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135. ジャマイカラムコクテール【注161】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジャマイカ・ラム 一オンス ガムシロップ 二振り オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注161】「ジャマイカラムコクテール」は、現時点では、前田氏の本も含め日本国内の文献にのみ見られるカクテル。ラムと言えばジャマイカ産ラムに代表されていた1920年当時の日本では、こうした名前のカクテルが生まれるのも自然だったのであろう。………………………………………………………………………………………………………136. ピンポンコクテール【注162】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に スロー・ジン 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス キュラソー 三振り アンゴスチュラビタ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注162】「ピンポンコクテール」は、1900~1910年頃には欧米のバーですでに定着していたカクテルで、ハリー・マッケルホーンのカクテルブック(1919年刊)など数々の文献にも登場しているが、マッケルホーンのレシピは、スロー・ジン2分の1、クレーム・イヴェット(Cr?me Yvette=ヴィオレット・リキュールのこと)2分の1、レモンジュース1tspで、前田氏のレシピとかなり異なっている。 なお、マッケルホーンの本は「このカクテルは米国セントルイスの「ブロークン・ハート・カフェ」のバーテンダー、ジェームズ・バネットが1903年に考案した」と伝える。………………………………………………………………………………………………………137. ピユーリタンコクテール【注163】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス シャートリユーズ 少量 オレンジビタ 二振り ガムシロップ 一振り を加え、最もよくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注163】「ピユーリタン(Puritan)コクテール」は、1910~20年代には欧米ですでに飲まれていたカクテルだが、紹介している文献は意外と少ない。欧米の標準レシピは、ジン45ml、ドライベルモット10ml、シャルトリューズ・イエロー5ml、オレンジ・ビターズ1dashで、前田氏のレシピはやや甘口のものとなっている。………………………………………………………………………………………………………138. ビジユーコクテール【注164】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス グリーン・シャートリユーズ 三分の一オンス オレンジビタ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブ、或いはマラスチノー・チェリーの一個を入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注164】「ビジューコクテール」は、1900~1910年頃から欧米ですでにバーで飲まれていた初期の代表的な古典的カクテルの一つ。ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも登場している。前田氏が紹介するレシピは、アブサンを加える点以外、当時の欧米のレシピとほぼ同じである。………………………………………………………………………………………………………139. モーニングコクテール【注165】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス キュラソー 一振り マラスチノー 一振り オレンジビタ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注165】「モーニングコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つ。前田氏のレシピは、サヴォイがシェイク・スタイルである点以外は、ほぼ同じである。………………………………………………………………………………………………………140. モンキーグランドコクテール【注166】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 二分の一オンス オレンジジュース 二分の一オンス グレナデン テースプーン一杯 アブサン テースプーン一杯 を加え、最もよくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注166】「モンキーグランドコクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する代表的な古典的カクテルの一つ。「モンキー・グランド(猿の腺)」という奇妙な名前の由来は不詳。前田氏のレシピは、標準的なレシピ(ジン3分の2、オレンジジュース3分の1、ベネディクティン、グレナディン・シロップ各3dash)と比べるとやや甘口となっている。なお、ステアでつくるレシピもある。………………………………………………………………………………………………………141. セリーコクテール【注167】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に、ゴールドン・セリー一オンス、キュラソー 三振りを加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオレンジ皮の小片を搾り込んですすめる。【注167】「セリーコクテール」は、もちろん「シェリー・カクテル」のこと。サヴォイ・カクテルブックにも登場するが、レシピはシェリー(グラス1杯)、ドライベルモット、オレンジ・ビターズ各4dashで、前田氏のとは異なっている(レシピ中、「ゴールドン・セリー」は、「116.サンプリンスコクテール」の【注133】をご参照)。………………………………………………………………………………………………………142. スチンゲルコクテール【注168】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に オールド・ブランデー 三分の二オンス ピパーミント 三分の一オンス を加え、最もよくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注168】「スチンゲルコクテール」は、現代の表記ならば「スティンガー」。1890年代に米国で誕生したと伝わり、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックでも紹介されている古典的カクテルの一つだが、マッケルホーンのレシピはコニャックとミント・リキュール各2分の1で、前田氏のとは分量比が異なっている。………………………………………………………………………………………………………143. スターコクテール【注169】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に アップルジャック・ブランデー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 二振り オレンジキュラソー 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注169】「スターコクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本にも同名のカクテルが紹介されているが、レシピはジン2分の1、カルバドス2分の1、ドライベルモット、スイートベルモット、グレープフルーツ・ジュース各1tspとなっており、前田氏のとはまったく違う。前田氏と同じレシピは1963年刊の「NBAカクテルブック」にも見られる(前田氏のオリジナルかどうかは不詳)。………………………………………………………………………………………………………144. スパニッシュコクテール【注170】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に 伊太利ベルモット 一オンス アンゴスチュラビタ 二振りを加え、最もよくセークし、レモン皮の一片を搾った汁にて内面を濡らしたるコクテールグラスに注ぎ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注170】「スパニッシュ(Spanish)コクテール」は、1910~20年代から欧米ではすでに飲まれていたカクテル。前田氏のレシピは、ステアでなくシェイク・スタイルであること以外、当時の欧米レシピとほぼ同じである。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/29
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125. メトロポールコクテール【注151】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 二振り アンゴスチュラビタ 二振り ガムシロップ 二振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、パインアップルの小片とマラスチノー・チェリーを加えてすすめる。【注151】「メトロポール(Metropole)コクテール」は、禁酒法施行前の1910年代、米ニューヨークで誕生したといわれる古典的カクテルだが、欧米のカクテルブックではなぜかあまり紹介されていない。日本でも現時点では前田氏の本も含め、数点の文献でしか見られない。前田氏のレシピは、ガムシロップを加える以外は、欧米のオリジナル・レシピとほぼ同じ。………………………………………………………………………………………………………126. ミカドコクテール(ジャパニスコクテール)【注152】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 一オンス キュラソー 一振り オルゲット 一振り ノワイヨー 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注152】「ミカドコクテール」は、サヴォイ・ホテルのバーが、1885年にロンドンのサヴォイ劇場で上演されたコミック・オペラ「Mikado」に捧げたカクテルとされ、サヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも登場するが、制作年代ははっきりしない。「ミカド」は日本の「帝(みかど)」、すなわち当時の明治天皇をイメージしたカクテルと言われる。前田氏のレシピもサヴォイとまったく同じである。………………………………………………………………………………………………………127. ミリオンネールコクテール【注153】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ウイスキー 三分の二オンス グレナデン 三分の一オンス キュラソー 一振り 玉子の白味 一個 ガムシロップ 二振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、アブサンの少量を加えてすすめる。【注153】「ミリオンネール(Millionaire)コクテール」は、「ミリオネア・カクテル」のことで、ハリー・マッケルホーンの本(1919年刊)やサヴォイ・カクテルブックにも登場する代表的な古典的カクテルの一つ。 前田氏のレシピがマッケルホーンの本と同じウイスキー・ベースであるのに対し、サヴォイ・カクテルブックでは、「ラム4分の1、スロー・ジン4分の1、アプリコット・ブランデー4分の1、ライムジュース4分の1、グレナディン・シロップ1dash」(No.1)と、「ジン3分の2、アブサン3分の1、卵白1個分、アニゼット1dash」(No.2)という2種類の「ミリオネア」を紹介している。 なお、マッケルホーンの本は「このカクテルはパリのリッツホテルのバーで考案された」と伝えている。………………………………………………………………………………………………………128. シカゴコクテール【注154】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り シャンペン 少量 を加え、バースプーンにて静かに混ぜ、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注154】「シカゴコクテール」は、米国の禁酒法時代(1920~1933年)以前のシカゴで生まれたと伝わる。サヴォイ・カクテルブックにも同名のカクテルが紹介されているが、ベースはブランデーで、その他の材料も前田氏のレシピとはかなり異なっている。………………………………………………………………………………………………………129. シルバーコクテール【注155】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス マラスチノー 二振り オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注155】「シルバーコクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つだが、そのレシピは、ジン3分の2、ドライベルモット3分の1、オルゲート・シロップ、マラスキーノ、オレンジ・ビターズ各2dash、卵白1個分と前田氏のとかなり異なっている。………………………………………………………………………………………………………130. シルバーストレーキコクテール【注156】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 二分の一オンス クンメル 二分の一オンス を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注156】「シルバーストレーキコクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本にも「シルバー・ストリーク」の名前で登場する古典的カクテルの一つ。前田氏のレシピはマッケルホーンの本とまったく同じである。………………………………………………………………………………………………………131. シャンパンコクテール【注157】 シャンパングラスに氷の小塊を入れ之に アンゴスチュラビタ 二振り、砂糖テースプーン 一杯 を加え、之によく冷やしたるシャンパンを注ぎ、バースプーンにて静かに混ぜ、レモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注157】「シャンパン(Champagne)コクテール」は、現代のバーでも人気のカクテルの一つ。前田氏のレシピも、氷を入れる以外は現代の標準的なレシピをほぼ踏襲している。冷蔵庫の発達した現代では冷えたシャンパンが使えるため通常、氷は入れないが、ボトルを十分に冷やすことが難しかったこの当時は、グラスに氷を少し入れるスタイルが一般的だったのだろう。 なお、ジェリー・トーマスのカクテルブック(How to mix drink、1862年刊)にもまったく同名のカクテルが登場するが、そのレシピは白ワイン+ビターズ+砂糖+レモンピールのシェイク・スタイルと現代の標準的なレシピとはほど遠いものとなっている。ちなみに、ハリー・マッケルホーンの本では、「角砂糖(アンゴスチュラ・ビターズで濡らしたもの)1個、コニャック5dash、シャンパン、レモンピール、氷(1個を浮かべる)」となっている。………………………………………………………………………………………………………132. シャムロックコクテール【注158】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ウイスキー 一オンス ジンジャエール 少量 キュラソー 三振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注158】「シャムロック(Shamrock)コクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つだが、前田氏のレシピは、サヴォイでも紹介されている標準的なレシピ(アイリッシュ・ウイスキー2分の1、ドライベルモット2分の1、シャルトリューズ・グリーン3dash、ミント・リキュール3dash)とは大きく異なっている。………………………………………………………………………………………………………133. ジブソンコクテール【注159】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス マアテニー・ロシー・ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り 玉葱小きざみ 少量 を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注159】「ジブソンコクテール」は、現代の表記なら「ギブソン(Gibson)」。ハリー・マッケルホーンの本にも登場する代表的な古典的カクテルの一つ。現代の標準的レシピなら、ドライベルモットを使うが、前田氏はスイートベルモットを使っている。もっとも、これは当時(1930年以前)、マティーニ自体もスイートベルモットを使うケースが多かったことが背景にあろう。 なお、現代ではパール・オニオンを入れるが、1920年代の日本ではまだパール・オニオンなどは簡単には手に入らなかったためか、「玉葱の小きざみ」で代用しているのが面白い。………………………………………………………………………………………………………134. ジャックロスコクテール【注160】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アップルジャック・ブランデー 三分の二オンス ライムジュース 三分の一オンス ラーズベリー・シロップ 少量 を加え、最もよくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注160】「ジャックロスコクテール」は、現代の表記では「ジャック・ローズ(Jack Rose)」。ハリー・マッケルホーンのカクテルブックでも紹介されているが、1900年~1910年代にニューヨークのバーテンダー、ジェイコブ・ロゼンヴァイヒが考案したと伝わる。今日のバーでも、とても人気があるカクテルの一つである。 前田氏のレシピは、今日の標準的なレシピ(アップルジャック30ml、ライムジュース15ml、グレナディン・シロップ15ml)とは分量比が違い、シロップもグレナディンではなく、ラズベリーを用いているのが異色だ。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/26
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115. サイドカーコクテール【注139】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ブランデー 三分の一オンス コイントロー 三分の一オンス レモンジュース 三分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注139】「サイドカーコクテール」は、ハリー・マッケルホーンが1931年に彼が経営する「ハリーズ・ニューヨーク・バー」で考案したと伝わる代表的な古典的カクテル。今日でもバーの人気カクテルの一つとして不動の地位を保っている。 なお、前田氏のレシピはビターズを加える以外はマッケルホーンのレシピと同じ。ちなみにサヴォイ・カクテルブックのレシピは、ブランデー2分の1、コアントロー4分の1、レモンジュース4分の1。………………………………………………………………………………………………………116. サゼラックコクテール【注140】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ウイスキー 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り 角砂糖 一個 を加え、やや永くセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込み、尚ほアブサン二、三滴を落としてすすめる。【注140】「サゼラックコクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する代表的な古典的カクテルの一つだが、マッケルホーンのレシピでは、上記ウイスキーがバーボン60ml、さらにアニス4dashが加わる。サヴォイでは、マッケルホーンとほぼ同じだが、ウイスキーはカナディアンクラブ(ライ・ウイスキー)を指定している。 なお、前田氏の本と同じ年(1924年)に出版された秋山徳蔵氏の本「カクテル(混合酒調合法)」にも「サゼラク・カクテル」として紹介されているが、秋山氏のレシピは、ブランデー・ベースとなっている。………………………………………………………………………………………………………117. サイダーコクテール【注141】 サイダーグラスに氷の小塊を入れ之に、アンゴスチュラビタ二振り、角砂糖一個を加え、之にレモン皮の小片を入れ、冷やしたる三ツ矢サイダーを満たしてすすめる。【注141】「サイダーコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルであるが、前田氏の創作かどうかは不明。………………………………………………………………………………………………………118. サンマルタンコクテール【注142】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス エイロー・シャルトリユーズ テースプーン半杯 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注142】「サンマルタン(St Martin)コクテール」は、現時点では前田氏の本も含め、日本で出版された文献でしか見られないカクテルである。なお、シャルトリューズはイエローではなくグリーンを使うレシピもある。………………………………………………………………………………………………………119. サンサシヨンクテール【注143】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 三分の二オンス ライムジュース 三分の一オンス マラスチノー 二振り 薄荷の葉 二葉 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注143】「サンサシヨンコクテール」は、「センセーション(Sensation)・カクテル」のことと思われるが、現時点では、前田氏の本も含め日本で出版された文献でしか見られないカクテルである。後年のNBAカクテルブック(1963年刊)では、ジン4分の3、ライムジュース4分の1と辛口へと変化している。……………………………………………………………………………………………………120. サンプリンスコクテール【注144】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライウイスキー【注145】 二分の一オンス ゴールドン・セリー【注146】 二分の一オンス キュラソー 三振り アンゴスチュラビタ 三振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注144】「サンプリンスコクテール」は、現時点では前田氏の本も含め、日本で出版された文献でしか見られないカクテルである。【注145】「ドライウイスキー」の「ドライ」とは辛口という意味なのか、またどういうウイスキーを意味しているのかは現時点では不明。【注146】「ゴールドン・セリー」とは、クリームタイプ(または甘口オロロソタイプ)のシェリーで、「(リッチ)ゴールデン(Golden)・シェリー」のことを指すと思われる。この当時、英サンデマン社(1790年創業)の「リッチゴールデン・シェリー」は日本に輸入されていたらしい。………………………………………………………………………………………………………121. サンシンコクテール【注147】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールドトム・ジン 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注147】「サンシンコクテール」は、「サンシャイン(Sunshine)・カクテル(No.1)」の名で、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つだが、サヴォイのレシピでは、フレンチ(ドライ)ベルモットは使わない。………………………………………………………………………………………………………122. キユバンコクテール【注148】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライジン 三分の二オンス フレンチベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 二振り マラスチノー 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。 【注148】「キユバン(キューバン=Cuban)コクテール」は、ラム・ベースやブランデー・ベースのものが知られているが、前田氏のレシピのようなジン・ベースのものは、調べた限りでは他には見られない。前田氏が何を参考にしたのかは不明。………………………………………………………………………………………………………123. メデユムマルテニーコクテール【注149】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 六分の四オンス フレンチベルモット 六分の一オンス マルテニー・ロシー・ベルモット 六分の一オンス を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注149】「メデユムマルテニーコクテール」は、言わずもがなだが、「マティーニ・ミディアム(Martini Medium)」のこと。………………………………………………………………………………………………………124. メホーロングコクテール【注150】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に スロー・ジン 六分の四オンス フレンチベルモット 六分の一オンス 伊太利ベルモット 六分の一オンス を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注150】「メホーロングコクテール」は、現時点では前田氏の本も含め、日本で出版された文献でしか見られないカクテルである。「メホーロング」の英文表記(綴り)でも分かれば、何か手掛かりが得られるかもしれないが…。……………………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/25
