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■気になる本 - 新しい階級社会 新しい階級闘争 ----------------------------------------------------- 若い時には、夢がありました。というか、やりたいことがありました。 ところが、いまは、夢さえも持てない社会になってしまったのでしょうか。特に労働の仕方が極端に、はっきりいって、180度、変ってしまった という感じです。 昔、義賊という人達がいました。石川五右衛門や鼠小僧等です。資産家から金品を盗み、それを貧しい人達に分け与える というのが義賊ですが、 ところが現代は、搾取の時代です。オレオレ詐欺、路上のひったくりにしても、弱者(高齢者等)から金品を奪い取る時代です。 いえいえ、もっとひどい刑事事件になっている例もあります。この社会では、義賊に頼らずに、富の再配分をしてくれるところはないのでしょうか。 でないと、社会は荒廃し、心が荒み、しいては文明の喪失となりかねない事態だと感じるのです。資産家のみなさん、是非、生きた金の使い方をしてほしいと思うのです。いま、「新しい階級社会新しい階級闘争 「格差」ですまされない現実」(著者 橋本健二、出版社 株式会社光文社、発行年月 2007年10月)を読み終えました。 著者のプロフィールは、カバーにあります。--------------------------1959年石川県生まれ。東京大学卒、同大学院博士課程単位取得退学の後、静岡大学助教授を経て、2002年より武蔵大学社会学部教授。専門は理論社会学および階級・階層論で、理論・実証の両面から「格差社会」の背後にある階級構造とその変化について研究している。■橋本健二の居酒屋考現学http://d.hatena.ne.jp/classingkenji/■橋本健二の読書日記&音盤日記http://plaza.rakuten.co.jp/kenjihashimoto/diary/----------------------- 著者は、ホームページを持っておりますので、そちらのアドレスも記録しておきます。■ホームページhttp://www.asahi-net.or.jp/~fq3k-hsmt/ 著者は、格差が拡大する社会に未来はないといいます。それは、結果の不平等が拡大化することによって、機会の均等が失われるというのです。 「格差」 これが、現実に目の前に大きな壁となって立ち塞がっています。ほとんどの人が実感していることでしょう。 いま、日本の社会は大きく変革しており、一つは、貧困層の拡大であり、一つは、挽回できない格差の拡大だ と著者はいうのです。 そうそう、つい最近までは一億総中流社会とか言われておりました。ところが、階層構造に変化があった と著者はいうのです。 東京の港区の六本木ヒルズは、長州藩毛利家の屋敷があった場所だというのです。ところが、麻布十番は元の町人地で、商店街を縦横する道路の位置も、当時と変っていないというのです。 ようは、高台は富裕層、その下には庶民(貧困層)がいるという階層の構図なのです。 23区に目を向けると、足立区は、東京最大の貧困の集積地と著者はいいます。生活保護世帯は12,000世帯と東京都全体の約10%を占め、支給される生活保護費は、約333億円になる(2004年)というのです。 下町といわれている地区と、高級地といわれる地区に都内は二分されたといっても過言ではないでしょう。これが、階層の地理的な展開です。 東京と青森の格差よりも、このように東京内部の格差が大きいと著者はいいます。 ところが、著者は、「量的格差から、質的格差の時代へ」入ったというのです。 教育の差(教育を受けられる人と受けられない人) 能力の差(能力を発揮できる人とできない環境の人) 命の差(医療や治療をうける人と受けられない人) 金の差(所得の多い人と所得が少ない人)等、人間の生きるという本質にクラック(亀裂)が入ってきているのです。 そう、経済が停滞すると、それが顕著にでてくるものなのです。それと、政策のミスマッチだと思うのです。 私達は、統計処理のマジックに惑わされることなく、その統計の手法、モデル、採用データの公表を促し、結果からもう一度、自分で統計のプロセスを考える必要があります。何、簡単なことです。義務教育を受けた方でしたら、なんなく解ける問題だと私は、思います。 著者によると、英国の貧困調査は、裕福な企業の経営者2名によって、私財を投げ売って、行ったという歴史があります。 だから、マーガレット・サッチャーの後任の首相であるジョン・メジャーは、次のように1990年の演説で述べているのです。----------「われわれは、階級なき社会を必要としている。