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四国から自宅に帰って少し落ち着いた生活を取り戻しつつある。30日に帰宅、1日は出勤して仕事、2日は脊椎菅狭窄症の治療で通院、3日から後半の4連休に入った。3日は国立能楽堂に娘と二人で能を観にいった。観能は超久しぶりである。昨年お世話になった雲南懇話会から案内を頂いたので丁度、休日でもあるので千駄ヶ谷まで足を運んだ。国立能楽堂はシンプルで重厚だった。春綱会の自主公演なので人は少ない。席も十分空いていたので娘と正面の良い席に座った。能舞台の松の緑がはっきり見え、橋がかりもよく見えてよい席だ。 国立能楽堂入口午後3時頃、会場に入った。番組は様々だった。独吟、舞囃子、仕舞いなど能のお稽古の基本的なものが沢山続いた。驚いたことは女性が激増していたことだ。私が能に惹かれて能楽堂通いをしていた頃、能楽堂の舞台に女性の姿はなかった。最後に本日の本命である能「高砂」が演じられた。やはり能が見ごたえある。仕手を演ずるのが雲南懇話会の会員であるMさんという男性だ。直接お会いしたことはないが雲南懇話会は京都大学出身の山岳関係者なので多分登山もしている人だろう。 とても面白かった。静かで動きのない前半から中入りを挟んで後半、住吉明神がきりりとした面をつけ黒髪にきらびやかな装束で登場して颯爽と舞を舞う。能のエッセンスを堪能した。娘も楽しんでいたようだ。
2024年05月04日
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2月25日日曜日。今日は再び朝から雨が降って寒さが戻った。一昨日の寒さがものすごくこたえたので、今日は最初から厳冬期登山の肌着を着込んだ。午前中はのんびりし、昼前からシネプレクス幕張に待望の映画を観に行った。好きなことなら雨の中でも苦痛なく行動するから人間て面白い動物だ。映画は熊川哲也版新制作 眠れる森の美女 ㏌ CINEMA で2023年10月27日に東京文化会館大ホールで行われたバレエ公演の収録を映画形式にしたものである。実際のバレエ公演はステージからけっこう離れていて細部まで見ることはかなわないが、収録された映像なので細かい所までよく見えて劇場で観るより良くみえた。オーロラ姫の日高世菜 デジレ王子の山本雅也の二人が主役で高難度の舞踊を呼吸の乱れも感じさせない完璧さで踊っていた。さすがと言えばさすがである。難度の高い演技の時には途中でも観衆の拍手が入っていて実に臨場感満載、更にダンサーの迫力ある舞踊を息をつめて観ていてうまくいったときには自分も拍手したいような場面もあり、思わず拍手しそうになったが映画館ということを思い出し、かろうじて止めた。この他にもカルボスの小林美奈、猫役の辻梨花、栗原柊、ブルーバードの吉田周平、狼の杉野慧などキレのよい光る舞踊で目を惹いた。全般にすごいダンサーばかりでさすがは今をときめくKバレエカンパニーだった。次の作品は劇場で観たい。
2024年02月25日
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11月23日水曜日。勤労感謝の日。せっかくの休日なのに朝からシトシトと雨が降り続き、アウトドア活動は全面不可。午前中はイオンに出かけて孫と四国の姪の子どもたちにクリスマスプレゼントの手配をし,自分用に新年の手帳も買ってきた。午後はかねてから気になっていたkバレエカンパニー主宰・熊川哲也芸術監督の「カルメン in Cinema」を観に幕張新都心まで出かけた。作品の特殊性もあってか広い劇にに観客は私も含めて3名だった。第1幕2場と第2幕2場100分の上映だったが、第2幕あたりからあまりの魅力的舞台にすごく興奮し、熱狂した気分を押さられず、未だに興奮がさめやらない。カルメンを踊った日高世菜の超絶技巧と男を誘惑しとりこにしてしまうこれまでのバレエで見たことのないバレエ(それは即ち熊川哲也の振り付けのすごさに他ならないのだが)に目をみはった。そのカルメンに誘惑されて身を亡ぼす真面目な竜騎兵の伍長ドン・ホセの石橋奨也も舞踊も表現力も見事で言わば踊る俳優だった。更に栗原廉が花形闘牛士エスカミリオを容貌、整った肢体、極める踊りの三拍子揃ってこの上ない完璧さだった。あまりのかっこよさに目が釘付けになった。悲劇的な結末を迎えるまでたるむことなく刺激的舞台の連続だった。良い舞台を見せてもらい大満足だった。劇場で見るとステージまで遠くて手に取るようには見えないが、映画だとすぐ目の前で踊るので迫力あったし、ダンサーの細部の表情まで見えてよかった。
2022年11月23日
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10月27日木曜日の午後に渋谷の文化村オーチャードホールまで出かけて熊川哲也芸術監督のバレエ「クレオパトラ」を観てきた。いつもテレビに映るあの渋谷の大混雑のスクランブル交差点を渡って東急デパートにたどり着くまでが田舎者の私にはまず最初の核心だった。バレエは素晴らしかった。自らも卓越したバレエダンサーの熊川哲也さんが振り付け、監督した創作バレエ「クレオパトラ」は2幕でクレオパトラ、アントニウス、シーザーなどが見事なパフォーマンスで一刻も目を離せない凝縮した場面の連続だった。特にクレオパトラの踊りはこれまで見たことのないような高度な技の連続でこれを2時間も連続して踊るバレエダンサーの超絶技巧・体力・表現力・精神力はいかばかりかと驚嘆した。熊川哲也の振り付けはバレエの伝統的な高度なジャンプや回転をふんだんに盛り込みながらも官能的な場面も多く、最新のバレエ芸術を堪能しで頭が覚醒した気がした。 この垂直に上がっている足と鍛え上げた体の美しさに驚嘆した 画像は当日ホール入口で流されていた宣伝用DVDから
2022年10月28日
