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夕方から雨。雨とともにふたたび寒気。昼間はぼーっと暑くて、もう日傘をさしている人もいてわかるわ、その気持ち、と早い春にしてもあまりに心無い日差しをにくにくしく見上げた。嫌味っぽく手をかざしたりなんかしながら、太陽を遮る小さな日陰を選んで歩く。2月や3月は、寒気が戻るとほっとする。この時期はいつも終わりつつある冬をしのんでしまうのだけどだいたい桜が咲くころにあきらめがつくのが毎年の感じ。週末に出かけた近所の公園では梅が終わりかけていた。ああ、あなたももう行ってしまうのですねいよいよ覚悟を決めないといけませんねえってちょっとまるで殉職するベテラン刑事を見送る新人警官のようなさあ、あなたはどうするのって春からはちゃんとやっていくんでしょうって理不尽な強迫観念にとらわれそうな何かを突きつけられているような。直属の上司でもない(たぶん)デカ長が見える。ような。春の始まりは息苦しくて大嫌い。春の勢いになんか、絶対影響されない。
2007.02.27
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「ねえ」呼びかけるとヒロミさんはテレビを見たまま「うーん?」と答えた。少し寒い日曜日の午後である。「私たちって似てるんだって」興味なさそうなヒロミさんに構わず話を続ける。ずいぶん前にナガイくんに言われたんだけど。「ふーん」だめだ。いっしょに暮らし始めてわかったのだが、ヒロミさんはけっこうテレビ好きだ。見始めると何時間でも、こうやってテレビと向かい合っている。そんな時は何を言ったって、全然覚えていないのだ。仕方なく、私はヒロミさんの横で爪を切った。ぱちん、ぱちんと。それから洗濯ものをベランダに干した。なんだか口さみしくなったので、コンビニに行き、アイスクリームを買ってきて、食べた(もちろん、ヒロミさんの分も買ってきた。「いる?」って聞いてもなんにも答えなかったから、ひとりで食べた)。食べ終わったら寒くなったので、お茶をいれて飲んだ(こんどは「いる?」って聞かなかった)。一息ついて見ると、こたつの上にアイスクリームのふたがそのままになっている。ごみ箱に捨てよう、と手をのばしたとたんにヒロミさんが言った。「そういえば、ナガイくんって、女の子みたいだったね」アイス食べる?と聞くと、ヒロミさんは、え、そんなのあるの?とうれしそうな顔をした。now I'm reading "Hazuki-san no koto" written by Hiromi Kawakami. before, Mr. Nagai(my co-worker) said "You resemble Hiromi Kawakami in atmosphere".I like her works. so I tried to imitate her style of writing. but it is not so easy.
2007.02.25
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数か月に一度会う友達。特に約束をしていなくても、どこかでばったり出会うことが数年続いている。先週は、ほぼ2か月ぶりにイカリスーパーの前でばったり出会ったので今週会う約束をして別れた。木曜日午後7時に同じ場所で。待ち合わせてのごはん。ふたり揃って口数が少ないたちなので、ぽつり、ぽつりと最近のことを話す。さらにお互い自分のことはあんまり積極的に話さないたちなのだが私の投げかけたふとした質問から彼女が自分のことを話し始めた。いわゆる恋愛模様のその話は少し重い方向に傾きつつあって風邪気味でお酒を控えていたのだけど、ちょっとちゃんと飲もうと思って新しいのを注文しじっくり聞こうとする。とはいえぽつり、と質問するとぽつり、と答えが返る、そんな感じ。前の大学の時の友達の彼女が「人生なんて“気のせい”なことばっかりやん」と言ったひとことに久しぶりに私好みな言葉を実際の人の声で聞いたな、と思ったのが9時10分。いつもどこか憂いのある感じが魅力的な彼女がいつにもまして憂えていてしんどそうでいつになく「また連絡するね」と言って別れた。なんとなく、放っておいても会えていたということが今回で最後な気がしてさみしくて。ほんとはもっとじっくり聞きたかったのだけどしっとりと大人らしい彼女の横に座る私は常に鼻をおさえている。ずずびー、と雰囲気もなくて申し訳ない。今度はちゃんとしっとりした飲み屋さんにでも行きましょう。探しておきます。だからどうかまた、会えますように。
