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キッズベースキャンプのなかで唯一下町の風情があるのがKBC雪谷。田園調布や久が原、雪谷、千束といった大田区北部の高級住宅地に囲まれた、東急池上線石川台という小さいが活気のある駅前の商店街。お惣菜のいい匂いがしてくる。古き良き昭和に存在した子どものコミュニティの再現。ALLWAYS三丁目の夕日の世界がここにある。3階建ての一軒家は子どもたちの秘密基地。いつもそこには暖かい雰囲気がある。隣の神社をホームグランドとし、縦横無尽に走り回る。子どもらしい素直で元気な子どもたち。しっぽとりおにで外を走り回って、転んで擦りむいて泣く子ども。どうすれば転ぶのか、怪我を避けるはどうするべきか、危険回避能力を遊びの中で身につけ体で覚えていく。よく話題になる現代っ子の運動能力低下もここの子どもたちは関係なさそうだ。多摩川土手ではダンボールで草すべり。勢いよく駆け下りたり、体中草だらけになりながら転がり落ちるを楽しんでいる。 反抗期でコーチに生意気な口をきく子どもを母親のように包み込み、悪いことは悪いとしっかり躾けもしていく。コーチとの信頼関係ができていることは子どもの目や態度でよくわかる。子どもたち惹きつける人間的魅力。学校の先生とも両親とも友達とも違う存在。常に目配り気配り。特定の子どもの相手をしていても、他の多数の子どもの様子に変化がないか、怪我、体調不良、けんかなどに注意している。大田区の各地からお問い合わせがあり、この春は送迎スタッフを増員して通学サポートできる範囲を増やして行きたい。
2008.01.20
サンデープロジェクトで福島県の矢祭町という人口1万に満たない小さな町の改革が取り上げられていた。総務省は国の莫大な財政赤字から地方交付税や補助金を効率的に配布するため、飴とムチを使い市町村合併を強引に進めてきた。机上の理論では正しいことが必ずしも最善の策になるとは限らない。矢祭町は、2001年10月「合併しない宣言」を発表し行政改革を始めた。合併が進めば行政区の中心だけが栄えて中心地以外の過疎化が進む。税金の配り方という仕組みを変えるのではなく、根本的に行政を小さくして必要なサービスは手厚くしようと、「自立する町づくり」が始まった。議会も協力率先し議員定数を18人から10人に削減。町長、助役、収入役、教育長の報酬を大幅に削減。32人いた嘱託職員を7人に減らして役場の掃除も自分たちで行う。デーサービスや給食センター運営は民間委託し、機構の統合など進める一方で、窓口サービスは年中無休に変更。平日は朝夕2時間延長した。書籍購入予算がないなか、図書館を作りたいという住民に応えるため、昨年夏「もったいない図書館」をオープン。全国から要らなくなった本を集めたところ、メディアで取り上げられる度にこの住民本位で改革に取り組む町の人に全国から善意が寄せられ、遂にその数は40万分を超えた。この図書館の準備から運営まで町民のボランティアが支えている。根本町長は2003年3月一度は引退しようとしたが、議会で発表する日に町の人たちが町長室に押しかけ、涙を流して訴えて、引退を思い留めさせた。それから5年経ち70歳で引退したが、町の人が参加する新しい行政が後退することはないようだ。やはり大きな改革、大きな成果を生み出すのは仕組みよりも人。キッズベースキャンプの運営母体エムアウトでもより高い成果を求めて、組織の変更を繰り返すが、結局人がついてこなければ成功はしない。サッカーでもシステムが4-4-2でも4-3-3でもプレーヤーがシステムの意図を理解し、全員が高いモチベーションを持ち、同じ意図で連動して動けなければ成果はでない。根本町長のような人格と行動力を備えたリーダーになることはとても難しいことだが、少しでも近づけるよう精進を続けて行きたいと思う。竹内謙 コラム「Samurai Mayors」矢祭町もったいない図書館
2008.01.13
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