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平成24年に発行された「徳島ペンクラブ選集」PART30 に掲載されたさっちゃんの作品です。 冷蔵庫の番人 堀 江 幸 子ひとり暮しは寂しいだろうと、ブログの友人、今治のマッチャンが、個展のお祝いにと持ってきてくださった「冷蔵庫の番人のペンギン」とすっかり仲良しになっている。折から原発事故の後節電を強制されて、どうなるのかと不安な毎日だった。冷蔵庫を開けるとペンギンのぺンちゃんが ペ「おかえり」と元気な声 さ「お帰りはおかしいよ、今起きたばかりやで」ぺんぎんのぺんちゃんは京都弁で話す。だからこちらも京都弁らしくしゃべりたい。 ぺ「今日もお天気やったらいいのにね」 さ「そうだねえ」最近は対話のリズムがうまく合ってきたと思ったら突然 ぺ「野菜も食べなあかへんよ」と叱られる。 さ「はいはい、ちゃんと食べてますよ」 ぺ「節約、節約」まるで母親みたいだ。その次の日の夕方、冷蔵庫を開けると ぺ「なにつくりはるの?」 さ「そうねえ、なににしようかなあ」ペンギンに相談しても、おかずのことなど考えてくれるとは思えない。あれこれ迷っていると ぺ「あついわあ」 さ「そんなにあついはずないやろ。さっちゃんはこんなセーター着てても寒いんやで」と、言いかけたとたんに ぺ「あけっぱなしはあかへんよ」 と、きつい声でまた叱られた。 さ「はいはい すぐ閉めますよ」 人間の言葉で話しかけてくれる生き物がいると、確かに生活感が深くなるような感じになる。といっても一方通行だから何の役にもたたない。ペンギンはセットされた言葉しかしゃべれない。言いたいことがあっても自由に話すことはない。思えば可哀そうだ。冷蔵庫の番人は四種類ある。沖縄弁を話すおじさんセイウチ、鹿児島弁を話す九州男児の白クマ君、東北弁を話す岩手県のちびっこアザラシちゃんと私の家へお嫁に来た京都弁の女の子ペンギンちゃんです。 このごろ急に寒くなって、冷蔵庫を開ける回数が少なくなった。用事もないのにペンギンのペンちゃんの声が聞きたくて、開けて待っていることもない。ペンちゃんもさぞ退屈しているだろうなあ、たいくつならいいが、それよりじっとしていて凍り付いているかもしれない。たまに開けてもすぐにはしゃべらない。仕事を忘れて眠っているかもしれない。ところが数日前に冷蔵庫を新しく買い替えた。まだ使えるが、年が寄ると、どんどん背が低くなって、一番上の冷凍庫に手が届かななくなった。奥が見えない。取り出せないので新しい型を買った。ペンちゃんも新しい住家に引っ越して気持ち良くなったのだろう、途切れなく、しゃべり続けるようになった。食品の置き場所を決めたり、並べ方をあれこれと考えていると 「あつくてかなわんわあ」 「節約 せつやく」 「あけっぱなしはあかへんよ」と、たてつづけにしゃべりつづける。「ごめん ごめん」と謝りながら急いでしめる。どこへ何を入れたのか忘れて探すのに時間がかかるようになった。並べ変えようとすると「おいでやーす」と機嫌が良い。夕食の準備しようと開けると「何作りはるの?」外出から帰ると、タイミングよく「おかえり」「どうやった?」「がんばりすぎはよくないよ」といたわってくれる。 猫や犬を飼って、家族の一員として、可愛がっている人は多いが、年をとると生き物の世話はできなくなる。物言わぬワンちゃんのぬいぐるみを抱いて、話しかけていても癒されるようだ。この方言のキャラクターたちは人間らしい声が出るから親しく感じられる。機械的でなくて、感情を込めて話しかけてくる。誰がこんな楽しいアイデアを考え付いたのだろう。こんな面白いものを次々作って、世の中が明るくなるといいと思います。
2016年07月31日
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吉野川市文化協会発行の「ぶんげい麻植」12号 (2017年3月 発行)で、堀江幸子 追悼特集を組んでいただけるようです。まだ、大分先になりますが、楽しみにしています。http://park15.wakwak.com/~yoshi-bunka/kaiho.html
2016年07月26日
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2016年07月20日
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2016年07月14日
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清里・まきば公園からの八ヶ岳(平成25年5月3日)
2016年07月08日
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2016年07月02日
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