われわれは、社会移動というものを必要としている。社会移動というのは、すべての人が自分の能力を最大限に発揮するために必要な手助けを得る可能性のことである。」--------- 社会移動というのは2つの重要なファクターがあるといいます。■世代間移動 貧困家庭の子がエリートになること等、出身の階級に成約を受けているか ということ。■階級間移動 労働者が経営者(資産家)になること等、現在の階級に成約を受けているか ということ。 いままでは、世代間移動に重点をおいてきたようですが、現在だと、この2つは常に把握しておかないといけない問題なのです。 さて、日本で格差が拡大し、その格差問題に対して追求する人達を、怒鳴らし、蹴散らした人物は、元総理大臣の小泉純一郎氏だと著者はいうのです。少し、引用します。--------------- 「小泉の答弁は、格差拡大批判に対する典型的な開き直りである。格差拡大を批判する人々は、ごく一部の例外を除けば、格差そのものを否定しているわけではない。むしろ、ある程度までの格差は積極的に肯定する人が多い。ところが、小泉は、格差拡大を批判することイコール格差全面否定であり、成功を妬み、権力のある人の足を引っ張るものだと決めつけている。」----------------- というのです。 もともと、小泉純一郎氏は、政治家の三代目です。 著者が示しているOECD諸国の貧困率は、メキシコ 20.3米国 17.1トルコ 15.9アイルランド 15.3日本 13.7と、27ヶ国中の5番目の貧困率なのです。しかも、日本のデータは上昇中なのです。 そして著者は、階級まで言及しています。いまの日本の階級を表すには、次のようなモデルがいいと。■資本家階級(平均収入645万円)、5.4%■新中間階級(平均収入535万円)、19.5%■正規雇用の労働者階級(平均収入347万円)、36.7%■アンダークラス(平均収入151万円)、22.1% アンダークラスは、派遣社員、請負社員、フリーター等だというのです。 このクラスの人達が、未来に安心をもって生活できる社会にしなくてはなりません。 そのためには、資産の再配分を強力に行う必要があります。例えば、相続税の増税(基礎控除はそのままにして。普通一般の家庭の場合だと、相続税の支払いは、発生しないでしょう。資産家は相続税を支払う必要がでてきます。)や所得税、住民税、事業税の資産家向けの増税、そして,税金の使用については、社会保障関係を増額して、アンダークラスや弱者に手厚い保護を行い、資産を再配分を行うのです。 そうすれば、憲法の生存権にまで遡らずに、手厚い政策になって、未来にも希望がもてる というものです。 それは政治の問題でもあり、社会に参加している資本家の責務でもあると、私は思うのです。(1月31日)新しい階級社会新しい階級闘争
2009年01月31日
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■気になる本 - 科学者の不正行為 ---------------------------------------------------------- 専門家による犯罪が、ここのところ多いように感じます。 例えば、ここ数年の新聞WEBを検索しただけでも次のようにあります。■消防署署員による放火事件■介護保険法に違反し訪問介護費を不正請求のサービス事業者 裁判官、事務官、弁護士、検察関係者の犯罪も少なくありません。5月21日から裁判員制度が始まります。ところで、暴力団も選挙にいっていたら(正確には衆議院議員選挙)、当然に裁判員の候補者にもなり得ます。どうしましょう?。尚、実施延期要求決議は新潟、栃木の弁護士会に続き千葉でも決議されております。 裁判員の後遺症も考えられます。重大な刑事事件ですから一般人にはみたことがない捜査資料(特に写真や動画)を見せられ、後遺症がでることも考えられます。では、司法関係者の事件のほんの少しです。■宇都宮地、家裁足利支部長の裁判官を、スト■カー規 制法違反の疑いで逮捕(「わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています」の注意により伏せ字、以下同じ)■京都地裁書記官の判決文偽装、供託金搾取、振り込め詐欺の 凍結した銀行口座から現金を搾取・・・■帰宅途中に自転車を盗んだ東京高検の30歳代の男性検 察事務官■被疑者国選弁護制度を巡り、元検事で岡山弁護士会所属の 弁護士が受任した7事件のすべてで水増し請求■警視庁北沢署地域課の巡査長の個人パソコンから警察の 内部情報を含む約1万件分のデータがファイル共有ソフト 「Winny」(ウィニー)を通じて流出した事件 また、行政官の事件も少なくありません。