしい味わいのモルトやブレンディドが造られるようになり、洋酒好きにとっては、今ほど幸せな時代はないかもしれない。 ちなみに、大阪のある有名酒販店での最近のウイスキー売れ行きベスト10は、モルトだと(1)山崎12年、(2)ラガヴーリン16年、(3)マッカラン12年、(4)余市12年、(5)グレンリベット、(6)タリスカー10年、(7)グレンフィディック、(8)ボウモア12年、(9)ラフロイグ10年、(10)白州12年という順位だった。ベスト10にアイラ島産のシングル・モルトが3本。ここまで人気が定着してくるとは…隔世の感がある。ちなみに世界一の販売量を誇るモルトは7位のグレンフィディックという。 一方、ブレンディドのベスト10は、(1)バランタイン、(2)シーバス・リーガル、(3)カティー・サーク、(4)響17年、(5)ジョニー・ウォーカー黒、(6)オールド・パー、(7)ニッカ・クリアブレンド、(8)デュワーズ・ホワイトラベル、(9)角、(10)ホワイト・ホースという。日本ではこのようなランキングだが、世界に目を向けてみると、J&B、フェイマス・グラウス、ベル、ブラック&ホワイト、ヘイグという銘柄も今なお根強い人気を保っている。【御礼&おことわり】「BARと酒をめぐる雑学」の項の執筆にあたっては、ここに記しきれないほどの数多くの先人の書物のほかに、様々な会社、団体、個人のホームページ(HP)を参考にさせていただきました。ここに改めて深く感謝の気持ちを伝えたいと思います。定説がないものについては断定的な記述をするのは避け、諸説あるものについてはできるだけ紹介したつもりですが、間違い・勘違い等がありましたら、遠慮なくご指摘くだされば幸いです。謹んで修正させていただきます。【その19へ続く】 ※20回で終了予定です。【おことわり】「正倉院の白瑠璃碗」の写真以外は本文内容とは直接関係ありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/13
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その17:BARと酒をめぐる雑学(1) ◆BARの起源と発展 古代文明の発展とともに酒が生まれ、酒場も自然と生まれた。街なかに居酒屋ができたのは、古代エジプト、古代ローマ・ギリシャ時代にさかのぼると言われる。居酒屋の風景は壁画にもしばしば登場し、古代ローマの居酒屋跡の遺跡も確認されている。すなわちヨーロッパでは以後、庶民と酒、街の居酒屋は切っても切れない関係として発展してきた。 英国では、どんなに小さな田舎町に行っても、「タヴァーン(Tavern)」や「イン(Inn)」と呼ばれる居酒屋(兼宿屋)が、1軒や2軒は必ずある。「Tavern」は住民たちが一日の終わりに、酒を酌み交わしながら語り合う町や村の社交場でもあった。ロンドンやグラスゴー、エジンバラというような都会では、そんな「Tavern」が発展した「パブ(Pub=Public House)」が広がった。 ヨーロッパでは、日本のような街場のオーセンティックBARはほとんどない。しかし英国では、パブが街場のBARとしての役割を果たし、ロンドンでは街なかにパブが溢れている(ピカデリーサーカスなどの繁華街では、通りに何軒ものパブが軒を連ねるほど)。 同様にフランスではバールやカフェ、ビストロ(または「ブラッスリー」)が、イタリアやスペインではバール(バル)やタベルナが街のあちこちで見られる。街の酒場で飲まれる酒は、英国ではビールが中心で、ウイスキーは意外と少数派だ。一方フランス、イタリア、スペインではワインやシェリーの人気が高い。 ◆英国最古のパブは? 今も残る英国最古のパブは、パブガイドなどでもよく紹介されているが、ロンドンにある「ジ(イェ)・オールド・チェシャー・チーズ(Ye Olds Cheshire Cheese)」。1538年創業で、現存の店は1666年のロンドン大火翌年の1667年に再建されたものだが、コナン・ドイルやチャールズ・ディケンズも通ったことでも知られる。ダビンチ・コードで有名になったテンプル教会のそばの、わかりにくい路地裏にある。興味のある方はロンドン観光のついでに訪ねてみてはいかが(住所:145 Fleet Street, London)。 なお、パブが数万軒あるという英国には自称「英国最古」というパブが他にもいくつかある。例えば、イングランド中部・ノッティンガム近郊の「ジ(イェ)・オールド・トリップ・トゥ・イエルサレム(Ye Olde Trip To Jerusalem)」というパブの創業は、なんと1189年の十字軍の時からという(途切れずに営業してきたか真偽の程は定かでないが…)。ちなみにアイルランドの首都ダブリンにも12世紀末創業というパブがある。 英国最古という訳ではないが、シェイクスピアの生まれ故郷の町、ストラットフォード・アポン・エイボンで最古のパブ「ギャリック・イン」は1594年創業。昔の面影をよく残した、素晴らしい酒場だ。晩年を故郷で暮らしたシェイクスピアもきっと遊んだに違いないパブだ。観光で行かれた際は、ぜひ訪れて地元の美味しいエール・ビールを味わってほしい。 ◆日本最初のBARはホテルで誕生 日本で最初のBARはホテルで生まれた。1860年(万延元年)、横浜の外国人居留地に木造2階建ての「横浜ホテル」。そこに、居留地に暮らす外国人のためのBARが開設されたという。BARと言っても、ビリヤード台のあるいわゆる「プールBAR」だったらしい。 そして、その10年後の1870年(明治3年)、同じ居留地内に本格的なホテル、「横浜グランドホテル」が誕生し、そこに本格的なBARがつくられた。この頃になると、海外から、ウイスキーやブランデー、ジン、ワインなどが次々と輸入されるようになり、洋酒文化の大衆化も進んでいった。 ◆日本で最初の街場のBARは? 1910年(明治43年)に銀座に誕生した「カフェ・プランタン」が街場のBARの原型と言われる。2年後の1912年(同45年)には浅草で、「電気ブラン」で有名な「神谷バー」が開業する。