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拡張を4つまとめて、基本ゲームを知ってる人向けに簡単に紹介。●アルカトラズ:厳重警備(Alcatraz: The Scapegoat - Maximum Security)ボックスアート 「アルカトラズ:生け贄」(BGGの和訳ルール)の拡張。すぐ思いつくのは新しい区域シートと新しい脅迫カードで、もちろんそれも入ってる。その他、5人プレイ用の囚人シート1枚と駒類、そして5人プレイ時にのみ使う「間抜け」カードとそのルール。生け贄は投票で選ばれるが、間抜けは回り持ち(間抜けを先に決め、生け贄と重複することはない)。間抜けは任務達成に協力することも、それから報酬を得ることもできない。脅迫カードも使えないので、ある意味で生け贄以下だが、単独で任務を達成した場合、間抜けだけが要素を得ることができる。 警備長は警備員の長(当たり前)。警備員マーカー2個として扱われ、縦横に隣接する4区域にも警備員マーカー1個分の影響を与え、「暴動の開始」や「買収」の影響を受けない。とんでもねえw 強力すぎる敵だが、警備長マーカーは1個しかなく、規則的に監獄内を巡回してるので、その動きに合わせて対応することはできるだろう。 判決カードは、自分が犯した罪に応じた特殊能力を得るというもの。ゲーム開始時に1枚ずつ配られる。 判決カードの一例。左は「故買屋」で、無料アクションでアイテムを捨てることができる。右は「恐喝犯」で、1アクションで他プレイヤーの駒を自分の駒がある区域に移動させることができる。 その他、引き分け判定に関する追加ルールや、区域シートの配置に関する選択ルールなど。BGGの和訳ルール●ウィラコチャ:翼ある蛇の道(Wiraqocha: The Way of the Feathered Serpent)ボックスアート 「ウィラコチャ」(BGGの和訳ルール)の拡張。すぐ思いつく新たな領域タイルと新たなトークンは入ってるが、意外にも新たな技術カードは追加されていない。所持物を隠すためのついたてが追加されたのは、地味だが重宝しそうだ。 新たな領域タイルは6枚。対応する出目が出るたびに(そして出たときのみ)資源駒を得られる「ジャングル」、将来出る技術カードを見て、そのうち1枚を予約できる「神託所」のほか、領域タイルの能力を完封する「守護悪魔」トークンを操れるようになる「守護悪魔の洞窟」と、領域タイル上の数値や出目を、自分のダイスロールの結果として利用できる高司祭トークンを配置する「聖域」がある。 新たなトークンは、正確にはシールだけ。基本セットに入ってたトークンの裏側にシールを貼り、ゲーム開始時にどちらの面を使うかを選択しておく。ゲーム中に裏返すことはできないので、たとえば「ヘリコプター分隊(ツェッペリンより強く、他のヘリコプター分隊以外からは攻撃を受けないが、他のトークンを輸送することができない)」を使うことにした場合、その裏面にある「ツェッペリン」は使えなくなる。プレイヤーごとにどちらの面を使うかを決めるので、最初から異なるトークンセットを持つことになる。領域タイルの配置や、自分の戦略に応じて組み合わせを考えるのも楽しそうだ。 ジャガーノート、アンドロイド探検家、機械式鉱夫は、ゲーム中に追加コストを支払ってトークンを裏返し、機能を向上できるようになった。より強力になる上、建物扱いとなって略奪されなくなるので早めに改良しておきたいが、コストがソムニウム1個と結構高価なので悩みどころだ。 契約カードは完全に新しい追加要素。渓谷を守るケツァルコアトルの誘惑に乗って契約すると、追加ダイスや追加資源駒を得ることができるが、恩恵を受けるたびに勝利条件を失うことになる。たとえば2回恩恵を受けると、リヴァイアサンの建造によってゲームに勝利することができなくなり、6回恩恵を受けると通常の手段ではゲームに勝てなくなるw じゃあどうするかというと、そのカードに示されてる自分だけの勝利条件を満たすしかない。これは渓谷を守ることを意味してるので、他プレイヤーとより直接的に殴り合うことになる。基本ゲームでは出遅れたプレイヤーが追いつきにくい仕様だったので、これもなかなか面白そうな追加ルールだ。 契約カード全4枚。示されてる地域を全部占領したり、他プレイヤーのトークンをプレイ人数に応じた数だけ墓地送りにすると勝利。ただしこれらの勝利条件は、ケツァルコアトルに6回助力を請うたあとでなければ達成できない。BGGの和訳ルール●パックス:夜/ペルガメムノン:戦前(PAX: Nocturnus/Pergamemnon: Antebellum)カバーアート 「パックス」(BGGの和訳ルール)と「ペルガメムノン」(BGGの和訳ルール)のニコイチ拡張セット。カードだけで箱には入っていない。ていうかルールもついてなかったんだけど、これオンライン公開だけなのかw 「パックス:夜」では、新たな影響力カードとして「斥候」「内通者」「民兵」の3種類が追加される。「斥候」を多く持ってると、カードを何枚か無料でディスプレイに置くことができる。「民兵」を多く持ってると、カードをたくさん引いてたくさん保持できるようになる。 一番目立つのは「内通者」。何しろ内通してるので、持ってるシンボル数に応じた枚数の手札をローマの強さに追加しなきゃならない。さらに「最高の陰謀家」カードを持つプレイヤーを決める際、「内通者」シンボルの多いプレイヤーが引き分け判定に勝利する。基本ゲームだとよほどのことがない限り「陰謀」勝ちは難しかったが、「内通者」によってかなり確率が上がるだろう。それを見越した戦術の変更が必要だ。 なお、基本セット2つ+この拡張2つがあれば8人プレイも可能となるw 左上から「民兵」「内通者」「斥候」。BGGの和訳ルール ペルガメムノン:戦前」では、当然新たな民族が追加される。手札のカードすべてのカリスマを使って怪物を補充できる「ゲルマン人」(ただし指導者のアルミニウス以外は大したカリスマを持ってないけどw)は迅速な戦力強化が望める。戦闘後にカリスマカードを取ったとき、追加のカリスマカードを得られる「マケドニア人」は、どの攻撃に対しても一定の防御力を持つが攻撃力がやや低めの「傭兵」カードをうまく使い、引き分けを多発させるのが有効だろう。また、指導者はアレキサンダーだが、それと同等の能力を持つ名前持ちカード「パルメニオン」が最初から入っているのも「マケドニア人」の特徴だ。 また、戦闘に負けたときにのみ取ることができる能力カードが追加される。基本セットだけでは勝ったプレイヤーが勝ち続ける展開になりがちだったが(それをいかにしのぐかが面白いところではあったものの)、この能力カードの追加によって負けた側も強化されることになり、連勝は難しくなった。とはいえ獲得にはコストがかかるし、他プレイヤーに奪われることも頻繁にあるので、これに頼らずに勝利を目指すのが基本なのは変わらない。基本ゲームのスピーディーさが損なわれることはないだろう。 能力カード。一番上に見えているのは「補給」で、このカードを持っているあいだは手札が1枚多くなる。他には最初に使用武器を宣言しなくていい「待ち伏せ」、指導者を失うことがなくなる「勇敢」などがある。BGGの和訳ルール 拡張というと「プレイが煩雑になる」「長時間化する」などのネガティブな要素も追加されがちだが、ここで紹介したものは、どれを入れてもそういった問題は発生しづらい気がする(強いて言えば「アルカトラズ」の5人プレイは厳しいかもしれない)。価格はまちまちなので、基本ゲームがどれだけ好きかに応じて突っ込むといいだろう。
2012.11.30
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ボックスアートタイル類 パブリッシャーはフランスのAsyncron Games。2007年から自社ゲームを出しているが、海外でもほとんど知られていないようだ。日本では2011年発売の「Fief」で、マニアがちょっと注目したかな。デザイナーはベルギーのSébastien Dujardin。大ヒットとなった「トロワ」の共同デザイナーにして、そのパブリッシャーであるPearl Gamesの経営者……じゃあPearl Gamesから出せばよかったんじゃないのかw “北のヴェネツィア”とは何かと言うと、「北の方にあるヴェネツィアっぽい町」ってこと。このゲームではベルギー北西部のブルッヘ(Bruges)を指すが、他にもオランダのアムステルダム、ロシアのサンクトペテルブルク、スウェーデンのストックホルムがこう呼ばれているようだ。ヴェネツィアは今も昔も美しいことで有名な町なので、それと同じくらい綺麗なとこですよーって売り文句。日本のあちこちに「小京都」があるようなものかね。まあ小京都はいくら何でも数多すぎだけどw 時代は15世紀。プレイヤーはこの街の富裕層を代表する市民。この街の主要な産業である衣類、レース編み、宝飾品を生産するため、手下(市民駒)に町中を駆け回らせて原料を入手し、工房を建設し、注文を受ける。勝利点は主に商品の売却によって得られるが、それ以外にも橋を建造して市民生活に貢献したり、著名な棟梁を雇用することによっても得られる。 プレイの舞台となるブルッヘの町は、ヘクスタイルの組み合わせによって表される。何通りかの規定配置も用意されてるし、慣れてきたら自由に配置してもいい。 棟梁/注文/工房カードを用意して、各プレイヤーがプレイヤーボードと駒類、各色の原料駒を1個ずつ持ったらゲーム開始。 左から棟梁、注文、工房カード。