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12月25日クリスマスイブの夜に、幕張メッセの映画館で熊川哲也Kバレエカンパニーの「くるみ割り人形」ライブビューイングが上映された。バレエも大好きで(勿論観るのが)若い時はよく劇場に行ったが、最近はとんとご無沙汰だった。この日は丁度時間ができたので夜7時からだったが思い切って出かけた。クリスマスイブの夜にバレエを観にくる人は稀だという予想に反して場内は思いのほか観客がいた。チャイコフスキーのバレエ音楽くるみ割り人形をバックにビューイングが始まった。1幕前半は冗長な気がしたが、どんどん盛り上がってさすが!!という素晴らしいステージだった。特に1幕最後の雪の女王と王子の場面の演出は類をみない美しく幻想的なもので感動した。第2幕ではアラビア、ロシア、スペイン、中国などの人形の踊りが特徴的で見どころが多かった。しかし圧巻はマリー姫と王子のパ・ド・ドゥだった。超絶技巧の技やリフトを至る所にちりばめた振付を完璧に踊り続けていく凄さ!!。このくるみ割り人形の芸術監督をしている熊川哲也が登場してきた時、そのジャンプの高さ、ポーズを決めて静止した時、微動だにしない安定性と確実性で驚愕したものだったが、今やそれが普通になっている。王子役の栗原 廉のカッコ好さは群を抜いていて彼がステージに登場する度、拍手が湧いた。最後は王子、マリー姫始め全員が登場して華麗に舞い納めて素晴らしく盛り上がった。十分に楽しみ、バレエと音楽を堪能できた。ステージを直接観るのではなくライブビューイングという形だったがこれで十分楽しめるということがわかった。次に機会があったらまた来ようと思った。帰路、幕張新都心の電飾が慎ましく輝いてクリスマスムードを演出していた。
2020年12月25日
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会津駒ケ岳から下山した時点でまだ8時過ぎだった。ガイドのkさんに案内してもらって雨の中、まず桧枝岐歌舞伎の舞台を見にいった。桧枝岐という土地にも憧れがあったが、中でも桧枝岐歌舞伎は長い間、一度は観てみたいと願っていた郷土芸能である。今日、歌舞伎そのものは観れないとしても舞台を見るチャンスに恵まれ、舞台に着く前から胸が高鳴っていた。道路から少し入った所に露天でその舞台はあった。思いのほか小さくてこじんまりしている。花道も短い。折からの雨で森全体が薄暗いのが残念。 入り口の案内板 歌舞伎の建物 中央が舞台 左側が花道 舞台古色蒼然とした舞台はこれで歌舞伎の様々な演目が演じられるのかと思うほど狭かった。勿論お江戸の歌舞伎座のような舞台とは思ってはいなかったがとてもつつましく、過疎の地の伝統歌舞伎の舞台という現実感があった。この舞台は反対側にある愛宕神社をむいている。神様に五穀豊穣を願って捧げる奉納歌舞伎なのだ。そしてその神社を背にして村人が石造りの階段に座って歌舞伎を楽しむのである。 観客席すっくりと立つ巨木に囲まれた石の客席、歌舞伎当日にはここにおよそ2000人が集まるという。何だか胸が熱くなって感動してしまった。2000席というと我が習志野文化ホールより多い。中央に舞台があって円形状に広がっている作りはどことなくローマのコロッセウムを連想させられた。その昔、江戸で歌舞伎を観劇した農民が、見よう見まねで村に伝えたのがはじまりと言われ、以来、親から子へと270余年に渡り継承され、衣装作りから化粧など裏方もすべて村人が行っているというから凄すぎる!!。 歌舞伎の夜 演者も観客も全員が村人というのが圧倒的凄さ 下の写真三点は資料よりの抜粋です会津駒ケ岳も良いけど、必ずこの桧枝岐歌舞伎を観に来ようとかたく心に誓った。
2019年07月03日
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10月19日、遂にオペラ「アイーダ」を生で観た。一夜明けてもまだ興奮が冷めやらない。スロヴェニア・マリボール国立歌劇場の公演が渋谷のBunkamura・オーチャードホールであったので娘と一緒に出かけたのだった。長い間音楽とともに生きてきたが、このアイーダの生公演は観る機会がなかったので今回積年の願いがかなった。予想以上の素晴らしさだった。アイーダ役のマリア・グレギーナのドラマティックソプラノの驚異的な表現力、声量、つややかな声質に驚嘆した。すごい!!としか言いようがない。彼女が歌うと遠く離れた客席の私の腰骨や背骨にビーンと響くことが何度もあった。骨に共鳴しているのだろうか。またアムネリス役のグアダルーペ・バリエントスもマリア・グレギーナに劣らず聴き応えがあり、難しい心理を歌い込んでいてこちらも主役級だった。管弦楽も歌手や合唱を支え引き立て、良い演奏だった。アイーダトランペットがあのお馴染みの旋律を力まず優雅に吹き、その輝かしい響きに酔った。不満だったのはアイーダとラダメスの衣装だ。アイーダは最初から最後まで地味な紺色の服を着っぱなし、ラダメスもエジプト軍を勝利に導く将軍にはとても思えない出で立ち、せめて戦いに勝って凱旋して来る場面はもっと格好良い衣装を着せて欲しかった。更に合唱団員が少ない!!舞台もそう広くはないから止むを得なかったのかもしれないけどもっと兵士を数を増やしてエジプトのファラオの権勢と栄華を感じさせる演出を観たかった。とにかく3時間の上演時間が興奮と刺激に満ちていた。脳内からセロトニンやドーパミンが沢山出たのだろうか、幸福感に満ちた午後になった。
2014年10月20日
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下の娘のアパートを久しぶりに訪ねた。体調がすぐれず辛い日々を送っている。キッチンを片付けたり、鉢植えの花を見たりしてのんびりした。室内でクラシック音楽やオペラやバレエを観て過ごすことが多いと言うのでお気に入りのバレエを推薦した。曲はモーリス・ラベルのボレロ、振り付けはモーリス・ベジャール、これを今は亡きジョルジュ・ドンと人気絶頂のシルビー・ギエムが踊っているユーチューブで観た。どちらも凄かった。ボレロは同じテーマがPPから始まって次第に強さを増して最期はFFFの大音響とともにバレエも絶頂を迎えて、燃え尽きるように終止する。ダンサーは最初から最後まで真っ赤な円卓で踊り続ける。曲の進行とともに円卓の下でも数人が踊り始め、徐々に人数を増して最期は円卓を取り囲むような群舞になる。最初の手の動きから神秘的ムードが漂い、祭礼を司るシャーマンを思わせる存在感に目を奪われる。無駄をそぎ落とした一つ一つの手足の動きが、官能的で美しい。内臓をリズムに合わせて動かす動きはヨガの呼吸法と同じで非常に興味深かった。べジャールはヨガに精通していた?このバレエは赤い円卓の上で舞う一人の"メロディ"と、それを囲む"リズム"による舞台で全世界を興奮と熱狂の渦に巻き込んだべジャールの最高傑作なのだが、私はこれをまだドンが生きていた時にテレビで観て大衝撃を受けた。飛び散る汗と表情が官能的だった。ドンはセクシーで官能的、シルビー・ギエムは中性的でしなやか、余りの魅力に陶然となった。娘は鳥肌だったと言っていた。同じものを観て同じように感じている。私たちは母娘だ。 ジョルジュ・ドン シルビー・ギエム シルビー・ギエム
2014年03月31日
