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2006年03月03日
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テーマ: 映画と原作(88)
カテゴリ: 海外文学
ゲド戦記 最後の書 帰還  『帰還 ゲド戦記 最後の書』Tehanu (原作1990年 邦訳1993年)

初老、ゲド故郷の島に帰る ~癒し 再生~

平和と秩序を回復するため全力を出しきったゲドは,故郷の島に帰った.心身ともに衰えた初老のゲドに,思いがけない女性との再会が待っていた.

<3部作>として世界各国で人気を得ていた「ゲド戦記」(Earthsea Trilogy)だったが、1990年に18年ぶりに4巻目が出た時に広く話題を呼び,また魔法と女性について、フェミニズムの視点からも注目を集めた。
この4巻目は「最後の書」とうたってあったが、2001年に5巻目が発表され、出版界・読書界を驚かせた。現在全6巻シリーズ





ゲド戦記 「帰還」 テハヌー

●第四巻は テハヌー

この巻の題名”テハヌー”。物語の語り手はテナーです。ゲドとの出会いから25年の月日が経っており、彼女は一人の少女を引き取ります。虐待を受け、顔にひどい火傷を負ったテルー(テハヌー)は心を閉ざしています。テハヌーの内面はほとんど書かれていません。彼女が何をした、話した、といったテナーの言葉のみです。彼女は<性>と<暴力>の被害者。この4巻目が、前<3部作>以来のファンの期待を裏切り、ファンタジージャンルではない話とされる象徴的存在です。しかしこれが、ル=グイゥンさんが18年ぶりに取り込みたかったテーマです。そして、決して話の主体に常にテハヌーがなっているわけではないのですが、やはり、この巻はテハヌーで始まり、テハヌーで終わっているのです。

前<3部作>とは趣が変わり、輝かしいゲドの冒険が中心の話ではありません。かつてのヒーロー「大賢人」ゲドは、疲れ切った初老の男。ロークの「大賢人」の座は空席となってしまいます。かれらがアースシーの庶民の家庭的・牧歌的な日常の風景のなか、ゆるゆると<再生><癒し>がなされていくのが、感じられた巻でした。

ゲド戦記は読書対象年齢が小学高学年~ですが、それは3巻まで。この4作目のベースに流れる絶望、虚無、老い、受容、理不尽さは、大人でないと不快だろうし、中年の男女の機微など理解出来ないかも?

で、中年の読み方は↓

●ロマンス小説としてたのしんじゃった

「こわれた腕輪」での出会いから25年。かつての大巫女は普通の女としての人生を送っていました。そこへ帰ってきたゲド。傷つきカラッポになって。元大賢人と元大巫女、つりあってますよねー。シリーズのあらすじを読んだ時、ロマンスもの好きとしては面白そうと思いました。格調高いゲドものがたりで、どんなロマンスが?と、いう視点で面白かった。 <生と死><光と闇><喪失と再生>などの深いテーマをはぶいて、ロマンスなんて邪道だ、というゲドファンからお怒りの声がくるかもしれませんね~。でも、この切り口でも面白いと思ったのですよ。

●再会 

長い年月を経て、ようやく再会を果たしたのに、かつて、暗闇の「アチュアンの墓所」からテナーを連れ出してくれた、力強く誇り高い男は、力をなくしカラッポで、そのことにイジイジしてる。イジイジしてるゲドなんて~!と思いますがね。 竜王ゲドはいずこに。やけに人間くさい。ふたりはなかなかスンナリとは収まりません。。




●「フェミニズム」
「フェミニズム万歳小説」などと一部で言われているようです。
 ■現代思想の最前線

ファンタジー本 ゲド戦記
第一巻 『影との戦い』原作本感想   A Wizard of Earthsea 1968
第二巻 『こわれた腕環 』原作本感想 The Tombs of Atuan 1971
第三巻 『さいはての島へ』原作本感想 The Farthest Shore 1972
第四巻 『帰還』原作本感想       Tehanu 1990
第五巻『アースシーの風』The Other Wind  2001
第六巻『ゲド戦記外伝』 Tales from Earthsea
「ゲド戦記」日記 映画と原作
ゲド戦記映画鑑賞感想
「真の名前」が重要な意味を持ち、太古の言葉が魔法の力を発揮する世界「アースシー」。「アースシー」を舞台に、魔法使いゲドの人生のそれぞれのステージを描く、深い哲学的テーマを抱いた傑作ファンタジーです。2001年に最新刊「新しい風-ゲド戦記5」を発表してファンを驚かせたアーシュラ・K・ル=グウィン氏。普遍的なテーマをふくんだこの作品は、時間を経て読み返すとまた違った感動が発見できます。未読の方はもちろん、すでに読まれた方もぜひ再読を。
ゲド戦記 (岩波書店サイト内) / ゲド戦記の映画はなぜ第3巻なのか






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最終更新日  2008年08月05日 23時04分55秒


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