ちょっと童話っぽい雰囲気で、フランス圏らしい(と私が勝手に思ってる)美麗なアート。 各プレイヤーは順に手番をプレイする。メインになるのはダイスロールと、そのダイスを使った市民駒の移動、そしてアクションの実行だ。「トロワ」のデザイナーらしく、このダイスの使い方が一ひねりされてて、このゲームの肝となっている。 手番プレイヤーは自分の色のダイスを2個振る。ゲーム開始時には手元に5個あるが、ゲームが進むにつれて何個かはボード上に置かれることになる。もし手番開始時に手元に1個しかダイスがない場合、もう1個をボード上から取らなければならない。振ったら、どっちを移動に使い、どっちをアクションに使うかを決める。 移動のために選んだダイスを使い、プレイヤーはボード上にある自分の市民駒を移動させる。この移動には結構な制限がある。まず、ダイス目“ちょうど”の分だけ移動させなければならない。4を使ったら4ヘクス分、6を使ったら6ヘクス分移動させなければならない。しかも一度通過したヘクスをもう一度通過することはできないので、出目が大きいほどいいわけではないってこと。それまでの手番でヘクス間に橋を建造していた場合、そこは出目を消費せずに通過することができる(狙ったタイルに行くために出目を消費したければそうしてもいい)。移動の選択肢が大きく増えるので、交通の要所となるヘクス間にはできるだけ早めに橋を建造しておきたいところだ。 「北のヴェネツィア」って言うくらいだから、町には運河が張り巡らされていて、そこでは小舟が往来している。移動中に小舟があるタイルに来たら、3移動力を使ってその小舟に乗り、任意のタイルに移動することができる。うまく使えば、思いもよらないタイルに移動して他プレイヤーの意表を突くことができるだろう。 市民駒の移動を終えたら、そのタイル上でアクションを実行する。そのために2個目のダイスを使う。タイルによって、プレイヤーは対応する原料駒(羊毛、亜麻、黄金)を得たり、対応するカード(工房/注文/棟梁)を引いたり、市場で商品を売却して勝利点を得たり、港から商品を輸出して勝利点を得たりできる。このとき、得られる原料駒の数や、引くことができるカード枚数、売却できる商品駒の数、輸出で得られる勝利点は、アクションに割り当てたダイスの出目によって決まる。なので、出目は大きければ大きいほど大きな効果が得られる……1回限りの効果だけを考えれば、だが。 この「アクションに割り当てたダイス」は、そのタイル上にダイスがまだ置かれていなければ置くことができる。すでに他のダイスが置かれている場合、そのダイスより小さい目であれば置き換えることができる。そうでなければ、アクション実行後に手元に回収する。タイル上にダイスを置くとどんないいことがあるかと言うと、「他プレイヤーの手番中にもアクションを実行できる」のだ。自分の市民駒、またはダイスがあるタイル上で他プレイヤーがアクションを実行した場合、それらを置いているプレイヤーも出目1のダイスを使ったものとしてアクションを実行でき、両方置いていれば出目2のダイスを使ったものとしてアクションを実行できる。だからたとえ出目が小さく、自分の手番ではあまり多くを得られなくても、そのアクションを他プレイヤーが何度も実行してくれればそのたびに追加で利益を得ることができる。逆にあまり他プレイヤーが実行しそうにないアクションなら出目が大きいダイスでアクションを実行すればいい。市民駒の移動との兼ね合いもあるから、ダイスを振るたびに知恵をフル活用することになるだろう。 商品の生産と売却の流れは、ちょっとここでは説明しきれないほど手間がかかる。ゲーム終了条件の1つに「市場タイル上で規定回数だけ商品が売却される」というのがあるのだが、これは4人プレイ時でもたったの7回しかない。このことからも、商品の生産がいかに大変かが分かるだろうw それだけ重要でもあるので、常にベストの手を打って、最高の効率、最高の速度で商品生産にこぎつけたい。 市場での売却完了の他に、1人のプレイヤーがすべての橋駒(5個)を建設するか、注文カードの山が尽きた場合にゲーム終了。余った商品駒を少し安値で売却し、建設した橋と使用済みの棟梁カード(ゲーム中やゲーム終了時にボーナスをもたらす)から追加勝利点を得て、最多得点プレイヤーの勝ち。 出目に応じて機械的に駒を進めたりするのではなく、振ったあとに考える系のダイスゲームだ。「キングスブルク」や「エイリアン・フロンティア」、そしてもちろん「トロワ」と同じ系統と言えるだろう。ただ、それらに比べて振るダイスが2個と少ないので、若干軽めに仕上がっているようだ。町タイルを自由に組み替えてプレイすることができる点や、橋の建造が重要な点、小舟を利用した移動ルールなどはテーマにマッチしてていい感じ。一方、アクション実行時にはやっぱり出目がでかい方がいいんじゃないかという懸念もある。ちょっとここのところはプレイしてみないと分からないけども。また、繰り返すが商品の生産は大変そうだ。ルール読んだだけでは、流れを把握するのも一苦労w 実際に手元に駒やカードを並べて動かしてみればすっと理解できる気もするが……どうだろうね。まあ市場が重要なのは揺るがないが、市場での商品売却以外にも得点手段が豊富に用意されてるので、わずかな生産の遅れが即座に致命傷になるということはないだろう。 あまり他のゲームで見かけないシステムを複数採用しているため、どんなゲームになるのか、すぐには想像がつかない。他の傑作重量級ゲームに埋もれたらしく、まだ全然プレイレポートを見かけないが、振ったあと考える系ダイスゲームが大好物なら(もちろん私は大好物だw)大きく外すことはないんじゃないかな。BGGの和訳ルール
2012.11.29
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ボックスアートタイル類 REBEL.pl新作ゲーム第4弾にしてトリ。デザイナーはAdam Kałużaで、同社からは「K2」「Drako」などを出しており、「K2」はテンデイズゲームズから日本語版も発売された。 プレイヤーは洞窟学者(「洞窟学」というジャンルがちゃんとあるらしい)のチームを率い、新たに発見された洞窟を調査する。結構広い洞窟なので手分けして調査を進めていく中で、高低差があったり極端に狭くなったりしてる難所を通過したり、地底湖に潜ったり、自然が作り出した神秘的な光景を写真に収めたりしていく。本来学術的調査というのは地味なものだが、それだとパトロンが食いつかないので、そういう素人受けするアクションをたくさん取ったプレイヤーほどたくさんの勝利点を得ることができ、最終的にゲームに勝利する……こう考えるとちょっと世知辛いなw プレイ人数に応じたスタートボードを置いて、大量にある(ほんとに大量にあるw)トークンを種類別に分けておく。洞窟タイルは裏面の数字別に分け、プレイ人数に応じて何枚か取り除く。各プレイヤーはプレイヤーボードと駒を持って、最初に持ってる装備トークンを8枚選んで、リュックサック内を表してる装備マスに置いたらゲーム開始。 各プレイヤーは順に手番をプレイする。手番開始時に、プレイヤーは消耗品トークンを1枚捨てなければならない。時間経過に伴って、水や食料、燃料なんかを消費したってこと。これができないと、プレイヤーは移動以外に何もできなくなり、その移動コストも莫大なものになる。これをやっちゃったら致命的(特にスタート地点から離れてるほどやばい)なので、こまめにスタート地点に戻って消耗品を補充しなければならないだろう。 アクションポイント制で、プレイヤーは5APを使ってアクションを実行する。たいていは1AP消費して新たな洞窟タイルを引き、自分の駒があるタイルに隣接させて置くことになるだろう。こうしてどんどん洞窟の奥へと探検していくわけだ。ルールに従ってうまく置けない場合、そこは行き止まりだったことになり、引いたタイルの代わりに用意されてる巨石閉塞タイルを置くことになる。 行く手にタイルを置くことができたら、さらにAPを費やしてそのタイル上に移動することができる。何もないところには1APで入れるが、そうでない場合は余分なAPと、地形に対応したアイテムが必要になる。 下り坂だったら安全のためにロープを張らなければならない。順に下っていく場合は25メートルずつ高度が下がっていき、そのたびにロープが1本ずつ必要になるが、どんどん下っていった先で他の既存のタイルにつながると、その高度差分だけロープが必要になる。ちょっと分かりにくいが、タイルを引いて25メートル、50メートル、75メートルと下っていき、その先で他の方向から伸びてきたタイルにつながって、そのタイルの高度が0メートルだった場合、目の前に75メートルの断崖絶壁が立ちはだかることになり、そこを上るにはロープ3本と4APが必要になるのだ。この「突然現れる難所」感が、素人が想像する洞窟探検のイメージにぴったりw 地底湖がある場合は酸素ボンベを使って潜るか、ゴムボートを使って水面を渡らなければならない。狭隘路を通るにはアイテムはいらないが、狭いところほど多くのAPを消費することになる。 難所はただ通過が難しいというだけの場所ではない。最初に述べた通り、そのような難所をくぐり抜けたという事実は一般受けするので、最初にそこを突破したプレイヤーは、そのタイル上に用意されているトークンを得ることができる。ロープを張って下ったらトラバーストークン、地底湖に潜ったら水域トークン、奇観を写真に収めたら写真トークンといった具合。これらはその難易度に応じて、ゲーム終了時に勝利点となる。 最初に用意した装備は8つしかなく、そのうちいくつかは消耗品にしないと、ろくに移動もできない。