2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全30件 (30件中 1-30件目)
1
私:もともと、シリア内戦は、中東の民主化運動「アラブの春」の影響を受けて、民主化を求める人々をアサド政権が弾圧したことをきっかけに始まる。 イランは「主権尊重」を掲げ、アサド政権の支援にまわり、イランが派遣した民兵や部隊は政権軍の屋台骨を支える。 A氏:一方、サウジはアサド大統領退陣を訴え、反体制派を支援したが、反体制派は劣勢に追い込まれ、残る大規模拠点は北西部イドリブ県のみで、支配地は国土の1割にすぎない。 イランにはイスラム教シーア派が多く、サウジはイランについて、「イスラム教シーア派の人々を扇動して、各国の政体転覆をもくろんでいる」とみる。 イラン封じ込めは最優先の対外政策になっているが、成果は出せていない。 中東ではシリアとイエメンのほか、レバノンとイラクでもイランと関係の深い勢力が影響力を持つ。 アラブ諸国、そしてイスラム教多数派のスンニ派の盟主を自任するサウジだが、その周辺では、イランの影響力が強まる一方。 私:焦るサウジに、千載一遇のチャンスと映ったのがトランプ政権の誕生。 トランプ氏は17年の大統領就任前からオバマ前政権が結んだイランとの核合意を批判。 就任後は破棄をちらつかせ、イランへの厳しい姿勢を保っている。 トランプ氏は17年5月、初めての外遊先にサウジを選び、その外遊中、サウジは米国と計1100億ドル(約12兆円)に及ぶ巨額の武器購入契約を結び、米国の利益にこだわるトランプ氏を喜ばせた。 サウジ政府は否定するが、イスラエルと接触しているとの情報は17年以降、たびたび報じられており、「対イラン」で結束するサウジとトランプ政権、イスラエルの関係は、今後さらに強まる可能性が高い。 A氏:アラブだが、ムハンマド皇太子は32歳だが、国王の信頼を得てライバルになる勢力を追放し、禁止されてきた映画館の運営や女性の車の運転を次々に解禁すると表明し、「新世代の改革者」という名声を確立し、大な権力を独占している。 だが、台所事情は厳しく、「20年までに石油に依存しない経済に移行する」とぶち上げたが、政府歳入は今も7割近くを原油に頼る。 歳出の2割超を占める軍事費は「イランの脅威」で年々増加し、5年連続の赤字予算を圧迫しており、国民に対する補助金も減らさざるを得ない状況。 サウジにアラブの連帯を尊重する余裕がなくなり、ムハンマド皇太子が国益の最大化を目指す「サウジ・ファースト」の姿勢を強めていることは、アラブ諸国の分断を招いている。 私:イランに対するサウジ劣勢の巻き返しを狙うムハンマド皇太子の「賭け」は、混迷の中東をさらに不安定にするリスクを伴う。 内戦が続くシリアでは、イランが支えるアサド政権が優勢を固め、サウジが支援する反体制派は退潮が著しい。 サウジはトランプ米政権に接近して挽回を期すが、なりふり構わぬ外交がアラブ諸国を分裂させている状況。 シリアとイランとの連合にロシアもからんで、これに対立するサウジと米国の争いは、複雑な構造となっているね。 サウジの成否は、サウジを最大の石油調達先とする日本にとってもひとごとではない。
2018.04.30
コメント(0)
私:崔成国氏は、脱北し、韓国でウェブ漫画家として活躍、ネット上に「労働新聞」「南朝鮮日記」などの漫画作品を発表。 今回、初めて軍事境界線を越え、韓国側に来た金正恩・朝鮮労働党委員長を、メディアの多くは好意的に伝えたが、崔成国氏の目には、これは、全世界を相手にした「偽装平和ショー」に映ったという。 正恩氏のねらいは、自分たちは世界に危険な存在ではないとアピールし、経済制裁を解くこと。 そういえば、最初、「北朝鮮の非核化」が、「朝鮮半島の非核化」となり、いつの間にか「北朝鮮」消えていて、巧妙だね。 トランプ米大統領との会談を前に、韓国が北朝鮮の口となり、剣となることを望んでいて、独裁体制の北朝鮮を西側と同じようにとらえ、素顔を見せたように報じるのは純粋すぎるという。 A氏:崔氏は、時々、北朝鮮にいる知人に電話をかけるが、正恩氏が神格化され、住民の人権が極度に抑圧されている状況に何の変化もないという。 会談や夕食会での正恩氏の打ち解けた肉声は、住民には伝えられないのは、正恩氏が自分たちと同じ人間であることがわかってしまうからだ。 私:4月初めに韓国のアイドルグループらが平壌公演をするなど、正恩氏が急いで開放的な「普通の国」を装い始めたが、こうしたことを続ければ、北朝鮮住民の外部世界への好奇心はいずれ大きくなる。 独裁体制を維持するためには本来住民が外部社会に触れられないようにし続けなければならないのに、失敗で、トランプ米政権による圧力外交は成果を上げていると言えるだろうという。 A氏:崔氏は、日本の人たちには、北朝鮮住民の等身大の姿をもっと知ってほしいという。 北朝鮮住民約2300万人の多くは情報から遮断される一方、生きるために密輸や商売を手がけ、自分の力で生きるたくましい力を身につけていて、統一した場合、韓国に依存し、荷物になるというのは表面的な見方だという。 私:崔氏は、「私は、ウェブ漫画という手段で伝えてきたが、脱北者がいる日本でも、たとえば韓国のように脱北者のトーク番組を放送してはどうか。北朝鮮の多様な姿を知ることは日本が朝鮮半島問題に関わる上で役立つはずだ」という。 それにしても北朝鮮は、個人独裁の社会主義国家、韓国は民主主義の資本主義国家。 水と油のような体質の違いをどのように統一しようとするのか、朝鮮の人々の誰も先が見えていないのではないか。 統一は朝鮮民族の幻か。
2018.04.29
コメント(0)
私:コラムニスト・デイビッド・ブルックス氏は、このコラムでSNSの普及拡大による大きな社会的問題点として、米国でSNSによる新たな「格差」の拡大を指摘している。 米国では、この数十年、人間関係の質が低下し続けてきたことを示す証左は山のようにあるという。 80年代には、孤独を感じることが多いと答えた米国人は20%だったが、今や40%に増加し、自殺率は過去30年間で最も高い。 「うつ病」の割合は60年から10倍に増え、30歳未満の母親のもとに生まれた子は、ほとんどが婚外子で、職場の同僚同士の人間関係に関する米国人の満足度は、この30年間、減少の一途をたどっているとブルックス氏は指摘。 A氏:米国の公衆衛生局長官を務めたビベック・マーシー氏は、医師としての経験を昨年9月のハーバード・ビジネス・レビューに「私が一番多く目にした病状は心臓病でも糖尿病でもなく、『孤独』だった」と掲載した。 患者たちは「孤独」を理由に、また、「孤独」によって病になったことを理由に彼を訪ね、社会的なつながりの弱さは、1日に15本のたばこを吸うのと同様の影響を健康に与え、肥満よりも悪影響が大きい、とマーシー氏は言う。 こうした傾向は過去5年間で急激に悪化し、2012年には、深刻なメンタルヘルスの問題を抱える若者の割合は5.9%だったが、15年には8.2%になった。 私:昨年、心理学者のジーン・トゥエンジ氏が「スマートフォンは一つの世代を破壊したのか」と題した記事を書いた。 社会の崩壊が加速するさまを示した内容で、議論を呼び、10代の若者はいつの間にか、デートをしたり、親の同伴なしに外出したりすることが少なくなり、大人がするような行為を先延ばしにすることが多くなった。 彼らはより多くの時間をデジタル画面とともに1人で過ごし、画面を見ている時間が多くなればなるほど不幸だと感じる人は多く、ソーシャルメディアを長時間使用する8年生(中学2年生)は、うつ状態になる確率が27%高いという。 A氏:フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグCEOがワシントンの連邦議会の公聴会で彼に投げかけられた質問や報道された分析のほとんどは、FBのプライバシー保護の失敗についてで、FBを取り巻く最大の問題はプライバシーではなく、FBや他のソーシャルメディア企業が、孤独や社会的孤立という伝染性の病を助長しているということにふれないのに、ブルックス氏がくぜんとしたという。 ソーシャルメディアを長時間使用している人の方が寂しい思いをしているというだけではなく、インターネットを長時間使う人は、すぐそばの隣人と接して、世話をし合ったり、手を差し伸べたりすることがずっと少ない傾向にあり、近隣住民の社会構造において、何か大きな変化が起きている。 私:英国の人類学者、ロビン・ダンバー氏は、人間社会が「クラン」(家族と近しい友人)、村(地域社会)、部族(より大きな集団)という三つの階層からなると述べているが、今日の米国では、「クラン」は分裂し、村は衰退し、部族は武器と化したと言えるだろうとブルックス氏はいう。 つまり、高度な教育を受けた家庭には過保護で過干渉な親がいる一方、あまり恵まれていない家庭には親がいないことも多い。 「クラン」と部族の中間にある、町や近所の様々な層の住民同士のつながりは、バラバラになってしまい、密接な関係の欠落を補おうとして、人々は精神的、感情的な切望を、政治的、民族的、その他の部族に求め、互いに激しくぶつかり合う。 これほど大きな問題がFBのザッカーバーグ氏の公聴会で取り上げられなかったのは、社会的に豊かな人と社会的に貧しい人ではFBの使い方が異なり、現実や社会問題の受け止め方も違うからで、ブルックス氏は、「人間関係の質の低下を定量化して伝えるのは非常に難しいが、私たちのように社会的に豊かな人の多くが、自分たちとは違う境遇の人々の暮らしをよく知らないのは確かだ」という。 この格差は、米国のトランプ現象の一因となっているのかも知れない。
2018.04.28
コメント(0)
私:森友学園問題で、官庁が国有地売却の公文書を改ざんし、政治家の関与も疑われているということから、この寄稿では政治と官僚の関係に歴史的に焦点をあてている。 日本の政治と官庁の関係には、苦い歴史があり、1920年代には、政友会と民政党が政権交代するたびに、自党に有利な官僚人事を行った。 これが政党批判を招き、軍部の台頭につながった。 政官の癒着は、今に始まったことではなく、国有地払い下げへの政治家の介入も明治からあったが、近年、官庁に対する政治の介入がとくに目立つ。 それは、戦争体験世代の政治家は、右派であっても露骨な介入を控えていたが、これに加え、もっと大きな原因は、日本社会の変化に伴い、自民党と官庁が保ってきた昔の秩序が不安定になってきたこと。 A氏:自民党政権が安定していた時代には、政治家は性急な無理強いをせずとも、ゆっくりと要求を実現させる「熟柿戦術」をとればよかったし、官僚たちも、規制を口実に要求を断ったり、「盥回し」にしてやり過ごしたりしていた。 だが、政権喪失を経験した自民党は、そんな「大人の構え」を失ない、官庁もかつての力を失い、政権に近づくことで影響力を回復しようとした。 私:「文芸春秋」5月号の報道によると、今回の改ざんの背景には「官邸との距離を少しでも縮めたい財務省のなりふり構わぬ事情」「何とか権力中枢と結んで『オレたちが仕切ってる感』をもう一度取り戻さないと組織のモラルが本当に底抜けしかねない、との本能的な危機感」があったという。 行政学者の金井利之氏によれば、そうした変質を促進したのが、「政治主導」「規制改革」の誤用。 90年代の官僚不祥事を経て台頭した「政治主導」は、「単に与党に基盤のない橋本/小泉首相と与党との権力抗争における標語にすぎなかった」が、「これが勘違いされ、与党政治家が行政に容喙することは正しいことである、という間違った発想がまかり通ってしまった」。 さらに「規制改革」は、官僚が政治家の要求を断る口実を奪う事態を招き、その結果の一つが、国家戦略特区での加計学園問題であるという。 A氏:また、以前は官僚の昇進は、年次などの慣行で決まっていたが、「政治主導」を掲げた改革で2014年に「内閣人事局」ができ、内閣が官庁幹部600人の人事を左右できるようになった。 政治学者の加藤創太氏によれば、「600人の候補者の多くは、次の役職が与えられなければ退官という立場にある。以前なら天下りポストが用意されていたが最近は非常に限られる」。 このことが、「忖度」がはびこる背景だという。 私:昔の秩序を懐かしむより、現代に即した制度改正を考えるべきだと小熊氏はいう。 日本の官庁人事の問題点は、「政治主導」が強すぎることだけではなく、もっと問題なのは、人事のチェック機関がなく、選考過程が不透明なことであるという。 政治との癒着が生じやすいのもそのためで、この点は、旧来の慣行による省庁人事も同様。 米国は大統領が変わると、官庁幹部は大幅に入れ替わるが、ただし、その多くは民間からの登用なので、官庁の官僚たちが昇進を期待する「忖度」は働きにくい。 また上院が人物審査を行い、チェック機能を果たしていて、米国は大統領と議会が分立している制度なので、大統領による人事を上院がチェックする。 A氏:では、日本と同じ議院内閣制の英国や豪州はどうか。 この場合、議会多数派は首相と一体なので、内閣による人事を議会がチェックするのでは十分でないので、代わりに、幹部公務員は公募を原則とし、独立の選考委員会が能力を審査する。 登用された公務員は政治家との接触が制限され、政治的中立が求められ、制度の細部は英国と豪州で違うが、独立機関が能力を審査する趣旨は共通。 私:これらと比べると、日本の制度の問題が見えてくる。 日本の現行制度は「他国にも例がないほど強大な権力を「内閣人事局」や大臣に与えている」うえ、人事の適正さをチェックする仕組みがない。 独立の機関を設けて、登用された官僚の能力を誰もが納得する形で審査し、透明性のある人事にすれば、官庁と政治の癒着も制限できるだろう。 実は類似の制度の導入は、戦後改革でも試みられた歴史があり、当時の占領軍は、入省年次などによる人事をやめ、専門能力での登用に変革しようとした。 その目的で、職務能力に応じた人事を掲げた1947年の「国家公務員法」と、省庁を超えた独立人事機関としての「人事院」が作られた。 だが官庁の抵抗で、旧来の人事慣行が「当面の処置」として残され、「人事院」も形骸化。 現在の事件は、戦後改革が未完に終わったために起きた問題だともいえる。 小熊氏は「日本の官庁は、『昭和の繁栄』には貢献した。だが新しい時代に即した変化を遂げなくては、国の未来を危うくする」という。 安倍首相は「膿を出す」というが、自らが「膿」の中にいることになる。
