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October 27, 2006
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さて、10月歌舞伎は、なんと言っても夜がよさそう。と、期待していました。

そして、今、すっかり満足して、私はのどをゴロゴロ鳴らす猫みたいになっているところです。

図らずも、

いや、図ったのか、

夜の部には、”悪い男”が3人揃ったのでした。

トップバッターは、『仮名手本忠臣蔵』の、斧定九郎。市川海老蔵。

昼間、曽我五郎を演ってた時のクスクス笑いは全くなかったです。
最後に、ゴックンという、かすかな音がしたかもね。



この斧定九郎、ワルの中のワル。


袂(たもと)をしぼり、髪を撫でつけ、背筋を伸ばす。

セリフは、たった一言。奪った金を数えて
「五十両。」


親にも見離された彼のいでたちは、全身白塗りで、黒い紋付。
白と黒だけの、浪人姿です。

この、モノクロな男は、原作では、むさい野良男だったんですって。
それを、役者が、なんとかしようと工夫し、悪の結晶みたいな定九郎を作り上げた。

これ、初演の時、すごい評判を取ったらしい。


まあ、むさい時には、黒澤明の映画みたいだったんでしょう。
この役。

でも、リアルは、歌舞伎に似合わない。

役者の工夫って、凄いもんです。
舞台と、映画は、全く違うんですよね。


で、定九郎は、鉄砲で撃たれてあっけなく死ぬんだけど、舞台の真ん中で、たった一人で、

口から血がドバーッ。
白い太ももをビビビ・・と染め、


白、黒、赤 の美しい最後を遂げる。


表現し切れません。
見てないとねえ。
伝えられないねえ。




この役は、まさに、海老蔵!!!なんだけど・・・
いつか機会があったら、この海老蔵の錦絵を見てくださいませ。
冥途のみやげに。



定九郎ってヤツは、吸う息吐く息が、既にワルなんだよね。救いがない。
悪の広っぱに、理由なく立っている。

なんていうか、言い訳なしのドラキュラみたいなもので、存在そのものが悪なのね。


そういう意味では、あまりに非現実的なので、美しいと感じてしまう。
若い子が、ワルをカッコいいと思うとき、
生活感のない、こういう男を想像しているんだろうなあ。




長くなったけど、次。

松本幸四郎の『髪結い新三』

こちらは、チンピラです。
面白かったです。話も、幸四郎も。

幸四郎は、『ラ・マンチャの男』が私の中では、ベストで、歌舞伎を見ても今ひとつ、物足りなくて、新劇の方が好きだなあ。
と、思っていたのですが、新三は、ばっちりでした。

フランスのギャング映画みたい。

明るくて、調子が良くて、適当に抜けてて、がめつい。
粋で、ハンサムで、声がいい。


これ、初役なんだそうです。
もっと、若い頃からやってたらよかったのにね。
きっと、代表作になったんじゃないかしら。

いえ、名優に対して、余計なお世話でした。


新三は、大棚のお嬢さんを誘拐して、身代金を取ろうとするんです。
でも、逃げも隠れもしないのね。

だって、彼に言わせると、お嬢さんは、新三に惚れて自分からやってきたんだって、わけ。

結局、たいした金にもならず、開放するんだけど、
「会いたくなったら、また、おいで。」
なんて、お嬢に、声をかけちゃう。

かっこいい、やくざな男なんですの。




そして、最後に、『早野勘平』。
お軽勘平って、聞いたことがあるでしょ?

こいつが、一番、始末が悪い。


私、嫌い。



おっと、続きは、今度です。





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Last updated  October 27, 2006 12:30:25 PM
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