「神谷バー」はいわゆるオーセンティックBARではないが、現存の酒場としては一番古い歴史を持つ(現在の建物は1921年=大正10年=の建築)。 それに続くのが「サンボア」バー・グループ。1918年(大正8年)には神戸・花隈にサンボア・バーの前身、「岡西ミルクホール」が誕生している。「岡西ミルクホール」は今はなく、現存するサンボア・グループ11店の中では、京都サンボアが一番古くて、1925年(大正14年)の開業。その後、昭和に入ると、銀座「Bordeaux(ボルドー)」(1927=昭和2年)、大阪ミナミ「吉田バー」(1931=昭和6年)と続く。「Bordeaux」は山本五十六、米内光政が常連だったことで知られ、店の2階には今も、彼らが使ったテーブル席が残っている。 ◆日本最初のカクテルは? 日本最初の本格的なホテルBARは、すでに書いたように、1870年に開業した「横浜グランドホテル」のBAR。そこに、サンフランシスコからルイス・エッピンガーという米国人が支配人として招かれ、米国仕込みのカクテルを紹介していった。 その彼が、1890年(明治23年)につくったのが「バンブー(Bamboo)」という名のカクテルで、日本生まれ初の創作カクテルにもなった。マティーニのジンの代わりにドライ・シェリーを使い、アルコール度数も抑えて飲みやすくした味わいは幅広い人気を得て、世界中に広まった。そのカクテル名は、竹のように素直でまっすぐでクセがないという特徴から付けられたという。「バンブー」は世界で最も有名な日本生まれのカクテルとして、今日でもなお光り輝いている。 ◆カクテルという言葉の語源は? カクテル(Cocktail)とは、直訳すれば「おんどりの尾」(ちなみに「めんどり」は「Hen」)。しかし、なぜお酒とリキュールやジュース(果汁)を混ぜてつくる飲み物をこう呼ぶようになったのかには、諸説があって、いまだに定説はない。そのいくつかを紹介すると――。 さまざまな本で紹介されている代表的な説 → (1)その昔、メキシコの港町の酒場にイギリスの船員がやって来た。少年が木の枝を回してつくっていた飲み物を見て、船員は「それは何だ?」と尋ねた。すると少年は「コーラ・デ・ガジョ(おんどりの尾)」と答えた。「コーラ…」は木の枝の愛称で、少年は枝のことを聞かれたと思った。船員たちは以来、ミクスト・ドリンクのことを「カクテル」と言うようになったとか。 他にも → (2)アメリカ独立戦争の時代、独立派兵士のパーティーでふるまわれた酒の瓶におんどりの尻尾の羽根が差してあったから (3)18世紀初め、米陸軍とメキシコ軍との休戦協定の宴席で、メキシコ王の娘コクテル(Coctel)がつくった酒が美味しかったことから (4)ニューオーリンズで薬局を営んでいた男がラムベースの卵酒を売り出した。フランス人が多かったニューオーリンズではこれを「コクティエ」と呼んだ。それがいつしか「コクテール」と転じた (5)イギリスのある地方では、雑種の馬を純血種と区別するために尻尾の毛を切った。これを「ドッグズ・テール」と呼んだが、これが「コック・テール」と転じた。かように諸説入れ乱れているが、語源なんて定かでない方が謎めいていて面白い。 ◆日本最初の国産ウイスキー ウイスキーを日本に最初に持ち込んだのは、前述した米国のペリー艦隊だと言われている。明治維新後は、欧米からウイスキーが次々と輸入されるようになった。しかし、国産ウイスキーの誕生には、さらに約半世紀の時間を要した。 1929年(昭和4年)、(株)サントリーの前身「寿屋」が山崎工場(現・山崎蒸留所)で国産ウイスキー第一号を完成させ、「白札」の名で発売する。その後、寿屋の社員だった竹鶴政孝がスコットランド留学後に独立し、北海道・余市で1940年(同15年)「ニッカ・ウイスキー」を生み出した。 現在では、上記のサントリー、ニッカやキリン・シーグラムなどの大手ウイスキー製造業者のほか、国内各地で「地ウイスキー」を造る小規模な蒸留所が続々と誕生している。「国産第一号」の誕生から80年後の今、日本のウイスキー業界は着実に発展を遂げ、味・技術ともに、今では「世界5大ウイスキー」のひとつとして、確固たる地位を築いている。 ◆禁酒法のウソ ケビン・コスナー主演のヒット映画「アンタッチャブル」のおかげで、米国に禁酒法時代(1920~1933)があったのを知っている方は意外と多いかもしれない。米国は建国以来、清教徒(ピューリタン)の影響が強く、飲酒について批判的な人たちが少なくなかった。酒類の製造、販売、運搬等を禁止する禁酒法(合衆国憲法修正第18条)は、酒造と酒場を禁止することで男たちを家庭に回帰させ、犯罪も抑止し、健全な家族を育てるという「国家的な試み」だった。 しかし、米国民のすべてがこの法律に従った訳ではない。金持ちは法律施行までの1年の猶予期間に酒を買い占め、禁酒法施行後は「もぐり酒場」が急増した。アル・カポネに象徴されるようなマフィアのようなギャングは 粗悪な密造酒をつくったり、酒造が合法だったカナダから酒を密輸して「もぐり酒場」で荒稼ぎしたりと、かえって犯罪は増えたという。 一方、禁酒法は家庭内での飲酒までは禁止していなかったため、「もぐり酒場」へ行けない国民は密造酒を買ったり、唯一、酒を取り扱っていた薬局で「医療目的」として購入したりして、家でこっそりと飲んだという(医者の処方箋発行費用の2ドルがあれば、誰でも薬局で酒が買えた)。 禁酒法のおかげで、「ジュースを飲んでるんだ」と言って警察の取り締まりをごまかせるようにと、カクテルが発達したのもこの時代だった。さらに、酒場の廃止で失業した米国のバーテンダーの多くがヨーロッパに渡り、米国生まれのカクテルが広まり、ヨーロッパ発の新たなスタンダード・カクテルも生み出されていった。禁酒法のおかげで欧州のBAR文化が発展したのは、歴史の皮肉と言っていい。 いま振り返れば、世紀の愚法である「禁酒法」は、人間の飲酒への欲望というものは、国家権力をもってしても根絶できないということを証明したのかもしれない(それにしても、宗教で飲酒を禁止し、それを忠実に守っているイスラムの人々はある意味すごく尊敬しています)。