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2005.08.19
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カテゴリ: 米外交史
マインド・コントロール1

 「カミロ・シンフエゴスです」

 「その時、あなたはフィデル・カストロとけんか別れしたのですか?」
 「いいえ、していません。フィデルはこのことが起きたとき、島の反対側にいて、何も知らなかったのです」
 ロレンツは、カストロさえ自分のそばにいてくれたら、こんなことは起こらなかったと確信していた。

 「米国のどこに戻ったのですか?」
 「ニューヨークです」

 ようやくニューヨークにたどり着いたとき、ロレンツは貧血と敗血症に苦しんでいた。出血を止めるためには手術が必要で、到着の翌日にはルーズベルト病院に入院した。



 CIAとFBIは、ロレンツのレントゲン写真と医療記録をすべて持っていた。診察の結果、キューバでロレンツがされたことは、中絶ではなく正常出産であったことがわかった。やはりロレンツのおぼろげな記憶が正しかったのだ。ロレンツの赤ん坊は生きて生まれたのだ。

 しかし、この陰謀の背後にいたとみられるCIAとFBIは、ロレンツが産んだ子は死んでしまったのだとロレンツに告げ、その「証拠」として手足を切断された男の赤ん坊の死体らしきものを写した写真を見せた。ロレンツは混乱した。ロレンツの子は死んでしまったのだろうか。殺されたのか。

 CIAとFBIがロレンツに対してマインドコントロールの実験をしているのは明白だった。ロレンツの子を殺したのはカストロであると思わせ、カストロへの憎悪を植えつけようとしたのである。

 ロレンツにとって幸いだったのは、病院の警備がそれほど厳しくなかったことだ。カストロの部下がこっそり忍び込んできて、入院中のロレンツに会いに来た。そして赤ん坊は元気に生きており、カストロがロレンツを愛していて、帰ってきてほしがっていると伝えた。その部下は、今回の恐怖の体験とカストロとは無関係であると書いた書類に署名してほしがったが、体が思うように動かないロレンツはファースト・ネームを書くのが精一杯であった。ちょうどそのとき護衛に気づかれたため、カストロの部下はその不完全な署名の書類を持って、静かに去っていった。
(続く)





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最終更新日  2005.08.19 08:39:14
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