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SUZUKIスイフト、新型スポーツ。このクルマは気になりますね。やはりヨーロッパ車の走りを見せる車に仕上がっているようです。 記事はCar Watch 岡本幸一郎レポートからです。
意識の高い多くのファンが注目する「スイフトスポーツ」の動向となれば話は別だろう。あまり変わりばえしないといわれるエクステリアも、数々の専用パーツが与えられて新鮮味があるし、全体のまとまり感もよい。 まず確認したかったのはエンジンフィールだ。先代(2代目)スイフトスポーツも、同クラスのライバルに比べると十分によかったが、期待値の大きさからすると物足りない気もしなくなかった。だからこそ新型ではどうなっているのか、とても興味があった。 スペック的には、排気量は同じ1.6リッターながら、最高出力は約9%アップの100kW(136PS)/6900rpm、最大トルクは約8%アップの160Nm(16.3Nm)/4400rpmと、それぞれ向上している。そして実際にドライブすると、数値の上がり幅よりももっと上がったように感じられたほどフィーリングはよかった。レスポンスがずっと鋭くなり、全域にわたってトルクがあるので、きつめの上り坂でもものともせずに駆け上がっていける。4000rpmあたりからパンチが効いた加速感も先代とまったく違うし、吹け上がり方もより抵抗のない“抜けた”感じになっていた。 新たに採用されたものとして、樹脂製インテークマニホールドと可変吸気システムが挙げられる。これは、エンジン回転数に応じて吸気管路を切り替え、より多くの空気を吸い込めるようにするためのもの。吸気バルブが開いた瞬間に吸い込まれる空気の圧力がもっとも高くなるよう、吸気管の長さを低回転では短く、中回転では長く、高回転では短くすることで全域でのトルクアップを図るというものだ。さらに、その可変吸気システムによる充填効率を最大限に活かすため、吸気バルブの開閉タイミング制御と吸気バルブリフト量の増加を図っている。 音についても整理されている。開発者によると「音で速さを感じる部分もあるので、静粛性に配慮しつつ、気持ちのよい音を出すことを考えた。品質感を欠くことのないよう『ノイズ』は抑えつつ、『サウンド』は出すというニュアンス」とのことだった。実際、低音の効いたサウンドがスポーティなムードを高めていてよいのだが、実は騒音に関しては法規的にギリギリのレベルらしい。 ちなみに車両重量についても、全長は90mm大きくなったものの、全体では10kg軽くなったのもありがたい。 トランスミッションは、従来の5速MTは6速MTへ、4速ATは7速マニュアルモード付CVTに変更された。これまで日本で7割、欧州では実に9割もの比率でMTが選ばれていたとのことで、まずはMTがどんなものか気になるところ。6速MTは、キザシ等に搭載されるものをベースに容量を最適化し、軽量化を図ったもの。シフトストロークはとくに横方向が短く、シフトチェンジ時の吸い込まれ感も心地よい。5速までがクロスしたギア比は箱根を走るにもちょうどよい。6速は巡航用で、今回は高速道路を走れなかったが、100km/h走行時のエンジン回転数は従来の約3200rpmから、約2700rpmに下がっているそうだ。 余談だが、今回ホイールベースが延長されているのは、衝突安全性への対応だけでなく、この6速MTを収めるために必要という物理的な事情もあったようだ。 一方のCVTについては、4速ATから7速のマニュアルモード付CVTとなったことで、MT/CVTの販売比率が少なからず変わってくるのではと思うところだが、いずれにしてもスイフトスポーツに相応しい走りが楽しめることに期待したいところだ。 CVT車に乗ってすぐに感じたのは、標準車のスイフト(CVT)と違って、踏み始めのレスポンスがよい。スイフトでは、副変速機の機構的な制約に加え、燃費への配慮から意図的に初期のレスポンスを落としていたのだが、スイフトスポーツはまったく違う。「これは本当に同じジヤトコ製の副変速機付きCVTなのか?」と思ったほど。 開発者に聞いたところでは、エンジンとの協調制御を図り、副変速機の存在が気にならないようなチューニングを心がけたとのこと。副変速機付CVTで多少のタイムラグが出るのは宿命と認識していたのだが、そんなことはないようだ。ちなみに、MT車ではクラッチを切ってアクセルOFFにしたときのエンジンのストール性が悪い、つまりエンジン回転の落ちが遅いことが少々気になったのだが、CVTではそれが気になることもない。 また、できるだけ高い回転域でもシフトダウンできるように専用にチューニングされている。マニュアルシフトの操作を行えるのはパドルシフトのみで、フロアセレクターのポジションはP/R/N/D/Mとなっているが、これも合理的でよいと思う。ただし、高回転が苦手なCVTの耐久性を考慮し、7200rpm~がレッドゾーンになっているもののそこまでは回らず、最高出力の発生回転数である6900rpmあたりで頭打ちとなるような設定になっている。 フットワークの仕上がりにさらに驚かされた。よく「意のまま」という表現が使われるが、このクルマの走りはまさにそれ。ステアリングを切ったとおりに、余分な動きを出すことなく、イメージどおりにラインをトレースしていける。 大前提としてあるのは、極めてリアのスタビリティが高いこと。接地性が高く、オーバーステアが顔を出すことはまずない。これに、可変ステアリングによる俊敏な操縦性がピッタリの相性ではまった印象で、ほぼ90度を超えることのない小さな舵角でもノーズが軽快に向きを変えていく。ちなみにMT車とCVT車では前軸重に車検証上で20kgの差があり、実際にもMTのほうがノーズが軽いように感じられた。 さらに、ツイスティに切り返すようなシチュエーションでも、普通は直前の操作による挙動が残るものだが、1つ1つが瞬時に収まるので、すぐに次の動きに移ることができるところもよい。だからフェイントを使おうと試みても、その操作にすら位相遅れなくついてくるので、よい意味であまりフェイントは使えない。一連の操作に対するヨーモーメントの出方に高い一体感があり、極めて自然に仕上がっている。小さくて軽いという強みこそあれ、重心が低くないにもかかわらず、小手先に頼ることなくこのような走りが実現できていることには驚くばかり。
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