■電車内で女性の脚を盗■したとして、厚生労働省の キャリア技官で「国立医薬品食品衛生研究所」の薬理部長を 都迷惑防止条例違反容疑で現行犯逮捕■事故米の不正転売問題で、農林水産省が2006年6月、 中国産のもち米が殺虫剤成分のメタミドホスで汚染されて いたことを把握しながら、すでに食用として売却していた 1550トンについて、売却先や流通先に汚染の事実を 知らせたり、回収したりせず、放置していたことがわかった。■架空の保険契約で現金をだまし取ったとして、社会保険庁 立川社会保険事務所年金給付課職員を詐欺容疑で逮捕■国土交通省北海道開発局を巡る官製談合疑惑で、 河川改修事業などで業者側に受注調整を指示していたとして、 同省北海道局長ら3人を競売入札妨害容疑で逮捕 ここにあげていて、現在も続いている年金問題、C型肝炎問題、母子加算廃止問題、後期高齢者医療制度の問題等が多過ぎます。行政の不作為が目立ちすぎます。(行政事件訴訟法の不作為に該当しない事案であっても、民法の善管注意義務レベルに拡大する必要があると思うのですが) では、学術研究している科学者の犯罪や不正行為を目にすることが少ないと思うのは、私だけでしょうか。いま、「科学者の不正行為 捏造・偽造・盗用」(著者 山崎茂明、出版社名 丸善株式会社、発行年月 2002年3月)を読み終えました。 著者のプロフィールは、巻末にあり、次の通りです。-------------------------1971年早稲田大学第一文学部(社会学)卒業。1985年慶応義塾大学大学院文学研究科図書館・情報学専攻博士課程修了。 紀伊国屋書店、埼玉医科大学附属図書館、 東京慈恵会医科大学医学情報センター講師を経て現職、愛知淑徳大学文学部図書館情報学科教授。2001年「生命科学を対象としたビブリオメトリックスによる研究評価指標の研究」により博士(図書館情報学)愛知淑徳大学-------------------------- 著者が研究者の不正行為に注目したのは、英国医師会雑誌の委員長であったロック博士らの著書「医学研究における不正行為」に、見出しとして、「日本人科学者の事例」への感心からである とはじめに述べています。 そして、著者がアメリカにいき、調査したデータをもとに、日本では話題に一切なっていない、日本人の不正行為3件をみつけ、この本で公開しています。(しかし、アメリカの情報公開法は、しっかりと全ての資料を、外国の人にも公開しています。ここのところは、日本も見習う必要がありますね。)■A博士は、研究データを捏造、本格調査とともに日本に帰国。アメリカからは3年間の助成金申請と訓練支援の禁止を要請。本人も謝罪文提出。■B博士は、肝炎ウィルスの研究で、研究データの一部を捏造。本人は捏造を認める。■C博士は、研究データの一部を細工をして人為的に強調し、そのデータを論文に掲載。本人は、改竄を認める。 これらの事件は、日本のマスコミでは決して報道されなかった と著者はいいます。そこまで調査をしていないのか、していても黙殺したのか、私にはわかりませんが。 アメリカの公衆衛生庁は、健康福祉省に所属し、アメリカを中心に、2000以上の研究機関の3万件以上の研究プロジェクトに助成をしているようです。 そして研究公正局は、公衆衛生庁によって支援された研究プロジェクトの研究の公正さを守る責任があり、不正行為について告発されたり疑問を投げかけられた研究を調査する権限を有しているというのです。 これら3人の日本人に対しては、告発をされております。そうすると、告発された研究者の研究や実験を後追いで検証していくのです。それでレポートと比較して違いや過ちを明確にしていく という誰でも納得できる合理的な方法で行っているのです。 他の法律では無罪かもしれませんが、この3人のように本人が認めると、助成プログラムの対象外になりますし、研究者として活動はできなくなるでしょう。 罪になるのは、それだけらしいのです。ですから、本格調査に入ったとたんに、日本に帰国してしまう ということになるのです。研究公正局はICPOに手配することはありません。研究者の良識に訴えていると、私は思うのです。 翻って、日本は、どうなのでしょう。著者は、原因として外的要因をいくつかあげています。■科学研究システムに内在する助成金獲得競争■先取権争い■ポスト獲得競争の3つをあげています。そして、研究への貢献がないのに、共著名に名前を連なり、若手研究者が指導者の望んでいるような結果を捏造したり、仮説を支持しないマイナスデータを意図的に削除したり、他人の論文内容を盗用したり、といったことがおきるというのです。 日本では、平成7年11月15日に科学技術基本法が公布、施行(法律第130号)されました。