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はい。もうちょっとで今年って終わるのねぇ。あっちこっち行ってなんか見たり人とあったり、飲んで倒れそうになったり、カメラ使ってたり。おぉ、もちろん激務な年でもありましたしね。こちらの家でもいろんなかたに来ていただいて楽しいこと。とりあえず、数時間後の「らいねん」もよろしく、です。じゃね。
Dec 31, 2004
さて。ここのところ、冬季一時金が支給されたらアルパカ・ニットを一枚自分に買ってやることにしている。なんとなくこれを着てるだけで、「冬のよろこび」が倍増するように思うし。カシミヤなんぞよりも丈夫でへたらぬ。バブル期から愛用している(かれこれ15年にもなろうか)グレイのアルパカちゃんがだいぶ年季入ってきていて、そろそろ2代目新調か?などと毎年思うのだった。安いお買い物じゃないのでじっくりかんがえたいし。そこで。吉祥寺の井の頭公園へ行く途中にある「大原商店」へ。なんたってアルパカ・ニットの権威だからね、ここは。こんなの探しているんだけどー、と希望を伝えてあれこれ見せてもらう。対応してくれたマダムはもう20年ものの愛用品があるんだって。ふー、わたしのなんかまだまだだわ。「もうね、毎年着るから目は飽きてるけどこれじゃなきゃ!って着心地じゃない?だからやっぱり、同じの着ちゃうのよね」そのとーり。服は皮膚感覚で着るものなんだもん。何はなくともとりあえず、着ちゃう。それであったかい。虫除け以外あまり手がかからない(洗いすぎは却ってよろしくない)し。で、今回はベビー・アルパカの透かしが入った黒、ロールネックにちょっと襟がついてるのを試着。試着していると背後でなんだかじゃみじゃみとご機嫌声がする。店の人たちもがっはっは、と笑ってる。ふーむ、元気のいい常連さんね。などとかまわず着て「よし、これにしよ」とカーテン開けたら知らない人だけど見たことある人がそこに。じゃみ声の主は、高田渡さんだった。マダムが声をかけてくる。「どーでした?袖丈」「大丈夫。これにします。えっと、あのかた・・タカダさん、ですよね」「そうなのー、ステージでうちの服を着てくれたりしてね。常連さんなのよ」「最近インタビュウ、読んだばっかりで!」「雑誌?」「ええ、”酒とつまみ”っていうの」「まぁー、せっかくだからサインでももらってっちゃえば!」そこでカウンターでガハハ盛り上がってる彼らのとこに行き、セーターの支払いをし。「このかたねー、インタビュウ読んだってよー。サインしてあげましょうよ」(うひゃぁ。書くもの、あったかしらん)そこで急いでかばんの中身をあさるが紙らしいものがない。「んー、サインかよぅ。いやぁ、おれはよぉ」「でも、これでいいですか・・キューバ・ペソ」財布にはこないだまで使うたびに悶絶したペソ・コンベルティブレがあった。これにしよう。と取り出して。「おれぁ、オカネにサインするのなんて・・」まあまあいいじゃないですか~、と周りの方が協力してくれる。四つにたたんだお札をのばしてくれるひと、油性ペンを出してくれるひと。あぁ、ありがたい。そこ高田さんはちょっと照れながら(?)ひょろ、っと味のある字を1ペソの上にかいてくれた。うれしい。そのまま何ごとかつぶやきながら焼き鳥「いせや」の方向へ消えていかれた。「いつも彼、いせやへの途中うちに寄っていくんで。エーガの”高田渡的”でもだいぶこの通りで撮影してますしね。なんと、ウチの犬も出てるんですよ・・・たまたま映ったんですけどね、ふふふ」何かみな、彼の話をするのが楽しそう。いいなぁ。アイドルらしい。「いつも、誰にでもあんな感じで。もう、完成されたキャラクターだよねぇ」それもまた、いい。こういう場所でうわー、と喜んで盛り上がってしまえるあたりも、そして真ん中に高田さんのようなかたがいる、というとこが実に中央線らしい。アルパカとキューバ・ペソと高田渡さん。つながらないようでつながる気がする。この例題で中央線といふ「解」はかんたんに求められる。