2007.02.24
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うちの3代目ハムスター・白いジャンガリアンのマリーちゃんは食いしん坊だ。体重40グラムくらいなので、ごはんは1日4グラム程度。でも、本人にとっては全然足りないらしく顔を合わせればもれなくおねだりをされる。それでついつい5グラムなどあげてしまいおデブさんへの道を今まっしぐらに進んでいる。ハムスターは夜行性なので部屋が明るい時はけっこう寝ているものと思っていたが今のところこのマリーちゃんは大変な遊び好きでもある。朝起きると、すでに明るいながらもまだマリーちゃんにとっては遊び時間であるらしくしきりと回し車をまわす音がしている。電気をつけてもしばらく。至近距離でテレビをつけてもまだまだ。これまでのハムスターはみんな夜中じゅう遊んだあとで、人の気配がし始めるととりあえず大慌てで巣穴に戻ったものだ。楽しいのねえ、車回すのって、ほんとに楽しいのねえ、って朝からあきれ気味に思う。ひとしきり遊んだあとで、おやつの野菜チップスをあげたら満足してようやく巣穴に寝に帰る。最初のハムスターはとにかく愛想が良かった。次の子は大変な器量良しで、でもおとなしくて手のかかるハムだった。このマリーちゃんは、、、女の子だけどわんぱくなお転婆もの、かもしれない。そして人に敵対はしないが決してなつくでもない。アナタはアナタ、アタシはアタシ。ま、当面それでよろしいんちゃいますのん、ってだからかまわんといておくれやす、ただし、もらうもんはきっちりもらいますえ、って自立してるのね、まりーさんは、と飼い主ポツーンと、そんな感じ。今日もこれからマリーちゃんの夜である。いつまでもパソコンいじっててごめんなさいねえ。
2007.02.20
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朝から百貨店で催されている展覧会に赴く。日本画が結構好きなのだけど好きな画家は?と言われれば、この人をあげてしまうかも知れない。人間がほとんど描かれていないのがいい。花や鳥が清澄な画面の中に多く描かれている中小さな鳥やうさぎがとりわけ愛らしく登場しているのもいい。日本画は、描かれているものと同時に何も描かれていない空間にそこに何も描かずに空けたという思慮に思いを馳せると興味深いというようなことを以前何かで読んだ。いわれてみれば、描かれているものの置かれている空間がどこか捉えどころのない感じがする。たとえば水鳥や金魚が描かれているから見る時に水を想像するだけで。異空間にぽっかりとものごとが現れているようなそんな気もして、その、世間と隔たった感じが好みなのかもしれないと思う。今日の一番のお気に入りは「ハイビスカスとカーデナル」。描かれたハイビスカスのピンク色が数多あるピンクの中でも私好みのピンクだった。ほんのり白く、青味と黄味のほどよく混じったピンク。たぶん世に言うベビーピンク、若干青味が強い、くらいの。今日の神戸・三宮は、上空にヘリコプター。正午頃から冷たい雪混じりの雨模様でした。電車からちらっと見た生田神社正門はおめでたくも、紅白の幕で覆われておりました。
2007.02.17
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昼休み。近所のK大学の食堂でホワイトカレーを発見。きのうまでの芸大スクーリングでは売り切れで食べられず心残りだったので迷わずいただくことにする。ホワイトカレーに白いご飯って見た目がまずそう、と思い家にルーの買い置きはあるもののまだ作ったことがない。食べてみたら、確かにカレーだった。白い色なのでクリームシチューの味を想像してしまうのだけど口に入れたらカレーなのがおもしろい。マイルドで全然辛くないのに物足りなくないのは口に入れる前に想像した味が裏切られるからかもしれない。ごはんはもちろん白だった。国立大学の生協は、無駄な手間をかけたりしない。一見シチューかけごはん。でもちゃんとおいしいことがわかったので早速作ってみよ。画像は一緒に行った同僚の人に頼んで撮ってもらったもの。いつもの写真より、大きい!