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東日本大震災から3年 習志野から発信する鎮魂歌「レクイエム演奏会」3月1日習志野文化ホールで開催された。プログラムも震災で亡くなられた方々の鎮魂歌にふさわしいものだった。 ☆記念講演 木下 繁喜 氏 「あの時、今、そして・・・」 被災された御霊に捧ぐ想い・・復興の現状と今後に向けて ☆金益 研二 作曲 ピアノ独奏のための「鎮魂曲」 ピアノ金益 研二 (習志野文化ホール楽友合唱団委嘱作品 本邦初演) ☆モーツアルト作曲 レクイエム ニ短調 K.626木下さんの記念講演が素晴らしかった。あの大震災でご自分が見聞きされたことを話され、心に染み入った。最期には涙がにじんだ。作曲者自身による独奏のピアノ曲も透明感が漂いすばらしい作品だった。最期のモーツアルトのレクイエムはアマチュアの市民合唱団と市民オーケストラによるものだったが熱演だった。合唱団員は遠目で見ても白髪が目立つ熟年者が多いのだが、あの大曲を見事に歌いこなしていた。 作曲家 金益 研二 指揮者 田久保 裕一 レクイエムのホール練習風景
2014年03月01日
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今回は新年初めの初回能かつ定式能なので、能 翁・能 竹生島・狂言末広がり・仕舞四番・能 羽衣・仕舞五番・能 小鍛治という大がかりな公演である。朝11時から開始してすべて終了したのは夕方5時45分だった。2度の休憩時間含めると7時間弱の舞台であった。能楽師は演目によって入れ替わるが、観客はずっと座りっぱなしで足下が寒いので一日観能はけっこう体力が必要だ。現代能楽界の超一流能楽師の出演でものすごく完成度が高く見ごたえがあった。また装束も面も新春初回能にふさわしい格調高く豪華なもので、目を楽しませて頂いた。きっと観世流ならではものもあっただろう。中でも「竹生島」は女体という小書き(特殊演出)で最後のシテは弁財天、加えて通常演出の龍神も登場して華やかなステージだった。観世宗家の弁財天が光り輝いてその臈長けた美しさに見とれた。このお家元は体がスリムな上、お顔が小さいので能面から顔がはみ出ることなくまるで能面が本当のお顔のように見えた。 竹生島(女体)の弁財天と龍神 観世流での女体は初演らしい 羽衣 この能を観るとあまりの美しさとゆっくりさに脳内がリラックスして陶酔し、気持ち良く眠れる 小鍛治 三条小鍛治と神のお告げで現れた狐が協力して名刀子狐丸という剣を打つ 紋付き・袴で舞う仕舞 船弁慶・白楽天・蝉丸・草紙洗い小町など代表的な演目だった
2014年01月06日
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1月5日渋谷の観世能楽堂まで能を観にいった。久しぶりの能楽で煩悩一杯の心が清められ、清新な魂になった気がした。新年の初回能で観世流26世宗家観世清和さんの翁と「竹生島」が超素晴らしかった。この「翁」は能楽師が演ずるが能・狂言とは別物で祈祷・儀式の要素が強い特別のものである。会場全体がぴーんと張りつめた空気に満ち、全員が固唾をのんで見守る静寂の舞台にまず従者が面箱を捧げ持って登場し、翁はおもむろに舞台上でその面をつけるという形式になっていて非常に興味深い。白い白色尉の面をつけ、「とうとうたらりとうたらり」と意味不明の呪文を朗々と歌い、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を祈って舞う宗家の舞台はその周辺から福や光や希望が飛び散っているようで不思議な気がした。作り話ではなく本当にそう感じられるんですよ。これまで天下泰平、国土安穏、五穀豊穣なんて当たり前のことと思って単に儀式だと捉えていたが、昨今の領土問題、大震災、大災害などを目の当たりにして、その歌詞を聴くと心から神に捧げる祈りが現実のものとなって身にしみた。 宗家による翁次の三番叟もとても好きだ。翁の白式尉と対照的に黒い黒色尉の面をつけた三番三の舞は種を蒔く姿など農耕民族の基本の所作が入ったりしてとても親しめる。でもけっこう激しい動きも入っていてリズミカルで切れが良い。 三番叟 白式尉 黒色尉 「翁」を観ないと新年が始まらないような気がして、毎年この翁付きの能舞台だけは何としても観るようにしてきた。今年はチケットが取れて嬉しい。
2014年01月05日
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11月14日は新装なった歌舞伎座に歌舞伎座新開場柿葺落吉例顔見世大歌舞伎仮名手本忠臣蔵夜の部を見に行った。五段目・六段目・七段目・十一段目の良いとこ取りの場面ばかりだ。 初めて見る実物の歌舞伎座は壮麗な美しさで日本の伝統文化歌舞伎の専門劇場らしい雰囲気に満ちていた。演目を書いた文字や浮世絵風の絵もここでしか味わえない独得のものだった。 4時開場だったのでそれまで地下で過ごした。11月12月公演が忠臣蔵なので店はその題材で溢れていた。浪士そばを食べ、お土産を買った。和柄の手ぬぐいや和菓子を売る小さな店が並んでいて日本情緒に溢れていた。 開演4時半、途中で30分の大休憩、10分の小休憩を挟んで9時過ぎまで歌舞伎が続いた。主役の大星由良之助に吉右衛門、おかるに福助、堪平に菊五郎と豪華役者が並んでいた。六段目の堪平切腹の場の堪平の悲劇、七段目の祇園一力茶屋の場の華やかさを経て十一段目討ち入りの場面で大団円となる。四十七士が勢ぞろいした場面はなかなか絵になっていた。吉右衛門が由良之助でありながらもどことなく鬼平の風情を感じたのがおかしかった。存分に日本の伝統文化を楽しんだ。 夜の歌舞伎座
2013年11月17日
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渋谷の文化村ル・シネマで「バレエに生きる~パリ・オペラ座のふたり~」という映画を見た。パリオペラ座で1951年から振付師として活躍し、ロマンティック・バレエの復活に多大な貢献を果たしたピエール・ラコットと、かつてのエトワールでもあり、引退後も後進の育成を続けるギレーヌ・テスマー夫婦のバレエと共に生きた人生の記録である。バレエは好きなのですぐ観に行ったが、冗長でメリハリに欠け、ドキュメンタリーでもなくドラマでもなく、イマイチだった。バレエと言われれば何でもすぐ飛びつく自分が浅はかなのだ。ただ古典作品中心に沢山の名作バレエが上演され、古びたフィルムの中でルドルフ・ヌレエフが踊り、今をときめくマチュー・ガニオが跳躍する姿を見ることができて少しは楽しめた。
2012年09月19日