【御礼&おことわり】「BARと酒をめぐる雑学」の項の執筆にあたっては、ここに記しきれないほどの数多くの先人の書物のほかに、様々な会社、団体、個人のホームページ(HP)を参考にさせていただきました。ここに改めて深く感謝の気持ちを伝えたいと思います。定説がないものについては断定的な記述をするのは避け、諸説あるものについてはできるだけ紹介したつもりですが、間違い・勘違い等がありましたら、コメント欄で遠慮なくご指摘くだされば幸いです。謹んで修正させていただきます。【その18へ続く】 ※20回で終了予定です。【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。【追記】銀座「Bordeaux(ボルドー)」は残念ながら、2016年末で閉店しました。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/11
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その16:「いいBAR」の条件(3) (8)商魂見え見えの店はやめる 客のグラスが空になっていたら、「ただちに『おかわりはいかがいたしましょう?』と聞きなさい」とマニュアル化しているBARもあると聞いたことがある。真偽の程は分からないが、それに近い教育を従業員にしているBARは確かにある。これは、1杯だけで長時間粘る客に対して、「飲まないんだったら、早く席を空けてくれ」というプレッシャーをかける意味合いもある。 客にたくさん酒を飲んでもらいたいという気持ちは分かる。しかし、グラスが空き次第、すぐに前にやって来て「次は何にいたしましょうか?」と聞くのは、あまりにも商魂見え見えでいただけない。飲み終わった後の余韻に浸り、次は何を飲もうかなぁと考える余裕も与えてくれないのでは、居心地が悪くてくつろげない。 貴方が何軒ものBAR遍歴を重ねていくと、お代わりを尋ねるタイミングが上手な店が分かってくる。飲み終えてほっと一息ついて、「さぁ、次は…」と心の中でつぶやいた時、さっと前にやって来る。よく躾られたバーテンダーは絶妙なタイミングを心得ている。そういうバーテンダーがいるのは、間違いなく「いいBAR」だ。 高い酒ばかり勧めたがるマスターやバーテンダーがいるBARも問題だ。私が開店の案内状をもらって初めて訪れた店でのこと。「貴方のために用意しておきましたよ」と言われ、あるシングル・モルトを勧められたが、これが法外なお値段だったという経験もある(その店の扉はその後一度も開けていない)。 客にも懐(予算)というものがある。ましてや昨今のこの景気低迷で、酒代に使える可処分所得も年々減少している。そういうことに思いやらず、儲かりゃいいでは客に見放されるだけだ。こういうBARには出来る限り行かない方がいい。ただし、口コミなどで事前の情報がない限り、訪れてみないと分からない。「苦い経験も“授業料”の内」と思うしかない。 (9)BGMへのこだわり BARに合うBGMは、個人的にはやはり静かめのジャズやソウル、ロックでなおかつ、やや静かめの洋楽がベストだと思う。個人的には、ジャズならばピアノトリオや優しいヴォーカルものが一番好きだ。ロックやポップスでも騒々しくないものなら大丈夫。邦楽(J-Popや歌謡曲)はなぜかあまりBARの雰囲気にマッチしないと感じるのは、やはりBAR文化が西洋起源のものだからか。 マスターが音にうるさく、ミュージシャンにも詳しい方ならなおいい。私の馴染みのBARでは、「これ、****さんのきっと好きな感じのアーチストですよ」と先取りして教えてくれるバーテンダーもいる。欲を言えば、週に1~3回くらいは生演奏の聴けるスペースのあるBARというのが理想だ。残念ながら、ライブハウス以外でそういう店は関西にはあまりない。そんなライブBARをいつか自分で開けたらというのが、まさに究極の夢だが、こちらの方はさらにハードルは高そうだ(笑)。 (10)マナーのいい上質の客の割合が高いこと 「いいBAR」は店(マスターやバーテンダー)だけの努力ではつくれない。意外に思われるかもしれないが、「いいBAR」は「いい客」がいてこそ成り立つ。いくら優秀な、人柄のいいバーテンダーがいても、その店に集う客の質(マナー)が悪ければ、評判も落ちる。大声で騒いだり、周囲に関せずタバコを吹いたりする客の割合が多ければ、店の雰囲気も悪くなって、やがて客離れも起きるだろう。 では「いい客」が集うBARとなるためには、どうすればいいのか。繰り返しになるが、まず客側がBARのルールを覚え、良きマナー、エチケットを身に付けなければならない。と同時に店側も、客がBARでの良きマナーを身に付けるように育てなければならない。「この客は金払いがいいから」とマナーの悪さに目をつぶってはいけない。営業優先ではダメである。そういう意味では、BARのマスターは独裁者であっていい。 昔は頑固マスターがいて、マナーの悪い客をしかり、諭し、“教育”した。だから、そういう厳しいマスターのいるBARには、マナーのいい上質の客が多かった。そして、常連の客が新しい客を“教育する”ことで店のレベルもまた上がった。そういう好循環があった。繰り返し言うが、マナーのいい上質の客が多いBARは「いいBAR」である。 (11)店は広すぎず、狭すぎず たいしたことではないと思うかもしれないが、店の広さは大切な条件だ。オーセンティックBARは広すぎず、狭すぎずというのが丁度良い。広さで言えば、10坪(33平方m)~12坪(40平方m)くらいが一番落ち着く。10人までのカウンターがあって、テーブルが2つか3つ程度。マスターと従業員(バーテンダー)が1人か2人というのが理想だ。 これくらいの広さのBARなら、カウンターに座れば、どこにいてもマスターの顔が見え、目で会話もできる。話し声も大きくならずにすむ。客の間にも、適度な緊張感と親近感が生まれる。だから、店の広さは大事である。 