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2017/06/18
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 55.ミリオン・ダラー(Million Dollar)

【現代の標準的なレシピ】(容量単位はml)ジン(45)、スイート・ベルモット(15)、パイナップル・ジュース(15)、グレナディン・シロップ2tsp、卵白(1個分)、飾り=パイナップル・スライス&チェリー  【スタイル】 シェイク 

 「ミリオン・ダラー」は、少なくとも1920年までには誕生していた古典的カクテルの一つです。欧米の古いカクテルブックでもよく収録されていますが、残念ながら、誕生の経緯や考案者などは、現在でもよく分かっていません。

 日本のカクテルブックではよく、「(ミリオン・ダラーは)1894年頃、横浜グランドホテルのバーで誕生した。考案者はカクテル『バンブー』を考案したことで知られる同ホテルの支配人&バーテンダー、ルイス・エッピンガー氏(Louis Eppinger)」と紹介されていますが、これを裏付ける文献史料は伝わっておらず、真偽の程はよく分かりません。

 一方で、海外の専門サイト等では「1915年頃、シンガポールのラッフルズ・ホテルのメニューには登場していた。作者はあのシンガポール・スリングを考案したニャン・トン・ブーン氏」(出典:欧米のWeb専門サイト: diffordsguide.com/cocktails/récipe/1319/million-dollar-cocktail/ ほか)と紹介している例も見受けられますが、(海外でも)エッピンガー氏考案説を支持する見解も多く、決着はついていません。

 ただ、様々な文献によれば、少なくとも1910年代にはアジア地域でそれなりに普及していたようです(ただし、ラッフルズ・ホテルのレシピには、冒頭の材料に加えて、ドライ・ベルモット、アンゴスチュラ・ビタースが加わります)。欧州へは、おそらくはアジアから外国航路の船(で働くバーテンダーや乗客)を通じて伝わったのではないかと想像されます。

 「ミリオン・ダラー」が欧米のカクテルブックで初めて紹介されたのは、現時点で確認できた限りでは、1930年に出版された「サヴォイ・カクテルブック(The Savoy Cocktail Book)」(ハリー・クラドック著)です。なので、少なくとも20年代には欧州に伝わっていたことは間違いありません。サヴォイのレシピは、「プリマス・ジン3分の2、スイート・ベルモット3分の1、卵白1個分、パイナップル・ジュース1tsp、グレナディン・シロップ1tsp(シェイク)」となっています。

 参考までに、「サヴォイ・カクテルブック」以外の1930~40年代のカクテルブックに登場する「ミリオン・ダラー」のレシピをざっと見ておきましょう。

・「The Artistry Of Mixing Drinks」(フランク・マイアー著 1934年刊)仏 
 ジン2分の1、卵白半個分、パイナップル・ジュース1tsp、グレナディン・シロップ1dash(シェイク) ※ベルモットは使わないレシピになっています。

・「The Official Mixer's Manual」(パトリック・ダフィー著、1934年刊)米 
 イングリッシュ・ジン3分の2、スイート・ベルモット3分の1、卵白1個分、パイナップル・ジュース1tsp、グレナディン・シロップ1tsp(シェイク)

・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年初版刊)米 
 ジン1.5オンス、スイート・ベルモット4分の3オンス、卵白1個分、パイナップル・ジュース2tsp、グレナディン・シロップ1tsp(シェイク)

・「Café Royal Cocktail Book」(W.J.ターリング著 1937年刊)英 サヴォイ・レシピと同じ。

・「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(ビクター・バージェロン著 1946年刊)米 
 ジン1.5オンス、スイート・ベルモット4分の3オンス、卵白1個分、パイナップル・ジュース2tsp、グレナディン・シロップ1tsp(シェイク)

 「ミリオン・ダラー」は、日本では1920年代にはすでにメジャーなカクテルになっていて、当時のカクテルブックにも登場しています。なお横浜グランドホテルは、1923年の関東大震災で大きな被害を受けたため廃業しましたが、その流れをくむ現在の横浜ニューグランド・ホテルのバー「シーガディアン2」では、「ミリオン・ダラー」は今日でもなお、定番の人気カクテルとなっています。

 余談ですが、横浜グランドホテル出身で、その後銀座・ライオンでバーテンダーをつとめた業界の大先輩、浜田昌吾氏(1971年に出版された「図解カクテル」の著者。※名前は「晶吾」という表記も)は、このミリオン・ダラーの普及に貢献したことで有名です。浜田氏はその自著で、「カフェー華やかなりし頃、大正時代の文化人が盛んにこのカクテルを飲み、花柳界でも話題になりほどの流行ぶりだった」と綴っています。

 ただし、浜田氏のレシピは、「オールドトム・ジン3分の1、パイナップル・ジュース3分の1、卵白1個分、グレナディン・シロップ2tsp、レモン・ジュース1tsp、パイナップル・スライスを飾る(シェイク)」で、なぜか(上記フランク・マイヤーの著書と同様)ベルモットは使わないレシピとなっています(その後の国内外でのレシピの変遷を見ると、やはり定着していったのは「サヴォイ・レシピ」です)。

【確認できる日本初出資料】 「カックテール」(安土禮夫著、1929年刊)。そのレシピは、「オールドトム・ジン2分の1、スイート・ベルモット2分の1、卵白1個分、パイナップル・ジュース2dash、グレナディン・シロップ2dash(シェイク)」となっています。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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