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鳴砂山の駱駝で手間取ってホテルに着くのが遅くなった。夕食もそこそこにタクシーで大急ぎでシアターに駆けつけた。敦煌神女という飛天ショーを見るためである。到着したら既に会場の入り口には飛天姿の美女が繰り出して客と一緒に写真撮影をしていた。 飛天ショーのポスター 内容は雑技団のアクロバットが中心だった 安藤美姫ちゃんに似た飛天 飛天と野獣!ステージはきらびやかで楽しめた。飛天姿の美女たちが輝く衣装に身をつつみ、ワイヤーアクションで宙を舞い、この国伝統の雑技団のアクロバティックな技が随所にちりばめられていた。 あらすじはシンプルで中国語と英語の字幕が使用されていたので、概略はわかった。しかし筋などどうでもよくて雑技団の超絶技巧がすばらしかった。全体に小柄な人たちが難度の高い技を繰り出していた。シルクロードを訪ねて初めてゆったりした一夜を過ごした。
2011年06月26日
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翌日2月23日、南米最後の日、フライトまで時間がありすぎるので朝10時からブエノスアイレスの市内観光に出かける予定だった。しかし元気が余る私はその前に一人で雨の街に繰り出してホテルの近くのコロン劇場に出かけた。大きい歩道を横切ると堂々としたコロン劇場は雨の中で灰色に濡れていた。 世界三大劇場のひとつ 重厚なコロン劇場コロン劇場はパリのオペラ座、ミラノのスカラ座とならび、「世界三大劇場」のひとつとして名高い。16車線の規模を誇る7月9日通りに面して建っている。立ち見を含め、およそ3500人を収容できる壮麗な劇場である。マリア・カラス、ルチアーノ・パバロッティなど世界の有名音楽家が数多くそのステージに立っている。2006年から改修工事に着手し、昨年完了しているはずだったが側面はまだ工事中で足場が組んであった。早速守衛らしき人に「劇場のガイドツアーがないか」と訪ねるとコーナーを回って中に入れと言われ、裏側のような場所に行った。そこの事務所で訪ねると朝一のツアーが10時から、英語かスペイン語でおよそ1時間で案内でき、料金は10ドル(と聞いたような気がする)という。えー!どうしよう!!市内探検のオプショナルツアーも10時スタートで、決して安くない額を既に支払い済みである。もう二度とこの地を訪ねるチャンスはないと思うとコロン劇場内部をどうしても見たいという誘惑にかられたが、総合的に考えてこの場は断念。市内見学から戻るのが3時、出発が5時だからその隙間に来ようと決心。ロビーや概観をじっくり見てホテルに戻った。 ガイドツアーの案内板 ロビーのパネル結果的にガイドツアーはできなかった。休日で道路が渋滞して帰りのバスが到着したのは4時過ぎ、ガイドツアーどころか出発準備も大童だったからである。これだけが今回の旅で唯一の心残りである。 美しい劇場内部・・・これを見たかった!!
2011年03月24日
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その夜、8時半からブエノスアイレス市内の大きなシアターで催されるタンゴショーに出かけた。およそ500人の客が入れる大きなホールでまず8時半からディナーが始まった。他のグループの人たちはディナー用のドレッシーな服装だったが、私たちは無粋な登山用ウエアだった。旅する時、常々ワンピースを1着トランクの中に入れておかなきゃと思うのだが、最終的にはカットしてしまっている。ディナーには巨大なビーフステーキが出てきて、それを切り分けるだけで疲れた。付け合わせがポテトだけというのも困った。 横幅20cm、厚さ2.5cm 位かな ミディアムで 中二階に陣取るオルケスタのメンバー何とかディナーをやっつけた夜10時頃からタンゴショーが始まった。ステージの中二階にバンドネオン、ピアノ、バイオリン、コントラバスなどの器楽演奏をするオルケスタメンバーが陣取り、ステージでダンサーが踊った。本場アルゼンチンタンゴはすごく魅力的だった。音楽そのものも情熱的で魅惑的、特にバンドネオンの超絶技巧が耳を奪った。ダンスはストリートダンサーではなく本職のタンゴダンサーでこれまた一刻も目を離せないすばらしいものだった。 膝から下を素早く動かして男女が脚を絡めて踊る独特のタンゴはお色気たっぷりで見方によってはきわどかったりもしたが、それ以上に舞踊が洗練され、セクシーさは芸術に昇華していた。俗っぽさを超越していた。ステージは3部構成で12時頃まで行われ、音楽とダンスを堪能した。南米で過ごす最後の夜が華やかに更けていった。
2011年03月23日
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高校時代、日本史の教科書には室町時代の文化として能楽が紹介されていた。その写真を見て、なぜかはわからないけど能楽に強く興味・関心を持った。でも四国の山間部の文化果つる地に住んでいたので能楽など夢の世界の話であった。結婚して東京に出てきたが、能に接する機会はないまま、時は流れていった。36歳の時、突然能が目の前に現れた。私の住むN市に文化庁の移動公演で能が来たのであった。30年ほど前のことであるが、その時の演目ははっきり覚えている。「藤戸」で ワキは宝生 閑、不思議なことにシテが誰だったか記憶が蘇らない。この時の舞台は衝撃的だった。こんな美に満ちた舞台をかって見たことがなかった。シテの老女はどの動きも静止ポーズも端正で動く彫刻だった。特にじっと座って動かない姿の美しさに感動し、心を奪われた。能面も不思議な世界だった。面の下から出てくる声はくぐもって長く余韻を引き、この世の人の声ではないような気すらした。音楽がまた別次元だった。これまで西洋のクラシック音楽がすべてだった私の耳と感性は全く異なる響きと微妙な音程、気合に満ちた掛け声などに強烈に刺激され挑発され、音楽観そのものを揺すられた。能に魅了されてしまった私はそれ以来数年間能楽堂に通った。親しみやすい目黒の喜多六平太能楽堂、水道橋の宝生能楽堂、格調高い渋谷の観世能楽堂、佐倉の薪能、成田山の薪能などにも出かけた。総合芸術である能楽には私の好きなもの全てが詰まっていた。即ち音楽・美術・、異次元空間、霊魂など。初めのうちは増田正造さんの入門書なども読んでいたが、一通りのことが分かると解説はほとんど読まない。その場でその舞台を自分がどう感受できるか、それだけである。 観世流 百万
2011年02月13日