とうていすべての地形に対応して何でも用意しておくのは無理。ロープがないときに限って下り坂がでたり、酸素ボンベもボートも置いてきたら地底湖にぶつかったりするw そんな感じで行き詰まったり、消耗品が心許なくなってきたら、スタート地点に戻って再度装備を調えることになる。しかし、これでは一定の距離までしか進むことができない。そこで役に立つのがキャンプ。プレイヤーボードにはリュックサック内を表す装備マストは別に、キャンプ用の装備マスがある。キャンプに詰めた装備品はすぐには使えないし、キャンプ自体がリュック内の装備マスを2マスも占有してしまうのだが、プレイヤーは任意のタイル上にキャンプ駒を置くことができる。そうしたらそこを拠点にして、キャンプ内の装備とリュック内の装備を詰め替えて先に進んだりできるのだ。 このキャンプに関わるルールはやや複雑で、ルールを読んだだけですっと理解するのは難しいかもしれない。キャンプを回収してスタート地点に戻り、再度詰め直したりとか、キャンプを放棄した場合とか、あらゆる状況を想定してルールが書かれているためだ。ここは実際にプレイヤーボード上でキャンプ駒や装備トークンをいじりながら試してみれば分かりやすいんじゃないかな。ルールブック中に例があれば一番よかったんだけど。 プレイヤーボードはこんな感じ。左がリュック内装備マス、中央上がキャンプ内装備マス。中央下と右側はアクションサマリー。アクション数もアイコンの数も多くて複雑そうだが、一回ルールを読めば分かるレベル。「洞窟語」ってほどではないw そうして洞窟調査を続け、最後の山が尽きたとき、ゲームは終了に向かう。そのラウンドを最後までやったあと、追加の3ラウンドをプレイする。プレイヤーはこのあいだにスタート地点に戻らなければならず、戻れなかったプレイヤーは自動的に足切りされて敗北するw まあ、よほど凡ミスをしなければそうはならないだろうけど。 各プレイヤーは集めたトークンによる勝利点を得て、さらにそれぞれのトークンを集めた数を比較し、種類ごとに順位点を得る。最多得点プレイヤーの勝ち。 前作「K2」が日本では好評だったので、たぶんそれと比較されることになるゲーム。「K2」は私の好みからすると地味すぎ、「洞窟」は未プレイなので何とも言えないところはあるが、共通してるのは「素人が想像する山登り(または洞窟調査)の大変なところ、スリリングなところを再現してる」ってとこだろうか。たぶん、実際にはどちらも相当に危険で、かっこいいところなどほとんどなく、こつこつと単調な作業を繰り返して目的に到達するものなんだろう。しかしそれじゃゲームにならないので、漫画や映画なんかで描かれるような、ドラマチックな展開を再現できるようにした。そんなゲームじゃないかな。だから実際に調査チームが今どんな局面にあるのか、想像しながらプレイすると、よりいっそう楽しめると思う。 翻訳時にはまだ用意されていなかったため、日本語ルールからはURLを省いてあるが、REBEL.plではこのゲーム用のBGMをダウンロードコンテンツとして用意している。これを再生しながらプレイすると、よりいっそうゲームの世界に浸れるだろう(ゲーム中の4フェイズにそれぞれ対応したBGMを用意しているという本気っぷりw)。日本なら「川口浩探検隊」のテーマとかをエンドレスで流すといいかもねwBGGの和訳ルールREBEL.plのBGM(ZIPファイル直リンク。約120MB)
2012.11.28
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ボックスアートゲームボード(クリックで拡大) REBEL.pl新作ゲーム第3弾。デザイナーはŁukasz Woźniakで、去年「Szalone Małpy」という、お猿さんがテーマのキッズゲームでデビューした。 プレイヤーは17世紀のオランダ人商人。世界最古の証券取引所と言われているアムステルダム証券取引所で、オランダ東インド会社の支社(というか、6つの商社をまとめて東インド会社にしたんだけど)の株式に投資したり、それらの会社が扱ってる商品そのものに投資(先物取引ってことかね)したりして、お金持ちになることを目指す。今どき珍しい純投資ゲーム。なお、なんでタイトルが「メルクリウス」かというと、ローマ神話における商業神だかららしい。ちょっとひねりすぎじゃないかなーw 各会社の株価と商品単価を示すマーカーをゲームボード上に置き、プレイ人数に応じた枚数の株式トークンと商品トークンを用意して、各プレイヤーが70金と価格変更カード5枚、特別アクションカード3枚を持ったらゲーム開始。 スタートプレイヤーから順に手番をプレイする。手番中、プレイヤーは3回まで取引を行い、カードを1枚プレイし、カードの位置をずらして(後述)、カードを1枚引く。これだけ。数ある投資ゲーの中でもシンプルな部類に入るだろう。 取引とは、株式トークンか商品トークン1枚を売買すること。これを自由に組み合わせて3回までできるけど、同じ種類の株式/商品を複数枚売ったり買ったりすると、プレイヤーに不利になる価格補正がかかる。1枚だけ売れば現在価格で売れるけど、3回の取引中に同じものを2回売ると1枚あたりの価格が-1金、3回売ると引く2金になる。もちろん、まとめ買いすると1枚あたりの価格が上がる。当然、個別にちまちま取引した方が効率はいいわけだが、何しろ価格は水物。次の手番には下落/高騰してるかもしれない。価格変動を見越した上で、まとめて取引した方が得ならそうすべきだろう。 取引を終えたら、手札からカードを1枚プレイする。たいていは価格変動カードで、株価と商品価格が上がったり下がったりする。価格変更カードの一例。 ここが「メルクリウス」の肝で、このゲームの2大特徴が凝縮されてる。 まず、カード1枚で株価と商品価格が両方上下するのだが、片方が上がったらもう片方は必ず下がるようになってる。また、各会社と商品のあいだには密接な関係があり、その組み合わせは決まっている(単純に1対1対応してるわけではない)。さらに、株価の変動範囲はカード1枚ごとに±1だが、商品価格の変動範囲は±2。株価はプラスになるカードが、商品価格はマイナスになるカードがやや多い。このように、株式と商品とのあいだで値動きに違いがあるので、投資の仕方もそれに合わせて考えなければならないのだ。長期的に損しないのは株式だが、ローリスクローリターンではぼろ儲けできない。危険を冒して一攫千金を狙い、先物投資するのが山師ってもんだろうw とはいえ、手札以外に何の情報もないのではほぼ運ゲーだ。しかし「メルクリウス」2つ目の特徴として、「プレイしたカードは3ラウンドに渡って効果を発揮する」というのがある。カードはプレイしたら即捨て札になるわけではなく、手元のプレイヤーボード上に置かれ、手番ごとに右にずれていき、プレイヤーボードから押し出される3ラウンド後まで市場に影響を与え続ける。だから誰かが「コーヒー-2」なんてカードを出したら、以降3ラウンドに渡ってコーヒー価格は2ずつ下がり続ける。すでに持っているコーヒーは早めに売り抜けた方が無難だが、もし手札に「コーヒー+2」カードがあるなら、下げ止まったところでコーヒーをまとめ買いし、そのあと「コーヒー+2」をプレイして利益を上げるなんてこともできる。 プレイヤーボードはこんな感じ。下段のスペースにカードを置き、ラウンドごとに左にずらしていく。上段にはアクションサマリーがあって分かりやすい。 正直、これだけでも純投資ゲーとしては面白いと思うが、ここに味付けとして「闇市場」「配当」「ニュース」の3枚の特別アクションカードが追加されてる。 この3枚が特別アクションカード。 各プレイヤーが同じものを持っており、それぞれゲーム中に1回だけ使うことができる。「闇市場」は手番外での取引を可能にし、「配当」は現在持っている株式数に応じた配当金を全プレイヤーにもたらす。各会社はゲーム中に1回しか配当しないので、自分が多くの株式を持ってる会社の株価が高いときにプレイしたいが、それが叶わないなら、他プレイヤーの邪魔をするためにプレイするのもありかもしれない。「ニュース」は価格変動を行わないことができ、手札を交換することができる。地味だが、手札のどれもプレイしたくないときがゲーム中に1回はあるだろう。そのときには重宝するはずだ。 価格変動カードの山が尽き、そのあと2ラウンドプレイしたらゲーム終了。持ってる株式と商品を現在価格で換金して、一番お金持ちのプレイヤーが勝ち。 繰り返すが、実にシンプルな純投資ゲー。それだけにプレイ感は地味で、価格変動に一喜一憂しつつも黙々とプレイすることになるだろう。しかし、全然先行きが見えない系の投資ゲーとは違い、少し先までのおおよその値動きは読めるし、他プレイヤーの売買やカードプレイからその意図を読むこともできる。それに相乗りしたり、あるいは邪魔したり。「配当」カードによる収入はかなり大きなものになるので、そのプレイタイミングも重要だろう。特殊能力てんこ盛り系ゲームで大騒ぎしたい人には向かないだろうが、静かな、そしてわずかな動きにしびれるようなゲームが好きならきっと気に入るはずだ。BGGの和訳ルール
2012.11.27
