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2005.09.09
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カテゴリ: 米外交史
(前回までのあらすじ)
カストロへの思いから、カストロを暗殺できなかったロレンツは、アメリカに帰ってから亡命キューバ人やCIA工作員から罵声を浴びる。「暗殺失敗の罪」をあがなうため、キューバ侵攻作戦の訓練に参加させられるが、訓練中に何者かに撃たれ重傷を負う。この怪我のおかげで、ピッグズ湾事件として知られる侵攻作戦に加わらずにすんだものの、ロレンツにはベネズエラの独裁者からカストロ打倒のための支援資金を取ってくるという新たな任務が待っていた。


愛人生活1
 「あなたはマルコス・ペレス・ヒメネスから情報を集めたのですか」
 「フランク(スタージス)は知りたかったのです。私は当時、その人がベネズエラの元大統領だなんて知らなかった。私はパーティーに行きました。フランクは、将軍がおコメとか、物資とか、現金などの形でどれだけの金額を亡命キューバ人に提供してくれるのか、間接的に知りたかったのです。私はパーティーの後、フランクにそうした情報を教えました。その後、将軍は私とデートをしたがったのです」

 「そのパーティーはいつ、どこであったのですか?」
 「六一年にマイアミのパイン・ツリー・ドライブ四六〇九番地で。そこは将軍の住宅でした」

 「そのパーティーにはほかにだれがいましたか?」
 「いろいろな人が大勢いました。数百人規模です。元大将とか、将軍と一緒に亡命して来た人とか、フランクやアレックスもいました」

 「そしてあなたは、実際にいくら資金や物資が提供されるかという情報を手に入れたのですね?」
 「はい。それに、いつでも彼に話ができるという保証も手に入れました」
実際は、ロレンツの自伝に書かれているように、最初にあったときにいきなり資金を渡された。


 「いいえ」

 「フランクが何故こうした情報を欲しがるのか聞きましたか?」
 「いいえ。フランクはただ、将軍が亡命キューバ人の運動にどれだけかかわり、どれだけ資金を提供してくれるか知りたかっただけなのだと思います。要するに、フランクはもっと金が欲しかったのです」

 「フランクは将軍から資金を得ようとしたことがあるのですか?」
 「分かりません」

ヒメネスは極悪人の独裁者であった。しかし、女性の扱いに関しては紳士的で、女心をよく心得ているようだった。なによりも信じられないくらいの金持ちであった。ロレンツはヒメネスからの誘いをまんざらでもないように思うようになった。

 ロレンツは、このヒメネスがベネズエラの独裁者で、権力の座にとどまるためなら、拷問、殺人など手段を選ばなかった冷血漢であることをずっと後になってから知ったと、自伝で述べている。当時のロレンツは、反カストロ運動に富の一部を提供しているベネズエラの前指導者に口説かれているぐらいにしか思っていなかったという。

ロレンツはそのころ、パン・アメリカン航空に就職が決まった。自立して隠れ家から脱出したかったのだ。ヒメネスは自分が所有しているアパートメントを貸そうと申し出た。ヒメネスの巨額の財産から見れば、たいした投資ではなかっただろうが、パンナムの給料ではとても住めそうにない二階建ての高級家具付アパートメントであった。

 これが意味することは明らかだった。ヒメネスの愛人になるということだ。そのころロレンツは、ヒメネスの過去をよく知らなかったこともあり、マイアミで豪華に暮らすヒメネスを好きになっていた。訓練に戻っても、また命を狙われる可能性もあった。それよりもヒメネスの愛人になったほうが少なくとも安全だ。ロレンツはヒメネスの申し出を受け入れた。必要から生まれたビジネス上の合意であると考えるようにした。
(続く)





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最終更新日  2005.09.09 09:20:14
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