ただし、10坪では音楽の生演奏(ライブ)は少し厳しい。ピアノとヴォーカルのデュオ・ライブくらいは楽しめるようなスペースを考えたら、15坪(50平方m)くらいあった方がいい。落ち着いたBARの雰囲気と生の音楽空間の両立はなかなか難しい。さて、私の開くBARはどちらに比重を置こうかな…。 (12)マスターやバーテンダーの人柄 最後の条件は、一番大切な条件かもしれない。最終的に、そのBARを好きになれるかどうか、そのBARが「いい」と思えるかどうかは、私の場合、やはりお店の方の「人柄」に負うところが大きい。「人柄」とは、言い換えれば「優しさ」「思いやり」「おもてなしの心」でもある。10年、20年と通い続ける行きつけのBARは、ほぼ例外なしにマスターやバーテンダーの「人柄がいい」店ばかりである。そうでなければ、とうの昔に縁を切っていただろう。 しかし一方で、「人柄」は万人に共通する条件ではない。BARのマスターには、接客・サービス業なのに、いわゆる「ひとくせ」ある方、偏屈な方、無愛想な方もなかにはいる。僕は苦手だが、「バーテンダーとしてプロの仕事をしてくれれば、人柄なんてたいした問題じゃない」と、そういうタイプのマスターが気にならない客も、実際にいる。 人柄がいいか良くないかは、マスターと客との「相性」のような部分も大きい。僕が、あるマスターに好感を抱いても、別の客はそうは思わないケースもある。「頑固が名物」で、かえって人気のあるBAR(マスター)だっている。そういう「ひとくせマスター」のいるBARでも、常連がいて、20年、30年とそこそこ繁盛し続けている例もある。そこがBARという空間の面白い部分でもある。 貴方がBARを選ぶ条件として、お店の方の「人柄」を重視するかどうかは貴方次第だ。私はそれでもやはり、「人柄がいい」マスター、バーテンダーがいるBARの方が好きだ。もし貴方が「人柄」を重視するなら、いろんなBARに出入りするなかで、貴方と相性の合う、「いい人柄だ」と思うマスター、バーテンダーを見つけていくことが大切だ。そういう人が見つかれば、そこが貴方にとっての「いいBAR」ということになる。 ◇ ◇ ◇ 美味しいカクテルが飲めても、珍しいレアな酒があっても、いくら内装に金をかけていても、BARとは結局のところ、「経営者(マスター)の全人格」を表すものでしかない。「12の条件すべてを満たす理想のバー」にはまだ出会っていない。しかし、いつか12の条件すべてを兼ね備えたBARと出会える日が来るに違いない。そんな夢を抱いて、私は今夜もバー巡りを続けている。【その17へ続く】【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/09
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その15:「いいBAR」の条件(2) (4)話術=トーク カクテルづくり等の技術は一流だが、物静かで寡黙なマスター、バーテンダーもいる(とくに首都圏に多いような気がする)。「おしゃべりなバーテンダーは格好悪い」「むやみに客に話しかけるべきではない」という業界関係者もいる。しかしうらんかんろは、トークの上手い、話していて楽しいマスターの方が断然好きで、評価する。 関西、とくに大阪では一般的に言って、物静かなマスターは好まれない。客もマスターにトーク(会話)を求める。自然と、マスターと客との「距離」が近いBARが多くなる(マスターに“いじられたい”客が多いのか?)。 漫才師の才能までは必要ないが、トークはやはりBARという接客業に携わる人にとっては必要不可欠だ。トークはとくに大阪のマスターやバーテンダーには必須科目だ。多少のボケやツッコミができないとやっていけない(厳しいねー)。 大阪では、トークが上手いマスターのいるBARはいつも賑わっている(例えば、北新地のBar・Kや天満橋のBar・Cadbollなど)。東京でも、銀座のBar保志のマスター、保志さんのようにトークのうまい方の店はいつも客で溢れている。トークの上手いお店にいると居心地が良くて、とても楽しい。だから、やはり「いいBAR」の条件としては欠かせない。 (5)内装などの店の雰囲気 店の雰囲気は、個人的には英国調=パブ調のウッディで、トラディショナルな内装の店が、うらんかんろの理想だ。「なぜ英国調が一番なのか」は感性の問題もあるが、やはり、BARは洋酒を飲む場所であることや、BAR=パブが持つ歴史の重みが大きい。洋酒を飲む場所の内装はやはり、英国調が一番合うと思う。 ライティングは温かい暖色系で、やや暗い店がベスト。しかし、振り返ってみると同じやや暗いライティングでも、モノトーンを基調にした店にも長年通い続けていることに気づいた。だから、そういう雰囲気の店も嫌いではない(マスターの人柄が良ければ、多少の雰囲気の違いは無視できることもあるということ)。 椅子はハイ・スツール(小さな背の付いた高い椅子)で、カウンターの端(客側手前)と足元に金属(真鍮)製のバーがあるBARがいい。高い椅子に座って、姿勢を正してながらゆったりと飲める。低い椅子のBARには馴染めない。ホテルのラウンジBARにあるような、座ると沈み込むようなソファ椅子は、街場のオーセンティクBARにはまったく合わないとまで思っている。この項に関しては極めて独断に満ちた、個人的な好みだけで書いているが、「いいBAR」の内装には、英国調でハイ・スツール、カウンターと足元に真鍮のバーがある――の3つが必須条件だ。 (6)酒やサービスに見合った料金 金には糸目をつけずいくらでも飲める一部のセレブならいざ知らず、普通のサラリーマンにとっては、これは大切な条件だ。大阪・北新地をみても、酒とサービスに見合った、良心的な料金のBARはいつも繁盛しているのは、当然かもしれない。 もっとも、何をもって「良心的」と言うのか、その客観的基準も難しい。ウイスキーなら一般的な小売り価格が分かるので、それが一つの目安となる(市価の4倍、5倍もの料金を取る店を「良心的」と言うのは難しいだろう)。