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Mar 1, 2007
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カテゴリ: 音楽
2007年2月28日 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールにて、
19:00~ライヴレコーディング・コンサート

Tyeesは、後方やや左手通路側に着席。

登場後に、椅子に座り、しばらく、彼女は、呼吸を整えているようだった。
彼女がモーツァルトを弾きはじめる瞬間まで、時間は止まったかのようであった。
--
モーツァルト:
 フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲(キラキラ星変奏曲)


いやいや、最初から素晴らしいバランス感のある演奏でした。
この曲は、アマチュアでも弾いて楽しめる曲ではあるのだが、彼女の音楽は、
目を閉じて聞いていても、高貴なモーツァルトそのもの。


考えてみれば、彼女のモーツァルト生演奏で聞くのは、Tyeesとしては、初めて
のようにも思うが、モーツァルトもなかなかよいではないか。

やや昔の彼女は、超絶技巧と、時には豪快・壮絶、そしてロマンチックな高揚感
といったポイントが、特徴だっていたようにも思われるが、このモーツァルトか
らは、「大人感」とか「包容力」さへ感じられる。

様式の中に、お母さん聞いてといった、慈愛の気持ちを包みこんで、典雅な音
楽が流れていく様は、今までとは対極にある、彼女を聞いたように思った。

彼女の、古典への意欲、チャレンジの気持ちの表れも、感じ取れるという意味で、
貴重な演奏であったと思う。

Tyees位置であると、ホール残響もあり、
やや、低音のひびき、そして、右ペダル効果が強調されているようにも感じたが、

ある。
コンサートと録音(マイク)双方に対して、よく考えられ、練られたバランスを生み
出していたと思う。

技術的には、音が少なすぎるという恐怖感を別にすれば、彼女からしてみれば、簡
単すぎる曲なのであろう。


彼女のこの日が、モーツァルトから始まるということの意味?、
聴衆からみれば、彼女のトータルモーツァルトモードが、ここから、さらに新たな
彼女の世界を創り出していくという意味であり、素晴らしいスタートを飾る演奏で
あったといえるだろう。

彼女の今後の多様な音楽展開のなかで、モーツァルトは、バランスを保つ重要な
ジャンルとなっていく予感・・・・。


ラヴェル:水の戯れ

Tyeesからすると、ややゆっくりめのテンポでの始まりであった。
やはり、彼女の生演奏では、初めて聞くこの曲。どきどきしながら聞きはじめたが、
彼女も、聞くこちら側も、まだ、スタート直後の緊張感で、やや固めだったかもし
れない。
なぜか、ラヴェルが、モーツァルトの後に似合う。
彼女が、冒頭にキラキラ星変奏曲や水の戯れをもってきていることは、ある種、ポ
ピュラリティも意識してのことであろう。
最初によく知られた名曲をもってくる心遣いというものも感じられた。

さて、水の戯れ、素晴らしい演奏ではあったのだが、
上述のとおり、ホール特性等もあり、Tyeesの位置では、高音よりは、低音部分が、
やや強調されて聞こえたので、
煌めき感という意味では、やや物足りなさが残った。

たとえば、38小節目からの右手などは、もう少し強めに聞こえてもよかったように
も思う。
技術的には、ラヴェルのこの曲であっても、彼女に難しいという部分はあまりない
のであろう。
あえていえば、今回は、36小節からの上昇部分のやや不安感 、そして、46小節目の
右手2トップの軽いミス?
を除けば、ほぼトータル完璧であった。

細かい点を除いていうのであれば、彼女の水の戯れは、平均的には、ややゆるやか
な水の流れとぶつかりあいをイメージさせた。
高音の煌めき感は、もしかすると、聞く位置により変化するであろう高音のダイ
ナミクス感に比例する部分もあろうから、もしかすると、録音では、違ったラヴェ
ルが聞けるかもしれない。