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観世流宗家の「翁」 1月3日,待ちに待った日が来た。朝から渋谷の観世能楽堂へ出かけ、一日能・狂言を楽しんだ。演目は能四番に狂言一番、仕舞が八曲、独吟が1曲という超豪華フルプロプログラムである。 能 翁 観世 清和 三番叟 野村 萬斎 能 鶴亀 シテ 坂井 音重 ワキ 野口 敦弘 狂言 鍋八撥 野村万作 深田 博治 野村 万之助 能 羽衣 シテ 谷村一太郎 ワキ 工藤 和哉 能 岩船 シテ 清水義也 ワキ 御厨 誠吾演者も当代一流の能楽師ばかりだった。席は満席で、和服の女性も多く新春初回能にふさわしい華やいだ雰囲気に満ちていた。でも私はいつものカジュアルスタイルだったけど。宗家の「翁」は素晴らしかった。目付け柱の奥に端座する姿が非常に美しく生きた彫刻だった。、白式尉の柔和な面をつけ国家の安泰を祈念するゆったりした舞はどこがどうというものはないのだが舞台全体に穏やかで平和な雰囲気が満ちていた。次の野村萬斎の三番叟が躍動感に満ち、宗家に劣らず見事だった。今日の演目の中で最も印象に残った。特に足さばきが卓越していて、鋭く軽く切れがあった。こんな足さばきを見たことがない。「翁」の白い面と対照的に黒い「黒式尉」の面もシャープでモダンだった。宗家の静と対照的に動の魅力だった。 黒式尉の面をつけ鈴を持って舞う三番叟 赤頭の勇壮な舞 岩船の竜神時代の変遷を感じたのは狂言の野村万作さんとワキの工藤和哉さんが予想以上にお歳を召していたことだ。声が渋くなっていた。仕舞は紋付・裃だけで舞うので華やかさはないが、梅若万三郎さんの「隅田川」、山階彌右衛門さんの「鞍馬天狗」、観世銕之丞さんの「嵐山」、梅若玄祥さんの「邯鄲」はとてもすばらしく実力を見せ付けた。最後に能「岩船」があり、赤頭の龍が颯爽と舞い、能管、鼓、小鼓、太鼓の4拍子と地謡の盛り上げ方も真に迫ってキリ能にふさわしい盛り上がりだった。1年ぶりに能楽堂でゆったりと見ごたえある舞台を一日楽しんだ。
2011年01月03日
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ディズニーランド最後のアトラクションはスターブライトクリスマス、いわゆる花火である。夜8時半からのショーで私もこれは初めて見た。シンデレラ城の左側に花火が打ち上げられて、光と音と音楽の織り成す瞬間芸術だった。妹は一生に一度の経験だと言ってとっても喜んでいた。暗闇に浮かび上がる花火をカメラで撮ったことがなかったが、あまりに美しかったのでわからないままに「花火」というモードで撮ったらこのような画像になっていた。予想外にきれいに発色していて驚いた。最後が花火でたちまちに夜空は暗闇に戻った。何だかこの日の楽しい出来事はやはりおとぎの国の出来事だったのねという気持ちになった。妹は孫達にあれこれお土産を買っていた。私も珍しく息子にチョコを買った。中身より入れ物が大切な土産である。
2010年12月08日
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華やかにパレードが展開する裏で、働いている人がたくさんいる。というより見学者以外はみんな仕事をしている人である。当たり前か!。やはり目立ったのは清掃スタッフ。ひっきりなしに行ったり来たりして観客のゴミを回収している。持つ道具も何種類かある。この人達が園内の徹底した清潔さを作り出しているのだ。 どんな小さなゴミも見逃さない ゴミがありましたらこちらへどうぞ! 新人の指導監督中かな? 皆さん、拍手をしましょう。ハイ!次に多かったのは安全管理をするスタッフ。特にパレードの前は早くからルート沿いに何人もが待機してロープ張り、観客の誘導(特に車椅子の皆さんの場所の確保)、ベビーカーの置き場所設置、不法者の指導、歌や拍手の指導などきめ細かく動いていた。 雰囲気を盛り上げ笑わせる車上ピアニスト 解説しながらバスの運転これだけの観客を毎日呼び込みながら、清潔に安全に楽しく夢の世界を提供するわけだからこれを支えて維持するのは並大抵のことではないだろうな。
2010年12月04日
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15時半からこの時期ならではのイベントホワイトホリデーパレードが始まった。ルート沿いは人で一杯である。何メートルかおきに会場整理のスタッフがいて、歌や手拍子を教えたりして雰囲気が盛り上がるよういろいろ働いている。90分以上待ってやっとパレードが始まった。 まず数人のダンサーが妖精や天使などクリスマスにちなんだ役で踊りながら登場し、その後に大きな仕掛けの出し物というか作り物が登場してくる。その中には大体ミッキー、ミニー、シンデレラをはじめディズニー関連のキャラクターがダンスをしている。 どの出し物も豪華で可愛くきれいだった。出し物と出し物の間に扮装して踊っているダンサーはどういう人たちなのか見るたびに不思議に思う。ダンスも容姿も見るに耐える人たちなんだけどアルバイトなんだろうなあ。 最後は雪だるまやトナカイも登場してクリスマスを盛り上げていた。30分くらいで終了した。とりあえずメインメインイベントのひとつを見た。妹も驚きながら楽しそうに見ていた。しかしかなり寒かった。
2010年12月02日
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私は音楽を愛している。更にオペラ、歌舞伎、能、ミュージカル、バレーなど音楽と舞踊が結びついたものはジャンルを問わず大好きで年を忘れて熱狂する。なぜそんなに夢中になるのかと時々考えるが、子ども時代の体験が根っこにあると思う。生まれた場所は四国の山間部、文化とはかけ離れた片田舎なのであるが、母親がよく映画を観に行き、一緒にくっついていったのだった。戦後まもなくのことで映画館というにはお粗末すぎる倉庫のような建物だったが、そこで期日限定で興行が催されていた。確か松川興行というのがその名前だった。そのポスターが村の要所に貼られていてそれを観るだけでわくわくした。次郎長一代記のような時代劇がよくかかっていた。その映画館の舞台では、時折村から村へ廻ってくる女剣劇や○○劇団の興行があった。それにも一緒に付いていって芝居を熱心に観ていたのだった。今思えばごく素朴な舞台だったが、一応生の舞台を観ていたのである。また村には様々な行事があったが、時々三番叟が舞われていた。この舞の装束や音楽、体の動きは幼心に強烈な印象を残した。この経験が根源にあって私は能に惹かれるのだろう。更に母は宇和島に木下大サーカスが来るといつも私たち子ども3人を連れて観にいった。炎天下で長時間並んで待ち、幼い弟が倒れたような記憶がある。そのせいか私は純粋なサーカスは勿論シルクドゥソレイユのようなパフォーマンスも大好きである。当時はこんな片田舎の文化果つる地に生まれ、女の子に勉強は要らない、家の手伝いが一番という我が家に生まれたことを大きな不幸と思っていたが、今思えば人の生きる道をしっかり教えて育ててくれた両親と自然に囲まれて豊かな子ども時代を過ごしてきたと思えるようになってきた。 現在の木下大サーカス