カクテルをつくるのにどの程度手をかけているかも、一つの「目安」だろう。材料の仕入れ値も千差万別で、カクテルをつくる技術料的な部分は店側が決めるべきなので、基準があってないようなものだ(その4~5「注文の仕方」をご参照)。 例えば、ジン・トニックというシンプルなカクテル一つとってみても、1杯の材料費(ジン、氷、ライムまたはレモン、トニック・ウォーター)はせいぜい200~300円だろう。それを500円で売るパブもあれば、1500円で売るBARもある。材料費以外は、バーテンダーの技術料であり、BARが受け取る利益である。 500円のジン・トニックは(例外もあるが)所詮、500円程度の味わいしかないことが多いが、うらんかんろは、1500円を払ってでも飲みたい素晴らしいジン・トニックをつくる優秀なバーテンダーを知っている。しかし、「それが2000円でも飲みますか」と言われたら、NOだ。あるカクテルの価格には「それ相応」の基準も限度もある。 酒やサービスに見合った料金とは何かは、かように表現が難しい。要は、貴方がその料金に見合う「値打ち」があると思えば、そこは「いいBAR」だと思っていい。もちろん、それを的確な判断ができるためには年季=経験も要るので、その域に達するにはそれなりの時間と“授業料”も必要だが…。 言わずもがなだが、「安かろう、悪かろう」は困る。くれぐれも「安いこと=良心的、サービスがいい」ではないことだけは肝に銘じたい。非日常空間で美味しい酒を味わうためにBARに行くのだから、「旨いモルトや極上のカクテルには、それなりの対価が必要」ということも貴方は知らなければならない。 (7)フードに求められるもの BARには本格的なフードは要らない。お酒を楽しむ場所だから、基本は「かわきもの」程度でいいと思う。空腹はBARに行く前に満たしておくべきだろう。しかし、ささやかでもいいが、小腹がすいたとき満たしてくれる、簡単で美味しく、温かい料理があればとても嬉しい。贅沢は言わないが、カツサンドや簡単なパスタ、ピンチョス(バゲットの上にいろんなフードを乗せて一口で食べる品)のようなメニューがあるような店はとても有り難い。 さらに、付き出しひとつとっても毎回とても工夫が凝らしてあったり、「かわきもの」ひとつとっても、メニューにセンスが感じられるようなBARがいい。いつ行っても同じ付き出しという芸のない店もあれば、ナッツひとつとっても、いろんな国や地域のさまざまなナッツを取り寄せたりという研究熱心な店もある。後者の方が「いいBAR」であることは言うまでもない。【その16へ続く】【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/07
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その14:「いいBAR」の条件(1) さて、長々と書いてきた「BAR入門講座」も終盤に差しかかってきた。この辺りで私の考える「いいBAR」の条件というのをもう一度整理しておくと、以下の12の条件に行き着く(紹介する順序にとくに意図はなく、重要度という意味でもない。どれを重要と考えるかは人それぞれで違ってくる→※以前の日記=08年12月29日の日記「Barカドボール」=でもこのテーマに少し触れたので、少し重複する部分もあるが、お許し願いたい)。 (1)カクテル等の酒づくりの技術に優れている (2)接客・サービスのレベルが高い (3)酒の品揃えが充実し、マスターら店の方の知識も豊富 (4)マスターら店の方のトーク(話術)が長けている (5)内装や椅子、照明など店の雰囲気がいい (6)酒やサービスに見合った明朗な料金である (7)美味しいフードがそこそこある (8)商魂見え見えの経営方針ではない (9)心地よいBGMが流れている(時にはライブもある) (10)そのBARに集う客の質がいい (11)広すぎず・狭すぎず・清潔感もある (12)マスターら店の方の人柄がいい (1)カクテル等の酒づくりの技術 一般的に言って、「オーセンティックBAR」を名乗る店なら、美味しいカクテルやウイスキーは飲めるに違いない。ベテラン・バーテンダーやコンクールで優秀な成績をおさめたバーテンダーのいるオーセンティックBARなら、なおさら期待を裏切らないカクテルをつくってくれるだろう。 しかし、老舗BARと言っても、普段はビールとウイスキー(水割りかハイボール)しか出していない店の場合、カクテルを頼むと、がっかりということも珍しくない。いくら長年BAR経営に携わってきたとしても、普段シェイカーなど振っていなければ期待するのが無理であろう。 どのマスターにもバーテンダーにも得意の分野(カクテル)がある。ハイボールをつくれば絶品という方もいれば、マティーニは誰にも負けないほど素晴らしい方もいる。フルーツ・カクテルの名手がいれば、ボストン・シェイカー(片方がガラス製になったシェイカー)という扱いが少し難しいシェイカーの名人もいる。創作カクテルも日々新しいものが生まれている。だからカクテルを得意とするBARでも、その店のバーテンダーがすべてのカクテルに長(た)けている訳ではない。 もちろん、熱心なバーテンダーは、たとえコンクールで1位をとっても、さらに上を目指して生涯研鑽を積んでいる。そういう姿勢が見られるマスターやバーテンダーがいる店なら、まず間違いなく「いいBAR」だ(30~40代のオーナー・バーテンダーがいるBARにはそういう店が多い)。ただし、そのカクテルが美味しいかどうかを決めるのは、最終的には客である貴方自身。そのためにも舌も含めた五感を普段から十分養っておくことも大切だ。 (2)接客・サービスのレベル 接客・サービスなんて、飲食・サービス業であれば当然のこと。それに物足りないBARがあるから、こういう条件を挙げなければならない。基本的なことだが、言葉遣いも含めて、接客がぞんざいな店には二度と行きたいとは思わない。客のいる目の前で断りなくタバコに火を付けたり、大声で喋るグループ客や店内で携帯を平気で使う客にすぐ注意をしないマスターは論外だが、それだけではない。 