うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2010.01.04
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カテゴリ: 坂本龍馬

維新革命前夜の混沌のエネルギー渦巻く世相をリアルに体感した。

時代劇初出演で大役・坂本龍馬役に挑む福山雅治をはじめ、姉の乙女役・寺島しのぶ、盟友・武市半平太役の大森南朋、好敵手・岩崎弥太郎の香川照之など、俳優陣もそれぞれ見事なハマリ役で、演出も気合い十分。アカデミー賞で格がついた広末涼子も初恋の人役で華を添えている。
ドラマの展開は、今後ますます期待できると思った。

主演の福山については、さっそく先ほど今年最初の「おもいっきりDON!」で、中山秀征がモノマネをして笑わせていたほど、なかなか印象的な存在感を発揮している。

なお、佐藤直紀氏の手になる音楽は、大河にふさわしい雄大なスケールを持ちつつ、反面大河には珍しいと思われる繊細な感覚を併せ持った曲調で、独特の聴き応えがあり、異彩を放っていると思った。

さて、明治維新は、新政権を樹立した方(薩長土肥・官軍側)が天皇を戴いていたので、儒教思想上「革命」ではなく「維新」という名目になるが、武士階級による事実上の(デファクトな)革命であったことは、あらゆる識者が指摘しているところである。

議会制民主主義が作動していない前近代的な「硬構造」の社会では、矛盾はかくも爆発的に解消される(・・・何となく、今の“将軍様”の北朝鮮を連想してしまうのは僕だけだろうか?)。

アジアで、当時日本だけがよく成し遂げ得た、世界に誇るべき歴史段階であった。

あらゆる意味で行き詰まり破綻していた徳川幕藩体制の諸矛盾を解決するには、コペルニクス的転回が必要であり、当時逼塞していながら京都に存続していた天皇(制)という権威がまず見出された。

そこにキューピッドとして天から遣わされたのが、天衣無縫で融通無碍で野放図なほど破天荒な坂本龍馬という青年であった。

そして自らの天命を果たし終えた彼は、再び天に召され、星になり伝説となった。その道のりが、一年かけて描かれる。
楽しみすぎる。

同じ時期、龍馬と同郷ながら、武士としては最下層で激しい差別のもとにおかれていた地下(じげ)浪人出身の三菱創業者・岩崎弥太郎にとってみれば、まさにブルジョワ革命勝利への道程であったろう。

・・・が、いきなり冒頭、岩崎に「国賊」「天誅」と刺客が襲い掛かるシーンには恐れ入った。三菱グループ数万人社員は苦笑して見ただろう。

確かに、岩崎が明治維新の過程において「死の商人」的な役回りを演じたことも事実だと思うが、その結果倒幕・維新は成就し、日本の近代が開幕したのだから、「国賊」はどう考えても言いすぎだろう。「国民の恩人」に近い。

昭和戦後の、極左過激派によって頻発した、あのいや~な爆弾テロの時代を想起させられた。
いつの時代にも短絡的な不平分子はいるものだ。

その岩崎弥太郎を狂言回しにして、一大ドラマは始動した。

それにしても、陰険、陰惨、陰湿そのものの、聞きしにまさる理不尽な土佐藩内の差別であった。

・・・土佐藩祖・山内一豊とその妻を描いた数年前の大河ドラマ「功名が辻」(・・・懐かしいね)の最後の方でも少し触れられたが、この地域をもともと支配していた土豪らと、関ヶ原ののちに徳川家康の厳命で強引にこの地に入ってきた山内家家臣の歴史的・感情的対立に端を発しているのだろうが、しかしあまりにもひどい虐待(ハラスメント)である。見ていてつらかった。

でも、こういう耐え難いほどの抑圧・忍従・屈辱がバネになって、その後の維新のエネルギーに転化していったんだろうな~と思って見ていた。

・・・というよりも、明治維新が、下級武士による上中級武士への「クーデター」の側面を持っていたという説が、記憶に新しい「篤姫」の西郷隆盛や大久保利通らの群像と合わせて、改めて裏付けられたような気がした。





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Last updated  2010.01.04 17:03:17
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くまんパパ @ 短歌では、ありですね(^^) 七詩さん、そうですね、同感です。 私も…
七詩 @ Re:ニヒルなれども面白し(06/08) くまんパパさんへ あの「世の中にたえて…
くまんパパ @ ニヒルなれども面白し 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ めっきり蒸し暑くなってきました やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
くまんパパ @ のんびり行きたいですね(^^) やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
くまんパパ @ びっくりするほど暑いですね やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
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