決心さえつけば立派な頭領になれる男だ
入海に浮かぶめくら船のところに
、鹿門は来ていました。入道の「あなたのために、 新しく造っためくら船
、これこそ父上の意志を継ぐめくら船、 まことの八幡船
」、黒白斎の「どうぞ、お父君丹後守様の志を継ぎ、めくら船にお乗りください」という声が頭をめぐったとき、道休の「 それは嘘だ
」という声が、鹿門にはめくら船の方から聞こえてきたので、足早にめくら船の方に駆け寄っていきます。
また「鹿門」と呼ぶ道休の声に、鹿門は「 お父つぁん
」と呟き、 めくら船へと吸い寄せられて
いきます。
船上に上ると、「 お父つぁん
」「 お父つぁーん
」「 お父つぁーん
」と大声で叫びますが、何の返事もない。そのとき、「 兄さーん
」と小静の声が聞こえ 喜びそちらの方へ行ってみます
が小静の姿はなく、力なく「小静」「小静」と呟くのです。
そのとき、 人の気配を感じ
、「 誰だッ
、出ろ」と叫びますと、姿を出したのは謝花という若い女で船から逃げようとするのを捕まえ、入道につけろといわれたのか、というと、「 違う
」と女は言い、自分の親を忍んでこの船にやって来たといいます。
ニセのめくら船に右衛門大夫に一族皆殺しにされ
、自分は奴隷に売られた、それを救ってくれたのは新蔵人だ、と謝花がいいます。
謝花は「あなたはこの船をつがれるお方、・・・お願いです、私の仇を討ってください、憎い仇を討ってください」と、じっと聞いている 鹿門に激しく言い寄ります
。そのとき、「 おやめ
、 謝花
」と寿賀の声がします。
「その男に頼んでも無駄よ」といってきた 寿賀に
、 鹿門は憤慨
します。
寿賀「折角の めくら船も大将がなくて可哀想ね
。第一そんな意気地なしが、めくら
船の頭領になれるもんですか」
そういう寿賀を「 待て
」と追いかけようと船を降りようとすると、下に島を案内すると 伝馬達が小舟で
待っています。これには、 鹿門も興奮さめあきれ顔に。
鹿門のような奴が八幡船を率いて七つの海を渡れると思うか、と怒る新蔵人に、黒白斎は、自分が海の男に育てるといい、入道は、あれだけの性根があれば、決心さえつけば立派な頭領になれる男だ、といいます。
知らせを受け、黒白斎が慌てて海の岩場に駆けつけます。小舟に乗っていた伝馬達をやっつけ、鹿門が舟を奪って逃げたのです。
続きます
。
炎の城・・・(11) 2024年08月05日
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