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「ダンジョン・ペッツ」をやりましょうと誘われ、ホイ(ry●ダンジョンペッツとても詳しい解説はこちら↓risaのボードゲームレポート:ダンジョン ペッツ Dungeon Petz - Part 1 - もうここだけ見ておけばルール読む必要ないくらいに詳しいですw ゴテゴテゲー信者にとっては神様と言ってもいい、チェコのVlaada Chvatil作。最近「ダンジョン・ロード」をやったばかりだったので、近いうちにこちらもやりたいと思っていた。3人でプレイ。 プレイヤーはペットショップを経営するインプ一族。インプ駒をアクションマスに置いて、ペットショップ経営に必要なさまざまなものを揃えていく。このときブラインドで、手持ちのインプ駒(+お金)をいくつかのグループに分ける。アクション選択は大グループから先に行うので、たとえば初期に持っているインプ駒6個を全部1グループにすれば、まず間違いなく最初にアクションを選べる。ただしアクション数はグループ数によって決まるので、その1回しかアクションできない。アクションはスペース数によって回数制限されるので、どのアクションが競合しそうなのか、インプ何匹のグループを作ればそのアクションを実行できるのか、そして自分はこのラウンドに何アクション実行すべきなのか……1ラウンド目から即お悩みモードであるw さすがに全員初プレイなので、悩んではみたものの様子見的なグループ分けが多く、全員が1グループにせいぜいインプ2匹と小分けにしてきた。手番順の綾で1ラウンド目はペットが取れないかと思ったが(ルール上、毎ラウンド最低1人はペットが買えない)、他プレイヤーが檻を優先したので、私は既存のしょぼい檻に空飛ぶ魔法生物「バーディー」を収容。さらにアイテム「水晶玉」と「本」を確保。この2つはかなり役に立った。 このゲームで他プレイヤーとからむのは、おおむねこのアクション選択部分だけ。あとは事務処理と品評会での順位決め。そして完全ソロプレイ部分ではあるがこのゲームの肝、パズルチックな欲求フェイズだ。 プレイヤーは最初に、4色の欲求カードを1枚ずつ持っている。そのあとペットが持つカラーバー1本につき対応する色のカードを1枚引く。カラーバーはペットの成長度を示しているので、大きくなったペットほどいろんなものを求めてくることになる。全ペット分のカードを引いたら、今度は各ペットが持つカラーバー1本につき対応する色のカードを1枚割り当てる。つまり、ただカードを引いて割り当てるのではなく、最初の4枚の分だけ選択肢が広がってるということだ。 各カードには「腹が減った」とか「遊びたい」とか「うんこしたい」とかいった6種類の欲求のうち1つが示されている。カードの色ごとに空腹になりやすいとか、遊び好きとかのおおざっぱな傾向があるので、それを満たすべく、事前のアクションフェイズ中に食料や遊具付きの檻なんかを用意するわけだ。しかしあくまでも“おおざっぱ”な傾向なので、たまに腹を空かせているはずのペットが飯も食わずに怒り出して暴れたり、遊び好きなはずのペットが遊具や飼育員インプに目もくれずに魔力を放出したりする。相手も生き物だからね、なかなか思い通りには行かないのだw そういった突発的な欲求にも対処できればいいが、できないといろいろ不具合が起こり、最悪ペットが苦しんで死んだり、暴れて檻を破って逃げ出したり、突然変異してアナザーディメンジョンに行ってしまったりする……ゲーム上の処理は同じだけどw 前述のように、からむのはアクション選択部分だけだが、そこで充分にインタラクションは楽しめる。そのあとは頭の別の部分を使って、欲求カードを各ペットにああでもない、こうでもないとわりあてる。これがまた苦しくて楽しいw ペットが大過なく育ち、品評会で好成績をおさめたり、顧客を大満足させて売れたりするとほんとに嬉しいw この日は購入したペットを1匹も無駄に失うことなく、5人中3人の顧客にペットを売ることができた私が結構な差をつけて勝利。とはいえ、3人プレイ時の特別ルールの運用を途中で間違え、これが私に有利に作用してたので、まあ参考記録といったところ。 前作「ダンジョン・ロード」とは世界観を同じくしているだけでまったく違うゲームだが、甲乙つけがたいくらいに面白い。前作がテーマで気に入った人はマストバイ。教訓:「ペットを高値で売ろうと思うな。売れるときに売れ」「欲求カード操作系は強い」これからペットショップを経営するインプ諸君は参考にして欲しいw 購入したペットをつれてご満悦の顧客たち 私のペットショップの最終形態●アルカトラズ和訳ルールはこちら。 1人を囮に残し、他の全員で監獄からの脱出をはかるゲーム。もうこの時点でプレイヤーを選びすぎw アクションポイント制で、基本2AP(3人プレイ時には3AP)しかないのでさくさく進む。最初のうちはまだ任務が達成できないので、生け贄になってもかまわない。というかなった方がAPが増えてお得w しかし達成条件が揃うと、誰を生け贄にするかの討論が熱くなるw 何度か生け贄に選ばれたものの、任務達成タイミングでは他プレイヤーに押しつけることができて順調に要素を3つ獲得。しかしその大半が(最終的には全部が)シミズさんとかぶったのが痛かった。唯一の要素Fを持つタナカマさんは外せない。あとは要素Dを達成すれば脱出、というところで私を除く2人が達成に必要なアイテムを揃えてしまった……これでタナカマさんを生け贄にして、私がランダムに獲得する要素でDを取れれば共に脱出の目もあったが、手番順の綾で私が生け贄にw こうなると脱出の目はまったくないので、残り数ターンを生け贄カードで時間稼ぎし、全員敗北(警備員マーカーが全て置かれたら全員敗北なのだ)を目指す。しかし一歩及ばず、刑務所で独りハンカチを振ることとなったw 誰か1人が不可欠な要素を持っている状態は放置しちゃ駄目だね。そのプレイヤーは全員敗北以外は間違いなく脱出できるから、悠々とプレイできちゃう。そしてたぶん緊張感がなくてつまんないと思うw 2枚目の要素Fが出た時点で、その達成を全力で目指すべきだった。 今回私が担当したキャラ(別に個別の能力はないけど)。元売れっ子ホストだったが、ツケを払わずとんずらしようとした客をついつい殴り殺してしまい、監獄島生き。右手で自然にプレートを持ち、左手は遊ばせるのがポイントだぜ。次は取り残されないもんね!●ムンドゥスノーヴス 詳細は後日、ゲーム紹介にて。 大航海時代の富豪となって、船団を組織して商品を確保し、お金を稼ぐか、世界のあらゆる富を集めることを目指すゲーム。 この日は他の2人が金を稼いでしのぎを削る中、資源カード全10種そろえでサドンデス勝利。2人ともびっくりしてたが、私が一番びっくりしたw
2012.01.31
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ボックスアートゲームボード デザイナーはフィンランドのKimmo Sorsamo。3つほどフィンランドのパブリッシャーから出しているが、国際的にはあまり流通していないようで、BGGではほとんど無反応。たぶん2011年の「アルハンブラ拡張:魔法の建物」で初めて衆目を集めたんじゃなかろうか。そのアルハンブラ拡張を出したQueen Gamesが、フィンランドの都市名を冠した過去作の1つ「Tori」の舞台をエジプトの都市に変更し、ニュルンベルクで発表したのがこの「Kairo」だ。 プレイヤーは貿易商となり、カイロのバザール(世界的に有名らしい)に露店を出す。露店は6種類(6色)あるが、9分割された市場の各区画には各色の露店を1つずつしか置けない。各露店は拡大して複数の区画を占有することがあるので、うかうかしていると自分の露店をどこにも出せない、なんてことにもなりかねない。また、紫色の露店は飲食物の屋台なので、許可されているレストランエリアにしか出店できない。 初期配置を除き、プレイ中にどの区画に露店を出せるかは手札によって決まる。たいていのカードは9区画のうち1つに対応しており、そのカードをプレイするとその区画に露店を出すことができる。3区画に対応した強力なカードもあるが、代わりに1金を支払わなければならない。任意のカード3枚をプレイすればどこにでも露店を出せるが、カードも貴重なリソースなので濫用はできないだろう。露店の位置が非常に重要になるが、拡大する前の小さな露店なら、別の場所に移動させることもできる。 いったんボード上に露店を出したら、その露店に拡張タイルをつなげていって店を大きくすることができる。店を大きくするたびにカイロの街で話題となり、プレイヤーは名声(勝利点)を得ることができる。その色の露店の中で単独最大であれば金銀のメダルが(最大タイなら銀メダルのみ)もらえて、追加勝利点を得られる。しかし露店を大きくすればするほどコストがかさむので、他プレイヤーの動きを見つつ、効率のいい大きさを見極めなければならないだろう。なお、コインも6色あって、基本的には同色のコインでコストを支払うのだが、不可能な場合は任意のコイン2枚でその色のコイン1枚とすることもできる。 露店を出し、充分に大きくしたら、顧客を呼び込んで利益を上げるときだ。各色の露店には、その店で扱っている商品を求める同色の顧客駒が対応している。顧客は現在位置からボード上を練り歩き、最も近い同色の露店に入る。それが自分の露店なら、もちろん丸儲け。露店の大きさに応じた収入が得られる。他プレイヤーの露店ならそのプレイヤーが収入を得るが、なぜか手番プレイヤーも1金だけもらえる。たぶん商売の手伝いをしたってことなんだろうw いったん買い物した顧客駒は一時的に満足し、ボード外に出てしまう。そして同じ場所に、それまでボード外にあった顧客駒が帰ってくる。ある色の顧客駒を自分の露店に誘導したいが、近くに他プレイヤーの露店がある……そんなときには、そのプレイヤーが露店を拡大する前にさっさと顧客駒を動かしてお駄賃の1金をもらい、次にボード外から帰ってくるときに自分の露店の近くに来るように誘導すればいい。ここにかなりの長期的戦略性がありそうだ。また、客引きカードというものがあり、これを使えば1枚ごとに近くの露店1つを無視することができる。大量に使えば最果ての地にある自分の露店に顧客駒を誘導することもできるが、手札上限(4枚)を考えると、あまり無駄遣いはできない。 露店の拡大が進んで条件が満たされるとゲーム終了。持ってる金銀メダルと所持金から最終得点を得て、最多得点プレイヤーの勝ち。 ルールは実にシンプルで、特殊能力などもない。運の要素は露店の配置/拡大場所を決めるカードの引き運のみ。コインはついたてに隠すが、あとの得点要素は見えているので、かなりガチンコの陣取りゲームっぽい。露店の配置/拡大に細かいルールが多いので、最初はちょっと悩んだりミスしたりするかもしれないが、どれも理にかなったルールなので覚えやすいだろう。 色は露店と顧客の種類を示しており、プレイヤーの露店はシンボルで見分ける。「チグリス&ユーフラテス」と同じ手法。色で見分ける大半のゲームとは異なるので、ここも最初はとまどうかも。まあこれも、慣れればどうってことないだろう。チグユーだって、ちゃんとプレイできるようになるまでそんなに時間はかからなかったし。 主な勝利点獲得手段は露店の拡大。それにはコストがかかり、収入を得るには顧客駒を自分の露店に導く必要がある。よってこれをうまく繰り返すのを目指すわけだが、何しろ顧客駒は一番近くの露店にしか来てくれない。常に顧客駒のいずれかを自分の露店に導ける状況にできればいいんだろうけど、なかなかそうもいかないだろう。他プレイヤーの露店に導いて1金をもらうタイミングが重要かもしれない。 私はゴテゴテと要素が付加された長時間ゲームの方が好きだけど、これはなかなかよさそうに見えた。1手1手が大きな意味を持つ陣取りゲームなので、人数が多いほどヒリヒリしたプレイが楽しめるだろう。Queen Gamesだから国内で流通することもほぼ確定。今年のニュルンベルク発表ゲームはキッズ向けが多い印象だったが、これはすぐ試してみたいタイトルの1つだ。BGGの和訳ルール
2012.01.30