2007.02.13
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朝から懐かしの映画「野蛮人のように」をちらっと鑑賞し全く別のシーンを効率よく繋ぐカットバックの手法について学ぶ。それはよいのだけど、若かりしころの薬師丸ひろ子さんと柴田恭平さんの演技にドン引きする。頭の中は主題歌「素敵な恋の忘れ方」だったか、がぐるぐる。3回目の10行企画のテーマは「ロードムービー」。それと好きなテーマで2本。好きなテーマとして、たまたま思い浮かんだ「コメディ」と「SF・ファンタジー」を選ぶ。後者では、最近楽天ブログを閉めた友達のサイトにリンクを辿って行こうとしたにもかかわらず「既に削除されている可能性があります」というようなメッセージが出ていたくさみしい思いをしたことをネタにする。昼食に第二食堂のカツカレーという、私のスクーリング時の定番中の定番をいただく。ニ食の見慣れたおばちゃん。ちょっとこわいこの人の姿を見るのはあと何回か、とひとり感傷モードに入る。食後、他学科の卒展を見に行く。コミュニケーションデザイン、ライフデザイン、スペースデザインの展示が去年からお気に入りでそこを重点的に見る。ブックカバーデザインや、詩的な言葉の効果的な見せ方など、コラボレートしたい企画がたくさん。郵便事業とのコラボレーションをテーマして郵便ポストのキャラクター化を提案していた人の展示を見て、アートプランニングのレポート執筆中の学友を思い出す。昼からはドラマ「ながらえば」を鑑賞。やさしい先生と名残を(ひそかに)惜しんで教室を出る。放課後(←おお、懐かしい響き!)、今回のスクに同席した3人で、たこ焼きと缶ビールで乾杯。ひとりあたり18個を食したのだけど3人が3人とも見事に猫舌で、それぞれ悶絶しながらいただく。粉ものはお腹にたまる。本日の夕食は結局これにて終了。
2007.02.12
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---2月11日8時2分の電車で学校へ向かう。午前中、昨日に続いて10行企画。テーマは「キッズもの」「スポーツもの」。昨日よりはさらさらと書けた。昼休み、一食にて卒業制作展見学の友達と合流。午後の授業は「天使にラブ・ソングを…」を題材に、シナリオの構造について考える。はずが、映画が面白すぎて声にならない大爆笑をする。夕方から、もとリンク友の卒業を祝って天王寺にて宴会。卒業する友達のお顔が、いつにも増して晴れやかだった。幹事さんの一芸「南京玉簾」。生で見るのは初めて。へえ~、こうなってるんだ~と玉簾をさわっているうちに壊してしまいあせる。初対面の方もおられ久しぶりの方もおられ緊張感に耐えられず途中から注意力散漫になった感じが。帰宅してまただらだら過ごし2時半に就寝。明日も早い。---
2007.02.11
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何をするのかな~とぼけぼけしていたらしばらく講義された後、ドラマの10行企画を4本立てよと。う、そういえば、ゆりぞおさんに聞いていたぞ、と思い出す。お題は「動物もの」と「青春もの」ええと~~~、と搾り出すが、どうも頭が固い。昼休み、卒業制作展を見に。ある賞受賞の学友の作品を読む。冒頭部分に引き込まれてあっという間にその章を読み終える。しかし原稿用紙150枚相当を読む時間はなくて泣く泣くナナメ読みに切り替え。そこでお願いがあるのですが、なんとか全部をじっくり読ませていただけないでしょうか。そうそう、私たちのの学年で堂々一番のご卒業、おめでとうございます。午後からは「十二人の怒れる男」を見て感想を書く。派手なアクションのない台詞劇で、台詞がいかに人間性を表しているかに注目すべきところだったのだが、そもそも男たちの見分けがなかなかつかず苦労する。朝書いた10行企画を返却される。先生はものすごくやさしい。どこかに褒めるところはないかと探してくださっているかのような暖かいコメント満載で、すみませんうれしくなりました。あしたはもっと褒めやすいものが書ければいいな。授業終了後、某社による大学PRのサイトのための在学生インタビューを受ける。営業の人と、インタビュアーの人と、カメラマンの人と。1人に対して3人がかりですかっ?と緊張感が走る。見るからに和み系のインタビュアーさんと話している途中、カメラマンの方が私を激写している。連続するシャッター音。こわいよう~。インタビュアーさんの期待に応えられるような熱い話もできず、ぼんやりした話しっぷりのまま終了。もう、どうとでものしておくれやす、な気分。帰って学生らしくレポートをしよう、と思ったけどスクーリングってやっぱりお祭りみたいですっかり楽しい気分になって単にだらだらしている今。
2007.02.10
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明日からスクーリング。今回は同期生のあーごんさんが卒業なさるということで宴会の企画があり、スクーリングの予定のない方々ともたくさん会うことができるみたいだ。だいたい半年ぶり。みんな知らない人ではないけど、よく知っている人でもない。そう思ってしまうので、スクーリングの前日はいつも、楽しみな反面ひそかにプレッシャーを感じてしまうのであった。誰にも気づかない振りをして素通りをしようかなそれって結構楽そうだなって本気で思ってみたりもする。私ものんびり進めているとはいえスクーリングに行く機会は残り少なくなってきた。一緒に過ごした人もどんどん卒業していく。これから知り合いが増えたとしても、私の性格上、きっとすぐに切れる。そう思うと余計に、人付き合いをセーブしたくなってくる。だいだいふだんから、終わりの時期を想定して人付き合いをしている傾向がある。でも!実際に見知った顔を見つけると、ほとんどしっぽが振れているくらいにうれしくなるのであった。内心複雑なのですがいったいどうなん!?と問い詰められれば「いえ、もちろん楽しみです」って、答えると思う。。。
