2003年07月15日
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明けて、すこし冷静になった。今朝は、正直芳しい気分ではないまま、これを直に書く。もし、消えてしまったら...しかし、今はそんなことは考えられない。


昨晩その知らせを聞いて、何もできない自分にあまりに腹が立ち、聞いてもどうすることもできない悔しさに身を焦がす想いだった。
家族のあまりの無念さは、自分などにはどうしてその想いをいつか癒すことができるとは思えない程のものだ。

ある男の息子が亡くなったそうである。数日前のことだそうだ。まだ、享年4歳。一人っ子だったかも知れない。
歳と言う字が不釣り合いとも言えるその御歳で、小さな命は星になってしまった。

目に入れても、という歳頃。実際、親である男と知り合った頃、やっとまだ歯が生え出した頃であったろう。

当時、初めて会ったその男は、なかなか思うように好きなことができなくなった、と少し、淋し気に笑うことがあった。
無理もない、彼は、とてもやんちゃで、自分などとは比べ物にならないぐらい単車を愛していた。

それらを扱う会社の社長でもある彼は、その息子と、奥方をどれほど愛しく想っていただろう。

だから彼は、生活をしていくために、それまでやっていた遊びの殆どを辞めた。
単車は中型免許だった。乗っていたのはVT250。青と白の、テールの所はもう割れていた。
「2年乗ってなくてさ」なるほどそうだ、その頃息子が生まれている筈だからである。

正直あれ程の男がなぜ、と訝ったが、「時間がなくてね(苦笑)」彼はそう言った。

そうだろう、ないはずである。
若くして会社の2代目社長となった彼。
先代と比較されもしたろう、「小さいよ、俺の会社なんか」そうは言うものの、
何人も従業員を抱える、聞けば数十人の規模の会社社長らしい。
抱える年輩のパートの、彼が言うには「おば..いや、お姉様方(苦笑)」に、彼は人気があった筈だ。
やんちゃで小柄で、でも、とても人に気を遣う彼は、確かにそうだ、

それはそうだ、彼は実際、結構イケメンなのである。
彼の奥方は結構焼き餅焼きだそうだ。無理もない。

社内の人間関係を自分がある程度調整しなければならないということに、
時折彼はうんざりするらしく、そのことを自分に漏らしたこともあった。

「でもさぁ、俺っちにはどーしてやることもできんじゃん?

 だけど、聞いてやらにゃあいかんもんね、俺しか話す相手いないんだからさ(苦笑)」

彼はそう言って、だけどその中身は決して自分などには言わなかった。
その幾つかを自分が聞くことで、彼が楽になるのなら、楽にしてやりたかった。
しかし、それは彼にとって、決してできないことである。
彼はそれ程、その仕事と、その責務を痛い程に解っていた。
自らが最後の防波堤であり、緩衝帯であり、社内とその付き合いで起きるどんなことにも、
彼は責任を取らざるを得なかったのだ。
そんな彼の何を自分などのお気楽な、当時はいくら、前々職で寝ずの生活をしていた頃とはいえ、
こんないい加減な人間が肩代わりできる筈もない。

しかし、そうだというのにだ。
彼は、自分をとても、大切な友人として扱ってくれた。
たまたま自分が仕事とするものが、彼が苦手とすることだったことからだろうか、
それで身体を壊したことがある、と言った自分に、
彼は、口癖のように、「無理するなよ」そう言ってくれた。
実際会ったのはそれでもたった2度のことだ。
電話で話をしたことも、確かにあるが、それこそ、両手に余るほどかもしれない。
彼とは、ホントにアホな中身のメールのやりとりで、それでツーリングに行くことになった...

