温故知新

2009.05.12
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遠足に付き添った。
1年生は6年生とペアになり動物園に行き、事前に話し合ったコースを6年生主導で回り、
時間になったら集合して全員でお弁当を食べ、また小学校へ戻ってくる。

最初。
小学校から付添を要請されたとき断った。
私の頭の中では、娘と手をつなぎながら、6年生と話をし、他の1年生の面倒をみる、
そんな自分の図が思い浮かんだからだ。
そのようなお客さん状態で遠足に参加することに意味があるのだろうか。
そう疑いながら半日歩き続け、気を使い続ける気力がわかない。


すると小学校から、
「いえ、そういう風に参加されるとむしろ困るんです。」
6年生は自分たちの主導で1年生を導くことを楽しみにしているし、それが良い経験になる。
お母さんは離れたところから娘を見守り、いざというときだけ出ていってほしい、という。
「どういうときが、いざ、なんでしょうか。」
と、聞けば、
「突然、走りだして、6年生が見失ってしまうようなときです。」
まず、ないとは思いますが、と付け加えた。

確かに。
いざというとき、6年生に責任をおしつけるわけにはいかない。
そして、こちらも娘が突然走りださない…という自信はない。

6年生の許可をとらず、勝手に行ってしまう、という可能性は0ではない。
「泣いたり、ゴネたり、わめいたりしても、出て行く必要はありません。
それも6年生や本人も良い経験なので。」
という教務主任の言葉にも後押しされて、付添をオッケーした。

たまたま夫が休みの日。


娘は…思っていた以上に皆と一緒に歩けなかった。

事前の情報があったのか娘には6年生2人体制で。
背中に手を置いてうながしているようなのだが、自分のペースでしか歩かないよう。
全部で8人ほどのグループなのだが、すぐに娘ペアだけ遅れていってしまう。
何を思ったのか、見かけたトイレには全て入り。
20分ほどしたら花壇に腰かけ動かない様子。
どう説得したのか、なんとか立ち上がって歩いたり。
かといえば、突然、息を吹き返して次の動物に走ってかけよって6年生が追いかけたり。

もう、見ていてイライラするなんてものじゃない。
いっそ、私の眼力に気づきやがれ!!と、思いっきり睨みつけるのだが、
鼻からいることを知らない上に、その日は団体客が他にもいっぱいの大にぎわいで、
娘はノビノビと遠足しちゃっている。

「もう…▲▲(息子の名前)なら、歩けないながらもついていこうとするのに。」
「あぁートイレチェックして安心してるんだ…トイレ苦手だから…。」
「ああー!!▲▲なら空気読んで移動できるのに…。」
と、夫に言うでもなくブツブツ呟きながら日傘に隠れていた。
すると、ふいに夫が口を開いた。

「ちょっと。いちいち▲▲と比べるの止めなよ。自分で気づいてないでしょう。
思春期になったら、比べられてイヤだった、って逆襲されると思うよ。」

私は口を閉ざした。

「△△(娘の名前)頑張ってるじゃん。ちゃんと6年生と一緒に歩いてるし。
オレたちだって疲れてるんだから、△△はもっと疲れてると思うよ。」

見守っている娘は、顔もよく見えないほど遠くを歩いていた。
でも、自分が今、感じている足の疲れと同じ疲れを娘も感じているのだ、と思ったら、
すべてふきとび、ただただ娘の労をねぎらってあげたい、という気持ちになっていた。

遠足が終わり、娘が担任に連れられて私たちの元へ戻ってきた。
「遠足、楽しかった?」
「たのしかったよー。」
「よくがんばったね!」
「うん!つかれたー!!」

きっと、これが今の娘の限界なのだろう。
どう行動するのかは分かっている。
逃げだしたり突飛な行動をするわけではない。
でも、始終みなとペースを合わせたりするのは難しい…と。
小学校側も、それを親に見せつけておきたかったのかもしれないな。

夫がいて良かった。
私一人ではさんざんイライラした揚句、娘と合流したらダメ出しの嵐になっていただろう。
でも、それは無意味なのだろう。
娘は娘で精一杯限界までがんばった、その結果が今日で。
手を抜いたりしていたわけではない。
それを褒めてあげないで、逆に責めてしまっては、
それこそ遠足に参加した意味を私が壊してしまうことになっただろう。

娘は娘で、息子は息子で、他の子は他の子…。

それを思い出せたことが、私が遠足に参加した成果なのかもしれない。





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Last updated  2009.05.16 17:15:26
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