草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2021年09月09日
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劇 映 画

           「 ビッグ チャレンジ! 」

                         脚本 しばた えつこ

 登場人物

   日本(ひのもと) 一太郎(いちたろう)

   桜子(一太郎の妻)


   長女 美雪

   長男 健太

   次男 正次




   作家

   歌手

   サッカー選手

   タレント

   大衆演劇のスター

   かーレーサー


   命の恩人

   旅館の女将・橘 かおる

   一太郎の先輩・大家 建造

   易者


   J M C の社長・夢野 翔子



   J M C の課長・佐藤 勝之


   自称ライバル・鬼田 幸三

   ホームレス・柴 遊太郎

   料理研究家

   新谷 春子



   タクシーの運転士

   サラリーマン

   お局様(得意先の女性)

   アカ詐欺師


   大家さん・人見 良介

   商店主

   中小企業の経営者

   タレントの付き人

   店員

   おかま

   バーテン


   受付嬢

   新人社員

   秘書

   守衛

   佐藤(重役付き運転手)


   その他


    オフィス・ビル 街 (昼)

   高層ビルの透明なガラス越しに、最上階のオフィスから次の階へと、次々に出たり入った

りを繰り返す一太郎(48歳)の姿をカメラが追っていく。

    街(夕暮れ)

   肩を窄め、首うなだれて悄然として歩く一太郎の姿がある。よく見ると、一太郎の歩いて

いるのは広い通りの歩道の、車道とは反対側の建物沿いである。

    大数酒場

   その片隅に、グラスを前に茫然と腰掛けている一太郎の姿がある。

    一太郎の 回想

   その一 二十数年前 Ⅰ   ―― 書店でベストセラー作家・澤木健二郎のサイン会が

開かれている。行列するファンの中に一太郎がいて、自分の番を首を長くして待っている。

一太郎のモノローグ  「僕は自分が天才だと信じている時期が4、5年続きました」

   澤木のサインを得て、喜色満面の一太郎が作家に握手を求めると、相手は気さくに応じて

くれた。

一太郎のモノローグ の続き  「よし、僕も絶対に傑作を書いて、人気作家になるぞ……」

   回想の Ⅱ   ―― 人気歌手・南島三郎のチャリティコンサートの会場。

   その最前列に陣取って声援を送っている一太郎。

一太郎のモノローグ  「しかし僕は極端に移り気だった。南島三郎! 恰好いいな、声がいい

し、歌唱力は抜群。スターになるなら、何といっても演歌歌手だ。よし、これで決まりだ」

   回想の Ⅲ   ―― サッカーの国際的なスター選手が練習している。その風景をテレ

ビ局のクルーが取材している。遠巻きにしている見物の中に一太郎もいる。

一太郎のモノローグ  「夢見たり、憧れたりは若者の特権かも知れない。これからは断然サッ

カー時代なのだ。僕も負けないように頑張らなくっちゃ……」

   回想の Ⅳ   ―― 練習用のサーキット場。人気カーレーサーの佐々木原 一気が颯

爽とレーシングカーを走らせている。その様子がテレビの映像で紹介されている。そのテレビ画

面を食い入るように見詰めている一太郎。その表情は真剣そのものである。

一太郎のモノローグ  「生か死か、命を賭けて勝負に挑むカーレーサー。これぞ、男の中の男

の職業だ。本当に、凄いなあ」

   回想の Ⅴ   ―― 東京郊外、ロケーション撮影の現場。

   大物タレント・大町 研介が主演するドラマの収録が行われている。少し離れた所に人垣

が出来ている。その見物人の中に一太郎がいる。

   撮影の合間、合間に甲斐甲斐しく大町の汗を拭ったり、飲み物を手渡したりしている付き

人の女性。その付き人が何か必要な物でも取りに来たのか、一太郎達の近くまで走って来た。傍

に停めてあった乗用車から薬のような物を捜し出して、再び現場に向かおうとした。

一太郎  済みません、一寸お話が……。

付き人  えっ、私に用事。

一太郎  お取り込み中に恐縮ですが、僕は日本一太郎と申しますが、大町研介さんの大ファン

なのです。

付き人  先生の大ファンなら日本中に山程いますよ。あなたは、サインでも貰いたいの。

一太郎  いえ、サインではなく、大町先生の弟子になりたいのです。

付き人  あんたが ―ー

   改めて、一太郎の姿を上から下まで眺めて、

付き人  演技の勉強でもしているの?