2010年07月09日
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舞踊が終了して撮影に応じるレゴンダンスのメンバー 衣装が華麗である最後の夜、ケチャを観たあと空港に行く前に、中華料理店で夕食を取ったが、そこでレゴンダンスショーを行っていた。はるか遠くにステージがあったが、中華なんか食べてる場合ではない、そこまで走っていって観た。華麗な衣装でガムラン音楽に乗って舞っていた。何とも優美だった。 4人の娘の踊り駆けつけたもののすぐ終わったのがとっても残念だった。やはりウブドの王宮前で観るべきだったのである。ディナーに惑わされて食べることを優先させたのが浅はかだった。
2010年06月10日
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渋谷の文化村に「ベジャールそしてバレエは続く」を観に行った。20世紀最高の振り付け師といわれたモーリス・べジャールの亡き後、彼から後継者に指名されたジル・ロマンがいかにしてバレエ団を維持していくかそのドキュメンタリーである。主にインタビューで彼の生き様や芸術を明らかにしていくのだが、要するにべジャールへのオマージュである。ベジャール・バレエ・ローザンヌ(BBL)関係者が何人も登場して彼の芸術や偉大さについて語る。街のタクシー運転手も彼がいかに市民に愛されていたかを話し、べジャール通りが出てくるし、前イラン王妃もすばらしさを語る。 回想の中にべジャールやジル・ロマンのダンスが観られるが、ジョルジュ・ドンがボレロを踊っている場面もあり、超うれしかった。この間シルヴィー・ギエムのボレロを観たばかりだったので、その違いが一段とよくわかった。やはりエネルギーがほとばしっていた。ギエムには中性的美しさを感じたが彼は男性的かつセクシーだった。たくさんのダンサーの肉体美が躍動し、バレエがステージで公演されるまでの過程がよくわかった。今度スイスに行ったら是非ともローザンヌに立ち寄ろう。
2010年01月07日
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モーリス・ベジャール振り付けでシルビー・ギエムの踊るバレエ「ボレロ」をテレビで観た。バレエと音楽の融合美が素晴らしく、刺激と興奮と感銘を受けた。まずベジャールの振り付けが卓越している。昔ジョルジュ・ドンのバレエでこのボレロを観たときには振り付けよりドンの汗がしたたる力強いバレエに目がいったが今回は振り付けそのものを驚異的に感じた。肉体の抽象美を創造している。シンプルな腕の動きが深遠な何かを感じさせる。ギエムの動きが絶妙で、ろうたけた美を感じた。暗闇からスポットライトをあびて浮かび上がる手、腕ってこんなに意味がある美しいものだっけと思わせた二本の腕、ボレロのリズムに合わせて規則正しくリズムを刻む柔軟な足、軽々と垂直・水平に開く細くて長い脚!!観ているだけで陶酔した。中央にある赤い円形ステージでギエム一人が舞い、その周囲を男性バレリーナが取り囲むように群舞を見せる。そのはっきり見えるか見えないかの照明がまたいい。鍛え抜かれた男性のしなやかな肉体がほの見える。 PPから始まったあのテーマが次第に盛り上がって最高潮に達した時になだれ込むように音楽とバレエが同時に終焉を迎える。こんな素晴らしいバレエが観れて嬉しかった。
2010年01月04日
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是非とも見たい映画があった。「パリオペラ座のすべて」というバレエのドキュメンタリー映画である。曇り空だった24日、登山を止めて渋谷の文化村でついに観た。4:30開始の回を見るため3:20に受付に行ったが、もう満席で7:40分まで待たねばならなかった。さらに上演時間が3時間と長く、帰宅したのは日付が変わる直前だった。 映画1本観る為に7時間近くかかったことになる。疲れた。映画はフランス国王ルイ14世が権力を尽くして作り上げた世界最古のバレエ団「パリ・オペラ座」の舞台裏を記録したもので、監督はドキュメンタリー界の巨匠、フレデリック・ワイズマン。パリ・オペラ座の全面協力のもと、135日間に及ぶ密着撮影を成し遂げたという。154名のダンサー、1500名のスタッフ、350年の歴史──「エトワール」と呼ばれる最高位のダンサーたちの練習風景がすごかった。振り付け師が厳しい要求をだすのだがダンサーたちは全く息切れひとつ見せず高度な技能と身体能力を駆使して何度も試み、最期は「良くなった」「すばらしい」と言わせてしまう。 練習風景 床がとっても古く穴もあいている くるみ割り人形更にエトワールやダンサーたちを支える裏方のスタッフがほとんど全部登場した。衣装部でひと針ひと針スパンコールを縫い付けるチュチュ職人、演目を決める芸術監督と営業部のやり取り、25000ドル以上の高額寄付をするスポンサーへの配慮、振り付け師と芸術監督の駆け引き、さらに清掃人や天井のペンキ塗り人、食堂の従業員まで登場した。ダンサーたちとの待遇をめぐる交渉など、企業としての側面も出てくる。 舞台衣装を制作する 中央黒く伸びているのは彼女の足しかしやはり振りつけ師とダンサーのレッスン風景が殆どを占める。出てくる演目はパキータ、ジュネス、・・・の夢などコンテンポラリーが圧倒的に多く、クラシックはくるみ割り人形だけだった。それもヌレエフ振り付けだった。正直言ってコールドバレエはボリショイの方が完璧に揃っていると思った。でもこちらの方がやさしく美しかった。振り付けと演出は超斬新で驚くような動きや心理描写が続出した。・・・・の夢(・・・の名前が思い出せません)で子殺しの場面では主役のバレリーナは血だらけになっていて、強烈な印象だった。3時間ほとんどストーリー性や解説のない超絶的なバレエを見た。現代物が多かったため、音楽も現代音楽でかなり神経が疲れた。完全無欠のドキュメンタリーだった。
2009年10月25日