2018.04.27
コメント(0)
私:世界有数の規模の「北京国際モーターショー」が25日、中国・北京で始まり、中国政府が2019年に始める新たな環境規制に対応すべく、日系メーカーは次々電と気自動車(EV)などを発表し、世界最大の市場を巡るエコカー競争は激しさを増しそう。 一方、中国政府が国家を挙げて電気自動車(EV)やその関連産業を育てようとしているなか、地方ではその先を見越して、水素燃料電池車(FCV)の普及に向けた態勢づくりが着々と進んでいる。 A氏:FCVが本格的に普及すれば、EVで後れを取る日本勢も活躍するチャンスが増えそうだ。 FCVは、水素と酸素を化学反応させてつくった電気で走り、大気汚染物質を排出しないため、究極のエコカーと呼ばれる。 「水素エネルギー」の応用に一日の長がある日本。 また、2014年にトヨタは世界で初めてFCVを発売。 トヨタは江蘇省常熟市に「水素ステーション」を設置し、17年10月からFCV「MRAI(ミライ)」2台による3年間の実証実験を始めた。 中尾清哉常務役員は25日、記者団に「商用車への適応がきわめて重要と考えている」と語り、中国の地方政府が進めるFCVの運行への関与もありうるとの見方を示した。 私:中国政府はEVとともにFCVも推進する姿勢を打ち出してきたが、具体的な計画は南海区など地方政府が主体になって定めてきた。 しかし、国レベルで普及計画立案も動き出した。 きっかけは17年秋の中国共産党大会で、ここで習近平総書記(国家主席)が環境に優しく、低炭素型、循環型の経済発展を通じた「美しい中国の建設」を提起したことだ。 2月には、エネルギー関連の国有企業など17団体が「中国水素エネルギー・燃料電池産業イノベーション戦略連盟」を設立。 中国中央テレビによると万鋼・科学技術相(当時)は連盟の成立式典で、「『水素エネルギー』の生産、貯蔵、運輸と『水素ステーション』のネットワークを建設する計画を立てなければならない」と強調し、国レベルで具体策に取り組む方針を明らかにした。 A氏:4月19日、上海市であった「上海国際技術輸出入交易会」で、習氏の側近の一人で上海市トップの李強書記が、「水素エネルギー」の普及に力を入れる横浜市の展示を訪れ、斎藤信明・上海市事務所長に「上海に先進的技術を紹介することを歓迎する」と呼びかけた。 李氏は、「水素ステーション」を出展した「水素エネルギー」の応用に一日の長がある日本の計量機メーカー・タツノ(東京)の商談まで視察した。 私:EVの次はFCVか。 それにしても大国となった中国の国家エネルギーはすごいね。
2018.04.26
コメント(0)
私:日本人は、本来、歴史上、文書好きの国民だったはずだ。 それで、3人のうち、日本の歴史専門家の磯田道史氏と保阪正康氏のインタビューに興味をもった。 まず、日本史全体の専門の磯田道史氏は、歴史家として過去の様々な記録を読むと分かるのは、江戸から明治までの日本は、細かく正確に文書を残す記録大国だったということだと指摘。 その日本の国がいま「改ざんする」「うそを書く」「残さない」という公文書3悪で歴史に残る問題を起こしてきた。 A氏:江戸時代に細かく記録を残すようになったのは、農民と武士が離れて暮らすようになり、武士が統治の役割を担うようになったからで、武士は、領地での出来事の細かい記録を積み重ね、よりよい統治を行おうとしたのだという。 250年を超える江戸時代に日本人に染みついた記録をとる癖は、明治時代に力を発揮し、福沢諭吉や岩倉具視の海外使節団が残した西洋の詳細な記録は共有され、急激な近代化を支えた。 私:しかし、日露戦争に勝ってから記録の軽視が始まり、太平洋戦争の時代にはひどい状態になり、例えば、台湾沖航空戦では、実際には米軍の空母と艦艇を撃沈できていないのに、「多数沈めた。大戦果だ」と国民に伝えた。 うその情報を基に立てた作戦で南方の島に送り込まれた兵は、いないはずの米艦隊に遭遇して多数が戦死。 太平洋戦争の時代にはうその多い「大本営発表」が有名だね。 A氏:今回の公文書改ざんは、国が主権者たる国民から歴史を奪う悪質な行為だと磯田氏は指摘。 「首相案件」と言ったか否かが問われている柳瀬唯夫・元首相秘書官(現・経済産業審議官)は「記憶にない」と、面会の事実を認めていないが、各省や愛媛県に残っていた文書の記述で、事実が明らかになってきた。 財務省の福田淳一事務次官によるセクハラ疑惑辞任も、音声記録の存在が決め手で、文書や記録が残っていることはとても重要。 私:磯田氏は、文字に記録された王がいる国らしきものが九州にできて約2千年。 議会政治になって130年足らず、国民主権になって70年余り、一連の問題で公文書への高い意識が生まれつつあると、日本の進化の歴史の一つだと思いたいという。 ちなみに、記録文化があった幕末にも、うその文書が出されたことがあった。 それは、桜田門外の変で、大老だった井伊直弼の首を民衆が見ていたのに、井伊家は、直弼は生きているという偽りの文書を出し、幕府は天下万民の信用を失って倒れるきっかけとなった。 見えているものに対してうそをついたら、政権は短命化すると、歴史が証明する教訓だと、磯田氏はいう。 A氏:インタビューした2人目の保坂氏は、昭和史や戦争史に詳しい。 戦前が終わり戦後が始動した1945年8月に、日本各地で起きたのは、連合国側による責任追及から逃れるため、役人や軍人が公文書を大量に焼却する事件で、資料の焼却を指示自体も隠蔽しようとする徹底ぶりだった。 公文書の重要性は、戦争指導者を裁く東京裁判でも明らかになり、不当な戦犯容疑だと被告側が自らの潔白を証明したくても、証拠となる公式記録を焼却していたので、仕方なく雑誌や新聞の記事を法廷に提出する者もいた。 公文書が焼かれた国には、歴史の空白が生まれ、戦争の政策がいつどう決定され、どう進められたのか、戦後に国民が知ろうにも手がかりとなる記録がない。 私:米国は敗戦直後の日本に、戦略爆撃調査団という大規模な調査組織を送り込み、戦争政策の決定過程や被害実態などを、要人から聞き取ったり埋もれた資料を探したりして調べ上げた。 悲しいことだが、その報告書は、“あの戦争”を日本人が知る貴重な資料になった。 ただ、米国の視点で書かれたもので、戦後の日本では、ジャーナリストや研究者が関係者へのインタビューや、要人の日記の分析から、史実を固め、空白を埋める作業をした。 A氏:このブログでもとりあげた、日本の敗戦時の姿を描いた名著、ジョンダワー著「敗北を抱きしめて・は、著者が外国人であったのは残念だね。 保坂氏は「私たちは確かに、為政者に政治を任せます。ただ、歴史を確定させる権限までは渡していないはずです。戦前も今も日本の為政者に欠けているのは歴史への責任意識、歴史への良心だと私は思います」という。 私:保坂氏は、「首相が退任したら5年以内に回想録を公表するよう義務づけることから始めてみてはどうでしょう。米国ではしばしば大統領や側近がすぐれた回想録を発表しますが、日本の昭和史の特徴の一つは、首相が回想録を著す例が少ないことだからです」という。 誠実に書かない元首相もいるだろうが、執筆に備えて資料を残そうとはするはずで、そうした回想録や資料は、国民が歴史の教訓とは何かを学ぶ機会になると思うという。 政治家の書く本はあまり売れないと言うが、歴史の記録としては貴重なものになるだろう。
2018.04.25
コメント(0)
私:乗客と運転士計107人が死亡し、562人が負傷したJR宝塚線(福知山線)脱線事故からあす25日で13年。 JR西日本は以来「安全最優先」を誓ってきたが、昨年12月、新幹線「のぞみ34号」の台車に破断寸前の亀裂が見つかり、国は事故につながりかねない新幹線初の「重大インシデント」に認定。 A氏:3月下旬、大阪市内で、台車亀裂問題を検証した有識者会議が、JR西の副社長ら幹部4人に提言書を示した。 それによると、脱線事故後の安全対策には一定の評価をしたが、「のぞみ34号」の乗務員らが音など計30の異変に気づきながら新大阪まで2時間半、運行を続けたことを問題視。 提言書では、大事故がなかった新幹線では危機管理に甘さがあったとし、「組織全体が『安全最優先』に転換できていない」と厳しく指摘。 私:JR西は、台車の亀裂について、メーカーの川崎重工業が、設計基準で厚さ7ミリ以上と定められた底面を最も薄い部分で4・7ミリまで削ったことが一因と、他人事のようで、異変に気づきながら新大阪まで2時間半、運行を続けたことには、きちんとした説明がなかったようだね。 A氏:だから、 有識者会議は、設計開発時から人的ミスを考慮した施工や保守が必要とし、メーカー任せだったJR西の管理態勢にも言及。 「トラブルが発生して慌てて対策に取り組む姿は改めるべきだ」と戒めた。 有識者会議座長の安部誠治・関西大教授の目には、提言を受けた副社長らは不満げに映ったので、実行を促すため、「1年後にどこまで進んだか見せていただく」と釘を刺したという。 まだ、トップからしてJR西の「安全最優先」軽視の根が深いようだね。 私:JR西の新幹線の安全対策は東海道を運行するJR東海より遅れていた。 JR東海は、走行中の台車の異常を温度上昇で検知するセンサーを3年前に配備。 実際に、愛知、神奈川両県内のセンサーは「のぞみ」の台車の温度上昇に反応。 JR西の来島達夫社長は、今月18日の会見で「(センサーの)必要性に思いが至っていなかった」と対策の遅れを認めた。 A氏:JR西は、宝塚線脱線事故から13年になろうとしているのに、昨年12月の「のぞみ34号」のトラブルから現場の「安全最優先」の意識改革に再び取り組んでいる。 昨年4月から12月11日の台車亀裂発覚までの約8カ月で、山陽新幹線で約100件の異音などが報告されたが、止めて点検したのはたった1件。 台車亀裂問題発覚後は、今月17日まで約4カ月で163件が報告され、25件で列車を止めて調べた。 やっと動き出した。 背景に、13年前も、「安全最優先」意識の徹底が叫ばれたが、事故後に入社した社員が4割を超え、「安全最優先」意識の「風化」も指摘される状態があるようだ。 私:神戸市北区の上田弘志氏は、事故で次男を亡くした遺族。。 昨年12月、台車亀裂問題の説明で上田氏宅を訪れた来島社長は「定時運行しないとお客さんに怒られるんです」と言ったという。 13年前の脱線事故の背景には、余裕のないダイヤがあったとされたのに、上田氏は「安全第一なら、まず止めるはずだ。13年前の教訓がまだ生かされていない」と話した。 その通りだね。 13年経っても107人が死亡し、562人が負傷した反省からの「安全最優先」の意識がいまだに全く、無視されているとはね。 台車の亀裂問題でなく、13年間で「安全最優先」の意識が風化した原因追及と効果的対策の実施が本質的な問題だね。 要するに、たまたま、台車亀裂というリスクを回避できなかったことで、表面化したJR西のマネジメント体質の問題で、根が深いね。
2018.04.24
コメント(0)