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ボックスアートゲームボード(基本ゲーム) 「エイリアン・フロンティア」は2010年にClever Mojo Gamesから発売され、それまで無名だったこのパブリッシャーの出世作となった。現在BGGランキング90位。Kickstarter(少額投資者募集サイト)を利用し、こまめに開発状況を伝えるという宣伝戦略もうまかったが、当然ゲームの出来がよくなければこれだけの高評価は得られないだろう。 ダイス振ってから考える系のゲーム。「キングスブルク」「トロワ」と同系列のゲームと言える。プレイヤーはかつて異星人が住んでいた(今は住んでいない)惑星に入植する、夢あふれる開拓者となる。ダイス=宇宙船で、資源を獲得したり、惑星に入植コロニーを建設したりするため、出目に応じたスペースにダイスを置く。スペースには限りがあるので置きたいところに置けないこともあるが、他プレイヤーのダイスを除去する攻撃系スペースや攻撃カードなんかもある。誰かがコロニー駒を置ききったらゲーム終了。コロニーの配置数や支配地域から得点を獲得して、最多得点プレイヤーの勝ち。 アメリカ人の好きそうなレトロフューチャーSFがテーマのゲームだが、ヨーロッパでも注目されたらしく、今年中にはイスタリからも発売されることになった。そんな成功に支えられ、「基本ゲームが売れないと出ないよ」と中の人が言っていた拡張第1弾が出ることになった。それがこの「エイリアン・フロンティア拡張:派閥」だ。 まず、派閥などに関する新たなルールとは別に、5人プレイ用のルール(そしてそのための内容物)が追加された。基本ゲームのボードには4人プレイまでしか対応していないスペース(「入植拠点」)があるのだが、新たなゲームボードを追加することなく、割とスマートなルール変更だけで5人プレイに対応している。それでも4人プレイよりはやや煩雑になるが、逆にまったくインタラクションのなかったこのスペースで他プレイヤーとの絡みが出てくるので、これまでとは違った面白さがありそうだ。 追加要素としては、もちろん新たな異星人技術カードがある。他プレイヤーのダイスを一時的に借りて使える「アストロゲーション・サーボ」、すでに置かれている他プレイヤーのダイスと自分のダイスを入れ替える「カメレオン・クローク」、ダイスの出目を自由に変更できるが3回までしか使えない「エクスペリメンタル・FTL・ドライブ」……もう効果とカード名を聞いただけで大興奮w 当たり前だがカードの使用にはコストがかかるものがほとんどなので、ご利用は計画的にw 新たな異星人技術カードの1枚、「ルナ・トンネラー」 続いて課題カード。各カードにはゲーム中に達成できる課題とゲーム終了時に達成できる課題が1つずつ、計2つ書かれている。どちらも達成時に公開すれば1点になる。基本ゲームでは得点が完全公開だったので、ゲーム終盤にはどうしても暫定勝者の足を皆で引っ張る展開になり、プレイがやや長引くという欠点があった。この課題カードによって、ゲーム終了時に隠し得点が最大4点得られるので、密かに逆転することも可能になった。しかしゲーム終了時の課題は達成困難なものが多い。各カードはゲーム中かゲーム終了時のどちらか一方の課題としてしか使えないので、目立ってもゲーム中に得点にするか、達成できることに賭けてゲーム終了時まで持っておくか、頭を悩ませることになるだろう。 そしてタイトルにもなっている派閥ルール。各プレイヤーは惑星マクスウェルに入植しようとしている派閥の一派をになう。各派閥はそのプレイヤーだけが使える所有者能力と、他プレイヤーもコストを支払えば使える(所有者は無料で使える)軌道施設を持っている。所有者能力には「新たに建造した宇宙船をその手番中に即座に使える(「廃物利用艦隊」)」とか「誰かがコロニーを置いているのに誰も支配していない地域の特殊能力を使うことができる(「天王星シンジケート」)」など、さすがに強力なものが多い。派閥ルールを使った場合、この能力を軸にした戦術を採ることになるだろう。軌道施設の能力は「燃料駒1個で異星人技術カードを引ける(「新宇宙探検隊」)といった強力なものから、「惑星改造ステーションに置いたダイスを振って1~3が出たら壊れずにすむ(新環境技師団)」といった運任せなものまでさまざまだ。概して所有者能力が強力な派閥は軌道施設能力が弱い(またはその逆)。強力な施設は他プレイヤーもこぞって使ってくれるので、所有者はそのたびに使用料を得ることができるから、燃料に困ることはなくなるだろう。使う側も目先の利益に囚われず、そのコストを所有者に渡していいものかどうか、よく考える必要がありそうだ。 派閥タイルの1枚、「密輸人同盟」(画像はプロトタイプ版) ルールを読んだ限り、基本ゲームの面白さを損なうことなく、かといって既存ルールに追加データを足しただけ、といった安易な拡張に終わることもない、意欲的な拡張に仕上がっていそうだ。基本ゲームでは地域ボーナスがどれを取っても損のないものばかりだったため、「優勢が取れるところならどこにコロニーを置いてもいい」という感じになりがちだったが、課題カードによって「課題達成のためにどうしてもあの地域の優勢が必要だ」ということもあり、エリアマジョリティゲームとして他プレイヤーと争う動機付けがより強まった気がする。そしてもちろん、このゲームが好きなら特殊能力好きに決まってる(断言)ので、個別の能力が与えられる派閥ルールは大歓迎だろう……各派閥のバランスが取れてるかどうかはちょっと心配だがw Kickstarter投資者には基本ゲームのものと置き換える豪華な駒類が入った「アップグレードパック」と、さらなる異星人技術カード、課題カード、派閥が追加される「派閥拡張パック#1」がついてくる。現在は投資の募集は締め切られているが、どちらもあとから別売りされるので、機会を逃した人も手に入れることができる。この拡張の評判がよくないと、次に予定されてる拡張第2弾「小惑星帯」が出ないので、基本ゲームをお持ちの方は是非支援してあげていただきたいw アップグレードパックの箱裏BGGの和訳ページエイリアン・フロンティアエイリアン・フロンティア:派閥エイリアン・フロンティア:派閥パック#1
2012.01.29
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11月はゲームマーケット、12月はコミケと重なって開催しなかったので、3ヶ月ぶりの秋葉イエサブゲーム会。これまた久しぶりに5人で。●フィレンツェの匠和訳ルールはこちら。 BGGランキング23位(この時点で)、デザイナーは大好きな「エル・グランデ」を作ったWolfgang Kramer & Richard Ulrichということで期待していたタイトル。ずいぶん前に購入してたが、BGGで推奨プレイ人数が5人となっていたので、5人揃う日を虎視眈々と狙っていた。 プレイヤーはルネッサンス期の貴族。平和な時代の貴族と言ったら古今東西、学者や芸術家を囲って後援し、名誉欲を満たすものと相場は決まってる。しかしこの芸術家ども、ぶっちゃけニートw 「研究所もないのにいい仕事できるわけないよねー」とか「綺麗な湖がないとどうもインスピレーションが湧かないんだよなあ」とか要求してくるので、せっせとそれらを揃え、少しはまともな仕事をさせようとすることになるw 何をするにも金がかかるが、金を入手するには囲ってる連中に作品を作らせるしかない。金はあればあるだけいいに決まってるが、完成した作品を安く公開すると、その分だけ「こんな優れた作品をこんなに安く世に普及させるなんて、あの人は人徳厚い方だなあ」ってことになって名声点が手に入る。最終的に一番多くの名声を手に入れるのが目的だから、金は必要最低限に抑えて、できるだけ名声点として獲得したい。しかし、金の使い道の半分は競りである。自分がどうしても欲しいものに他プレイヤーも突っ込んでくるかもしれない。となればやはり金は多い方がいい……ジレンマですよ、ジレンマw 競りで欲しいものを手に入れ、そのあとアクションでまた別の欲しいものを手に入れ(競りとアクションのどちらで何を入手できるかは決まってる)、作品を完成させる。これを7ラウンド繰り返すが、大衆もどんどん目が肥えてくるので、ラウンドが進むにつれ、評価される作品の最低ラインがどんどん上がっていく。このラインを超えてない作品は時代遅れなので、そもそも発表することすらできない。パトロンとはかくも苦しいものなのかw いかに好きなデザイナーの高評価ゲームとはいえ、作られたのは10年以上前。さすがに古くささを感じるんじゃないか……と思ってたが、杞憂に終わった。考えてみれば、このゲームで使われている「競り」と「箱庭作り」といったら、今でも人気のゲームメカニクスだ。がーっと盛り上がるタイプのゲームではないが、ダウンタイム中も退屈することなく、プレイ中はずっとうんうんうなってたw 本当の傑作は色あせることなどないんだろう。 建物を安く建てられる建築家が役立ちそうな気がしたので、早い段階でそれを取った。しかし初回プレイということで、全員が競りの値付けに消極的になり、高くて5、600ダブロン止まり(さすがに6、7ラウンド目には少し高騰したが)。そうなると相対的に現金が余るので、建築家を取ったメリットが薄くなった。仕方ないので2人目の建築家を雇い、建物を隣接して建てられるようにしてたくさん建てる戦術を採ったものの、名声カードを競り落とすことができずに最終得点を多く得ることができなかった。序盤から作品を完成させ、最低限のお金を残して名声点を取り続け、名声カードの条件も2枚達成したプレイヤーが勝利。私は名声点トラックを1周することもできず、結構離されての4位だった。 プレイするごとに各要素の価値について共通認識ができ(「やっぱ道化師つええな!」とか「序盤から名声カード引いて3枚はがめないと勝ち目ないでしょ」とか)、それが次プレイ時の競りの値付けに反映され、その結果に応じて各要素の位置づけが変わり……となっていくだろうから、同じメンバーでリプレイするのが一番面白そう(競りゲーはどれでも大なり小なりそういうところがあるけど)。幸いメンバー全員が気に入ったようなので、次の機会には拡張も入れてやってみよう。●アンダーマイニング ここで1人抜けたので、残りの4人でこれ。 プレイヤーは小惑星をドリルマシンで掘り進む鉱夫となる。アクションポイント制で、3APを使って移動したり、掘ったり、積荷を荷揚げしたり、マシンを改造したり、契約を達成したりする。最初のマシンは貧弱な坊やなので、採掘の効率を上げるためにも改造が必須だが、そのためには契約の履行に必要な鉱石を消費しなければならない。契約は早く達成したプレイヤーほど多くの得点をもらえるので、どこで改造をやめて契約の達成に移行するかが重要だ。 小惑星内部には異星人の技術が使われたハイパーな装備も落ちており、これらを上手く使えば予想もつかない結果を得ることができる。何しろ、普通は4マスくらいしか移動しないドリルマシンが10マス動いたりするのだw 異星人技術カードは使い捨てなので、ここぞという使いどきを見誤らないようにしたい。一定数の契約ポイントタイルが取られたらゲーム終了。契約点の他、余った資源やカード、改造したマシンから最終得点を得て、最多得点プレイヤーの勝ち。 うーん。コンポーネントは実に魅力的だし、テーマもいい。ルールを読んだときにも面白そうだと思ったんだが……実際プレイしてみると、思ったより地味かな。ドリルマシンに最初は2つしか貨物ベイがないので、ちょっと掘り進むとすぐ地上に戻って荷揚げしないといけない。改造してもこれは変わらない(貨物ベイ追加の改造をしない限り)ので、頻繁に行ったり来たりする必要がある。「荷揚げ」にはAP必要なし、地上に出たら自動的に荷揚げ、でもよかったんじゃないかねえ。「改造」は1アクションでいくつでもできることになってるが、やはり貨物ベイが少ないため、このルールはほとんど機能しなかった。何回か往復して倉庫に資源をためれば機能するが、改造は早ければ早いほど有効に使えるわけだから、ため込んであとからどんと改造する意味はあまりないだろう。 がれきタイルが多いのも気になった。これでバランス取れてるのかもしれないが……。後半(以外とすぐ後半になる)がれきだらけになると、もう掘る気が削がれて仕方なかったw 他の3人がせっせと改造にいそしみ、自分のドリルマシンをデコトラ化するのに夢中になってる横で、早めに契約を履行した(欲しい改造タイルを取られたので仕方なかったw)私が得点でリード。終わり間際になって「このままじゃ勝てないのでは?」とようやく気づいた他プレイヤーが、ハイグレードなマシンで縦横無尽に掘り進んで契約を達成するも、後半のしょぼい契約点では追いつけず、そのまま私が逃げ切った。 テーマは好みなだけに、実に惜しいゲーム。バッテリーの使い道があまりない、そもそも補充しないなど、他にもいくつか機能してないルールがある。もうちょっと練り込んでから出して欲しかったねえ。残念。●大噴火 火山島で火山が爆発したので、プレイヤーは村長となって村を守らなければならない……ついでに他プレイヤーの村に溶岩を誘導して、敵部族を潰さなければならないw ひでえゲームだw 溶岩タイルを1枚引いて、ボード上に置く。溶岩が綺麗につながるように置かなければならない。そのあと、防壁駒を置いて溶岩の流れを阻害することもできる。防壁には藁、木材、石材の3種類があり、固いほど溶岩に耐えやすい。でも藁でも結構耐える。一瞬で灰になりそうなもんだが、意外と丈夫だな、藁w 自分以外の村に溶岩を流し込むと、なぜか特殊カードが手に入る。つくづくひどいゲームだw これがかなり強力で、タイルを除去したり追加で置いたりできるので、できるだけチャンスは見逃さないようにしたい。 手番開始時に自分の村に溶岩がつながっている場合、村の温度が上昇する。誰かの村の温度が最高温度に達してしまうと、その村が焼け落ちてゲーム終了。しかし村の温度が上がるにつれ、村人たちは危機に瀕して新たな能力に目覚め、手番ごとに防壁駒を2個置けるようになり、溶岩タイルを2枚置けるようになり、カードを1枚引けるようになる。おかげでどんどんゲームは派手な展開になるw 誰かが一定の温度に達するとボード上に追加の噴火口が置かれ、そのプレイヤー以外の温度が30度ずつ上昇するので、挽回不可能なほど大きな差はつかないようにできてる。最後まで村が焼け落ちず、一番温度が低かったプレイヤーが勝ち。 引いたタイルを置けるところに置くだけなので、運の要素は強い。溶岩を繋がないといけないので、後半ほど配置制限がきつくなり、誰かを狙ってタイル配置するのは難しくなっていく。ただ、村の温度が上がれば2枚置きできるようになるし、カードを使えば盤面はころころと変化するので、正直知恵を絞っても仕方ないw テーマから想像がつくようにバカゲーの類なので、互いに攻撃しながら「ふざけんな、そのタイルならこっちに置いてあいつの村に流せよ!」「うっせーバーカ、お前さっき俺の村に流しただろ! 報復じゃ!」とか大騒ぎしながらやるのが吉w 「村内部ではなく、溶岩上に防壁駒を置く理由があまりない」「特殊カードの『雨』が強力すぎる」の2点がちょっと気になる。特に後者は大問題で、これを2枚も引いたらほぼそのプレイヤーの勝ちだw システム上大きな差はつきにくく、どのプレイヤーの村の温度もギリギリまで上昇するのに、カード1枚で30度も温度下げられたらたまらないw 今からプレイする人は、是非このカードを全部抜くことをお勧めする。 ドベにはならなかったものの、「雨」カードを引けなかったというそれだけの理由で3位。まあバカゲーだし、プレイ中面白かったからいいんだけどw 2~6人の何人でも(5人はちょっとだけバランスが悪い)楽しめそうな良ゲー。●トロルマスター 写真取り忘れ。前回の感想はこちら。 私は結構好きなんだけど、メンバーの反応はいまいち。少ない手札によって強烈にアクションを制限されるのが合わなかったようだ。確かに、ケンカに勝ち目がないときに杖2枚ひいたりすると、ちょっとフラストレーションたまるかもね。限界をちょっと超えて要素をそぎ落としすぎた印象はある。何らかのペナルティをもらってでも実行したいアクションを選べるようにするとか、何かしら余計な要素があと少しあった方が、うちのメンバー向きではあったかも。水晶玉をもっと有効に使えるレベルまで熟練すれば、また違うのかな。 トロールで戦闘ボーナスを取り続けたプレイヤーが先行するも、他プレイヤーのうち2人が鬼火を取ったために停滞。その隙にマナをため込み、高得点モンスターを召喚した私が勝利。 同梱版ルールには曖昧なところが多く、インストがあまりうまくいかなかったのも低評価の原因になった。web公開版では修正されてたので、前日までにちゃんと準備していればもうちょっと好印象だったかもしれない。2日連続でゲームすることは分かってたんだから、もっと早くから準備しないとね。反省。