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休足日の日曜日、運良くNHK3チャンネルで喜多流の能「賀茂 御田(おんだ)」を観ることができた。能「加茂」は、賀茂(かも)神社の縁起をもとに、御祖(みおや)の神と別雷(わけいかずち)が出現して国土安泰・護国豊穣を誓う能である。まず舞台正面に置かれた白羽の矢の作物(つくりもの)が目に入り、賀茂神社の縁起を想起させる。とても華やかでにぎやかでよくわかる能だった。通常の能は登場人物が極端に少ないが、着飾った早乙女(勿論演者は男性)が5,6人出てきたし、後シテも優美な女体の御祖の神と赤頭で勇壮な別雷の神と二人も登場した。それぞれの神は目を奪う豪華な装束に身を包んで舞をみせ、観るだけでもうっとりした。 御祖(みおや)の神の面と装束 四拍子にのって舞う 別雷の神の面と赤頭をつけた装束 勇壮でかっこいい舞いワキに宝生 閑、山本東次郎、山本則俊、地謡に友枝昭世などなじみの名人の顔が見えるが、どんどん世代交代して若返っているのだろう、知らない人が多い。 とても長かったが、ゆったりした休日の午後になった。 参考に・賀茂神社の縁起播磨室(むろ)の明神に仕える神職(ワキ)が京都の賀茂の社を参詣すると川辺に新しい祭壇があって白羽の矢が立てられている。水汲みにやってきた里の女に尋ねると「昔、とある女が朝夕水を汲んで神に手向けていると、ある日白羽の矢が流れ着き、これを自分の家の軒に挿したところ結婚もしていないのに身ごもり男児を出産。その子が三歳の時、矢を指して父だと言う。矢は雷となり、子は神となって天にいってしまう。これが別雷(わけいかずら)の神であり、その母も御祖(みおや)の神となりこの三柱の神が賀茂三所(みところの)神として祀られるようになった」と縁起を語りきえる。・御田(おんだ)とはこの「御田」は一種の演出法を示している。いつもの間狂言は、賀茂神社の末社の神が出てきてこの神社の由来を語り、三段の舞を舞うのであるが、「御田」は神田の田植えに奉仕する早乙女(さおとめ)たちが華やかに着飾って登場し、賑やかに早苗を植えていく演出である。
2009年05月25日
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今年度の仕事は13日で終了。平日の今日はどうしてもしなければならない用事が全くない完全な休息日だった。クライミング明けの筋肉ほぐしにウォーキングにでかけ、ヨガを手抜きしてやり、あとはぼんやりしていた。コタツに入ってまったりしているうちに昼寝もしていた。でも私にはすることが何もないというのはけっこうつらい。退屈しのぎに返却日が迫っているDVDボリショイバレエ「ジゼル」を見た。 1975年収録でコスチュームがオールドファッションぽい。その上舞台背景がコローの風景画のような雰囲気で、これもいかにも古くくすんで見えた。ジゼルを踊るナタリア・ベスメルトノワは勢いとか弾みは感じなかったが優雅にしなやかに踊っていた。群舞が統制がとれ大変すばらしかった。1幕ではアルブレヒトや村の若者の心理が巧みに表現されてパントマイムのようによく理解できた。 しかしバレエを観る喜びをあまり感じることができず、淡々と観て終わりにした。何しろ収録が古すぎる。ネットで見たらジゼルをスヴェトラーナ・ルンキナ、アルブレヒトをニコライ・ツィスカリーゼが踊っている新しいDVDもあるのでそれを見るべきだったのだ。でもいかにも古い時代のクラシックバレエを味わった。
2009年03月17日
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3月6日は私の X 回目の誕生日である。上の娘からミュージカル「キャッツ」をバースデープレゼントされたので、二人で五反田のキャッツシアターまで出かけた。 猫の目が金色に光るキャッツシアター昨年3月に妹と一緒に鑑賞して以来である。キャッツは7000回公演というロングランで本年5月で千秋楽となって終了する。平日の夜にシアターは満席だった。二回目なので舞台背景などは馴染みの雰囲気に感じられた。随所に見られる躍動感のある群舞がダイナミックで、2人、4人などの少人数でのダンスもこれまた非の打ち所のない完成度でほれぼれした。音楽も登場人物にあわせて多様で存分に楽しむことができたし、前回より内容面を少し深く理解できた。 27匹の猫たちの個性がほとばしる (このポスターは今回のものではありません)私がとても気に入っている役は黒猫のミストフェリーズである。前回金子信弛さんのダンスに魅了されてしまったが、今日もその金子さんでとってもラッキーだった。彼は以前にも増して驚くべき身軽さで、いともたやすく180度開脚したハイジャンプの連続や25回続くターンなどを次々と繰り出して堪能させてくれた。またしても年を忘れて熱狂してハイになってしまい、娘にたしなめられた。もちろん他の人たちのダンスも歌もすばらしかった。歌唱が抜群の人とダンスが得意な人がいて、それぞれその長所を生かしたキャストになっていた。「メモリー」というよく知られたナンバーが歌い手を変えて何度も歌われた。我が家の電波時計の夜8時の音楽にもなっていて毎日1回は聴く曲である。でもキャッツはダンスが圧倒的にすばらしいと思う。 お気に入りのミストフェリーズ 美しいビクトリア 雄猫の魅力たっぷりブルータス 初めてキャッツを観た娘は「予想以上にすごかった」と素朴な感想をもらして感激していた。終了後も延々とカーテンコールが続いた。母娘で同じミュージカルを観る幸せを感じながら早春の一夜を楽しく過ごした。
2009年03月06日
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ボリショイバレエ団の「スペードの女王」を観た。図書館で借りたDVDである。原作はプーシキン、音楽はチャイコフスキーの「悲愴」が用いられている。振り付けがローラン・プティで伝統的バレエの技法だけに留まらず斬新な動きもたくさん取り入れられていて非常にすばらしかった。 主役のゲルマン役を踊るニコライ・ツィスカリーゼが超すばらしい踊りを見せていて目を見張った。このバレエダンサーは一見して体が大柄であり、全身の筋肉が発達していて特に大臀筋と太ももがはちきれんばかりにたくましいが全体として均整が取れている。最初から最後まで全身真っ白の衣装で踊る。たくましく力強く何と言っても重量感があり、存在感が際だっていた。足も手も長いため、どの動きもダイナミックで華麗に見える。ゲルマンはギャンブルにとりつかれ、身を落としていくのだが、伯爵夫人(イルゼ・リエパ)と二人のパドドウがこの上なくすごく緊迫した雰囲気を漂わせていた。ダンスというより心理劇のように二人の心の動きがよく伝わってきた。このイルゼ・リエバが巾の広い表現力を見せ、単に体がしなやかとか美しいという以上に凄みのあるバレエを見せていた。 ニコライ・ツィスカリーゼ ゲルマンと伯爵夫人の絡み さらに群舞も大変見事で、コスチュームの彩りも洗練されていて見飽きなかった。また舞台装置は登場したダンサーが装置を持って出てステージで踊り、また持って退場するというものでシンプルかつグッドアイデアだった。やはりボリショイバレエは圧倒的にすごい。 原作: プーシキン 音楽: チャイコフスキー交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」より 振付: ローラン・プティ ゲルマン(ニコライ・ツィスカリーゼ) 伯爵夫人(イルゼ・リエパ) リーザ(スヴェトラーナ・ルンキナ) チェカリンスキー(ゲオルギー・ゲラスキン) ボリショイ・バレエ団 指揮: ウラディーミル・アンドロポフ ボリショイ劇場管弦楽団 収録: 2005.5 ボリショイ劇場 ニコライ・ツィスカリーゼ