高音の煌めき感を意識させるには、柔軟で伸縮自在のリズム感を強調、38小節以降
の特に右手高音部などは左手を煽動していくようにすると、さらに鮮烈さ、ゆるや
かさVS激の対比感などが生まれるのではないかと思う。
まだ、彼女らしさが、他の曲に比べればやや弱いようにも思うが、彼女のラヴェル
モードが育っていくことは楽しみである。
彼女は、夜のガスパールよりも、クープランの墓が、お好みのようにも聞いている
が、そのうちに、彼女の夜のガスパールのスカルボを是非聞いてみたい。
彼女の特性、性格?が特段に活きるような気がする。

横道にそれてしまった。スカルボはともかく、
ラヴェルの水の戯れにおいては、むしろ、彼女の主張をそのまま出すのではなく、
煮詰めて、昇華させ、コントロールし、純粋に宝石細工のような音楽として、そこ
に存在するかの如くがよいのかもしれない。
爆発も、水の戯れにおいては、美しい煌めきにしなくてはならない。

ある意味、ラヴェルには、様式というものが存在する。ドビュッシーに比べれば、
クールで客観的な面、これらを今後、どのように育てていくのか、
彼女の中で、様式・クール・客観的な一面が、どのように熟成していくのか。

ここに一枚の鏡があり、この前で、どのようにふるまっても、鏡の向こうの自分
は、クールで客観的に、暖かみも冷たく精緻に精確に表現する。
このような、不思議な鏡をそのうち、彼女は手に入れるだろう。

モーツァルトとは異なる意味で、ラヴェルが彼女の中でどのような存在になって
いくのか、これまたおおいに楽しみである。

一点、37小節の最終rapidパッセージ、これについてのペダリングについては、版
によって異なるようだが、彼女は、やわらかく右ペダルを使っていた。
(Tyees流では、このパッセージの後半はノンペダルにしている。)


リスト:
 パガニーニ大練習曲集より第3番「ラ・カンパネラ」
 メフィストワルツ第1番


快演であった。
彼女のコンサート生演奏では、おおむね、カンパネラ後半で、彼女らしさがコント
ロールから解き放たれ、爆発する。
コントロールがなくなるという意味ではない。彼女らしさが自然にカンパネラにな
るのである。
そして、こちらもいつしか、コンサート開始直後の堅い緊張感から、彼女の音楽に
没頭していく。

モーツァルトの落ち着き、Nobleさ、ラヴェルの精緻で柔軟な煌めきから一転して、
あの、カンパネラの高音を聞く。
彼女のカンパネラの高音部の連なりは、とても美しい。

もう、すでに、低音部が強調されて聞こえるとか、高音の音量がきこえてこないな
どといった、会場特性は、気にならなくなっている頃でもある。

前半は、ラヴェルよりもずっとコントロールされつつも、煌めいて聞こえていた。
そして、後半、オクターヴが林立する頃、すでに、彼女らしさは全開!!!
何度となく聞いている彼女のカンパネラであるが、その中でも最高の部類に属する
のではないだろうか。
ずっと、弾き続けていってほしい。

メフィストは、比較的重く強く始まった。
339小節目からのespressivo amorosoの部分であるが、
さらに、愛情豊かに、艶かしくてもよいのではないかと思うが、
これは、今後の課題ということで・・・。(さらに恋愛をしていただければよいの
でしょう。笑)
また、さらに、792小節目からの tutta forzaは、さらに爆発してもよいかもしれ
ない。
上述二箇所部分は、特に、Tyees好みの箇所でもあり、思い入れが激しいのである。

彼女にとってのメフィストは、色々と経緯・試練・物語があって、ここまで来てい
るようだが、今回は、渾身の演奏、とてもよいできであったのではないか。
一聴衆としても、十分に満足して、聞き終えた。

途中、高揚し、激情感あふれる部分、時に、もうひとりの冷静な彼女は、左手を
重く、ややゆっくりめに、大きく鳴らす。。
うーむ、おそらく、あれがないと、どんどん速くなり、高揚していって、爆発して
しまうかもしれない。
そんな、恐怖感、いやスリル・緊張感というべきだろうか。
これが、またいいんですね。
彼女の十八番、しかも、毎回、いろいろ変化があって楽しい。