2012.01.28
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アフター5に四谷のボードゲームカフェ「リバネスカフェ&ダイニング」に集まり、毎週のようにボドゲを楽しんでいる方々がいるそうだ。何しろシャレオツな街、四谷のカッフェーである。本来ならば主催のシミズさんのように、電話一本で数億円を動かすようなハイパースタイリッシュサラリーマンしか参加を許されない紳士クラブなのだが、今回はメンバーの寛大なお心によって末席に加えていただき、シミズさん、ひがさん、私の3人で2ゲームプレイした。●トラヤヌス 詳しい紹介はこちら。 何しろシャレオツなカッフェーなので、ある時間になると照明が落とされ、ムーディーな雰囲気になる。そのため、若干写真が見づらいのはご容赦を。 前回の記事で「アクションをきちんとマネジメントできるか自信がない」と書いたが、やっぱりまったくマネジメントできなかったw いやー、これはすごいゲームだ。何をどうしたらいいのかさっぱり分からないw 次に実行したいアクションさえ、狙って実行することができない。絶対長考プレイヤーとやってはいけないゲームの1つ。延々考え込むこと請け合い。初回プレイでは他プレイヤーの手元どころか、ボード上さえろくに見ず、ひたすら手元のアクション駒だけ見てたw 一応、ゲーム開始時に配られるボーナスタイルがあるので、これを指針にして方向性を決めろってゲームなんだと思う。今回は「黄色のボーナスタイルごとに得点」があったので、元老院での選挙に勝つことに注力……するつもりだったが、できたのは1四半期目くらいだったw トラヤヌスタイルで9点になるものを多めにとったり、ちょっと建物建てたり、ちょっと戦争に行ってみたりしたが、産物を輸出するのを軽視した分凹んだかな。逆にそこにかなり集中したシミズさんがトップ。ボーナスタイルに「AまたはBの資源1枚ごとに3点」というカードがたくさんあるので、元老院でこういったタイルを狙いつつ、資源を輸出すると二重三重に点が入って効率がいいように見えたが、勝ったプレイヤーがそういう戦術を採ったからそう見えるだけかも。そこまで大差は開かなかったので、いくつか思いつく戦術のどれでも、たぶん何とかなるだろう。その戦術をどこまで実行できるかが鍵なので、先の先までアクションを管理できるかどうかの方が重要か。あんまり他プレイヤーの邪魔できないしねw あと、当然手数が多い方が有利に決まってるので、早い段階で+2アクションは取った方がよさそうだ。 何回かやりたくはあるが、1回やると相当疲労する。面白いことは間違いないが、あまりにトゥーマッチなゲームだw●ハワイ シミズさんによる和訳ルールはこちらとこちら。 プレイヤーはハワイ周辺の島にある村を束ねる酋長となる。酋長自ら本島に赴き、移動力である「足」(知る人ぞ知る、「パンテオン」に入ってたあの足だw)を支払って欲しいものがあるところに移動し、お金である貝を支払って買う。買ったものは自分の島の村に置く。各村には同じものを1個しか置けない。村は最初は1つしかないが、最大5つまで増やせる。 コストである足と貝は毎ラウンド一定数もらえるのだが、最近のゲームには珍しく、あとになるほど収入は減っていく。序盤にこれらを生み出す建物などをある程度は押さえないと駄目っぽい。しかし、ラウンドごとに一定額のお金を使うと「奴は金持ってるぜ。すげえな!」と評価されて勝利点が得られるので、節約してばかりもいられない。サーファータイルを取っていると、なぜかこの目標金額が減って達成しやすくなる。たぶん村に遊び人を囲っていることで、金銭的余裕を誇示してることになるんだろうw ハワイ本島を離れて小島に行くと、ちょっと効率のいいタイルが取れたりする。遠くに行くとやっぱり「あいつはすごい奴だ」ってことになって勝利点が得られるが、当然多くの移動力が必要だし、歩いて行くわけにもいかないので、航行距離に応じたカヌーが必要になる。 5ラウンドやったら最終得点を村のいろんな要素から得る。ここで重要になるのがティキ(トーテムポールのそれぞれの顔の部分みたいなもの)だ。各村は左から右へと大きくなっていき、ゲーム中に取ったティキタイルは右から左へとスペースに置かれていく。ゲーム終了時点で、ティキ列の先端が村の先端より左側にないと、その村での最終得点はいっさい得られないのだ。1つ2つの村を長く伸ばせば、その分ティキを取る手間は省けるが、何しろ村の数が少ないから得られる得点も少なくなりやすい。多くの村を作ればいろいろと得点できるかもしれないが、1つ1つの村は短めになるので、その分ティキを多く取らなければならない。計画的な村開発計画が必要だw ハワイ本島のどこで何を取れるかはゲーム開始時に決まるので、ここでゲームの方向性がある程度決まる。今回は果物(足か貝として使えるワイルド駒を生む)とカヌーが一番奥に来たため、離れ小島には行きにくい展開となった。 それぞれのタイルをラウンドごとに買える枚数はだいたい決まっており、多くて3枚だ。この枚数はプレイ人数によって調整されない。このため、売り切れが頻発する多人数でやった方がカツカツで面白いかもしれない。この日は3人だったので、よほど目標タイルがかぶらない限り品切れになることはなく、金額だけ気にしていればよかった。とはいえ、明白に先手が有利なゲームなので、5人でやると1ラウンド目の5番手プレイヤーがかなり不利かもしれない。間を取って4人プレイがベストか? ということで、欲しいタイルが買えないということはあまりなかったので、村を5つつくってティキを取りまくった私が村点を45点取って勝った。とはいえ、他プレイヤーがこれを阻止するのは簡単だったはず。お店が暗かったから気づかなかったのかも。照明重要w 後半2ラウンドは足も貝も足りず、せいぜい1、2アクション止まりだったので、やはり前半にそれらを生むタイルを重点的に取った方がいい気がした。これが必須のゲームだとすると、ちょっと私の好みとは外れるゲームということになるが……この辺は回数こなして検証しないと分からんね。 お店はなかなか雰囲気もよく、この日も3テーブルでボドゲしてた。1テーブルだと3人で一般的な大きさのボードを広げていっぱいいっぱいだが、予約すれば何テーブルか取れるらしい。席料はなく、2時間ごとに1人1オーダー。食事を済ませてから行けばコーヒー2杯600円で4時間。夕食として充分な量のメニューも豊富にあるので、どうせ外食するならここで食べてもいい。ゲームを汚さないよう気をつける必要はあるけどw 置きゲーもあり、かなりいい環境なので、会社帰りに1、2ゲームという使い方にはぴったりのスペースだった。通勤経路上にこの店があるサラリーマンは一度立ち寄ってみてはどうだろう。
2012.01.27
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第1回のレポートはこちら。 第2回のレポートはこちら。 第3回は欠席。 マーチン・ワレス。何通りもの(中略)デザイナーである。ワレス会とは、そんな彼のゲームをこよなく愛する変態ボドゲ紳士淑女が集い、雌雄を決する会だ。第3回は都合により無念の欠席となったが、幸いにも第4回が開催されることとなり、ぽちょさん、karokuさん、ふうかさん、いたるさん、私の5人が秋葉原R&Rステーションに集結した。●ペリクレス 古代ギリシャの都市国家間の権力争いがテーマ。まず選挙フェイズで各都市国家への影響力を高め、最多影響力のプレイヤーがその都市の指導者となる。立候補は早い者勝ちで2人まで。影響力が同じ場合、先に立候補した方が勝つ。当然いいことがいろいろあるから指導者になりたいわけだが、いったん選挙に勝つと、立候補に使用した影響力と、次点プレイヤーの影響力と同じだけの影響力を失ってしまう。たとえば影響力5の時点で立候補し、次点プレイヤーの影響力が3だったとすると、立候補で1、次点プレイヤーの影響力と競り合った分で3の影響力を失い、その都市にはもう1しか影響力が残らないことになる。影響力はゲーム終了時に残っていれば1個1点なので、小都市で僅差で勝つくらいなら、負けて相手の影響力を削った方がいいこともある。 指導者はその都市の軍隊タイルを全部受け取り、続く戦争フェイズで他の都市を攻めたり、自都市を守ったりする。都市によって強い弱いがあったり、海軍は強いけど陸軍はいまいち(またはその逆)だったりと個性がある。また、アテナイとスパルタは同盟の宗主なのでやたらと戦争で狙われる(戦争のターゲットを決めるタイルの数が多い)ため、ゲーム終了時に歴代の指導者プレイヤーが得られる都市点を守るのが難しい(防衛戦争に負けると都市が荒廃し、点が下がってしまう)が、選挙や戦争で先手が取れるなどのメリットもある。選挙と戦争で1ターン。3ターン繰り返して、戦争で得た点と、ゲーム終了時に入る歴代指導者点、残った影響力点を合計して最多得点プレイヤーの勝ち。 面白いのは、影響力を置く都市を決めるのも、攻めたり守ったりする都市を決めるのも同じ影響力タイルを使うというところ。たとえばアテナイのタイルを取ったらアテナイに影響力を置くことができ、戦争フェイズではアテナイを攻めるか守るかすることができる。指導者になったなら、まあ問題はない。守ればいいのだ。しかしなれなかったとき、その都市を攻めるか守るかで悩むことになる。攻めて勝てれば戦争点を得られるが、その都市の点が下がる。そしてその都市には、自分の影響力がすでに多めに置かれているのだ。次ターン以降、自分が指導者になるかもしれない都市を荒廃させるのはためらわれる。しかし指導者になれなかった都市をメイン軍隊として守るには指導者の許可がいる(たいていは許可されない)。サブ軍隊として守ることはできるが、その場合戦争点は得られない。どっちに回った方が得かを計算するのは非常に難しかった。 この日は1ターン目に2都市で指導者となることができ、ダイス目も走って(何しろ古いゲームなので、戦争はウォーゲームよろしくダイスで解決なのだ)戦争点をがっつり稼ぐことができた。当然2ターン目はマークされてどの都市の指導者にもなれなかったが、それは影響力駒を減らされずにすんだということ。3ターン目に再度2都市で指導者となることができた。割と自信あったけど、ふたを開けてみたらkarokuさんと50点でタイ。戦争点の多い方が価値というタイブレイクルールで勝利。 「戦争でダイスを振るのはいいが、戦力比があまりにおおざっぱすぎる」「特殊能力タイルがあまりに蛇足過ぎる」この2点を除けば、今でも十分に通用するゲーム。シンプルなのに悩ましく、プレイ時間もそれほどかからない。リプレイも気軽にできるだろう。 さて、勝利したと書いたが、実はノーゲームだった。「同じターン中、同じ色の影響力タイルは1枚しか取れない」という非常に重要なルールを見落とし、1人でアテナイ2枚取ったりとかしてたからw 正しいルールだと全然違う感触のゲームになるだろうから、もう一度プレイして検証してみたい。●産業の時代:日本マップ 基本ルールはこちら。 拡張マップルールはこちら。 参加者全員が「ブラス」のプロフェッショナルか、「産業の時代」基本マップの経験者だったので、せっかくだから地元マップをプレイしてみようということでこれ。 大きな変更点は以下の通り。・鉄工所も指定マスにしか建設できず、北海道にしかない。・炭鉱が北海道に2つしかない。・カードディスプレイが6枚になり、お金を払えば直接ディスプレイのカードを使うことができる。手番終了時に鉄工所と炭鉱カードは捨て札になる。 炭鉱が少ない代わりに船マスが大量にあり、海外市場から鉄も石炭も手に入るようになっている。また、たとえ船が作られなくても港があれば通常通り海外から鉄/石炭を購入することができ、そのコストが比較的安くなっている。 ……そしたらまあ、接続の悪い北海道に頑張って炭鉱や鉄工所建てる人はいない罠w 全員で本州の大都市を中心に紡績所や工場を建て、港を建てて自力輸出を繰り返す。炭鉱と鉄工所カードが流れていくので終了が異常に早い。たまに「港につながってなかったから線路が引けない!」「こっちの市場から輸入して船を裏返すつもりだったのに、直前に別の船を作られてそっちが最短距離になってしまった!」などのちょっとしたドラマもあったが、事実上炭鉱と鉄工所なしでは取れる戦略の幅も狭く、淡々と終了した。