一太郎  全くの素人ですが、先生に弟子入りして、その、猛烈に勉強するつもりです。

   付き人は半ば呆れている。その時、助監督の一人が呼びに来た。

付き人  あたし今忙しいので…。

   と言い残して、現場に戻って行く。

一太郎のモノローグ 「全く偶然に撮影中の大物タレントを目撃した。清水の舞台から飛び降り

るような気持ちだった。願ってもないチャンスが直ぐ近く迄、向こうからやって来た。そんな錯

覚に捕らえられての暴挙だった」

   元の大衆酒場

   「君、元気を出したまえ、元気を」と、一太郎に声を掛けてきた客がいる。

一太郎  ……。 (ぼんやりと隣に座った客の顔を見る)

客  酒なくてなんでこの世の花見かなってね、お酒は楽しく、愉快に飲まなくっちゃあ、いけ

ません。

一太郎  この世の…、お花見ですか。

客  そうです、人生楽ありゃ苦もある。当節では長寿長寿と言い囃しますが、長寿などと言っ

ても高々百年と一寸じゃありませんか。お互い楽しくやりましょうよ。

一太郎  はァ……、楽しくですね。

   山道 ( 一太郎の回想 )

   風景をスケッチしていた男が、鉛筆を動かしていた手を止めて、遠くを見る。一太郎(二十

代前半)が夢遊病者のように崖への道なき道を行く。

   崖の上 (回想の続き)

   焦点の定まらない目を宙に泳がせ、一太郎が前にソロソロと歩む。その顔に一瞬恐怖の感

情が浮かぶが、それを振り切るようにダッシュする。

   病室 (回想 続き)

   ベッドの上で両目を開ける一太郎。

看護婦  御気分は如何ですか?

一太郎  ……此処は ――

看護婦  病院です。こちらの方が(と、傍らの椅子に腰を掛けた男 ― 山でスケッチをしてい

た、を見返る)消防に通報して下さらなかったら、あなたは今頃この世の人ではなかった筈です。

一太郎  すると僕は又自殺しようとした。

看護婦  それじゃあ、何も憶えていらっしゃらない。村中の大騒ぎだったのに。

一太郎  ええ、まるで記憶がありません。

男  厭なことは忘れるのがいいのですよ、無理に思い出すことはない。

   一太郎は突然ベッドの上で正座して、最敬礼する。

一太郎  本当に有難うございました。

男  いやいや、どうぞお楽にして下さい。せっかく授かった命です、どうか人の為、世の中の

為に役立てて下さい。

   ✖ ✖ 旅館の玄関ロビー (回想 続き)

   数日後。怪我も癒えた一太郎が旅館を出るところである。折しも、間もなく某国務大臣以

下の一行が到着すると言うので、女将以下旅館の従業員達が慌ただしく立ち働き、村長や助役な

ど土地のお偉いさんが勢揃いして、待ち受けている。

   旅館の前の道 (回想 の続き)

   とぼとぼと歩く一太郎に、

女将  あの、お客様、ちょっと…。(足早に追って来て、声を掛けた) 一太郎は、自分の事とは

気付かずに行こうとする。

女将  あの、お忘れ物です。お部屋に。

   ぼんやりと立ち止まった一太郎の前に、古ぼけたノートを差し出した。

一太郎  これは…、あっ、どうも済みませんでした。

   声が上ずっている。一太郎は手渡されたノートを無意識にペラペラとめくっている。ノー

トの中には乱雑な字で、「自殺、自殺、今度こそ、最後まで遂行! しかし勇気なし、ダメな自

分……」などと、書きなぐってある。

女将  お元気で。機会がありましたら、又私共の旅館にお越し下さいませ。

   美しい笑顔で一太郎を見送っている。





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最終更新日  2021年09月09日 16時33分31秒
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