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ボックスアートボード類タイル REBEL.pl新作ゲーム第2弾。デザイナーはTomasz Lewandowiczで、これがデビュー作。 舞台はとある中世の王国。プレイヤーは辺境に領地をもらった男爵となる。ところがこの領地、実は琥珀が取れる結構イケてる土地だった。しかし大規模な流通を実現させるには、この荒野に村が点在しているだけの地にインフラを整備して道路を建設しなきゃならない。ということで、他の男爵と競合しながら琥珀が取れる村に道路つないだり、交易路として他の男爵の城とのあいだに道路作ったりする。 プレイ人数(3~6人と幅広い)に応じた初期配置に従って、ボード上に各プレイヤーの城タイルと、村を示すディスクを置く。そのあと城タイルと村ディスクの上に1金を置く。プレイ人数ごとに3通り、4人プレイ用にいたっては6通りも初期配置が用意されてるので、それによってちょっと違ったゲームが楽しめるようになってるところは芸が細かい。各プレイヤーがタイルを6枚引いたらゲーム開始。 ゲームはいたって簡単。手札のタイルを1枚選んで、ルールに従ってボード上に置く。そのあと手札が6枚になるまで山からタイルを引く(基本的には1枚)。これだけ。 タイル配置ルールは、きちんと文字にするとそれなりの文章量になるが、「1枚目のタイルは自分の城からスタート」とか、「既存のタイルの道部分とつながるように置かなきゃならない」とか、ちょっとボドゲしたことある人にとってはおおむね当たり前のルールばかりなので、すぐ覚えられるだろう。注意が必要なのは、タイルの道上に矢印が書かれていたら、それは一方通行を表しており、道のつながりを考えるときに逆向きにたどることはできないということ。道のつながりを考えるとき、村ディスクは通過できるが城タイルは行き止まり扱いということの2点くらいかな。 そうやってどんどん道タイルを置いていくと、いずれ村につながる。それが目的の1つだからねw ある村に初めて道がつながったとき、その村に自分の城から道をたどれるプレイヤーが1人だけの場合、そのプレイヤーは村ディスク上に置かれてる1金を得る。配置したタイルによっては、同時に複数のプレイヤーの城がその村につながることもあるが、この場合は誰もその1金を得ることができない。この1金は要するに1点なので、当然自分だけがいち早く村につながるようにしたいわけだが、何しろタイルの引き運次第なのでどうしようもないことがある。次の手番で他プレイヤーが単独でその村につないでしまうかもしれない……そんなときは、たとえ複数プレイヤーがつながることになってもタイルを置いてしまって、誰も1金が得られないようにすべきだろう。 他プレイヤーの城につながったときも同様で、その城につながってるのが自分だけなら1金ゲット。同時に複数がつながった場合はゲームから除外。 城同士の接続で注意したいのは、普通につないだら相手の城も自分の城につながってしまうので(当たり前)、自分の城にある1金を取られることが多いということ。ここで重要になるのが一方通行の道路で、これを使えば、自分の城から相手の城にはつながってるが、相手の城は自分の城につながってないって状況を作れる。むしろこれを作るために一方通行があると言ってもいいwこんな感じね。 さすがにひたすら道をつなぐだけでは単調なので、何種類かの特殊タイルがある。一直線の道路を置き換えることができる「橋(立体交差)」と「環状交差点」タイル。配置済みのタイル(城は不可)を取り除くことができる「シャベル」タイル。行き止まりに似ているが、うまく使えば最大で3本の他の道路も同時に行き止まりにできる「湿原」タイル。これらをうまく使えるようになったら、あなたも「琥珀の男爵」上級者w ゲームは2通りの条件下で終了する。誰かが自分の城とすべての村、すべての他の城をつないだ場合、そのプレイヤーのサドンデス勝利。そうでなければ、タイルの山が尽きて、各プレイヤーの手札が3枚以下になったときにゲーム終了。獲得した1金の枚数と、自分の城につなげた村ごとに1点、城ごとに2点を得て、最多得点プレイヤーの勝ち。 いにしえの「水道管ゲーム」や、「トランスアメリカ」に大なり小なり似てるらしい(私はどっちもやったことがないので何とも言えない)。ルールから想像できる通りの軽いゲームだろう。対象年齢8歳以上だし。だがREBEL.plは「洞窟」「ドラコ」「K2」の対象年齢も8歳以上にしてるとこなので、決して「子供向けで大人は楽しめない」ってことではなさそうだ。本当の意味で「8歳からプレイはできる」ってことなんだろう。 引き運に一喜一憂しながら、その中で何とか勝利を目指して道をつないでいく。そういうゲームだ。ボード上にどんどん道タイルが置かれて賑やかになっていくさまは、建設/箱庭系ゲームの原初の楽しみみたいなものがあるだろう。一応、「タイルを山から引くのではなく、公開されてるタイルから選んで取る」という上級ルールもあるが、プレイした人によると「中途半端に戦略性を足すより、基本ルールでとにかく軽いゲームとして遊んだ方が楽しい」とのこと。まあこのへんは好みだけど、もしいきなり上級ルールで遊んでつまらないと感じた人がいたら、だまされたと思って基本ルールのみでもう一度試してみてもいいかもね。 これも重量級を望むゲーマーには物足りないだろうが、短時間で軽く遊びたい人にはいいゲームとなるだろう。BGGの和訳ルール
2012.11.26
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ボックスアートカード デザイナーは、去年「End of Atlantis」でデビューした(はず……ちゃんと出たのか不明)Marcin Welnicki。パブリッシャーは今年エッセン合わせで4つのゲームを出してきたREBEL.pl。この「スラヴィカ」だけ少し早めに発売してしまったため、あっという間にエッセン新作ラッシュに飲み込まれてしまった感がある。ボドゲは発売するタイミングも大事だねえ。 王様のなんかすごい力で守られてたファンタジー世界の王国、スラヴィカ。その王様が逝ってしまった。跡継ぎの王女はまだ幼く、なんかすごい力を継承するまで数ヶ月かかる。そのあいだ、国の貴族であるプレイヤーは自前の英雄を王国の各地に派遣して、押し寄せるモンスターから国を守らなければならない。王女がなんかすごい力を継承した(規定の時間が過ぎた)時点で、一番国土防衛に貢献したプレイヤーが勝ち。 プレイ人数に応じた地域カードを並べて、プレイヤーは自分の色の英雄カード(↑上段)6枚と、山から引いたモンスターカード(↑下段)5枚を持ってゲーム開始。 手番プレイヤーは3アクションを実行する。第1アクションでは、手札の英雄1人をどこかの地域に派遣する。マストアクションだけど、各地域に派遣できる英雄の人数は地域カードによって上限が決まっているので、実行できない場合もある。そのときは省略。 第2アクションでは、第1アクションで選んだ以外の地域に英雄1人を派遣する。不可能な場合、モンスター1体を派遣する。このゲーム、プレイヤーが倒すべきモンスターもシステムによって自動配置されるわけではなく、プレイヤーたち自身が配置するのだ。なんというマッチポンプw 第3アクションでは、第1、第2アクションで選んだ以外の地域にモンスター1体を派遣する。 つまり手番中に配置するカードの組み合わせは以下のいずれかになる。英雄・英雄・モンスター英雄・モンスター・モンスター(第1アクション省略)・モンスター・モンスター アクションを終えたら、手札からモンスターを1枚捨て札にし(これも必須)、手札のモンスターが5体になるまで山から補充。英雄やモンスターが配置時能力を持っている場合、配置した途端にその効果を適用する。 これを繰り返していくと、プレイエリアは以下のような感じになっていく。 ある地域に上限いっぱいのモンスターが配置されたとき、プレイはいったん中断されて、その地域での戦闘の勝敗を確定させる。モンスター側の強さ合計と、英雄側の強さ合計を比較し、大きい方(同値の場合は英雄側)が勝つ。 英雄側が勝った場合、自分の英雄の強さ合計が多い順に、その地域カードに示されてる栄光点を得る。さらに1位プレイヤーは、地域カードの下に置かれていた財宝カードを全部もらって、その栄光点を得ることができる。また、モンスターの中でも特に強大な奴らは、倒したことによってプレイヤーに栄光点をもたらす。これだけだと単に強い英雄を出したもん勝ちだが、英雄カードの組み合わせは全プレイヤー同じなので引き運みたいなものはないし、「盗賊」のような弱い英雄は「他プレイヤーが得た財宝を盗む」といった特殊能力を持っているので、その使い方によっては戦力として貢献しなくても多くの栄光点を得ることができる。 英雄側が負けた場合、英雄は撤退して各プレイヤーの手札に戻り、モンスターは暴れ回って満足したので捨て札になる。特にその地域が占領されちゃうとか、規定回数負けたらプレイヤー全員敗北とかいったルールはないので安心w。だから自分が高得点を得られそうになければ、仕切り直しのためにモンスター側に勝たせようとするのは当然の戦略になる。 どちらが勝ったにしても、新たな地域カードを用意したり(しなかったり)、新たな財宝カードを用意したりしてゲームを続ける。財宝カードの中には、1ヶ月が過ぎたことを示す歴月カードというものが混ざっており、これが4枚出たらゲーム終了。最多得点プレイヤーの勝ち。 手番に出せるカードの組み合わせは3パターンしかないので、ルールは簡単。しかしどの英雄をどこの地域に置き、どのモンスターをどの地域に置くかで、1手ごとに悩むことになるだろう。手番中に出すカードはすべて異なる地域に置かなければならないのがミソだ。英雄を2枚連続で同じ地域に出して一気に首位に躍り出ることも、強い英雄を出した地域に弱いモンスターを置いて勝ちやすくすることもできない。1地域には必ずカード1枚ずつしか置かれないので、じりじりと進んでいく感じなのだ。その中でいかに優位に立ち、いかに他プレイヤーの邪魔をするかを考えるゲームなんじゃないかな。 モンスターで特殊能力を持っているのは半分くらいだが、英雄は2人の戦士を除く4人すべてが特殊能力持ち。これが結構強力なようで、戦況をひっくり返すこともしばしばあるらしい。このへんは好みが分かれるところだが、まあ全プレイヤーが同じ英雄セットを持ってるんだから、全員が同じくらいに効果を理解していれば大きな問題にはならないだろう。 ポーランド土着の聞き慣れない名前のモンスターばかりが登場するのでちょっとなじみづらいが、ルールブック巻末に解説がついてるし、アートワークはご覧の通り美麗なものばかり。今年のエッセンシュピールは重ゲーの当たり年だったが、シンプルゲー好きならこれもいいんじゃないかな。BGGの和訳ルール
