2014.03.08
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テーマ: SF映画(10)
 どんな分野であれ、学問を究めるには並々ならぬ努力と粘り強さが必要ですね。
 後世に残すための研究といえば聞こえはよいですが、意外と動機は「チヤホヤされたい(スゲーと言われたい)」とか、「モテモテになりたい」とか、「リッチになりたい」など、かなり自己中心的で不純だったりするのかもしれません。

 今回は、学問は結局女を落とすための道具だったということがよくわかる SF映画『スターゲイト』(1994年)をご紹介します。




わかりやすいあらすじ


 古代エジプト象形文字ヒエログリフに魅せられた考古学者。
 ずば抜けた才能を持ちながら、プレゼンスキルの乏しさと持論の暴走によって、研究発表会でも総スカンを食らう始末。
 この失敗で研究費も打ち切られ、大学を締め出されるほどのトホホっぷり。

 そんなとき、不思議な老婆から仕事をやらないかと持ちかけられる。

 この怪しさ丸出しの老婆が手にしていたのは、1920年代に撮影されたエジプト遺跡の写真と、ヒエログリフの写し、そして旅程だった。
 三度のメシよりヒエログリフなこの男、半信半疑ながらも好奇心を止められない。


 そこに刻まれたヒエログリフは「スターゲイト」を意味していた。

 この環をくぐるとその先には何が待ちかまえているのか?

みどころ


1. イロモノなのに没個性

 主演はジェームス・スペイダーですのでご存知の方も多いと思いますが、顔の造りは整っているものの、80年代は嫌味でダサキャラ、90年代は二枚目目指すも見事に失敗、2000年代に突入するとキレキャラで加齢とともに脂肪も増え、過去の端正な顔立ちから程遠くなりつつあります。



 特殊な性癖を持つサイコがかった上司を熱演。
 1989年には『セックスと嘘とビデオテープ』で全裸になってプライベートビデオ観賞する青年、1996年には『クラッシュ』で交通事故に欲情するマニアたちの倒錯した世界にハマっていく若者を好演していますので、変なのは今に始まったことではありません。



 そんな愛すべきジェームス・スペイダーのショウビズ露出は減りつつありますが、まだまだ、そしてもっとスクリーンで活躍してもらいたいと思っています。

『スターゲイト』では典型的なイメージの学者になり切ってしまったあまり、こんな役なら別にジェームス・スペイダーじゃなくてもよかろうという話になるわけですが、この作品が B級SF映画と言われる理由の一つは、彼の個性が死んでいるところにあると言っても過言ではないかもしれません。


2. 地球人と異星人のチープすぎる交流

 スターゲイトの先は見渡すかぎり砂漠(実際にロケ地はエジプト砂漠)。
 異星という設定にもかかわらず普通に呼吸できる環境も整っています。
 ですから、スターゲイトの環をくぐった米軍のご一行様も、何だエジプトじゃんという感じで最初から緊張感は皆無でございます。

 このようなユルい感じで探索を続けていると、何とそこで人間らしき群衆を発見。


 老婆から譲り受けた謎の金色のペンダントに刻まれていた太陽神「ラー」の目のシンボルが、彼らが畏怖して崇拝する神の印だったというオチですが、このペンダント無くしては、ひょっとすると出会いがしらに殺されていた可能性もありますので、しょっぱなから神待遇とは、まさに娯楽映画にピッタリの超ラッキーな地球人たちといえましょう。

 しかも、好意的に迎えられたことにすっかり気を良くした考古学者は、現地の女性と恋に落ちてしまったりしますので、明らかに大学生デビューにも失敗している彼にしてみれば、遅咲きながらも華々しいデビューを異星で飾ったことによって、ヒエログリフなんてもうどうでもいいやという感じになっていきます。

 地球人がこんなことで貴重な人材を失うことになろうとは、まさかの視聴者も予想だにしていなかったことでしょう。


どうでもいいトリビア


パクリかオマージュか

 1994 年の作品なので、 CG 技術は時代を感じさせるものになっています。


 しかしながら、全体の世界観としてインディアナ・ジョーンズに酷似しているという印象を持った方も多いことと思います。
 主人公が考古学者ということと、エジプト文明を扱っていることで作風が似かよってしまう点は避けて通れないのですが、4作目の『クリスタル・スカルの王国』で地球外生命体も登場していますので、『スターゲイト』のプロットとしてはとりたてて目新しいことはないのが残念なところでもあります。


 また、スターゲイトが開く瞬間は水の波紋が CG になっていますが、これは海底探索をテーマにした 1989年作品『アビス』の自在に変形する海水に通じるところがあります。




 さらに、スターゲイトをくぐる際の光の表現は、地球外生命体の導きによる人類の進化を描いた 1668 年作品『2001年宇宙の旅』で、ボーマン船長が次の次元の生命体に昇華するシーンを彷彿させます。
 実際、『2001年宇宙の旅』でもこのシーンは「スターゲイト」と呼ばれ、おびただしい量の光を連続的に浴び続けることになります。

 このように見ていくと、制作側も本作品のタイトル『スターゲイト』と『2001年宇宙の旅』の「スターゲイト」の呼称を偶然の一致と片づけるわけにもいかず、同じく光のシャワーを採用したのではないかと見ることもできます。




 そして、ジョディ・フォスター主演『コンタクト』(1997年)では、謎の地球外生命体(推定ベガ星人)に接近するシーンで、光のチューブの中を突き進む様子に『スターゲート』のこのシーンがほぼそっくりそのままパクられていたりします。


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最終更新日  2014.03.10 11:08:41


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