(参考)科学技術基本法について 文部科学省 基本法は、その法のベース(基盤)をなすものです。議員立法の趣旨では、「科学技術の振興を我が国の最重要政策課題の一つとして位置づけ、科学技術振興の方針と基本方策を明らかとするとともに、関連施策の総合的、計画的、かつ積極的な推進を図る」としています。 でも、これには裏があるようです。(参考)尾身幸次衆議院議員(自民党)のプロフィールを参照 昭和31年に、一橋大学商学部卒業後、通商産業省に入省し、通商産業省、科学技術庁などを渡り歩いています。 そして、議員立法については、このように述べています。------------引用------------------ 今回、議員立法の方式がとられたのは、所管庁である科学技術庁が、昭和43年当時の失敗に懲り、自ら表に立って調整を図るのを忌避したこともその一員であるが、最大の原因は、本法は予算要求の法的根拠を明示するものであるため、大蔵省が強く難色を示したことにある。すなわち、政府提出法案の場合、関係各省庁の合意がなければ提出が不可能であるので、そのような政府提案の制約を避けて議員主導で諸利害の調整を図りうるという議員立法による方式の特徴を生かして、かねてから科学技術政策について熱心だった尾身議員が中心となり法案化作業が進められることとなったのである。-----------引用終了------------------http://www.omi.or.jp/science.htm ま、立法趣旨は、行政のネゴがみえるのですが、しょうがない、成立したのですから、有効な法律にするためには、基本はできたので(問題はあれば改正をすればいいし)、その基本に沿った個別の法令が必要になっていくのです。 それを、しないのはどうしてでしょう。私でしたら、研究情報の予算、予算執行、成果の管理、それと、情報公開を決めておくべきだと思うのです。 それと、告発制度、その調査権限の管理組織への付与も。専門家に対しては、専門家の知識をもった人達でないと、判断はできませんから。でも、一般の人が参照できるように情報公開はしておく必要があります。暴走しないように。(特にリスク管理は、ですね) たかだか19条の条文で、基本的方針と行政の役割を述べているだけです。とすると、今回の著者のような問題については、私がいうように、別の法を作成する必要があると思うのです。(1月24日)科学者の不正行為
2009年01月24日
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【おまけ付き】DELL Inspiron 1420 Core2Duo(1.8Ghz)Mem2GB HDD80GB DVD+/-RW デュアルコア仕様のノートPCです。CPUは、デュアルコアです。勿論、Windows VISTAがサクサクと動作しますので、予備の、または第二のパソコンとしてはいいものです。 メモリは、2GB。OSはWindows Vista Home Premiumがインストールしてあり、また、再インストール用DVDも付属しています。■■ 新春なので感謝を込めて ■■  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 最先端テクノロジを搭載し、快適なモバイルライフスタイルに対応。モバイルとしても活用出来る薄型デザインのコンパクトノート。 もし、宜しければお立ち寄りください。詳しい説明や写真もあります。アドレスはこちらです。http://auction.item.rakuten.co.jp/10000888/a/10000346(1月20日)Windows Vista完全制覇パーフェクト
2009年01月20日
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■気になる本 - 一神教の闇 アニミズムの復権 ---------------------------------------------------------- 私が子供の頃は、現在よりも環境に優しかった人間の活動だったと思います。(もっとも、過去に遡る毎に、自然のリサイクルを利用していたと思いますが) コロッケや焼き芋、魚を購入しても、包装してくれたのは、新聞紙です。コロッケを食べて包装の新聞紙を舗装されていない道路に捨てても、雨が降り、新聞紙は溶けて分解され、土に戻っていきます。 この前、近くの河川の土手を愛犬と散歩したのですが、いたるところにゴミがあります。人為的に投棄された家電(とくに冷蔵庫、テレビ、電子レンジ等)が目につきます。 また、木の枝には白いものが風になびいています。何かなと思ってよくみますと、ビニュール袋です。この買い物袋は、どんなに年月が経とうとも決して土には戻らないものです。 