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105. デスボンブコクテール【注129】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス アップルジャック・ブランデー 二分の一オンス レモンジュース テースプーン半杯 グレナデン テースプーン半杯 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注129】「デスボンブコクテール」は、現代の表記で言う「デプス・ボム(カクテル)」のこと(「デプス・ボム(Depth Bomb)」とは対潜水艦用の爆雷の意。「1910年代にはすでに人気があったカクテル。第一次世界大戦時の機雷敷設艦にインスピレーションを得て考案された」とサヴォイ・カクテルブックは伝えるが、収録しているカクテルブックは意外と少ない。前田氏のレシピは欧米のオリジナル・レシピとほぼ同じである。………………………………………………………………………………………………………106. デルビーコクテール【注130】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り キュラソー 一振り パイナップル・シロップ 一振り シャンペン 少量 を加え、バースプーンにて静かに混ぜた後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注130】「デルビーコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。似た名のカクテルに「ダービー(Derby)」があるが、レシピはジン・ベースまたはウイスキー・ベースで、材料も前田氏のこのカクテルとは大きく異なっている。………………………………………………………………………………………………………107. デアボロコクテール【注131】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジキュラソー 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注131】「デアボロ(Diablo)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場するが、前田氏のレシピはサヴォイとほぼ同じである(ただし、前田氏はステアなのに対して、サヴォイはシェイク・スタイル)。マッケルホーンの本では、ジン3分の1、デュボネ3分の2、オルゲートシロップ2dashというレシピで、サヴォイや前田氏のとはかなり異なっている。 なお、マッケルホーンの本が紹介するカクテルは、サヴォイ・カクテルブックでは「Diabola(ディアボラ)」という別名のカクテルとして登場しているが、この理由は不明。………………………………………………………………………………………………………108. アップリコットコクテール【注132】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アップリコット・ブランデー 一オンス フレンチベルモット 少量 アンゴスチュラビタ 二振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注132】「アップリコットコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場するが、そのレシピ(アプリコット・ブランデー2分の1、オレンジジュース4分の1、レモンジュース4分の1、ジン1dash)は、前田氏のものとかなり異なっている。日本では後年、NBAカクテルブック(1963年刊)で同名カクテルが登場するが、そのレシピはサヴォイとまったく同じである。………………………………………………………………………………………………………109. アップルジャックコクテール【注133】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に アップルジャック・ブランデー 二分の一オンス セリー 少量 ガムシロップ或いはキュラソー 二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにて撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のオリーブを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注133】「アップルジャックコクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場するが、そのレシピは前田氏のものとはかなり異なっている。マッケルホーンの本が「アップルジャック3分の2、グレナディン6分の1、レモンジュース6分の1」であるのに対し、サヴォイは「アップルジャック(カルバドス)2分の1、スイートベルモット2分の1、アンゴスチュラビターズ1dash」となっている。 マッケルホーンの本と同一レシピのものは、サヴォイでは「アップルジャックカクテル・スペシャル」との名で紹介されている。いずれにしてもシェリーを加えるレシピは、現時点では本書でしか見当たらない。………………………………………………………………………………………………………110. R.A.Cコクテール【注134】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライジン 四分の二オンス フレンチベルモット 四分の一オンス 伊太利ベルモット 四分の一オンス グレナデン 一振り オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにて撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注134】「R.A.Cコクテール」はサヴォイ・カクテルブックによく似た「R.A.Cスペシャル」というカクテルが紹介されているが、そのレシピはジン2分の1、ドライベルモット4分の1、スイートベルモット2分の1、オレンジビターズ2dashと微妙に異なっている。前田氏のレシピは13年後に出版された「カフェ・ロイヤル・カクテルブック」(1937年刊)に収録の「R.A.C」と全く同じである。出版の13年も前に前田氏がこのレシピを正確に知っていたことは驚愕に値する。………………………………………………………………………………………………………111. アイリシユコクテール【注135】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アイリシユ・ウイスキー 一オンス ガムシロップ 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注135】「アイリシユ(アイリッシュ=Irish)コクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルだが、そのレシピは「アイリッシュ・ウイスキー+アンゴスチュラビターズ+マラスキーノ+キュラソー+アブサン」で、前田氏のレシピとは微妙に異なっている。………………………………………………………………………………………………………112. アムールコクテール【注136】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に セリー 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注136】「アムール(Amour)コクテール」は、1920年代の日本のカクテルブックに初めて登場し、その後も日本の文献でしか見られないカクテル。日本人バーテンダーの創作か。………………………………………………………………………………………………………113. アングルコクテール【注137】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジン 一オンス ガムシロップ 四振り アンゴスチュラビタ 一振り オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく撹き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注137】「アングルコクテール」は、レシピの内容から判断すれば欧米で1910~20年代から飲まれていた「アングラーズ(Angler’s)カクテル」のことと思われる。前田氏のレシピも欧米の標準的なものと同じである。………………………………………………………………………………………………………114. アブサンコクテール【注138】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アブサン 二分の一オンス サイフオン水 二分の一オンス プレーンシロップ或いはアニセット 二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注138】「アブサンコクテール」は、ジェリー・トーマスのカクテルブック(1862年刊)にも登場する最初期のカクテルの一つ。ただしそのレシピはアブサン30ml、アニス2dash、ビターズ1dashで、前田氏とものとは少し異なっている。……………………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/24
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95. エイローコクテール【注119】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アプリコット・ブランデー 三分の一オンス エイロー・シャートリユーズ 三分の一オンス アブサン 三分の一オンス を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注119】「エイロー(「イエロー」のことを前田氏はこう表記する)コクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。………………………………………………………………………………………………………96. エイローラットレコクテール【注120】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス マルテニー・ロシー・ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り 薄荷の葉 二葉 オニオン 小キザミ少量 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注120】「エイローラットレコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも「イエローラットレー(Yellow Rattler)・カクテル」の名で登場するが、そのレシピ(ジン、ドライベルモット、スイートベルモット、オレンジジュース各4分の1ずつ)は前田氏のとかなり異なっている。前田氏が何を参考にしたのかは不明。………………………………………………………………………………………………………97. HPWコクテール【注121】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に 伊太利ベルモット 三分の二オンス ジン 三分の一オンス オレンジ 小片 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注121】「HPWコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場するが、レシピはスイートベルモット、ジン各2分の1ずつで、前田氏のと少し異なる。………………………………………………………………………………………………………98. HSコクテール【注122】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 三振り マンダーリン 二振り ガムシロップ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注122】「HSコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。………………………………………………………………………………………………………99. XYZコクテール【注123】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス レモンジュース 一個分 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にプレーンシロップ或いはガムシロップの少量を加えてすすめる。【注123】「XYZコクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つで、現代でもなおラム・ベースの人気カクテル(ラム+ホワイト・キュラソー+レモンジュース)だが、前田氏のレシピはジン・ベースである。このようなレシピは、同時代の日本のカクテルブックには見られるが、海外のカクテルブックでは現時点では見当たらない。………………………………………………………………………………………………………100. エールコクテール【注124】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールドトム・ジン 一オンス オレンジビタ 三振り アンゴスチュラビタ 二振り レモン皮 一片 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、之に少量の平野水を加え、ワイングラス若しくはシャンペングラスに注いですすめる。【注124】「エールコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。似た名のカクテルで「イェール(Yale)」があるが、レシピはジン45ml、ドライベルモット15ml、ブルー・キュラソー1tsp、ビターズ1dashとなっており、前田氏のとはかなり異なっている。………………………………………………………………………………………………………101. デュボンネットコクテール【注125】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に デュボンネット 三分の一オンス セリー 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り オレンジビタ 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にオレンジ皮の小片を搾り込んですすめる。【注125】「デュボンネット(デュボネット=Dubonnet)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つであるが、そのレシピはデュボネット3分の2、ジン3分の1で、前田氏のレシピとは少し異なっている。………………………………………………………………………………………………………102. デプロマットコクテール【注126】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に フレンチベルモット 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス マラスチノー 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注126】「デプロマットコクテール」は、1910~20年代には欧米で飲まれていたカクテルであるが、紹介しているカクテルブックは意外と少ない。前田氏のレシピは、欧米の標準レシピとほぼ同じである。………………………………………………………………………………………………………103. デップセアコクテール【注127】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に オールドトム・ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス アブサン 一振り オレンジビタ 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之に一個のオリーブを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注127】「デップセアコクテール」は、現代の表記では「ディープ・シー・カクテル」。第一次大戦中の潜水艦にちなんで考案されたと伝わるが、作者は不詳。日本国内のカクテルブックにも1920年代から登場するが、なぜか海外のカクテルブックではあまり取り上げられていない不思議なカクテル。なお、フレンチ(ドライ)ベルモットの代わりにスイートベルモットを使うレシピもある。………………………………………………………………………………………………………104. デヴィルコクテール【注128】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之にブランデー 二分の一オンスクレームデミント或いはピパーミント 二分の一オンスアブサン 一振り オレンジビタ 一振りを加えよくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、胡椒の一摘みを加えてすすめる。【注128】「デヴィル(デビル=Devil)コクテール」は、欧米に同名のカクテルがあるが、そのレシピはドライベルモット30ml、ルビー・ポート60ml、レモンジュース1dashと前田氏のレシピとまったく違う。現時点で知る限り前田氏のレシピは初出であるが、創作かどうかは不明。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/20
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85. プリンストンコクテール【注107】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に オールドトム・ジン 一オンス オレンジビタ 三振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にポートワイン少量を加えてすすめる。【注107】「プリンストンコクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブック(1919年刊)やサヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも登場する古典的なカクテルだが、両著のレシピでは上記に加えて、ポートワインも(サヴォイは20ml、マッケルホーンは1tsp)入れている。カクテル名は米ニュージャージー州の学術の町、プリンストンに由来するという。…………………………………………………………………………………………86. ブラックトンコクテール【注108】 此のコクテールは最も古いコクテールにして恐らくコクテールの起源と言ふても差し支へありません。 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に フレンチベルモット 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス スロー・ジン 三分の一オンス オレンジビタ 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注108】「ブラックトンコクテール」は、レシピから類推すると「ブラックソーン(Blackthorn)・カクテル」のことと思われる。サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルだが、サヴォイのレシピはウイスキー・ベース。前田氏のレシピはベルモット・ベースだが、通常のスイートベルモットに加えてドライベルモットも使うなど独創的であるが、現時点ではそれが前田氏の創作かどうかは分からない。…………………………………………………………………………………………87. ブローダウンコクテール【注109】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス マラスチノー 少量 苺(つぶし) 二個 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注109】「ブローダウンコクテール」は、マティーニのバリエーションのように思えるが、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。…………………………………………………………………………………………88. ブラントンコクテール【注110】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注110】「ブラントンコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。バーボン・ウイスキーを用いないので、有名な銘柄「Blanton」とは無関係なのは間違いないが…。…………………………………………………………………………………………89. ブロンクスコクテール【注111】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジジュース 六分の一個 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、オレンジビタ一振りを落としてすすめる。【注111】「ブロンクス(Bronx)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、マッケルホーンのレシピではドライ(フレンチ)ベルモットは使わない。 前田氏のレシピはサヴォイ・レシピとほぼ同じだが、分量比がサヴォイ(ジン2分の1、ドライベルモット4分の1、スイートベルモット4分の1、オレンジジュース4分の1個分)のと少し異なり、甘口の仕上がりとなっている。現代の標準的なレシピは、サヴォイ・レシピの方に近い。カクテル名は米ニューヨーク市のブロンクス区に由来する。…………………………………………………………………………………………90. ブラジルコクテール【注112】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライパール・セリー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス アブサン 二振り プレーンシロップ 二振り オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注112】「ブラジルコクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテル。前田氏のレシピは、シロップを加えているところ以外は両著にほぼ同じ。…………………………………………………………………………………………91. ブランデーコクテール【注113】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 一オンス キュラソー 二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリブ一個を入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注113】「ブランデーコクテール」は、19世紀中頃から飲まれていた最初期のカクテルの一つ。…………………………………………………………………………………………92. コロネーションコクテール【注114】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 一オンス キュラソー 二振り ペアチビタ【注115】 一振り ピパーミント 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注114】「コロネーションコクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックにも同名のものが登場するが、マッケルホーンのレシピ(ドライベルモット+シェリー+オレンジビターズ+マラスキーノ)は前田氏のとまったく異なっている。前田氏のレシピは、6年後に出版されたサヴォイ・カクテルブックでの「コロネーション(Coronation No.2)」というカクテルとほぼ同じである。【注115】「ペアチビタ」とは、「ピーチビター」のことかと思われるが、編者も「ピーチビター」が存在することは知っているが、実物はまだ見たことがなく、詳細は不明(情報をお持ちの方はご教示ください)。…………………………………………………………………………………………93. コロンウエールコクテール【注116】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス セヴイルオレンジビタ【注117】 三分の一オンス を加え、よくセークしたる後、オリブジュースを以て濡らしたるコクテールグラスに注ぎ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注116】「コロンウエールコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。【注117】「セヴイルオレンジビタ」とは、その名の通り、セヴィル・オレンジ(Seville Orange)を原材料にして造られたビターズのこと。セヴィルとはスペイン・セビリア地方のことで、セヴィル・オレンジは苦みが強く生食に適さないため、マーマレードやビターズの原料によく使われる。…………………………………………………………………………………………94. コッペルスタウンコクテール【注118】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス マルテニー・ロシー・ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り 薄荷の葉 二葉 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注118】「「コッペルスタウンコクテール」は、「61」の「クウパウズタウンコクテール」と材料がまったく同じで、つくり方がステアかシェイクかの違いだけである。前田氏がカタカナ表記の違いだけで区別した意図はよくわからない。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/13
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75. マアテニーズコクテール【注93】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス マアテニーロシー・ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注93】ジンは「ゴルドン(ゴードン)」に代わったが、ベルモットもマルチーニ社の「ロシー(赤)」に代わっている。今日の標準マティーニ・レシピでは、ベルモットは当然「ドライ」を使うが、この時代(1900~1920年代)はスイートベルモットを使うのが一般的だった。マティーニ発展の歴史の知られざる一面だ。…………………………………………………………………………………………76. マアガレトコクテール【注94】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に トムジン 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り マラスチノー 一振り を加え、最も強くセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注94】「マアガレトコクテール」は、現時点では前田氏のカクテルブックにしか見られないカクテルである。…………………………………………………………………………………………77. マイフエールコクテール【注95】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 二分の一オンス プレーン・オレンジジュース 二分の一オンス クロウエー・シロップ【注96】 少量 アツプリコ・シロップ【注97】 一、二振り を加え、最も強くセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注95】「マイフエールコクテール」は、現時点では前田氏のカクテルブックにしか見られないカクテルである。【注96】「クロウエー・シロップ」は詳細不明です(情報お持ちの方はご教示ください)。【注97】「アツプリコ・シロップ」とは、文字通り「アプリコット」(アンズ)のシロップ。ちなみに英語ではApricotだが、仏語ではAbricot。…………………………………………………………………………………………78. フエルバンクコクテール【注98】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 一振り ノワイヨー・ローズ【注99】 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオレンジの皮の小片を搾り込んですすめる。【注98】「フエルバンクコクテール」は、レシピから類推するとサヴォイ・カクテルブック(1930年刊)に登場する「フェアバンク・カクテル」と同一と思われるが、もちろん前田氏の本(1924年刊)の方が6年早い。なお、前田氏のレシピはジンとベルモットが等量だが、サヴォイ・レシピはジン3分の2、ドライベルモット3分の1と、やや辛口の仕上がりとなっている。【注99】「ノワイヨー・ローズ」の「ノワイヨー」とは「クレーム・ド・ノワイヨー(Cr?me de Noyaux)」(桃や杏の核を主成分とし、アーモンドやヘーゼルナッツの風味を持つ)リキュールのことを指すと思われるが、「ノワイヨー・ローズ」とは何を指すかは不詳である。なお、サヴォイ・カクテルブックでは「クレーム・ド・ノワゼット(Cr?me de Noisette)」との名で紹介されている。…………………………………………………………………………………………79. フエルネットコクテール【注100】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に フエルネット・ブランカー【注101】 四分の二オンス ウイスキー 四分の一オンス ブランデー 四分の一オンス ガムシロップ 二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注100】「フエルネットコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。【注101】「フエルネット・ブランカー」とは、1845年、イタリアのミラノのブランカ家が創製したビター系のハーブ・リキュール。ゲンチアナ、カモミール、リコリス、ジンジャー、サフラン、リュバブなど約30種類のハーブ・スパイスを、ワインとブランデーの混合液に浸漬・濾過し、オーク樽で熟成させて製品化する。現代の表記では「フェルネット・ブランカ」。…………………………………………………………………………………………80. フユブコクテール【注102】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス ベネデクチン テースプーン半杯 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注102】「フユブコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックに「フロープ(Froupe)カクテル」として紹介されているが、他のカクテルブックには見られない。前田氏のレシピはサヴォイのとまったく同じである。…………………………………………………………………………………………81. フラントンコクテール【注103】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ホワイトポート 一オンス アンゴスチュラビタ 二振り ブランデー 少量 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉してすすめる。【注103】「フラントンコクテール」とは、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。…………………………………………………………………………………………82. フルートコクテール【注104】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に フレンチベルモット 二分の一オンス ピコン 二分の一オンス オレンジビタ 三振り ブランデー 少量 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉してすすめる。【注104】「フルートコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。…………………………………………………………………………………………83. フオドコクテール【注105】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に フレンチベルモット 三分の二オンス トムジン 三分の一オンス オレンジビタ 二振り ドム テースプーン半杯 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注105】「フオドコクテール」は、現時点では前田氏の本でしか見られないカクテルである。「フォド」は車の「フォード」のことと思われるが、1908年に発売された「T型フォード」にちなんだカクテルか。…………………………………………………………………………………………84. プリンセスマリーコクテール【注106】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 三分の一オンス クレーム・デ・カカオ 三分の一オンス ミルク 三分の一オンス を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注106】「プリンセスマリー(メアリー)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテル。有名なカクテル「アレキサンダー」のベースをブランデーからジンに代えたもの。前田氏のレシピは、生クリームの代わりにミルクを使用している以外は、両著とまったく同じ(大正年間は生クリームなどまだ貴重品だったのだろう)。 なお、原著では「プリンスマリーコクテール」となっていたが、明らかに「プリンセスマリーカクテル」の誤植であるため、復刻版では修正した。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/04