そうだ、自分が最初に初めて会った人とツーリングに行ったのは、彼なのである。

初めてのツーリングで、そうだ、それこそそんな彼を、自分は2時間も待たせたのである。
仕事で遅くに帰り、2時間程度寝て、それから出るつもりだった。
当時から別にそんなことは、自分にとっては苦にならないことだったからだ。
しかし、この日はなんと、4時間しっかり寝てしまい...(-_-;;;;

起きたのは7時だった。5時の待ち合わせ、寝たのは3時。
案の定、携帯メールが、だけど2通だけ入っていた。

慌てて直に電話をくれるように恃み、待った、その時の心境は堪らなかった、しかし、
むしろ待たされて散々な気持ちになったのは彼の方なことは間違いがない。
初めての相手、何か理由があってすっぽかしたのだろうか、いや、事故かも知れない、
一体何が、待ち合わせはファミレスだった。ここにいていいのだろうか、道は途中まで一緒、引き返して、
それとも自宅まで行ってみようか(だいたいの場所はお互い知っていた)
そんな思いが、過ったはずである。しかし、彼は自分を信じてくれた。

実際、電話をくれた彼の開口一番は、

「なんだよ~、事故しちゃったのかと思ったぢゃんか~(苦笑)」

だった。間延びした、彼独特のちょっと甘えのある口調。同じ歳である。一応敬意を示そうと拙い敬語を遣う自分に、

「同じ歳なんだからさ~、そんな気を遣うなよ~」

そう言って、だけれど、自分がいよいよ身体を壊して閑職になり更に失意の日々だったときだ、2度目に彼と会って、
彼は自分に対して思いきり敬語だった(苦笑)こちらが

た「一体どうしたんだよ、気味が悪いな。自分が敬語遣うなって言った癖に」
彼「いいのいいの。俺っちは今日は、俺の欲しいものを○○○○さん(本店での自分のHN)から貰うんだから、いいんだよ(笑)」

ラーメンを食べ歩き、流石にプロの視点からの批評をいくつも書いていた彼を、当時の自宅近くにあった
ラーメン屋に連れていった。

そこのことは知らなかったらしいが、彼が既に閉じてしまったサイトでつくっていた、ラーメン食べ歩き記録に、
それは遂に出て来なかった所を見ると、好みの味ではなかったのだろう。
実際、あとで彼の好みを聞いた所、自分とは傾向がかなり異なる。
自分が嫌いな味が、彼が好きな味だった(苦笑)全くではないにしても。

彼が欲しかったものは、タブレットである。
彼はパソコンで絵を描くことがそれは得意で、自分があっと驚くような絵を、それまでなんとマウスで描いていたらしい。
とてもそんなもので描けるとは思えないような、精緻で可愛く、時々は笑える優しい絵を、
彼は息子の為もあったろう、描いていた。

「俺っちが今やこんなものをテレビで見るようになったさ~」

幼児番組に驚く程精通していた(苦笑)小さな息子と一緒に見ていたのだろう。
歳は同じなので、見ていたテレビで、それこそ自分が記憶するようなものは、彼も憶えていた。
お互いがあまりに「マニア」な嗜好なので(苦笑)お互いでそのことをからかったりした。

自分の友人のひとりは、彼の絵を自分の遣う道具の、それこそ仕事の道具のデスクトップに壁紙として貼っていた。
自分の話でしかその友人は、彼のことを知らない。会ったことはない。
一緒に走りに行こう、と誘ったことはあった。が、結局まだ、実現できていない。
彼もその友人も、忙しかった。暇だったのは自分だけだ。

だけど、彼は、だから、自分があちこち暇にあかせて単車で出歩くことを、喜んでくれた。自分が出かけて行ったかのように。
実際、時折彼は仕事で大阪と東京を半日で往復するようなこともあるらしい。

「だけど俺っちのは仕事だからね~。○○○○さんみたいに楽しめるのは、羨ましいよ」

だから、自分とのツーリングに同意したのだ。
彼にとっても、他人と一緒に走りに行くのは、初めてのことだったらしい。

「俺、我侭だからさぁ、もー人と走るなんてできやしない(苦笑)」

そんな彼はしかし、茂木や筑波で慣らしていたらしいのだ、もっと若い頃。レースなどもやっていた、とあとになって聞いた。

兄上が、当時自分の両親が住んでいた近くで、バイクショップをやっているらしい。
兄弟でチームを組むこともあったろう。
残念ながらまだ伺ったことはないのだが、きっと、凄いレーサーだったに違いない。