あまりの便利さを追求しすぎて、環境に優しくない現代ができてきているということでしょうか。 雨も地上に降り、それが川になり、海に戻ります。それが海流となり、暖かい地帯にいきますと、蒸発し移動し、冷やされて雨や雪になります。私達は、地球という閉じた系の中に存在しているのであり、循環できる物や仕組みをなんとか見いださないといけないかもしれません。 そのためには、多少、便利さが犠牲になっても行う必要があると思うのです。 もっとも、著者は「稲作漁撈文明は持続を重視し、江戸社会に見られる高度な環境調和型文化を築いてきた。」といっております。 いま、「一神教の闇 アニミズムの復権」(著者 安田喜憲、出版社名 株式会社筑摩書房、発行年月 2006年11月)を読み終えました。 著者のプロフィールは、裏表紙にあります。-------------安田 喜憲(ヤスダ ヨシノリ) 1946年生まれ。東北大学大学院理学研究科博士課程退学。理学博士。国際日本文化研究センター教授。スウェーデン王立科学アカデミー会員。京都大学大学院理学研究科教授(併任)、フンボルト大学客員教授などを歴任する。 文明の盛衰を環境変動との関わりで調査・研究し、地球環境問題への提言は高い評価を得ている。2001年、地球科学や環境科学の分野で著名なクロホード賞にノミネートされる------------------- 著者が、アニミズムに感心をもったのは、1989年にヨーロッパからトルコへ至る道を、車で家族で旅したときだとあとがきで述べています。 アニミズムとは、著者が明確に定義を述べていないので、「ウィキペディア(Wikipedia)」によりますと、次の通りです。----------引用-----------アニミズム(英:animism)は生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方。19世紀後半、イギリスの人類学者、E・B・タイラーが著書『原始文化』(1871年)の中で使用し定着させた。日本語では「汎霊説」、「精霊信仰」などと訳されている。この語はラテン語のアニマ(anima)に由来し、気息・霊魂・生命といった意味である。-------------------- 著者は、旅で何をみたのか。それは、アニミズムの神であるメデューサの像だというのです。著者はいいます。「キリスト教は、輝かしいヨーロッパ文明を生み出し、人類に愛と福音をもたらしたが、アニミズムの神々を弾圧するという闇の部分がある」と。 「アニミズムの神だったメデューサは、キリスト教によって怪しげなイメージを与えられ、地下深くに沈められたのである。」 たしか、世界の四大文明というのを歴史で習いました。発達した都市、そして人間の精神(宗教)まで確立できた都市が文明であると。著者は次のように述べています。イスラエル文明 ユダヤ・キリスト教ギリシャ文明 ギリシャ哲学インド文明 仏教中国文明 儒教これらは、枢軸文明ともいわれています。 畑作牧畜民は、森林を破壊し、力をもって拡大しつづけた。一方、稲作漁撈民は、その場所にとどまり、自然とともに生きたと著者はいっております。 畑作牧畜民は、一神教的世界観(キリスト教、イスラム教)をもち、稲作漁撈民は、多神教であり、現世的秩序を有するといいます。でも、前述の河川のゴミを思い出すと、?になりつつはありますが。 著者は、1990年には、国際日本文化センターの英文ニュースレターにアニミズム・ルネッサンスについて発表しましたが、世界中の日本研究者から反論が殺到し、再反論を試みたものの、3回の書き直し要請を応じたのに掲載してもらえなかった と述べています。 著者の主張は反論者の言質でわかります。その部分を引用します。「安田は、キリスト教を中心とする一神教の文明が、平和で穏やかなマヤ文明やアズテク文明を滅ぼしたという。マヤ文明やアズテク文明は自然を崇拝し、アニミズムの世界に生きた平和な文明だったと述べているが、アズテク文明のどこが平和なのか。あの文明は、太陽に人間を生贄として捧げていたではないか。そんな文明がなぜ平和で穏やかなのか。」 著者は、この本でもこの意見について反論しています。「太陽は東の空で生まれ、西の空で死ぬ。太陽が衰退してしまうことを恐れた彼らは、生贄の真っ赤な血を捧げ、太陽の力を復活させたいと。(中略)ただ、生贄は自分が選ばれて、自分の生命を捧げることで現世的秩序が持続できると喜んで死んでいった。(中略)自然の秩序を維持するためには、時には人間さえ犠牲にならなければならないという心を理解し、太陽の恵みに感謝する心を復活せよと主張しているのである。」 もっとも、このあとには、ヨーロッパの魔女裁判について著者が述べています。