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65. クウパースタウンコクテール【注79】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス マルチニー・ロシー・ベルモット【注80】 三分の一オンス オレンジビタ 一振り 薄荷の葉 二、三葉 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注79】「クウパウズタウンコクテール」は、「クーパーズタウン(Cooperstown)」の名でサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、そのレシピ(ジン、ドライベルモット、スイートベルモット各3分の1ずつ、ミントの小枝)は前田氏のと異なっている。【注80】「マルチニー・ロシー・ベルモット」とは言うまでもなく、マルチーニ社のスイート・ベルモットのこと。…………………………………………………………………………………………66. クラブコクテール【注81】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に カナデアンクラブ・ウイスキー【注82】 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り グレナデン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注81】「クラブコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも同名のカクテルが登場するが、レシピは異なりジン・ベースである。この前田氏のレシピは後年1937年出版の「カフェ・ロイヤル・カクテルブック」に登場する同名カクテルのレシピとほぼ同じである。【注82】「カナデアンクラブ」とは言うまでもなく、今日でも「C・C」の愛称で知られるカナディアン・ウイスキーの雄。…………………………………………………………………………………………67. クリームソンコクテール【注83】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 三振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注83】「クリームソンコクテール」は、「クリムゾン(Crimson)・カクテル」のことか。1910~20年代には欧米で飲まれていたが、当時の一般的なレシピはジン3分の2、ポートワイン3分の1、レモンジュース2tsp、グレナディン・シロップ1tspで、前田氏のレシピとはかなり異なっている。前田氏が何を参考にしたのかは不明。…………………………………………………………………………………………68. クロンデックコクテール【注84】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に アップルジャック・ブランデー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のオリーブを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注84】「クロンデックコクテール」は、現時点では前田氏のカクテルブックだけで見られるカクテルである。…………………………………………………………………………………………69. クローバクラブコクテール【注85】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の二オンス フレンチベルモット 三分の一オンス 玉子の白味 一個 グレナデン テースプーン半杯 ライムジュース 少量 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラス或いはワイングラスに注いですすめる。【注85】「クローバクラブコクテール」は、「クローバークラブ・カクテル」の名で有名な古典的カクテル。ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも収録されており、1900~1910年代にはかなりポピュラーだったカクテルと伝わる。なお、今日ではベルモットは加えないレシピが一般的で、ベルモットを加える場合ではスイートベルモットを使うことが多い。…………………………………………………………………………………………70. グレードエイコクテール【注86】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アブサンペルノード 三分の二オンス ピパーミント【注87】 三分の一オンス を加え、最も強く且(か)つ永くセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注86】「グレードエイコクテール」は、「グレードA(Grade A)」と思われるが、現時点では国内外の同時代のカクテルブックでは、その名が見当たらないカクテル。前田氏の創作か。【注87】「ピパーミント」とは言うまでもなく「ペパーミント・リキュール」のこと。…………………………………………………………………………………………71. グルームコクテール【注88】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス グレナデン 一振り アブサン 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注88】「グルームコクテール」は同時代の国内外のカクテルブックには見当たらない。レシピからみる限り、「グルームレイザー(Gloom Raiser)」という準スタンダードカクテルと酷似している(伊太利ベルモット→ドライ・ベルモット)ため、おそらくはこのバリエーションと思われるが、前田氏の創作かどうかは不詳。…………………………………………………………………………………………72. マンハッタンコクテール【注89】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ウイスキー 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り キニラソー【注90】 二、三振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注89】「マンハッタンコクテール」は言うまでもなく、「カクテルの女王」と称される古典的カクテルの代表格。誕生の逸話も様々なバリエーションが伝わる。かのジェリー・トーマスは、彼の有名なカクテルブック(初版1862年)の1887年の改訂版で初めて紹介している。材料は現在では、ライ(またはバーボン)・ウイスキー、スイートベルモット、アンゴスチュラ・ビターズの3種が基本だが、1920~30年代当時は、さまざまなビターズやキュラソー、アブサン、シャルトリューズなどを少し加えるのが流行っていたという。【注90】「キニラソー」は他の箇所から類推すると「キユラソー」の誤植と思われる。…………………………………………………………………………………………73. マアテニーズコクテール(米國)【注91】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールドトム・ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス キユラソー 一振り マラスチノー 一、二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注91】「マアテニーズ」とは言うまでもなく、カクテルの王様「マティーニ」のことと思われるが、前田氏の本の出版当時、米国では禁酒法が施行されており、おおっぴらには飲めなかったであろう。前田氏が紹介しているレシピは当然、禁酒法以前の1910年代より前の時代のレシピであろうが、現代のようなドライな味わいではなく、甘口に仕上げるのが主流だったようだ。…………………………………………………………………………………………74. マアテニーズコクテール(英國)【注92】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジシロップ 一振り アンゴスチュラビタ 一振りを加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注92】「マティーニ」はこの時代(1920年代)、英国では花形カクテルの一つだったが、このレシピでは甘口の「プリマウス(プリマス)・ジン」をベースにしており、米国流レシピと同様、やや甘口の味わいに仕上げられている。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/30
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55. ソーダコクテール【注66】 砂糖 テースプーン二杯 アンゴスチュラビタ 二振り 氷 一、二塊 平野水 適量 をソーダグラスに入れ、之にレモンの小片を加え、冷たい平野水を満たしてすすめる。【注66】「ソーダコクテール」は、1920~30年代の日本国内の文献にのみその名が見られる極めてシンプルなカクテル。日本人バーテンダーのオリジナルか。…………………………………………………………………………………………56. ラインコクテール【注67】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の一オンス ベネヂグチン【注68】 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス アンゴスチュラビタ 二振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之に小さいラッキョ一個をつぶし加えてすすめる。【注67】「ラインコクテール」は、現時点では前田氏の本にのみ見られるカクテル。「ライン」という名は、前田氏の勤務先だった「カフエライン」に由来するのかも。【注68】「ベネヂグチン」とは言うまでもなく、ハーブ系リキュール「ベネディクティン」のこと(8頁の【注8】参照)。…………………………………………………………………………………………57. ラケットクラブコクテール【注69】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注69】「ラケットクラブ(Racquet Club)コクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、そのレシピ(ジン3分の2、ドライベルモット3分の1、オレンジビターズ1dash)は、前田氏のと分量比が異なる。…………………………………………………………………………………………58. ウイズバングコクテール【注70】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に スコッチウイスキー 三分の二オンス フレンチベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り グレナデン 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注70】「ウイズバングコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも「ウィズ・バン(Whizz-bang)」の名で登場する古典的なカクテル。前田氏のレシピはサヴォイとまったく同じ。…………………………………………………………………………………………59. ウオルエイコクテール【注71】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ウイスキー 四分の二オンス オレンジジュース 四分の一オンス レモンジュース 四分の一オンス グレナデン テースプーン半杯 を加え、最も強烈にセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注71】「ウオルエイコクテール」は、現時点では前田氏の本にのみ見られるカクテル。「ウオルエイ」という名の由来も不詳。…………………………………………………………………………………………60. ウイスキーコクテール【注72】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ウイスキー 一オンス 伊太利ベルモット 少量 フレンチベルモット 少量 ガムシロップ 二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注ぎ、之に一個のマラスチノー・チェリーを入れてすすめる。【注72】「ウイスキーコクテール」は、かのジェリー・トーマスのカクテルブックにも登場する最初期のカクテルの一つだが、トーマスのレシピはウイスキー(1グラス)、ガムシロップ3~4dash、ビターズ2dash、レモンピールで、前田氏のレシピとはかなり異なっている(ベルモットは加えていない)。ちなみにサヴォイ・カクテルブックにも同名のカクテルが登場するが、レシピはトーマスの本とほぼ同じ。…………………………………………………………………………………………61. ウイップコクテール【注73】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アブサンペルノード【注74】 四分の一オンス フレンチベルモット 四分の一オンス ブランデー 四分の一オンス キュラソー 四分の一オンス を加え、最も強烈にセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注73】「ウイップ(Whip)コクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテル。ただし、サヴォイのレシピ(ブランデー2分の1、ドライベルモット4分の1、スイートベルモット4分の1、キュラソー3dash、アブサン1dash)は、前田氏のとかなり異なっている。【注74】「アブサンペルノード」は言うまでもなく、薬草系リキュールの「アブサン」または「ペルノー」のこと。…………………………………………………………………………………………62. ヴエロシチーコクテール【注75】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジ 小片 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注75】「ヴェロシチーコクテール」は、「ベロシティー(Velocity)・カクテル」の名でサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、ジンとスイート(伊太利)ベルモットの比率は前田氏のレシピとは逆となっている。ちなみに「Velocity」とは「速度、速さ」の意。なお、これとは別にウオッカ・ベースの同名のカクテルも存在する。…………………………………………………………………………………………63. ヴアンダービールコクテール【注76】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールド・ブランデー【注77】 二分の一オンス チェリーブランデー 二分の一オンス ガムシロップ 一、二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注76】「ヴァンダービールコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、そのレシピ(ブランデー4分の3、チェリーブランデー4分の1、シロップ3dash、アンゴスチュラビターズ2dash)は前田氏のと異なっている。現代の表記では「バンダービルト(Vanderbilt)」が一般的。【注77】「オールド・ブランデー」とは、熟成年数のことを言っているのか、それともオールド・ボトルを使えという意味なのかは不明。…………………………………………………………………………………………64. クインコクテール【注78】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジ、パインアップル 小片 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注78】「クインコクテール」は、「クイーンズ(Queen’s)・カクテル」の名でハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテル。前田氏のレシピはマッケルホーンの本とほぼ同じだが、サヴォイ・レシピ(ジン2分の1、ドライベルモット4分の1、スイートベルモット4分の1)とは分量比が少し異なっている。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/09
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43. カッフェコクテール【注53】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ポートワイン 一オンス ブランデー 二分の一オンス 玉子の黄味 一個 シュガーシロップ テースプーン半杯 を加え、よくセークしたる後、ワイングラスに注ぎ、之にナツメキ【注54】の粉末少量を振ってすすめる。【注53】「カッフェコクテール」は現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。【注54】「ナツメキ」とは言わずもがなだが、ナツメグのこと。…………………………………………………………………………………………44. ヨルクコクテール【注55】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ウイスキー 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉してすすめる。【注55】「ヨルク(ヨーク=York)コクテール」は、1910~20年代には欧米で飲まれていたカクテル。標準的なレシピはウイスキー2分の1、スイートベルモット2分の1、アロマチック・ビターズ1dash、オレンジ・ビターズ1dashで、前田氏のレシピも分量比以外は、ほぼ同じ。なお、同名のカクテルで、ジン4分の3、マラスキーノ4分の1、オレンジ・ビターズ3dash、アンゴスチュラ・ビターズ1dash、レモンピールというレシピも存在する。…………………………………………………………………………………………45. ターキシユーコクテール【注56】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライジン 三分の二オンス フレンチベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 二振り アンゴスチュラビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にアブサンの少量を落としてすすめる。【注56】「ターキシユーコクテール」は、「ターキッシュ(Turkish)・カクテル」と想像されるが、現時点では前田氏の本以外の文献でその名が見当たらない謎のカクテル。…………………………………………………………………………………………46. カンツリーコクテール 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ウイスキー 一オンス オレンジビタ 三振り アンゴスチュラビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモンの皮の小片を搾り込んですすめる。…………………………………………………………………………………………47. カナデアンコクテール 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に カナデアンクラブウイスキー 一オンス ガムシロップ 二振り アンゴスチュラビタ 二振り イタリアンベルモット 少量 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にマラスキーノチェリー一個を加えてすすめる。…………………………………………………………………………………………48. タキシユードコクテール【注57】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り セリー 少量 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注57】「タキシユードコクテール」は、「タキシード(Tuxedo)・カクテル」としてサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、サヴォイ・レシピでは、伊太利(スイート)ベルモットの代わりにドライベルモットを使っている。…………………………………………………………………………………………49. タンゴーコクテール【注58】 調合グラスに ジン 三分の二オンス ウオヅカ 三分の一オンス レモンジュース 四分の一オンス オレンジビタ 四振り ガムシロップ 三振り 玉子の白味 一個 を入れ、之に平野水の少量を加えて静かに混ぜ、泡を立て、シャンペングラスに注いですすめる。【注58】「タンゴーコクテール」とは「タンゴ(Tango)・カクテル」と思われるが、ハリー・マッケルホーンが考案した同名のカクテル(ジン・ベース5分の2、スイートベルモット5分の1、ドライベルモット5分の1、オレンジキュラソー5分の1、オレンジジュース2dash)とは中身が大きく異なる。現時点では別の人が考案したカクテルか前田氏のオリジナルかは不明。…………………………………………………………………………………………50. タルフコクテール【注59】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 一振り マラスチノー 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注59】「タルフ(Turf)コクテール」は、現代の表記では「ターフ・カクテル」。欧米では1910~20年代から飲まれているカクテルで、前田氏のレシピもほぼ同じ。なお、フレンチ(ドライ)ベルモットの替わりにイタリアン(スイート)ベルモットを使うレシピもある。…………………………………………………………………………………………51. ダイキリコクテール【注60】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に バカルデー・ラム 三分の二オンス ライムジュース 三分の一オンス グレナデンシロップ 若干 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注60】「ダイキリコクテール」は、1890年代後半に誕生したと伝わる古典的カクテルの一つで、ハリー・マッケルホーンの本(1919年刊)やサヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも登場している。「ダイキリ」の名はキューバのダイキリ鉱山にちなむというのはあまりにも有名。…………………………………………………………………………………………52. ダンプセーコクテール【注61】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に カルバド【注62】 三分の二オンス ジン 三分の一オンス アブサン 一振り グレナデンシロップ テースプーン半杯 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注61】「ダンプセーコクテール」は、「デンプシー(Dempsey)・カクテル」のこと。1920年代にはすでに欧米で飲まれていたが、なぜか欧米のカクテルブックでは紹介されることが少ない。当時の標準レシピは、カルバドス30ml、ジン30ml、アニス・リキュール1tsp、グレナディン0.5tspで、前田氏のレシピとは少し異なっている。【注62】「カルバド」とは、言うまでもなく「カルバドス(アップル・ブランデーの高級品)」のこと。…………………………………………………………………………………………53. ダイキダイキコクテール【注63】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に カルバド 五分の三オンス カロリック・ポンチ 五分の一オンス グラツプフルユイ・ジュース【注64】 五分の一オンス を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注63】「ダイキダイキコクテール」とは、「ディキディキ(Diki-Diki)・カクテル」の名でハリー・マッケルホーンのカクテルブックにも登場する古典的なカクテルだが、そのレシピ(カルバドス3分の2、スウェディッシュ=カロリック=パンチ6分の1、グレープフルーツ・ジュース6分の1)は、前田氏のと分量比が異なる。【注64】「グラツプフルユイ・ジュース」の表記には少々驚かされるが、もちろんグレープフルーツ・ジュースのこと。…………………………………………………………………………………………54. レーモンドハッチコクテール【注65】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に 伊太利ベルモット 一オンス レモンジュース 四分の一個分 オレンジビタ 一振り パインアップル 小片 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注65】「レーモンドハッチコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも「レイモンドヒッチ(Raymond Hitch)」の名で登場する古典的なカクテルだが、前田氏は、サヴォイ・レシピのレモンジュースをオレンジジュースに替えている。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/06