Dec 21, 2004
写真は小さいころからよく撮っていたけれど、これがよく思い出せない。実は、ぼくが子どもの頃はまだボルタ判というかなり小さなフィルム(現代の普通のフィルムをひとまわり以上小さくした感じのもの)が流通していて、ぼくのカメラはそのフィルムを使っていた。フィルムが小さいということは、カメラも小さい。子どもだったせいもあるけれど、手ぶれはしょっちゅうだった。 だからいっぱい写真を撮っていたけれど、ほとんどボケていた。だから何が写っていたのか、何を撮っていたのか、今はわからない。ぼけていても、ブレていてもそれでよかったんだ。撮ってるってことがよかったんだ。 一番最初に撮ったものが何かは、今となってはもう、わからない。けれど、子どもの頃撮っていたものは、当たり前だけど自分のまわりにあるものだった。学校の友だち、特に女の子。それに花や猫。みんな自分の目の高さで撮ってるけれど、身長が低いからイヌやヒマワリがぼくより大きく撮れてたりしたっけ。女の子たちはみんな笑ってる。ぼけてはいるけれど。 ぼくが今でも普段、撮ってるものは、あの頃とほとんど変わらないんだね。さすがに写真はぼけていないけれど。
Dec 18, 2004
日本の時間のながれについていける(と本人は思っているが)ようになった。何かといろんな場面で「待てない人々」が増えてるなと思うこのごろ、こんなにせっかせかしてるのはこの国くらいじゃない?機械の速度に人が合わせてるような気がするもの。停電したり、アスファルトに大穴あいていたり、ホテルの両替所にすら新札(11月から使用されてるキューバの新紙幣)の在庫がなくなっちゃったり、夕食の準備中にガスが止まってライス・プディングの仕上げができなくなっちゃうような町にいたからか。でも、そのほうがなんか快適だったな。全部ってわけじゃないけど。あっちとこっちで同じスピードで走ってると、お互いの速度がわからなくなって衝突しちゃう、っていう、ええと、いわゆる「十勝型事故」?精神面での十勝型・・におちいるんじゃないだろうか。たまに違うテンポを試してみるのもとても必要だと思う。いや、ほんとに重要。「柿の種」の冒頭にも「なるべくゆっくりした気持ちのときに読んでほしい」というようなことが書かれていた。ここもそうですね。ここは「柿」じゃないな。マンゴの種とかグアバの種とか。(ちなみにマンゴの種をたわむれに割って食って喉じゅううるしかぶれが出たっていう症例があるそうな。あれって、うるしの仲間ですしね。梅干みたいな真似しちゃいかんらしいですぜ。)精神面のLandingはまだ、ちょっとこれからみたい。
Dec 17, 2004
ハバナからの帰り、どういうわけかイミグレーションでたくさんのおぢさんとお話をした。一回目の(行きの)分の入国スタンプがなかったのだ。なんでなかったかって、そんなの知らぬ。「で、何日いるの」「三日です」「・・・・・・」「あっちにも行ってね」「はーい」しかしそこは、あきらかにこれから何かここでオシゴトしたくて来た風体の人々だらけだ。オイオイ、わたしはただヒコーキ待ちで二晩泊まるだけなのに。永久就職しようなんて思ってないよう。えらそうな太ったおやじがえらそうに手招きする。机の横にはダイエットコークの缶。(いまさらそれに変えたって・・・)「ふーん、あ、チケットみせて」「はい」「初めての入国なの」「いえ、一週間ほど前に一度トランジットで」「でもスタンプないよ」「そんなの、知りません」(おめぇの仲間がしくじったんだろが)「三日間だけの滞在なの?」