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3.アレクザンダー

【現代の標準的なレシピ】 (単位はml) ブランデー(40)、クレーム・ド・カカオ(15)、生クリーム(15)、ナツメグ・パウダー 【スタイル】 シェイク

 アレクザンダーと言えば、クラシック・カクテルの代表的存在です。ハリー・マッケルホーンの名著「ABC of Mixing Cocktails」(1919年刊)や「サヴォイ・カクテルブック(The Savoy Cocktail Book)」(ハリー・クラドック著、1930年刊)にも、当然その名が見えます。考案者の名前は伝わっていません。

 考案の時期については、1863年、英皇太子エドワード(後の国王エドワード7世)とデンマークのアレクサンドラ王女の結婚式に捧げられたという説が有名でしたが、近年の研究では、当時は生クリームやクレーム・ド・カカオはカクテルの一般的な材料でなかったこともあり、この説には疑問の声が出ています。

 石垣憲一氏の著書「カクテル ホントのうんちく話」(2008年刊)によれば、近年では、もう一つの説である「1901年のエドワード7世の即位式か、1902年のアレクサンドラ王妃の戴冠式の際に献上された」という方が、より信憑性があるということです(考案者は英国のバーテンダーでしょうが、名前は伝わっていません)。なお、当初は「アレクサンドラ」と呼ばれていたが、いつの間にか「アレクザンダー」という男性名に変化したという逸話も伝わっています。

 欧米の文献で「アレクザンダー」が初めて登場するのは、冒頭でも紹介した1919年刊の「ABC of Mixing Cocktails」です。「アレクザンダー」は、当初はジン・ベースのものが一般的だったと伝わっていますが、「ABC of …」ではなぜかブランデー・ベースです(レシピはブランデー3分の1、クレーム・ド・カカオ3分の1、生クリーム3分の1です)。マッケルホーンがブランデー・ベースを採用した理由はよくわかりません(今後の研究課題です)。

 ブランデー・ベースの「アレクザンダー」は欧州を中心に発展したのに対し、米国ではなぜか、(当初は)ジン・ベースのものが主流となりました。禁酒法以前から飲まれていたという記録もありますが、米国のカクテルブックに登場するのは、1935年刊の「ウォルドルフ・アストリア・バーブック」が初めてです。

 禁酒法が廃止された1934年以降も、米国では40年代末までに出版されたカクテルブックでは、ジン・ベースのものがほとんどで、今日でも、ジン・ベースの「アレクザンダー」はよく飲まれています。

 なお「サヴォイ・カクテルブック」では、ブランデー・ベースとジン・ベースの「アレクザンダー」が並列的に紹介されています。これは英国生まれのハリー・クラドックが長く米国でバーテンダーの仕事をしたことも影響していると考えられています。

 ご参考までに、1930年代に出版された欧米の代表的なカクテルブックでのレシピを、少し詳しくみてみると――。

 ・「The Artistry Of Mixing Drinks」(フランク・マイヤー著 1934年刊)仏
   ジン2分の1、クレーム・ド・カカオ4分の1、生クリーム4分の1
         ※「アレクサンドラ」という初期の名前で収録されている
 ・「The Old Waldolf-Astoria Bar Book」(A.S.クロケット著 1935年刊)米
   ジン3分の1、クレーム・ド・カカオ3分の1、生クリーム3分の1
 ・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年刊)米
   No1. ジン3分の1、クレーム・ド・カカオ3分の1、生クリーム3分の1
   No2. ブランデー3分の1、クレーム・ド・カカオ3分の1、生クリーム3分の1
 ・「Café Royal Cocktail Book」(W.J.ターリング著 1937年刊)英
   ジン3分の1、クレーム・ド・カカオ3分の1、生クリーム3分の1

 ブランデー・ベースの「アレクザンダー」は1950年代頃まで米国内ではあまりポピュラーではありませんでしたが、1962年公開の映画「酒とバラの日々」で、小道具として使われたことから、一気にブレイクしました(出典:欧米の複数の専門サイト)。

 余談ですが、「ABC of …」では、「アレクザンダー」のベースをジンに換えただけのカクテルを「プリンセス・メアリー」という名で収録しています。そしてマッケルホーン自ら、「1922年2月、メアリー王女のラセル卿(Lord Lascelles)との結婚を祝って私自身が考案した」とわざわざ記しています。

 まったく同じレシピの「プリンセス・メアリー」は、「サヴォイ・カクテルブック」や「カフェ・ロイヤル・カクテルブック」(1937年刊)にも登場しますが、「サヴォイ…」では、ジンの割合を2分の1にすれば「アレクザンダーNo1」、3分の1なら「プリンセス・メアリー」とジンの割合の違いで名前を変えているのが何とも奇妙なところです。

 また、「アレクザンダーズ・シスター」というカクテルも知られていますが、こちらは「ジン、クレーム・ド・マント(ミント・リキュール)、生クリーム」がレシピ(出典:サヴォイ・カクテルブック)で、「プリンセス・メアリー」のバリエーションの一つとも言えるでしょう。

 日本には1930年代に、ブランデー・ベースのものが伝わりました。日本では今なおブランデー・ベースが一般的です。今日でもジン・ベースのアレクザンダーが認知されている欧米では、わざわざ「ジン・アレクザンダー」「ブランデー・アレクザンダー」と区別して紹介しているカクテルブックもよく見かけます。

【確認できる日本初出資料】 「世界コクテル百科辞典」(佐藤紅霞著、1931年刊)。レシピは、ブランデー3分の1、クレーム・ド・カカオ3分の1、生クリーム3分の1、シェイクしてレモン・ピールをとなっています。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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