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33. チャイニスコクテール【注40】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジャマイカ・ラム 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り マラスチノー 二振り キュラソー 二振り グレナデン 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にマラスチノー・チェリー一個を加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注40】「チャイニスコクテール」とは、「チャイニーズ・カクテル」のことで、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックをはじめ、数多くの文献に登場する古典的カクテル。前田氏のレシピはマッケルホーンの本とほぼ同じで、ステアでなくシェイクでつくる点だけが違う。なぜ「チャイニーズ」という名が付いたのかは不詳。…………………………………………………………………………………………34. チッペラリーコクテール【注41】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジジュース テースプーン半杯 グレナデン テースプーン半杯 薄荷の葉 二葉 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注41】「チッペラリーコクテール」は、「ティぺラリー(Tipperary)・カクテル」の名でサヴォイ・カクテルブックなど様々な文献に登場する古典的なカクテル。ただしレシピは、ウイスキーベース(30ml)でスイートベルモット(30ml)、シャルトリューズ・グリーン(1tsp)というのが多数派で、前田氏が紹介するジン・ベースのものは少ない(スイートベルモットの代わりにドライベルモットを使うレシピも)。「ティぺラリー」はアイルランド南部の都市名。…………………………………………………………………………………………35. チュッケードコクテール【注42】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に バルネット・ジン【注43】 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス マラスチノー 一、二振り オレンジビタ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注42】「チュッケードコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。「チュッケード」の英文表記(綴り)もわからないため、詳細不明です(ご情報をお持ちの方はご教示ください)。【注43】「バルネット・ジン」とは、現代の表記では「バーネット(Burnett’s)・ジン」。1950年代まで人気のあったジン「ホワイト・サテン」を製造していたバーネット社を、1960年代に入ってシーグラム社が買収。味わいをクセのない辛口タイプにし、名前も変えて発売を始めた。日本では現在キリン・シーグラム社がライセンス生産している。…………………………………………………………………………………………36. チョコレートコクテール【注44】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に エイロー・シャートリユーズ 二分の一オンス ポートワイン 二分の一オンス 玉子の黄味 一個 粉末チョコレート テースプーン半杯 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注44】「チョコレートコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つ。サヴォイでは2種類のチョコレート・カクテルを紹介しているが、前田氏のレシピは、そのうちの「No.2」のバリエーション。…………………………………………………………………………………………37. リユイジーコクテール【注45】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス グレナデン テースプーン半杯 コイントロー【注46】 微量 蜜柑ジュース 半個分 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注45】「リユイジーコクテール」は「ルイージ(Luigi)・カクテル」の名で、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場する。前田氏のレシピは両著とほぼ同じ。【注46】「コイントロー」とは、言わずもがなだが、ホワイト・リキュールの「コアントロー(Cointreau)」のこと。…………………………………………………………………………………………38. リベラールコクテール【注47】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ウイスキー 一オンス 蜜柑ジュース 四、五個分 ピコン(アミヤ) 二三滴 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注47】「リベラール(Liberal)コクテール」は1920年代に出版された日本のカクテルブックにはその名が見えるが、海外の文献には見られない謎多きカクテル。ネット検索では、「ウイスキー30ml、スイートベルモット30ml、アメールピコン4drop、オレンジビターズ少々」というレシピで紹介しているサイトに1件ヒットしたが、残念ながら由来などには一切触れていなかった。…………………………………………………………………………………………39. オリベットコクテール【注48】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 一オンス オレンジビタ 一振り ガムシロップ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注48】「オリベット(Olivet)コクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにもその名が見られる古典的なカクテル。前田氏のレシピはサヴォイとほぼ同じだが、サヴォイはステアでなく、シェイクでつくる。…………………………………………………………………………………………40. オレンジブロッソムコクテール【注49】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ジン 二分の一オンス オレンジジュース 二分の一オンス オレンジビタ 一振り グレナデン 少量 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注49】「オレンジブロッソムコクテール」は現代の表記では「オレンジ・ブロッサム(Orange Blossom)」は、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する代表的な古典的カクテルの一つ。前田氏のレシピは両書にほぼ同じ。…………………………………………………………………………………………41. ワックスコクテール【注50】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に プリマウス・ジン 一オンス オレンジビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にマラスチノー・チェリー一個を加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注50】「ワックス(Wax)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにもその名が見られる古典的なカクテル。前田氏のレシピはサヴォイのとほぼ同じだが、サヴォイはステアでなく、シェイクでつくる。マッケルホーンのレシピはジン2分の1、アブサン(またはアニス)2分の1、ガムシロップ1tsp、卵白1個分となっており、まったく別物のカクテルの様相。…………………………………………………………………………………………42. カセリーコクテール【注51】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に カセリヤ【注52】 二分の一オンス ライ・ウイスキー 二分の一オンス を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注51】【注52】「カセリーコクテール」は、現時点では前田氏の本以外には見当たらないカクテル。「カセリー」「カセリヤ」ともにどんな酒類なのか不明です(ご情報をお持ちの方はご教示くだされば幸いです)。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/04
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23. ホノルルコクテール【注29】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライジン 三分の二オンス オレンジジュース 四分の一オンス 砂糖 テースプーン一杯 レモンジュース 二分の一個 アンゴスチュラビタ 二振り キュラソー 二振り アブサン 一振り 玉子の白味 一個分 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、ワイングラスに漉してすすめる。【注29】「ホノルル(Honolulu)コクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルの一つだが、レシピは微妙に違うほか、サヴォイはシェイク・スタイル。…………………………………………………………………………………………24. ホワイトコクテール【注30】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライジン 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り アニセット 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注30】「ホワイトコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックの著者ハリー・クラドックが1920年代に考案した古典的カクテル。サヴォイ・カクテルブックは、この前田氏の「コクテール」が世に出た時期にはまだ出版されておらず(6年前)、前田氏がどのようにしてこのレシピを知ったのかは謎である。…………………………………………………………………………………………25. ボウメランコクテール【注31】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジン 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス マラスチノー 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にマラスチノー・チェリー一個を加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注31】「ボウメランコクテール」とは、1920年代にはすでに知られていた「ブーメラン(Boomerang)・カクテル」のことと思われるが、様々な文献に当たっても、前田氏のようなレシピは見当たらない。もっとも、「ブーメラン・カクテル」自体も今日では、ジン・ベースのもの(ジン、スイートベルモット、パイナップルジュース)と、ウイスキー・ベースのもの(ウイスキー、ドライベルモット、スエディッシュ・パンチ、レモンジュース、アンゴスチュラビターズ)の2種が伝わっている。…………………………………………………………………………………………26. ペルフェクトコクテール【注32】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン 六分の四オンス フレンチベルモット 六分の一オンス 伊太利ベルモット 六分の一オンス アブサン 一振り を加え、よくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注32】「ペルフェクトコクテール」とは、「17」で登場した「パーフェクトコクテール」と綴りは同じものと思われ、材料も基本的に同じである。しかし作り方が「パーフェクト」がステアで、「ペルフェクト」はシェイクという点と、材料3種の比率も両者で異なっている。「ペルフェクト」の名は他の文献では見られないため、前田氏の創作かも。…………………………………………………………………………………………27. ベンネットコクテール【注33】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に オールドトム・ジン 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り ライムジュース 少量 を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注33】「ベンネットコクテール」とは、レシピの内容からして1920年代には誕生していた「ベネット・カクテル」のことと思われる。「ベネット(Bennett)」はニューヨーク・ヘラルド新聞社の2代目オーナーで、見境なくお金を使うことで有名だったジェームス・ゴードン・ベネット(1841~1918)の名に由来するという(出典:Bar VespaのHP 引用多謝!)。…………………………………………………………………………………………28. ベルモットコクテール【注34】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に 伊太利ベルモット 一オンス アンゴスチュラビタ 三振り フレンチベルモット 少量 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを入れてすすめる。【注34】「ベルモット(Vermourth)コクテール」は、かのジェリー・トーマスのカクテルブック(1862年刊)にも登場する最初期の古典的カクテル。ただしトーマスのレシピは、ベルモット(ワイングラス1カップ)、マラスキーノ2dash、ビターズ2dash、レモン4分の1個分というもので、前田氏のレシピは何を参考にしたものかは不明。…………………………………………………………………………………………29. トロカデロコクテール【注35】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に フレンチベルモット 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 一振り グレナデン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にマラスチノー・チェリー一個を加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注35】「トロカデロ(Trocadero)コクテール」はサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテルで、前田氏のレシピもサヴォイとほぼ同じ。…………………………………………………………………………………………30. トムジンコクテール【注36】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールドトム・ジン 一オンス オレンジビタ 一振り マラスチノー 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注36】「トムジン(Tom Gin)コクテール」は現時点では前田氏の本以外には見当たらないカクテル。…………………………………………………………………………………………31.ドクトルコクテール【注37】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に カロリック・ポンチ【注38】 六分の四オンス レモンジュース 六分の一オンス オレンジジュース 六分の一オンス アブサン 一振り を加え、よくセークしたる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注37】「ドクトルコクテール」とは「ドクター(Doctor)・カクテル」のことで、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックなどいくつかの文献に登場するが、マッケルホーンのレシピはカロリック・ポンチ、レモンジュース、オレンジジュースが各3分の1ずつ等量となっている。【注38】「カロリック・ポンチ(Caloric Punch)」とは北欧スウェーデン産のリキュールのこと。「スウェディッシュ・ポ(パ)ンチ」とも言う。ラムに薬草やスパイス類を配合し、オーク樽で熟成させてつくる。現在では「カロリック・パンチ」という表記が一般的。…………………………………………………………………………………………32. チストルコクテール【注39】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ライ・ウイスキー 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注39】「チストルコクテール」とは「シスル(Thistle)・カクテル」のことで、サヴォイ・カクテルブックにも登場するが、そのレシピ(スコッチウイスキー2分の1、スイートベルモット2分の1、アンゴスチュラビターズ2dash)と、前田氏のレシピとは少し異なる。ちなみに「Thistle」とはスコットランドの国花「アザミ」のこと。………………………………………………………………………………………… こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/27
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皆さま、すみません。故・秋山徳蔵氏の「カクテル(混合酒調合法)」の復刻版について新たに1カ所修正すべきところが見つかりました。本文「V」の項です。 「V」の項で当初、「ヴェルモット・カクテル」が2カ所出てきましたが、後の方は間違いで、正しくは「ヴェルモット・ゴムメ」(Vermouth Gomme)でした。WEB復刻版ではすでに修正を反映いたしました(Gommeは「ガムシロップ」のことを意味しています)。 きちんと、何度もチェックしたつもりでしたが、誠にお恥ずかしい、極めて初歩的な校閲ミスでした。大変申し訳ありません。 以上とり急ぎ、お知らせまで。何卒よろしくお願いいたします。 ※復刻版の小冊子をお送りした方BARのマスター、バーテンダーの皆さま、大変お手数ですが、本文68頁の見出し部分の修正を何卒よろしくお願いいたします。
2011/02/26
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埋もれてしまった古い時代のカクテルブックの復刻作業に取り組んでいるうらんかんろですが、先日、あるBARのマスターから「**さん、そんなに古いカクテルブックに興味をお持ちなら、銀座のこのBARにはぜひ一度行ってみてください」と言われました。 そのBARのマスターは、かつて業界のコンクールでも全国優勝したほど凄い実力の持ち主ということはもちろん知っていましたが、実は、「日本でも指折りの古いカクテルブックのコレクター」とのことです。そう聞いては、僕としてはぜひとも行かねばなりません。 そういうことで先週、東京へ日帰り出張があった際、早速お邪魔してきました。その店の名は「Bar・Anthem(アンセム)」=写真左。マスターのAさんとは実は7、8年前に、彼が以前勤めていた霞が関の「ガスライト」というBarで一度お目にかかったことがあります。 その際は店内がほぼ満員でとても忙しく、ほとんどお話をすることができませんでした。お勘定をする際、Aさんは「きょうは忙しくてまったくお構いできませんでしたので、チャージはいただきません」と言って、お酒の料金しか受け取りませんでした。その心憎い接客・サービスを僕は今でも鮮明に覚えています。だからAさんには好印象しか残っていませんでした。 初めてお邪魔するAnthemは、銀座でも僕が以前よく訪れていた「ル・ヴェール」というBAR(現在はSマスターの故郷である秋田市へ移転)と同じビルの同じフロア(2F)にあったので、迷うことはありませんでした(ちなみにAnthemとは「聖歌、讃美歌」との意)。 まずはAマスターに、大変長いご無沙汰を詫びるご挨拶。そして、まずはジン・リッキーを頂きつつ、早速、この夜の最大の目的であるカクテルブックのことに話題を移しました。 「ブログで、秋山徳蔵さんという方の古い、おそらくは日本で最初のカクテルブックの復刻に取り組んだのですが、秋山さんの本のことは当然、Aさんもご存じですよね?というか、本も持っておられますよね?」と尋ねました。 するとAさんは「えーっ、**さんだったのですか! 実は先日、うちのお客さんから『ブログでこんな連載(秋山さんの「カクテル・混合酒調合法」の復刻)をしている人がいるよ』と教えてもらったばかりなんです。そして、そのお客さんに『その連載、プリントアウトしておいてよ』と頼んだところだったんですよ!」と驚きの声を上げられました。 自分で言うのもなんですが、「世の中狭い」と言うか、こんな絶妙のタイミング(の訪店)って、時々あるんですよね…。連載の話を聞いたAさんも、僕が(こんなにすぐに)突然訪れるとは思っていなかったでしょう。僕は、Aさんにブログのことを教えてくれたそのお客さんに感謝しなければなりません。 それはともかく、僕は秋山さんの本の復刻版(小冊子)を一冊差し上げました。Aさんは「秋山さんの本は現物は知っているけれど、持っていないので嬉しいです」と言ってくださいました。僕はさらに「引き続いて前田米吉さんのカクテルブック(こちらはAさんは現物をお持ちでした)の復刻も始めているので、これも完成したらまたお届けします」と約束しました。 Aさんの古いカクテルブックのコレクションは、Anthemのホームページ上でも少し垣間見ることができますが、実際店で見てみるとただ凄いの一言です。キャビネットの本棚一杯にコレクションが詰まっています。約200冊ほどが展示されていますが、これでもまだ蔵書の10分の1だとか。 貴重なコレクションは(もちろん扱う作法と注意は必要ですが)実際に手に取って見ることもできます。Aさんはその中から、貴重本をいくつか見せてくれました。まずは、サヴォイ・カクテルブック(1930年刊)の初版からまもなく出たという第二刷の本(おそらく1931、32年刊?)、ジェリー・トーマスのカクテルブックの次に出たという米国のカクテルブック「Apple Green's Bar Book」(確か1898年刊とか)=写真右上。 そして、なによりも驚いたのは、Aさんが「**さん、実は明治時代にも洋酒の本は出ているのですよ。一つにはカクテルのレシピも紹介されています。もう一つはお酒の造り方みたいな内容ですが…」と言って紹介してくれた2冊。 1冊は「袋井五郎編・四季飲料混成方」(東京・有隣堂刊)という本=写真左上=で、明治40年(1907)の出版です。秋山さんの本の出版から遡ること17年前。内容はパンチ類の造り方が中心で、純粋な意味でのカクテルブックとは言えないかもしれませんが、カクテルもいくつか収録されています。 もう一冊は明治20年出版の和書で、「新撰洋酒銘酒製造傳法簿」という本=写真右=で、明治23年(1890)の出版で、内容は純粋に(家庭で?)簡単にできるお酒の造り方の紹介という感じす。 いやぁ…、古い酒類の本探しに注ぐAさんの情熱にはただただ頭が下がるばかりです。個人的には、こうした貴重な本や資料を公開・活用できる形できちんと管理してくれる機関・施設があってほしいと願います。メーカーさんが共同で設立してくないかなぁ…。 Anthemでの楽しい時間は瞬く間に過ぎていきました。Aさんのコレクションの中にはまだまだ僕の興味をそそる本がいっぱいありました。近々また再訪したいという思いが、いま募っています。 Aさん、温かいもてなしと美味しいお酒、そして素晴らしいコレクションの数々を拝見させていただき、本当に有難うございました。また近いうちに!【Bar Anthem】東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル2F 03-5537-2545 午後6時~午前2時(土曜は午後5時~午前零時) 日祝休 (※ちなみに、現在放映中のテレビ朝日系のドラマ「バーテンダー」では、主演の相葉君らへの技術指導はAさんともう1人のバーテンダーの方が担当されていまーす。これも凄い!)。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/25
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故・秋山徳蔵氏の「カクテル(混合酒調合法)」の復刻版について新たに一カ所修正があります。本文「S」の項です。 「S」の項の「シャンデー・ガーフ」で、当初、英文表記が「Shandy Guff」となっていました。これは原著での表記をそのまま再現したものですが、正しくは「Shandy Gaff」でした。原著は誤植と思われますので、復刻版では修正いたしました。 以上とり急ぎ、お知らせまで。何卒よろしくお願いいたします。 ※復刻版の小冊子をお送りした方BARのマスター、バーテンダーの皆さま、大変お手数ですが、本文(61頁の見出し部分と64頁の脚注)の修正をよろしくお願いいたします。
2011/02/22