盤面では負けてる感じだったが、終盤に船や線路から収入を得ることができたため、お金点でまくって勝利。 「ブラス」と「産業の時代」を比較的短期間に続けてやってようやく気づいたが、これは「ブラス」のリメイクと言うより、見た目がよく似た別ゲーだね。もうどっちの方がいいかという議論が無意味になるレベルまで異なってた。「産業の時代」と「ブラス」を両方持っていても何の問題もない。TPOに応じて遊び分けることができるだろう。「『ブラス』より好き」という意見も出た。最終得点が20点前後からの勝負になるので、見かけ上は大差がつかないのもいいねw しかし残念ながら、日本マップの出来はいまいちと言わざるを得ない。基本マッププレイ済みと言ってもずいぶん前のことで、だいぶ忘れてる様子だったので、これならもう一度アメリカかドイツマップをやった方がよかった。チョイス失敗。確かに石炭も鉄も自給は難しい日本を再現してはいるけどなあw 1人でカウンターを2枚置ける大都市が4つしかないので、少なくとも5人プレイは避けた方がよさそうだ。裏面のミネソタマップは面白そうなので、次の機会にはそっちをプレイしてもいいかな。●Toc Toc Woodman ここで疲れた脳みそをクールダウンするために、ロロステの置きゲーの中からこれをチョイス。プレイゲームでは「木こり達人?」という邦題がついてるが、国内で取り扱われたことがあったんだろうか。 ゲームと言うよりはおもちゃの類。手番ごとに斧で木を2回叩く。幹パーツの周りにはめ込まれてる樹皮パーツだけ上手く落とせたら1枚ごとに1点。幹パーツを落としちゃったら1個ごとに-5点w 全部の樹皮が落ちた時点で最多得点プレイヤーの勝ち。 まあゲーム性がどうこう言うものじゃないw いたるさんが驚異のパワープレイぶりを発揮し、がんがん幹を落としていくw 私は中盤まではうまくいってたものの、途中で幹を落としてしまってからは博打を打たざるを得なくなり、その結果として当然のように幹を落としてしまったw 全部で9個の幹のうち、いたるさんが6個、私が3個落とすというどうしようもないペアを尻目に、絶妙の力加減で数々の技を見せたkarokuさんの勝利。 どうやら今年、「黄金の斧」という拡張が出るらしいw 拡張するほどのゲームじゃねえw●蒸気の時代:月マップ ここでいたるさんが所用で退出。もう1個くらいできそうだったので、やはりロロステの置きゲーからこれ。割と最近のマップなのに、もう貸し出しスペースにあるとは思わなかった。ロロステへの好感度急上昇。 かなり狭いマップなので、4人でプレイするにはちょうどよかった。ターンごとにマップの半分が夜になり、そちらには黒キューブしか輸送できなくなる。また、夜側にある都市には貨物駒が補充されない。さすがに序盤はみんな戸惑い、勘違いも多かったが、3ターン目くらいにはもう慣れていたようだ。さすがワレサーは複雑難解なルールへの適応力が高いなw 序盤から歯を食いしばってエンジン強化にいそしみ、マップの端から対角線上へとループできるルールや、他プレイヤーの線路を自分の線路として使える特別アクション「無重力」を効率的に利用したkarokuさんが勝利。 自分でも翻訳していたので私がインストを買ってでたが、あまりに雑になってしまい、数々のルール見落としがプレイ中に発覚した。このため、月マップの魅力を半分も引き出せなかったように思う。どんなゲームでもちゃんとルールを頭から読まないと駄目だった。猛省。 ここで閉会。ファミレスでクソゲー談義したり(なぜゲーマーが集まるとこればっかりになるんだw)、エッセンの魅力などを聞かせてもらったりした。楽しゅうございました。しかしそろそろワレス縛りも厳しくなってきたので、次があるならちょっと考えないといけませんなw
2012.01.21
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適当に何かやりましょうと誘われ、ホイホ(ry いやー、手ぶらで出かけてゲームできるのっていいですなー(ダメ人間)。●村の人生BGGID:Soncho dairiさんによる和訳ルールはこちら。 タイトルそのまんまのゲーム。これは原題、英題より邦題の方が内容にマッチしている珍しい例だ。 プレイヤーは手番ごとに1アクション実行する。各アクションはラウンドごとに何回実行できるかがプレイ人数に応じて決まっているので、他プレイヤーに先に実行されると特定のアクションを実行できないときもある。もちろんどのアクションも実行したいので、アクション選択は悩ましい。 アクションを選択したときには、そのスペースにある影響駒を1個選んで取る。いろんなアクションを実行するのに、たいていはこの影響駒が必要になる。つまりプレイヤーは、1手番ごとに「アクションの選択(実行は任意)」と「影響駒の獲得」を“同時”に行う。 目新しいのは、時間経過による村人駒の死亡ルールだ。アクションを実行すると、たいてい時間が経過する。一定時間が経過すると、村人駒が年寄り(1~4の番号が駒につけられていて、番号が小さいほど年寄り)から死亡し、ゲームから取り除かれる。このとき、その駒が村(手元のボード上)にいれば「じいさんは生涯を通じて村を守ったんだよ」となり、教会にいれば「ばあさんは本当に信心深い人でねえ」となって、村の年代記に名を残すことができる。つまりゲーム終了時に得点になるw 年代記のページ数には限りがあるので、あとの方で死んだ人は村人の記憶に残らない。何ごとも先駆者の方が名を残しやすいということだw この年代記が全部埋まるか、年代記から漏れた名もなき人々が一定数教会の墓地に埋められたらゲーム終了。得点計算して最多得点プレイヤーが勝ち。 たぶん私は、前述した「『アクション選択』と『影響駒の獲得』の同時実行」のような、1つの行動に複数の意味を持たせているゲームが苦手なんだろう。まだプレイしていないが、たぶん「トラヤヌス」も苦手な気がする(まあたいていのゲームで負けるので、たいていのゲームが苦手なんだけどw)。 別々に行うのと大した差はないのかもしれないが、なぜか私の脳みその容量をオーバーしてしまい、何をしていいのかまったく分からない。村の外に出て旅をするのがテーマ的に面白そうだったので、そこに注力するつもりだったのが全然上手く行かず、結局いろんなところにちょこっと噛むだけとなった。 こういうゲームは何回かやることでやっと理解できるようになるんだろうけど、「抽象的な要素が多い(テーマは漠然と“村”だし、各影響駒が表しているものも“技能”とか“信仰”とか実体のないものばかりで思い入れしづらい)」「拡大再生産要素が少なく(麦の生産量を少し増やせるくらい)、ゲーム終了まで同じサイズでアクションを繰り返す」の2点から、ちょっと私好みではないので、あまりリプレイ欲は沸かないかな。●フラッシュポイント:火災救助隊写真は借り物。 「パンデミック」に代表される純協力ゲーム。システム側が勝つか、プレイヤー全員が勝つかのゲームだ。結構人気らしく、最近はどこも品切れのようだ。私も興味があった。 プレイヤーは消防士。「パンデミック」のように、それぞれ「人より多く移動できる」とか「放水車の扱いが上手い」とか「危険物処理のプロフェッショナル」とか、特殊能力を持ってる。各プレイヤーは手番ごとにアクションポイントを消費して移動したり、火を消したり、ドアを開け閉めしたり、壁をぶち破ったり、消防車/救急車を移動させたりする。通報に従って要救助者を助けるのが目的だが、たまに誤報があったりして油断ならない。手番終了時に必ずどこかに新たな火が発生するので、消火作業が完全に終わることはない。 消防士も要救助者も、火にまかれると死亡(火があるスペースの通過は可能)。一定数の要救助者を助けたら勝ち。それが不可能になる(要救助者がたくさん死ぬ)か、壁が壊れすぎて建物が崩壊したら負け。 4人でプレイ。火消しのエキスパート、放水のプロフェッショナル、誤報を見分ける千里眼の持ち主と共に、危険物取り扱い免許保持者として参加。3つ中2つを処理したところで、もう1つは遠いところにあったので無視w ジョブチェンジしたかったが(できるのだ)消防車も遠かったので、手近な火を消しつつ、湧き出した要救助者を助けることに。あまり緊張感のある場面には遭遇せず、なんとなーくプレイしててなんとなーくクリアできそうになった直後、ピンポイントで狭いところに火が発生し、壁がぼろぼろになって建物崩壊。負け。 これまで私がプレイしたことのある純協力ゲームの中では、各段に運の要素が強い。新たな火の発生場所を決めるのにも、消防車の放水が成功したかどうかを決めるのにも、次の要救助者タイル配置場所を決めるのにもダイスを使う。放水はともかく、火の発生がダイスなのはちょっと気に入らなかった。何しろ、それまでまったく火の気のなかったところにいきなり煙が沸くんだから、行動計画を立てようがない。手番開始時に考えるしかない。通常はくすぶってるだけの煙の状態から始まるが、既存の火に隣接して発生するといきなり燃え上がるので、手番終了時に火に隣接したマスにいる消防士は即死の可能性がある。つまりプレイ人数が多いほど、火の近くにいる危険が増すということだ。まあそれを踏まえて行動しろってことなんだろうけど。なお、死亡したプレイヤーは消防車から別の消防士として復活する。このため、移動にAPを消費するくらいなら“死に戻り”した方が効率がいい場合もありそうだ(この点はちょっとルールに自信がないが)。“死に戻り”とか、MMORPGかw 壁の破壊を表すのが黒い駒というのも視覚的にいけてないかなあ。今回のプレイでも崩壊負けだったわけだが、その直前にはストックに黒駒が3個しかなかったので、本当ならもっと緊迫感があり、ダイスを振るたびに念を込めるくらいでよかったはず。でも全然そんなことはなかった。なんか「建物が崩壊寸前だ!」って気にならないのだ。ここは壊れた壁の絵を描いたトークンの方がよかったかな。あるいは、各部屋の壁が一定数壊れると、その部屋は崩落。大きな部屋崩落タイルを置いて、これが一定数置かれるとゲームオーバー、とかなら見た目にも派手でよかったかも(もちろん、バランスが崩れるから今のゲームにそのまま適用できるとは思えないが)。 文句ばっかり書いたが、純協力ゲームとして充分に遊べるレベルには達している。テーマもいい。どうしても先にプレイした「パンデミック」と比較してしまい、私としては「『パンデミック』があればこっちはいらない」という結論になるが、もしプレイした順番が逆だったなら「『フラッシュポイント』があれば『パンデミック』はいらない」と言っただろう。「疫病の蔓延」というテーマを好まない人もいるようだから、どちらもプレイしたことがないなら、テーマで選べばいい。協力ゲームに抵抗がなければ、どちらを選んでも失敗はしないだろう。
2012.01.20
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ボックスアートゲームボード デザイナーはPeer Sylvester。ドイツ人らしいが、「フィリピンフルーツマーケット」や「ディスカバー・インディア」、日本では(たぶん)流通していない「Konig von Siam」と、南アジア、東南アジアをテーマにしたゲームをいくつか出している。きっとそのあたりが大好きなんだろう。パブリッシャーはおまけ商法大好きなWhite Goblin Games。この「シンガポール」も、エッセンシュピールで買ったり先行予約したりすればおまけタイルがついたようだ。 プレイヤーは19世紀のシンガポールで、東インド会社のための土地開発に参加する商人となり、森や沼だらけの島を開拓して大都市に発展させていく。建設した建物を使って茶、煉瓦、織物を入手し、それを他の資源に交換したり、お金にしたり、勝利点にしたりする。非合法なアヘン取引もでき、見つからなければ大きな利益を得ることができるが、ガサ入れが入ると罰金を取られてアヘンを没収される。建物をおおむね使いきったらゲーム終了。最終得点計算はなく、それまでに一番得点していたプレイヤーの勝ち。 スタートタイルの上側と左側に2×6の土地タイルを適当に配置し、最初の建物タイルを1枚ずつ置いたら本番開始。 はじめに建物タイルの山から「プレイ人数+1」枚のタイルを表向ける。これがそのラウンドに建設可能な建物となる。 そのあと、スタートプレイヤー(勝利点が最も少ないプレイヤー)は各プレイヤーのマーカーを1枚ずつ取り、既存の建物に隣接する空き区画に置く。各プレイヤーは自分のマーカーが置かれた区画にしか建物タイルを置けない。どこに建物を建てられるかは、なんとそのラウンドのスタートプレイヤー次第なのだw 各プレイヤーは手番順に建物タイルを1枚選び、マーカーのある区画に置く。コストは建てる建物ではなく、区画の種別による。平地なら安いが、森はちょっと高くつき、沼は非常に高くつく。トッププレイヤーはひたすらコストのかかる沼に建物を建てることになるだろう。そのあと、1本だけ無料で道を引いて、隣の建物とつなぐ。 建物を建てたら、労働者駒を移動させることができる。1ラウンド目は、最初に任意の建物に置く。プレイヤーはこの駒を3歩まで移動させ、3つまで建物を使用することができる。駒は道でつながっている建物にしか移動できないが、1本につき1ポンド払えば何本でも道を引くことができるので、そんなに困ることはなさそうだ。他プレイヤーの駒は移動や建物使用の邪魔にならない。2ラウンド目以降は移動した先の建物から新たな移動を続けることになるので、使いたい建物が遥か遠くにある、なんてことはあるかもしれない。見えている範囲で、できるだけ長期的な計画を立てる必要がありそうだ。また、他プレイヤーの建物を使うとその所有者に1勝利点が入るので、いいポジションに有用な建物を建てるチャンスは逃さないようにしたい。 建物の中には、犯罪シンジケートがらみの非合法なものがある。これらは比較的強力な能力を持っているが、建設するだけでも犯罪だし、もちろん能力を使っても犯罪だ。非合法建物を建設/使用した場合、布袋に入っている18枚のチップから1枚を引く。黒チップならとりあえず何も起きないが、手元に蓄積される。しかし2枚しかない白チップを引いてしまったらガサ入れ発生w 全プレイヤーは持っているアヘン駒を公開し、その数+黒チップの数が一番多いプレイヤー(同数ならその全員)が摘発され、その合計に等しい罰金を取られる。つまり、目立たなければ何回悪いことしてもいいってことだw といっても、こまめにアヘン駒を消費しても黒チップは貯まっていく一方だし、一度摘発されたプレイヤーの黒チップは全部布袋に戻ってしまう(白チップは摘発の処理後、毎回布袋に戻る)ので、あまりオイタが過ぎるといずれは摘発されるだろう。地道にまっとうな商売にいそしむか、摘発されないギリギリを見極めるチキンレースに参加するか……後者の方が面白そうだけどねw ルールを読んだ限りではタイル配置、資源の交換、駒の移動による能力使用と、私の好きそうな要素が揃ってる。が、どうも国内ですでにプレイした人たちの評判はいまいち。BGGの評価も新作としては低め。コメントを読むと「無味乾燥だ」「作業だ」という声がいくつか出ているようだ。町(つまり建物の集まり)が共有で、自分だけが使える建物じゃないってところがその原因なのかなあ。あと、建物タイルは1種類1枚ずつしかないのだが、そうすると一部の超強力(そうに見える)建物が建ったとき、たまたま遠くに労働者駒があったプレイヤーは相当不利になりそうなところが気になった。「2個目の労働者駒を置ける」建物とか、使うのが遅れたら遅れただけ差をつけられそうに見える。駒が増えても実行できる移動歩数とアクション数は増えないから、そうでもないのかね。 テーマ、アートワークは好み。しかしデザイナーの過去作はノットフォーミー。評判も芳しくない。いきなり買うには勇気がいるタイトルだなあ。どこかで見物させてもらいたいところだ。BGGの和訳ページ