私:米移民局が2月、行政理念をうたった綱領の「移民の国、アメリカとしての約束」をさりげなく削除して改訂。 米国の成り立ちを象徴する表現を削った理由につき、当の移民局は、「単純で明解な内容にした」としか説明しない。 だれもが思い浮かべるのは、移民規制強化を掲げ、「国境に壁を」と叫ぶトランプ大統領の顔であると沢村亙氏はいう。 米国にも「忖度」があるらしい。 米国は、政権が変わると官僚もいっせいに変わるからありえるね。 日本は伝統的に政権が変わっても官僚は変わらないが、内閣人事局ができてから、「忖度」が始まったようだ。 A氏:昨年12月には政府の保健部門に「トランスジェンダー」などの用語を予算文書で使わないよう指示した通知が回ったと報道された。 いかなる政策効果を目指したのかは不明だが、トランプ氏が保守的なキリスト教宗派から熱烈な支持を受けているのは広く知られているという。 単なる「言葉狩り」を超えて、国の理念や国民のありようを根本から変える予兆を感じさせるだけに、よけい不気味さが募ると沢村亙氏はいう。 私:その「国の『闇』」に手探りで立ち向かおうとする市民もいる。 きっかけは、フィラデルフィアの科学史協会に勤めるニック・シャピロ氏が一昨年の大統領選後、友人の科学者ら12人に送った「環境データを守ろう」という1本のメールだった。 地球温暖化に懐疑的なトランプ氏の当選で、政府が長年かけて収集してきた観測データの存亡が危ぶまれたので、メールは全国に転送され、データを取り出して保存する100人以上のネットワークができた。 悪い予感は当たり、トランプ政権の発足後、環境保護局が地球温暖化に関する200以上のウェブサイトを削除していたことが判明。 内容の改変もあり、例えば、「政策の優先課題」の項目にあった「クリーンで再生可能なエネルギー」を「エネルギー自立を通じて米国をより安全に」という具合に、子供向けに気候変動を解説するサイトも探しにくい所に移されていた。 「データの削除は適正な政策立案を妨げる」「科学軽視の態度を子供の頃から植え付けかねない」とシャピロ氏は案じる。 A氏:政府が保有する膨大なデータの何が削除され、どう変えられたのかを調べるのは大変で、シャピロ氏らは、データを自動保存したり、改変を覚知したりする技術も開発する。 ここまでは科学者やIT技術者ら理系の独壇場であるが、そこに文系の助っ人が加わり、大学で歴史を教えるクリストファー・セラーズ氏は、環境保護局の職員やOBからの「聞き取り」を重ねている。 データを分析し、規則を駆使して環境政策につなげるというノウハウは役所の中で培われてきた職人技。 「組織の記憶も人類の遺産。いったん失われたら取り返せない」。 十数人の研究者やジャーナリスト、学生がオーラルヒストリーに取り組む。 私:個々の市民が、得意分野をいかして国家という巨像の暗黒部分に挑む。 先に「国」ありきではなく、まず人がいて、国をつくったという、そんな米国の成り立ちを体現する営みがまぶしいと沢村亙氏はいう。 同日の朝日新聞の「政治断簡」欄の編集委員・佐藤武嗣氏筆の「公文書にみる民主主義の成熟度」と題した記事に「公文書の在り方は、その国の民主主義の成熟度を測る尺度とも言える」というのは、上記の沢村亙氏が指摘する「米国の『闇』」の記事と矛盾するようだ。 A氏:最近、スピルバーグ監督の映画「ペンタゴン・ペーパーズ」が話題だが、ペンタゴン・ペーパーズとは、トルーマン政権など4代の政権によるベトナム戦争の政策判断や秘密工作、軍事記録が記された最高機密文書で、ニューヨーク・タイムズ紙が入手して特報。 当時のニクソン政権は記事掲載差し止めを連邦裁判所に要求。 連邦最高裁の判決は、「報道の自由は守られ、政府の機密事項を保有し、国民に公開できる。制限を受けない自由な報道のみが政府の偽りを効果的に暴くことができる」と政府の差し止めを退けた。 民主主義の成熟度というのは、政権がいつも正しいということでなく、政権がおかしいことをしたら、これをすぐに追及できる強力な市民のパワーの存在の有無だといえるね。
2018.04.23
コメント(0)
私:福島第一原発事故の当時政権にいた民主党は、脱原発路線に傾いたが、それに冷や水を浴びせた二つの勢力があった。 まず、米国だね。 12年9月上旬、フロマン米国家安全保障会議補佐官が、ワシントンの日本大使館幹部に 「『もんじゅ』を廃止するなどの一方で再処理を続けると、プルトニウムが蓄積される。米側としては、核不拡散における懸念は他の問題よりもはるかに大きい」と言い切り、この衝撃は野田政権に伝わった。 長島昭久首相補佐官らが急きょ訪米したが、長島氏らは「北朝鮮やイランに核武装を正当化する口実を与えかねない」と主張するカントリーマン国務次官補らを説得できなかった。 野田政権は「30年代原発ゼロ」にかじを切る一方、使用済み燃料については当面、再処理を続ける方向で調整に入っていた。 A氏:政権がそんな「矛盾」に追い込まれた裏に、もう一つの勢力の存在がある。 原発ゼロと同時に、民主党政権が当初、再処理政策を見直そうとすると、「国策」に協力してきた地元自治体は猛反発した。 また、民主党内の原発容認派の筆頭が、電力会社の労働組合「電力総連」出身の議員。 「電力総連」の原発容認派が原発政策に影響を与える構図は今も続き、立憲民主党が今年3月に国会提出した「原発ゼロ基本法案」を、「電力総連」は「唐突感が否めない」などと批判し、「電力総連」出身議員を抱える民進党との合流を決めた希望の党は、「原発ゼロ法案」の提出を見送る方向。 私:ところで、自民党は、福島第一原発事故のときは、野党。 。 当時の菅首相が世論を背景に模索していた「脱原発解散」に備える必要に迫られ、自民党にも原発政策の見直し議論が起きた。 11年7月、自民党総合エネルギー政策特命委員会を設置し、脱原発派の河野太郎衆院議員が「原発をフェードアウトさせていくべきだ」と訴えるなど、将来の脱原発を求める意見が続いた。 12年5月のとりまとめでは「早期に原子力に依存しなくても良い経済・社会構造の確立を目指す」とし、委員長を務めた山本一太参院議員は「国民の気持ちを踏まえれば、踏み込まざるを得なかった」と振り返る。 A氏:その裏ではもっと「過激」な政策提言が準備されていた。 特命委内に設けられた二つのプロジェクトチーム(PT)の一つの座長の岩屋毅衆院議員を中心に練った報告書案には「核燃料サイクル事業は大幅に見直すことが求められている」とあった。 私:しかし、12年9月の自民党総裁選で安倍晋三氏が返り咲くと、政調会長に甘利明元経済産業相を据えるなど党中枢は原発容認派に占められ、報告書案は忘れ去られた。 福島第一原発の事故は政界をも揺さぶったが、結局は、平成が始まったころにはできあがっていた「岩盤」が崩れるには至っていない。 記事には、11年9月から5年余り、米国国務省次官補(核不拡散担当)を務めたトーマス・カントリーマン氏へのインタビュー記事が載っている。 カントリーマン氏は、米国は日本の脱原発に反対でなく、再生可能エネルギーの方が原発より将来性があり、一番の問題は核燃料サイクルで、日本は多くの国民が安全性を疑問視し、原発の新増設に反対が増えたという。 日本の再処理政策については再考すべきで、再処理より直接処分の方が安く米国はやめており、プルトニウムはテロリストに奪われるリスクがあり、プルトニウムがたまれば、核不拡散の取り組みは信頼を損なうという。 「(民主党政権のときの長島昭久首相補佐官氏らが訪米した)12年、六ヶ所村の再処理工場を運用しないことは経済的利点があると伝え、(政権交代後も)何度も外務、経産省と話しをしたが、政府はなぜ経済性がよくないものに何兆円も使うのか答える必要があるとカントリーマン氏はインタビューに答えている。 しかし、平成の原発の「岩盤」が崩れるには至っていない。 日本は、北朝鮮には、非核化を強く要求しながら、原発再稼働、燃料廃棄物の再処理、プルトニュームの蓄積という政策はそのままなのだろうか。
2018.04.22
コメント(0)
私:今週は「書評」コーナーのほうに興味ある本がなかったが、この「売れてる本」コーナーの『ココ・シャネルの言葉』の紹介記事を読んで興味が湧いたね。 男だから、シャネル自体に興味がないが、シャネルの人物をとりあげた紹介記事に興味を持ったね。 A氏:彼女は、貧しい少女期を過ごしたんだね。 だから、彼女は経済的成功を強く欲した。 そんなシャネルは、宝石をこれみよがしに身につける上流階級の女たちを嫌い、その嫌悪感がイミテーションの宝石作りへ駆り立て、センスよい偽物は、本物の宝石より格好よく映ったという。 彼女はまず野心家だった。 既成の権威への反抗が、宝石だけでなくコルセットや大きな帽子など19世紀的な美を破壊した。 私:ココ・シャネルの伝記は硬軟とりまぜ何冊もあるが、彼女を象徴する短い言葉を右ページに、その背景を左ページにまとめてある本書は格好の入門書だと評者はいう。 たとえば「シンプルで、着心地がよく、無駄がない。私はこの三つのことを自然に、新しい服装に取り入れていた」という言葉が目に入るが、その意味は、第1次世界大戦が起き、女性も体を動かしやすい実用的な服が求められた時代と合致したという解説があり、評者はその解説に納得という。 それまでは喪服の色だった黒で「リトルブラックドレス」を作り、黒はパリ・モードを代表するシックな色となる。 A氏:シャネルはまた恋多き人でもあったが、貴族や芸術家たちとのスキャンダルは、彼女のステータス上昇に貢献し、そんなシャネルの生き方に共感する女性も多いだろうと評者はいう。 裕福になった彼女は、無名の芸術家のパトロンにもなるが、ただ善意の行為ではない。 彼らが成功すれば、シャネルその人の格が上がる。 フランスは階級社会だ。 彼女を蔑んでいた上流の淑女が、シャネルのサロンに呼ばれることを欲する。 すごい上昇志向だね。 善でも悪でもない、両義的な存在。 私:そんな謎と複雑な個性もまた、シャネル・スーツ同様に女性を心地よく包むようだと評者は、この本がよく売れている理由を説明している。 普段は、有名なブランド名としか知らなかったのが、その背景にココ・シャネルという女性の生き方があったとはね。 女性問題は、世界的な「#Me Too」運動がある中、日本では最近の財務省次官のセクハラ問題などで、世間の関心が高まっているね。 一方で、女性活躍社会の推進政策がある。 相撲の女性の土俵立入り禁止もある。 まだ、もめそうだん。
2018.04.21
コメント(0)
私:防衛庁統合幕僚監部に勤務する30代の男性3佐は16日夜、東京・永田町の参院議員会館前をジョギングしていて民進党の小西洋之参院議員と遭遇。 小西氏だと確認したうえで、3佐は自衛隊と名乗り、「お前は国民の敵だ」などとののしってきたという。 A氏:まさに「日報」問題に次いで「シビリアンコントロール・文民統制」が試された事態となったね。 さらに、問題だったのは、3佐の暴言が明らかになった17日、小野寺防衛相が報道陣に「若い隊員なので様々な思いもある」と3佐を擁護したともとれる発言をし、野党側が反発。 それで反省したのか、小野寺防衛相は、19日の参院外交防衛委員会では、「自衛官にも憲法で保障された内心の自由は認められるが、今回のような不適切な発言は決して認められない」と強調し、「不適切な発言をした者を擁護するつもりはない。厳正に対処する」と釈明。 私:どうも「日報」問題のときから、小野寺防衛相の「シビリアンコントロール・文民統制」の考えは甘いね。 自衛隊のイラク派遣の「日報」がやっと見つかったのを「シビリアンコントロール・文民統制」がされていないのではないかと野党に追及されたら「提出するように強く要請したら、出てきたから『シビリアンコントロール・文民統制』されている」という答弁だった。 強く言われて提出するということは、強く言われないと放置して平気という「コントロール・文民統制」されていない状態なのが小野寺防衛相は理解していないらしい。 「日報」問題で小野寺防衛相の「シビリアンコントロール・文民統制」の考えの甘さが、今回の統幕3佐の問題にも出ているね。 小野寺氏は「自衛官にも憲法で保障された内心の自由は認められる」と言っているが、これも問題だね。 このブログの「自衛隊のこれから」元防衛大学校長・五百旗頭真氏で、五百旗頭氏は、槇智雄・初代防衛大校長の「服従の誇り」という言葉を引用している。 槇智雄・初代校長は、防大生に示し、外からの強制ではなく、自ら進んで民主政府に従う、それは誇りに足ることだと、「シビリアンコントロール・文民統制」の「内面化」を説いていたという。 自衛隊員の内心は「憲法で保障された内心の自由は認められる」ですまない。 「自ら進んで民主政府に従う、それは誇りに足ることだと、『シビリアンコントロール・文民統制』の『内面化』が求められる」のだ。 A氏:自衛隊員は「憲法で保障された内心の自由は認められる」だからといって、内心はクーデターを起こすことを考える自由はないのだね。 これを槇智雄・初代校長は「シビリアンコントロール・文民統制」の「内面化」と言っているわけだ。 自衛官トップの河野克俊統合幕僚長は19日、会見で「(3佐の言動は)非常に不適切。いかなる理由があろうと国会議員にあのような暴言を吐くことは許されない」と述べた。 防衛省は、3佐の言動が自衛隊員の品位の保持や政治的行為の制限などを定めた自衛隊法に違反する疑いがあるとみて、懲戒処分を検討している。 しかし、その前に、自衛隊はこの3佐にどのような「シビリアンコントロール・文民統制」の「内面化」教育をしてきたのか明らかにすべきだね。 私:「自衛隊法」は自衛隊員に対し、58条で「品位を保つ義務」を課し、61条で選挙権の行使を除く政治的行為を制限している。 同法施行令は、特定の政党を支持・反対する目的で職権を使うことなどを禁じ、憲法15条が定める「全体の奉仕者」である公務員としての規定だが、これを厳格に適用することで、文民統制を具現化してきた。 今回、暴言を発した3佐の階級は、戦前の軍組織に当てはめれば将校の少佐にあたり、その立場で国民の代表である国会議員に公然と敵意を示したとして、希望の党の玉木雄一郎代表は「1938年に帝国議会で陸軍中佐が議員に『黙れ』と一喝した事件を思い出す」と話す。 32年には青年将校が「国民の敵」と書いた紙をまいて当時の犬養毅首相を暗殺した5・15事件も起きた。 「80年たって非常に嫌な雰囲気が漂ってきた。実力組織の統制に大変危機を感じる」と希望の党の玉木雄一郎代表は話す。 同志社大の武蔵勝宏教授(立法学)は「今回は野党の政治家に対する威嚇だったが、そうした憤りが転じ、首相に向かうことがないとも限らない」と懸念。 ジャーナリストの布施祐仁氏は「自分の立場を自衛官と明かして国会議員に『敵』と言うのは、『文民統制』なんか受けないと宣言しているに等しい」と指摘し、「今回の行動に何らかの土壌があるなら、非常に危ない。災害派遣で国民に信頼されてきたのに、不安を抱かれるのは自衛隊にとってもプラスにならない。しっかり原因究明すべきだ」という。 A氏:「日報」問題でも、底辺にその「自ら進んで民主政府に従う、それは誇りに足る」という意識が欠如しているね。 私:今回の行動に何らかの土壌があるなら、非常に危ない。 災害派遣で国民に信頼されてきたのに、不安を抱かれるのは自衛隊になっては、プラスにならないから「シビリアンコントロール・文民統制」の「内面化」教育の原点にもどり、しっかり実態究明すべきだね。「内面化」の理解不足の小野寺防衛相にそれができるだろうか。