私は、かつてBAR業界のコンクールで優秀な成績をおさめたバーテンダーが店長をつとめるBARに友人と一緒に訪ねた。店はほぼ満員の繁盛ぶりだった。そして僕らはマティーニを頼んだ。すると、驚いたことにそのバーテンダーは、ミキシング・グラスで材料をステアしてできたマティーニを、常温のグラスに注いだのだ。普通のオーセンティックBARでは、冷蔵庫で直前まで冷やしたグラスに注ぐか、グラスに氷を数個入れて回してグラスを冷やしてからマティーニを注ぐ。 しかし、彼はただ漫然と常温のグラスに注いだ。マティーニはみるみるうちにぬるくなり、美味しさを失ったことは言うまでもない。いくら忙しいとは言え、これは手抜き以外の何ものでもない。このバーテンダーはカクテルづくりの技術は立派でも、「本当のサービスとは何か」を知らなかったのである。 最高の接客・サービスとは、どういうものを言うのか。ただ丁寧な言葉遣いで客に話しかけることではない。会計を割り引いてくれるのがサービスでもない。客にコートを着せてくれたり、トイレから帰ってくるたびに新しいおしぼりが出すなんてどうでもいい。「当たり前のことを普通にやってくれる」のが僕は一番嬉しい(上記のマティーニづくりも然り)。そして抽象的な表現で申し訳ないけれど、「かゆいところに手の届く」「目と目でお互いの心が伝わる」ような接客・サービスが一番いい。 例えば、モルト・ウイスキーをストレートやロックで飲んでいる時、チェイサーの水がなくなったら、すぐに足してくれる。客の顔色を見て、話したがっていそうだったら、良き話し相手になってくれる(逆に放っておいてほしそうだったら、そっと独りにしておいてくれる)。お代わりを頼みたがっている客がいないかどうか、常に店全体に目配りしている。そして、他の客がいない時にはとっておきの話(情報)を聞かせてくれる。そういう接客・サービスがバーテンダー全員にきちんと躾られている店こそが、うらんかんろは最高の接客・サービスができる店だと信じている。 (3)酒類の品揃えや知識 酒の知識に関して言えば、普通、「オーセンティックBAR」と名乗るプロのマスターなら、一般的な知識は素人よりも豊富だろうから、まず心配ない。最低限の知識さえ持っていてくれればそれでいいと、うらんかんろは思っている。プロであれば、この「入門講座」の「その5:お酒の基礎知識」で書いた内容の何倍もの知識を持っている。 最近では、プロも顔負けの素人客がいる。僕も驚くような凄い「モルト・マニア」もいる。だから、プロがごく一部しか知らない、マニアックな知識を知らなかったとしても、まったく恥ずべきことではない。たとえ、私の知っているカクテルの名前やレシピを、その店のバーテンダーが知らなかったとしても、不思議ではない。以前、広島県の福山でお土産に買ってきた「保命酒」=08年4月28日の日記参照=(ペリーが飲んだ最初の日本の酒)なんて、ほとんどのマスター、バーテンダーは知らなかったが、そんな小さなことでプロを軽蔑しては絶対にいけない。 要は、そのBARやマスター、バーテンダーに、どこまで「理想」を求めるのか、だ。モルト・ウイスキーの場合、欲を言えばキリがない。強いて個人的に基準を挙げれば、シングルモルトのオフィシャル・ボトル(蒸留所販売の正規ルート品)なら少なくとも40銘柄くらいは、ボトラーズ(独立系販売業者)のボトルなら、20銘柄くらいは置いてほしい。ボトラーズのボトルの種類の多さを売りにしているBARもあるが、うらんかんろは、数(種類)よりも、どういう銘柄を置いているかや、客が飲みやすい値段設定のボトルを選んでいるか等、店主のセンスの方が大切だと思う。 四大ホワイト・スピリッツ(ジン、ウオッカ、ラム、テキーラ)やブランデーはカクテルのベースにぜひものだ。ワインは赤、白、シェリーは各数種類ずつは欲しい。他にも欲を言えば、スパークリング・ワインや日本酒、焼酎も少しは置いてほしい。カクテルも一応、スタンダードと言われるカクテルの7~8割はつくれる材料(リキュール等)は揃えておいてほしい。かつて日記=07年2月25日の日記=で書いたような、基本的なリキュールすら置いていないBARではちょっと困る。【その15へ続く】【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/05
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その13:出会いがあれば“別れ”もある ◆“別れる”理由 気に入って行きつけとなったBARとは、長い歳月をかけて大切に付き合う方だ。あまり“浮気”はしない。長い店だと30年余も通っている。だが、ひと頃よく通っていたのに、何かのきっかけでそのBARへ足が遠のいて、最終的には「縁」が切れてしまうことがある。私の場合も、さまざまな理由で、いくつかのBARとは縁が切れた。 例えば、当初はサラリーマンの懐でも行きやすいBARだったのに、その後、チャージが普通のBARとはケタ違いに高くなってしまったような店。そこの店のカクテルがいかに美味しくても、いかに雰囲気の良い店でも、残念ながら、僕には遠い存在だし、あまり行きたいとは思わない。 他にも特定のBARと“別れた”理由は、不明朗な会計の店/サービスを伴わない意味不明のチャージ・サービス料を取る/常連とそうでない客との差別的な接客/付き出しの工夫のなさ(何年経っても毎回同じ)/口の軽さ(他の客にすぐしゃべる)/トークの面白無さ(成長が見られないこと。真面目一徹はいただけない)などいろいろある。 このような店とは残念だけれど、ある時点で「縁」を切った。こちらの懐にも限界がある。うわべだけの義理でいつまでも付き合う時間も、もったいない。払った金に見合うものがなければ、別れるしかない。 ◆疎遠になる理由 「別れる」とまではいかないが、疎遠になることもある。20年近く通う、何軒かの馴染みのBARには従業員であるバーテンダーが何人もいて、そういう方々は何年かの厳しい修業の後、独立して自分のお店を持たれる。