いつも、764小節目からの右手オクターブスタッカートのleggieroぶりには、驚く。
あのスピードでよくできると思うのだが、彼女は、このオクターブ跳躍は難しいと
は思っていないらしい。
もはや、彼女の技術面について、特に注文はない。


--休憩--

ここで、彼女は、真っ白なドレスに着替えて登場。素敵でした。
(前半は、「ピンク」のドレス)

ヒナステラ: アルゼンチン舞曲集
 老いた牛飼いの踊り・粋な娘の踊り・はぐれ者のガウチョの踊り


感動しました!!
特に、アルゼンチン舞曲集のニ曲目、粋な娘の踊り
こんなにも盛り上がりを見せる曲とは、知りませんでした。
彼女だからできえた、高揚感かも。
彼女には、この世界もあるのですね。

気になるのは、ピアソラの師匠でもあったヒナステラは、1916-1983。
レパートワーに新しいものをとりいれていくのは、著作権面もあり大変だと思う
こと。
でも、大変さに増して、ヒナステラは、彼女の世界のひとつとなっていくかもしれ
ない。素晴らしいできでした。

ラフマニノフ:
 ヴォカリーズ(アール.ワイルド編曲)
 ピアノ・ソナタ第2番op.36(1931年版)


ラフマ×ワイルドのこの世界、やや重厚感と華麗さが増したVocaliseを堪能できた。
もともと、大好きな曲。生演奏で初めて聞くことができました。感動。
ワイルドは、1915年生まれで、2005年に生誕90周年祝賀コンサートを行っている。
新しい編曲に挑むことは、これまた、大変であるが、ワイルドにはよい編曲が沢山
あるようなので、是非、ワイルドの世界もさらに広げていってほしい。

ソナタ二番。
既に彼女の十八番となってしまった感もあるが、今回の演奏は、今までの中でも
特に洗練され、美しく演奏されたと思う。
彼女の中で、この曲は、トータルとしてのバランスを整えられ、この複雑な曲を
みごとにまとめあげていた。

一楽章、始まるまでに十分な空白をおいて、突如始まるあの特徴だった音系列。
素晴らしい感動がここから始まった。
激しさとロマン性の両立ともいうべきか。

二楽章は、目をつぶって聞いていたが、
美しいロシアの広大な雪景色に囲まれつつも、暖かなハートを感じさせる・・・
そのような演奏であった。
この二楽章は、私のもっとも好きな曲のひとつであるのだが、
彼女は、十分満足のいく、いや、さらに広大な空間を創出していた。

三楽章、この忙しい難曲を、とうとう、彼女はまとめあげた。

脱帽です。
---

アンコール


彼女にとって思い入れのある曲らしい。
生演奏で、彼女のこの曲を聞くのは初めて。
私などには、冒頭から出てくる右左交互の連続三和音の綱なりが、極度に難しい
のであるが、彼女は、こともなげに、弾き始めた。ここだけで、完成度がわかる。
技術的にできた人が弾くとこのようになるのだなという演奏の典型であるが、そ
のような彼女にとって当たり前の話は別として、
とにかく、一言でいえば、彼女は、この曲のロマン性と激情部分を見事に表して
いた。
最終部、Strettaにはいる前のprecipitato、最後が消え入るようで、少々驚きも
あった。
私にとってはうれしいアンコール。

・ガーシュイン I Got Rhythm
これまた、彼女の十八番のようだ。
実は、私は、彼女のこの曲を録音で聞いて、この曲を練習しだした。
そして、今もまさに練習中。
その意味では有り難いアンコールである。
そう難しい曲でもないように思うが、彼女の演奏は、特に速い。
めまぐるしく変わるリズム。
そして、下降グリサンドを付加し、高揚して終る。

拍手喝采。万来の拍手。
--
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Last updated  Mar 2, 2007 03:38:05 AM
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