「なんならホテルのバウチャーも見せますか!?」「あ、それはいいから。・・・職業は?」「実直な勤め人」そこでおやじはパサポルテの写真と実物をしつこく比べ、スキャナでコピーをとり、しばし咳き込む。ダイエットコークを喉に流し込む。それからおもむろにべったんと判子を押し、3分くらいかけて一ヶ月の滞在期限をペン先がつぶれそうなくらいぐりぐりとゆっくり書く。笑い出しそうなのをがまんする。なんだ、こんなおやじのひまつぶしに付き合うのやだな。だんだん汗かいてくる。暖房がよく効いていてたまらん。馬鹿丁寧なサインをやっとこさ終えたのち、ぽん、とこちらにそれをよこした。「merci!」もちろん嫌味で言っているつもり。さーて、やれやれ。税関申告書を出口で渡して、スーツケースを取りに。拾い上げて出ようかなと思ったらさっきの馬鹿丁寧サインのせいで「あっちを通って」またかい。オイ。さっきのサインおやじのいたカウンターで一緒だった同胞たちもみなこっちの列へくる。一番奥があいた。「こっちへ!」(面倒だなぁ、なるべくよい子にしないと)「どっから着いたの」「ハバナです」「そうか、いいねぇ。休暇かい?」「はい。」「そんじゃー、かばんあけて。手荷物でいいから」「えっと、これがさいふ。チケット。化粧品、それから」「これを開けて」(とハッセルブラッド入りの袋を指す)「これは撮影すみのフィルムとフィルム入ったままのカメラとマガジン・・」「その奥は何がはいってるの」(といって手を入れる)「あ、これもカメラ」というか言わないかのうちに「おぅ、キミいいの持ってるね。ハッセルブラッドじゃないか!」「あら、ご存知なの。お好きですか」(せっかくだから取り出して見せてあげることにする。う、重い)「好きだよー。いいねえ、いつごろの型なの」「多分10年以上前でしょうね」「あ、もういいからねー。検査、おわり」「merci!」「はい、次の人こちらー」ハッセルブラッドを見たらなぜか気が済んだらしくさきほどのような追求はなし。開いた荷物を片付けるのには3倍かかるのにな。これで無事開放。ハッセルにちょっと救われる。わたしの日本国旅券よりも効力を発揮したように思えてならない。微妙な気分。えーい、金はかかるがこの寒さ。連日30℃のハバナから来た体にはこたえる。両替所で50EUROをカナダドルに換金。60+@くらいになる。手数料をがっさりもっていかれる。理不尽なり。金はかかるがタクシーだ。一台いた。丸刈りのがっしりした兄ちゃん。ホテル名と通りの名をつげるとすぐに出る。灯りの多い道、でこぼこしない道路。カルチャーショックは少ないけれど美しい街。兄ちゃん、何か言葉を発する。「どっから?」「ハバナよ」「国籍は?」「日本」「休暇で?」「そうよ。ここはトランジットのつもりで2晩」「なるほど。トロントは初めて?」「うん。気温差がちょっとねぇ」「そうか、じゃあダウンタウンに入るまで簡単にガイドするよ。俺の名前はICE、氷と同じ綴り」「寒い国に似合う名前ねぇ」「あはは、そうかも」(彼はざっと何があるのか、見えるポイントごとにあれこれと教えてくれた)「でっかい街よね」「人口、すごいもの。ああ、あそこが野球のスタジアムだよ」「野球は好き?」「おれはヨーロピアンだからね、サッカーだよ」「どっから来たの?」「マケドニア。トロントの前はオーストラリアにいたんだ」「何年くらいここに?」「3年くらいかな」「ここって欧州のコミュニティがたくさんあるよね」「もちろん、日本のだってあるよ。はじめて国外で働く人にとって、同じ言葉で話す人がいる場所があるほうがいいし、そういう場所に人が集まるんだ」「そりゃそうだわね」「ところで・・。トロントに来た者はすべて、ナイアガラ瀑布を見なくちゃいけないんだぜ」「え!