2012.11.25
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秋葉イエサブにて定例会。友Kアウト、友M2インで4人。●ツォルキン もうそこら中でプレイされてて、まあ実に評判がよろしいゲーム。CGEだけど、デザイナーがVlaada ChvátilでもVladimír Suchýでもないのでちょっと不安もあったが、評判通りの傑作だった。チェコゲーの特徴(だと勝手に思ってる)「メインルールはシンプル、各アクションはごちゃごちゃ」は健在w 手番にやれることは「アクション歯車上に労働者駒を好きなだけ置く(要コスト)」か「アクション歯車上から労働者駒を好きなだけ取り、対応するアクションを実行する」の2択。ラウンドごとに歯車が回転して、まだ歯車上に残ってる労働者駒はよりよい(またはまったく異なる)アクションスペースに移動するという仕組み。このアクションがまあ実に大量にあるw それらを駆使してコーン(≒お金)や木材、石材、黄金、水晶髑髏を得たり、資源を消費して建物や記念碑を建設したり、3柱の神様がいる神殿での地位を上げたり、水晶髑髏を捧げて勝利点などをもらったりする。いろんなところで得点できるので何したらいいか迷いがちだが、初期財産タイルで他プレイヤーと差別化されるので、そこで進む方向性を決める感じかな。 チチェン・イツァにある水晶髑髏の数ごとに3点になる記念碑が出たので、水晶髑髏に注力するプレイにしてみた。初期財産でそれなりのコーンをもらったので、1ラウンド目はパレンケを無視してみたけど、そのせいで終始苦しかったw おおもとの資源が余ることはそうそうないから、やっぱり積極的に取りに行くべきだったか。まあ初期財産でコーンを2個しかもらわなかった友M2の方がずっと苦しそうだったがw 「神殿を軽視すると痛い目を見る」と事前に聞いていたので、神殿にもそこそこ注力。おかげで得点には困らなかったが、農業技術を上げる隙がなく、ほんとずーっとコーンには泣かされた。農業技術を2まで上げるか、労働者の維持費を減らす建物を最低1つは取るか、どっちかはしないとコーンマネジメントだけで1ゲーム終わるw 勝ったのは、意外にも初期コーン2個で瀕死と思われた友M2。神殿での高得点獲得を誰も阻止しなかったこと、ウズマルのアクション5をうまく使い、必要なときに必要なアクションを実行していたのが功を奏したようだ。私は神学技術1レベルの能力を生かしてチチェン・イツァで得点を重ねたが、3/4点差で2位orz 感想戦で教えてもらったが、最後の1手で建物を2つ建設せず、神殿での地位向上できるようにしておけば勝利もあり得た。悔しいのうw 農業レベル2を駆使してコーンをふんだんに得た友M1と、維持費を軽減する建物を2軒建てて労働者駒6個体勢で挑んだハマチの2人は記念碑点で追いすがるも、神殿ガン無視気味だったので10点ちょい離されてた。神殿でせめぎ合い+αを目指した方がいいのかな。資源ももらえるし。 労働者駒はラウンドごとに1スペースずつ手で動かすって仕組みでもよかったし、つまり歯車は単なる飾りなんだけど、こういう飾りはあった方がいいよね。ゲームとしても完成されてる。ダウンタイムは短いとは言えないけど、いくら考えても1手ごとの選択肢はそんなに多くないので、そこまで長くもならない。こりゃいいよ。ワーカープレイスメント好きならプレイする価値あり。●コピーキャット エッセン新作の中ではまったく評判を聞かないこのゲーム。前日にルール訳し終わったので持ち込んでみた。詳しくは後日。 デック構築+ワーカープレイスメントで、購入できるカードは「スルー・ジ・エイジス」システムを採用。前ラウンドにワーカーが置かれなかったスペースには1勝利点マーカーが置かれるところは「プエルトリコ」。いろんなゲームのいいとこ取りをしてゲームを作ってみました、というコンセプトw テーマとしては、政治家になって名声を獲得していき、最後に勝ったプレイヤーが大統領になる、というものだけど、あんまりそんな感じはしない。何となく勝利点を稼いでいくゲームw まあ、面白い。システム的にはよくまとめたなー、という感じ。しかしアクションのパワー差と、カード構成の荒っぽさが気になる。ワーカー置いてお金を得るスペースがあり、これは当然毎ラウンド誰かが使えるわけだから、その分を差し引く必要があるにしても、「ドミニオン」での銀貨と金貨に相当するカードがゲーム中3枚/2枚しか出てこないのはどうよw このお金カードを買えた友M1が圧倒的な財力を生かし、欲しいままにカードを購入するのを横目に、他プレイヤーは1金に汲々とする有様w あとねえ、やっぱり「●●の効果を2倍にする」は雑すぎるw 最終ラウンド、私と最下位争いをしてた友M2が「10点カード2枚。それぞれ2倍で40点」とかやってきたときには失笑が漏れるばかりだったw 結局11ラウンド目に友M1が95点越えで勝利。私は40点越えたかどうかくらいのダブルスコアw メインシステムはデック構築なので、初見でゲームの出来を正しく評価するのは難しいだろう(私は「ドミニオン」も初プレイ直後は「最悪のクソゲー」だと思ったくらいw)。新たな手筋や、思いもよらなかったコンボなんかが見つかると、また違うかもしれない。それでも、最初に全カードの構成は知っておいた方がいい。これだけはガチ。●ドラゴンズストーン詳しくはこちら↓Power Nine:Dragon's Stone 紹介3 ルール紹介 「フェニキア」も持ってきてたけど時間的に無理なので、友M1が持ってきてくれてたこれを。同人ゲーム。 ファンタジー世界が舞台で、カードをドラフトして、1枚ずつ出して戦力を比較し、一番強かったプレイヤーが1勝して、そのターン用に用意されてた宝石を得る。誰かが5個取ったら、そのラウンドを最後までプレイしてゲーム終了。取った宝石の組み合わせから得点を得て、最多得点プレイヤーの勝ち。 ルールは簡単。言ってしまえば、出したカードの数字比べだ。だがもちろん、それだけじゃゲームにならないので、カードを出すのにコストがかかったり、カードの出し方に制限があったり、カードに特殊能力があったりする。 面白いのは、リードプレイヤーだけが最初にカードを“表向き”で出すというところ。戦力や特殊能力がばれるわけだから、たいていは相当不利になるけど、能力によっては逆に他プレイヤーを絞ることができる。勝ち目がなければ、負けても発動するカードを使えばいい。 簡単なルールで、しかも面白い。ドラフトゲー全般の弱点として、カードを全部把握してからが本番というところはあるが、別にゆるーくプレイしてもそれなりに楽しめる。 なによりすばらしいのは、ドラフト+同時処理系ゲームにありがちな曖昧なところがほとんどないこと。そしてルールブックが実に分かりやすく書かれてることの2点。「世界の七不思議」なんかは、ガチでやろうとすると“同時処理”の部分が実に曖昧になる。「隣がそれを出すなら、これ建設するつもりだったけど、やめてワンダーに埋めちゃおう」とかできてしまう。これを防ぐための明確なルールはない。でも「ドラゴンズストーン」には「順番が大事なときはフラッグから時計回り」というように処理順がちゃんと示されてる。これは小さなことのようで、とても大切なことだと思う。 そしてルールブック。↑のリンク先を見てもらえれば分かるが、ほんと分かりやすい。フレーバー要素は序文のみにとどめ、本文中に余計なことはいっさい書いてない。重要なところは赤字で強調し、図をふんだんに取り入れて視覚的にも見やすい。記述順も、大半の市販ゲームで採用されてる順で分かりやすい。私の数少ない国内同人ゲープレイ経験から言うと、これだけちゃんとしたルールブックは「遊星からのフリーキック」でしか見たことない。よそのサークルさんも参考にしてもらいたいくらい。 1ラウンド目に「レッドドラゴン」が来たので、夢を追って赤モンスターを集めるも1枚足りずに召喚失敗w 次に「宝石堀のノーム」を引いたので、今度はこれを出そうと最後までお金集めに奔走するも、1金足りずにやっぱり失敗w そんなことしてるうちに友M1があっというまに宝石を5個集めて勝利。強力なモンスターはその分出しにくいので、あんまりこだわったらダメだね。どのカードで勝とうと1勝は1勝だしなw そんな感じで新作ばかりだったが、大なり小なり満足のいくゲームばかりのいいゲーム会となった。素晴らしい。
2012.11.24
