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絶唱 湊かなえ 新潮社 南の島トンガ王国と阪神大震災を巡る4つの物語。 湊かなえの作品は、デビュー作「告白」で分かるように、面白いのだがラストに救いがない。読後感がよろしくない。そう思い、覚悟を決めて恐る恐る読み始めたのだが、最初の「楽園」を読み終わった時、いつもと違うことに気づいた。読後感が温かい。 それから後の3作品を一気に読む。 それぞれの登場人物がかすかに、或いは複雑に絡まり合い物語を紡ぎ出す。 各々の阪神大震災が、南の島の青空に映し出されて、ようやく目を向けられるようになった被災者である登場人物たちの心をほぐす。 泣きながら読み終わり、奥付けを見て、再度涙が溢れた。発行日は2015年1月17日。作者もまた、阪神大震災の被災者であり、阪神地域への思い入れがあるのだろう。
2015/02/24
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0.5ミリ 安藤モモ子 幻冬舎 原作が先か、映画が先か。私は映画を先に。 映画が3時間の長丁場であったにもかかわらず、飽きずに観られたので、原作も手に取る。 映画を先に見るデメリットは、登場人物のイメージが俳優で固定されてしまうこと。それが残念だったが、しかしイメージの違和感は少なかった。 ストーリーは、やはり活字の方が情報量が多く、観客よりも読者の方が作者の言わんとしていることが理解しやすかったと思う。 それにしても主人公、山岸サワの魅力的なことよ。意図せず不幸を背負いこんでしまう体質ではあるが、それに腐ることなく、飄々と生きていく。その軽やかさが眩しい。同じ主人公をほうふつとさせるヒロインが出てくる「クジラの葬式」も、ファンタジックで少し哀しいストーリーに魅せられる。 作者の次回作に期待。
2015/02/22
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サラバ! 西加奈子 小学館 圷(今橋)歩という男の、生まれ落ちてから37歳の現在までの長い物語。 個性が強すぎる姉、自分を中心に世界が回っている母、ストイックすぎる父。イランで生まれ、エジプトで暮らし、日本に帰ってきた。 自分を生きるということ、自分が信じるものを見つけ、芯を持って大地に立つということ。 絶えず他人と自分を比較して揺れてきた歩を共感ともに見つめながら読む。 彼の羞恥もプライドも、自分に重ねてしまう。だからこそ、彼が前に向かって歩み始めたとき、喜びを覚えた。 歩の物語は終わり、本を閉じるとき、私の物語が紐解かれ始める。
2015/02/17
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あなたの本当の人生は 大島真寿美 文藝春秋 森和木ホリーという作家と、彼女をめぐる人々の人生模様。 ホリーの作品のファンで、自らも作家になった國崎真実と、ホリーの秘書の宇城圭子。ホリーの元亭主の箕島に、担当編集者の鏡味。 ホリーの物語に飲み込まれ翻弄され、それでもそれぞれが自分の人生を生きている。 書くことは業である。書かずにはいられない。森和木ホリーの作品を?それに飲み込まれつつ、やはり乗り越え自分の作品を生みだす。 足掻くのではなく、自らを自分の人生に取り込んで生きていくことの自然さに、心が穏やかになっていく。
2015/02/14
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あん ドリアン助川 ポプラ社 河瀬直美監督の次回作の原作。たまたま図書館で見つけ、映画より先に原作を読むことにする。 借金を返すために、どらやき屋「どら春」で雇われ店長をする千太郎。桜が満開のある日、ひとりの老女が彼の目の前に現れた。吉井徳江と名乗った彼女は千太郎に、雇って欲しいと頼む。年齢は76。高齢を理由に千太郎は断るが、他にも理由があった。彼女の曲がった指....。 あんを作る徳江の真摯な姿は、彼女のこれまでの境遇にあった。小豆の声を聞く。どうすることも出来なかった自らの運命を、諦めるのではなく、様々なものの声を聞くことによって、自分の存在を肯定する。読後感はほろ苦い。しかしかすかな甘味もある。後を引く味わいである。
2015/02/03
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ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。 てぃ先生 ベストセラーズ てぃ先生のツイートは、たまにRTで見ていたのだけど、一人ひとりの子どもたちを紹介してのエピソードは、より強く印象に残った。やはり、どうしたら大人になれるの?の返答が秀逸。先生は20歳になったらかなぁ?と答えているが、はるくんは「....『こどもになりたい』とおもったら じゃない?」と。子どもの感性は柔軟だ。 そして、そんな子どもたちを見守るてぃ先生の温かな視線がいい。 あとがきに、「子どもたちはむやみやたらに泣くわけではなく、小さな身体で頑張っています。これから街中や電車、バスの中で会ったらちよっとだけ子どもたちに優しくしてあげてくれたら嬉しいです」とある。まさしくそうだと思った。
2015/02/02
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