2018.04.20
コメント(0)
私:昨年末にソースネクスト社が発売した「ポケトーク」は、世界60以上の言語に対応し、一時は生産が追いつかなくなった。 ネットに接続し、言語ごとに翻訳エンジンを選択する仕組みを取り、資生堂ジャパンも導入、デパートの店頭などで外国人の接客に活用している。 音声翻訳機「ポケトーク」は手のひらサイズだが、通訳として活躍している。 A氏:2000年に480万人だった訪日外国人の数は、昨年には2870万人にまで増え、「ポケトーク」などの機器や、スマートフォンに入れる翻訳アプリなどで、外国人は日本で観光をしやすくなり、日本人も海外を訪ねやすくなるだろう。 私:京都の学研都市にある「情報通信研究機構(NICT)」の研究所は、無料の音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」の開発拠点。 スマートフォンなどにアプリを入れると、31言語に対応し、通訳してくれ、グーグルの自動翻訳を使う人も増えているが、政府系のこの研究所は、日本の企業の協力も得て、「日の丸」翻訳エンジンの性能向上に力を入れている。 「ボイストラ」の翻訳エンジンも、グーグル同様、人工知能(AI)を使って大量の例文を読み込ませることで、進化している。 A氏:研究所長の木俵豊氏は、日英など日本語を介する翻訳では、グーグル翻訳よりも精度が上だと自信を示す。 「みらい翻訳」と共同開発した翻訳エンジンは、英語検定のTOEICで900点を取るビジネスマンと同等以上の和文英訳の能力があり、2年後の東京オリンピックに向け、民間企業と協力し、タクシー運転手が使いやすいアプリの開発も急いでいる。 私:そうなると、日本人が苦労してきた「英語の壁」は低くなりつつあるが、一方で、英語が再来年度から小学校の教科になり、大学入試の英語も変革期にある。 自動翻訳が進化する中、英語学習はどこまでやるべきなのか。 研究所長の木俵豊氏は、「英語学習を通じて他国の文化を知るのは大切です。海外で活躍するビジネスマンなどは今後も英語で話した方が良いでしょうが、日常会話なら自動翻訳で十分になると思います」といい、「英語はコミュニケーションの道具ですから、英語教育も、子供たちが学ぶのが楽しいと思える方向になってほしいですね」という。 俺たち世代は、中学生の頃、始めて英語に接したとき、日本語や漢文と違った言語体系の文化に大いに好奇心を持って飛びついた記憶があるね。 A氏:自動翻訳が進化していけば、ネット上の膨大な海外の情報に、簡単に触れられるようになり、音声翻訳を使えば、外国人とも気軽に話せるようになる。 日本人にとって外国は、より身近になり、自動翻訳は英語教育の「代替」ではなく、「促進」にもなりうると感じると山脇岳志氏はいう。 私:俺たち世代は、英語の本を読むのは得意だったが、会話には閉口したね。 もっと、早く自動翻訳が進んでいたら、もっと豊かなコミュニケーションが、外国人とできたのにと思うね。 東京オリンピックには大いに活躍することを期待したいね。
2018.04.19
コメント(0)
私:フランスのマクロン大統領は3月末、世界中からAI分野の有識者を招き意見交換会とシンポジウムを開催し、フランスを「AI立国」とすると宣言。 2022年までに15億ユーロをAI分野に投資し、規制緩和を進める。 新井紀子氏は、このフランスの動向をAI分野で、地政学的な変化が起きようとしていると指摘。 すでに、ドイツは早々に、ビッグデータやAIを活用することで製造業の革新を目指す国家プロジェクトの「インダストリー4.0」を開始。 日本でも各省が競ってAI関連のプロジェクトに着手したが、それでも、米国や中国との距離は縮まるどころかますます水をあけられている。 A氏:ところが、新井氏が、フランスの意見交換会が開かれるエリゼ宮に到着したら出席者の約半数が女性なのに驚いたという。 女性研究者は1割程度といわれるAIの会合では極めて異例。 そして、「破壊兵器としての数学 ビッグデータはいかに不平等を助長し民主主義を脅かすか」の著者キャシー・オニールや、データの匿名化に精通したハーバード大学のラタニア・スウィーニーが含まれていた。 私:マクロン大統領は、「AIの影響を受ける人々は『私』のような人(白人男性で40代)だけではない。すべての人だ。AIがどうあるべきかの議論には多様性が不可欠だ」という。 マクロン大統領のAIに対する姿勢が違うね。 「新技術が登場する時には心配する人は必ずいる。電話やテレビが登場したときもそうだが、何の問題もなかった。AIも同じだ」と楽観論を展開するヤン・ルカンに対し、マクロン大統領は「これまでの技術は国民国家という枠の中で管理できた。AIとビッグデータは違う。圧倒的な寡占状況があり、富の再分配が行われていない。フランスが育成した有能な人材がシリコンバレーに流出しても、フランスに税金は支払われない」と厳しく指摘。 A氏:アメリカと中国でブームになると、日本は慌ててAIに手を出したが、「何のため」か、はっきりしない。 夏目漱石そっくりのロボットを作ってみたり、小説を書かせてみたりと、よく言えば百花繚乱悪く言えば迷走気味で、メディアも、AIと聞けば何でも飛びつく状況。 フランスは違い、AIというグローバルゲームのルールを変えるために乗り出してきた。 私:最後発のフランスにルールを変えられるのか。 マクロン大統領のAIアドバイザーを務めるのは数学者のセドリック・ビラニ氏で、氏は、法学者や哲学者も連係して、アルゴリズムによる判断によって引き起こされ得る深刻な人権侵害、AIの誤認識による事故の責任の所在、世界中から最高の頭脳を吸引するシリコンバレーの「教育ただ乗り」問題を鋭く指摘し、巨大なIT企業の急所を握り、「データとアルゴリズムの透明性と正当な利用のための共有」という錦の御旗を掲げながら、同時に投資を呼び込む作戦。 最初の一手は、5月に施行されるEU一般データ保護規則になることだろう。 ヨーロッパでは哲学も倫理学も黴の生えた教養ではなく、自らが望む民主主義と資本主義のルールを通すための現役バリバリの武器なのだ。 振り返って、我が国はどうか。 哲学者・森岡正博氏寄稿の朝日新聞1月22日の「AIは哲学できるか」と題した記事で、森岡氏が「人間の研究者が『人工知能カント』に向かっていろいろ質問をして、その答えを分析することがカント研究者の仕事になると私は予想する」とあるが、これに対して、新井氏は、「これでは、日本の哲学者の仕事は風前の灯と言わざるを得ない」と厳しい。 この森岡氏の寄稿文をこのブログでとりあげようとしたが、どうもピンとこなかたのでやめた経緯があるね。
2018.04.18
コメント(0)
私:エズラ・ボーゲル氏は、高度成長期の日本を描いた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で有名な知日派だが、深い中国研究でも知られる。 国家主席の任期制限を撤廃して「一強」となった中国の習近平氏はこれからどこへ進み、米国や日本とどう向き合おうとしているのかをエズラ・ボーゲル氏にインタビュー。 まず、米中の貿易摩擦がエスカレートしていることについて、中国が継続的な経済成長によって強大になり、米国が相対的に衰退したことが背景にあるとボーゲル氏はいう。 米国内で中国への見方が変わったのはこの数年のことで、中国で今後民主化が進むことが期待できず、それが、米国内の警戒論に拍車をかけているという。 A氏:これまで中国との関係改善に積極的だった米経済界と学術界が、今はそれほど前向きではなく、中国の外資参入障壁で米企業がしばしば中国市場から締め出されていることに、経済界は失望しており、米学術界も、中国の学術界では、自由があまりにも制限されていると感じているという。 中国は昨年の党大会で、内外に自信を誇示したので、北京の若者は中国の政治制度が世界一だと信じているようで、特にトランプ大統領が誕生してから、米国の時代は終わったと思っているのかもしれず、そうした姿勢が米国の世論を刺激しているという。 私;トランプ政権は新たな国家安全保障戦略で、中国をロシアと同じ「競争国」と位置づけたが、いま米中は、大変厳しい時期を迎えているという。 今後さらに国力が強まった中国がどう出るかわからず、米国は大変危惧していて、習近平国家主席が大きな力を持つにつれ、中国は強硬姿勢をとり、軍事行動に出る可能性すらあるが、今後中国の経済成長が鈍化する中で、各国と対立すればさらに難しい問題を抱えることになるので、ボーゲル氏は、習氏はそこまでの行為には至らないとみている。 私:ボーゲル氏などの有識者はトランプ氏を評価しておらず、歴代大統領で最悪だと思っている。 トランプ政権下の米国は自由貿易や環境問題で建設的な役割を果たさず、TPPからの離脱などで米国に多大な損害すら与えているからで、メキシコやカナダにも被害を及ぼしている。 その米国が退いた空白を突き、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクロード経済圏構想で各国から支持を得ている。 中国は政治的にも影響力を世界に及ぼそうとし、中国は宣伝工作部門を使って国民を統制するやり方で、世界中にも影響力を及ぼそうとしているが、それは他国には受け入れがたいものだと、ボーゲル氏は指摘する。 A氏:言論が制限されている中国では、一人の指導者が長く政権に就くことで、自由な言論が抑圧され、習氏が進める「反腐敗キャンペーン」によって、処罰されることを恐れている人も大勢いるという。 トウ小平研究で知られるボーゲル氏から見ると、ホワイトハウス高官は「習氏の権力はトウ小平を超えた」と評したのに対し、ちょっと違う気がするという。 トウ氏は1920年代初頭から毛沢東の右腕として地下活動を続けた経験があり、軍のリーダーも務め、5年間をフランスで、1年間をソ連で過ごした経験があり、多くの海外指導者とも面識があり、彼はそれまでの実績や経歴で偉大な権力を得ており、肩書を必要としなかった。 これに対して、習氏は北京での勤務経験や軍の経験はほとんどなく、だからこそ、主席の続投にこだわり、肩書では習氏はトウ氏よりもはるかに力があるように見えるが、真の権力という意味ではトウ氏の方が圧倒的な強さを持っていたと、ボーゲル氏は指摘する。 ただ、以前、ボーゲル氏は習政権にまだ期待を持っているとも言っていたが、経済構造改革はそれなりにいいと思うが、一方で、いまは政治改革については悲観的で、数年前には、政治体制の改革が起こるとみていたが、今その可能性は極めて低いという。 私:今は成長率が年6%あるいはそれ以上で成長しているが、今後数年間での失速が見込まれていて、経済成長が鈍化すれば様々な問題が浮上し、習氏は難しい立場に置かれることになるという。 例えば地方債務の問題で、現在は政府資金を投入することで何とか取り繕っているが、今後このやり方を続けていくことは難しいという。 A氏:「ポスト習」候補については、ボーゲル氏は、習氏は知名度や人気度よりも、個人的な関係の深さを重視しているようで、自分に忠誠を誓う人材を登用したいと考えているような気がし、これまでの共産党の人事システムでは、まず地方で実績を重ねてから省レベル、そして中央政府に登用されてきましたが、習氏はかつて一緒に働いたことがある側近を登用する傾向があるようだという。 「お友達、仲良し政権」だね。 私:冷え切った対日関係に2期目の習体制が、好転させる可能性について、ボーゲル氏は、 2019年にかけては、李克強首相の訪日を皮切りに、安倍首相の訪中、そして習主席の訪日につながれば意義ある前進となり、重要な進歩があるという。 しかし、中国が『反日』というカード中国国民を一致団結させるのに非常に有効だからこれを捨てるとは思われないという。 だが、少しずつ変化の兆しがあり、民間レベルでの交流の積み重ねが、両国関係の好転に寄与するはずだと信じているという。 A氏:北朝鮮問題については、習指導部は、朝鮮半島政策について長期的な視点で考えているとみていて、軍事衝突を避けつつ、長期にわたり影響力を行使し、在韓米軍の撤退も含まれるという。 この状況下での日本の行動については、トランプ政権の不確実性を考えれば、米国による日本への関与を確かなものにするため、両国の防衛装備の相互運用を強化し、在日米軍を維持していくことが賢明なやり方で、あわせて中国のほかインドや東南アジア諸国との関係強化も進めていくことも必要だとボーゲル氏はいう。 私:ボーゲル氏の意見は、ある意味で、広くバランスのとれたものだが、今後、指摘された「習氏一強」体制の不安要因がどうなるか、気がかりだね。