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先日のゲームマーケット2012秋のホビージャパンブースで販売されていた「蟻の国(Myrmes)」のルール和訳を担当させていただきましたが、誤訳がありましたので、ここに訂正します。ルールブック6ページ右段 「働き蟻」の項目の最後の文誤:次の2個の育児蟻駒は追加の兵隊蟻を1体もたらします。正:次の2個の育児蟻駒は追加の働き蟻を1体もたらします。 ルールブック12ページ左段 一番上「資源に関する目的」の項目誤:資源に関する目的:これらの目的の達成には資源駒の支払いが必要です。プレイヤーは食料駒3個(左)/石粒駒3個(中央)/任意の資源駒6個(右)を支払い、ストックに戻します。正:資源に関する目的:これらの目的の達成には、タイルに応じて食料駒(左の例では3個)、石粒駒(中央の例では3個)、任意の組み合わせの土粒駒と石粒駒(右の例では6個)を支払い、ストックに戻す必要があります。資源に関する目的タイルはレベルごとに2枚ずつ(計6枚)あります。 1つ目はまたしても単純なコピー&ペーストミスです。すぐ気付かれるとは思いますが、お見苦しいミスで申し訳ありません。 2つ目の訂正で重要なのは、資源に関する目的を達成するときに「任意の資源駒」として食料駒を支払うことはできないということです。 また、今日箱を開けてみたところ、12ページに載っていない以下のタイルが3枚ありました。 これも「資源に関する目的タイルだと思われますので、それに合わせて表現や文章を訂正しました。 食料駒が支払えるとすると、目的達成の難易度が変わってしまいます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。この記事を読まれた方は、できるだけ多くの人にお知らせいただけると助かります。 追記:翻訳とは関係ありませんが、タイルにミスプリントがあるものがあるようです。差しかえ用の画像へのリンク パブリッシャーとしては、今のところは「この画像を印刷して貼ってくれ」ということで、タイル交換などをする予定は未定のようです。
2012.11.20
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実際の日付は11月3日。友Kが多忙になり、定例の友K宅ゲーム会の開催が危ぶまれたため、臨時で秋葉イエサブゲーム会を開催。本人の健康のためにも、我々のためにも、一日も早く仕事が一段落することを祈るばかり。●ゴア:新たなる船出 15~16世紀ごろのポルトガル-インド間を旅する香辛料商人となり、船作ったり香辛料収穫したり植民地設立したりして勝利点を獲得する。もうただの香辛料商人じゃないなw 2004年にRüdiger DornがHans im Glückから出したゲームが今年リメイクされ、ちょこちょこと追加ルールがあったり、基本ルールの変更点があったりする。 ゲームはボード上のタイル(およびスタートプレイヤータイル)を競るフェイズと、アクションを3回ずつ実行するフェイズの2つに分かれてる。競り部分は他の多くのゲームとは異なり、競られるタイルがランダムに出てくるわけではなく、ある程度自分の意志でタイルを選んで競りにかけられるところが面白い。競売人が強い決定権を持つ競りシステムを採用してるので、自分が欲しいタイルを選ぶばかりではなく、他プレイヤーが欲しいタイルを競りにかけられないように絞るのも大切だった。 アクションフェイズでは、「船の建造」「収穫」「徴税」「探検」「植民地の設立」の5つがメインアクションになるのだが、この各アクションの基本能力を底上げする「開発ボード上での発展」をいかに効率よくやるかが肝っぽい。アクションは1ラウンドに3回で、ゲームは全8ラウンドなので、基本的には24アクションしかできない。「開発ボード上での発展」は、それ自体はほとんど何の利益ももたらさないが、かといってある程度は実行しておかないと他の5アクションの効率が向上しない。全部を充分に発展させるのはなかなか難しいので、入手したタイルなどと相談して発展傾向を決めた方がよさそうだった。 このようにアクション数が厳しいので、重要になるのが追加アクションカード。1手番多くプレイできるんだから重要でないわけがないw いろいろ入手方法があるが、スタートプレイヤータイルを競り落とすと自動で1枚ついてくるので、やはりスタートプレイヤーになることが重要だ。 この手のゲームは多少偏らせた方がいいと分かっていたはずなのに、なぜか初見ゲームでは平均的に育てたがる私。当然、なかなかうまく回らなかったw ある種の開発トラックをいち早く育てると先着ボーナスがあるので、それを狙う意味でも一点集中型の方がよさそう。それでもなんとか植民地は全部開発して10点確保。ゲーム終了時に1点になる(ただし作物があまり取れない)単独農園タイルを積極的に取りに行き、「作業長」タイル(単独農園が1点ではなく3点になるというチートタイルw)の獲得にすべてを賭ける……が、20金以上で入札したのに競り負けたorz やむを得ず香辛料駒を支払って勝利点を得られるタイルを落札し、追いすがったが、僅差で3位。トップは2回植民に失敗して凹んでるように見えたものの、探検カードを貯め込んで同一シンボルを揃えて大量得点した友K。なんだよこのゲーム、隠し得点ゲーかよw フェイズB開始時に並んだタイルの様子。「恩恵」タイルを落札して、フェイズAで除外された「作業長」タイルを取ることさえできていれば……。 さすがのBGGランキング34位(2012年12月8日現在)。リメイクも頷ける傑作。私に取ってドーンゲーは「超面白い!」(「ルイ14世」「アルカディアの建設」「ダイヤモンドクラブ」)か「なんだこのクソゲー」(「盗賊騎士」「スナップショット」)のどっちかなんだけど、これは「超面白い!」の方。追加ルールは大した効果を持たないタイルだけなので、あってもなくてもいいかな。だけど基本タイルにも、旧版になかったタイルが多数追加されてるので、買い直しは充分ありだと思う。あまりたくさん収穫する機会もないので、3個収穫できる農園タイルの価値が低いように感じたが、どうなんだろう。これをうまく活用するプレイというのもあるかもしれない。いろいろ試してみたくなる良ゲー。●マイルストーン 続いてこれ。どこかの町の入植者となり、町の外の荒野を開拓して発展させてくゲーム。 いわゆるロンデルっぽいシステムでアクションを選択して実行し、資源を得て、その資源を換金したり、お金で労働者を雇ったり、資源使って道、家、市場を建設したり、市場に小麦粉を納品したりする。普通のロンデルと大きく異なるのは、ロンデルは共通ではなく、プレイヤーシートとして各プレイヤーの手元にあるということ。ロンデルの上半分には、プレイヤーが雇った労働者タイルを自由に配置するので、自分でロンデルの一部を構築できる。さらに、1手番中に何スペースでも駒を進めていい……だいぶ違うなw さて。ルール読んだ時点であまり惹かれるところはなかったのだが、実際プレイしてみると、ルール読んだだけでは気づかなかった問題点が浮き彫りになった。どうも道路建設アクションが強すぎる気がする。主な得点手段は道、市場、家の建設と小麦粉の配達なのだが、小麦粉配達には当然市場が必要で、市場と家の建設には道が必要になってる。そして市場や家の建設による得点は、道建設時に得られなかった得点を得る(正確ではないがだいたい合ってる)ことになる。そしたらまあ、道建設時に一番高得点を得られるようにして、他プレイヤーがその道を利用して家や市場を作ったときにあまり得点できないようにするわな。 このため、結果的に道建設に必要な石材を産出する労働者があまりでなかったこともあり、たまたま石材を効率的に得られるロンデルを構築したハマチがぶっちぎりで勝利。うーん。こうならなかったとしても、全員が道ばっかり作る展開になりそうかなあ。 ロンデルを1周するうちに、城には強制的に止まらなければならず、そのとき労働者1人と余剰資源を城主に献上しなければならないというルールもイマイチ。1周するあいだに資源をがっぽり産出して、城に着く前に使い切れってことなんだろうけど。システムによって所持資源を奪われるゲームはいくらでもあるが、それがこう頻繁に発生するとストレスにしかならない。あー、これ「ウォルナットグローブ開拓史」やったときにも感じたな。 そんなわけで、ちょっと好みには合わなかった。個々のシステムには新しいところもあるんだけどね。好きな人は好きかも。●(株)ゴブリンズ 前日やって面白かったし、短時間で終わるため、時間調整にもいいのでこれ。 予想通り、「面白いけど、1戦目で敗北決定するプレイヤーが出るのはなあ」「タイル置くとき相手のタイルの置き方見ていいの?」「チーム替えせずに2戦続けてやることにすればもう少し戦略的になるんじゃないか?」との声が上がる。ほんとこいつら、どうしようもないダメガチゲーマーだよ……バカゲーだって口を酸っぱくして言っただろw まあこちらが期待してた程度には楽しんでもらえたようなのでよしとする。 1戦目のロボット。完成時点でつながらずに脱落したタイルが3枚もあるダメロボット。写真取り忘れたが、負けて全タイルを破壊されたw 2戦目のロボット。プロモの設計図カードの使い方をちょっと間違えたが、まあ問題なし。一見いい感じにできたが…… ……4戦闘ラウンド後にはご覧の有様w 2戦して2戦とも参加チームが丸裸になった私は「死神」呼ばわりされたw 武器を2面に偏らせると、操縦しやすくなる反面、相手チームに動きを読まれやすくなるので、やはり可能なら全方向にまんべんなく武器を散らした方がいいようだ。次は試合に負けてゲームに勝ってみたいが……まあ無理だなw
2012.11.04
