Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2009/02/09
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カテゴリ: 今宵も、BARへ…
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その16:「いいBAR」の条件(3)

(8)商魂見え見えの店はやめる
 客のグラスが空になっていたら、「ただちに『おかわりはいかがいたしましょう?』と聞きなさい」とマニュアル化しているBARもあると聞いたことがある。真偽の程は分からないが、それに近い教育を従業員にしているBARは確かにある。これは、1杯だけで長時間粘る客に対して、「飲まないんだったら、早く席を空けてくれ」というプレッシャーをかける意味合いもある。

 客にたくさん酒を飲んでもらいたいという気持ちは分かる。しかし、グラスが空き次第、すぐに前にやって来て「次は何にいたしましょうか?」と聞くのは、あまりにも商魂見え見えでいただけない。飲み終わった後の余韻に浸り、次は何を飲もうかなぁと考える余裕も与えてくれないのでは、居心地が悪くてくつろげない。At the Bar28

 貴方が何軒ものBAR遍歴を重ねていくと、お代わりを尋ねるタイミングが上手な店が分かってくる。飲み終えてほっと一息ついて、「さぁ、次は…」と心の中でつぶやいた時、さっと前にやって来る。よく躾られたバーテンダーは絶妙なタイミングを心得ている。そういうバーテンダーがいるのは、間違いなく「いいBAR」だ。

 高い酒ばかり勧めたがるマスターやバーテンダーがいるBARも問題だ。私が開店の案内状をもらって初めて訪れた店でのこと。「貴方のために用意しておきましたよ」と言われ、あるシングル・モルトを勧められたが、これが法外なお値段だったという経験もある(その店の扉はその後一度も開けていない)。

 客にも懐(予算)というものがある。ましてや昨今のこの景気低迷で、酒代に使える可処分所得も年々減少している。そういうことに思いやらず、儲かりゃいいでは客に見放されるだけだ。こういうBARには出来る限り行かない方がいい。ただし、口コミなどで事前の情報がない限り、訪れてみないと分からない。「苦い経験も“授業料”の内」と思うしかない。

(9)BGMへのこだわり
 BARに合うBGMは、個人的にはやはり静かめのジャズやソウル、ロックでなおかつ、やや静かめの洋楽がベストだと思う。個人的には、ジャズならばピアノトリオや優しいヴォーカルものが一番好きだ。ロックやポップスでも騒々しくないものなら大丈夫。邦楽(J-Popや歌謡曲)はなぜかあまりBARの雰囲気にマッチしないと感じるのは、やはりBAR文化が西洋起源のものだからか。

 マスターが音にうるさく、ミュージシャンにも詳しい方ならなおいい。私の馴染みのBARでは、「これ、****さんのきっと好きな感じのアーチストですよ」と先取りして教えてくれるバーテンダーもいる。欲を言えば、週に1~3回くらいは生演奏の聴けるスペースのあるBARというのが理想だ。残念ながら、ライブハウス以外でそういう店は関西にはあまりない。そんなライブBARをいつか自分で開けたらというのが、まさに究極の夢だが、こちらの方はさらにハードルは高そうだ(笑)。

(10)マナーのいい上質の客の割合が高いこと
 「いいBAR」は店(マスターやバーテンダー)だけの努力ではつくれない。意外に思われるかもしれないが、「いいBAR」は「いい客」がいてこそ成り立つ。いくら優秀な、人柄のいいバーテンダーがいても、At the Bar26その店に集う客の質(マナー)が悪ければ、評判も落ちる。大声で騒いだり、周囲に関せずタバコを吹いたりする客の割合が多ければ、店の雰囲気も悪くなって、やがて客離れも起きるだろう。

 では「いい客」が集うBARとなるためには、どうすればいいのか。繰り返しになるが、まず客側がBARのルールを覚え、良きマナー、エチケットを身に付けなければならない。と同時に店側も、客がBARでの良きマナーを身に付けるように育てなければならない。「この客は金払いがいいから」とマナーの悪さに目をつぶってはいけない。営業優先ではダメである。そういう意味では、BARのマスターは独裁者であっていい。

