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April 19, 2024
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カテゴリ: 教授の読書日記
用があって、新渡戸稲造大先生の名著『修養』を再読しました。

これこれ!
 ↓

修養 (タチバナ教養文庫) [ 新渡戸稲造 ]

 これ、『修養』そのものではなく、その現代語訳なんですけど、まあ、内容が分かればいいかなと。

 この本の原著は、明治44年に出版され、昭和9年までに148版を重ねたという超ロングセラー。元々は『実業之日本』という雑誌に連載されていたものを集めて本にしたもので、当時の新渡戸は第一高等学校校長で、かつ、実業之日本社の顧問も務めていた。片や若き学徒を束ねる立場にあり、その一方でジャーナリスティックな活動もしていたということで批判もされたようですが、そういうさがない批判に耳を傾けることなく、新渡戸は旧制高校などに進学できなかった非エリートの若者たちに対して修養を説き、向学心を煽ったと。

 で、本書はそういう性質のものゆえ、市井の人々、すなわち、必ずしも学校教育を受ける機会に恵まれなかった人たちに向けて書いてある。だから、小難しいことは一つも書いてない。で、しばしば新渡戸稲造自身の経験、とりわけ失敗談などを元に、そうした失敗からの反省をもとに、「こういう風に心掛けたら、より良い人生になるのではないか」ということを説き起こしているので、著者に対して非常に親しみも増すわけよ。つまり、高所から論を説くのではなく、凡夫の立場でモノを言っている。そこが非常に好感の持てるところなんですな。

 その内容は多岐にわたるけれども、勘所としては、「善用」ということ。人生、浮き沈みがあって、順風の時もあれば逆風の時もある。だけど、逆風の時はその失敗を反省し、その経験を善用して次へ進めばいいし、順風の時もまたおごらず、そこで得たものを善用し、さらなる成功に導けばよい。なんであれ、この世で遭遇することはすべて自分を磨くチャンスだと心掛けておれば、たとえ凡夫であろうとも真っ当な人生を充実して生きることができるよ、という話を、色々な観点から述べているのが本書、ということになりそうです。



 それにしても、本書を読んでいて思うのは、昔の偉い人ってのは、実に色々な人の訪問を受けていたのだなということ。

 見も知らぬ赤の他人が、新渡戸稲造を頼って、相談をしに直接、家に来ちゃうのよ。入学試験に失敗してしまったけど今更郷里にも帰れない、ついては先生のお宅の書生としてつかってもらえないだろうか、などと切羽詰まった顔をした若者がやってくる。かと思えば女子高生が何人か束になって自宅に押しかけてきて、『女大学』などという書物に書いてあることなど、とても実行できないが、先生はどう思うかと意見を聞きに来る。その他、就職のあっせんを頼む者だとか、そういう輩がやたらに訪問してくる。それも朝食前とかの時間から来るというのだから、何ともはや・・・。

 すごいよね、昔の人って。今、たとえば岸田総理とかのところに朝食前に押しかけていって、就職のあっせんをお願いしたいとか言いに行ったら、下手したら逮捕されるんじゃね? でも昔はそういうのもアリだった、ってことでしょ。

 でも、そういうのが通った時代ってのも、考えてみれば、なかなか豊かな時代だったと、言えるんじゃないですかね。人間的だよね。

 むしろ、今もそれ、やったらいいんじゃない? 岸田首相とか、朝食前の30分、訪問してきた一般市民と面会するよ、何であれ相談に乗るよ、っていう風にしたら、支持率爆上がりじゃない? 映画『ゴッドファーザー』の冒頭場面みたいにするの。

 新渡戸稲造の『修養』を、岸田首相にも読ませたいね。





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Last updated  April 19, 2024 08:02:19 PM
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りぃー子 @ Re:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) こんにちは、迫力と湧き出る力強さ、美し…
釈迦楽@ Re[3]:クタクタの誕生日(04/09) がいとさんへ  いやいや、あの頃が僕に…
がいと@ Re[2]:クタクタの誕生日(04/09) せんせい おぉ、そんなこともありました…
釈迦楽@ Re[1]:クタクタの誕生日(04/09) がいとさんへ  昔、君が正門前のアパー…

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