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11. ロスコクテール【注18】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライジン 四分の二オンス フレンチベルモット 四分の一オンス デュボンネット 四分の一オンス グレナデン 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注18】「ロスコクテール」は、現時点では前田氏の本にしか見られないカクテルである。英文表記の綴りも不明。…………………………………………………………………………………………12. ハーバードコクテール【注19】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り ガムシロップ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注19】「ハーバード(Harvard)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブックやサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテル。前田氏のレシピは両著とほぼ同じ。…………………………………………………………………………………………13. ハレムコクテール【注20】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ウイスキー 三分の二オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス オレンジビタ 一振り を加え、よくセーク(撹拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之に一個のマラスチノー・チェリーを加えてすすめる。【注20】「ハレム(Harlem)コクテール」は、1910~20年代には欧米では飲まれていた古典的カクテルだが、前田氏のレシピは欧米の標準的レシピ(プリマスジン45ml、パイナップル・ジュース10ml、マラスキーノ5ml)とはベースも含めてまったく異なる。前田氏は何を参考にしたのかは不明。…………………………………………………………………………………………14. ハンディカップコクテール 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に グランドマルニエー 一オンス 三矢レモン 半本 を加え、バースプーンにて静かに混ぜ、ワイングラスに注ぎ、レモンの皮の小片を入れてすすめる。…………………………………………………………………………………………15. ハラウハラウコクテール コクテルセーカにニ三塊の氷を入れ之に ドライジン 三分の二オンス キュラソー 二分の一ティースプーン オレンジジュース 三分の一オンス 三矢レモン 半本 を加え、よくセーク(撹拌)したる後、コクテールグラスに注いですすめる。…………………………………………………………………………………………16. パルメットコクテール【注21】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ジャマイカ・ラム 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注21】「パルメットコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックでは「パルメット(Palmetto)」の名で登場する古典的なカクテルである。前田氏のレシピはサヴォイとほぼ同じ。なお、原著は「ハルメードコクテール」となっていたが、明らかに誤植と思われるので復刻版では修正した。…………………………………………………………………………………………17. ハアランドコクテール【注22】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ハアランド・ジン 一オンス アンゴスチュラビタ 二振り ガムシロップ 一振り を加え、よくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にマラスチノー・チェリー一個を入れてすすめる。【注22】「ハアランドコクテール」とは、現時点では前田氏の本にしか見られないカクテルである。英文表記の綴りも不詳(何か情報をお持ちの方はご教示ください)。…………………………………………………………………………………………18. パラダイスコクテール【注23】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ドライジン 三分の一オンス アップルコット・ブランデー【注24】 三分の一オンス オレンジジュース 三分の一オンス を加えよくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注23】「パラダイス(Paradise)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルの一つで、今日でもバーでよく飲まれている。前田氏のレシピはマッケルホーンの本とまったく同じだが、サヴォイ・レシピ(ジン2分の1、アプリコット・ブランデー4分の1、オレンジジュース4分の1)とは分量比が異なっている。【注24】「アップルコット・ブランデー」とは「アプリコット(あんず)・ブランデー」の誤植と思われる。…………………………………………………………………………………………19. パーフェクトコクテール【注25】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールドトム・ジン又はドライジン 三分の一オンス 伊太利ベルモット 三分の一オンス フレンチベルモット 三分の一オンス を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注25】「パーフェクト(Perfect)コクテール」は、「パーフェクト・マティーニ」とも呼ばれ、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテル。前田氏のレシピは両著と同じだが、サヴォイ・レシピではシェイク・スタイルになっている。なお、この三つの材料を各3分の1ずつ等量にするレシピは「トリニティ」という別名のカクテルとして区別している本もある。…………………………………………………………………………………………20. バンブウコクテール【注26】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ドライパール・セリー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス オレンジビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注26】言わずもがなだが、「バンブウコクテール」とは今日でもバーで人気がある「バンブー(Bamboo)カクテル」のこと。ハリー・マッケルホーンの本でも紹介されている。現代では、シェリー3分の2、ドライ(=フレンチ)ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1~2dashが標準レシピ。…………………………………………………………………………………………21. バカルデーコクテール【注27】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に バカルデー・ラム 一オンス ライムジュース 三、四振り を加え、さらにシュガーシロップを加えバースプーンにて試嘗(ししょう)しつつ、適当な甘味を持つ迄(まで)之を加えて攪(か)き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注27】「バカルデー(バカルディ=Bacardi)コクテール」はハリー・マッケルホーンの本にも登場する古典的カクテルの一つだが、マッケルホーンのレシピは、バカルディ・ラム3分の2、ジン6分の1、ライム(またはレモン)ジュース6分の1と、ジンを加える点が前田のとは少し異なっている。…………………………………………………………………………………………22. ニックオンコクテール【注28】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 二分の一オンス 伊太利ベルモット 二分の一オンス アンゴスチュラビタ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にマラスチノー・チェリー一個を加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注28】「ニックオンコクテール」とは「ニックスオウン(Nick’s Own)・カクテル」のこと。サヴォイ・カクテルブックにも紹介されている古典的なカクテルだが、今日のバーでの知名度はさほど高くない。前田氏のレシピはサヴォイがシェイク・スタイルでつくること以外、ほぼ同じ。スイート(伊太利)ベルモットの代わりにコアントローを使うレシピもある。名前の由来は不詳。…………………………………………………………………………………………こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/20
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コクテール 【編者おことわり】本書で登場するカクテルはアルファベット順でも、五十音順でも、ベース別でもなく、なぜか「イロハニホヘト順」となっている。なお、原著では頭の番号は付られていないが、復刻版では便宜上、番号を付した。また、原著のレシピでは副材料→ベースとなる酒の順で紹介されているが、復刻版ではベースとなる酒→副材料の順で紹介することにした。各カクテルには、可能な限り補足的な【注】を添えた。【注】の中で、比較の意味で頻繁に例をひいたハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)のカクテルブック「Harry’s ABC of Mixing Cocktails」は1919年の発刊、サヴォイ・ホテルのチーフバンテンダーだったハリー・クラドック(Harry Craddock)が著した「サヴォイ・カクテルブック(Savoy Cocktail Book)」は1930年の発刊である。1924年に世に出た本書「コクテール」は、その歴史的な二大カクテルブックのほぼ中間の時期に、はるか遠く離れた東洋の国で発刊された名著である。1.インカコクテール【注1】 調合グラスに約半分の氷を入れ之に プリマウス・ジン【注2】 三分の一オンス フレンチベルモット【注3】 三分の一オンス ドライパール・セリー【注4】 三分の一オンス オルゲートシロップ【注5】 二振り オレンジビタ 二振り を加え、バースプーンにてよく攪(か)き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之れに小さいパインアップルの一切れ及びレモン皮の小片を入れてすすめる。【注1】「インカ(Inca)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルの一つだが、両書では、上記に加えてスイートベルモットも使うレシピとなっている。前田氏のレシピは何に依拠しているのかは不明。【注2】「プリマウス・ジン」は現在の一般的な表記では、「プリマス・ジン」(Plymouth Gin)。英海軍基地のあるプリマスで製造されている歴史と伝統あるジン。ギムレットのオリジナル・レシピで使用されたジンとしても有名だ。【注3】「フレンチベルモット」とは、今で言う「ドライベルモット」を指す。【注4】「ドライパール・セリー」の「セリー」とは「シェリー」のこと。「パール」とは現代の表記では「ペール(Pale)」。「ドライペール・シェリー」とは、残糖分が限りなくゼロに近いフィノ・タイプのシェリーのこと、或いはフィノに濃縮ぶどう果汁を少量加えたフルーティなシェリーのこと。【注5】「オルゲート(Orgeat)・シロップ」とはビター・アーモンド・シロップのこと。オルジェート・シロップとも呼ばれる。現在でも「MONIN(モナン)」社のシロップ・シリーズで入手可能。…………………………………………………………………………………………2.イミニテーブルコクテール【注6】 コクテールグラスに小さい氷の一塊を入れ之に オールドトム・ジンまたはドライジン 一オンス 砂糖 テースプーン半杯 アンゴスチュラビタ 一振り を加え、レモンの皮の小片を搾り込み、テースプーンにて静かに混和してすすめる。【注6】「イミニテーブルコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。「イミニテーブル」とはどういう意味かは不明。英語表記の綴りで似たような言葉には「immutable(不変の、変えられない)」があるが…。…………………………………………………………………………………………3.インデアコクテール【注7】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ブランデー 一オンス アンゴスチュラビタ 一振り オレンジキュラソー 一振り マラスチノー 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、一個のマラチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注7】「インデアコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。…………………………………………………………………………………………4.イディスコクテール【注8】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に アニセット 三分の二オンス アブサン 三分の一オンス アンゴスチュラビタ 二振り を加え、よくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にパインアップルの小片を入れてすすめる。【注8】「イディスコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。「イディス」も何を指すのかは不明。「セントイデス(St.Ides)」というハーブ系ベルギービールの銘柄があるが、このカクテルもレシピを見れば、ハーブ系の酒が中心なので、その辺りと関係あるのかもしれない。…………………………………………………………………………………………5.ロンドンコクテール【注9】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ロンドン・ドライジン 一オンス オレンジビタ 一振り ガムシロップ 一振り アブサン 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注9】「ロンドンコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテル。前田氏のレシピはサヴォイのと同じだが、サヴォイはシェイク・スタイル。…………………………………………………………………………………………6.ロンツリーコクテール【注10】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に オールドトム・ジン或いはドライジン 一オンス フレンチベルモット 少量 を加え、稍(やや)久しくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注いですすめる。【注10】「ロンツリーコクテール」は、「ローンツリー(Lone Tree)」の名でサヴォイ・カクテルブックやNBAカクテルブック(1963年刊)にも紹介されているが、サヴォイやNBAのレシピ(ジン、ドライベルモット、スイートベルモット各3分の1ずつ、オレンジビターズ2dash)は前田氏のとかなり異なっている。…………………………………………………………………………………………7.ロブロアコクテール【注11】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に ライ・ウイスキー 二分の一オンス フレンチベルモット 二分の一オンス キュラソー 一、二振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注11】「ロブロアコクテール」(現代の表記では「ロブロイ(Rob-Roy)」)は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブック(改訂版)や、サヴォイ・カクテルブックにも登場する代表的な古典的カクテルの一つ。後書の著者でもあり、サヴォイ・ホテルのバーテンダーだったハリー・クラドックが、1920年代前半に考案したと伝わるが、渡英前のクラドックが1910年代に米ニューヨークで考案し、渡英後にサヴォイ・ホテルで職を得てから発表したという説もある。 前田氏は、現代の標準的なレシピではスイートベルモットを使うところをフレンチ(ドライ)ベルモットを使い、さらにキュラソーも少し加えるなど、若干異なったレシピにしている。…………………………………………………………………………………………8.ロシングトンコクテール【注12】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に ゴルドン・ドライジン【注13】 三分の二オンス チンザノ(スイート)ベルモット 三分の一オンス オレンジジュース 少量 を加え、よくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にオレンジの皮を浮かべてすすめる。【注12】「ロシングトンコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも「ロージントン(Rosington)・カクテル」の名で紹介されている。前田氏のレシピはサヴォイにほぼ同じ。【注13】言わずもがなだが、「ゴードン・ドライジン」のこと。…………………………………………………………………………………………9. ロワイヤールコクテール【注14】 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に オールドトム・ジン 三分の二オンス デュボンネット【注15】 三分の一オンス オレンジビタ 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。【注14】ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも同名の「ロイヤル(Royal)・カクテル」カクテルが登場するが、レシピ(ジン+ドライベルモット+チェリー・ブランデー+マラスキーノ)は前田氏のものと大きく異なっている。このレシピが前田氏の創作かどうかは不明。【注15】「デュボンネット」とは、赤ワインにキナの樹皮、オレンジの皮、コーヒー豆とスパイスを漬け込んで、樫樽で熟成させたリキュールで、欧州では食前酒として親しまれている。名前は、1800年代中頃に考案したデュボネ氏に由来する。現在では、単に「デュボネ」と表記されるのが一般的。…………………………………………………………………………………………10. ロングレンジコクテール【注16】 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に 伊太利ベルモット【注17】 五分の二オンス アブサン 五分の二オンス ブランデー 五分の一オンス ガムシロップ 一振り アンゴスチュラビタ 一振り を加え、よくセーク(攪拌)し、レモンの皮を搾りたる二三滴の汁を以て内面を濡らしたるコクテールグラスに注いですすめる。【注16】「ロングレンジ(Long Range)コクテール」は、現時点では前田氏の本にしか見られないカクテルである。【注17】「伊太利ベルモット」とは、現在の「スイートベルモット」を指す。…………………………………………………………………………………………※復刻版監修者の能力不足のために不明の点が多々あります。もしご教示頂ける点がありましたら、メール(arkwez@gmail.com)でお寄せいただければ幸いです。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/17
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例言/原材料並びに器具 本書に掲ぐるコクテールの調合は、コクテールグラスに一杯、即(すなわ)ちコクテールグラス七分目(量に於いて一オンス【注1】)を単位として、其の何分の一或いは二と言う様に各種材料を調合したるものを、コクテールセーカ【注2】若(も)しくは調合グラス【注3】に入れ、能(よ)くセーク(攪拌)して之をコクテールグラスに注ぐ時は、氷の溶けたのとマラスキーノ・チェリー等を加えて、丁度コクテールグラスに八分目位になります。 是を以てコクテール一杯の定量とするので御座います。従って二盃、三盃、四盃と調進する時は各種材料を二倍、三倍、四倍するので御座います。書中の「一振り」とはストローの孔(あな)から振り出す二三滴【注4】を言うので御座います。 書中、調合グラスとは、ジョキの浅い形をなしたグラスの事を言えども、普通コクテールセーカの蓋(ふた)を取り除き、其の胴にて調合するを最も簡単とす。其の他グラス、スプーン等総じて客にすすめる器の外は能く洗浄し、清潔なるものなれば何を利用するも差し支えなし。素人仕事の道具倒れになっては詰まりません。 ▼バーに備ふべきコクテールに要する洋酒及其他の原料並に器具 フランスベルモット、イタリーベルモット、スコッチウイスキー、ブランデー、ピーチブランデー、アプリコットブランデー、ドム【注5】、ドライジン、オールドトムジン、スロージン オレンジキュラソー、ホワイトキュラソー、ウォヅカー【注6】、クレームデカカオ、クレームデヴァイオレット、グリンシャートリユーズ、エイローシャートリユーズ、マンダリン、マラスチノー、アニセット、ボルスクンメル【注7】 アミヤピコン【注8】、メドツク(ワイン)、ラインワイン、マデイラ、ノワイヨー【注9】、ジャマイカラム、ポートワイン、ホワイトポート、マラスチノーチェリー、平野水【注10】 オリーブ、シャンペン、オレンジビタ、アンゴスチュラビタ、ピパーミント、オルゲット、ガムシロップ、ライムジュース、グレープジュース、ジンジャエール、三ツ矢サイダー【注1】1オンスは約30ml(次回以降のカクテル・レシピにおいても、分量は原則としてオンス単位で表示されている)。【注2】「コクテールセーカ」とは言わずもがなだが、「カクテルシェーカー」のこと。【注3】「調合グラス」とは現代で言う「ミキシング・グラス」のこと【注4】「二三滴」の「滴」とはカクテルづくりの単位の「drop」のことと思われる。1dropは約0.2ml。【注5】「ドム」は、別名「ベネディクティン・ドム(DOM)」。27種ものハーブとスパイスが調合された世界最古のリキュールのひとつ。【注6】「ウオヅカー」は驚かされる表記だが、言うまでもなく「ウオッカ」のこと。【注7】「ボルスクンメル」の「ボルス」とは1575年にオランダ人ルーカス・ボルスによって創業された世界的なリキュール&スピリッツメーカー。「クンメル」とは香草系リキュールの「キュンメル」のことで、「ボルス」社では現在でもキュンメル・リキュールを製造・販売している。【注8】「アミヤピコン」とは「アメールピコン」のこと。リンドウの一種ゲンチアナを主成分にキナの樹皮、オレンジの果皮などを配合したリキュールである。「アメール」とは仏語で「苦い」の意。ピコンの名は開発者であるフランスの元軍人ガエタン・ピコンの名からとられた。【注9】「ノワイヨー」とは「クレーム・ド・ノワイヨー(Cr?me de Noyaux)」(桃や杏の核を主成分とするリキュール。アーモンドの風味を持つ)のことか。【注10】「平野水」とは兵庫県川西市平野地区で湧き出た自然の炭酸水のこと。1888年(明治21年)、明治屋が「三ツ矢平野水」の名で売り出した。その後1907年(明治40年)、帝国鉱泉株式会社が平野水を使って、この地で清涼飲料水の「三ツ矢サイダー」の生産を始めた。「三ツ矢サイダー」は後にアサヒビールに事業が受け継がれたが、平野地区でのサイダー生産は1954年(昭和29年)で終了している(出典:Wikipedia)。 ・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/15
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コクテールの傳説【注1】 コクテールの起源は今を去る約百年前、英國アイルランド【注2】の某市に一人の富豪が在りました。此の富豪は当時流行の非常に優秀な一羽の闘鶏の持ち主で御座いました。而(しか)して此の富豪は又日本なれば小野小町とでも云う様な一人娘の娘が御座いまして方々から結婚申し込みが絶え間が御座いませんでしたが、此の娘は極めて父親に従順で、未だ誰にも婚約もなく、家事の手伝いなどをして居りました。 然るに某日、此の富豪が愛育して居りました闘鶏が見えなくなりました。サァ、大変。家中の人が総掛かりになって捜しますけれども、皆目行方が判りません。夜になっても鶏は帰って参りません。主人は非常に心配致しまして、夜の目も眠れません。遂に翌日になって主人は闘鶏の行方を捜すべく旅立ちました。而して処々方々尋ね廻りましたが、舌切り雀ならで遂に闘鶏の行方は知れず、尋ねあぐんで空しく家に帰りまして悲嘆の余り遂に床に臥(ふ)しました。 親孝行な美人の一人娘は非常に心配して父親に次のような事を申しました。「若(も)しも彼の闘鶏を探し出して連れて来た人がありましたら、私は其(その)人と結婚しましょう」と。父親は大変喜びました。そこで、其の事を新聞に広告しました。そうすると二三日たちますと、富豪の門前に馬に乗った騎兵中尉が参りまして馬から下りて、家へ案内を求めて主人に会いたいと申しますから、病臥して居ります父親に代わって、娘が面会を致しました。 ところがその騎兵中尉は美目(びもく)秀麗氣品高雅な貴公子で御座いましたので、処女の小町娘は唯恍惚として此の青年将校に見とれ、青年将校も又アイルランド一の美人に見惚(と)れ、互いに暫し言葉も出ませんでした。 やがて、騎兵中尉がマントの裏から取り出した物を見ますと、明け暮れ尋ねる秘蔵の闘鶏で御座いましたから大変。今迄(まで)で青年将校の美貌に見惚れて居りました娘は驚いて、病室の父親に闘鶏が帰った事を申しますと、父親も病床を飛び出して応接間へ行って、いきなり闘鶏を抱き上げ、青年将校に堅い握手を求めました。 厚く礼を言い乍(なが)ら見ますと、是れ又、娘にとっては三國一の婿殿。二人の喜びは元より、娘は闘鶏の帰った喜びよりも初恋の胸轟(とどろ)かせ、父の命ずる儘(まま)にサイドボールに有りつ丈(たけ)の酒を運んで中尉にお酌を致しましたが、嬉しさに手の舞い足の躍るをも知らず、氣も狂わん計りにて手当たり次第に色々の酒を注ぎ混ぜて青年将校にすすめました。中尉も又、此の佳人と結婚して多くの人の羨望となる嬉しさに、美しき尾を持って居る此の闘鶏を抱き上げて其の混合酒を乾盃しました。 青年将校は連隊に帰って此の事を吹聴致しました。而して其の無茶苦茶に注ぎ混ぜた酒が非常に美味かった事を話しました。そうすると此の事が連隊中の評判になって、其の混合酒を名づけて「コック(雄鶏)テール(尾)」と呼ぶ様になったのがコクテールの由来で御座います。其の後、医薬上や嗜好上より色々の混合法が研究されまして、今日の隆盛を来したので御座います。 因みに、傳説に依りまして、男女同席する時にはコクテールに限り、男子が先に飲んで婦人が後ちに飲むのが慣例になって居ります。【注1】カクテルという言葉の起源・由来については様々な説がある(主な説だけでも5つほど)。 →監修者のブログ「酒とピアノとエトセトラ」・2009年2月11日の日記 をご参照。ここで前田氏が紹介した説(挿話)は、1982年に初版が出版された「カクテル入門」(福西英三氏著)で紹介された説とよく似ているが、福西氏の本では場所が「英國アイルランド」ではなく、「アメリカの片田舎」となっており、若干の異同が見られる。もっとも、前田氏も福西氏も出典資料を示していないため信憑性は不明である。【注2】「英國アイルランド」という表記について怪訝(けげん)に思われる方もいると思うが、1924年当時アイルランドは「アイルランド自由国」と呼ばれ、独立国ではなく、英国の自治領であった。1938年にようやく英国から独立が承認され「アイルランド共和国」となったが、北アイルランドの一部は主に宗教上の理由で英国に留まったため、その後、カトリック・プロテスタント間の血なまぐさい紛争が最近まで長く続くことになった。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/13
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コクテール 前田米吉 著 (東京市四谷区・カフエライン発刊 大正十三年(1924)十一月十日 初版発行) ********************************************************************** 【復刻版監修者から】 1860年(万延元年)、横浜の外国人居留地に開業した「横浜ホテル」に我が国初のバーが誕生し、その半世紀後の1910年(明治43年)には、銀座に日本で初めての街場のバー「カフエ・プランタン」が生まれました。大正時代(1912~1926)に入ると、大正デモクラシーの雰囲気も相まって、大都市では相次いでカフエやバーが開店して行きます。本書はそうした世に出版された日本最初期のカクテルブックです。 著者の前田米吉氏は当時、東京・四谷の「カフエライン」という店に勤めるバーテンダーでした。本書「コクテール」では287種のカクテルのレシピを紹介されていますが、その内容(書き方)は実用に徹したものとなっています。洋酒に関する情報や材料が乏しい時代に、このような完成度の高い本を書き上げる苦労は並大抵のものではなかったと思います。故に本書は、「バー業界の先駆者の汗と涙の結晶」とも言えます。 不思議なことに、本書「コクテール」には、6年後に出版される歴史的名著サヴォイ・カクテルブック(Savoy Cocktail Book 1930年刊)のなかで、欧米では初めて紹介されたカクテルがいち早く、30数種類も!登場しているのです。なかには、明らかに著者ハリー・クラドック(Harry Craddock)のオリジナルと思われるカクテルも含まれています。大きな謎で、6年も前に遠い東洋の日本でどのようにレシピを知り得たのか、非常に興味をそそられるところです。 著者・前田氏は経歴等がほとんど分からない謎の人物ですが、「復刻連載」の監修者・編者である私は「前田氏はおそらく、『カフエライン』に勤める以前に、外国航路の客船でバーテンダーとして働いていて、同僚だった外国人バーテンダーや外国人乗客から直接、サヴォイ・ホテルのバーで1920年代につくられていた(印刷物として紹介される前の)カクテルについて細かな情報を得ていたのではないか」などと想像をかき立てています。そういう意味でも、この「コクテール」は実に味わい深い「読み物」だと思います。 本文中、旧かなづかい、古語的な用語・表現のうち、現在馴染みにくいものは可能な限り現代語法に直しましたが、時には、原文の良さ・雰囲気を伝えることに重きを置き、旧かなづかいのままにした部分もあります。補足的な説明・解説ができる部分があれば、末尾に【注】として付記しました。また、原著は縦書き表記ですが、復刻版では脚注に英語表記がしばしば登場するため読みやすさを考えて、横書き表記としました。 なお、編者の国語的能力の限界が故に、不明な部分は手を加えず原文のまま紹介したほか、当時のお酒、カクテル関係の専門用語で分からないものもそのまま紹介していますが、ご容赦ください。ご指摘・ご助言等があればご教示いただければ幸いです。********************************************************************** 「コクテール」發行に就いて コクテールは欧州戦後【注1】間もなく東京に芽生えまして、お客様の御愛用になる医薬上・衛生上・嗜好上乃至(ないし)交際上快く可からざる新しい飲み物で御座いましたが、震災【注2】の為め生活必需品にあらざるコクテールは一時その影を潜めました。が、段々東京の復興に連れまして、此頃又コクテールの御愛用が多くなりました事は誠に結構な事と存じます。 奢侈(しゃし)を戒め、勤倹を勤むるは勿論の事で御座いますけれども、徒(いたずら)に思想や生活問題の悲観にのみ沈んで向上を唱えないのは、個人としても発展の途ではありません。東京としても復興の意氣ではありません。又國家としても新興の策ではないと存じます。 この意味に於きまして寧(むし)ろ恐ろしき震災の記憶を新たにするよりも、過ぎ去ったことは忘れて仕舞い、希望ある将来を追求して大いに働き、大いに食ふと云うことが、今日の東京のお方に尤(もっと)も必要な事ではないかと存じます。 コクテールには医薬・衛生・嗜好或いは交際場に於きまして、必ずしも奢侈品とは申されません。一日の労務に依って得た一部を以(もっ)て、此の無量の快感を与える一盃のコクテールを傾けるのは同時に翌日の為に無限のお活動力を貯えるので御座いまして、如斯くにして個人も社会も國家も向上発展して行くのではないかと存じます。 閑話休題。コクテールは其の配合すべき各種飲料並びに香料等に一定の分量が極まって居りまして、此の分量が違っては医薬にもならず嗜好にも適しませんのみならず、却って身体に害があります。又、各種分量をコクテールセーカに入れてセーク(攪拌)するにも、一つの技術を要します。 そこで優秀なバーテンダーが居ない処のコクテールは多くお客様の嗜好に適しません。是はコクテールの流行が最近でありまして、其の知識が普及されて居りませんのと、研究すべき何等の材料も御座いませんので止むを得ない次第で御座います。 其の為め、多くのカフエー業者並びに一般の御家庭でも何かコクテールに関する著述を渇望して御出でになる矢先に、多年コクテールの研究者前田米吉さん【注3】が此の大方の御希望を満たす為め、其の蘊蓄(うんちく)を極めたバーテンダーの「六韜三略(りくとうさんりゃく)」【注4】とも申すべき所謂(いわゆる)「虎の巻」を開放して、茲(ここ)に此の処方を發刊する事になりましたのは勿論、一般御家庭に取っても天来の福音でありまして、同時に日本コクテール界の為め祝ばしき事で御座います。 因みに著者は当分、弊店のバーテンダーとして働かれますから本書に就き御氣付きの点は御遠慮なく御叱正賜り度く御願ひ致します。 大正十三年十月【注5】 カフエライン【注6】主人 天草 よし 識(しる)す【注1】「欧州戦後」の「欧州戦」とは第一次世界大戦(1914~1918)のことを指す。【注2】この「震災」とはもちろん、この「コクテール」発刊の前年の1923年に発生し、首都圏を中心に死者・行方不明者約10万5千人余という惨事となった関東大震災のこと。【注3】本書の著者である前田米吉氏については、その写真は本書に掲載されているものの、「当時、カフエラインに勤めていたバーテンダー」ということ以外、生年没年、経歴などはまったく不明の謎だらけの人物である(※その後2017年、本書監修者はご子孫と連絡をとる機会に恵まれ、生没年は判明しました。しかし経歴についてはまだ謎の部分も多く、もし前田氏に関して何か情報・手掛かりをお持ちの方は、ご一報くだされば幸いです。→ arkwez@gmail.com までお願いします)。【注4】「六韜三略」とは、中国古代の代表的な兵法書である「武経七書」のうちの「六韜」と「三略」を指す。紀元前11世紀、周の軍師・呂尚が編んだとされるが、著者については他にも諸説あるという。ちなみに呂尚は別名を「太公望」とも言い、釣り好きの代名詞として今日でもその名を残している。また「六韜」の中の「虎韜」は、今日で言う「虎の巻」の語源(由来)であるとされる(出典:Wikipedia)。【注5】この前書きが書かれた日付は「大正十三年十月」だが、本書が実際に発刊されたのは翌「十一月五日」だった。このため、「日本初のカクテルブック」の称号は、同年十月にいち早く出版された秋山徳蔵氏の「カクテル(混合酒調合法)」に譲ることとなった。【注6】本書の出版元でもある「カフエライン」は大正期に東京に数多く開店したカフエの一つだが、現在は存在していない。本の奥付によれば、住所は「東京市四谷区鹽(しお)町2丁目1番地」とある。「鹽町」は東京の旧町名専門サイトによれば、1947年まで存在した町名で、現在の地下鉄・丸の内線「四谷三丁目駅」付近だという。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/11