それはそれで個人的にもとても嬉しいことなので、独立の際にはもちろん、お祝いを持ってお邪魔する。 しかし、その後もずっとその新しい店に通い続けるかどうかは分からない。私の残りの人生の時間にも、懐にも限度はある。1カ月にBARに行ける回数等を考えると、今後も付き合っていくBARの数は自ずと限られる。新しく出来た店とのお付き合いも大切だが、やはり、20年、30年と通い続けてきた馴染みのBARとの付き合いや、マスターとの人間関係を僕は守っていきたいと思っている。 だから、新しいBARとはだんだん疎遠になることが多い。それはそれでやむを得ないし、店側に理解してもらうしかない。むしろ、新しいお店のマスターには、プロフェッショナルとして、これから20年、30年とそのBARへ通い続けてくれる、新たな常連客をつくる努力をしてほしい。 独立するというバーテンダーには、うらんかんろはよくこう言う。「BARの数も昔と比べると格段に増えている。それに対して客の数はそう増えていないし、客が使える予算も減っている。だから、客に選ばれるためには自分の店のウリが必要だよ」と。しばらくして再びそのBARを訪れた時、若きマスターがその「ウリ」を見つけ出していたら、嬉しくなって、機会があれば再訪してあげたいという気になる。 マスターが嫌で新しい、若いBARと疎遠になる訳ではまったくない。むしろその後もずっと気にかけているくらいだ。しかし、義理堅さだけではもはや“等距離外交”は難しい。残りの人生を考えると、私はおそらくは、新しく生まれるBARの常連とはなり得ないと思う。 ◆クレームをつける時の覚悟 訪れたBARの客への接客・サービスや料金等で、万一、貴方が「無礼だ」「目に余る」「おかしい」ということがあれば、その場で堂々と、かつ紳士的にクレームをつければいい。その場で言わずに、後で言っても店側とかえってトラブルことが多い。 また、私の経験を振り返っても、言うべきことをその場で言わないと、結局後で後悔するというパターンが多かった(だから、やはり今言わねばならないということは、必ず言うことにしている)。 クレーム言うときは、その店の扉を「二度と開けないくらいの覚悟」も要る。まっとうな対応をしてくれたとしても、やっぱり気まずくなってつい足が遠のき、そのうちまったく行かなくなるということも少なくない。ただ、クレームを付けられて、店側が初めて気付くことだってある。マスターが従業員であるバーテンダーの振る舞いに気が付かないということだって、ある。 ◆客に見放された店はいずれ淘汰される 紳士的に問題点を指摘すれば、普通の店ではまっとうな対応をしてくれるはずだ。私の場合、「あの時言ってくださって、本当に良かったです。言ってくださらなければ永遠に気が付かないままでした」と感謝されることもあった(その店とは20年後の今も、良好な関係が続いている)。 まっとうな対応をしないBARであれば、そういう店は見限ればいい。最近は客のレベルも上がってきている。ネットを通じた口コミも充実している。そういう店はネットに評判を書かれて、そういう事実が伝わり、いずれ客(大衆)に見放されるだけだ。店には客を教育する責任があると同様に、客にも店のことを思い、言うべきことを言ってあげる必要がある。うらんかんろは、指摘すべきはきちんと指摘して、「いいBAR」を育てることが大切だと信じている。【その14へ続く】【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/03
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その12:会計について ◆座っている席で支払う場合が多い 日本国内のオーセンティックBARでは、カウンターやテーブルなど貴方が座っている席でチェック(=会計)をして支払い、席を立つという店が最近は多数派になってきた。だが一方、現在でも、カジュアルなBARなどを中心に、レジで支払うというスタイルの店もなお少なからず存在する。席で支払うか、レジで支払うかの比率は、7:3か、8:2くらいだろうか…。 欧米では、オーセンティックBARが街場にほとんどなく(大衆的なパブは多いが)、BARはホテルに併設されていることが多い。会計スタイルは、BARでもパブでも、請求書の総額に10~15%のチップを加えた金額をテーブルの上に置いて、席を立つという方式が多い。ただし欧米のパブや一部のホテルBARでは、注文するたびに支払う「キャッシュ・オン・デリバリー」(COD)というシステムをとっている店(結構格式ある店でも!)も多いので、要注意だ。なお、「COD」のパブでは基本的にチップは不要だが、気持ちだけを置いても断られることはない。 日本のBARで、席かレジかどちらで支払うのかが分からない場合、「お支払いはどちらで?」と店側に尋ねてみてもいいが、普通は聞くまでもない。周りの(常連客らしき)客がどのように支払うかを観察すればいい(周囲の観察は外国でも役立つ!)。なお日本でも、アイリッシュ・パブ、イングリッシュ・パブを銘打っている店では「COD」方式が主流だ。 ◆支払いはスマートに お勘定を頼むときは、タイミングを見計らいたい。マスターやバーテンダーさんが忙しくしていれば、少し待ってあげるくらいの余裕や優しさがほしい。店内が騒々しくて声が届きにきければ、タイミングをうまく見つけて、目が合った時に左右の指で×印を作って見せればいい。 支払いは紳士らしくスマートにいきたい。笑顔で「きょうはご馳走様でした!」と感謝の言葉もひとこと添えたい。貴方がバーテンダーから紹介してもらったBARや、貴方がこの「うらんかんろの日記」を参考にして選んだ「いいBAR」のほとんどは、明朗会計のはずだ。 貴方が見せられる勘定書は日本の場合、明細を明記してある場合と、総額を書いた切れ端だけという場合の2通りある。いずれの場合も「チャージ」や「サービス料」といった料金が含まれることが多い(もちろん、チャージやサービス料を一切とらない店もある)。