団塊定年日記

母の手帳（その４）

母の手帳の記載内容には戦争に関するものが多い。母にとって、戦争体験がいかに辛かったか、戦争によって青春時代を奪われ、学ぶ機会を失った無念さから、戦後の平和な状況が続くようにと願う記述が多い。　　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　いくさ無き平成の世をと願へども争い烈しくなるばかり。５６年前サイレンとともに防空ずきんをかぶり「Ｂ２９」から落とされる焼夷弾の中を逃げ回った戦争。今また海の向こうで始まりました。どうか平和な世に戻ることを祈ります。　　　・炎天で咲くひまわりにはげまされ（戦後５７回目）　　　・敗戦の苦難を超えて喜寿迎え　子や孫のため母は平和をまもらねば。イラク戦争が始まりました。なぜ戦争なんかするのでしょうか。　－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－　　　・確執のままに別れて１０数年　しあわせですかと想う日々　　　・花吹雪　無性に切ない　この春です　　　・今はもう　子にしてやれることはなし　ただしあわせを祈るのみ　　　・愚痴言わぬ　息子でよかった　感謝する　　　　・八十路　気ままと　孤独の　くり返し　　　・秋空の下　ゆっくりゆっくり　散歩する　　　・戸惑います　マサカマサカの　出来ごとに　　　・この夏は　暑い暑いと　ひとり言　　　・これからは「ケ．セラ．セラ」で生きる　　　・もの忘れ　多くなりたり　喜寿むかえ　ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー　　　・年老いて　ハデな服着て　今日を楽しむ　　　・秋日和　球根植えて　春を待つ　　　・秋晴れや　今日もすこやか　散歩する　　　・梅雨空に　あじさいの花　華やいで咲く　　　・変わりない　朝を迎えて　太陽おがむ　　　・指折りて待つ　あなた達の　来る春を　　　・信号を　一つ遅らせ　ゆっくり渡る　　　・合格を　祈りて今日も　手を合せ　　　・不眠症　コケコッコーより　早く起き　　　・長き夜や　般若心経　筆で書く　－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ーーーーーーーー　　　・激動の世を　いきながらえて　ケセラセラ　　　・おしゃれして　心うきうき　あなたに　あいたい　　　・青い空　歩きたくなる　秋日和　　　・にこやかに　やわらかに　なごやかに　　　・一人でする　テレビ体操　いいかげん　　　・耳遠くなれど　ともかく　今日を生き　　　・喜寿過ぎて　紅うすく刷き　心華やぐ　　　・無理のない　散歩で生活　いきいきと　　　・散歩道　えのこア草を　抜きて帰りぬ　　　・散歩道　さざん花咲いてる　とこ通り　－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ーーーーーーーー　　　・金木せい　ほのかに匂う　今日が幸せ　　　・雨滲む　封書の温み　心なごみぬ　　　・外国に旅立つ　孫の　幸せ祈る　　　・情報に　ふり廻されない　知恵がいる　　　・キャッシュカード　持たぬ私は　被害なし　　　・八十路　ゆけども　ゆけども　修行の寅年　　　・縛られず　ゆっくり歩く　散歩道　　　・ポストまで　歩いて１０分　散歩道　－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ーーーーーーーーー　　　１．愛と心情を大切にすること　　　２．己を知ること　　　３．相手を生かすようにすること　　あの人に　無性に会いたくなりし時　春は名のみの　風に吹かるる