2012.01.20
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いつもの月例会。4人で。月末ゲーム会を潰してコミケゲーム会やったから、2週間に1回はこの友人宅に集まってるな。場所の提供に百の感謝を。●ハイファイブ 1人遅れてくるかも、ということだったので、見るからにノンテーマ、短時間で好みに合わなそうなこれを。時間調整のつもりだったが、インスト開始直後にもう1人も到着したので、渋るのもかまわず無理矢理卓につかせた。被害者は多い方がいいしw でもこれが、前回の「トフワボフ」に引き続いて意外とよかった。 最初に盤上の、碁で言う“星”のあたり(だそうだ)に4枚の数字タイルを置く。そのあと手番順に手持ちの数字タイルを1~4枚(最初の1巡だけはちょうど3枚)出し、ボード上に置く。複数出すときは一直線に置かなければならない。出したタイルすべてと、すでにボード上にあるタイルを組み合わせて一直線につながっている5枚を選び、そのタイルでできているポーカーの役によって得点を得る。タイルの種類は4色13枚なのでトランプとだいたい一緒だが、1のタイルは14としても使える。ジョーカーは4枚あり、最初から各プレイヤーが1枚ずつ持っている。 タイルを置き、得点を得たら(または得なかったら)山から2枚を補充して手番終了。山がなくなったら手札のみで配置を続け、最初に置ききったプレイヤーにはボーナスの2点が与えられる。誤差だけどなw ルールだけ聞くと先日やった(そしてつまらなかった)「二次元ポーカー」にそっくりな気がしたが、実際プレイしてみるとだいぶ違い、こちらは充分に遊べるレベルに達していた。 置いたタイルを含めて5枚しか得点計算に使えないので、「二次元ポーカー」と違って既存の役を再利用しにくい。もちろん不可能ではないが、たとえば1~5のストレートができてる列に10とか13とかをくっつけて「この列に1~5のストレートがあるから得点ゲット!」というわけにはいかない。置いたタイルを含めて5枚しか使えないので、列の反対側にあるタイルは使えなくなるからだ。たったこれだけのルールの差で、ずいぶん頭を使うようになった。 他にも、「縦横両方で得点計算ではなく、こちらはいずれか一方のみ」「ジョーカーの存在」「配置可能場所が最初からボードによって決まっている」など、私が「二次元ポーカー」でよくないと感じた点がだいたい改善されてる感じ。この辺は好みかもしれないが、少なくともこっちの方がコンポーネントが豪華なのは間違いないので、「カードゲームよりボードゲーム」派にはこっちを勧める。 序盤から他プレイヤーに(比較的)再利用されやすい配置をしてしまい、それを見逃さず再利用しまくったプレイヤーがリード。後半にはファイブカードを達成したプレイヤーが追い上げたが及ばなかった。ボードの形状も手伝って、なんだか軽い麻雀のようなプレイ感。傑作とは言えないが、「何か軽いの1つくらいはできそうだな」なんて感じで時間が余ったときに出すと受けそうなタイトルだ。●ダンジョン・ロード BGGID:grandfatherさんの訳を私が編集した和訳ルールはこちら。 「ダンジョン・ペッツ」を手に入れたので、そっちをプレイする前にこっちをやっとかないとな、ってことでこれ。やっとプレイできた。 テーマは電源ゲームの「勇者のくせになまいきだ」とか、漫画の「天体戦士サンレッド」に似てるかな。プレイヤーはいつの日か偉大なダンジョン・ロードになることを夢見る若者となり(150~200歳くらいだそうだw)、免許を取得するために田舎町の片隅で細々と悪事を行ったり、ちまちまとダンジョンを掘ったりする。収穫期である秋の終わりには、暇になった冒険者が徒党を組んでダンジョンを荒らしに来るので撃退する(もしくは蹂躙される)。これを2年繰り返してゲーム終了。ダンジョン省の試験官がダンジョンのさまざまな要素を評価する。最終評価がプラスになったらダンジョン・ロード免許獲得。トップだったらその地域で最高のダンジョン・ロードであるアンダーロードの称号を得る。 みんな大好きCzech Games Edition。Vlaada大先生作。となれば、ごちゃごちゃしたコンポーネントと恐ろしく読みづらいルールブックはお約束w 前回、フレーバーテキストも飛ばさず読み聞かせたらインストに2時間近くかかったらしいw 今回は私がインストを担当し、可能な限りプレイに関係するところだけに的を絞ったが、それでも1時間ちょっとかかった。 アクション選択のバッティングシステム部分と、冒険者との戦闘部分の2つを軸にしたゲーム。あとの部分はだいたい自動処理に費やされるので、そこを理解しているプレイヤーが最低1人いれば、実プレイ中にルールを参照することはほとんどない。 こりゃ面白いね。ファンタジーRPG(電源ありでもなしでも)好きなら気に入るだろう。要素が多く、リソース管理が厳しめなので、最初の数プレイでは自分のやりたいことを黙々とやるだけになりがち。これを差して「多人数ソロプレイ」というなら、まあその通りだ。この段階では「大人のファミリーゲーム」という評価がしっくりくる。ゲームの勝敗にこだわらず、好みのダンジョン部屋やモンスターを購入して好みのダンジョンを作り上げる。それを冒険者に破壊されて(これはほぼ確定だw)一喜一憂する。ゲーム終了時には互いの健闘を称え、自分のダンジョンの長所を自慢しあおうw 上の写真は私が作り上げたダンジョンの終了時の様子。ちっちゃいなw だけど足止めトラップやモンスターを1回しか使わずに3通路しか蹂躙されなかったのはなかなかうまくいったと自負している。得点は全然取れなくて3位だったけどなw しかしある程度慣れてきて、他プレイヤーの動向をうかがう余裕が出てくると、一転してヒリヒリした読み合いが熱い戦略ゲームに化けそうだ。何しろアクションは1種類につき最大3人しか実行できない。バッティングして4番手になったらまるまる手番損だ。かといって、全部のアクションでバッティングを回避してばかりでも具合が悪い。たいていのアクションは2番手、3番手になった方が効果は高いのだ(コストがかかることも多いが)。現在の手番順、他プレイヤーが実行できるアクション、他プレイヤーが実行したいアクション、そしてその順番まで読み切り、狙ったアクションスペースに手下駒を置くことができたら一流のダンジョン・ロードと言えるだろうw 長時間ゲームだが、待ち時間はアクション選択時くらいなので、よほど長考するプレイヤーがいない限り退屈する暇はないだろう。経験を積んで、よりいっそうゲームが複雑になる拡張も入れてやってみたい。月一で「ダンジョン・ロード会」とか開催したいくらいだw●カステリ もう夕方だったので、「カーサグランデ」かこれのどっちかをやって終わりにしようということになり、こちらが選ばれた。 クイーンのサイトでこのゲームのボードの写真を初めて見たとき、私がどれほど胸を高鳴らせたことか。上の写真を見てもらえば、建設ゲーム好きな同志にはきっと分かってもらえるだろう。そしてデザイナーがGunter Burkhardtであると知ったとき、私がどれほど落胆したことかw 手番になったらタイルを1枚めくる。タイルにカードや銀鉱石が描かれていたらそれを取る。タイルには四辺に各プレイヤーの影響力が数字で書かれている。これを任意の向きで元の場所に置く。各数字は、隣接する土地に対するそのプレイヤーの影響力となる。ある土地に隣接するすべてのタイルが表向けられたら、その土地(1~3辺を持つ)への影響力が確定する。一番影響力を持つプレイヤーがその土地に対応する資材を得る。資材を使って城を建設すると、その縦横方向にある村や町から得点を得る。タイルが全部めくられたら最終得点計算。最多得点プレイヤーの勝ち。 めくり運が強い。暫定的に自分が優勢取ってる土地の影響力を確定させようとして、どう置いても他プレイヤーにしか資材がいかないタイルをめくってしまうこともある。 ダウンタイムが長い。手番にやることが「タイルをめくる場所を探す」「タイルを置く方法を考える」「城を建てられるなら建てる場所を探す」であり、そのどれもが手番にならないと考えられない(城の建設場所は事前に候補を探すこともできるが、手番にめくったタイルによって変わることもある)。当然一手番ごとに時間がかかるし、そのあいだ他プレイヤーにできることは何もない。「ここに城を建てると何点ですよ」ということを示す数字チップでも用意して、ゲーム開始時に各建設予定地に置いておく、くらいすれば、城の建設に関してだけは少しはましになるかも。 カードが馬鹿みたいに強力で、引かないと話にならない。しかしその手段の半分以上が「タイルのめくり運」にかかっているという、時代に逆行したシステム。通常、城は岩山にある建設予定地にしか建てられないのだが、今回のプレイではそういったところに一生懸命城を建てて5点、6点と稼いでる2人を尻目に、1人は「出すだけでX点」カードを3枚引いて12点を獲得。もう1人は「普通は城建てられない森や畑に建てられる」カードを2枚引いて9点×2回で18点をゲット。やってられねーw どこに城建てれば何点入るかはほぼ確定してるので、初めのうちに高得点の土地が埋まり、後半になるにつれ得られる点数はしょぼくなっていく。なんというか、Burkhardtは「拡大再生産」とか「終盤の逆転」とかにトラウマでもあるんだろうかw 「チョコラトル」に匹敵する、手がつけられないほどの先行逃げ切り(もしくはカード引いたもん勝ち)ゲー。もうBurkhardtのゲームは絶対やらねーw
2012.01.14
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「リスク・レガシー」をやりましょうと誘われ、ホイホ(ry●メイジナイト 早めについた私といたるさんでこれ。途中終了したとはいえ、チュートリアルゲームはプレイ済み。そこでメインルールブックに載っている一番最初のシナリオをプレイ……ってこれチュートリアルゲームだよ! なんでわざわざ単独のルールブックまで作ってあるチュートリアルゲームのセットアップを再録してるんだよ! 改めて別のシナリオをセットアップし直すのも面倒なので、もう一度チュートリアルをやることに。いいんだけどね! 前回途中終了だったしね! 先手を取ったにもかかわらず、わざわざマップ外周の狭い方に移動したため、移動力が不足。雑魚を先にいたるさんに倒され、レベルで先行されてしまった。 その後もいたるさんは次々と新たなマップタイルを開拓し、経験値を積み重ねていくが、カードの巡りが悪く、登場したモンスターをなかなか倒せない。後手を踏んだものの、わずか1影響力の差で火力の高い「小作農」を雇うことができた私は、新マップの開拓を諦め、いたるさんが進路後方に放置していった敵を倒していくことに。たとえレベルが低くても(あるいは同じでも)、共有のマナによってはこちらだけ高い火力を叩き出せることが往々にしてあるのだ。「小作農」を盾にし、たまたまその日は大気中に満ちあふれていた炎のマナをふんだんに使って爆発的な攻撃力を生み出し、城塞に立てこもっていたモンスターを襲撃。こいつらには遠距離攻撃しにくいのである程度のダメージを覚悟する必要があるが、比較的弱い部類だったので難なく撃破(上の写真)。 返す刀で、いたるさんが討伐を断念した魔法の塔のモンスターを襲撃。炎系魔法を使い(炎系防御力を持っていないと攻撃力2倍)、同時に炎系魔法に耐性を持つ厄介な敵だったが、幸い弓が通用するので射殺したw 魔法の塔を攻略したことで強力な呪文も手に入り、なかなか順調w しかし、「そろそろ自力で新たな敵……もとい新たな土地を探しに行くかー」とタイルをめくったら終了条件である町が見つかってしまい、いきなりゲーム終了w この町を目指して先へ先へと進んでいたいたるさんに土地発見ボーナスでは先行されたが、地元でこつこつと敵を倒し続けて経験を積み、仲間や魔法を集めたのが功を奏して勝利。