1620年にドイツのワーベルン村でマリーという女性が魔女として処刑されたと。 この頃は、気候が寒冷化してブドウがとれなく、ブドウがとれないのはマリーのせいだ として、本人も拒否しているのに、処刑をしているのです。(キリスト教のヨーロッパで) 西洋では、アニミズムは、野蛮で猥雑だと著者の友人が著者に教えてくれたのですが、著者は、アニミズムという言葉の概念を根底から覆し、「美と慈悲の文明」、「生命文明」の時代を構築したいと述べています。 著者の狙いは、「世界に戦争や紛争がなくなり」、「本当の平和を構築する」のだというのが、この本を読むことによってわかります。 日本もアニミズム文明といっては大げさでしょうか。古くから草木や樹木、動物、海川、山野に命が宿っているのを知っているのですから。(参考)梅原猛の授業 仏教 そうです、著者もそのように考えているのです。稲作漁撈民は、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアは、4000年前に、北方の畑作牧畜民の南下と侵入によって、故郷を追われ、中国の雲南省、貴州省等の中国南部や東南アジアへと移動したというのです。 稲作漁撈民は、日本もそうです。著者によると、中国からのボートピープルではないか というのです。 同じように、台湾や中国の沿海州のオロチョン族、ツングース族、中国東北部の朝鮮族、満州族、そしてモンゴルやチベットの少数民族もそうだ というのです。 そして南太平洋の島々の人達も。また、南米のいくつかの国々も。 著者がいうのには、自然を崇拝するアニミズムグループを形成し、そしてその考えを世界に適用していき、実践していく という主張だと思います。 たしかに、著者のいうように、中国の河川は汚れていてそれが日本海に流れ込み、日本海の天然資源に影響を与えると著者は危惧しているのです。漂着物は、いまでも日本海沿岸にきているのです。空中では、黄砂がやってきます。 著者は、中国、台湾、韓国、インドと日本が強力な連携をして自然を守るという観点から、中国をはじめ各国の砂漠地帯への植林、河川の浄化、飲料水の確保、等を行って、自然のサイクルを生かす方策を考え、実施していかなくてはならない時期だ といっているのです。 でないと、中国は、その性格から本土から逃げ出し、日本のような快適な地を求めて動き出す というのです。(そういえば、離島の土地を中国人が買っているという報道を目にしたことがありました。) いろんなブログを参照していますと、今回の経済危機を打開するためには、■1 第三次世界大戦を行う■2 新しい世界秩序が席巻するしかないという意見もあります。しかし、私達は、いかなる戦争も認める訳はできません。 中国とアメリカの争いになることも止めなければなりません。中国だって、共産党がいつまでもつか、また、アメリカは、もう世界のリーダではなくなっています。世界が新たな秩序を求めているのです。新自由主義でもなく、共産主義でもなく。 この本は、過去の人類の歴史と宗教について、深い洞察が感じられます。このようなことは、学校では教えてくれませんので、一度、読まれることをお勧めします。世界観が変わると思います。 専門的ではあり、難しい用語もでてきますが、高校生以上の方でしたら、読めると思います。これから、世界で活躍する若い方々に、読んでもらいたい本です。(1月17日)一神教の闇
2009年01月17日
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■気になる本 - アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか? ---------------------------------------------------------- いやー、新年早々、いい本と出会えました。 ■また1万文字を越えましたので、前半部分を省略します。■ (前半部分は、こちらを参照) もう一つ、摩訶不思議なことを。 2月1日から、地元の大手スーパーがレジ袋を一つ3円、徴収することに決定されています。 ええ、その企業がその考えで行うのなら、私は私の考えで、別の店にいきます。しかし、地元と大手が手を組んで、全店で実施するから悩ましいものです。 その理由は、CO2なんです。でも、このブログで何度もいっているように、温暖化の原因の第一は、水蒸気(雲)なのです。どこかのマスゴミが正確に伝えてくださいませんでしょうか。 泣き面に蜂 というか、そのスーパーの株主の一人でもあるのです、私は。でも、これで利益が増加するでしょうね。いままでは経費として処理したものが、売上にできるのですから。 ところで、ヨーロッパは、大寒波に遭遇していて、凍死者がでているという記事が世界では流れていますが、どうも、日本では流れていないようです。