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実際の日付は10月27日。帰ってきて早々にお誘いいただき、つなきさん宅でゲーム会。つなきさん、いたるさん、タムラさん、私の4人で。●(株)ゴブリンズこちらもご覧下さい↓卓游選科:(株)ゴブリンズ 「せっかくだからエッセン新作やろう。(株)ゴブリンズがやりたい」とのリクエストだったので持っていったが、ルール読み終わるのに1時間以上かかった。初見のゲームで英語ルール直読みとか、ただでさえ私にはハードル高すぎなのだが、それがチェコゲー、それも「ダンジョン・ロード」級の駄目なチェコゲールールと来たらなおさらだったw もうほんと、ルール本文中にふんだんにジョーク交えるのやめてくださいよ……。 プレイヤーはゴブリンになって、勤め先で開催された「機械式巨大破壊ロボット競技会」に参加する。2人1組のペアになって、レギュレーションに従ってロボットを建造し、戦わせる。相手チームのロボットについてるすべての武器パーツを破壊するか、パイロットと戦術オペレーターをぶっ殺す(気絶させるの意)か、4戦闘ラウンド終了した時点でより多くのパーツを破壊するかしたチームが1勝する。最初に選んでた目的カードから勝利点を得て(負けたチームのプレイヤーも得点を得られる)、チーム替えしてもう1戦する。最多得点プレイヤーの勝ち。 他の多くのチェコゲー同様、ほぼ4人専用。チームカードを引いて決まったチームメイトと共に、まずは機械式巨大破壊ロボットを作る。“ロボット”というとすぐ人型を想像しがちだが、ここで作られるのは四角い胴体の四辺にゴテゴテと武器や装甲をくっつけた無骨なものなのでご注意。箱絵を見れば一目瞭然だけどね。 こんなの。でかいなw 各プレイヤーが自分の目的カードを7枚引いたら、各チームのうち1人がパーツタイルを5枚引き、3枚保持して2枚を対戦プレイヤーに渡す。目的カードは「●●を守ったら3点」とか「××を破壊したら2点」とかいったものばかりなので、守りたいパーツを保持し、破壊したいパーツを相手に渡すといいのだが、どのパーツもある程度は自分のロボットにも必要なので、バランスを考えないといけない。「武器パーツを3枚破壊するごとに2点」とかいう目的を引いたからといって、積極的に武器パーツを相手に渡したら、どういう結果になるかは火を見るより明らかだからねw この5枚を建造現場ボード上に置いているあいだ、それぞれのペアプレイヤーが同じようにタイルを5枚引いて3枚保持して2枚を渡す。これを2セット繰り返し、計20枚のパーツタイルがボード上に置かれる。建造前に引かれた設計図カードによって、5×5マスのうち4マス(+操縦席)にはタイルを置けないので注意。このタイルを置けないたった4カ所がかなりのアクセントになってて、タイル配置で相当頭を悩ませることになる。 建造が終わった時点で、7枚の目的カードから4枚だけを選んで保持。そのあと戦闘。プレイヤーは操縦士と戦術士に役割分担してチームのロボットを動かす。操縦士はロボットの向きと、相手ロボットのどの面を攻撃するかを決める。ロボットは前面を向いてる武器しか使えないので、基本的にはたくさん武器がある面を前面に向けることになる。その上で、できれば相手ロボットの弱い面(あるいは破壊したいパーツがたくさんある面)を攻撃したい。しかし向きを変えるにも、相手ロボットの側面や後方を攻撃するにも、ロボットに取り付けたエンジンを使う必要がある。エンジンが少ないと狙った起動が取れないので、最低4つは欲しいところ(なかなかそうもいかないけどw)。 戦術士はそのラウンドに公開された3枚の戦術カードから1枚を秘密裏に選ぶ。これによって「ダイス+1」とか「ダイス目1個変更」とか、いろんな効果が得られるのだが、相手チームと戦術がかぶった場合、未使用のエンジンが多い方しか効果を得られない。このためエンジン数が少ないチームは相手チームの戦術士の動きを読んで、かぶらないようにしないといけない。 全員がロボットの挙動と戦術を決めたら同時に公開。戦術士は前を向いてる武器の分だけダイスを振り、攻撃した面から見て出目に応じた列のタイルにダメージを与える。1発当たるごとに装甲板が1枚はがれ、装甲板がないタイルに当たるとタイルごと除去。これによって操縦席からのつながりが途切れたすべてのタイルはごっそり除去されるw 同じCGEから出てる「ギャラクシートラッカー」と同じシステム。操縦席に当たったら4人いる操縦士か戦術士が1人ずつ除去される。これを最長4戦闘ラウンド繰り返して勝利チームを決める。 勝ったチームのプレイヤーは勝利による得点を得られるが(最大6点)、どのプレイヤーも自分の目的カードによる得点を得られる。「自分のチームが負ける方に賭け、負けたら4点」なんてカードもあるw まあ負けた≒自チームのロボットはぼろぼろ≒守る系の目的からほとんど点が入らないってことなので、基本的には勝ちを目指した方がいい。これを2回繰り返して最多得点プレイヤーの勝ち。 1ラウンド目、私とタムラさんによるロボット。全方向にまんべんなく武器があり、エンジンも豊富で装甲も厚い。初めて作ったとは思えない、ほぼ完璧な仕上がり。飾り気がないのが玉に瑕。これで負けるわけがなく、危なげなく勝利……。 ……というほどでもなく、かなりパーツを削られたw それでもなんとか勝った。 2ラウンド目、私とつなきさんによるロボット。今回は設計図の都合でかなり脆いロボットになった。武器タイルも少なめだったので、2面に集中させての運営を図る。負けるかとも思ったが、相手チームの方が遥かに脆く、わずか1戦闘ラウンドで敵タイルの7割近くを破壊w この時点で私の勝利はほぼ確定してた。 面白い。バカゲーとして前述の「ギャラクシートラッカー」に勝るとも劣らない。勝敗を競うという視点で見たら全然駄目で、「タイルの同時配置」ルールを採用するならついたてがあった方がいいし、そもそもこのゲーム、チーム戦に見せかけたトーナメント戦で、2勝したプレイヤーがほぼ勝つ。つまり1ラウンド目に負けたチームのプレイヤーが勝つことはまず無理。そんな状況でもゲームを続けられるプレイヤーでなければ、このゲームは楽しめないだろう。長時間ゲーム選択ルールを採用し、3ラウンドやれば2勝1敗で勝利できる可能性があるので、3人のプレイヤーに目があるが、それでも先に2敗したプレイヤーが脱落するのは同じだしね。 バカゲーを楽しめるメンツを4人揃えられるなら間違いなくお勧め。そうでなければスルー推奨。●クラッシュ・オブ・カルチャー詳しくはこちら↓卓游選科:クラッシュオブカルチャー 続いていたるさん持ち込みのこれ。文明発展系は大好物なので、正直期待してた。 うーん……なんだろう。悪くはない。決して悪くはないのだが……時期的にどうしても「シド・マイヤーのシヴィライゼーション」と比べてしまうし、それならそっちやった方がいい、という感じ。同時期にあまりに強すぎるライバルがいたのがこのゲームの不幸だろう。 手番制で、終了条件が既定ラウンドのプレイなので、アクション数は54回と決まっている。最初に聞いたときは「多すぎだろ……何時間かかるんだ」と思ったが、全然そんなことはなかった。むしろやりたいことに対して少なすぎるくらいw つまり1手もロスしてはいけない。序盤はほとんど他人と絡まないのだが、ここでまったりしてる余裕はなく、いかに効率的に文明を発展させ、終盤の全面戦争に備えるかが勝敗の分かれ目だった。まあ気づいたときには遅すぎて、最終ラウンドに四方八方からフルボッコにされたんですけどねw 文明発展系ゲーと言えば、たいてい古代から現代(さらには近未来)まで扱うものだけど、このゲームは鉄器を開発したあたりが終着点w これを再現したせいかどうかは分からないが、終盤になっても文明の発展速度があまり加速しない。そこもちょっとカタルシスに欠けるかな。最後に、これはこのゲームに限らず、殴り合いがあるのにラウンド制というゲーム全般に言える欠点だと思うけど(「エクリプス」とかもそうだ)、最終ラウンドに(そして最終ラウンドにのみ)大戦争が起こりがちで、ちょっと雑な感じがする。この手のゲームは勝利条件制の方が好きかな。 でも、繰り返すが決して悪いゲームじゃない。最初からそういうゲームだというマインドセットで挑めば楽しめるはず。事前の心構えが大事なゲームじゃないかな。
2012.11.03