もし万一、貴方が「チャージ」や「サービス料」に不可解、不愉快な思いを抱いたとしても、それは店の経営方針だから仕方がない(この問題は別の機会に考えたい)。 もちろん明らかに不明朗な会計だったり、法外な請求だったりした場合は、紳士的にクレーム言うのは構わない。ただし、警察に駆け込んでも「民事不介入」ということで何もしてくれないし、お金が返ってくることは、まずない。 ◆チャージ、サービス料について 「チャージ」は国際的にも日本だけの独特の料金システムで、一種の「サービス料」「席料」のようなものと言われるが、その定義・解釈はBARの数だけあると言ってもいい。日本では「チャージ」を取るBARが多数派である。 サービスに自信があるなら、はっきりと「サービス料」と名乗って取ればいいが、「チャージ」という定義・解釈の曖昧な言葉を使うのは、ある種の後ろめたさなのかもしれない。もちろん、「ノー・チャージ」をうたい文句にしているBARも結構あるし、「チャージ」を取らないBARのサービスが悪いということでは断じてない。 BAR好きの酒呑みの中には、うらんかんろも含めてチャージを「不可解な料金」と思っている人も多いだろう。しかし、それが世のオーセンティックBARの多数派である以上、また1杯で長時間席を独占して粘るような、マナー知らずの輩(やから)がBARからなくならない以上、「席料」という意味でのチャージ料金がなくならないのはやむを得ない(私はもし自分でBARを開く場合には、「チャージ」という曖昧な言葉は使わずに、はっきりと「サービス料」と明示し、その料金も200~300円程度にするつもりだが…)。 なお、チャージをとるBARでは普通、おしぼりが出て、1品くらいの「付き出し(おつまみ)」が付く。しかし時たま、チャージやサービス料をとりながら、おしぼりもなく、付きだし(1品)もまったく出ないというBARに出会うことがある。この店にとってのサービス料とは一体何の対価なのか、ただあきれるしかない。貴方がこういう店に出会ったら、2度と行かない方がいい。不明朗会計でなおかつ低サービスのBARは、客側が排除していくのが業界全体のためにもなるだろう。 ◆チャージは1000円以下のBARを選ぼう もし貴方がBARを選ぶなら、チャージは原則として1000円以下(できれば500円以下が望ましい)の店をお勧めする。チャージを1500円以上取る店もあるが、そういうBARでは、「サービス料」という名目で別途、総額の10~20%の料金を併せて取る店が多い。チャージを取りながら、サービス料も取る。では、「チャージっていったい何に対する対価なのか」「サービス料の2重取りではないか」という批判的な声もよく聞く。 残念ながら日本では、誰が発案したのか知らないが、こういう不可解な商慣習が一部でまかり通っている。だから在日外国人たちはオーセンティックBARよりもノー・チャージのパブに行きたがる。そういう高額のチャージやサービス料を取る店が「いいBAR」であったためしは個人的にはほとんどない(店側から「セレブな気分」にさせられ喜んでいる一部の評論家たちや雑誌は、そんな店を「いいBARだ」と持ち上げているが、本当に酒呑みを愛しているBARはそういう経営方針はしない)。 だがこういう疑問や批判を、消費者(客)側からBAR業界の団体に投げかけても、まともに取り合ってくれることはまずないだろう(「個々の店の経営方針には立ち入りません」と言われるのがオチだ)。1人の客として、店を選別していくしかない。 もし、ガイドブック等で良さそうなBARを見つけても、1000円を超すチャージ料のほかにサービス料までも取るような店なら、初心者の貴方は行かない方が賢明だ。いずれにしても、「チャージ」という不明朗な料金システムが存在している限り、日本のBARはいつまで経っても「国際的なスタンダード」にはなれない。それは、私も含め日本のBAR業界の発展を願っている多くの愛好家たちにとっても、とても残念なことだ(「チャージ」の問題については、06年12月2日の日記で詳しく考察しています。ご参照を)。 ◆明朗会計の店かどうかを見分ける 繰り返しになるが、日本のBARの場合、会計の際なぜか勘定書明細は見せずに「合計金額が記された切れ端」しか客に見せないところが多い。そういう店はほとんどの場合、チャージが加算されている。勘定書明細を客に見せない理由については、「明朗会計だという信頼関係が客との間にあるので明細まで見せることはない」という暗黙の了解が浸透してきたからと言われるが、そういうルール(暗黙の了解)をいつ誰が決めたかは知らない。 私は、会計の公正さに曇りがないのなら、勘定明細を見せる・見せないという些細(ささい)なことは問題にしない。長年通い慣れた馴染みのBARなら信頼があるので、今さら明細を問う必要もない。しかし残念ながら極めてまれに、「(明細を)見せてください」と求めて確認してみたら(=客には当然の法的権利)、不可解な加算を見つけることがある。 個人的経験では、チャージ、サービス料とは別に、「チャーム」というまるでスナックのような料金を加算していたり、ウイスキーの水割りを頼んだら、水(ミネラル)代は別料金で付いていたりしたこともあった。不可解、不明朗な料金請求には、その場できちんとクレームをつけることが大切だ。クレームを付けてもまぁ、「うちはこういう店なんです」と開き直られるのがオチだが、言うべきことは言わねばならない。 そして、貴方がおかしいと思えば、そういう店には2度と行かなければいい。そういう店だということを口コミで教えてあげればいい。「1人の客を失えば10人の客を失うことになる」とあるマスターが言っていたが、まさにその通りだろう。そういう不明朗、不可解なことをする店は、遅かれ早かれ客から見放され、淘汰されると僕は信じている。【その13へ続く】【おことわり】写真は本文内容とは直接関係ありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/02/01
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