黄門光圀を討ち取れ
寺社奉行からのお許し状を住職に見せ、火付けをはたらいた曲者が逃げ込んだのを話し、黄門様は今奥にいらっしゃる方にお目にかかりたいといい、部屋に案内してもらいます。
そこにいたのは、一ぜん飯屋で会った大原健之助となのる男でした。大原が「曲者を追い込まれたとか」といったとき、押し入れで物音がしました。 助さん、格さんが動こうとするのを黄門様が止めます
。
すかさず、大原が「いや、ねずみでござる」、ねずみ取りの薬を仕掛けたので間もなく静かになります、と黄門さまにいいます。黄門様はじっと動かず、 大原から視線を外しません
。
大原が語ります。近ごろ世間ではねずみが増えたと聞く、全国で約 20
万とか、 800
万石の江戸に集まるのも自然の成り行きといい、ねずみも生き物、食物を求めるのはしかたのないことだが、「燭台に戯れ倒し家を焼くなどの過ちは、 放置しておくわけにはまいりますまい
」と大原がいうことをじっと聞いていた黄門様が口を開きます。
黄門様「いやあ、ご書見のお邪魔をいたしました。ねずみの死骸は、当院のご住職
にゆだね、我々はこれで引きとらせていただきます」
といい、部屋から出て行きます。
すると、大原は刀を取り、押し入れをあけ、隠れていた滝川が助かったとほっとした顔で礼をいうと、
大原「未練もの。武士らしく自決する勇気もないのか」
滝川「幕府をくつがえし、天朝のみよにするまでは・・・」
大原「ほざくな、うじ虫。世間を擾乱におとし入れ、己の栄達を謀らんがために、
勤王味方を口実として利用する。その方どもの魂胆、わからぬ身共と思うて
おるか」
滝川が刀を抜き、大原にかかっていき、一刀のもとに斬られた声が、真如院の玄関先で耳にし、引き揚げる途中で、黒覆面の一団に囲まれます。
一団の中にいた金井将監という侍は、黄門様を見て気づいたようで、薄笑いをして
将監「梅右衛門とかいう老いぼれ目明しが、我らの手の者にうるさくつきまとうと
聞いて、片付けに出て来た。・・・これはまた、意外な獲物だ。まず、左右
に控えた下っ引きから化けの皮を剥ぎもうそう。佐々木助三郎、渥美格之
進、と申せば、中の御仁の身元はすでにお分かりであろう。先陣の血祭りに
は恰好の品物」
そこまでいったとき、黄門様は笑いを浮かべ
黄門様「相手を探って、己をなのらぬ。近ごろのねずみどもは、一段となり下がっ
たようじゃ」
といわれたので、金井将監は、由比正雪の高弟金井半兵衛の一子将監だと名乗ると、一団の者に 黄門光圀を討ち取れといいます
。
黄門様、助さん、格さんが強いとはいえ、将監の一団の人数には手を焼いているところに、中将綱条の命令でやって来た朝比奈弥太郎がはいり、気を逸したと将監はその場を引きあげます。
続きます
。
水戸黄門・・・(6) 2023年11月28日
水戸黄門・・・(5) 2023年11月23日
水戸黄門・・・(3) 2023年11月05日
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