2009年02月13日
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今日も穏やかで暖かいいい一日だった。目黒の喜多能楽堂へ出かけた。能を見るのは2年ぶり、喜多能楽堂を訪れたのは10年ぶり位である。新年でどうしても翁と三番叟を見たくなり、電話でぎりぎり指定席がとれたのだった。今日の演目 翁(おきな) 粟谷 能夫 三番叟(さんばそう) 野村 万蔵 舟渡婿(ふなわたしむこ) シテ 野村 萬 アド 小笠原 匡 仕 舞 田村 キリ 出雲 康雅 能 葛城 (かつらぎ) 前シテ・後シテ 谷 大作 ワキ・山伏 森 常好忘れてしまっていた能の世界が広がっていた。簡素かつ美しい能舞台、果てしない沈黙、能管、小鼓、大鼓の凝縮した濃密な音楽、彫刻のような演者、豪華で大胆な装束、シンプルこの上ないステージ、何もかも好きなものばかりだった。まず翁、これはめったに観られない特別な演目で元旦の教育テレビでしか観たことがない。白い翁の面をつけて国家安泰・国土安穏を祈願する翁。白い能面の柔和な微笑が慈愛に満ちていた。あの微笑には悪いもの、穢れたもの、つらいこと、悲しいこと、なにもかも吸い込んでしまうような包容力があって見入ってしまった。 次の三番叟がとても素晴らしかった。黒い地色に鶴・亀・松・竹をちりばめた装束を身にまとい、田畑に種をまくような仕種が何度も繰り返されるのであるが、非常にリズミカルで音楽とぴったり息があい、すべての動作の形がぴたっと決まっていた。後半は黒色の面をつけるがこれが翁の白面と対照的でモダン、かっこよかった。 翁で使う面 三番叟でつかう面コミカルな狂言で寛ぎ、仕舞を観て、最後は能 葛城(かつらぎ)を観た。白い笠をかぶり白い装束の胸元に朱の中啓をさして登場する里女。その美しさ。日本美の典型だと思った。つけている面が知的でろうたけていて笠の下で陰影がついてもうぞくっとするほど美しかった。あの面は増女(ぞうおんな)か? 中啓(能で使う扇)後半の後シテ葛城明神は頭に宝冠をつけ、さび朱の半切、銀色とねずみ色の上衣と全体に渋い色調の装束だった。最後は序の舞でなく御幣のようなものを持って神楽を舞った。とてもゆったりした舞だがこういうゆったりした舞はなかなか難しいと思う。約3時間半のステージ、上質で優雅なものばかりをたくさん観て、とても贅沢な気持ちになり、日本の美を堪能した。
2009年01月04日
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菅平トレイルランレースを走り終えてから、芝生の上で行われていたアウトドアイベントを楽しんだ。まず、スイスのアルペンホルンの演奏があり、本場そのままのコスチュームと楽器で演奏されてとてもよかった。 スイスのムードたっぷり特に感動したのは真田陣太鼓の演技だった。この地方はかって真田幸村公の領地だったのであちこちに六文銭の旗印があるし、JR上田駅前には幸村公の銅像もある。 上田駅前の幸村公銅像、ハンサムです。陣太鼓は幸村親子にちなんだ内容で和太鼓の演奏と演技だった。たくさんの和太鼓の勇壮でお腹に響く音もすばらしいし、戦国時代の装束もかっこよくりりしく時代の雰囲気をかもし出していた。しかしそれ以上に非常に心打たれたのは演技する大人・子ども総勢20名位だったろうか、全員が真剣で持てる力全てを出し切った迫真の演技だった。そのあまりの凝縮した真剣さと演技・演奏は胸に迫りくるものがあり、しばらく見ているうちに涙が流れていた。 無償の真剣さ。何がこの皆さんをここまで魂を込めて演技させているのか?。ひょっとしたら、いや、そうにちがいない、皆さん幸村公の末裔で、何らかの形で血が繋がっているのではあるまいか。とにかくすばらしいものを見せて頂いた。 特に全身全霊を込めたこの男性の演技は目を離せなかった。登場した瞬間から既に戦国武将の顔になりきり、表情には真田家の悲劇が漂っていた。 後にカーズさん作成のカービングのウサギがいる。トレイルランに文化的イベント(それも和洋の音楽である)、おいしい食べ物と何もかもすばらしかった。夫が青春時代を過ごした地がこんなに精神文化の豊かな地方とは知らなかった。嬉しかった。
2008年10月02日
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音楽が好きである。好きな音楽に踊りが加わる舞台芸術はもっと好きである。というより好きを超えて熱狂的になる。舞台芸術のなかでもバレーと能が特に気にいっている。以前は生の舞台にけっこう足を運び、シュトットガルトバレエ団の「ロミオとジュリエット」に熱狂したり、能楽堂で「道成寺」に陶酔していたが、クライミングを始めてからは山ばかり行ってどちらもとんとご無沙汰である。舞台を見て酔いしれるだけの受動的鑑賞と実際に自分が体を使って活動する能動的クライミングとの吸引力の差は大きく、舞台にはこの1年、妹を連れて行ったミュージカル「キャッツ」1本以外全く行っていない。ここのところ時間がたっぷりある毎日なのでバレエの本を借りてきた。熊川哲也「プリンシパルへの道」とニジンスキーの写真集である。どちらも魅力的な舞踊シーンが豊富に入っていてわくわくした。ニジンスキーは希代の興行師ディアギレフとの関係で有名だが、踊っていた期間は短く、最後は統合失調症で亡くなったという。あの男性とも女性とも思える姿、というより男性の体の中に女性が宿っているような独特の雰囲気と「空を飛んでいる」と言われた跳躍力の高さの裏にこんな悲劇が隠されていたとは知らなかった。 とても魅惑的なニジンスキーの姿 「牧神」を踊る熊川哲也はハイジャンプに定評がある現在人気・実力NO.1のダンサーであり、Kダンスカンパニーの芸術監督でもある。この人の驚異的な高さのジャンプ、「海賊」の連続するターンを寸分のゆらぎも見せず軽々と踊る姿、激しい動作のあとにピタッと着地して微動だにしない完璧なポーズを一度見て、とりこになってしまった。(全く私は年甲斐もなくすぐのぼせてしまう) 「テツヤ」をおっかけているわけではないが、憧れるものがあるということは生活に潤いをもたらしてくれる。今年もあと4ヶ月だが、何とかして一度くらいは生のバレエと能を観にいきたい。
2008年08月22日
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