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2025.04.13
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カテゴリ: 漢方

傷寒雑病論集序

論 ( ろん ) じて 曰 ( いわ ) く、 余 ( よ ) 毎 ( つね ) に 越 ( えつ ) 人 ( じん ) 、 虢 ( かく ) に 入 ( い ) るの 診 ( しん ) 、 斉 ( せい ) 侯 ( こう ) の色を望むを 覧 ( み ) て、 未 ( いま ) だ 嘗 ( かえ ) て 慨然 ( がいぜん ) として 其 ( そ ) の 才 ( さい ) の 秀 ( ひい ) でたるを 嘆 ( たん ) ぜずんばあらざる 也 ( なり ) 。 怪 ( あや ) しむは 當 ( とう ) 今居 ( こんきょ ) 世 ( せい ) の 士 ( し ) 、 曾 ( かっ ) て 神 ( こころ ) を 醫 ( い ) 薬 ( やく ) に 畱 ( とど ) め、方術を 精究 ( せいきゅう ) し、 上 ( かみ )

は以て君親の 疾 ( しつ ) を 療 ( りょう ) し、 下 ( しも ) は以て 貧賎 ( ひんせん ) の 厄 ( やく ) を救い、 中 ( ちゅう ) は 以 ( も ) て 保 ( ほ ) 身長 ( しんちょう ) 全 ( ぜん ) して以て其の 生 ( せい ) を 養 ( やしな ) はんとはせ、 但 ( ただ ) 、競いて 榮勢 ( えいぜい ) を 逐 ( お ) い 権 ( けん ) 豪 ( ごう ) に 企 ( き ) 踵 ( しゅ ) し、 孜孜 ( しし ) 汲汲 ( きゅうきゅう ) として 惟 ( ただ ) だ 名利 ( めいり ) 是 ( これ ) れ務め、其の末を 崇飾 ( すうしょく ) して、其の 本 ( もと ) を 忽棄 ( こき ) し、其の外を華かにして其の内を 悴 ( つか ) らす。皮の存せずんば毛は 將 ( はた ) た 安 ( いず ) くにか附かん。

卒然として邪風の氣に遭い、非常の 疾 ( しつ ) に 嬰 ( ふ ) れ 患 ( うれ ) い 禍 ( わざわい ) に及ぶに至りて、方めて 震 ( しん ) 慄 ( りつ ) し 志 ( こころざし ) を 降 ( くだ ) し 節 ( せつ ) を 屈 ( くつ ) し、 巫 ( ふ ) 祝 ( しゅく ) を 欽 ( きん ) 望 ( ぼう ) し、 窮 ( きゅう ) を告げて天に帰し、手を束ねて敗を受く。百年の寿命を 齎 ( そな ) え、 至 ( し ) 貴 ( き ) の 重器 ( じゅうき ) を持てるを 凡醫 ( ぼんい ) に 委付 ( いふ ) して、其の 措 ( お ) く所を 恣 ( ほしい ) ままにす、 咄嵯鳴呼 ( とっさああ ) 。 厥 ( そ ) の 身 ( み ) 已 ( すで ) に 斃 ( たお ) れ、 神 ( しん ) 明消滅 ( めいしょうめつ ) し、変じて異物と 為 ( な ) り、 重泉 ( じゅうせん ) に 幽 ( ゆう ) 潜 ( せん ) されて、 徒 ( いたずら ) に 啼泣 ( ていきゅう ) を 為 ( な ) さしむ。痛ましいかな 夫 ( そ ) れ 挙 ( きょ ) 世 ( せい ) 昏迷 ( こんめい ) 、 能 ( よ ) く覚悟することなく、 其 ( そ ) の 命 ( いのち ) を 惜 ( お ) しまず、 是 ( かく ) の 若 ( ごと ) く 生 ( せい ) を 軽 ( かろ ) んず、 彼 ( か ) の何ぞ 榮 ( えい ) 勢 ( ぜい ) と 之 ( これ ) 云 ( い ) わんや。 而 ( しこう ) して進んでは人を愛し人を知る 能 ( あた ) わず、 退 ( しりぞ ) いては身を愛し己を知る能わず。 災 ( さい ) に 遇 ( あ ) い 禍 ( わざわい ) に 値 ( あ ) い、身は 厄地 ( やくち ) に 居 ( お ) り、 蒙蒙昧昧 憃 ( もうもうまいまいしょう ) として 遊 ( ゆう ) 魂 ( こん ) の 若 ( ごと ) し。 哀 ( かなしい ) いかな 趨 ( すう ) 世 ( せい ) の 士 ( し ) 、 浮華 ( ふか ) を 馳 ( ち ) 競 ( きょう ) し、根本を固めず、 軀 ( からだ ) を忘れ物に 狥 ( したがう ) ふ、危きこと 氷 ( ひょう ) 谷 ( こく ) の 是 ( ほとり ) りに 至 ( いた ) るが 若 ( ごと ) く也。