2007.02.09
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リンク友さまの影響で、いつ読んだかも覚えていない『ゲド戦記』のシリーズを読み直している。『影との戦い』『壊れた腕輪』と読んで、今は『さいはての島へ』。この3作まではたぶん、読んだことがあったはずなのだけどストーリーをほとんど覚えていないのが情けない。おかげで素でおもしろい、のだけども…。思うにたぶん、「“もの”の名を知ることが、その“もの”の支配につながる」という昔話の一種の定型を以前この物語を読んだときに初めて意識的に知った気がする。この度読み直してみて以前読んだ記憶も満足にないくせになんだか偉そうだけど思ったのは、この物語では意外と善と悪の二極分化がなされていない、ということだった。児童文学の名作としては『ナルニア国物語』のシリーズも好きだけどあれには圧倒的に善悪の区分が、キリスト教的世界での勧善懲悪の思想が、あったと思う。近年はやりのハリーポッターでも、「悪」はわりあい圧倒的に「悪」として描かれているように思う。でもこの物語は違う。主人公にとってよろしくないものも、決して滅ぼされるべき悪としては描かれない。何が善で何が悪か、ということを明確に区切られないそれはいつだって自分の内面にあるということがそれぞれの人の心次第で変わり得るということとともに描かれているような気がする。結果、登場人物たちは自己の内面との戦いに直面することになる。まあ、第3作は読み始めたばっかりでちゃんと把握してないのですけどね。これまでのところ、そんな感想を持っていて私の贔屓のキャラクターは第2作『壊れた腕輪』のテナーである。このテナーという人物は闇に支配された世界に生きる巫女で生まれつき不幸な境遇であったのだけどその境遇の中では自然に植え付けられてしまってもおかしくない既成の思想に簡単にとらわれてしまうようでいて、でも実はそうではなくて主人公の大魔法使いゲドの力を借りながらも最終的にそこから逃れることができる強さを失うことなく物語を終える。このテナーの物語をもっと読みたいのだけど続く第3作はほとんど関係ないようだ。映画の『ゲド戦記』は見ていないけどおそらくあの映画でもこのテナーがひいきに描かれているのでは?と想像する。少女が少年(この場合のゲドは青年もしくはそこそこの大人だけど)の助けを得て困難を打開する、みたいなストーリーが宮崎系作品の好みと合致するのではと思うので。こんど映画も見てみよ。
2007.02.07
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通信課程に在学中の大学から電話。ある学校情報誌のネット版に在学生のインタビューを載せるのでその会社の取材を受けてもらえませんか、とのこと。あんまり気が乗らないのだけどそういえば去年学友のBさんもそんな取材を受けてたな、自分がしゃべったことを、プロのライターさんがどういう風に起こしてくるか興味深い、なんていう話がその時あったっけ…、と思い、受けてみることにする。そのサイトを見ると、いつか宴会でご一緒したことのあるIさんが堂々と載っておられた。もうこれだけで十分では、と思わせる熱い内容で、素敵なIさんがますます素敵に載っていた。が、私自身は熱かろうと熱くなかろうと、あんまり熱い芸風で書かれたくない。できるだけ淡々と、相手を観察しつつインタビューされてみよう、と決意する。が、要するに学校の広告だから、熱く語ったように書かれちゃうんだろうなあ。しかも写真も載るんだって。このごろ史上最大に顔が丸い私。取材は来週のスクーリングの時。1週間で丸さを軽減、、、できないだろうな。だんだん嫌になってきたけど、興味本位でいってみます。
2007.02.03
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まず、このタイトルにウッと来るところに作者との同世代感とやっぱりこの人は村上春樹が好きなんだなあ、ということを感じる。もう、ご本人に会って、ハルキ好きだよねっ?って肩を揺さぶって問いただしたいくらい。数十年に一度、どこかの町が失われていく、という世界を描いたこの小説はSFと言ってもいいかも知れない。この人の『となり町戦争』を読んだ時は、純文学系の人かと思ったけど今回はそうじゃなかった。直木賞にノミネートされたというのも頷ける。「町」という単位で、そこに暮らす人々がある日突然消えてしまうことにより大切な人を失ってしまった人や消失対象の町の住人であるにもかかわらず消えそこなった人が今後も繰り返されるであろう町単位の消失を食い止めるべくそれぞれの持ち場で努める。それぞれに喪失感をかかえながら、これ以上の消失を食い止めたい、という思いを未来に繋げて行く。物語はいくつかの短編のオムニバス形式で語られる。全篇を通して、町の消失という独自の世界を描くための独特の用語が多用されていて慣れるまでに少し時間がかかる。各編を順番に読む限りでは、全体の世界観を捉えきれない。が、最後まで読んで、もう一回最初のプロローグを読んだ時に作品世界が見事につながる。読み終わって初めて、おもしろさがわかる感じ。全体的に当たり前の日常が失われることの喪失感とそれを目の当たりにする人を受け止める人の苦しさとが描かれつつそれでも誰もが大切な誰かのために、その思いを汲もうとする、たとえそれが報われることがなかったとしても、という感じがあふれていてなんだかよかった。(2006年 集英社刊)
2007.02.01
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