Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2016/11/09
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2.アラスカ (Alaska)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 ステアまたはシェイク ※シャルトリューズは130種の薬草からつくるフランス産のハーブ・リキュール。イエロー(アルコール度数40度)とグリーン(同55度)の2種がある。

 誕生の経緯や名前の由来等は定かでないカクテルです。欧米の文献では、1919年に英国で出版されたハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)のカクテルブック「ABC of Mixing Cocktails」に初めて紹介されています。従って、少なくとも1910年代の欧州のバーでは、ある程度認知されていたカクテルだったことは間違いありません。

 作者について従来、国内外のカクテルブック等では、「ロンドンのサヴォイホテルのバーテンダーとなったハリー・クラドック(Harry Craddock)が考案した」と紹介している文献もありましたが、クラドックが米国から帰英し、サヴォイホテルで働き始めたのは1920年です。欧州では1910年代すでに「アラスカ」はお目見えしていたことからも、「クラドック考案説」にはいささか無理があります。

 何よりも、帰英から10年後の1930年にクラドックが出版した「サヴォイ・カクテルブック」で彼自身が、「アラスカ」について「エスキモーたちの日常的な飲物ではなく、(自分以外の誰かによって)米サウス・カロナイナ州で考案されたもの」と記しているのです(しかし、残念ながらその「誰か」については触れていません)。

 「カクテル ホントのうんちく話」(2008年刊)で著者の石垣憲一氏は、この「誰か」については、「かつてサウス・カロライナで働いていたジェリー・トーマス(初の体系的カクテルブックを著し、「カクテルの父」とも称される)が考案し、それがゴールドラッシュ時代(1848年~)のニューヨークのホテル・バーに伝わり、アラスカも金鉱掘り目当ての人間の行き先だったことから、黄金色したこのカクテルが『アラスカ』という名で広まったのではないか」という説(推論)を打ち出しています。

 アラスカは、1867年に米国がロシアから購入するまではロシア領でした。そしてアラスカでのゴールドラッシュが始まったのは、カリフォルニアからは少し遅れて1880年代と言われています。ジェリー・トーマスは80年代前半はまだ存命中(1885年死去)だったので、トーマスが考案したという可能性はなくはありません。しかしそれならそうで、マッケルホーンの本以前に、米国内で出版された数々のカクテルブックにこのカクテルが登場していてもおかしくはないのですが、調べた限りではそうした例は確認されていません。

 日本には、1926年に出版されたカクテルブックに紹介されていることから、20年代前半までには伝わっていたようですが、アルコール度数が結構高いのに加えて、薬草系の独特のクセのある香りもあって、今日に至っても、国内のバーではさほど人気のあるカクテルとは言えません。

 日本のカクテルブックではしばしば、イエロー・シャルトリューズをグリーンに替えると、「グリーン・アラスカ」というカクテルになると紹介されていますが、この名のシャルトリューズ・カクテルが存在するのは日本だけです(海外のカクテルブックには見当たりません)。なお、欧米ではまったく別レシピの「グリーン・アラスカ」が見られます。そのレシピは「ウオッカ(40)、ミント・リキュール(20)、マラスキーノ・ベリー(1個)をグラスの底に沈める」というものです(出典:absolutdrinks.com)。

【確認できる日本初出資料】 「カクテル製法秘訣」(中田政三著、1926年刊)。レシピは、ドライ・ジン3分の2、イエロー・シャルトリューズ3分の1となっています。



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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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