(1月9日現在)(参考)ヨーロッパの大寒波は「北極振動指数マイナス」が原因なのか? ブログ主のらくちんランプさんは、最後に、こう述べています。「地球は今後25年から30年の間、寒冷化することが確認され、過去30年続いた温暖化が終了した」と。 え?、CO2温暖化説の学者はどういっているのでしょうか?。それと、マスゴミがヨーロッパの大寒波を報道しないのは、どうして?。だから、新聞の購読者は減少を続け、そして、NHKの受信料も減り続けるでしょう。実際、私もNHK以外の情報受信方法を考え始めましたから。 いま、「アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?」(著者 矢部武、出版社 株式会社あさ出版、発行年月 2007年7月)を、読み終えました。 著者の矢部 武(やべ・たけし)氏のプロフィールは、巻末にあります。-----------------------------------1954年、埼玉県生まれ。ジャーナリスト。1970年代半ばに渡米し、15年以上の滞在歴をもつ。帰国後、米紙の東京支局記者を経てフリーに。銃社会・人種問題・少年犯罪など、アメリカの深部をえぐるようなテーマを追究する。著書は『アメリカ病』(新潮社)、『少年犯罪と闘うアメリ別(共同通信社)、『危険な隣人アメリ別(講談社)、『見えない恐怖」におぴえるアメリカ人』(PHP研究所)など多数。--------------------------------- 著者は、15年以上もアメリカに滞在していたのですから、詳しいのです。しかも、それが思想や心情にまで入っていき知らせてくれるから、ありがたいものです。 著者はいいます。「アメリカほど矛盾した国民はない」と。もっとも、私がこの本を読み始めたのは、抽象的なタイトルに惹かれたからです。 そうでしょう。普通は、ベジタリアン(菜食主義者)でしたら身体は痩せるでしょう。ところが、著者は、アメリカ人の成人の65%が太り過ぎ(BMI値が25%以上)だというです。 また、子供の肥満も深刻だというのです。6歳から19歳の25%が太り過ぎ、15%が肥満(BMI値が30以上)だそうなのです。 そもそも、ベジタリアンというのは、著者が述べているのには「肉や魚を一切食べない菜食主義者」というのですが、それが、乳製品や卵を食べるか食べないかで呼び方がかわり、乳製品を食べる人は、(普通の)ベジタリアン、卵を食べる人はヴィーガンというそうです。 肉は食べないが魚などのシーフードを食べる人を、セミ・ベジタリアンと呼ぶこともあるそうですが、厳密な意味でのベジタリアンではないようです。 ところが、本題のように疑問をもったのは、ベジタリアンの4人にひとりは、太り過ぎか肥満だったそうです。「アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?」 何故? 答えは簡単でした。ベジタリアン・ジャンクフード・ジャンキーという人達が多いということです。これは、肉を食べなくても、アイスクリームやクッキー、パイ、ケーキ、ポテトフライ、ポテトチップ、キャンディ、ミルクセーキ、ソフトドリンク等を沢山、飲食しているからです。 それだけ、アメリカ人という人達は、自制がきかないということでしょうか。そして、安易な方法に走りたがる・・・ 著者は、2006年10月に、ベジタリアンのパーティをのぞいています。そして、かつてベジタリアンという人に取材をし、「ベジタリアンになることで肥満問題が解決しないこと」「ベジタリアンは、心やさしい人達かも」と述べているのです。 ベジタリアンは、心やさしい人達かも には裏があってベジタリアン情報グループ(VRG)の方によると、ベジタリアンになる第一の理由が、動物虐待の中止を訴えていて(牛、鶏、豚等の家畜は工場のような大農場でひどい飼育がなされているというのです。) 減量とは関係ないと述べているのです。 なんと自分の考えをねじ曲げているのですね。そして、自制がきかない というのは、日本でいうとキレる ということですから、危ない国家になっていきます。 それで、続く「第2章 クリスチャンの国になぜ離婚が多いのか」を読みますと、クリスチャンであるということは、日本でいう自治会に入会しているというレベルなのです。 都会では自治会に加入している人が少なくなっているかもしれませんが、地方の田舎ですと、いまも生きています。自治会に入らないと、町内の出来事、役所からの情報(役所からのお知らせ、回覧板ですが)もないのです。 著者によると、クリスチャンであるとは、信心深いのではなく、社会参加の一つの手段になっているというのです。