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故・秋山徳蔵氏の「カクテル(混合酒調合法)」の内容を紹介するにあたって、うらんかんろが付けた脚注で、「分からないので情報をください」とお願いをしていたうちの一つが判明しました。 「M」の項の「モーニング・カクテル」と「O」の項の「オールドファッションド・カクテル」で、「ボカース」又は「ボカース・ビター」の名で登場していた材料についてです(うらんかんろが懇意にしているBARのマスターからの情報です。この場をかりて厚く御礼申し上げます)。 「ボカース」とは、1828年にドイツ系米国人のジョン(ヨハン)・ボウカーが製造・販売を始めたビターの銘柄「ボウカーズ・ビター」(Boker’s Bitter)のこと。かの有名な伝説のバーテンダー、ジェリー・トーマスも愛用していました。 英文サイトで調べた情報によれば、19世紀にはニューヨークではとても人気のビター銘柄だったとのことです。禁酒法時代の1920年代に製造中止となりましたが、近年、その味わいを再現した製品が再発売されています。 ※日記で紹介した本の脚注も修正しています。以上とり急ぎ、お知らせまで。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/11
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日本最初のカクテルブックである「カクテル(混合酒調合法)」(秋山徳蔵著、1924年=大正13年=10月刊)について、私はその「復刻連載」を30回に渡って続け、先般、ようやく完結することができました。 しかしながら、秋山氏の本が世に出てからわずか1カ月後の同年11月に、前田米吉という方も「コクテール」という本=写真左=を出版しています(ハードカバーで約260頁)。 秋山氏の本が個々のカクテルの作り方をすべて文章だけで表現しているのに対して、前田氏の本は、約300種のカクテルについて、「***2分の1、***3分の1」というように、今風の分量表記で作り方を説明しています。だから、当時のプロのバーテンダーにとっては、前田氏の本の方がより実用的で、仕事に役立つカクテルブックだったに違いありません。 「コクテール」は定価「金五円」(末尾【注1】)と当時としては決して安くはなかった本ですが、数多くの飲食業界(とくにカフエやバー関係)の人たちに支持されて結構売れたためなのか、発売後にすぐ再版されています。 しかし残念ながら、前田氏の本もおそらくは戦前の段階で絶版となっており、現在では古書市場でも手に入れることは極めて困難です。私は、今回、幸運にも前田氏の本「コクテール」をお持ちのバーテンダーの方と出会い、「貴重な内容がこのまま陽の目を見ないのはもったいない。現在のバーテンダーにもその内容をぜひ紹介したい」とその趣旨を説明したところ、快くお貸しいただけました。 そこで、次回から秋山氏の本に引き続き、前田氏の「コクテール」の内容を出来る限り、忠実に紹介していきたいと思います。秋山氏の連載時にも記しましたが、出版から50年以上が経過しているため、出版元の著作権は切れています(一般的には、出版社に帰属する場合がほとんどとのこと)(写真右=「コクテール」の中で掲載されている前田米吉氏の顔写真)。 ただし、前田氏のご遺族がもし著作権を継承していた場合は微妙です。死後まだ50年が経過していなかった場合は、著作権侵害になる恐れがあります。前田米吉氏本人は生年没年不詳で、現在ではご遺族や関係者等まったく消息不明の方です。出版元で勤務先でもあった「カフエライン」も現在はありません。私自身は、前田氏のご遺族と連絡をとりたいと強く願っていますが、未だ叶っていません(末尾【注2】)。 万一、前田氏のご遺族からクレームがあった場合は、「前田氏の偉大で貴重な功績を後世に伝えるための連載で、私自身一切の利益は得ていないこと」を伝えて理解していただくつもりですが、ご理解を得られない場合は、その時点で連載は中止し、過去分についてもすべて消去しますので、あらかじめご了解ください。【注1】大正13年当時の「金五円」はどれくらいの貨幣価値があったのか。「値段史年表」(朝日新聞社刊)によれば、SPレコード1枚1円50銭、板橋の3LDKの家の家賃が5円20銭、小学校教員の初任給(月給)は12~20円だったといい、この本の値段は相当高価なものだったことがわかる。【注2】その後の2017年、筆者は幸運にもご遺族と連絡をとる機会に恵まれ、前田氏の生没年も判明(1897~1939)した。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/10
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附録 この混成酒の調合法は、外國から伝来したものであるところから、その用いられる酒類も舶来のものに限られる傾きがありますが、ここに國産葡萄酒のあることを見逃すことはできません。 次に、國産葡萄酒中の「ビィー」コーザン・ワイン(蜂印香竄葡萄酒)【注1】をもって試みた。存外に優秀な風味と気分を求め得た七種の混成酒調合法を附記して、國産奨励の一端とします。 コーザン・コッブラー(Kozan Cobbler) まず、ごく細かに砕いた氷を、普通の水呑の中に入れておき、別に小さい調合器の中へ別の砕き氷を三分の一位まで入れて、砂糖小匙で一杯と「ビィー」コーザン・ワイン一ジガーを加え、キョラサオ二三滴をたらします。充分に振蕩して前に用意しておいた水呑の中へ漉してうつし、水か或いはソーダ水を九分目までつぎ入れ、レモンかオレンジの輪切一片を浮かすか、又は季節の果実を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 コーザン・カクテル(Kozan Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、「ビィー」コーザン・ワイン二分の一ジガーと、オールド・トム・ジン二分の一ジガーを入れ、アンゴスチュラ・ビター二滴と、キュラサオ(白色の分)二三適とを加え、充分に振蕩してカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 コーザン・フリップ(Kozan Flip) 小さい調合器に砕き氷を入れ、砂糖小匙で一杯と鶏卵の黄身だけ一個分を加え、一寸(ちょっと)かき混ぜ合わせてから「ビィー」コーザン・ワイン一ジガーを入れ、充分に振蕩してフリップ・グラスに漉してうつし、ナツメグほんの少しをおろしかけてすすめます。 コーザン・フロート(Kozan Float) ソーダ水呑に氷の塊一個を入れ、壜(びん)詰のレモネードをつぎ入れるか、又はソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、レモン一個の露を搾りこみ、一度かき混ぜ合わせてから水かソーダ水を七分目までつぎ入れ、更によくかき混ぜ合わせて「ビィー」コーザン・ワイン一ジガーを浮かし、麦稈をさしてすすめます。 コーザン(ホット)(Kozan, Hot) 水呑に砂糖小匙で一杯を入れ、「ビィー」コーザン・ワイン一ジガーを加え、熱湯を八分目までつぎ入れ、丁香【注2】一芽と、レモンかオレンジの輪切一片(きれ)を浮かしてすすめます。 コーザン・ピック・ミー・アップ(Kozan Pick Me Up) シェリー・グラスに「ビィー」コーザン・ワイン三分の一ジガー、フレンチ・ヴェルモット三分の一ジガー、およびチェリー・ブランデー三分の一ジガーを、右の順序で順々につぎ入れてすすめます。 〈注意〉これは、自然に交じり合うところに妙味があるので、わざわざ混ぜ合わせてはなりません。 コーザン・パンチ(Kozan Punch) 水呑に氷の塊一個を入れ、砂糖小匙で一杯半を加え、レモン半個分の露を搾りこみ、「ビィー」コーザン・ワイン一ジガーを加え、ソーダ水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせ、レモンかオレンジの輪切一片を浮かし、麦稈をさしてすすめます。【注1】「コーザン・ワイン」とは、「電氣ブラン」で知られる浅草の老舗「神谷バー」の創業者・神谷伝兵衛(1856~1922)が、1885年(明治18年)、輸入ワインを原料とし、日本人の好みに合わせて蜂蜜を加えて調製し、「蜂印葡萄酒」(翌年、「蜂印香竄葡萄酒」と改名)の名で売り出した甘口ワイン。海外でも高い評価を受けたという。「香竄」(こうざん)の名は多芸多趣味に身をやつしていた神谷の父の雅号に由来し、豊かな芳しい香りが隠れ忍んでいるという意味も込めたという。 神谷はその後、1898年(同31年)に茨城県牛久市にワイン醸造所「シャトー・カミヤ」を開設した。「蜂印香竄葡萄酒」は現在でも、神谷バーにおいて「ハチブドー酒」の名で、通常のワイン(カミヤワイン)とともに販売されている(出典:Wikipedia)。【注2】「丁香(ちょうこう)」とはクローブ(Clove)のこと。クローブはフトモモ科の植物で、その花蕾を乾燥させた香辛料。日本には6世紀にすでに輸入されていたといい、正倉院の宝物にも残されている。現代では「丁字(ちょうじ)」または「丁子」という表記が一般的。 完 ※長らく連載してまいりました「秋山徳蔵著:カクテル(混成酒調合法)復刻版」は、今回をもって終わります。あらためて、80年以上も前に、日本においてカクテル発展の礎を築いた秋山氏の多大なる貢献に対して、心から敬意を表したいと思います。 この連載が、こうした先人たちの努力に光を当てる機会となり、その貴重な研究成果が現代のバーテンダーの心に刻まれ、次世代へ継承されていくならば、復刻版監修者としてこれに勝る幸せはありません。本連載が日本のバー業界の発展につながることを心から願ってやみません。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/03
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W ウォーターメロン・ア・ラ・モード(Watermelon a la Mode) まず普通より強い「ブランデー・パンチ」六合ほどをつくり、別に熟した座りのよい大水瓜一個を選び、へたの方を八分の一位の辺で横にはつって蓋(ふた)を取り、その切り口から前に用意して置いた「ブランデー・パンチ」を、徐々に一杯につぎ入れます。 はつり取って置いた蓋をして元の形に直し、砕き氷で囲んで約三十分間乃至(ないし)一時間を冷やして置き、後、ナプキンを折り畳んで敷いた盆の上にのせ、別にグラス、スプーン、ナイフ、フォーク、およびナプキンを添えてすすめます。 ウェリングトン・パンチ(Wellington Punch) これは「B」の項で説明しました「ブランデー・パンチ」に、ストロベリー・シロップ一注と、よく熟した苺(いちご)二つ三つを浮かしてすすめます。 ウイスキー・エンド・ビター(Whisky and Bitter) グラス・ウイスキー・サァワルに、アンゴスチュラ・ビター二三滴をたらし、軽く流しまわして余分のビターを捨て、別にウイスキーを壜のままと、氷水を添えてすすめます。 ウイスキー・コッブラー(Whisky Cobbler) これは「C」の項で説明しました「クラレット・コッブラー」の場合のクラレットを、ウイスキーに代えるほか、すべて同じに調合してすすめます。 ウイスキー・カクテル(Whisky Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、トッデー・ウォーター小匙で一杯とオレンジ・ビター二注、アンゴスチュラ・ビター二滴、およびウイスキー一ジガーを入れ、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別に氷水を添えてすすめます。 ウイスキー・カクテル・ファンシー(Whisky Cocktail Fancy) まず、カクテル・グラスに砕き氷を一杯に詰めて置き、別に小さい調合器に砂糖小匙で四分の一杯を入れ、水半匙を加えて溶かし、砕き氷を二分の一位まで入れます。 次にキュラサオ一注と、アンゴスチュラ・ビター二滴、およびウイスキー一ジガーを入れ、レモンの皮一そぎを押しつまんで加え、充分にかき混ぜ合わせて、前に用意して置いたカクテル・グラスの氷をすてて、その凍ってる中に漉してうつし、季節の果実を浮かし、別に氷水を添えてすすめます。 ウイスキー・パンチ(Whisky Punch) これは「B」の項で説明しました「ブランデー・パンチ」の場合のブランデーを、ウイスキーに代えて調合するほか、すべて同じであります。 ウイスキー・サァワル(Whisky Sour) これもまた「ブランデー・サァワル」の場合のブランデーを、ウイスキーに代えて調合します(「B」の項参照)。 ウイスキー・トッデー(Whisky Toddy) これには、冷たいものと、熱い調合法とがありますが、いずれも「B」の項で説明しました「ブランデー・トッデー」の場合のブランデーを、ウイスキーに代えるほか、すべて同じに調合してすすめられるのであります。 ホワイト・ロック・ハイボール(White Rock Highball) ソーダ水呑に氷の塊一個を入れ、別に好みの酒を壜のままと、ホワイト・ロック・ウォーターを添えてすすめます。 ホワイト・サタン(White Satin) これは、過去の英国人等が「ジン」を呼ぶのに用いた遺語です。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/02
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V ヴァニラ・パンチ(Vanilla Punch) パンチ・グラスに氷の塊一個と、コギャク一ジガーを入れて置き、別に中位の調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、ゼルツェル・ウォーターかまたは水二匙を加えて溶かし、次にレモン二個の搾り汁と、クレーム・ド・ヴァニュ一ポニー、ゼルツェル・ウォーターかまたは水をつぎ入れます。充分にかき混ぜ合わせて、前に用意して置いたパンチ・グラスに漉してうつしてすすめます。 ヴァニラ・クリーム・パンチ(Vanilla Cream Punch) ソーダ水呑に砂糖小匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かします。次にコギャク一ジガーと、クレーム・ド・ヴァニュ一ポニーとを加え、砕き氷を三分の二位まで入れ、乳酪(クリーム)を九分目までつぎ入れ、静かによくかき混ぜ、麦稈をさしてすすめます。 ヴェルヴェト・ガーフ(Velvet Guff) シャンパンと、スタウトとを壜のまま冷やして後、半々もしくは好みの分量に合わせてすすめます。 ヴェルジン・カクテル(Ver-Gin Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター一注か二注と、イタリアン・ヴェルモット二分の一ジガー、およびホワイト・クロッス・ジン【注1】二分の一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 ヴェルモット・カクテル(Vermouth Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注とアンゴスチュラ・ビター二滴、フレンチ・ヴェルモット四分の三ジガー、およびイタリアン・ヴェルモット四分の一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別に氷水を添えてすすめます。 ヴェルモット・フラペ(Vermouth Frappe) 小さい調合器に砕き氷を四分の三位まで入れ、好みのヴェルモット一ジガーを入れて充分に振蕩し、カクテル・グラスに漉してうつしてすすめます。 ヴェルモット・ゴムメ(Vermouth Gomme) ソーダ水呑に氷の塊一個を入れ、ガム・シロップを好みにより二注か四注とフレンチ・ヴェルモット一ジガーを加え、サイフォン・ソーダ水か、又は好みの沸騰水を九分目までつぎ入れ、静かに充分にかき混ぜ合わせてすすめます。 ヴィクトリア(Victoria) 小さい調合器に砕き氷を入れ、クレーム・ド・ヴィオレット二分の一ポニーと、アブサント二分の一ポニーを入れ、充分にかき混ぜ合わせ、ポニー・グラスに漉してうつしてすすめます。【注1】この「ホワイト・クロッス・ジン」は詳細不明です。何か情報をお持ちの方はメール(arkwez@gmail.com)でご教示いただければ幸いです。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/02/01
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T タム・オシャンター(ホット)(Tam O'Shanter, Hot) 水呑に熱湯を三分の二位までつぎ入れ、角砂糖一個を溶かし、ブールボン・ウイスキー一ジガーを加え、レモンの露二三滴をたらし、レモンの輪切一片を浮かしてすすめます。 ティー・パンチ(ホット)(Tea Punch, Hot) 紅茶を六合ほど普通の色に漉して出して置き、別に鉢か甕(かめ)に、ブランデー二合余りと、ジャマイカ・ラム八勺(しゃく)【注1】、レモン四個の搾り汁、および砂糖大匙で六杯を入れ、湯煎(ゆせん)にかけて静かに温めながら充分にかき混ぜ合わせます。前の紅茶を徐々につぎ入れ、全部をかき混ぜ合わせ、パンチ・グラスかまたは耳付き盃(さかずき)につぎ分けてすすめます。 テレフォン・フィッズ(Telephone Fizz) 調合器に砕き氷を二分の一位まで入れ、砂糖小匙で一杯と、フレンチ・ヴェルモット一ポニー、マラスキーノ一ポニー、および鶏卵一個を入れ、充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、冷たいソーダ水を九分目までつぎ入れてすすめます。 トム・カクテル(Tom Cocktail) これは「O」の項で説明しました「オールド・トム・ジン・カクテル」の別名です。 トム・コリンス(Tom Collins) これは「J」の項で説明しました「ジョン・コリンス」の別名です。 ターフ・カクテル(Turf Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、オランダ・ジンと、フレンチ・ヴェルモットか、又はイタリアン・ヴェルモットとを各二分の一ジガーずつを入れて、オレンジ・ビター二注を加え、充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してうつしてすすめます。 これは、ヴェルモットは、いずれのものを選んでも構いませんが、ジンはかならず「オランダ・ジン」を用いなければ「ターフ・カクテル」と呼ぶことが出来ません。【注1】「一勺(しゃく)」は一合の10分の1で約18ml 従って八勺は約145ml(「M」の項の【注9】参照)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/30
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S<下> ショウ・ミー・カクテル(Show Me Cocktail) 大きい調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、牛乳二匙を加えて溶かし、次にクレーム・ド・カカオ一ポニーと、アップル・ジャック【注1】か、またはブランデー一ジガーを加え、砕き氷を三分の一位まで詰めて牛乳をつぎ入れ、充分に振蕩して大きいゴブレットか、またはソーダ水呑に漉してうつしてすすめます。 シルヴァー・フィッズ(Silver Fizz) 調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン一個の露を搾りこみ、鶏卵一個を割って落とします。砕き氷を三分の一位まで入れ、上等のジン一ジガーを加えて充分に振蕩し、ハイボール・グラスか、またはパンチ・グラスに漉してうつし、ゼルツェル・ウォーターか、サイフォン・ソーダを九分目までつぎいれ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、麦稈をさしてすすめます。 スノウ・ボール(Snow Ball) 小さい調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次に鶏卵の白身だけ一個分を加え、砕き氷を二分の一位までと、ウイスキー一ジガーを入れます。充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、季節の果実を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 ソーダ・カクテル(Soda Cocktail) 大きいゴブレットに砂糖大匙で一杯を入れ、ソーダ水二匙を加えて溶かし、アンゴスチュラ・ビター一注を加え、氷の塊二つ三つを入れ、ソーダ水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせてすすめます。 ソーザーン・フィッズ(Southern Fizz) これは「N」の項で説明しました「ニュー・オルレアン・フィッズ」の別名です。 スターボード・ライト(Starboard Light) ハイボール・グラスか、又はソーダ水呑にクレーム・ド・マント一ジガーを入れ、別に壜のまま、ごく冷たく冷やしたゼルツェル・ウォーターか、或いはサイフォン・ソーダか、又は別の沸騰水【注2】を九分目までつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 【備考】これは通俗には「クレーム・ド・マント・ハイボール」と呼び、「スターボート・ライト」の名は、少なくも混成酒通によって呼ばれる綽名(あだな)で、このニックネームの起(おこ)りは、昔ある詩人肌の旅行家が、星月夜の海濱(かいひん)をよぎるとき静かな海の彼方より、港に向かって来る船が灯している、右舷のラムプの美しさを見て、心ゆくばかり旅愁を慰めたが、その夜の宿りに疲労を癒そうとして「クレーム・ド・マント・ハイボール」を求めた。 しかるにその色といい輝かしさが、ゆくりなくも宵に見たラムプのうつくしさにはほうふつとしていて、懐かしい詩的な感想を呼び起こした。それからは「スターボード・ライト」と呼んで、この清新な飲料を一層に愛し、かつ又大いに宣伝して綽名を広めたによるといいます。前に「P」の項で説明した「ポート・ライト」も、これに因(ちな)んで生まれたニック・ネームにほかならないのであります。 スター・エンド・ストリップス(Star and Stripes) これは「P」の項で説明しました「プース・カフエ」の別名です。 ステー・ダウン(Stay Down) ハイボール・グラスに小さい氷の塊一個を入れ、クレーム・ド・ケシ【注3】一ポニーと、コギャク一ジガーを入れ、イングリッシュ・クラブ・ソーダ【注4】か、又は他のソーダ水を九分目までつぎ入れ、静かによくかき混ぜ合わせてすすめます。【注1】「J」の項の【注3】を参照【注2】言わずもがなだが、ここで言う「沸騰水」とは熱湯ではなく、ソーダ水のこと。【注3】クレーム・ド・カシス(「M」の項の【注6】を参照)【注4】「クラブ・ソーダ」とは精製した水に炭酸ガスを封入した飲料。英国製のクラブ・ソーダはこの時代、相当高価なものであったであろう。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/29
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S<上> サンガリー・エール(Sangaree Ale) これは、要するに「A」の項で説明しました「エール・サンガリー」と同一のものであります。 サンタ・クルズ・ラム・デイジイ(Santa Cruz Rum Daisy) 調合器に砕き氷を入れ、ガム・シロップ三注(つぎ)、マラスキノ一注、レモン半個分の搾り汁、およびサンタ・クルズ・ラム一ジガーを入れ、充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してうつしてすすめます。 サラトガ・サァワル(Saratoga Sour) これは「G」の項で説明しました「ジン・サァワル」の場合のジンを、サラトガ・ワイン【注1】に代えて用いるほか、すべて同じに調合してすすめます。 サウターン・コッブラー(Sauterne Cobbler) これは「C」の項で説明しました「クラレット・コッブラー」の場合のクラレット【注2】を、サウターン【注3】に代えるほか、すべて同じに調合してすすめられるのであります。 サウターン・パンチ(Sauterne Punch) これもまた「C」の項で「クラレット・パンチ」と呼んで説明しましたもののクラレットを、サウターンに代えて調合するほか、すべて同じであります。 サゼラク・カクテル(Sazerac Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、ガム・シロップ小匙で一杯と、セルナー・ビター三滴、およびサゼラク・ブランデー一ジガーを入れ、充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別に氷水を添えてすすめます。 シャンデー・ガーフ(Shandy Gaff)【注4】 これはエールと、ジンジャー・エールとを半々に合わせてすすめます。しかし、エールとビールとを合わせたものも「シャンデー・ガーフ」もしくは「シャンデー」と略して呼ばれ、エールと、ジンジャー・エール、或いはエールと、ビールとの割合は、好みにより七三または四分六に合わせてすすめます。 シェリー・コッブラー(Sherry Cobbler) これは「クラレット・コッブラー」の場合のクラレットを、シェリーに代えて調合してすすめます(「C」の項参照)。 シェリー・フリップ(Sherry Flip) これは「B」の項で説明しました「ブランデー・フリップ」の場合のブランデーを、シェリーに代えるほか、すべて同じに調合してすすめます。【注1】サラトガは米カリフォルニア州の都市。ワイン産地で知られる。【注2】ボルドー産の赤ワインのこと(「C」の項の【注4】を参照)。【注3】「サウターン」は現代の表記では「ソーテルヌ」。ここではソーテルヌ産の白ワインを指す。ソーテルヌはボルドー地方を流れるガロンヌ川の中流にあり、高級な甘口白ワインを産することで有名。【注4】現代の表記では「シャンディ・ガフ」。今日ではエールに限らず、ビールとジンジャー・エールのカクテルを指す。カクテル史に詳しい某BARのマスターによれば、「ガフ」には英俗語で「真似る」「物まね」との意があり、「Shandy」というカクテルを真似たことからこの名が付いたという説もあるという。なお原著では「Guff」となっていたが、これは「Gaff」の誤植と思われるので、復刻版では修正した。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/27