2018.04.17
コメント(0)
私:中東では米国のシリア爆撃でシリア問題が大きくなっていて、トランプ米大統領が昨年12月、エルサレムをイスラエルの首都と宣言したパレスチナ問題がかすんだ感じだ。 A氏:しかし、今年5月には米大使館を商業都市テルアビブからエルサレムに移転する計画だ。 パレスチナ自治区ガザ地区の人々は3月30日、地区とイスラエルとの境界付近で、パレスチナ難民の帰還を求める大規模デモを始めた。 イスラエルの占領に抗議しながら行進する平和的なデモだったが、参加者の中には石を投げたり、タイヤに火を付けたりした人もいた。 この「原始的な武器」にイスラエル軍は催涙ガスや実弾で返してきて、死者は15人、負傷者は1400人を超えた。 私:デモはイスラエル建国に伴ってパレスチナ人約70万人が難民になった「ナクバ」(大破局)70周年の5月15日まで、毎週金曜日に6週間続き、米大使館が移転されるのはその前日の同14日。 しかし、アラブ諸国やアラブの人々が、共に闘ってくれるかどうか、現実は厳しい。 2012年と14年、イスラエルがガザを大規模に攻撃し、2千人以上が死亡したが、アラブ諸国はイスラエルの暴力を止められなかった。 米政権の一方的な「首都宣言」にアラブ諸国は一斉に非難の声明を上げ、宣言の撤回を求める国連決議でアラブ諸国は賛成に回ったが、米国の外交官の追放や国交断絶といった強硬手段には踏み出せていない。 A氏:かって、パレスチナの占領をめぐりアラブ諸国はイスラエルと4次にわたる中東戦争で対決。 パレスチナ問題はアラブが団結できるテーマだった。 イスラム教徒にとってサウジアラビアのメッカ、メディナに次ぐ聖地エルサレムをイスラエルの首都とする米政権の決定は、アラブにとってのど元に刃物を突きつけられたに等しい。 しかし、アラブの反発は予想以上に弱い。 私:「アラブの春」の挫折に伴う混乱で、中東の相関図は、ほどきようもないほど複雑化していて、中東の覇権を争うサウジとイランは、イエメンで「代理戦争」を起こし、対イランで利害の一致するサウジとイスラエルは対立よりも協力を模索している。 シリア内戦は終わる気配がなく、リビアは今も政府が分裂している。 そして、各地で吹き荒れた過激派組織「イスラム国(IS)」の恐怖支配と殺戮。 各国は自国の安定と権益を確保するのに精いっぱいで、米国とイスラエルはそんなアラブの無力感を見透かしている。 翁長忠雄氏は、「アラブの若者の怒りと絶望がマグマのようにたまっている。国際社会がそれを放置したままでは、若者は過激な思想にしか希望を見いだせなくなる。トランプ氏が『テロとの戦い』の先頭に立つつもりなら、アラブの切実な訴えに真摯に向き合ってほしい」という。 今回の米国のシリアへのミサイル攻撃で、ロシアも中東問題に深くからんできて、中東問題はますます複雑化してきたね。
2018.04.16
コメント(0)
私:今週の読書欄でたまたま、地方経済に関係する表題のもの、2冊があったのでとりあげよう。 『復興の空間経済学』の副題は、「人口減少時代の地域再生」で、藤田昌久氏、浜口伸明氏、亀山嘉大氏の共著。 もう一つの『福岡市が地方最強の都市になった理由』は木下斉〈著〉のビジネス書。 『復興の空間経済学』の導入部には、「津浪後の復興は目覚ましく、たちどころに失われた戸数、人口の満たされてしまう状態にある」という「引用」があるが、「引用元」は1933年に起きた昭和三陸地震の10年後に、地理学者が書いた本の一節という。 東日本大震災後に見てきた光景とは、随分違う。 本書はこの対照をもたらした要素として、人口の動き――被災地域だけでなく、日本全体の人口の増減や分布の変化に着目。 かつての津波被害のときは、日本の人口は増え続けており、豊かな漁場といった資源の希少性は高まる一方で、それゆえ「三陸沿岸部には、復興を自然に成し遂げる条件があった」という。 では、日本全体が人口減少に転じたいま、復興のあり方はどのような影響を受けるのか、何に注意すべきなのか。 本書は、「空間経済学」を用いて、その分析を試みていると評者の石川尚文氏はいう。 A氏:「空間経済学」とは、難しそうだね。 「空間経済学」は、都市や産業の集積がどのように生まれるのか、といった「地理的空間における経済学の一般理論を目指す」分野とされ、共著者の一人、藤田昌久氏は、この領域を切り開いてきた第一人者。 極めて抽象度の高い理論が、被災地の複雑な現状にどこまで適用できるのか。 ハードルの高いテーマを前に、論の運びがやや錯綜している印象も受けると評者は言う。 だが、人や産業を吸引する「集積力」と、反対に流出を招く「分散力」による論点の整理や、人口が増えるときと減るときの都市の盛衰は、単純に逆の過程をたどるわけではないといった指摘は、腑に落ちるところが多く、現状の厳しさを描きつつも、理論的にあり得る復興の糸口を探る視点も貫かれているという。 私:それに対して『福岡市が地方最強の都市になった理由』のほうは具体的だね。 「地方消滅」の次は「地方創生」が流行語となっているが、その中で福岡市の存在感が急上昇中。 2016年に政令指定都市の人口で、神戸市を抜いて5位にランクインし、人口増加率では東京をしのいで1位、人口増加数も2位の川崎市に大差をつけて1位。 しかも10代、20代の若者人口数が多い……と、記録ラッシュ。 A氏:躍進の理由を、著者は「都市経営」というビジネスの視点で読み解く。 福岡の優位性は、学校数が多く、まちのど真ん中に空港があり、有名企業とともに、新規起業家が集積し、市域がコンパクトで職住接近可能……というもので、それらが雇用と人口増につながり、正の循環を描く。 しかし、福岡市は高度成長時代に独自の「常識破り」を行った。 すなわち、行政ではなく民間主導で、工場誘致から早々と撤退し、開発抑制を徹底、といった「打ち手」だ。 そこには、水不足で工場誘致も市街地拡大もできなかったという、都市としてのハンディキャップがあった。 会社も都市も弱みを乗り越える時に、生き残りの知恵がつく。 私:「お金がない」「時代が悪い」と思うなら、むしろ今こそチャンスを手にしている、と考えるべきなのだと評者のジャーナリスト・清野由美氏はいう。 それにしても東京集中はますます進み、「地方創生」のスローガンはどうなったのかね。 税金を投じているのだから経過報告がほしいね。
2018.04.15
コメント(0)
私:高齢者は「65歳」から、という線引きの見直し論が出ているとして、朝日新聞は、3氏にインタビューしている。 1人目の秋山弘子氏は、「生涯現役」の意欲を活かせということで、調査データから男女ともにおおむね70代半ばまではひとり暮らしができるくらい健康、ということがわかったという。 身体機能や認知機能も若返っていて、東京都健康長寿医療センターの調査によれば、老化に関する指標である通常時の歩行速度を1992年と2002年で比較すると、男女とも11歳若返っていた。 日本老年学会が昨年、「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」にすべきだと提言したのも、こうしたデータの裏付けがあったから。 A氏:定年や公的年金の支給開始の年齢を75歳に引き上げるべきだ、という意見もあるが、秋山氏は、高齢者は個人差が大きいから反対だという。 70歳でマラソンを完走する人もいれば、自宅の郵便受けまで歩くのがやっとの人もいて、年齢で線引きして定義すること自体、あまり適当ではないという。 かつては余生だった定年後の考え方が団塊の世代あたりから65歳は「セカンドライフの出発点」という考えに変わってきて、日本の高齢者は支えられる側よりも支える側にありたい、と願っている人が多いという意欲を生かさぬ手はないと、秋山氏はいう。 定年後は健康で仕事の能力もあるのに、行くところがなく、家でテレビばかりみている人が多かったので、徒歩や自転車で行ける距離で農業や学童保育といった就労機会をつくり、働き方もその人の体力や自由な時間にあわせるという、生涯現役促進地域連携事業と名付けられたこの手法には政府の予算がつくようになり、いまは29自治体に広がっている。 働けば、身体を動かし、頭も使うほか、人とのつながりもでき、健康寿命を延ばす特効薬といえる。 今後も減っていく生産年齢人口を補うための最適解は生涯全員参加型の社会をつくることで、それは、高齢者や女性だけでなく、病気や障害、介護など様々な問題を抱えている人たちが無理なく生涯、働ける柔軟な社会だと、秋山氏はいう。 私:秋山氏の考えのベースにあるのは、「生涯現役」発想だが、これと正反対の考えのベースを持つのが2人目の「70歳まで働く人生、幸せか」という森永卓郎氏だね。 これは、労働は「苦役」だという欧米型発想だね。 俺の若いときに、知り合いの外国人が、定年は40才くらいがいいと言っていて、ビックリして理由を聞いたら、40才で定年になって年金がもらえるなら後は、十分に好きなことができるからだという。 「労働」の語源から考えると、まずラテン語系の laborには古代の奴隷制を連想させる苦役のイメージが色濃く付きまとっていて、堪え忍ぶ苦しい仕事の意味合いが強く、労使関係、労働運動、革命運動等の文脈における「労働」は基本的に labor 。 ちなみにドイツ語の Arbeit の語源的意味も 「辛苦」、「困苦」であり、フランス語の travail にいたっては「責苦」、「拷問」という恐ろしい意味が語源にあり、この系列では、働くことは「苦」。 定年でその「苦」から解放されるというわけだ。 A氏:森永氏は、安倍政権の成長戦略は、年をとっても働け、ということにつき、「1億総活躍社会」は、経済成長のための国家総動員体制だという。 70歳まで働いたほうが成長率が上がるというのは経済学的には正しいが、問題は、そういう社会が望ましいのかということだと、森永氏はいう。 「経済成長こそすべての目標だ」というのは、考え直す時期に来ており、絶対的貧困はなくさなければならないが、高齢まで働き続けて、必要以上に経済を成長させても、幸せな社会にはならないという。 これまで通り働くのは65歳までにして、そこから好きなことをするという社会のほうがいいし、減ったとはいえ年金があれば、あまりお金にならない仕事でも食べていける。 みんな年をとったらアーティストになればいい、そのほうが楽しいし、社会として健全だという。 私:森永氏自身、65歳になる前から、将来やりたいと思うことは全部始めていて、歌手も、役者も、カメラマンも、落語家も、おもちゃ屋もやってみたし、博物館もオープンさせた。 金にはならないが、すごく楽しいという。 高齢者の基準を決めるには、まずどういう人生が幸福かという根本的な議論をすべきで、政府が勝手に決めていいものではないと森永氏は指摘する。 今、「人生100年時代の国家戦略」などいう言葉があるが、森永氏の言うように福利厚生財政の検討を中心にしてもらい、経済成長のための「生涯現役」戦略は考えものだね。
2018.04.14
コメント(0)
私:株価の乱高下を説明しようとするのはばかげたことだが今回は、何が起きているのかかなり明快で、トランプ氏が脅しの通りに高関税をかけ、他国から報復を招くのではないか、と投資家が思うたびに、株価が急落し、単なる芝居だと判断すると株価は回復する。 市場は貿易戦争をいやがるのだとクルーグマン氏はいう。 A氏:クルーグマン氏は、やる気があるのかないのか分からない中国との対決について、具体的に見ていこうという。 ある意味、中国は実際に世界経済における厄介な存在で、特に知的財産権の国際ルールをあざけるように、適切な対価を払わず外国の技術を奪ってきた。 公平を期すなら、トランプ政権の高官は確かに時折、強硬姿勢の理由として知的財産権の問題を挙げている。 だが、中国に技術の対価を支払わせるのが目的ならば、米国は具体的な要求を示し、中国にそれをのませるための戦略をとるはずだ。 私:しかし、トランプ氏が本当に気に入らないのは、中国の政策的な罪状ではなく、対米貿易黒字のようで、その額は年に5000億ドルにも上ると繰り返し述べている(実際には3400億ドル弱だが、どうせ誰も知らないだろ、というわけだとクルーグマン氏は指摘する)。 この貿易黒字は中国が米国から毎年5000億ドルを勝ち取っている、要するに盗んでいるということだ、とトランプ氏は主張している。 しかし、総じて米国の貿易赤字は、外国人から呼び込む対内投資の方が、米国人が他国に行う対外投資よりも多い、という事実を別の側面から見たもので、貿易政策は何の関係もない。 そしてクルーグマン氏の知る限り、トランプ政権では誰一人理解していないように思われる紛れもない事実があり、それは、中国はもはや大幅な貿易黒字を抱えていない、ということ。 A氏:今から10年前、中国の経常収支の黒字(サービス貿易や対外投資の所得も含めた総合的な基準)は、GDPの「9%超」と非常に大きな数字だったが、2017年には、それがわずか「1.4%」となり、これは大した数字ではない。 対して、米国の経常収支の赤字は対GDP比で「2.4%」と少し大きいが、2000年代半ばの不均衡に比べれば大幅に是正されてもいる。 私:しかしそれなら、なぜ、米国と中国の「二国間」貿易はそれほど不均衡なのか? 答えは一種の統計上の錯覚、という面が大きいく、中国は巨大な加工貿易国だということ、 日本や韓国などの国から輸入した部品を組み立て、米国市場向けの消費者製品を製造する。 米国が中国から輸入する物の多くが、本当は別の国で作られている。 グローバルなサプライ・チェーンだね。 だから、例えば、日本の部品メーカーの中国からの収入(中国では支出)が中国の対米黒字の陰にかくれている。 実のところ、中国が対米黒字を削減するためにできることがあるのかさえ、明らかではなく、そのためには、サプライ・チェーンをなくし、中国経済をまるっきり別物へと変えなければならないだろう。 今の世界経済のほとんどを機能停止にするような全面的な貿易戦争を起こさない限り、そんなことは実現しないとてクルーグマン氏は指摘する。 A氏:トランプ氏自身は大規模な反グローバル化など平気かもしれないが、これまで見てきた通り、彼の愛する株式市場はいやがっている。 企業は、固い絆で結びついた世界経済がこのまま続くという前提のもとで多額の投資を行っており、貿易戦争が起きれば、その投資の多くが座礁資産化する。 日本経済も大変なことになる。 それから米国の農業生産の輸出割合は大きく、穀類では3分の2近くを占めているから、貿易戦争はトランプ支持層の住む農村部のほとんども荒廃させるだろう。 私:ある日、トランプ氏が貿易について強気な発言をしたかと思えば、株価が下がって、慌てて彼の顧問たちが貿易戦争は実際には起こらないと言い、そうなるとトランプ氏は自分が弱腰に見えるのではと心配になり、もっとたくさんの脅し文句をツイッターでつぶやく、という繰り返し。 グルーグマン氏は、これを「振り回しの術と呼ぼうではないか」という。 米中の貿易戦争は、株式市場が嫌っているだけでなく、日本経済も含め世界が大きな経済不況に陥ることを多くの経済専門家が指摘しているね。