そりゃ大変。出国のときに役人に訊かれるかしらん。”きみはナイアガラを見たか”って。パスポートに判子押してもらわなくっちゃ!」「アッハッハ!」「だって入国審査がうるさくてねぇ。ちょっと大変だったし」「そうか。ま、時間があればナイアガラ行くときに呼んでくれよ。往復100ドルくらいだけどさ」「・・・・・」黙っていると。「そうだな、一番高いのがタクシー。二番目はグレイハウンド。でも一番安いのは普通の路線バスかな。これなら10ドル50セントで行ける」(人のいいやつだなぁ。)なんだかんだいってるうちに、目的地。「ありがとう、おかげで楽しい移動だった。あなたの国で”ありがと”ってどういうの」「”FALA"だよ。こういう綴り・・・(とメモに書いてみせる)」「そう、じゃあね、ありがとう。何だっけ・・”FALA"!ひとつ勉強しちゃった」「FALA!」(なんだかちょっとうれしそう。)彼はわたしがチェックインする寸前まで見ててくれ、手を振りながら走り去った。タクシーの兄ちゃんは、ほとんどが移民だと思う。乗るたびに新しい挨拶をひとつ、覚えられそうだ。
Dec 16, 2004
今日のお昼、曇り空と寒風のなか西神田をまたいであかね書房の横を通り神保町へと向かう途中で。夏までクリーニング屋さんの建物があった空き地の端に、古本の束が放ってあった。ぜんぶ古い。古本だからなぁ。ぜんぶ国文学。10冊くらいか。近代の詩歌とかそういうタイトルのものばかり。まあ、本が捨ててあるのはべつに驚かないがこういうのばかりまとめてなんでここに。その中から一冊引き抜いた。「柿の種」寺田寅彦 小山書店版 昭和16年 函入り 函に少々破レ・カスレ有り・・・これじゃ古書店目録のようだわね。白地(もとは)に赤い小花風の模様の並ぶ、函と表紙がおそろい。馬糞紙の函(カスレ有り・・)もいい味わい。その本を持ったまま専修大学の横をとおり、「カレーとおにぎり ようこ」 の前をとおり、横断歩道をわたり「上海朝市」へ。麺類を頼んで待つ間にひらいてみる。何かとても引き込まれる言葉がいろいろ入っている本だ。冒頭の4行あがまんづこんなだし。棄てた一粒の柿の種/生えるも生えぬも/甘いも渋いも/畑の土のよしあしただの柿の種ぢゃなくて「棄てた」柿の種なのね。何度かこの4行を反芻しているうちになんだかいろいろ考え事をしてしまう。頼んだ麺類を待つ時間が短く感じられる。道端で拾った古本の中にあっといふ間にすいこまれてしまう。そんな展開がまるでチェコのパペット・アニメーションにありそうでおかしな感じがする。それにしても、なんでこんな本がここに。戦火を免れて2004年末のまっぴるま、西神田3丁目におっこってるのか。当該書籍氏はかよーなモノとしての運命を予想していたろうか?否、とも言い切れぬ。大方出会いなどといふものはすっきり説明できるもんぢゃないよね。本に限らず、なんでも。日本に帰ってきてからのはじめの「日本語の本」、はこれ。ただし持ち歩くとさらに「カスレ」増えそうで。やっぱりパラフィン紙かける?欲かいて帰りにもう一冊「三太郎の日記」角川文庫。
Dec 15, 2004
ええと、ほんとはおとといですが(10日)帰ってきちゃいました。かなーりまじめな時差ぼけ状態で12時間すっかりすれてまして、本日はこれを無理やり微調整するべく活動中。もろもろの報告は、たまったいろいろののちにね。え、キューバ?あいかわらず笑ったり、あきれたり、バーローと日本語で叫んでみたり、しみじみしたり、バナナの皮ですべりそうになったり。表情筋が活発な日々でした。ではでは、ちょっとまってて。
Dec 12, 2004
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