探していた町は地元から3タイル先にあったとさw 俺より強い敵に会いに行ったら目的地を見つけたでござるの図 やはり面白い。戦闘では先手を取れる遠距離攻撃が強いのだが、カードの枚数は少なく、1枚あたりの攻撃力も低いので、必要な火力を揃えるのに時間がかかる。それだけに、遠距離攻撃できるチャンスを確実に作っていくカード回しが重要だと感じた。 村で仲間を増やしたり、敵を倒してアイテムや魔法を手に入れたりするたびにキャラが成長している感じがしてたまらないw チュートリアルゲームではせいぜい3レベルになれるかどうかで、仲間も1人か2人、アイテムや魔法は1つ手に入るかどうかなので、さすがに短く感じた。経験者2人でプレイした今回でも1時間かかってるんだけどねw 重量級ゲームに慣れてるメンバーでなら、チュートリアルゲームをやる必要はほとんどない。逆にあまりのあっけなさに「これ面白いか?」と疑問を持ってしまうかも。最初からその他のシナリオをがっつりやった方がいいと思われる。チュートリアルにはない攻城戦とかあるしねw とにかくファンタジーRPG好きにはたまらない1品。そんなメンバーを4人揃えて、対人戦ルールありのシナリオとか協力シナリオとかを丸1日潰してやりたい。それでも絶対後悔しないだけのポテンシャルがあると断言できる。ということで今度やりましょうw●リスク・レガシー Today's Unprecedented GAME!! 4大古典ゲームの1つに数えられる「リスク」。何度もリメイクされ、派生商品が出ているが、これもその1つ。舞台を遠い未来に移し、複製された地球の1つで覇権を争い、戦うゲーム。基本的なところは「リスク」と同じらしいので詳細は割愛するが、「世界史」や「スモールワールド」的な「殴り合いがほぼ必須」なゲームの1つだ。しかし、そういったことはこの「リスク・レガシー」にとっては枝葉末節に過ぎない。 実は私は自分でゲームを買い始めたのがここ1、2年のことに過ぎないので、数多くのゲームを知っているわけではない。にもかかわらず、「このシステムは初めて見る」とか「これに似たゲームを知らない」とか訳知り顔で書くのはよくないなあと反省してはいるのだが、あえて書く。こんなゲーム見たことねえ。 まずは上の写真を見て欲しい。ボックスがスーツケースみたいに開くタイプなのも珍しいが、何より目を惹くのが黄と黒の縞模様だ。箱の上蓋に貼り付けられている袋、各色の駒類の左側にある蓋付きのトレイ……これらは皆、最初のゲームでは使わないコンポーネントだ。ではいつ使うのか。それはゲームを何回か繰り返しプレイして、一定の条件が満たされたら封印を解いて使えるようになるのだ。 たとえば「都市が全部建設されたら」といった感じの条件がある。これだけ聞くと「都市駒か何かがあって、それをボード上に全部置ききったら使うコンポーネントなんだな」と思うだろう。そして次のゲームでも、最初はこのコンポーネントを使わず、また都市が全部建設されたら使うことになるんだと思うだろう。そうではない。 「都市を建設する」とは、「ゲーム終了時に勝者が都市を建設することを選ぶ」ということだ。では選んだ場合、どうするか。ゲームボード上に都市シールを直貼りする。 何しろシールだ。貼ったらはがせない。どこの地域に都市を建設するかはおおむね任意。なんとこのゲームは、「同じメンバーで繰り返し(15回)プレイし、ボード上に都市を立てたり各陣営に特殊能力を付与したりして、自分たちだけのボードゲームを育てるゲーム」なのだ。 一番最初のゲームでは、各陣営ごとに2つの特殊能力が与えられる。プレイヤーはそのうち1つを選んでゲーム中使用することができる。普通のゲームなら「特殊能力カードを2枚配り、そのうち1枚を選ぶ。もう一枚はゲームから除外する」ってとこだろう。2回目のゲームではもう一方の能力を選ぶこともできる。 だがこのゲームは違う。いきなり陣営ボードに能力シールを貼り付ける。以降ずっと、2回目以降のゲームでも、この陣営はその能力を持ち続ける。ではもう一方の能力はどうなるかというと、シールを破いて捨てるw もうこの時点で、他のプレイグループとは各陣営の能力の組み合わせが異なるので、異なるプレイ歴史を歩み始めることになる。 今回私が担当した陣営。超未来世界で進歩しすぎた科学技術に反発して生きる蛮族。「戦闘時に振ったダイス3個でゾロ目を出し、敵ユニットを1体でも駆逐したら、その時点でその地域を征服する」か、「手番ごとの最初の戦闘に限り、攻撃ダイスで最も高い出目に+1」のいずれかの能力を持つ。今回は後者を選択してそのシールを貼り、もう一方は処分w 勇ましい蛮族ユニット。 以降もこんなことの繰り返しだ。防御側戦闘力+1の「要塞」を建設? ではその地域に要塞シールを貼ろう。この地域では永遠に防御側戦闘力+1だ。ゲーム終了時、特定の地域の価値上昇? ではその地域カードにコインシールを貼ろう。この地域の価値は永遠に価値+1だ。都市を建設する? ではシールを貼ろう。破壊されるまではずっと都市が残る。「シロヒネシティー」とか「シロヒネブルク」とか、ちゃんと名前もつけておこうw こうして15回プレイし(同じメンバーで続けるのが望ましい)、一番多く勝利した人がグランド勝者となる。一応、それ以降は完成したボードを使って普通の「リスク」のように遊ぶこともできるらしいw ゲーム自体は普通の「リスク」だ。特に最初の何回かはあまり変化しないので、ちゃんとプレイヤー間で調整しないと単調なゲームになりがちなところには、やはり古さを感じる。ゲームバランスがプレイヤー任せなのだ。だが、それでもこのアイディア(そしてほんとに商品化してしまう実行力w)は驚きだ。一度は現物を見る価値があるだろう……プレイするかどうか、買うかどうかはともかくw●サンティアーゴ・デ・クーバ BGGID:jun1sさんによる和訳ルールはこちら。 最後にタナカマさんが持ってきてくれたこれを3人で。 あとからこちらの記事を読んで得心がいったのだが、これは駒が共有のロンデルシステムなのね(駒が共有の時点でロンデルではないのかもしれないが)。商品の船積みと出港が大きなテーマの1つなのに、ちょっとそこの得点比重が低い気がした。50点くらいで勝利したが、その半分以上は建物から得た感じ。自分で選べばマーカーを置いた建物アクションを選んで実行でき(つまりアクションの選択肢が広い)、さらに他プレイヤーがその建物を使えば勝利点が入ってくる「弁護士」が強い気がしたので、早めに何回か取って有用そうな建物をさっさと3つ押さえたのがよかったか。 出港周りのシステムは、どれを取ってもあまり機能してる気がしなかった。だいたいみんな、需要に応じてそれなりの数の駒を持ってるから、出荷できる数はおおむね同じになる。だったら1個2点だろうが4点だろうが、差は広がらないから変わらない。極端に出荷数が変わりそうな場合(タバコだけ需要が3、あとは少なく、タバコを3個持ってるのは1人だけ、なんて場合)、需要を0にする「税関」(これがまた強力で、それゆえに蛇足感が漂う)を誰かが使うだろうしね。特に3人以上でプレイした場合、一部の建物を完封し続けることは難しいので、きっとBGGにあるとおり2人がベストなんじゃないか(現時点で20人中10人が勧めてるに過ぎないが)。 ゲームシステムの一部であるロンデルをメインに持ってきて、それだけじゃさすがに寂しいから、もう1種類建物アクションできるようにした。そんな感じのゲーム。そこそこ面白かったが、私の好みからするとちょっと地味。積極的にぺらぺらしゃべってみたが、プレイ中に何人かが黙考することが多いゲームは趣味から外れるなあ。たとえるなら、「ズーロレット」より「コロレット」が好きな人には向いてる。逆なら「キューバ」やった方がいいw
2012.01.11
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ボックスアートゲームボード(クリックで拡大) Marco Pranzoのデビュー作。パブリッシャーはイタリアのGiochix.it。「俗語論」では検索しても一切引っかからない人物名や歴史的イベントに、「ラ・プラタ川」ではいつになっても終わらないルール改訂に苦しめられたので、このパブリッシャーのゲームというだけで敬遠していたが、どうも評判がいいようなので訳してみた。それにしても、やはり内容物一覧はルールの一番最後にあったな……どう考えても一番最初に持ってくる情報だろ、それはw なお、すでに国内でいくらか流通しており、その邦題は「塩の海の上で」となっているが、どうも塩の海というと塩湖を彷彿とさせるので、ここでは文字通りに訳して「塩辛い海で」とした。 舞台は16世紀フランスの一都市、ルーアン。プレイヤーは塩漬け魚貿易で栄えていたこの町の商人となり、船に塩を積み込んで漁場に出し、ニシンやタラを塩漬けにして持ち帰って売り払って利益を得る。最初は船が1隻しかなく、商売に不可欠な塩を生産する塩田も小さいので少ししか塩が取れないが、新しい船を買ったり、塩田を大きくしたりもできる。また、町の建物の建設に出資すれば、その建物の能力を使って行動を有利にしたり、ゲーム終了時に追加得点を得たりできる。5ラウンドプレイして一番儲けたプレイヤーの勝ち。 まず、ラウンド開始時にそのラウンドのイベントタイルに従って、塩、タラ、ニシンの相場が変動する。「塩+2」とか「ニシン-1」とか書かれてるので、それに応じて価格マーカーを上げ下げする。タイルの一番下には、そのラウンドの天候が描かれている。凪ならまったく問題ない(帆船時代に凪で本当に問題ないのかはともかくw)が、嵐だと漁場に行くときに船が破損し、積荷の積載量が減る。他にも、最初に出航した船が狙われて破損する「海賊」と、漁場に行ったすべての船の水揚げ量が減る「不漁」というイベントが発生することもある。この時点で次ラウンドのイベントタイルをめくるので、プレイヤーは将来の相場変動や天候に注意してそのラウンドの行動を決めることになるだろう。 そのあと、スタートプレイヤーから1アクションずつ実行していく。アクションは4種8種類。誰かがアクションを実行すると、その種類のアクションコストが1金上昇するシステム。たとえばスタートプレイヤーが「建物の建設」を行ったとする。どの種類のアクションも、最初のコストは0金なので、プレイヤーは無料で何らかの建物を建設することができる。そのあと、「建物の建設」は「町アクション」なので、ボード上の都市アクションコストマーカーを1金のマスに進める。次に「町アクション」(「建物の建設」か「塩田の購入」)を行ったプレイヤーは1金を支払わなければならず、その次のコストは2金に上昇する……といった具合だ。いわゆるソフトパスのルールを採用しており、手番をパスしたプレイヤーも、次に手番が回ってきたらまたアクションを実行することができる。 全プレイヤーがパスしたらラウンド終了。ラウンド終了時に使える建物能力を使ったり、建物による収入が発生したり、塩田で塩が生産されたりする。この時点で「銀行」を持たずに40金を超えていたり、「地下金庫」を持たずに80金を超えていたりすると、それぞれその金額まで切り捨てられる。このルールはaleaの「アウグスブルグ」に似てるかな(あっちは必要なものを持ってないと、そもそも上限を超えて得点できないが)。また、借金しているプレイヤー(-22金まで借金することができる)はここで利息を1金支払う。ご利用は計画的に。手番順を所持金順(少ない方から多い方)に決め直して次ラウンドに。5ラウンド終了後、建物による追加収入を得て、最も所持金の多いプレイヤーが勝者となる。 基本ルールは非常にシンプルで、ルールブックでも1ページしか割かれていないw あとは個別のアクションや建物の能力についての説明だ。そしてアクションは8種類、建物にいたっては14種類もある。 何しろ先手が有利なのは明白だ。仮に同じことを追随してやったなら、アクションコストの分で確実に負ける。4種類あるアクションのどれも軽視するわけにはいかない感じなので、今すべきことの中で一番コストの安いアクションを実行するのがいいんじゃないかな。あと、たいていこういうゲームでは最終ラウンドに先手になるのがいい気がするので、4ラウンド目にはちょっとしゃがんで手番順をコントロールするのもありかもw ちょっと気になるのは、メインテーマである「塩漬け魚を売ってお金を得る」までのプロセスの長さだ。1ラウンド目は最初から船に塩が積まれているものの、それでも「漁場に出て魚を塩漬けにする>ルーアンに戻る>市場で売る」の3アクションが必要だ。2ラウンド目以降、塩田で取れた塩は倉庫に置かれるので、この前に「塩を船に積む」というアクションがさらに必要になる。まあ10~16金を持ってゲームを始めるし、ラウンドが進むにつれて裕福になり、コストの高いアクションも実行できるようになって毎ラウンド5、6回(あるいはそれ以上)アクションを実行するんだろうけど、ルール読んだ限りでは冗長のような気もする。ここのところは実際にプレイしてみないと分からないけど。 建物の効果はどれも強力で、どれを建設するかは悩ましい。「銀行」(得点によっては「地下金庫」も)は必須として、2つ揃ってると船を建設できるようになる「造船所」と「海軍兵学校」(船長を養成するらしい)は欲しい。誰かが建設していればいいのだが、造船のたびに建物の所有者はお金がもらえるのだ。この2つを含め、ほとんどの建物は2人か3人までしか建設に参加できないので、自分の戦略に必要だと思われる建物には早めに着手しておきたいところだろう。 お金=勝利点というのは、ちょっと前のクラマーがよく使ってたシステム。お金と勝利点が別のゲームでは、お金をどれだけ使うとどれだけ得(損)なのか分かりにくいが、これは単純明快w 6金儲かるアクションに7金払ったら損に決まってるので、直接お金につながるアクションの損得は計算しやすい。逆に言えば、直接お金につながらないアクションのコストパフォーマンスを以下に正確に見積もるかが勝敗を分けそうだ。 ソフトパスのルールは……どうなんだろう。しゃがんで他プレイヤーの動向を見ることがこのゲームであるんだろうか。先手有利のゲームで他プレイヤーに先に手番渡したら、単純にアクションコストが上がるだけ損な気もするが。うーん、どうだろう。まあ気分的には楽にパスできるか。結果的にハードパスっぽいプレイングになったところで損はしないしなw 基本ルールをシンプルにして、選択肢(特に建物)の多さで悩みどころを増やしてるゲームだろう。多彩な戦術が取れそうで、終わったあとも「あそこであの建物に手を出すべきだった」とか「次はこの建物に注力したらどうなるかな」とか考えられるので、この手のゲームは大好き。5ラウンドで終わるということで、プレイ時間も短めらしい。そのうえアートワークも渋い色合いで実に美麗となれば、これはもう購入まで考えちゃってもいいゲームだ。アメリカのパブリッシャー、RIO GRANDE GAMESからも出るので、いずれ広く流通するだろう。まだプレイしてないけど、大きく外すことはないんじゃないかな。BGGの和訳ページ
