青空と木洩れ日

青空と木洩れ日

2024.01.11
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過去作品はテレビ放送で見ていたものの
所詮子供向け映画と全然興味がなかった
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり(原題『Wonka』』
に映画好きの友人から誘われて、
クリスマスの時期に行ってきました。

ものすごく良かったので書いておきます。

どんな感じで良いのかというと、
1歳から92歳までの子供達と
やさぐれかけちゃった大人達への

(実際は小さなお子さんは一般上映でなく
子供用かお家で見る形になりますけど)

良さを伝えるために詳細を書いときます。
ストーリーではなく見所なので
映画を見る前に知っておいても良い情報です。
話の顛末は書いてありません。

まず基本情報。
この映画は1960年代のイギリスの児童小説を
70年代にアメリカで映画化し大ヒットし
2005年にジョニー・ディップ主演で作られた
原題『チャーリーとチョコレート工場』という物語を


なので初めて見る方は、
せめて入手しやすいジョニー・ディップ版を見るか
あらすじだけでもウィキペディアなどで読んでから
見るのがお勧めです。

というのも、この元の物語はかなり奇想天外な

これまた奇想天外に表して大ヒットしているので、
映画を見て育った欧米の子供達にとって、心の隅に
これってなぜこうなの?という疑問が残っているんです。
その解説も上手に入っている映画なので
やはり元の話を知って、??というところを
押さえておくと良いんですよ。

たとえば、ゴールデンチケットの由来
なぜ美味しいチョコが、安い板チョコなのか
なぜウォンカはあんなにひねくれてるのか、
なのに妙に善悪に厳しくて、優しいところがあるのか
なぜあんな子供が喜ぶような工場なのか、
それよりも、一番の疑問はあのこびとは一体何者で
なぜあそこで働いていて、なんで歌ってるんだ???

ウンパ・ルンパに関しては、ジョークで
「ウォンカは妖精界のこびとを捕まえて、
又は黒人の小人症候群者=障碍者を騙して
奴隷としてただ働きさせてるとんでもない大悪党」説も
まことしやかに流れている位
不思議な小説なんです。

が、そんな奇想天外な話、大人には面白くないので
私を含め、見なくてもいいよねって思うんですけど
大間違いでした。

今回はこの不思議なチョコレート会社社長の
ウィリー・ウォンカが若い頃のお話になっていて、
主演は大人気若手俳優のティモシー・シャラメ。

と言われても、別に今時の人気俳優なんて興味ないしと
思っちゃいますよね。
それに、前作のジョニー・ディップみたいな存在感と癖を
出せるのかなと思っちゃいます。

ところが、今回の物語にぴったりの俳優でした。

とても純粋な感じが見ていて清々しいし
歌も良いです。
やりすぎないソフトで自然な歌声。
プロとして歌もやってる人じゃないと思うけど
そこがやり過ぎ感がなくていいんです。

今調べたら、お母さんがブロードウェイ俳優で
子供の頃からCMに出てる人でした。
もともとミュージカルに触れている人なんですね。

この映画の演出とか、制作に関わっている人達も
生え抜きの人達なんだと思います。
というのも、ミュージカル仕立てなのに
自然で柔らかくてわざとらしさがなく、
コメディ要素も多いので
ミュージカル嫌いな方もすんなり見られる
良い加減の映画になっているからです。

最近(?)のミュージカル映画で有名なのは
『ララ・ランド』ですけど、それと全然違う。
あんな、いかにもなミュージカル映画じゃないんです。
大げさ感も恥ずかしい感もなし!

歌の良さ、ダンスの楽しさが全部出ていて、
出ている人達がこれまた端役でも皆上手。
そして悪人おじさん達のダンスと歌がとても良い。
肩の力をぬいたミュージカルの神髄が出ていて、
ミュージカル嫌いの方にもぜひ見てほしい。

調べてみると出演俳優は皆、経歴が長いプロ中のプロで
悪人はほとんどが有名なコメディアンです。
身のこなしも違うし、観客を惹きつけるのはさすが
トップエンターテイナー。

こういった悪人も出てくるしコミカルなシーンも多いけど、
全体的には綺麗なおとぎの世界がチョコレートのように
心にふんわり夢が広がる、幸せな映画です。

そしてそれだけじゃなくて、実は話の中に
こういうことには気をつけなくちゃいけないよ
世の中にはこんなひどい大人達もいるんだよ
勉強しないと騙されちゃうんだよ
という子供達へのメッセージが込められているし、
大人が見ても、
チョコレートという幸せになれるものが
足りることを知らない欲にまみれるとどうなるのか、
またそれを利用して人を操る悪人達もいるという
メッセージも含まれています。

ウィリーはウンパ・ルンパを捕まえタダ働きさせてる
とんでもない大悪党説についてですが、
今回は、不名誉な不安を一掃しただけでなく、
ウンパ・ルンパが強い個性を持つ行動力のある
キャラクターであることも描いています。

この映画がつくられる際、ウンパ・ルンパを
ヒュー・グラントが演じるという事で、
小人症候群の俳優が抗議してニュースになりました。

ただでさえ非常に少ない小人役なのに
有名俳優が奪ってしまうのはあんまりだ、という事で
私もそれをもっともな抗議だと思いました。

ところが監督が、
この嫌味たっぷりの役を演じられるのは
ヒュー・グラントしかいない、と
抗議に対して何の対応も取らなかったので、
この小人(原作では黒人風の小人で
差別問題があるのではと以前から問題視されていた)を
嫌味な役にしてしまうのか…と複雑な気持ちでした。

しかもヒュー・グラントはもともと英国の二枚目俳優で
コメディにも定評はありますけど、
二枚目がもとにあってのコメディなので、
どう考えてもウンパ・ルンパにはまらず
???と思っていました。
それはほとんどの人が同じ気持ちだったと思います。

しかし予想と不安を大きく裏切って、
いや~これはヒュー・グラントだからできた役でした。
自尊心が強くて、趣味が良くて、行動力があって、
不思議な力があって、でもちょっと劣等感もあって
実はさびしがりやというのが、上手く演じられている。

そしてその複雑で奇妙な性質が
原作のウンパ・ルンパの疑問解決に
全部繋がっているのもすごい。

原作では黒人風の容貌でしたが、
今回は緑の髪とオレンジの肌という、
何人でもない風貌になっていたのは、
差別に繋がらないようにという事でもあったと思います。

隅々に細かい気配りがされていましたが
それがふわっと自然に優しく広がっていました。

見た後、心地よく、心が広がるような映画でしたが、
少しだけ引っかかることが。
それは、映画のストーリーの中に
今まで謎だった様々な疑問の答えが隠されていて、
最大の謎、ウンパ・ルンパについても明かされるのですが、
まだ2つほど謎が残るんです。

一つは、こんな素敵なチョコレート工場の夢をかなえた
純粋なウィリー・ウォンカが、
どうしてあんな大人になってしまったのか。
それから、ウィリーのお父さんの話が出てこないのはなぜ?

ということは、きっとこれは続編があるのでは???

チョコレート工場の始まりが純粋で夢一杯の綺麗な物語、
チャーリーと出会ったウィリーが奇妙なひねくれた物語、
そしてその間の物語は、きっとまた全然別の雰囲気の
映画になるのかもしれません。

そういうお楽しみも含めてとても面白いので
お薦めします。



オリジナルサウンドトラック
非常に良い作品です。
ティモシー・シャラメのファンは勿論のこと
ファンじゃなくても、心が明るく広がるような曲です。





下:原作


画像をクリックすると詳細が見られます。








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Last updated  2024.02.03 23:48:31
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