 昔は頑固マスターがいて、マナーの悪い客をしかり、諭し、“教育”した。だから、そういう厳しいマスターのいるBARには、マナーのいい上質の客が多かった。そして、常連の客が新しい客を“教育する”ことで店のレベルもまた上がった。そういう好循環があった。繰り返し言うが、マナーのいい上質の客が多いBARは「いいBAR」である。

(11)店は広すぎず、狭すぎず
 たいしたことではないと思うかもしれないが、店の広さは大切な条件だ。オーセンティックBARは広すぎず、狭すぎずというのが丁度良い。広さで言えば、10坪(33平方m)~12坪(40平方m)くらいが一番落ち着く。10人までのカウンターがあって、テーブルが2つか3つ程度。マスターと従業員(バーテンダー)が1人か2人というのが理想だ。

 これくらいの広さのBARなら、カウンターに座れば、どこにいてもマスターの顔が見え、目で会話もできる。話し声も大きくならずにすむ。客の間にも、適度な緊張感と親近感が生まれる。だから、店の広さは大事である。

 ただし、10坪では音楽の生演奏(ライブ)は少し厳しい。ピアノとヴォーカルのデュオ・ライブくらいは楽しめるようなスペースを考えたら、15坪(50平方m)くらいあった方がいい。落ち着いたBARの雰囲気と生の音楽空間の両立はなかなか難しい。さて、私の開くBARはどちらに比重を置こうかな…。

(12)マスターやバーテンダーの人柄
 最後の条件は、一番大切な条件かもしれない。最終的に、そのBARを好きになれるかどうか、そのBARが「いい」と思えるかどうかは、私の場合、やはりお店の方の「人柄」に負うところが大きい。「人柄」とは、言い換えれば「優しさ」「思いやり」「おもてなしの心」でもある。10年、20年と通い続ける行きつけのBARは、ほぼ例外なしにマスターやバーテンダーの「人柄がいい」店ばかりである。そうでなければ、とうの昔に縁を切っていただろう。At the Bar27

 しかし一方で、「人柄」は万人に共通する条件ではない。BARのマスターには、接客・サービス業なのに、いわゆる「ひとくせ」ある方、偏屈な方、無愛想な方もなかにはいる。僕は苦手だが、「バーテンダーとしてプロの仕事をしてくれれば、人柄なんてたいした問題じゃない」と、そういうタイプのマスターが気にならない客も、実際にいる。

 人柄がいいか良くないかは、マスターと客との「相性」のような部分も大きい。僕が、あるマスターに好感を抱いても、別の客はそうは思わないケースもある。「頑固が名物」で、かえって人気のあるBAR(マスター)だっている。そういう「ひとくせマスター」のいるBARでも、常連がいて、20年、30年とそこそこ繁盛し続けている例もある。そこがBARという空間の面白い部分でもある。

 貴方がBARを選ぶ条件として、お店の方の「人柄」を重視するかどうかは貴方次第だ。私はそれでもやはり、「人柄がいい」マスター、バーテンダーがいるBARの方が好きだ。もし貴方が「人柄」を重視するなら、いろんなBARに出入りするなかで、貴方と相性の合う、「いい人柄だ」と思うマスター、バーテンダーを見つけていくことが大切だ。そういう人が見つかれば、そこが貴方にとっての「いいBAR」ということになる。

◇        ◇         ◇

 美味しいカクテルが飲めても、珍しいレアな酒があっても、いくら内装に金をかけていても、BARとは結局のところ、「経営者(マスター)の全人格」を表すものでしかない。「12の条件すべてを満たす理想のバー」にはまだ出会っていない。しかし、いつか12の条件すべてを兼ね備えたBARと出会える日が来るに違いない。そんな夢を抱いて、私は今夜もバー巡りを続けている。

【その17へ続く】

【おことわり】 写真は本文内容とは直接関係ありません。



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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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