ですから、教会で結婚式をあげ、「一生、相手に尽くす」と約束するのに、離婚が多いというのです。 また、選挙に立候補するには、クリスチャンでなければまずは当選が難しいだろうというのです。 そして、簡単な感想として、「しょせん、アメリカ人の信仰は本音と建前の使い分けに過ぎない」というのは、言い過ぎかもしれないが と述べています。 著者は、「名ばかりクリスチャン」と表現しています。自由と権利ばかりを主張していると。 アメリカの暴力と戦争の歴史は、建国時代まで遡ると著者はいいます。彼らは、「自分たちは神に選ばれた人間だ。だからアメリカを、世界を支配する資格がある。」と、宗教を都合よく利用しているといいます。 ただ注目しなくてはならないのは、キリスト教の中でも福音派は、最近、勢力を伸ばしてきているというのです。 ヘリテージ財団の調査では、2004年11月現在で6000万人にのぼるといいます。 福音派は、「信者に金や権力の追求を奨励するような傾向が強い」とある牧師は述べています。また、福音派はどの宗教を信じたらよいかわからないような子供に教義を教え込み信者を増やしているといいます。 これは、合衆国憲法に違反していると著者はいうのです。福音派は「死んでから天国にいくためには、クリスチャンにならなければならない」といいます。でも、ある牧師は、「キリスト教を信じても、人が天国へ行けるかどうかは神が決めることなので、全ての信者が行けるとは限らない」と述べています。 アメリカは、本音と建前を駆使し、子供時代に相手を攻撃するような信仰を植えつけ、物欲、権力欲を植えつけているようです。 そろそろ、日本の仏教、神道、禅の出番のようです。 そして、「第3章 男女平等なのになぜ女性大統領がいないのか」には、また、考えさせられます。 著者は、単純な疑問を持ちます。「男女平等なのになぜレディ・ファーストなのか」というものです。それをアメリカ人にぶつけますと、「もし、男性が本当に女性を大切に思うなら、レディ・ファーストを実践するより、男女間のリスペクトギャップ(尊敬の差)を改善すべきです。」と、大学の女性研究所の方はいうのです。 昨年の民主党大統領候補には、クリントン議員がオバマ氏に破れてしまいましたが、アメリカは、表向き男女同権といっているが、実体は男尊女卑であると、著者はいいます。だから、未だに女性大統領がでてきていないと。(実際、クリントン議員には表向き賛同しても、投票では男性に投票している人が多いらしいのです。) 虚構と実際が完全に違うようです。表面は男女同権といっても実際の投票は、男に投票をする という深層心理が根づいているようです。 「第4章 能力主義なのになぜ美容整形に殺到するのか」では、著者は、アメリカは、能力主義、実力主義の国なのに、何故、自分の身体に自身がないか、または身体を融合させるかという点を鋭くついています。 著者はいいます。「アメリカ人は見た目が9割以上だ」というのです。でてくる事例も美容整形にお金をかける女性がでてきます。 親からもらった健康な身体に、病でもないのに傷をつけることは、如何なものでしょうか。生まれたままの成長に合わせた身体であれば、何も臆することがないのに。これじゃ、日本のほうが、個性を発揮できる場であると思うのですが。 「第5章 民主主義の国がなぜ戦争マニアなのか」では、アメリカ人は、自由、平等、民主主義を掲げるのが好きだが、問題は大義名分ですべてを押し切ろうということが問題だというのです。 しかも、その理由は、深い意味はなく、見栄上の問題だと思えるのです。 著者はいいます。「大体、アメリカ人が道徳的なことを言い出すと、すぐに善意の押しつけや独善的な正義に走り、ろくなことはないというのが私の印象だ」 いま、イスラエルが行っているガザ地区へのミサイル攻撃にしても、一般市民、ひいては、人を殺戮している現状で、いかなる理由も存在しない問題と思うのです。第6章 世界一豊かな国がなぜ超格差社会なのか第7章 やはり理解できないアメリカ人の心理は、この本を購入して読んでみてくださいませ。 いまのままの政治が日本で続いていきますと、アメリカのようになってしまいます。そういう意味で、アメリカ人の心情、健康問題、医療問題、宗教、自由と権利、男女平等、能力主義、格差社会を知るには、いい本であります。 中学生以上であれば、難なく読めるでしょう。3学期が始まりましたが、近々、日本での英語教育がかわります。それで、日本における日本人クリスチャンが急増しないことを願うばかりです。 (1月10日)アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?
2009年01月10日
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