2018.04.13
コメント(0)
私:筆者は、なぜ、「企業や地方自治体の不祥事」で当たり前になされる対処が「国政の不祥事」ではなされないのか。 なぜ、米国の政治スキャンダルでしばしば採られる対処が、日本では検討さえされないのか。 という疑念を問題にしている。 A氏:もし、日本の上場企業で大きな不祥事が持ち上がれば、第三者委員会を設け、デジタル・フォレンジック(電子鑑識)の最新技術を駆使して関係社員のパソコンやメールの履歴を調べ、プロの外部弁護士が関係者の事情聴取を重ね、報告書をまとめ、それを公表する。 もし、問題が見つかれば、会社自身が現旧の経営陣の責任を追及し、それが手ぬるければ株主が代表訴訟を起こす。 自治体でも同様で住民訴訟が威力を発揮し、元社長や元首長が巨額の賠償金を払うのに四苦八苦する事例は今や珍しくない。 これらは当局による捜査・訴追とは目的が異なり、別途、並行して進められる。 ところが、国政では、そうした事例はほとんどない。 私:もし、米国で大統領やその周辺の関与が疑われるような犯罪容疑が持ち上がれば、たいてい独立性の高い特別検察官が任命され、政府高官に非行があれば、その省庁の監察総監(インスペクター・ゼネラル、IG)が強大な権限を使って調査する。 議会に付属する独立の調査機関、政府監査院(GAO)も事実関係を吟味し、施策の効果やその適否も含め外部評価、改善策の選択肢を示す。 ところが、日本には特別検察官も監察総監もGAOもない。 昨夏に国連腐敗防止条約に参加したことで、日本も「独立性を付与された腐敗行為防止機関」の設置を義務づけられたが、閣僚ら特別職国家公務員については未設置。 A氏:これに対し、奥山俊宏氏は次のように9つのパッケージ提案をしている。 (1)捜索・差し押さえや証人尋問の権限を持つ監察総監(日本版IG)の全省庁への設置 (2)国会付属の政府監査院(日本版GAO)の創設 (3)特別検察官の制度化 (4)独立性のある腐敗捜査機関の創設 (5)政府や政治家への働きかけをめぐる資金の流れを透明化するロビーイング規正法の制定 (6)請願手続き法の制定と電子請願の制度化 (7)納税者代表訴訟(住民訴訟の国政版)の制度化 (8)公益法人通報者保護法の拡充 (9)公用メールの全部保存など公文書管理の徹底 私:この30年、日本の上場企業ではガバナンス(統治)、コンプライアンス規範順守)が格段に進歩してきた。 米国はさらに先行する。 奥山氏は、「パッケージとして上記の9項目を実現しなければ、日本の政府は、国際社会からも民間からも後れをとった、規律のない恥ずかしい組織になり果ててしまう。それを私は恐れる」という。 今、毎日のようにマスコミで報じられる森友学園、加計学園、自衛隊と集中的に続く国政の不祥事。 その解明がきちんとできないのをみると、日本の国政の遅れをつくづく感じるね。
2018.04.12
コメント(2)
私:2050年を見据えたエネルギー戦略を議論していた経産省の有識者会合「エネルギー情勢懇談会」が10日、原子力発電の「依存度低減」と太陽光発電などの再生可能エネルギーの「主力電源化」という二つの柱を打ち出した提言をまとめた。 提言では、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、「原発」は依存度を「可能な限り低減する」としつつ、脱炭素社会を実現するための「選択肢」と位置づけ、人材や技術の強化に「直ちに着手」するとしており、「脱原発」の道は取らない姿勢を打ち出している。 A氏:一方、「再生エネ」は「経済的に自立し脱炭素化した主力電源化」を目指すとし、発電した電気を蓄電池に「貯める」仕組みを整え、「火力発電」を伴わなくてもすむようにし、1キロワット時当たり95円(経産省試算)のコストを、10・1円以上とされる「原発」並みに下げることを目指し、「固定価格買い取り制度」がなくても成り立つようにするというが、実現には一段の技術革新が必要となる。 私:提言をまとめた「エネルギー情勢懇談会」の10日の会合でも、最後まで意見がぶつかり合ったのは「原発」の扱いだった。 昨年8月からの議論を踏まえ、提言は「原発」について「依存度低減」と明記する一方、「脱炭素化の選択肢」としたが、「依存度低減」といっても、どの程度減らすかなどの数値は示しておらず、将来の新増設の余地は残している。 また、一部メーカーが開発を進める新たな「小型原子炉」などを念頭に「安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求」との文言も入り、「原発」を将来にわたって維持しようという姿勢がにじむという。 世論調査で「原発」再稼働への反対意見が賛成を大きく上回る中、経産省は基本計画の中に「原発」の新増設を後押しする文言の明記は見送る方向。 一方で、長期的には「原発」が必要との文言を明記したい考え。 提言が「原発」について「脱炭素化の選択肢」とのお墨付きを与えたことで、基本計画にも長期的な原発の重要性を明記しやすくなった。 A氏:「主力電源化」を目指す「再生エネ」は、世界的に価格低下が著しい。 「再生エネ」は、日本でも12年に始まった固定価格買い取り制度で導入量が増え、電源構成に占める割合は約15%と、30年度に22~24%にするとの目標に近づき、独り立ちして、安定供給を担う主役になれる状況が見えてきた。 天候次第で変動が大きい太陽光や風力は、余った電気を使う「蓄電池」や「水素・メタン発電」などと組み合わせて普及させる。 電力の需給バランスを調整する火力依存から脱するためだ。 ただ、現状では、「蓄電池」や「水素発電」などは割高で、相当な技術革新が進まなければ、ほかの電源に太刀打ちできなく、技術革新が遅れ、「再生エネ」のコスト引き下げが進まなければ、「より割安」などとして「原発」を推進する口実にされるおそれもあるという。 私:しかし、ブログ「『原発は安い』、崩れた神話」でとりあげたように、「原発の発電コスト」は、廃棄物処理コストなどを含め、本当に安いのか、きちんとした計算がほしいね。
2018.04.11
コメント(0)
私:3氏のうち、五百旗頭真氏のインタビューがまとまった内容になっているので、これをとりあげよう。 五百旗頭氏は、自衛隊は米国の翼の下にあった冷戦期とは異なり、本当に危ない事態に自前で対応しなければならない時代になったと指摘している。 一方で、日本は少子高齢化で人材の獲得競争が強まり、自衛官のなり手の減少や質の低下が懸念されている。 五百旗頭氏の防衛大学校の校長時代に行った改革のポイントは、優秀な人材を確保するための入試改革と、入学した学生を伸ばすカリキュラムや動機づけの強化だったという。 A氏:勉強の点数に限らない全人間的要素をみる、総合選抜入試を開始し、諸外国と戦略対話ができるような人材育成のため、人文社会系にも博士課程を作り、世界の主要な文化圏の教授陣をそろえ、士官学校交流を広げるなど、将来、幹部自衛官となって異文化社会で活動する素養を身につける体制を整え、遅ればせながら、学生の枠も増やしているという。 私:自衛隊は日本社会における最大の実力組織で、それだけに、国民に選ばれた政府に自衛隊が服する文民統制(シビリアンコントロール)が極めて重要。 槇智雄・初代校長は「服従の誇り」という言葉を防大生に示し、それは外からの強制ではなく、自ら進んで民主政府に従う、それは誇りに足ることだと、「シビリアンコントロール」の内面化を説いていた。 今度の「日報」問題は、底辺にその「自ら進んで民主政府に従う、それは誇りに足る」という意識が欠如しているね。 大臣に言われて、「日報」が「発見」され、「日報」が地下にある自然物の発掘のような感覚で扱われ、大臣の強い要求でないと出てこない。 地下に埋めたのは自然物でなく、隊員が意図的に埋めて隠したものでゲームではないのだか、「発見」はおかしいね。 「シビリアンコントロール」は内面化していないで崩壊している。 それなのに、大臣は、強制して要求したら「日報」が「発見」されたからシビリアンコントロール」がされていると弁明する有様。 A氏:五百旗頭氏は、今では、戦前の2・26事件のようなことは問題外だが、小さな不服従は、すべての官僚機構と同様にあり得るし、日本の役所における文書管理の実際は、恣意的な処分・消去を許しており、先進国の中で恥ずべきものだと指摘。 役所の通弊ではあっても、自衛隊は最高の実力組織だけに、不服従や隠蔽は深刻な問題となり得るという。 私:その点、昨年の南スーダンや今回のイラクの「日報」隠しなどの問題発覚は、残念な出来事で、ルールの未整備が深刻だと、五百旗頭氏は指摘する。 自衛隊の外国での行動を記す「日報」は、部隊の安全や国際関係上、ただちに公開すべきものではないが、正々堂々とそう言えずに存在しないといい、消去すら行うのは大問題。 公職にある者は、国民の信頼を回復するためにも、しっかりと記録を残し、一定期間を過ぎれば国民に公開すべきだという。 それは民主主義社会の基本であり、自衛隊員も同じで、現在の危機は、ルール確立の好機ではないかと五百旗頭氏は指摘する。 自衛隊のガバナンスに対する緊張感の弱さは、軍事活動の弱さにつながる。 米軍の傘の下にあり、実戦経験がないことが、緊張感の弱さにつながっているのかね。 憲法に「国防軍」と明記して解決するような問題はないようだ。
2018.04.10
コメント(0)
私:評者は、世界で一番読まれている本は聖書だろうとして、本書は、古代オリエント世界で栄えた都市を旅しながら、歴史が聖書にどのような影響を与えたかを記した一般向けの啓蒙書で、少しでも聖書に興味がある人には、ぜひとも読んで欲しいユニークな1冊だと紹介している。 A氏:著者の旅は、フェニキア人の都市「ビュブロス」から始まる。 バイブルの語源となった町で、その北方の大交易都市「ウガリト」の主神エルは、旧約聖書に登場する神ヤハウェのモデルになったという説もあるが、もしそうなら、世界を席巻した「セム的一神教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)」は、この港湾都市で生まれたことになる。 私:破壊と邪悪のシンボルであり続けた「バビロン」は、「エルサレム」が破壊されユダヤの人々が「バビロン」に捕囚民として連行されたので、「バビロン」が憎悪の対象となる。 しかし、旧約聖書が文書の体裁をとり始めたのは「バビロン」の町においてのことだった。 捕囚はペルシャの「キュロス大王」によって終わりを告げ、預言者「イザヤ」は「キュロス」を「メシア(救い主)」として歓迎。 ここから「メシア」を待望する観念が生まれ、「イエス」に結びついていく。 「アレクサンドリア」で聖書は「ヘブライ語」から「ギリシア語」に訳され「七十人訳聖書」と称されるが、訳で様々な問題が生じた。 すなわち、「モーゼ」の渡った「葦の海」が「紅海」、「イザヤ書」の「若い女性」が「処女」と訳された。 A氏:キリスト教の根幹を成す「処女降誕」は誤訳から生まれたのかも知れないというのは興味ある指摘だね。 私:「クムランの洞窟」で発見された死海写本は聖書本文の変遷を実証。 旅の最後は「ローマ」で、旧約、新約聖書の正典化の作業は、実に4世紀末まで続いた。 このように、聖書を中心に古代に栄えた都市を旅する紀行書は確かに、興味を引き、少しでも聖書に興味がある人には、ぜひとも読んで欲しいユニークな1冊といえそうだね。
2018.04.09
コメント(0)