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R レジャンツ・パンチ(Regent's Punch) 大きい鉢か甕(かめ)に、砂糖大匙で八杯を入れ、ソーダ水を加えて溶かし、次にレモン十個の搾り汁、シャンパン三壜、キュラサオ一ジガー、コギャク一壜、およびジャマイカ・ラム二注ほどを、前述の順序でかき混ぜ合わせながら加えます。大きい氷の塊一個を入れ、冷たく冷やし、パンチ・グラスにつぎ分けてすすめます。 レヴァイヴァー(Reviver) 大きいゴブレットに氷の塊二つ三つを入れ、ラズベリー・シロップ一ジガー、牛乳一ジガー半、ブランデー一ポニー、およびゴブレットの九分目までレモン・ソーダか、或いは他の甘味のある沸騰水をつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせてすすめます。 ライン・ワイン・エンド・ゼルツェル(Rhine Wine and Seltzer) 中位のバー・グラスに壜のまま冷やした冷たいライン・ワイン【注1】と、ゼルツェル・ウォーターとを半々につぎ入れ、氷を用いずにすすめます。 リッケー(Rickey) これは「G」の項で「ジン・リッケー」として説明してあります。 ロード・ハウス・パンチ(Road House Punch) バーガンデー・ワイン【注2】一壜を湯煎鍋にあけて、湯煎にかけて温め、砂糖で甘味を加減し、適宜な香気を付け、耳付盃につぎ分けてすすめます。 ロブ・ロイ・カクテル(Rob Roy Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注、アンゴスチュラ・ビター二滴、およびフレンチ・ヴェルモットと、スコッチ・ウイスキーとを二分の一ジガーずつを入れ、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別に氷水をそえてすすめます。 ロック・エンド・ライ(Rock and Rye) ライ・ウイスキー一壜をデカンターにうつし、ロック・キャンデー【注3】三つ四つを入れて、二三日そのままにして置き、後(のち)、利久酒盃をそえてすすめます。 ローマン・パンチ(Roman Punch) 中位(ちゅうぐらい)のバー・グラスに砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン一個の露を搾りこみ、ラズベリー・シロップとキュラサオとを小匙で一杯ずつを加え、更にブランデー一ジガーと、砕き氷を八分目まで入れ、静かに充分にかき混ぜ合わせ、最後にジャマイカ・ラム一注を加えてすすめます。 ローヤル・パンチ(ホット)(Royal Punch, Hot) 鉢に砂糖大匙で二杯とレモン四個分の搾り汁を入れ、熱湯三合ほどをつぎ入れ、一度かき混ぜ合わせてから、コギャク四分の一壜とキュラサオ一ジガー、および別の器で鶏卵の白身ばかり三個分を泡雪にかき立てて加え、手早く、しかし柔らかに充分にかき混ぜ合わせ、パンチ・グラスにつぎ分けてすすめます。 ルビー・カクテル(Ruby Cocktail) 調合器に氷の塊一個を入れ、オレンジ・ビター一注と、チェリー・コーディアル一注【注4】、およびスロー・ジン【注5】と、イタリアン・ヴェルモットとを二分の一ずつを加え、充分にかき混ぜ合わせ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、カクテル・グラスに漉しうつしてすすめます。 ラム・エンド・ジン(Rum and Gin) 小さいバー・グラスにガム・シロップ小匙で一杯を入れ、別にジャマイカ・ラムを壜のままと、氷水をそえてすすめます。 ロシアン・カクテル(Russian Cocktail) シャンパン・グラスに砕き氷を一杯に詰めて、グラスが凍ってくるまでそっとして置き、後(のち)、氷をあけて砂糖を入れ、グラスが凍って含んでいる水分を利用して、グラスの内部全体に砂糖をまぶしつけ、余分な砂糖をあけて、アンゴスチュラ・ビター四五滴を点々とたらしまわします。 次にコギャク一ジガーをグラスの中央へ静かにつぎ入れ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、最後に壜のまま冷やしたシャンパンをグラスの九分目までつぎ入れてすすめます。これは「ピータースブルグ・カクテル」とも呼ばれます。【注1】「C」の項の【注5】を参照【注2】「B」の項の【注2】を参照【注3】「ロック・キャンデー」とはここでは氷砂糖のこと(棒状の砂糖菓子を指すこともある)【注4】「チェリー・コーディアル」とはサクランボを材料にした甘口濃縮ジュースのこと。チョコレートづくりにもよく使用される。【注5】「スロー・ジン」とは「Slow Gin」ではなく「Sloe Gin」。スモモの仲間であるブラックソーンの果実・スローベリー(Sloeberry)を蒸留酒に漬け込んで造るリキュール。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/22
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Q クーイン・シャルロット(Queen Charlotte) ソーダ水呑に氷の塊二つ三つを入れ、ラズベリー・シロップ一ジガーと、オルジェート・シロップ一注(つぎ)を加え、次にレモン・ソーダか、または他の甘味のある沸騰水を九分目までつぎ入れ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、よくかき混ぜ合わせてすすめます。 クェンシャー(Quencher) 調合器に砕き氷を入れ、レモン二個の搾り汁と、砂糖大匙で二杯、およびコギャク一ジガーを入れ、別の器で鶏卵一個をときほぐして加え、充分に振蕩してソーダ水呑みに漉してうつし、冷たいジンジャー・エールを九分目までつぎ入れてすすめます。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/19
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P パナマ・クーラー(Panama Cooler) ソーダ水呑に砕き氷を三分の二位まで入れて、砂糖大匙で山盛一杯を加え、オレンジ半個分の露を搾りこみ、次にライム・ジュースに注と、ライン・ワイン一一ジガー、シェリー一ジガー、及びマラスキノ三注か四注を加え、充分にかき混ぜ合わせ、オレンジの輪切一片を浮かしてすすめます。 ピーチ・エンド・ホネー(Peach and Honey) これは、カクテル・グラスに蜂蜜大匙で一杯と、ブランデー一ジガーを入れ、よくかき混ぜ合わせ、別に氷水をそえてすすめます。 ピコン、アメー(Picon, Amer)ソーダ水呑に氷の塊一個を入れ、アメール・ピコン【注1】一ジガーと、グルナダン・シロップ大匙で一杯を入れ、ソーダ水を九分目までつぎ入れ、静かによくかき混ぜ合わせてすすめます。 パインアップル・カクテル(Pineapple Cocktail) これは、パインアップル・シロップで甘味をつけ、薄く半月形または扇の地紙形に切ったパイン・アップル一片を浮かしたカクテルを呼ぶニック・ネームです。 ピスコ・パンチ(Pisco Punch) 大きいゴブレットに氷の塊一個を入れ、ペルヴィアン・ピスコ【注2】一ジガー余りを入れて置き、別に可成(かなり)濃いプレーン・レモネードをつくり、前に用意して置いたゴブレットの中にうつし、よくかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 このピスコ・パンチに、更にキュラサオ二注を加えることを、混成酒愛好家の間に主張されて居ります。それは、決して悪くない風味になりましょう。 ポンピエ(Pompier) ソーダ水呑に氷の塊一個を入れ、クレーム・ド・ケシ【注3】一ポニーと、フレンチ・ヴェルモット一ジガーを入れ、ゼルツェル・ウォーターかまたはサイフォン・ソーダ水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせてすすめます。 ポート・ライト(Port Light) ハイボール・グラスに氷の塊を入れ、ローズ・マント【注4】一ジガーを入れ、ゼルツェル・ウォーターを九分目までつぎ入れてすすめるか、またはクレーム・ド・ローズ一ジガーを入れ、ゼルツェル・ウォーター或いはソーダ水を九分目までつぎ入れ、静かによくかき混ぜ合わせてすすめます。 この「ポート・ライト」は、後に「S」の項で説明する「スターボート・ライト」と相対する、ローマンチックな飲料です。 ポートワイン・ネーガス【注5】(Port Wine Negus) 水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、氷の塊一個を入れ、ポート・ワイン一ジガーを加え、水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせてすすめます。 ポートワイン・ネーガス(ホット)(Port Wine Negus, Hot) 水呑に熱湯を四分の三位までつぎ入れ、砂糖小匙で一杯を加えて溶かし、ポート・ワイン一ジガーを加え、よくかき混ぜ合わせてすすめます。 ポートワイン・サンガリー(Port Wine Sangaree) 小さい調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、ポート・ワイン一ジガーと砕き氷を二分の一位まで入れ、充分にかき混ぜ合わせて小さいグラスに漉してうつし、ナッツメグほんの少しをおろしかけてすすめます。 プース・カフエ(Pouse Cafe) プース・カフェ・グラスに、次の五種の酒を、次の順序にしたがひ、決して交じり合わぬよう、段々に、五色につぎ入れ、別に氷水をそえてすすめます。 一(最下層)ラズベリー・シロップか、或いはクレーム・ド・ヴァニュ【注6】か又はクレーム・ド・ケシ 五分の一 二(二段目)マラスキノ 五分の一 三(三段目)クレーム・ド・マント 五分の一 四(四段目)エロー・シャルトルーズ【注7】 五分の一 五(最上層)コギャク 五分の一 プース・ラムール(Pouse L’Amour) ヴェルモット・グラスに、マラスキノ一注を入れ、次に鶏卵の黄身だけ一個分を形を崩さぬよう、かつ又、前に入れたマラスキノの上へ浮くように静かに流し入れ、その上層へグラスの七分目までクレーム・ド・ヴァニュをこれもごく静かにつぎ入れ、最後にブランデーを流し浮かしてすすめます。【注1】「アメール・ピコン」は1837年、フランスの元軍人ガエタン・ピコンが造り出したビター系のリキュール。オレンジの果皮、キナ、リンドウの根などを原料にする。【注2】「ピスコ」とはブドウを主にマスカット系ブドウの果汁を原料に造られるペルー特産の蒸留酒。「ペルヴィアン(Peruvian)」とは「ペルーの」「ペルー人の」の意味する英語。【注3】「クレーム・ド・ケシ」とはもちろん「クレーム・ド・カシス」(カシス・リキュール)のこと。【注4】「ローズ・マント」の「マント」とはミントのことだが、「ローズ・マント」がどういうものかは不明。【注5】「ネーガス(Negus)」とは赤ワインにレモン、糖分を加えた飲料のこと。現代では「ニーガス」という表記が一般的。【注6】「E」の項の【注1】を参照【注7】「エロー・シャルトルーズ」とはもちろん「イエロー・シャルトリューズ」のこと。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/09
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O オールド・ファッションド・カクテル(Old Fashioned Cocktail) カクテル・グラスに角砂糖半分を入れ、水小匙で一杯を加えて溶かし、氷の塊一個小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注(つぎ)と、好みの酒一ジガを入れ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、更にボカース・ビター【注1】二注を加え、静かにかき混ぜ合わせ、氷を取り除けてすすめます。 もし、最後に加えるポカース・ビターが持ち合わせない場合は、アンゴスチュラ・ビター二滴をたらします。 オールド・トム・ジン・カクテル(Old Tom Gin Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注、オールド・トム・ジン二分の一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かして、別に氷水をそえてすすめます。 オールド・トム・ジン・フィッズ(Old Tom Gin Fizz) これは「G」の項で説明しました「ジン・フィッズ・プレーン」の場合のジンに、オールド・トム・ジンを用いてすすめます。 オランジャード(Orangearde) これは水五升に対し香料及び薬味料としてオレンジの皮十二匁(もんめ)【注2】と、酒石酸【注3】十二匁、およびオレンジ・シロップ四十匁を充分にかき混ぜ合わせ、漉して壜に詰め、つねに貯(たくわ)えて用います。このオレンジャードは、冷やして夏期の飲料に適するほか、下痢を癒(なお)す特効剤として薬用されます。 オランジャード・ツー・オーダー(Orangearde to Order) ソーダ水呑に砂糖中匙で一杯を入れ、ネーヴル・オレンジ一個の露を搾りこみ、砕き氷を二分の一位まで入れ、ソーダ水かまたは普通の水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせ、オレンジの輪切一片を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 オルジェート・パンチ(Orangearde Punch) 小さい調合器にオルジェート・シロップ【注4】大匙で一杯を入れ、レモン一個の露を搾りこみ、ブランデー一ジガーと、氷の塊二つ三つを入れ、充分にかき混ぜ合わせてパンチ・グラスに漉しうつし、冷たいソーダ水を八分目までつぎ入れ、ポート・ワイン一注を加えてすすめます。 オイスター・カクテル(Oyster Cocktail) 極(ご)く新鮮な牡蠣(かき)を殻から外し、ひだを切りのけ、含んでいる水分と共に、カクテル・グラスの中へ六分目まで位、中高に盛りこみます。 上等のトマト・ケヤップをつぎかぶせ、本場製のウオーセスタシャー・ソース(俗にウシタ・ソース【注5】と呼ばれている、どんな田舎の洋食屋にでも、むしろ等級の低い店ほど多く出してある、麦を焦がして味をつけたような黒いソースの本物)を、ほんの香りをそへるために二滴か三滴をたらし、かるく胡椒をふってすすめます。【注1】「ボカース・ビター」とは「ボウカーズ・ビター」のこと。「M」の項の【注8】ご参照。【注2】1匁(もんめ)は3.75g 従って十二匁は45g【注3】「酒石酸」とはブドウやワインに多く含まれる有機化合物で、酸味料として食品添加物としての使用が認められている。【注4】「A」の項の【注2】を参照。【注5】「ウオーセスタシャー・ソース」「ウシタ・ソース」とはもちろん現代で言う「ウースター・ソース」のこと。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/05
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N ナショナル・ガード・パンチ(National Guard Punch) 鉢か甕(かめ)に、砂糖一斤【注1】、レモン二十個の搾り汁、キュラサオ二ジガー、および好みの沸騰水二壜(びん)をつぎ入れ、砂糖が溶けるまで充分にかき混ぜ合わせて、シャンパン二壜と、ブランデー半壜をつぎ入れ、更にかき混ぜ合わせて大きい氷の塊一個を入れます。季節の果実を薄切その他適当な形に切って浮かし、香料とし薄荷(はっか)の若芽少しを加え、冷たく冷やしてすすめます。 ニェート(Neat)【注2】 これは、大英帝国でウイスキー、およびウイスキーを主として調合した混成酒を呼ぶ言葉です。 ニュー・オルレアンス・フィッズ(New Orleans Fizz) ソーダ呑に砂糖小匙で二杯を入れ、ソーダ水四匙を加えて溶かし、氷の塊一個を入れ、次にジン一ジガー、サイフォン・ソーダを九分目までつぎ入れ、最後に砂糖小匙で一杯を入れ、美しい泡の立ち騰(あ)がるところをすすめます。【注1】ここで言う一斤(きん)とは、重量の単位で160匁(もんめ)に相当する。1匁は3.75gなので、一斤は600gとなる。なお、食パンの一斤は英国斤という単位で、製パン業界の公正競争規約で340g以上(350g~400g)と定められているという。【注2】「ニェート」とは現代の表記では「ニート」。今日ではあまり使わないが、主にウイスキーそのもの、すなわちストレート・ウイスキーを意味する英語。ストレートで飲むことを「ニートで味わう」と言ったりする(秋山氏は、ウイスキー・ベースの混成酒=カクテルもニートの範疇に入るとしているが…)。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/02
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M マンハッタン・カクテル(Manhattan Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注(つぎ)、アンゴスチュラ・ビター二滴、イタリアン・ヴェルモット二分の一ジガー弱、およびブールボン・ウイスキー【注1】二分の一ジガー強を加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスにこしてうつし、レモン一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 マラスキノ・パンチ(Maraschino Punch) ソーダ水呑に、砂糖小匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次ぎにブランデー一ジガー、アラック【注2】二注、マラスキノ一ポニー、およびレモン半個分の露(つゆ)を搾りこみ、砕き氷を八分目まで入れて充分にかき混ぜ合わせ、季節の果実を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 マーチニ・カクテル(Martini Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注、オールド・トム・ジン二分の一ジガー弱、およびイタリアン・ヴェルモット【注3】二分の一ジガー強を加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、糖水煮の桜桃一つと、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 マッキンレイ・パンチ(McKinley Punch) 大きいゴブレットに、グルナダン・シロップ【注4】二ジガーと、レモン一個の搾り汁、ウイスキー一ジガーおよび氷の塊二つ三つを入れ、サイフォン・ソーダを九分目まで次ぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせてオレンジの輪切一片を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 もし、この「マッキンレイ・パンチ」からウイスキーを除けば「グルナダン・パンチ」と呼んですすめられます。 マッルーヒン・カクテル(McLoughin Cocktail) シャンパン・グラスに、クレーム・ド・コギャク【注5】一ジガーを入れ、アンゴスチュラ・ビター一注を加え、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別の瓶のまま充分に冷やしたシャンパンをつぎ入れてすすめます。 メエレエ・ケシ【注6】(M?l? Casis) 利久酒盃に、クレーム・ド・ケシと、コギャクとを交じり合わぬよう静かに半々につぎ入れ、別に氷水をそえてすすめます。 ミカド・カクテル(Mikado Cocktail) これは「J」の項で説明しました「ジャパニーズ・カクテル」の別名です。 ミルク・パンチ(Milk Punch) 大きい調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、水少しを加えて溶かし、砕き氷を二分の一位まで入れ、次にコギャク一ジガーと、セント・クロアクス・ラム【注7】一注、及び新しい濃い牛乳をソーダ水呑に九分目位になると思われるだけつぎ入れ、充分に振蕩(しんとう)してソーダ水呑に漉してうつし、ナッツメグ少しをおろしかけ、麦稈をさしてすすめます。 モンタナ・カクテル(Montana Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、アニゼット二注、オレンジ・ビター二注、およびフレンチ・ヴェルモット二分の一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモン一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 モーニング・カクテル(Morning Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、レッド・キュラサオに注、ガム・シロップ三注、ボカース【注8】またはアンゴスチュラ・ビター二注、アブサント一注、及びブランデーとウイスキー各二分の一ジガーずつを加え、充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉しうつしてすすめます。 モーニング・スター(Morning Star) 大きい調合器に砕き氷を入れ、砂糖小匙で一杯、ポート・ワイン一ジガー、スコッチ・ウイスキー一ジガーおよび乳酪(クリーム)五勺(しゃく)【注9】を加え、鶏卵一個を割って落とします。充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、冷たいソーダ水を九分目までつぎ入れ、かき混ぜ合わせてすすめます。 ムーレット(ホット)【注10】(Mulled, Hot) 大きい鉢か甕(かめ)に熱湯三合を入れ、砂糖三十匁(もんめ)【注11】を加えて溶かし、レモン六個の搾り汁を加えます。次にポート・ワインまたは好みの酒一壜半をつぎ入れ、文火(とろび)にかけて静かに熱を加えて置きます。 別に鶏卵十二個を別の器に割って落とし、充分にかき立てて泡雪に仕立て、前のパンチの中へ、パンチを急いで、少しのゆるみもなくかく混ぜながら加えて、更に急にしかし静かに、充分にかき混ぜ合わせ、とろりとしたものに仕上げてすすめます。【注1】「ブールボン・ウイスキー」とはご推察の通り、「バーボン(Bourbon)・ウイスキー」のこと。【注2】「A」の項の【注9】をご参照。【注3】現代のマティーニの標準レシピはジンとドライ・ヴェルモットだが、この時代は欧米でもまだイタリアン(スイート)・ヴェルモットを使うレシピが主流で、日本でも同様だったようだ。【注4】「グルナダン・シロップ」とはご推察の通り、今で言う「グレナディン・シロップ」のこと。【注5】「クレーム・ド・コギャク」とはコニャック・ベースのリキュールのこと。現在でも何種類かが製造・販売されている。【注6】メエレエ(M?l?)とはフランス語で「混ざり合った」との意。「メエレエ・ケシ(現代の表記だと「メーレ・カシス」)はフランスの家庭では一般的に飲まれていたカシス・ブランデーのこと。【注7】「B」の項の【注4】をご参照。【注8】「ボカース」とは、1828年にドイツ系米国人のジョン(ヨハン)・ボウカーが製造・販売を始めたビターの銘柄「ボウカーズ・ビター」(Boker’s Bitter)のこと。禁酒法時代の1920年代に製造中止となったが、近年、その味わいを再現した製品が再発売されている。【注9】「一勺(しゃく)」は一合の10分の1で約18ml 従って五勺は約90ml【注10】「ムーレット」とは、ここでは「ムーレット・ワイン」のことを指す。ワインに甘味やスパイスなどを加えて温めたもの。現代では「マルド・ワイン 」という表記が一般的。【注11】「一匁(もんめ)」は3.75g 従って三十匁は約113gこちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/30
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L ラズベリー・レモネード(Rasberry Lemonade) ソーダ水呑にプレーン・レモネードをつくり、ラズベリー・シロップ大匙で一杯を加え、静かにかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 シェリー・レモネード(Sherry Lemonade, Plain) ソーダ水呑にプレーン・レモネードを八分目までつくり、シェリー一ジガーを加え、麦稈をさしてすすめます。 スパイク・レモネード(Spike Lemonade) ソーダ水呑かまたはグラス・ゴブレットに、プレーン・レモネードを八分目までつくり、ウイスキー一ジガーまたは客の好みの量を加え、麦稈をさしてすすめるもので、別の名を「テキサス・レモネード」といひます。 ホワイト・ロック・レモネード(White Rock Lemonade) 大きいゴブレットに砂糖大匙で山盛一杯を入れ、ホワイト・ロック・ウォーター【注1】二匙を加えて溶かし、次に氷の塊(かたまり)一個を入れます。レモン二個の露を絞りこみ、かき混ぜ合わせながらホワイト・ロック・ウォーターを九分目までつぎ入れ、麦稈をさしてすすめます。 レモン・スクォシ(Lemon Squash) これは「レモネード」すなわち、前に「レモネード・プレーン」と呼んで説明したものと同じものを指して呼ぶ英国人の言葉です。英国人に限って、「レモネード」の事を「レモン・スクォシ」と呼びます。 ブリティン、イングリッシュ、及びその植民地に於いては、壜詰のすさまじく沸騰するところのものを「レモネード」と言ひ、注文によって速成に調合した「レモネード」のことは飽迄(あくまで)も「レモン・スクォシ」と呼んで、大英帝国の威光を、レモネードの上にまでも及ぼさうとするにほかならぬのであります。 ロコモチーヴ(ホット)(Locomotive, Hot) ソース鍋二個を文火(とろび)にかける用意をして置き、別に大きい調合器に砂糖大匙で二杯と、蜂蜜小匙で一杯を入れます。次にキュラサオ一ポニー、鶏卵の黄身ばかり一個分、および赤葡萄酒を葡萄酒用の盃で一杯加え、十分にかき混ぜ合わせて、前に用意して置いたソース鍋一個の方へうつします。 文火の上で、彼方此方へ絶え間なくうつし替えて熱くし、ソーダ水呑につぎ入れ、レモンの輪切一片(きれ)を浮かしてすすめます。【注1】ネット上であれこれ調べるも、「ホワイト・ロック・ウォーター」とは何を指すのかは不明。情報をお持ちの方はご教示いただければ幸いです。【注2】「レモン・スクォシ」とは言わずもがなだが、「レモン・スカッシュ」のこと。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/28
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L<上> レモネード(ホット)(Lemonade, Hot) 水呑に角砂糖二個を入れ、水小匙で二杯ほどを加えて溶かし、レモン一個の露を搾りこみ、熱湯を八分目までつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせ、レモンの輪切一片(きれ)を浮かしてすすめます。 レモネード(プレーン)(Lemonade, Plain) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、レモン二個の露を搾りこみ、砕き氷を二分の一位まで入れ、水を九分目までつぎ入れ、充分にかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 コーディアル・レモネード(Cordial Lemonade) ソーダ水呑に、プレーン・レモネードをつくり、コーディアル・シロップ大匙で一杯をつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 クラレット・レモネード(Claret Lemonade) ソーダ水呑に、プレーン・レモネードを八分目までつくり、赤葡萄酒一ジガーを加え、麦稈をさしてすすめます。 ナッパ・ソーダ・レモネード(Napa Soda Lemonade) 大きいゴブレットに氷の塊一個を入れて置き、別に中位の調合器に砂糖大匙で山盛一杯を入れ、ソーダ水二匙を加えて溶かし、レモン二個の露を搾りこみます。ナッパ・ソーダ【注】の小壜一本をつぎ入れ、充分にかき混ぜ合わせて、前に用意して置いたゴブレットの中に漉してうつし、更に静かにかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 この「ナッパ・ソーダ・レモネード」のナッパ・ソーダは、ゼルツェル・ウォーターに代えることが出来ます。けれども、ゼルツェル・ウォーターを用ふれば「ゼルツウェル・レモネード」と呼び、もし、ソーダ、ウォーターを用いた場合は「ソーダ・レモネード」と呼ばれるのであります。 オルジェート・レモネード(Orgeat Lemonade) ソーダ水呑に、プレーン・レモネードをつくり、オルジェート・シロップ大匙で一杯を加え、静かにかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 ポート・ワイン・レモネード(Port Wine Lemonade) ソーダ水呑に、ポート・ワイン・レモネードを八分目までつくり、ポート・ワイン一ジガーを加え、麦稈をさしてすすめます。【注】「ナッパ」とは、ワインで有名な米カリフォルニア州のナパ・バレー(Napa Valley)のこと。ナッパ・ソーダとはナパ産の炭酸水のことか。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/25
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K キング・アルフォンス(King Alphonse) 利久酒盃【注1】にクレーム・ド・カカオを四分の三位まで入れてすすめるだけでありますが、これはカカオをグラスの縁(ふち)につぎかけたり、つぎこぼし或(ある)いはあふれさせぬところに値打ちがあるので、匙(さじ)を利用してつぎ入れることにします。 キッチー(Kitty) これは赤葡萄酒とジンジャー・エールとを合わせた「ハイボール」を呼ぶ名称であります(「H」の項の「ハイボール」参照)。 クロンダイク(Klondyke) 小さい調合器【注2】に砂糖小匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、レモン半個分の搾り汁、フレンチ・ヴェルモット二分の一ジガーと、イタリアン・ヴェルモット二分の一ジガーを加えます。砕き氷を二分の一まで入れて充分にかき混ぜ合わせ、ソーダ水呑に漉してうつし、ジンジャー・エールを九分目までつぎ入れてすすめます。【注1】リキュール・グラスのこと。【注2】ここで言う「調合器」とはシェーカーではなく、ミキシング・グラスのこと指す。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/22