余が 宗族 ( そうぞく ) は 素 ( もと ) より多く、 向 ( さき ) に二百に 餘 ( あまり ) りぬ。 建安 ( けんあん ) 紀 ( き ) 年 ( ねん ) 以来 ( いらい ) 、 猶 ( な ) ほ 未 ( いま ) だ 十 ( じゅう ) 稔 ( ねん ) ならざるに、其の死亡せる者、三分にして二あり傷寒は十稔ならざるに、其の死亡せる者、三分にして二あり傷寒は十のうち 其 ( そ ) の 七 ( しち ) に 居 ( きょ ) せり。 往昔 ( おうせき ) の 淪 ( りん ) 喪 ( そう ) に感じ、 横夭 ( おうよう ) の 救 ( すく ) ひ 莫 ( な ) きを傷み、 乃 ( すなは ) ち 勤 ( つと ) めて 古訓 ( こくん ) に 求 ( もと ) め、 博 ( ひろ ) く 衆方 ( しゅうほう ) を 釆 ( と ) り、素問九巻、八十一難、陰陽大論、胎臚薬録、併せて平脈證弁を選用し、傷寒雑病論合せて十六巻を為す。 未 ( いま ) だ 盡 ( ことごと ) く諸病を愈す 能 ( あた ) わずと 雖 ( いえども ) も、 以 ( もっ ) て病を見れば源を知るべきに 庶 ( ちか ) く。 若 ( も ) し 能 ( よ ) く 余 ( よ ) が集る所を尋ねなば思い 半 ( なかば ) を過ぎん。

夫 ( そ ) れ天は五行を 布 ( しき ) きて 以 ( もっ ) て万類を運らし、人は五常を 稟 ( うけ ) けて以て五臟を有つ、 經路府兪 ( けいらくふゆ ) 、 陰陽會通 ( いんようかいつう ) 玄冥幽微 ( げんめいゆうび ) にして変化極め 難 ( がた ) し。 才高識 玅 ( さいこうしみょう ) に 非 ( あら ) ざるより 豈 ( あ ) に 能 ( よ ) く其の 理致 ( りち ) を 探 ( さぐ ) らんや。

上古 ( じょうこ ) に神農、黄帝、 岐 ( き ) 伯 ( はく ) 、 伯 ( はく ) 高 ( こう ) 、 雷 ( らい ) 公 ( こう ) 、 少兪 ( しょうゆ ) 、 少師 ( しょうし ) 、 仲 ( ぶん ) 文 ( ちゅう ) あり。

中世に 長桑 ( ちょうそう ) 、 扁鵲 ( へんじゃく ) あり。 漢 ( かん ) には 公乗 ( こうじょう ) 、 陽慶 ( ようけい ) 及び 倉 ( そう ) 公 ( こう ) あり 此 ( こ ) れより下りて 以往 ( いおう ) は未だ之を聞かざる也。

今の醫を観るに、 經 ( けい ) 旨 ( し ) を思い求め、 以 ( もっ ) て 其 ( そ ) の知る所を 演 ( の ) べんことを 念 ( おも ) わず、 各々 ( おのおの ) 家 ( か ) 技 ( ぎ ) を承け、終始 舊 ( ふるき ) に順い、 疾 ( しつ ) を 省 ( かえり ) み病を問ふ、 務 ( つと ) め 口給 ( うきゅう ) に在り。 相対 ( あいたい ) すること 斯須 ( しゅしゅ ) にして、 便 ( すなわ ) ち湯薬を 処 ( しょ ) し、寸を 按 ( あん ) じて尺に及ばず、手を握りて足に及ばず、 人 ( じん ) 迎 ( げい ) 、 趺 ( ふ ) 陽 ( よう ) 三部 ( さんぶ ) を 参 ( まじ ) えず、 動数發 ( どうすうほっ ) 息 ( そく ) 五十に 満 ( み ) たず、 短期 ( たんき ) も未だ決することをを知らず、 診 ( しん ) を 九候 ( きゅうこう ) にも 曽 ( すなわ ) ち 髣髴 ( ほうふつ ) なく。 明 ( めい ) 堂 ( どう ) 闕 ( けつ ) 庭 ( てい ) 盡 ( ことごと ) くを 見察 ( けんさつ ) せず、 所謂管 ( ゆわゆるかん ) を 窺 ( うかがう ) うのみ。 夫 ( そ ) れ死せるを視て、 生 ( い ) くると 別 ( わか ) たんと欲するに 實 ( じつ ) に 難 ( かた ) しとなす。

孔子云う、生れながらにして之を知る者は 上学 ( じょうまなび ) びたるは則ち之に 亜 ( つ ) ぐ、 多聞 ( たぶん ) 博識 ( はくしき ) も知の次なりと。余は 宿 ( もと ) より方術を尚とぶ、 請 ( こ ) う 斯 ( こ ) の 語 ( ご ) を事とせん。 漢 ( かん ) の 長沙 ( ちょうさ ) の守、 南陽 ( なんよう ) の 張機著 ( ちょうきあらわす ) 。






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最終更新日  2025.04.13 12:15:28コメント(0) | コメントを書く
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