私:朝日新聞は、今週から書評などの「読書」特集を日曜から土曜に変更。 今週、興味があったのは次の2点。 まず、最初に「ブラック労働」を扱った著書「ブラック企業」から始まり「ブラク企業2」「ブラックバイトにだまされるな」「ブラック職場 過ちはなぜ繰り返されるのか」と続く全5冊を「ひもとく」欄でとりあげている。 もう一点は、書評欄の中で小さく扱われている「ビジネス書」コーナーでとりあげている松田真一氏〈著〉『経営継承の鎖 「歴代成長」企業のDNAを探る』(評者・ジャーナリスト勝見明氏)だね。 A氏:このブログでも5年前に今野晴貴氏の「ブラック企業・日本を食いつぶす妖怪」で、とりあげているが、その後も「ブラック労働」が絶えないね。 労働弁護士・嶋崎量氏は、近年、働き始めて数年のうちに、「長時間労働」や「パワハラ」等の劣悪な職場環境が原因で、精神疾患発症や自死にまで至ってしまう案件にたくさん接してきたという。 今野晴貴氏は、5年前の著書「ブラック企業」で、若者を使い捨てにする「ブラック企業」を告発し、大きな社会問題となり、使い潰されるのは労働者の自己責任ではなく企業側の責任であること、若者個人に牙をむくだけでなく社会全体に被害が及ぶ問題だと指摘。 この著書では、「ブラック企業」に入らないための見分け方に終始せず、社会全体が「ブラック企業」撲滅に取り組む必要があることや、若者自身が職場を変えていく力を持つことの重要性を説いている。 A氏:その後、奨学金制度改善に取り組んできた大内裕和氏が「ブラックバイト」という言葉を編み出す。 大学教員の大内氏は、親元からの資金援助に頼れない学生が、学生生活継続のためにアルバイトに縛られ、学業に支障をきたす様子に向き合って「ブラックバイトに騙されるな!」を書いた。 そして、「ブラックバイト」に慣らされた学生は企業の労働の歪みに気付かなくなることから、「ブラックバイト」が「ブラック企業」と連動した、社会全体の問題であることもあぶり出した。 私:嶋崎量氏は、法律知識だけでは若者に抵抗する力は身につかず、「労働法の権利行使は、『社会人としてのマナー』」だ」と考えることを薦め、自分を責めず、早めに専門家に相談することも強調して欲しいという。 「労働者が抵抗力をつける」ことの重要性と困難さを指摘し、抵抗するために「労働組合」の存在を強調。 残念ながら、現在は若者の間で「労働組合」に対する認知度が高くはないが、ワークルール教育の進展により、労働組合の認知度も人気も上がるはずだと期待しているという。 雇い主に勇気を持って抵抗できる若者が増えれば、変わるのはその職場にとどまらない。 職場で抵抗する力を身につけた若者は、いまある不正への対処も含め、主体的な振る舞いが期待できる。職場で抵抗する力は、社会全体の活力や財産にもなると確信すると嶋崎量氏はいう。 A氏:ビジネス書の『経営継承の鎖 「歴代成長」企業のDNAを探る』 は、テーマがガラリと変わり経営者の問題だね。 日本の大企業57社について、過去30年間の社長在職期ごとの盛衰に焦点を当てた初の調査に野村総合研究所の上席コンサルタント・松田真一氏が挑んだ。 私:その結果、継承の成功実績の高いトヨタ自動車、ブリジストン、三菱電機、アサヒグループの4社が浮上。 この4社と他社の比較から、ある経営慣習が継承後の経営に影響を及ぼす次のような「因縁の鎖」が判明。 社長在職中、役員が入れ替わる慣習がある企業は、経営判断の経験値が社長だけに溜まって「経験値格差」が生まれ、継承後に衰退を招く。 カリスマ社長であるほどこの傾向は強く、反対に経営陣維持の慣習がある企業は経験値が経営陣に蓄積され、後継世代に引き継がれ成長を続ける。 社長ではなく、経営陣に着目した背景には、米国で2000年以降、「リーダーシップ」の定義が個人の「統率力」から、個人間の「結束力」へと進化してきたこともあるようだ。 米国でもこの間、経営陣維持へと移行し始めた。 社長の統率力より経営陣の結束力。 「後継者を『個人』ではなく『チーム』で選ぶ必要がある」との提言は新鮮だと評者は言う。 ところで、ISO9001の品質マネジメントシステムには、トップの「リーダーシップ」を強調しているが、その参考になるだろうね。
2018.04.08
コメント(0)
私:喜多元宏氏は、日本では、「MBA」に対する間違い、勘違いがあまりにも多いという。 どの雑誌や新聞も「MBA」を「経営学修士」と訳しているが、その概念や学位の表記(マスター・オブ・ビジネス・アドミニストレーション)からして、「経営管理学修士」とすべきという。 さらに最も重要で、知らない方が多いのは、「MBA」の品質の違いで、その品質を担保するために、第三者機関による認証制度(アクレディテーション)があること。 A氏:英国では「QAA」、さらに国際的には米国の「AACSB」などの認証機関が、「MBA」プログラムの認証を行っている。 「MBA」が取得できるとうたっていても、この第三者品質保証がなければ、国際的には通用しない。 私:ところが、日本の大学でAACSBなどの品質保証を受け、認証されているのは、慶應義塾大学、名古屋商科大学、立命館アジア太平洋大学、国際大学の4校のみ。 文科省は「MBA」の認定機関ではないので、文科省認定の専門職大学院のうち、「ビジネス・MOT(技術経営)」分野の30校は国際認証機関の認定なしである。 入学した後にそれを知り、「国際的に通用しない『MBA』で、金と時間をむだにした」とショックを受ける人も少なくなく、国内で「MBA」を取得したが、国際認証機関の認定がないことが後からわかり、海外の大学院に留学し直した、というケースもあるという。 A氏:アジアでも中国は20校以上が取得し、韓国、シンガポールの代表的な学校は当然のごとく取得している。 日本ではこの実態がほとんど知られていないが、他のアジア諸国はどんどん先へと進んでゆき、「MBA」に関しては、日本はガラパゴスであり、後進国。 最近では「なんちゃって『MBA』」という言葉もあるようだという。 私:結果を出すことが宿命のビジネスの世界で、その先頭に立つ者として、実績を上げることが当然な「MBA」ホルダーに実力が伴わなければ、日本企業はますます衰退すると喜多元宏氏は指摘する。 まずは「MBA」とは何か、ということから理解する必要があり、世界どころか、アジアでも通用しない制度を野放しにしていては、日本の高等教育は危うい。 「MBA」の応募者もよく情報を得て勉強をしておく必要があり、これはまさしく、自己責任だと喜多元宏氏はいう。 この記事で、俺もMBAの国際認定制度を知ったね。 この認証制度で認定されているのは中国は20校なのに、日本は4校のみとはね。 高等教育無償化などという以前の問題だね。
2018.04.07
コメント(2)
私:非暴力を貫き、黒人差別や貧困の解決、反戦を訴え、ノーベル平和賞も受けた公民権停止の指導者・キング牧師が、暗殺されてから4日で50年。 50年前に比べ、高卒以上の学歴を持つ黒人の割合は増え、白人との差は大幅に縮まった。 黒人の投票率はオバマ氏が候補になった2008、12年の大統領選で、白人を上回った。 A氏:だが、差別や格差は根強く、失業率は白人4・3%に対し、黒人は8・4%。 貧困率も白人8・8%に対し、黒人は22・0%と大幅に高い(いずれも16年)。 貧困は犯罪に結びつきやすいとされ、逮捕・収監されている黒人男性の割合は白人男性の7倍近く、白人が住む地域に黒人が不動産を買うのは今も難しい。 私:昨年8月、バージニア州シャーロッツビルで、白人至上主義団体が南部連合・リー将軍の銅像撤去に反対する集会を開いた。 それに抗議する住民に白人団体側の男が車で突っ込み、弁護士補助職員(当時32歳)が死亡したが、この時、トランプ氏は「両者に非がある」と述べ、白人至上主義者を明確に非難しなかった。 こうしたトランプ氏を称賛する白人至上主義者らの動きが活発化している。 米国では心の奥底に差別意識が残っていても、それを表に出すのはタブーだったが、行進に参加したミネソタ州の白人男性ジェフ・バートネン氏(69)は、トランプ大統領の誕生による変化を「差別はいけないことという心のタガが、はずれつつある気がする」と語る。 A氏:昨年10月、東部ペンシルベニア州ピッツバーグのダスティン・ギブソン氏(29)は、アパート前の街路樹で異変に気付き、近づいてみると、黒いUSBコードで作った「縛り首の縄」がぶら下がっていた。 ロープの端を輪状にした「縛り首の縄」は、米南部の黒人にとって、白人による黒人リンチの象徴。 南北戦争後、黒人への激しい迫害は続き、当時、「人種の秩序」を乱したとして黒人は拷問され、木や電柱につるされて見せしめにされ、使われたのが「縛り首の縄」だった。 「これは殺しの脅迫だ。差別や弾圧で押し戻されてきた象徴だ」とギブソン氏は言う。 警察とFBIに通報したが、犯人はいまだ分からない。 私:デニソン大学のジャック・シュラー准教授によると、「縛り首の縄」による脅しは17年に全米で急増。 報道されたものだけでも昨年3月以降、30件以上確認でき、今月4日もメリーランド州の高校で南軍旗と「縛り首の縄」が見つかった。 昨年6月にはワシントンにあるキング牧師の記念碑近くや国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館にも「縛り首の縄」が置かれた。 シュラー准教授は「歴史や深い意味が分からなくても冗談ではすまされない。権力にある人間、トランプ大統領と支持者たちが、ヘイトクライムに走ることを助長している」と指摘する。 A氏:トランプ氏は3日、「我々キはング牧師の生涯の使命に目を向け、差別や非人間性、我々を分断しようとするものを非難しなければならない」との声明を発表し、国民の統合や正義の実現を訴えた。 しかし、ギャラップ社の先月の調査では、人種問題を深刻な問題と答えた人は、10年の13%から37%に高まっているという。 私:トランプ氏の声明は、何か白々しく感ずるね。
2018.04.06
コメント(0)
私:英国でロシアの元スパイと娘の暗殺未遂事件が起き、英政府は旧ソ連で開発された猛毒の神経剤ノビチョクが犯行に使われた可能性が高いと発表。 「ロシアに責任がある可能性が極めて高く、それ以外に信頼できる説明は見当たらない」。 西側に情報を流す二重スパイだった男性は国家反逆罪で服役していたが、スパイ交換で釈放されて英国に移り住んでいたのに、裏切り者を消すことで、新たな裏切りを起きないようにする見せしめかと推理される。 A氏:12年前に、ロンドンのホテルで、反体制派に転じたロシア連邦保安局(FSB)の元中佐がポロニウムという放射性物質で殺されたという、似たような事件があった。 一昨年、英国の独立調査委員会はFSBの指示による犯行とし、プーチン大統領の関与をほのめかす報告書を発表したが、「明確な証拠は何もない」とロシアは反発し、西側の陰謀説を唱える。 前回も今回も、同じパターン。 私:ここで、筆者の稲垣康介氏は、ロシアの国家的な関わりとして、視点をソチ冬季五輪で明るみに出た国家ぐるみのドーピング違反に視点を移す。 このドーピング違反でロシアは組織ぐるみの薬物使用と隠蔽工作を展開。 夜中にロシア選手の検体を検査所の壁の穴を通してFSB関係者に渡し、密封した容器を開けて検体を入れ替えるなどの秘密工作を繰り返し、身の危険を感じて米国に逃げた元検査所長の証言は詳細だったが、ロシアはこの元検査所長に責任を押しつけ、国家の関与を認めようとはしない。 A氏:IOCのバッハ会長は「五輪とスポーツに対する前代未聞の攻撃があった」と強い表現を使ったが、平昌冬季五輪での制裁は、実は甘く、ロシア・オリンピック委員会に資格停止処分を科した一方、IOCが「潔白」と認めた選手は参加を認めた。 大会中、2人が陽性反応を示したにもかかわらず、大会閉幕から間もなく、ロシア・オリンピック委員会の資格停止をすんなり解除した。 私:IOCの弱腰に映る判断の背景に、スポーツ大国ロシアを孤立させて東西冷戦期のように分断される状況を避けたい思惑を感じると稲垣氏はいう。 近年、スポーツの国際大会招致に熱心だったロシアへのスポーツ界の依存症ものぞく。 6月にロシアで開幕するサッカーのワールドカップを控える国際サッカー連盟も、ロシアのドーピング違反への対応は鈍い。 IOCは、ロシア政府系の天然ガス大手「ガスプロム」と最高位スポンサー契約を結んでいて、欧州の名だたるビッグクラブが競う欧州チャンピオンリーグも、「ガスプロム」が大会スポンサーに名を連ねていて、サッカー界のロシアマネーへの依存度は増している。 A氏:「ガスプロム」の影響力はサッカー界にとどまらない。 今回の元スパイの暗殺未遂事件を受け、英政府はロシアの外交官23人を追放。 欧州の多くや米国なども同調し、ロシア外交官の国外追放は150人を超した。 一見、一枚岩にみえるが、経済の側面からのぞくと、違った風景が広がる。 ロシアから欧州諸国に天然ガスを送る「ノルド・ストリーム」の増設計画が進んでいる。 バルト海を通る全長約1200キロのパイプラインを「ガスプロム」の子会社が手がけていて、天然ガスはドイツを経由し、欧州各国に輸出される。 EU28カ国の天然ガスの輸入に占めるロシアのシェアは4割近いとされる。 ロシアからの供給が止まれば、困る国は多く、つい先日、ドイツが開発計画を承認したように、ロシア包囲網の足並みはそろわない。 私:「国際的な秩序、ルールを破れば代償が伴うはずなのに、制裁が骨抜きにされていくような事例が目につく。スポーツも社会を映す鏡で例外ではいられない。尊ぶべきフェアプレーの精神が、軽んじられていく」と稲垣氏は嘆いている。 IOCは、真夏開催の東京五輪など、アメリカマネーにも弱いのだろうから、五輪を通じカネがスポーツ界に与える影響は大きいね。