「つまらなくなったんだよ、だから辞めた」

彼は精一杯とも言える表情でそう言った。だから、本当の理由は聞かなかったし、聞くべきではないと思った。

だから自分の運転など、手緩いし、つまらなかったろう。
しかし、彼はそれでも、自分の後について走ってくれた。
決して、抜かすことはしなかった。どんなに彼にとって、気に入らない走り方だったろうか、
だけど、彼は決してそのことは自分には言わずにいてくれた。
いや、いちどだけ、それこそ拙宅に書いていったことがある。もう、なくなってしまったろうか。
そうだ、シグナルGPについて書いた時、彼は、

「俺はおっかけまくるけどね~」
「すり抜け当たり前~、ちんたら走ってたら迷惑ぢゃーん~」

お前さん程きびきび走れればそうだろうけど、自分には無理だよ(苦笑)

「○○○○さんて、結構飛ばすねえ(笑)俺っちも結構頑張ったけど、やっぱり排気量の差はでかいなぁ~」

思い出した、彼が最初に自分の相棒に他人としては跨がった人間である。

「免許の上で乗れないからね」

他のことには、とても「寛容」な(苦笑)彼が、相棒で走ることだけは固辞した。

実際、ほんの少しだけ彼に前を走ってもらったことがある。
あまりにきびきびとしたそのスタイルは、とても自分のような未熟な単車乗りにはついていけなかった。
そういうと、

「ま、俺人と走るの○○○○さんとが初めてだからさ~。知らないんだよな~」

無理もない。今にして思えば、あれから何人と共に走らせて戴いたろうか。
彼が最初だったのだ。
その自分にしてからが全くなってないというののに、初めての彼に、人の前を走ることなど、できようはずがない。

だけど、その彼をして、

「うーん、こういう目的のあるツーリングも、悪くないねえ。また行こうよ。都合ついたら行くから、誘ってね♪」

彼はそう言ってくれた。2時間遅刻して、選んだコースも散々だった。渋滞にもはまった。お互い嫌いだったのに(苦笑)
温泉に行ったのだ、那須の。日記になっている。興味があれば見てほしい。

帰ってくる道すがら、それこそ、彼は「あんまりおいしくないんだけどね~」という一件の中華ファミレスに、彼に誘われるまま入った。
そこで遅い夕食を摂りながら、仕事のことや、お互いのことで、初めてゆっくり話をした。
彼は専ら聞き役に廻ってくれて、思えば、あれからだ、自分が人と会うときに、変に喋る癖がついたのは。
でも、彼はそのことを喜んでくれて...だから。

彼がつくっていた、楽しいサイトを閉じたとき、何かが起きた、と思った。

だから、

「どーしたの?なんかあった?走りに行くか?」
「ラーメン食いに行こうよ、結構うまいとこ見つけた」
「家近いし行っちゃうよ~ん。知ってるもんね~って名刺どこやったっけ(汗)」

そう言って何度か電話やメールを入れてみた。

今日になって、やっと、彼から連絡があった。

タイトルは「スミマセン」

「人に会いたくないんです」

それこそ「仕事なんかする気ないけど、こればっかりは死活問題だから」

そして、その理由は....。

ここまで書けば、ある意味、彼が誰かは明らかだ。彼を知る人は、彼に何がおきたか、知ってしまうだろう。

ごめん。

でも、何もしてやれない。ごめんな。

自分にできることは、だから、こんなことしかなかったんだ。

いつか君が、いや、貴方が、よくしていたように、

傷が癒された時、

貴方の息子の為に、泣いた人が他にもいることを知ってほしい。

貴方の、きっと貴方によく似た、かわいい息子の為に、涙を流した友がいることを、知ってほしい。

悼む人が、そう、会ったことはないけれど、それでも。

(7/16日分に続く)





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最終更新日  2012年04月18日 12時06分50秒


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