2012.01.05
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ボックスアートゲームボード 昨日に引き続き、Friedemann Frieseの「電力会社」シリーズ最新作のご紹介。「Funkenschlag」発売10周年記念作品の一つ。「電力会社:ロボット」が「電力会社」の拡張だったのに対し、こちらは2009年に発売された「電力会社:工場長(ファクトリーマネージャー)」と同じく、「電力会社」の名を冠してはいるものの、独立した別ゲームとなっている。 とはいえ、完全に別ゲームだった「電力会社:工場長」とも異なり、かなり「電力会社」に似たゲームだ。たとえるなら「ズーロレット」と「コロレット」くらいの関係か。かえって分かりにくいかw シンプル、かつ短時間化した「電力会社」と言えるかな。 プレイヤーは原始時代を生きる氏族を率いる長となる。ヘクスで表されている狩り場に氏族を配置し、その狩り場に対応する道具を用意して狩りを行い、食料を調達する。その食料を使って新たな氏族を隣接するスペースに配置し、氏族を大きくしていくが、氏族の維持にも道具の入手にも食料が必要なので、無計画に拡大していると大変なことになる。誰かが氏族規模を13以上にしたらそのラウンドを最後までプレイして、一番氏族規模が大きいプレイヤーの勝ち。 まずはボードを用意し、最初の氏族駒を配置する。特別ルールのない3~5人プレイ時には、プレイ人数分のボードタイルを使う。各タイルには狩り場(「電力会社」でいう都市みたいなもの)が2カ所しかないので、5人でプレイしても10カ所しかない。狩り場1つにつき駒を配置できるスペースは3カ所ずつあるものの、同じ狩り場に隣接して氏族駒を置いても(駒数が増える以外は)意味がないので、「電力会社」に比べるとかなりこぢんまりした印象だ。ここに最初に1個か2個の氏族駒を置く。1個目は無料だが、2個目は1食料かかる(他プレイヤーの駒があるところに置けばもっとかかる)。 そのあと技術カードを競る……いや、競るというのは少し違うか。手番プレイヤーが技術市場(「電力会社」の発電所と同じように4×2枚用意する)の現在市場から1枚を選び、「これがほしい人!」と提示する。他プレイヤーは順番に「欲しい」「いらねえ」と意思表明していき、「欲しい」と表明した中で手番が一番遅いプレイヤーがそれを得る。これだけだ。手番が何周も回ってくることもないし、そもそも競り上げないので技術カードのコストが変わることもなく、購入者はカードに示されたコスト(食料)をそのまま払うだけでいい。こうして、毎ラウンド各プレイヤーは1枚の技術カードを手に入れることができる。基本的には最大3枚までしか持てないのは「電力会社」の発電所と同じ。 技術カードには道具と知識の2種類がある。道具は狩りをして食料を入手するのに必須なので、自分の氏族駒が隣接している狩り場に対応したものを持つ必要がある。狩り場を必要とせず、持っているだけで一定の食料を生む「畑」もあるが(自然発電所のようなもの)、当然入手できる食料はやや少なめだ。 知識はプレイヤーに特殊能力を与える。「畑」の収穫量を増やしたり、道具を3枚ではなく4枚まで持てるようになったりといった感じ。必須ではないが強力な効果が多いので、1枚は入手して、それを軸に戦術を組み立てるといいだろう。 技術を入手したら狩りを行う。狩り場に氏族駒を隣接して置いており、その狩り場に対応する道具(マンモス狩り場なら「槍」、クマ狩り場なら「弓」など)を持っていれば、その道具カードに示されている数の食料駒を得ることができる。このとき、収穫物スペース(「電力会社」での資源市場みたいなもの)に用意されている駒数が多いほど、多くの食料を手に入れることができる。スペースにマンモス駒が3個しかなければそのうち1個しか得られないが、4個以上あれば2個得ることができる、といった具合。人気のない獲物を狩るとたくさん食料が得られる仕組みになっている。また、同じ道具カードを複数持っていたり、同じ種類の複数の狩り場に隣接して駒を置いていたりすると、効率よく狩りをすることができる。 そのあと氏族の維持のために食料を支払い(駒数分だけ払う)、新たな氏族駒をボード上に置く。自分の氏族駒に隣接するスペースにしか置けないが、他プレイヤーの駒が何個あっても(コストは高くなるが)置くことができるので、「電力会社」のように各都市3プレイヤーまでの制限がない分、配置の厳しさは緩くなっている。 このように「電力会社」によく似たゲームとなっているが、大きく2つの点で異なっている。1つは前述した技術(発電所)の入手方法。何しろ競らないので、これだけで恐ろしくプレイ感が軽くなってるし、実際にプレイ時間も大幅に短縮されてる。手番プレイヤーにあるのは、技術カードを提示する順番だけだ。順番によっては誰がどのカードを取るかが変わるので、ここで多少は頭を使う。とはいえ後手番に大きなアドバンテージがあるのは確かなので、毎ラウンドの序列コントロールが大事になってくるのは「電力会社」と変わらない。 もう1つは食料の扱いだ。「電力会社」では家駒を置くのにお金がかかり、その家駒に送電するには発電所と燃料が必要だった。しかしこのゲームでは氏族駒の配置にも、その維持にも、必要なのは食料だけだ。狩りで入手するときには食料駒の種類が意味を持つが、いったん手に入れた食料はただのお金で、金貨と銀貨程度の違いしかない。燃料とお金について考える必要があったところを、食料についてだけ考えればいいのだから、当然その分ライトなゲームになっている。 競りの値付けに悩む>じゃあいるかいらないかの判断だけにしましょう どの燃料を買うか悩む>じゃあ狩り場と道具が一致してれば自動処理で手に入るようにしましょう どこに家駒を置くか悩む>じゃあ隣接するところにしか置けないようにして、選択肢を減らしましょう 家駒を一番多く置いたのに、発電力が足りなかった!>じゃあ分かりやすく、維持したあとで氏族駒を置くことにしましょう。こうすれば一番多く置いた人の勝ちです。分かりやすいでしょう? こんな感じで、とにかく「電力会社」のフリーク向け要素を削り落としたのが本作だと言える。それでも最低限の悩みどころ、ジレンマを残し、ゲームとして成立させているところはさすがFrieseとしか言いようがない。 息をするように「電力会社」をプレイし、楽しめるプレイヤーには、さすがにこのゲームは軽すぎるだろう。なにしろ氏族駒13個配置でゲーム終了、ラウンドごとに最大5個まで配置可能なので、誰かがボード上に8個置いていたら、次のラウンドにはもうゲームが終わるかもしれないのだw 逆に言えば、「『電力会社』が面白いのは分かるけど、俺の処理能力じゃ知恵熱が出るから頻繁にプレイするのはちょっと……」という人がプレイするにはちょうどいい。いずれは「電力会社」をプレイさせたいと狙っているライトゲーマーに、まずはこれをプレイさせてステップアップを図るというのもありだw テーマもシステムにマッチしているので、その日のメンバーや気分に応じてこっちを遊ぶのもいいだろう。いろんなところでいろんな人と遊ぶ機会があるなら、「電力会社」と両方持っていて損はないタイトルだ。BGGの和訳ページ
2012.01.04
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ボックスアート……はまあいつも通りで代わり映えなしwロボットタイル 基本ゲームの和訳ルールはこちら。 Friedemann Frieseの名を知らなくても、「電力会社」というボードゲームなら知ってるという人もいるかもしれない。BGGランキング堂々5位の傑作で、Frieseの代名詞と言えるだろう。結構な数を作っており、そのどれもがテーマかシステムのどちらか(またはその両方)に強い癖がある。このため熱狂的な信者がいる一方、あまり一般受けはしていないデザイナーだが(私が私的に名作の目安としてるBGGランキング300位以内には2作しか入っていない)、この「電力会社」は広くフリーク層の心を掴み、発売以来ずっと拡張マップや追加カードがリリースされている。 2011年は「電力会社」の前身である「Funkenschlag」発売10周年ということで、それに関連した2つの記念作品がリリースされた。そのうちの一つがこれ、「電力会社:ロボット」だ。 ゲーム開始前に、パーツタイル5種30枚(各種6枚)から各種1枚ずつ選び、ロボットを1体組み立てる。通常はこの1体だけを使うが、熟練プレイヤーなら残りのパーツを使って2体目、3体目を組み立ててゲームに投入することもできる。プレイ人数はロボットを含めて5人まで。 ロボットは人間プレイヤーと同等のNPCとして行動する。発電所の競りに参加し、資源を購入し、都市に送電網を建設し、発電して収入を得る。ロボットがそれらをどのように行うかは、まずはルールで規定されている。「自分が持つ最小の発電所より小さい発電所の競りには参加しない」とか、「発電結果が同じならより安い資源を購入する」とか。その上で、ロボットを構成する各タイルには「ロボットが最初に家駒を置く都市の決め方」と、フェイズ2~4での行動をさらに細かく規定する追加ルールが示されている。これによって、ロボットはパーツの組み合わせ次第でゲームごとに異なる振る舞いをするようになるというわけだ。 通常の人間同士のマルチゲームにおいて、「最初から最後まで一貫して一定の方針に従って行動するプレイヤー」と、「他プレイヤーの動きに応じて柔軟に行動するプレイヤー」がいたとする。そのゲームがそれなりにいいゲームで、必勝パターンが発見されていなければ、後者の方の勝率が高いだろう。ここまで極端でなくても、前者のようなプレイヤーは結構いるんじゃないだろうか……私とかなw ロボットはまさに、この例における前者だ。だからこのままではプレイヤーの敵にはなり得ない。それじゃあってことで、5枚目のパーツタイルが用意された。このタイルにはプレイヤーにはない特殊能力が記されている。これがどれを取っても強力で、「競り落とした発電所の落札額の半額しか支払わない」とか、「ラウンドごとに建設した1個目の家駒のコストは無料」とか、もうやりたい放題w まあそういうわけで、「おつむはちょっと弱いけど優遇されてるロボット」を交えて通常通りにプレイし、通常通りに勝敗をつけましょうということだ。もちろんロボットが勝つ可能性もなくはない。 うーん。ルールにも書かれてるけど、基本的には2人プレイ用。ボードゲームには「2~X人用」と箱に書かれていながら、いざルールを読んでみると2人プレイ時には特殊ルールを採用してNPCを立てなければならない、なんてのが結構ある。そんな場合でも、たいていは相当簡略化された動きをするものだ(それ故にそこそこ強く、邪魔w)。なぜなら、コンピューターゲームとは違ってNPCを動かすのはあくまでプレイヤーなので、NPCまで完全にプレイヤーと同じ振る舞いをすると、交互に担当したとしてもおよそ1.5人分は手間がかかってしまうからだ。その分煩雑になり、頭も使うので、「2人でもプレイできますよ」とは胸を張って言いにくいんだろうw しかしさすがは我らがFriese。他のデザイナーにはできないことを平然とやってのけたw しかしシビレも憧れもしないなあ……前述の問題を解決する努力は一切なされてないので、ルールを読むだけでその煩雑さにうんざりする。是非ルールに目を通し、ランダム決定時のルールや、「最初の都市」タイルの6番目の追加ルールを読んでほしい。きっとうんざりするだろうw ロボットの複数使用や、3人以上でプレイするときの使用はとうていお勧めできない。 Frieseファンとして、そしてルールを訳して紹介する者として残念に思うが、「『電力会社』ファンならマストバイ!」とは口が裂けても言えない。10周年の記念にお布施として買うとか、コレクターズアイテムとして持っておきたいというならそれもいいだろう。2人でプレイするならギリギリありかもしれないが……2人でわざわざ「電力会社」をプレイする理由もないんじゃないかなあ。ああ、ルールに従ってランダム決定する場合、互いの手と手が触れあうことになるので、ステディな中になりたい男女でやるにはいいかもw そういう一次的接触を狙うなら、男女2人専用カードゲームよりずっとお勧めwBGGの和訳ページ
2012.01.03
