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例えばこんな経験はありませんでしょうか。何十年も前にに見た映画で好きな映画があったとします。「あのシーンが好きなんだよね」「あのセリフが大好き。今でも鮮明に憶えているよ」とお気に入りのシーンがあったとします。ところが久しぶりにその映画を見てみたら、思っていたのと全然違っていたような経験はありませんか。僕は何度もあります。セリフが違っていたり、下手したらそんなシーンはなかったなんてことも。あるいは、幼なじみと昔の話をしていて、2人の記憶が全然違ってたことはありませんか。「いや、あれはこうだったよ」「違うって。こうだったよ」みたいな。人間の記憶がいい加減なものだと気が付いたのは40代の頃ですかね。記憶とは思い出すたびに改ざんされるようで、より大げさに、そして自分の思いこみによって変わっていくようです。鮮明に憶えているのに、違うことがあります。また、ちょっとしたことから、昔の記憶が突然よみがえることもありますよね。久しぶりに通った道沿いの神社を見つけて、子供の頃そこで遊んだことが突然思い出されたり。記憶というのは不思議です。高橋克彦氏の「緋い記憶」を読みました。7つの短編小説が収録されていますが、すべて記憶に関係する不思議な話です。そして1つ1つの話が、ものすごく怖い。精神的な恐怖に満ちています。怖い話が好きな人はおすすめです。余談ですが、直木賞受賞作というのを読み終わってから知りました(笑)。
2020年04月23日
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江戸川乱歩の「猟奇の果」を再読しました。この小説は前半と後半に分かれていて、ストーリー自体は続いているのですが、全然違う話になっています。前半は日常生活の中での違和感。そこからじわじわとくる恐怖。江戸川乱歩らしい、精神的恐怖の世界が展開されます。それが後半になると一転します。名探偵、明智小五郎が登場して、悪の組織「白蝙蝠団」に立ち向かう冒険活劇となります。ストーリー自体は続いているのですが、あまりの変わりっぷりに、別の小説を読み始めた気分になります。登場人物のキャラクターも、まったく別人のようです。野球漫画に例えるなら、5回の表まで「プレイボール」だったのに、5回裏からいきなり「アストロ球団」になるような感じでしょうか(どんな例えや)。谷口くんがスカイラブ投法をやる感じです。出版社の都合とかで引き延ばす必要でもあったのですかね。物語の終盤でいきなり路線変更して別の話にしたような感じがします。一般的に駄作と言われることが多いようです。たしかに1つの小説としては、まとまりがないかも知れませんが、読んでいるときは非常に面白いです。前半は「百面相役者」や「幽霊」のようで、後半は「怪人二十面相シリーズ」の面白さがあります。ひとつぶで二度おいしいです(笑)。※写真は「猟奇の果」が収録されている角川文庫版「地獄の道化師」です。
2020年04月08日
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