2018.04.05
コメント(0)
私:米調査機関ピュー・リサーチ・センターの2017年の調査によると、米国民が最も頻繁にニュースを知る手段として、地方テレビ局(37%)はニュースサイト(33%)やケーブルテレビ局(28%)で、新聞(18%)より優位に立つ。 米国の地方局では、主要局制作のドラマやバラエティー番組の合間に、30分程度の地域密着型のニュースを放送することが多く、メッセージはこうした番組の枠内で読まれている。 A氏:3月上旬のCNNによると、米国の地方テレビ193局を保有する巨大メディア企業「シンクレア」は各局に対し、メッセージをコマーシャルではなくニュース番組の時間内に読み上げるよう指示。 内容は、表向きはフェイクニュース批判だが、実際には主要メディアと対立するトランプ大統領の言い分に同調しているとの見方が大半。 「シンクレア」は「一言一句変えてはならない」と念も押し、アナウンサーの一人は「メッセージの読み上げを強いられる戦争捕虜になったようだった」と話し、「現場の士気はがた落ち」などとの声もあった。 ソーシャルメディアで「全体主義的なプロパガンダだ」などと批判が噴出。 「シンクレア」は「メッセージはニュースへの市民の不信感に応えたもの。公正で客観的な報道を推進する取り組みが攻撃されるのは皮肉」と反論。 だが、その表現は、「一部のメディアは、虚偽の記事を点検もせずに流している」「民主主義にとって極めて危険だ」というように、トランプ米大統領による主要メディア攻撃に酷似。 私:問題は、批判が本来のフェイクニュースに向けられたものではなく、トランプ氏が気に入らず、「フェイクニュース」とこき下ろすCNNなどの主要メディアに向けられていると見られることだ。 米国では放送局の「公平原則」の義務が1987年に廃止され、「シンクレア」は保守的な立場で知られる。 トランプ氏はツイッターで「フェイクニュースのテレビ局が『シンクレア』を偏っていると批判するのには笑ってしまう。『シンクレア』はCNNやNBCよりも断然優れている」「病的で偏向したフェイクニュースを発信する(主要メディアの)ネットワークは、『シンクレア』の放送網の競争力や報道の質におびえているのだ」と「シンクレア」を擁護した。 米メディアによると、「シンクレア」は大統領選の際は民主党候補に批判的な報道をしていた。 傘下の局には、保守派論客のコメントや、イスラム教徒への反感をあおるようなテロ情報など、保守派に歓迎される内容の素材が「絶対放送」の指示で送られるという。 地方ニュースとのかかわりが薄い内容で、現場には戸惑いが大きいという。 A氏:こうした統制は今後も強まりそうで、トランプ政権は1社が保有できるテレビ局数の規制を緩和。 90年代以降に買収を重ねて拡大した「シンクレア」は昨年、約40の地方テレビ局を保有する別の企業を買収すると発表し、政府が審査中。 買収が認められればニューヨークやシカゴ、ロサンゼルスの地方局も同社傘下に入り、全米の7割の世帯に放送が届くようになる。 私:米国のマスコミはフェイクニュースの氾濫になるのだろうか。
2018.04.04
コメント(0)
私:安倍首相の財務省ぎらいはよく知られていて、象徴的だったのは消費増税の2回の延期のとき。 決定前に、財務官僚たちが官邸に通いつめ「予定どおり実行すべきです」と熱心に進言すると、首相の機嫌は悪くなったという。 A氏:税率8%への増税の際、財務省から「景気は悪くならない」と説明を受けていた安倍首相は、実際はそうではなかったと快く思っておらず、財務官僚は増税や赤字削減ばかりに熱心で、政権安定や支持率維持に配慮が足りないという不満もあったのだろう。 私:過日、参院予算委員会で、そんな首相の気持ちを忖度したような自民党議員の和田政宗議員の質問があった。 和田議員は、財務省陰謀論を掲げ、太田充理財局長に対し、「(あなたは)民主党政権で首相秘書官を務め増税派だから、アベノミクスをつぶすため、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのではないか」と質問。 これには太田局長が憤然とし、「いくら何でも」と3回繰り返して否定し、さすがにやりすぎだと思ったか、後で自民党の申し入れでこの質問は後日、議事録から削除された。 俺もこのシーンはテレビでみたが、太田局長が頭にきているのは画面で表情や動作でありありとわかったね。 A氏:筆者の原真人氏は、「欧米諸国では近年さまざまな予算改革が実施されている。主要国最悪の借金大国である日本もそこから学び、採り入れるべきものはあるかもしれない。とはいえ、いまのような『財務省悪玉論』に乗って同省の権限を弱めることを目的に機構改革に乗り出すのでは、いかにも危うい」という。 私:財政当局とはいわば「宴会幹事」のようなもので、出席者たちがみな泥酔してしまっても、ひとり冷静に勘定を終え、会費を徴収しなくてはならない。 無粋で、嫌われ者になったとしても、欠かせない大切な役回りなのだという。 かつて、自民党税制調査会のドンと呼ばれた故山中貞則氏は会が紛糾すると、「黙れ」と制して幹部たちに「ここにいる大蔵省(現財務省)主税局の諸君の話も聞きたまえ。聞かずに決めたら、国を誤るぞ」と諭したという。 改ざん問題の余波で、来年10月予定の消費増税の実施が難しくなったとの見方も出ている。 財務省にお灸をすえたいと思うあまり、世論がそんなムードに乗ってしまえば、まさに国を誤り、消費増税は財務省のためでなく、国民生活の安定のために欠かせないもので、冷静な世論が求められると原真人氏はいう。 官邸主導強化で、官僚が萎縮しているという。 安倍政権は、来年10月予定の消費増税の実施に踏み切るだろうか、あやしくなってきたね。 来年10月予定の消費増税の公約を無視して消費増税延期の「新しい約束」があり、そのために、解散総選挙をまた行うかもしれない。
2018.04.03
コメント(2)
私:森鴎外が自らのドイツの留学時の経験を重ねたとされる小説「舞姫」の小説に、「欧羅巴(ヨーロッパ)の新大都の中央に立てり」と出てくるブランデンブルク門のそばにある信号機(アンペル)には「アンペルマン」と呼ばれる愛らしいキャラクターが使われている。 帽子をかぶったやや太めの男性が今にも歩き出しそうにつま先をあげる緑の「進め」と思い切り両手を広げた赤の「止まれ」。 「ベルリンの壁」のできた1961年、旧東独の交通局に勤めていた交通心理学者カール・ペグラウ氏がデザインし、当時、帽子姿が金持ちや資本主義のイメージで受け止められないか心配したという。 A氏:工業デザイナー、マルコス・ヘックハウゼン氏(56)は学生時代、東ベルリンで見た「アンペルマン」をよく覚えていて、冷戦の末期、西ベルリンから1日ビザで訪れた東側は薄暗く、すべてが灰色に見えた。 その街で見たひときわ目立つ緑と赤の信号機「アンペルマン」はユーモアにあふれ、がんじがらめの東の体制とは異質な印象を受けたという。 その後、イタリアで経験を積み、95年にベルリンに戻った彼は、90年のドイツ統一後、西側の信号機に置き換えられ、「アンペルマン」は粗大ゴミとして放置されたを見て衝撃を受ける。 「アンペルマン」は、魅力的なデザインで、太めのキャラクターは西側の信号機より識別しやすいのにである。 私:ヘックハウゼン氏は、処分される「アンペルマン信号機」を無料で譲ってもらい、星形の壁掛けランプを製作し、96年に売り出すと3カ月で約300個売れた。 緑色のランプの周りには、東側にいた人へのエールを込めて英語で「キープ・オン・ウォーキング(歩き続けよう)」と書いた。 初めは統一を喜んだ旧東独の人々は、2級市民の扱いを受けて、その後、後悔の念を抱く人もいたという。 ヘックハウゼン氏は、ランプ製作をきっかけに「アンペルマン」の生みの親であるペグラウ氏とも知り合い、信号機以外の商標権を取得。 芸術家や行政を巻き込んで「アンペルマン信号機」の復活運動にも乗り出し、ベルリン市は05年、「アンペルマン」を公式に採用。 いまでは市内の信号機の9割を占め、優れた西側の製品が統一後の街を席巻するなか、東側の製品のなかで過去の遺物にならずに使われ続け、統一ベルリンのシンボルへと生まれ変わった。 A氏:数奇な運命をたどった「アンペルマンの信号機」は今月中旬、鴎外の縁で日本にやってくる。 「アンペルマン」発祥の地で鴎外が住んでいたベルリン・ミッテ区の交流使節団が鴎外記念館のある東京都文京区に「平和の使者」として贈ることになったからだ。 私:「ベルリンの壁」崩壊から28年たった今年2月、壁が存在した期間より崩壊後の方が長くなったが、東西の格差はなお残り、不安と不満につけ込んだポピュリズムがはびこる。 筆者の石合力氏は、「『心の壁』が築かれつつあるのではないか。分断と統一を見つめてきた『アンペルマン』。岐路に立つドイツの行く末に、何色の信号をともすのだろうか」という。 現地の感覚からは、経済好調のドイツに格差による拡大しつつある分断があるのだろうか。
2018.04.02
コメント(1)
私:福島第一原発事故後の規制強化で、再稼働のため巨額の安全対策費がかかるようになり、電力11社で計4兆円以上の安全対策費を投じる見通しで、採算が合う原発は早く再稼働させて発電したいが、規制委の審査が長期化し、電力業界の思うように再稼働が進まない。 実際、17年までに再稼働した原発は5基。 さらに、16年の電力小売り全面自由化で、大手電力はそれまでの地域独占が崩れ、業界を超えた価格競争にさらされている。 かかった費用をすべて電気料金に上乗せできる「総括原価方式」は事実上なくなり、原発の安全対策費がかさんだからといって電気料金を上げ続けられない。 電力自由化が進展し、原子力事業特有のリスクが様々あり、政府に原発支援策を求める大手電力幹部からは悲鳴が上がり、このままでは原発は立ちゆかないという。 A氏:中部電浜岡原発(静岡県御前崎市)は発生が予期されている東海地震の震源域にある。 08年12月、中部電の三田敏雄社長(当時)が静岡県庁庁を訪れ、浜岡1、2号機を廃炉にする大きな決断の意向を伝え、記者会見で「経済性は乏しいと考えた」と説明した。 中部電の試算では、耐震基準をクリアできるよう1、2号機を改修すると計3千億円かかるので、ならば廃炉にし一時的に赤字になっても、6号機を新設したほうが経済的に有利と判断したもの。 私:00年代には、原発の安全性を高めると割に合わないことが分かっていたが、それでも電力業界は、原発を火力や水力に比べて「安い電気」だと原発への理解を高める「神話」を守るために言い続けた。 「3・11」後、福島第一原発を除き9基の廃炉が決まり、耐震性などを考えれば原発は割高になることを示している。 A氏: もともと、電力自由化の流れを電力業界は「原発と相性が悪い」と自由化に抵抗していた。 政権に復帰した自民党に原発推進を期待したが、原発と電力業界への批判は強く、電事連関係者は「原発再稼働と引き換えに自由化を差し出した」と振り返る。 平成に入った90年代に、国際競争をしている産業から見ると日本の電気代は高く、産業界を中心に電気料金の値下げ圧力が強まり、95年、31年ぶりに電気事業法を改正し、電力卸売りを自由化し、00年には小売りの部分自由化に踏み切った。 だが、経産省が06年に「原子力立国計画」をまとめた後、電力自由化は停滞し、計画の冒頭で「原子力政策は、市場に委ねるだけで推進できるものではない」と自由化の進展にくぎを刺した。 私:かさむコストと自由化による競争が、原発の壁になっているのは日本だけではない。 「電力自由化先進国」の英国では、温室効果ガス削減のため、政府が原発支援策を始め、仏電力公社(EDF)などが原発を建設しているが、稼働後は35年間、発電電力1メガワット時あたり92・50ポンドの価格が保証され、電力市場への卸売価格がこれを下回れば、差額を政府が支払う仕組み。 ただ、足元の電力卸売りの平均価格は50ポンド台後半で、英エネルギー・コンサルト機関「E3G」のトム・バーク会長は「新たな原発が稼働すれば、電気料金はより割高になるだろう」とみる。 A氏:日立製作所が英国で進める原発事業も支援策の対象。 日英両政府は昨年末、官民合わせて総額約3兆円を投融資する資金枠組みに大筋合意。 これだけの手厚い支援は、安倍政権が原発輸出を成長戦略の柱にすえているからで、経産省は「先進国で原発が成立するかしないかの試金石」として交渉に深く関与する。 私:原発建設について大手銀行幹部は「リターンがリスクに見合わない」という。 巨大リスクを引き受けてまで原発を支える主体は見当たらず、政府が描く原発戦略は崩れかけているという。 わがブログでは、2012年度の大佛次郎論壇賞の「原発のコスト」を「原発のコスト・エネルギー転換への視点」でとりあげたが、ここでの著者の計算では他の発電より、原発コストが一番高い。 この著書にあるように、経産省は、稼働コスト以外に、補助金コスト、廃棄物処理コスト、廃炉コスト、リスクコストなど、1つの原子炉の一生の標準コスト(ライフィサイクルコスト)をきちんと計算すべきだね。
2018.04.01
コメント(0)
全30件 (30件中 1-30件目)
1
![]()
![]()