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いい加減思い出せなくなってきたのでダイジェストでー。5日目 今日も朝から晩までみっちり商談のタナカマさん夫妻&通訳のけがわさんとは別行動。とはいえ単独行動なんてとてもできないチキンなので、英会話ぺらぺらのいたるさんの尻に終始くっついて歩く。かなりウザそうだったw サーセンwwww 会場が広いとはいえ、コミケとは違って会期中の出展者はずっと同じ。一通り見て回るだけなら2日あれば充分なので、この日は迷ってたものを買ったりしただけで、あとはコミックアクションを見て回った。 コミックアクションってのは、ボドゲイベントであるシュピールなんちゃらと同時開催してる、漫画とかアニメとかの祭典。アメコミもあれば地元の漫画、絵本なんかもあるし、コスプレ用品も豊富に売ってる。もちろん日本の漫画のドイツ語版や、アニメグッズも大量に並んでた。「夏目友人帳」のにゃんこ先生グッズがあって、それがもう明らかに中華製パチモンだったのには笑ったw かなり迷ったが、ドイツに来て中国で作られた日本のアニメグッズ買うのはあまりにシュールだったのでやめた。 大量のアメコミフィギュアの後ろに貼られた、「けいおん!」同人誌の表紙を(おそらく無許可で)引き延ばしたポスター。意味が分からんw パンピー用のお土産に絵本を物色してたら、ブースの人に話しかけられた。英会話ぺらぺらのいたるさんによると、どうも日本が好きらしい。こっちが日本人だと分かると、机の下から相当古い絵本(というか漫画というか)を取りだしてプレゼントしてくれた。価格表示がドイツマルクだったw まあこれがとんでもない代物で、東京が舞台の探偵ものっぽいんだけど、表紙にはでかでかと鎌倉の大仏がw 本文中も相撲取りが出てきて瓦割りしてたり、果物籠を頭に乗せた女性が道歩いてたり(東南アジアかw)と突っ込みどころ満載で、ドイツ語全然読めなくても大笑いできる一品だったw もう人に差し上げてしまったので写真をお見せできないのが残念。 いたるさんはまだ買い物があるようだったけど(さすがすぎる)、私はもう用もなかったので15時には帰宿。 この日追加で買ったブツ。6日目 エッセンシュピール最終日。もうね、ほんとにすることないw お昼にだらだら会場入りして、一周して、大した値下げもないこと、中古ショップに出物もないことを確認しておしまい。あー、なんかカルカソンヌの世界大会もこの日やってた。30秒くらい応援した。 夜にはユーストで買ったものをひけらかすという大人げない企画をやってたので、タナカマさん、いたるさん、けがわさんの後ろで冷やかす。日本時間じゃ夜中の3時か4時くらいだったはずだけど、見てる人はいたらしい。放送する方も見る方もおかしいw7日目 観光日……だったが、ちゃんと炭鉱を見に行ったタナカマ夫妻とは別行動を取り、再びケルンに赴く私といたるさん。目当ては中古ボドゲショップ……ほんとどうしようもないなw えーと、教訓としては、「方向音痴2人で初めて訪れる異国の地をうろうろしてはいけない」ってとこかな……駅に戻れなくなったらどうしようかと冷や汗かいたw 以前行ったけがわさんの話では相当な品揃えで、地下室の奥にお宝が眠ってるとのことだったが、なぜか我々はそこに入れてもらえずw あとで聞いたところではちょっと気難しい店主のようで、気に入られないと入れてもらえないらしい。先に言えw いたるさんは何か買ってたけど、私はそんなに古いゲームで欲しいものもないので買わず。話の種にと、帰りは奮発して特急っぽい電車で帰った。あれいいね。店内にあった怪しげなゲーム2つ。まあたぶんクソゲーw8日目 帰途につく……が、再び飛行機トラブルに巻き込まれる。まず1本目の飛行機がいきなり目的地変更w さらに乗り換えの飛行機の準備に時間がかかり、空港のロビーで3時間以上待たされた。飛行機に関しては本当に呪われた旅だった……こんなことはめったにないらしいんだけどねえ。 乗り換え空港のゲートの1つ。ここを千早ファンの聖地にしようw 幸か不幸か、換えの飛行機は航空会社まで変わっており、同じエコノミーでもかなり快適だった……なぜか入ってた冷房さえなければな! 10月下旬のヨーロッパの旅に冷房はいらんだろw でもシートの座り心地も、食事の質も行きより上だった。航空会社によって違うもんだねえ。乗ってみなきゃ分かんないから、そんなこと知ってるのは世界を股にかけるビジネスマンくらいだろうけど。 家に着いたら12時間くらい寝た。タナカマさんといたるさんは、帰国したその日にゲームしてた……何この体力オバケたちw 以下、「エッセンに行こうかどうか迷ってる」人向けに、私が感じたことをつらつらと。 まず、何しに行くのか。「ボドゲを買う」のが主目的ならやめた方がいいです。どんだけ安いって言っても、行って帰ってくるのにウン十万かかります。欲しいボドゲを全部無料で手に入れたとしても、たぶん高くつくでしょう。そもそもメーカーが売ってるボドゲは基本的に定価なので、さほど安くもないです。「プロモが欲しい」は、以前なら充分な理由になり得たでしょうが、今はBGGでたいてい買えてしまうので、やはり理由としては弱いです。「日本で買えない中古ゲームが欲しい」なら、エッセンシュピールに行くよりは中古ショップ巡りを自分で計画した方がいいです。現地のお店はBGGで探せますし、会場に全部の商品持ってきてる店なんかないですから。 語弊を恐れずに言えば、エッセンシュピールに行く目的として正しいのはただ1つ、「エッセンシュピールに参加してみたい」だけです。あの会場の雰囲気、周りが全員ボードゲーマーという一体感は、確かに現地に行かなければ感じられません。これだけのために行く価値がありますし、私も行って本当によかったと思います。つまり、経験じゃなくて現物が欲しいだけなら、日本にいて個人輸入した方がいいです。 スーツケースは日本で手に入る一番でかいのにしましょう。私は60ℓのをレンタルしましたが、これは失敗でした。持っていく着替えなんかは充分に入ってスペース余るくらいでしたが、ボドゲは大箱が4つしか入らず、ろくな土産が買えませんでした。もちろん、たくさん買う人はどのみち持ち帰れないので郵送するわけですが、それでも1個でも多く持ち帰れた方がいいでしょう。会場でボドゲを運ぶためのカート(袋ではとうてい足りません)や、帰りにボドゲを詰めたあと、溢れた荷物を詰めるためのボストンバッグなんかもあるといいと思います。 会期は4日ありますが、前述のようにずっと同じ展示なので、相当買い物する猛者か、外国の人たちと会場でボドゲができるくらいの語学力の持ち主以外は時間をもてあますことになるでしょう。初日に行って新品を買い、中古を漁り、中古で探してるもののリストをショップの店員に渡す。2日目に持ってきてもらった中古を買う。たぶんこれで買い物自体は終わるはずです。なので、せっかくドイツに行くわけですから、もう1つくらい目的があった方がいいです。観光とかね。 海外旅行全般の心得は、当然エッセン行くときにも必要なので割愛。パリ症候群なんてのもあるらしいのでご注意を。 最後になりましたが、二度とは得られない経験をさせていただきました。素晴らしい旅でした。人の世話になっていないときはないってくらいに、同行した方々に頼りっぱなしでした。ご恩はさまざまな形で返せたらと思います。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
2012.11.02
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※この日はボドゲにまったく絡んでないです。 寝て起きても太股の芯に鉄棒がはまってるような疲れが残る。そろそろやばい。歳取ると回復が遅くなっていかんねw 今日はボドゲから離れてドイツ観光。エッセンから1時間弱のとこにあるケルンに行った。目当ては大聖堂。 観光というものに余り興味がない私だが、さすがに駅出て目の前にどでかい教会があるとテンション上がるw 100年単位で時間かけてるとはいえ、こんなもんをほぼ人力で作っちゃうんだから西洋人パネえ。まあ地震が少ないとこでないとできないな。 外から撮ったり中で撮ったり。 外観。「キリストは存在しない!」とプロパガンダしてたおっちゃんがいたw 中の様子。「教会だから中では静かに」と注意書きがある(らしい)が、写真はOKとのこと。このへんの線引きも日本とはちょっと違って面白い。 さて、私とタナカマさんは全然乗り気じゃなかったのだが、まあせっかく来たんだしということでてっぺんまで登ることにした……階段でなw 正確な段数は忘れたけど、500段以上あるらしい。体力的にきついことはきつかったが、なにより階段の幅の狭さに閉口した。登りも下りも同じ階段使うのだが、片道1車線ですれ違うのが精一杯。たぶん尖塔の1つの中を回ってる螺旋階段なんだろうけど、途中に窓もほとんどないので、閉所恐怖症の人がいたら登れないレベルw てっぺんで撮った中の様子とか外の様子とか。壁を背に記念写真も撮ったけど、みんなぐったりしてて、刑務所で撮影した囚人みたいになってたw そのあと近くにあるチョコレート博物館へ。 中は撮影禁止だったので写真はなし。もっとミーハーな観光客向け施設かと思ったら、チョコの歴史や効能などが詳しく解説されてる学術的なとこだった。要所要所に子供向けの展示もあって飽きないように作られてるところはよく考えられてた。いたるさんの話では、以前は白人至上主義的な展示があったらしいが、特にそんなものはなかった。たぶん撤去されたんだろうw 夜はデュッセルドルフで飲み会。よくこんだけ揃えたなって数の日本人が集結。これ全員エッセンシュピールに遊びに来た人か……みんな暇だなw 飯は焼いた肉とムール貝を煮た奴。どちらもうまかった。これを食べ尽くしたあたりで出てきた次のメニューが……ムール貝を煮た奴。おいw いやうまいよ? うまいけど、なんで他にもうまいものいっぱいあるだろうに、あえて同じものを2回注文するんだw 酔いが回ってくるとデンジャラスな話題が増えたり、こっそりセクハラ発言する奴がいたり。よくないねー。酒は飲んでも飲まれるな! ケルンで大聖堂に上った話をけがわさんにしたら、けがわさんも先日別のとこにある大聖堂のてっぺんに登ったらしい。高いところが好きなようで「ケルンに行くたびに大聖堂上って階段数えてるんですけど、いつも段数が合わないんですよねー」と言ってた。ああ……やっぱりねw 長くなる予感がしたので(実際にはすぐ終わったようだ。失敗)空気読まずに早退。無事一人で宿に辿り着き(途中の駅まではもう1人と一緒だったけど)、さっさと寝る。宴会組で同宿だった人たちは、帰ってきてからも騒いでた……俺の部屋の外でな! うるせーw
2012.11.01
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