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ボックスアート内容物 1980年、アバロンヒルから「シビライゼーション」という文明の発展をテーマにしたゲームが発売された。7人プレイがベストとされる、公称プレイ時間360分の超重量級ゲームだったが、実に素晴らしいゲームだった。私も学生時代に何度かやったが、そのたびにエキサイティングな経験ができた。このゲームに出会わなかったら、今のボードゲームライフはなかっただろう。 これにインスパイアされて(本人は否定しているがそっくりだしw)Sid Meierが作ったのがPCゲームの「Sid Meier's Civilization」。それを逆輸入してボードゲームにしたのが2002年Eagle Games版の「Sid Meier's Civilization: The Boardgame」。その後PCゲームの方は次々と続編ができ、その3つ目か4つ目あたりを再びボードゲーム化したのが2010年Fantasy Flight Games版の「Sid Meier's Civilization: The Board Game」。これはその拡張第1弾。長大な歴史だねw 要素をごっそりそぎ落としているとはいえ、1プレイに何時間もかかるPCゲームをボードゲームに(雰囲気を損なうことなく)落とし込み、対人プレイができるようにしているわけだから、当然重量級ゲームだ。公称プレイ時間は180分となっているが、初回プレイならセットアップに1時間、インストに2時間、実プレイに6時間以上はかかるだろうw しかし国境線でにらみ合い、互いに軍拡し合う緊張感の中、科学、文化、経済を発展させて勝利を目指す(隙あらば軍事勝利も狙う)のは興奮の連続であり、ダウンタイムなどという言葉はこのゲームには無縁だ。そんな最高のゲームに拡張が出ると言うんだから、期待しないわけにはいかない。 基本セットのエラッタ、細かいルール調整のほか、まずは新たな文明と技術カード、文化イベントカードが追加された。これは拡張と聞いて一番に思いつくところだろう。文明はインド、ギリシャ、アラブ、スペインが追加され、どれも魅力的な特殊能力を持っている。新たな文明シート 技術/文化イベントカードはもともとどちらも充分な数が入っていただけに、技術カードは4種類、文化イベントカードは7種類(うちいくつかは同効果の時代別版)にとどまった。 続いて追加文化遺産が9種類。各時代3つずつで、これまたとんでもない効果を持ったものばかり。どれを取っても勝利に大きく近づくだろうが、安くても10生産点が必要だ。これを捻出するには相当な努力が必要だろう。 その他、小屋/村マーカーも新たな効果を持つものが追加されたり、1回限りの特殊効果が使える遺跡マスが登場したりと、細かい追加がある。 基本セットでは軍隊/開拓隊フィギュアは一度生産すると自主的には取り除けなかったが、この拡張では都市中央部でこれらのフィギュアを“解散”できるようになった。軍隊を解散すると、1回だけその都市の防衛時に戦闘力+2できる「要塞」マーカーを置くことができ、開拓隊を解散するとその都市の生産力を1回だけ+2する「隊商」マーカーを置くことができる。正直大きな効果とは言えないが、あと少しが必要なとき、このルールに助けられることがあるかもしれない。 ここからはかなり大きな追加ルールになる。まずは「メトロポリス」のルール。なんと首都に限り、1×2マスを占有するメトロポリスタイルに置き換えることができるのだ。当然郊外マスは8から10に増えるので、首都で得られる商業/生産/文化点が飛躍的に増える。防御力も増し、建物や偉人も多く置けるようになるのだからいいことづくめ。しかもメトロポリス化の条件は、1レベルの「農業」技術を学習することのみ。序盤の戦略はほぼ絞られたんじゃないだろうか。メトロポリスマーカー お次は偉人カード。基本セットでは「ちょっと強力で再利用可能な建物」に過ぎなかった偉人。その能力をまるまる残した上で、さらにカードを引いてその特殊能力を使えるようになった。単純に強化されたといっていいだろう。偉人は古代から近代まで幅広い分野からチョイスされており、「ミケランジェロ」「ガリレオ・ガリレイ」といった誰でも知ってそうなものから「ジム・ヘンソン」「アッシジの聖フランシスコ」など難易度の高いものまで。日本人からは芸術家として「黒澤明」が登場。さすが世界のKUROSAWAw さすがに効果は若干弱め(マーカーの能力も残っているんだから、これは当然)で、使い捨てのものが多いが、中には「すべての都市で以降ずっと+2生産点」とか、「使い捨てでこのターンに限り27(間違いではない、27だw)商業点ゲット」とかぶっ壊れたカードもある。偉人を得るには文化マーカーを進めるしかないので、文化勝利を目指すモチベーションとしても機能しそうだ。偉人カードのほんの一例 最後は投資カード。基本セットは充分に傑作なのだが、さすがに4つある勝利条件のバランスが完全には取れておらず、比較的経済勝利が簡単、軍事勝利が困難な印象だった。おそらくそれを是正するために追加されたのが、この投資カードだ。技術カード上に置かれたコイントークンを支払い(建物や偉人などが持つコインアイコンは支払えない)、投資カード上に置くと、その枚数に応じたボーナスが得られるようになる、カードは技術カードのように各プレイヤーが同じものを4種類持ち、それぞれ「都市の生産力増大」「文化マーカーを進めるときの文化コスト減少」「軍事力の大幅増強」「無料での技術学習」と、経済的勝利以外の勝利条件に貢献するようになっている。コイン1枚2枚からすぐに強力な効果を得られるので、「ある程度コインを集めたけど、経済的勝利にはちょっと遠い」ときには投資につぎ込むのもありだろう。投資カード全4種 全体として、入れない方がいい拡張はない。たとえ「シビライゼーション」をプレイするのが全員初めてだったとしても、全拡張を入れた方がいい。なぜなら、どうせ基本セットだけでも規格外の重量級ゲームなのだから、今さら拡張をちょっと足そうが引こうが変わらないからだw 強いていえば、奇数でプレイするとマップの形が歪になり、初期配置によってほんのわずかな有利不利が生じるので、この拡張で追加された5人プレイはやめた方がいいだろうw 半日つぶす覚悟でないとプレイできないゲームなので、なかなか機会もないだろうが、その面白さには太鼓判を押せる。聞くところによると、関西にはメンバーのほぼ全員が基本セットを所有し、信じられない回数のプレイをこなしている猛者集団もあるというくらいだw 「重すぎるゲームはちょっとなあ」と尻込みしている人も、一念発起して基本セット/拡張の両方を揃え、是非一度プレイしてみていただきたい。
2012.01.02
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ボックスアートゲームボードゲームボード拡大図 デザイナーはMichael RieneckとStefan Stadler。いくつかの小さな賞を取った「大聖堂」のほか、「キューバ」「大聖堂:終わりなき世界」といずれもBGG100~200位くらいの良作を作ってきたコンビだ。Stadlerは1人では数えるほどしか作っておらず、Rieneckは1人だとろくなものを作らない(特に軽量級になればなるほどひどいw)という印象だが、2人そろうと私好みのゲームを作るので、今作にも早くから注目していた。タイトルは英語読みすると「フォーチュナ」ってとこだろうけど、古代ローマが舞台ってことで、ラテン語読みして「フォルトゥナ」とした。 初っぱなから文句を書くのも見苦しいが、このゲームのルールブックにはゲームの背景を記したフレーバーテキストがない。たぶん箱裏にあるんだろうが、できればルールブックに書いて欲しいところだ。 プレイヤーは(おそらく)古代ローマにおける地方都市の偉い人になる。官僚が地方より中央を目指すのは古今東西変わらないので、プレイヤーもローマを目指す。そのためにはカエサルのご機嫌を取らなければならず、ローマ人が水不足と聞けば水を、食糧不足と聞けば穀物を持って飛んでいき、カエサルが酒宴を開くと聞けば地元のワインを献上し、戦争すると聞けば鍛え上げた百人隊長を兵役に出す。そうして一歩一歩着実にローマに近づき、誰かがカエサルの宮殿に到達した時点でゲーム終了。ここでローマ市内にすら入っていないような腑抜けは足切りw 残ったプレイヤーで一番勝利点を稼いだプレイヤーが勝ち。 まず、手番プレイヤーはさまざまなアクションを実行する。実行できるアクションは最初に配られた3枚のカードによって決まるのだが、これが全プレイヤー公開情報となっている(1枚は裏向きになってるが、何のカードかは分かる)。自分のカード3枚から1枚を選んで(必須)そのアクションを実行する(任意)のだが、そのあと選んだカードを他プレイヤーの表向きのカードと交換する。ここがこのゲームの肝だろう。取ったカードは裏向きになり、裏向きのカードは他プレイヤーによって交換されることがないので、次ラウンドに実行したいアクションカードが他プレイヤーの手元にあるなら、それを取って確保すればいい。もちろん表向きで残っているカードを使ってもいいし、先手プレイヤーから交換で来たカードを即座に使ってもいい。自分で取ったカードを使い続けて計画通りにプレイすることも、降って湧いた好カードを使って計画を修正することもできるということだ。 各ラウンドのスタートプレイヤーさえ、このカードで決まってしまう。ラウンド終了時に「フォルトゥナ」カードを持っているプレイヤーが次のスタートプレイヤーとなるので、不利な後手(かなり不利なのだ)はこぞってこのカードを狙ってくるだろう。また、このカードをアクションとして使うとローマに1歩近づくことができる。何しろローマの宮殿に到達するのが終了条件で、近づくほど得点も増えるから、これは非常に直接的で強烈な効果だ。しかし、もちろん使ってしまえば他のカードと交換しなければならず、それは有利な先手を失うことになる。判断に迷うところだろう。 軍事力である百人隊長駒を支払えば、カードを交換することも裏返すこともなく、自分が持つ表向きのカードを使って追加アクションを実行できる。これも強烈な効果だが、百人隊長駒は結構高いし、他の使い道もある。毎回追加アクションというわけにはいかないだろう。 アクションを実行したら、皇帝のご機嫌を伺うためにダイスを振る。1~6番の好意カードがあり、プレイヤーは出目以下の番号を持つカードを1枚選んで使うことができる。1番のカードなら水駒1個でローマに1歩近づき、2番のカードならワイン駒1個か2個でローマに1歩か2歩近づき……といった具合だ。当然、出目が大きい方が選択肢が増えるのでありがたい。アクションの中には振るダイスを増やすものがあり、そうすると振ったダイスの中から任意の1個を選べるので、高い目を出しやすくなる。かなり高コストだが、実行する価値はあるだろう。1回使われたカードはラウンド中裏返され、使えなくなるので、単純に後手が不利だ。スタートプレイヤーを取るのが重要になる。 5番と6番の好意カードはちょっと趣が異なる。アクションの中に「結婚する」というものがあるのだが、結婚した状態で5番のカードを使うと無料で1歩進める。さらに結婚した状態で「邸宅」を建て(アクションに「建設」がある)、5番のカードを使うと無料で2歩進める。結婚していて家を建てていると、それだけで男としての格が上がるということらしい……リア充か! 結婚してる奴がそんなに偉いのか! 独身じゃダメなんですか! ……ふう。さて、6番のカードは宗教がらみで、神に仕える「ウェスタの処女」と呼ばれる修道女を抱えていると、それだけでその駒数分ローマに近づくことができる。ウェスタの処女駒は失われないので、駒を持ってダイスで6を出し続ければ、かなり楽にローマに近づけるだろう。もちろんウェスタの処女駒は高コストだし、6が出るかどうかはダイス次第なので、そううまくはいかないだろうけど。 何ラウンドか使われなかった好意カードには特権トークンが置かれ、これが置かれているカードを使うと特権カードを1枚得ることができる。効果は資源駒をもたらしたり、ローマに近づいたりといろいろだが、やはりゲーム終了時に勝利点をもたらすカードは何枚か欲しい。このルールがあるため、あまり人気のある好意カード(6番とか)ばかり取ってもいられない。即座にローマに近づくか、将来の利益に投資するか。バランス感覚が問われそうだ。 さて。最初に挙げた「大聖堂」「キューバ」「大聖堂:終わりなき世界」に比べると、少し軽い印象。カードアクション部分が独特で、似たゲームを思いつかないので、どんなゲームになるか想像できない。各人がひたすら自分の路線を淡々と進みそうな気もするし、他プレイヤーが取ったカードを見て次以降のアクションを予想し、ブロックしたり競合を避けたりと考えるゲームな気もする。どうだろうねえ。 それより気になるのは、やはり皇帝の好意を得る部分だ。何しろダイスを振る。別にランダマイザーはダイスだけじゃないけど(カードだってたいていのゲームではランダムに配られるんだし)、それでもダイスを振るとなると運の要素が強く思えてしまう。どれだけ準備を調えても、出目が1なら水駒1個しか献上できないわけだしw やはり早めにダイスを最大(3個)まで増やすのがセオリーだろうか。とはいえ、これもアクションだからカードを取れないと話にならないわけで。2個がせいぜいかなあ。どうだろう。 正直言って、ルールを読んだ段階で「やべえ、こいつは面白そう!」って感じにテンション上がるゲームではない。しかし実績のあるデザイナーコンビ、美麗なアートワーク、どんなプレイになるか予想できないシステムと、興味を引かれるところは多い。なんとしても一度はプレイしてみたいゲームだ。
2012.01.01
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