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J ジャパニーズ・カクテル(Japanese Cocktail) これは「B」の項で説明しました「ブランデー・カクテル」の場合の、トッディ・ウォーター【注1】を、オルジェート・シロップに代える他(ほか)、すべて同じに調合してすすめます。 ジャースェー・カクテル【注2】(Jersey Cocktail) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次に砕き氷を二分の一位までと、アンゴスチュラ・ビター一滴、およびアップル・ジャック【注3】一注(つぎ)を加え、充分にかき混ぜ合わせからサイダーを九分目までつぎ入れ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、麦稈(から)をさしてすすめます。 ジョン・コリンス(John Collins) トム・コリンス【注4】か、または大きいソーダ水呑に氷の塊一個を入れ、上等のジン一ジガーを入れるか、本当に客自身の好みなだけの量を入れて置きます。別に中位の調合器に砂糖大匙で山盛一杯を入れ、ソーダ水三匙を加えて溶かし、レモン二個の露(つゆ)を搾りこみ、充分にかき混ぜ合わせてからソーダ水をつぎ入れ、更にかき混ぜ合わせて前に用意して置いたソーダ水呑の中へ漉してうつします。もし、九分目まで満たなかったら、プレーン・ソーダ水をつぎ入れてすすめます。 このジョン・コリンスは朝は精神作興の飲料となり、夜は精神を愉快にして慰安を感ぜしむるところの飲料であります。これまで大概の酒場では「ジン・フィズ」を調合して「ジョン・コリンス」なりと称してすすめているが、真に「ジョン・コリンス」と呼び得(え)るものは、前記の調合法によって調合されたものより外はありません。【注1】「トッディ」とは蒸留酒に蜂蜜や砂糖などの甘味を加え、お湯か水で割るスタイルのこと。「トッディ・ウォーター」は文字通り、水で割ったそれを意味しているのか。【注2】「ジャースェー」とはもちろん、「ジャージー」のことだが、カクテルとしての名前の由来は不詳。秋山氏のレシピはアップル・ジャックがベースだが、シードル(炭酸入りのリンゴ酒)にアンゴスチュラ・ビターズを加えるシンプルなレシピもある。【注3】「アップル・ジャック」とは、リンゴ酒を蒸留して造るアップル・ブランデーのこと。主に米国での呼称。主生産国であるフランスでは、「オード・ヴィー・ド・シードル」と言い、ノルマンディー地方で生産される高級品は「カルバドス」と呼ばれる。【注4】ここで言う「トム・コリンス」とは、カクテルの「トム・コリンズ」(現代の表記では「コリンス」ではなく「コリンズ」)を示すのではなく、ロングスタイル・カクテルに使われる「コリンズ・グラス」(容量300~360ml)を意味している。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/20
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I インペリアル・パンチ(Imperial Punch) グラス・ゴブレットに、ウイスキーかまたはブランデー二ジガーを入れ、かなり大きな氷の塊一個を入れて置きます。 別に中位の調合器にレモン二個の絞り汁、キュラサオ一注(つぎ)、および前に用意して置いた氷と酒を入れたゴブレットの中へつぎ入れて九分目になると思われるだけのシャンパンをつぎ入れます。充分にかき混ぜ合わせて前のゴブレットの中へ漉してうつし、更に静かにかき混ぜ合わせてすすめます。 このインペリアル・パンチを、多量に、経済的に調合する必要がある場合は、シャンパンの代わりに、ゼルツェル・ウォーターか又はサイフォンソーダを用いるのでありますが、キュラサオを省くことは考えものです。 インヴィシブル・ジン・ハイボール(Invisible Gin Highball) ソーダ水呑に氷の塊二つ三つを入れ、ガム・シロップ小匙で一杯、レモン一個分の搾り汁、パインアップル・シロップ小匙で一杯、およびドライ・ジン一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせ、ジンジャー・エールを九分目までつぎ入れてすすめます。 アイリッシュ・カクテル(Irish Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、アブサント二注と、マラスキノ二注、およびオレンジ・ビター二注を加え、更にウイスキー一ジガーを加えて充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してうつし、オリヴ一つと、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 アイリッシュ・ハーフ・エンド・ハーフ(Irish Half and Half) 二種の(アイリッシュ)ウイスキーを、小さいバー・グラスに半々につぎ入れ、別に氷水をそえてすすめます。 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/19
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H ハーフ・エンド・ハーフ(Half and Half) これは「A」の部で説明しました「アーフ・エンド・アーフ」の別名であり、俗な呼び方であります。 ハイボール(Highball) これはハイボール・グラスか、またはソーダ水呑(すいのみ)に強い酒類一ジガー、若しくは好みの量を入れ、冷たいゼルツェル・ウォーターか、サイフォン・ソーダ、或いは他の沸騰水を九分目まで注(つぎ)入れてすすめるもので、ブランデーとソーダを合わせた場合は「ブランデー・ハイボール」と呼び、スコッチ・ウイスキーとソーダ水とを合わせれば「スコッチ・ハイボール」、ジンとジンジャー・エールとを合わせれば「ジン・エンド・ジンジャー・エール・ハイボール」と呼ばれます。 <注意>しかし、赤葡萄酒とジンジャー・エールとを合わせたものは「キッチー」と呼ばれてをります。 ホネー・エンド・ピーチ(Honey and Peach) 小さなバー・グラスに蜂蜜小匙一杯を入れ、攪拌用の匙をさし、別にピーチ・ブランデーを壜のままと、氷水をそえてすすめます。 ホーセス・ネック(Horse’s Neck) レモン一個の皮を、丁度林檎の皮をむく場合と同じように、一方の端からレモンの形にそって、長くリボンにむき取り、その皮で氷の塊一個を包んでレモンの形に直し、その上になる一端をソーダ水呑の縁(ふち)にひっかけ、吊り下げるような形にして入れ、静かにジンジャー・エールをつぎ入れ、麦稈をさしてすすめます。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/16
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G<下> ジン・ジュレプ(Gin Julep) ソーダ水呑に砂糖小匙で一杯か、また角砂糖一個と、薄荷の若芽三つ四つ、およびゼルツェル・ウォーター小匙で二三杯を加え、砂糖を溶かし、かつまた薄荷(はっか)の香気をひき出して置きます。 そして後、オランダ・ジン一ジガーを加え、砕き氷を二分の一位まで入れ、ゼルツェル・ウォーターか、またはサイフォン・ソーダを八分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わてジャマイカ・ラム一注(つぎ)を加え、蜜柑(みかん)の輪切りか或いは苺(いちご)又は季節の果実を浮かし、麦稈(から)をさしてすすめます。 ジン・パンチ(Gin Punch) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、ソーダ水二匙を加えて溶かし、ラズベリー・シロップ大匙で一杯、オランダ・ジン一ジガー、レモン半個分の搾り汁、蜜柑を縦四つ割にして木口(こぐち)から二分位の厚さに切ったもの二片(きれ)と、薄く扇の地紙形に切ったパインアップル一片、マラスキノ一注、および砕き氷を二分の一位まで入れ、ソーダ水を九分目までつぎ入れ、静かによくかき混ぜ合わせ、ライム【注1】かまたはレモンの輪切り一片を浮かしてすすめます。 ジン・リッケー(Gin Rickey) ライムを横真二つに切り放し、その片割れを取って身を崩さぬように種をほじくり出し、次に包丁の尖(さき)皮の外へ突き抜かぬよう、身の方を十文字か或いは米の字に切り割き、ソーダ水呑の底に切り口を上に起こして入れ、残り半分のライムの露を搾りこみ、撹拌用の匙をさし、氷の塊二つ三つと、上等のジン一ジガーを入れ、ソーダ水を九分目までつぎ入れてすすめます。 ジン・スマッシュ(Gin Smash) カクテル・グラスに砂糖小匙で一杯を入れ、ソーダ水二匙を加えて溶かし、薄荷の若芽三つ四つを入れて香気をひき出して置き、別にソーダ水呑に氷の塊二つ三つを入れ、上等のジン一ジガーを加え、前に薄荷の香気をつけて置いた糖水をうつし、ソーダ水を九分目までつぎ入れてすすめます。 ジン・サァワル(Gin Sour) 小さい調合器に、ガム・シロップ小匙で一杯か、或いは砂糖大匙で一杯を入れ、ガム・シロップなればすぐに、砂糖なれば水二匙を加えて溶かし、次にレモン二個の搾り汁と、上等のジン一ジガーを加え、砕き氷を入れて充分にかき混ぜ合わせ、ソーダ水呑に漉してうつし、冷たいソーダ水を八分目までつぎ入れ、季節の果実を浮かしてすすめます。 ジン・トッデー(Gin Toddy) 小さいバー・グラスに砂糖小匙で一杯を入れ、水三匙を加えて溶かし、撹拌用の匙をさし、別にジンを壜(びん)のままと氷水をそえてすすめます。 ゴールデン・フィッズ(Golden Fizz) 調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン一個の搾り汁と、鶏卵の黄身だけ一個分を加え、砕き氷を二分の一位まで入れ、充分振蕩して、ソーダ水呑に漉してうつし、ソーダ水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせてすすめます。 ゴシック・パンチ(Gothic Punch) 鉢か甕(かめ)に砂糖大匙で十二杯を入れ、レモン十二個分の露を搾りこんでかき混ぜ合わせ、次にカタウバ・ワイン【注2】二壜と上等の赤葡萄酒一壜、およびシャンパン四分の一壜を入れ大きい氷の塊一個を入れます。 薄く扇の地紙形に切ったパインアップルを浮かし、静かに冷たくなるまでかき混ぜ合わせ、パンチ・グラスにつぎ分けてすすめます。【注1】この「カクテル(混合酒調合法)」にライムが登場するのは初めて。ライムは1980年代半ばでも、日本のBARではまだ高価な柑橘類だった。ましてや1920年代の大正期なら、いかに稀少で高価だったか想像に難くない。【注2】「カタウバ・ワイン」とは、「カタウバ(Catawba)」種のブドウで造られたワインか。19世紀中頃、欧州産のヴィニフェラ系品種ブドウとアメリカ原産種との交配でつくられた品種で、病虫害に強いという。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/14
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G<上> ガゼット・フィッズ(Gazette Fizz) 調合器に、砂糖小匙で二杯を入れ、水四匙を加えて溶かし、次に鶏卵の黄身一個分と、コギャク一ジガー、および砕き氷を二分の一位まで入れ、充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、冷たいゼルツェル・ウォーターかまたはソーダ水を九分目までつぎ入れてすすめます。 ジン・エンド・ビター(Gin and Bitter) 小さいバー・グラスに、アンゴスチュラ・ビター一二滴をたらし、流しまわして余分のビターをふり切り、ジン一ジガーをつぎ入れ、別に氷水をそえてすすめます。 ジン・エンド・ガム(Gin and Gum) 小さいバー・グラスに、ガム・シロップ小匙で一杯を入れ、撹拌用の匙をさし、別に上等のジンを壜(びん)のままと、氷水をそえてすすめます。 ジン・エンド・ソーダ(Gin and Soda) 水呑に氷の塊を入れ、別に上等のジン壜のままと、ソーダ水そえてすすめます。 ジン・カクテル(Gin Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、ガム・シロップ小匙で一杯、ブンネカムプ・ビター【注1】一注(つぎ)、セルナー・ビター【注2】二滴、オレンジ・ビター二注、アブサント三滴、および上等のジン一ジガーを入れ、充分にかき混ぜ合わせます。カクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 ジン・クラスター(Gin Crusta) まず、赤葡萄酒盃の内側の縁(ふち)を、レモンの輪切りで、むらのないようになでまわして湿らせ、砂糖の上に伏せて砂糖でまぶして置き、その皮を丁度林檎(りんご)の皮をむくと同じように一方の端から、レモンの形にそってむき取り、その皮を前に用意して置いたグラスの中へ、まぶした砂糖をはぎ落とさぬよう、砂糖挟みかピンセットを利用して、レモンの形に手際よく納めます。 更に別に小さい調合器に砕き氷を入れ、アンゴスチュラ・ビター二滴と、マラスキノ一注、および上等のジン一ジガーを入れ、充分にかき混ぜ合わせ、前のレモンの皮を納めた赤葡萄酒盃の中へ、まぶした砂糖の上へたらしかけぬよう、つぎ入れてすすめます。 ジン・デイジー(Gin Daisy) 調合器にオルジェート【注3】かガム・シロップ三注、マラスキノ三注、レモンの搾り汁半個分、およびオランダ・ジン一ジガーを入れ、砕き氷を二分の一位まで入れて充分にかき混ぜ合わせ、小さいバー・グラスに漉してうつし、ゼルツェル・ウォーターか、または冷たいサイフォン・ソーダをつぎ入れてすすめます。 ジン・フィッズ(プレーン)(Gin Fizz, Plain) 小さい調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン一個分の搾り汁と、上等のジン一ジガー、および氷の塊三つ四つを入れ、充分にかき混ぜ合わせてハイボール・グラスか、またはパンチ・グラスに漉してうつします。 サイフォン・ソーダを九分目までつぎ入れ、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、麦稈(から)をさしててすすめます。 ジン・フリップ(Gin Flip) 調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、ゼルツェル・ウォーターか、または水二匙を加えて溶かし、次に鶏卵一個を割って落とし、オランダ・ジン一ジガーと、砕き氷をソーダ水呑に二分の一位の量を入れ、牛乳をつぎ入れ、充分に振蕩して、ソーダ水呑みに漉してうつし、ナッツメグほんの少しをおろしてすすめます。【注1】「ブンネカムプ・ビター」(Boonekamp Bitter)とは、18世紀にオランダ人のペトルス・ボーネカンプ氏が造った薬用苦味酒。欧州では1970年代以降に人気が出るようになったという。現在でも製造されているようだが、日本で見かけることは少ない。今日では通常、「ボーネカンプ」と表記される。【注2】「セルナー・ビター」(Sellner? Bitter)についてはネットであれこれ調べましたが、詳細不明です。何かご存じの方は情報をよろしくお願いします!(トップページの「メッセージを送る」を使ってください)。【注3】「オルジェート・シロップ」のこと。詳細は、「A」の項の【注】ご参照を。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/12
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F フェイヴァース・プース・カフエ(Faiver's Pouse Cafe) シェリー・グラスに、ベネディクチン【注】と、キュラサオ、およびブランデーの三種を各三分の一ずつ、右の順序で静かにつぎ入れ、アンゴスチュラ・ビター一二滴をたらしてすすめます。 フィックス(Fix) まずパンチ・グラスに氷の塊一個を入れて置き、別に中位の調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン一個の搾り汁と、ウイスキー一ジガー、および水をつぎ入れ、充分にかき混ぜ合わせ、前に用意して置いたパンチ・グラスの中に漉してうつし、麦稈(から)をさしてすすめます。 フロート(Float) これは、一杯の飲料の中に酒精分を含まぬ部分があるよう、換言すればある沸騰水に、ある酒類を浮かしてすすめる一種の混成酒であります。なお具体的に説明すればソーダ水呑かまたはハイボール・グラスなどに、ゼルツェル・ウォーターかサイフォン・ソーダ或いはその他好みの沸騰水を八分目までつぎ入れ、その上からウイスキー或いは他の種類の酒を一ジガーの割合でつぎ入れ、麦稈をさしてすすめるのであります。 <注意>しかしながら、もしレモンネードの上に赤葡萄酒を流し浮かした場合は「クラレット・エンド・レモネード・フロート」と呼ばれております。 フォックス・フリップ(Fox Flip) 調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン半個分の搾り汁と、ウイスキーかまたはジン一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせ、ハイボール・グラスに漉してうつし、壜のまま冷やしたジンジャー・エールを、九分目までつぎ入れてすすめます。【注】ベネディクチン(Benedictine)とは、ブランデー・ベースのリキュール。1510年に、ノルマンディー地方のベネディクト派の修道院で作られたのが起源。原材料にはジュニパー・ベリーやハッカを始め、約25種類のハーブが使われている。現在でも製造・販売され、日本でも入手可能である。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/07
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E イーグル・フィッズ(Eagle Fizz) 調合器に砂糖大匙(さじ)で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン・ジュース三注(つぎ)、鶏卵の白身ばかり一個分、ジン一ジガー、クレーム・ド・ヴァニュ【注1】一注、オレンジ・フラワー・ウォーター【注2】二注、ゼルツェル・ウォーター二注、および砕き氷を三分のニ位まで加え、濃い牛乳を九分目までつぎ入れ、充分に振蕩(しんとう)して、別にパンチ・グラスをそえてすすめます。 エッグ・フリップ(ホット)(Egg Flip, Hot) バッス・エール【注3】一壜(びん)をソース鍋にあけて文火(とろび)にかけ、静かに煮え立つようにして置き、別に鉢に鶏卵一個を割って落とし、赤砂糖大匙で二杯を加え、充分にかき立ててべとべとのものに仕上げます。 前のバッス・エールを、なお鶏卵と赤砂糖のねりものをかき混ぜながら、初めの間は少しずつ加えて行き、漸次(ぜんじ)に加える量をふやして行って、ままこ【注4】をつくらぬよう、全部を加えて溶け合わせ、ソーダ水呑につぎうつしてすすめます。 この「エッグ・フリップ・ホット」は、古来英国に於いては、風邪を予防し、風邪を癒すに特効ある飲料とされております。 エッグ・レモネード(Egg Lemonade) 大きい調合器に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン二個の搾り汁と、生の鶏卵一個、砕き氷を三分の二位まで、および水をつぎ入れ、充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、レモンの輪切一片を浮かし麦稈(から)をさしてすすめます。 エッグ・ミルク・パンチ(Egg Milk Punch) 大きい調合器に鶏卵の黄身だけ一個分と、砂糖小匙で一杯を入れ、よくかき混ぜほぐして後、ブランデー一ジガーとサンタクルーズ・ラム四分の一ジガーを加え、砕き氷を二分の一位まで入れます。牛乳をソーダ水呑に約九分目になると思われるだけつぎ入れ、充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、ナッツメグほんの少しをおろしてかけてすすめます。 エッグ・スイッセッス(Egg Suissesse) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オルジェート・シロップ一注と、アブサント一ポニーを加え、充分にかき混合わせてパンチ・グラスに漉してうつし、冷たいサイフォン・ソーダ水をつぎ入れてすすめます。 エッグ・ナッグ(Egg Nog) 大きい調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、砕き氷を二分の一くらいまで入れて、次に鶏卵一個、コギャク一ジガーと、セント・クロアクス・ラム一注、および牛乳をつぎ入れ、充分に振蕩してソーダ水呑に漉してうつし、ナッツメグほんの少しをおろしかけ、麦稈をさしてすすめます。 エッグ・ナッグ・シェリー(Egg Nog, Sherry)これは、前の「エッグ・ナッグ」(基本の調合法)の場合に加えたコギャクと、ラムを、シェリーに代えるだけで、その他はすべて同じに調合してすすめます。【注1】「クレーム・ド・ヴァニュ」とは「ヴァニラ(Vanilla)・リキュール」のこと。【注2】「オレンジ・フラワー・ウォーター」とは、カクテルなどの香り付けや化粧水、アロマテラピー用などに使う無色透明のハーブ水。チュニジア産が有名で、現在でも入手可能。【注3】「バッス・エール」とは、現在でも世界中で愛飲されている英国産の上面発酵エール・ビール。今日では「バス・エール」が一般的表記。キリッとした苦みと紅茶のような、芳醇でほのかな甘味が特徴。19世紀に日本に最初に輸入されたビールとも言われている。【注4】「ままこ」=継粉=とは、粉に水などを加えてこねるときになくならないで残った粉の固まりのこと。ネットで調べると東北、信越、東海地方発祥の方言らしいが、三省堂の「大辞林」にも収録されているというので、大正時代は一般的な言い方だったと思われる。今日では、「だま」という方が通りがいい。 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/05
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D ドッグス・ノーズ(Dog's Nose) 冷たいスタウトを細長いグラスにつぎ入れ、ジン一注を加えてすすめます。 ドライ・マンハッタン・カクテル(Dry Manhattan Cocktail) 小さい調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注(つぎ)、アンゴスチュラ・ビター二滴、フレンチ・ヴェルモット二分の一ジガー弱とウイスキー二分の一強を加え、レモンの輪切一片(きれ)を入れて充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してうつし、オリヴかまたはヘーズェルナッツ一個を浮かし、別に氷水をそえてすすめます。 ドライ・マーチニ・カクテル(Dry Martini Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注、フレンチ・ヴェルモット二分の一ジガー弱と、ドライ・イングリッシュ・ジン二分の一強を加え、充分にかき混ぜ合わしてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんだものと、オリヴ一個を浮かしてすすめます。 ドライ・パンチ(Dry Punch) 鉢か甕(かめ)に、砂糖大匙で八杯、レモン八個の搾り汁、キュラサオ一ジガーおよび紅茶(普通の色に出して冷ましたもの)約四合を入れ、充分にかき混ぜ合わせて後、ブランデー一壜(びん)と氷の塊を入れつめたく冷やし、パンチ・グラスにつぎ分けてすすめます。 デュボンネト・カクテル(Dubonnet Cocktail) 中位の調合器に砕き氷を入れ、オレンジ・ビター二注、ドライ・シェリー三分の一ジガーおよびフレンチ・デュボンネト【注】三分の二ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別に氷水をそえてすすめます。 ダーキー(Dukee) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にレモン半個分の搾り汁と、砕き氷を二分の一位まで入れ、更にジャマイカ・ラム一ジガーと、香気をつけるためにキュラサオ一注を加えサイフォン・ソーダ水を九分目までつぎ入れ、よくかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。【注】赤ワインにキナの樹皮、オレンジの皮、コーヒー豆とスパイスを漬け込んで、樫樽で熟成させたリキュールで、欧州では食前酒として親しまれています。名前は、1800年代中頃に考案したデュボネ氏に由来する。現在では、単に「デュボネ」と表記されるのが一般的。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/02
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私は現在、大正・昭和両天皇の料理長もつとめたことで有名な秋山徳蔵氏(1888~1974)が1924年(大正13年)10月に発刊した日本初のカクテルブック「カクテル(混合酒調合法)」と、同年11月に出版された前田米吉氏の著書「コクテール」の2冊について、その内容のほぼ全文を紹介するという試みを始めています。 いずれの本も現在では絶版であり、入手困難な貴重本です。一方で2冊とも、欧米でハリー・マッケルホーン(世界初の実用的カクテルブックを1919年に出版)や、ハリー・クラドック(1930初版発刊の「サボイ・カクテルブック」著者)がカクテルを発展させていった1910~20年代、遠い東洋の日本でバーテンダーの先駆者たちがカクテルという新しい飲酒スタイルの分野に対して、どう向き合い、どう工夫・苦労し、どう完成させていったのかが分かる、本当に貴重な証拠資料です。 この2冊の本を読んでいくうちに、こうした貴重なデータは自分だけで独占していいのかと思うようになりました。プロのバーテンダーでもおそらく、名前は知っていても、現物は見たことのないという方がほとんどかと思います。 私としては、興味深いデータを自分だけで独占するのではなく、この2冊のカクテルブックを、可能な限り忠実に紹介していきたい(=バーテンダーの皆さんと貴重なデータを共有したい)と考えました。連載を始めて以来、懇意なBARのマスターからは「秋山さんの本は、前々からぜひ読んでみたいと思っていたので、とても嬉しいです」などと、激励の言葉も数多くいただいています。 ただ、ここで問題になるのは本の著作権です。著作権保護の期間はご承知の通り、現在では、著作物の公表(出版)もしくは作者の死後50年です(※その後、「死後70年」に延長された)。著作権が誰が持っているか(遺族か出版社か)がまず大事です。もし出版社が著作権を持っていたとしても、現在では2冊とも公表から50年以上経過していますので、この点はクリアできます(ちなみに2冊とも出版した会社は、調べた限りでは現在は存在していません)。 しかし、著者については微妙です。前田氏がいつ亡くなったのかの情報は現時点ではありませんが、秋山氏が亡くなったのは36年前の1974年です。もし、この本の著作権を秋山氏の遺族が継承していた場合、私はあと14年間は、著作権法違反で訴えられるリスクを負います。そこで、法律専門家の助言も得て、今後は以下のような方針で連載を続けていくことにしました。 今のところ連載へのクレームは1件もありませんが、私としては、もしご遺族からクレームがあった場合、(1)この連載は、本が絶版になっている現状で、カクテル普及の先駆者である秋山、前田両氏の偉大な功績を後世に伝えることを願ってしていること(2)私自身は一銭の利益も得ていないこと--をお伝えして、なんとかご理解を得たいと思っています。 万一それでも、ご遺族の納得が得られず、「連載を止めないと法的に訴える」と言われた場合はその時点で連載は中止し、過去分についてもすべてブログから削除いたしますので、何卒ご了承ください(可能であれば秋山氏のご遺族にコンタクトをとりたいと願っていますが、残念ながら、今はまだ連絡先がわかりません)。 以上、よろしくお願いいたします。(もしご意見がある方はぜひ、私までお知らせ頂ければ幸いです)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/01
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C カフェ・ロヤル(Cafe Royal) 小皿に角砂糖二個を置き、シャルトルーズを充分たらしかけて湿らせ、マッチで火を付け、酒精分を燃やして置き、一方、熱い香りの高い珈琲を珈琲碗につぎ入れ、小皿のシャルトルーズ【注1】を流して入れてすすめます。 シャンパン・コッブラー(Champagne Cobbler) グラス・ゴブレットに砕き氷を半分位まで入れて、その上に薄切りにした季節の果物をのせて置き、別に中位の調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、シャンパンを赤葡萄酒盃で一杯を加え、よくかき混ぜ合わせて前に用意して置いたゴブレットの中へうつし、麦稈(むぎから)をさしてすすめます。 シャンパン・カクテル(Champagne Cocktail) 別の小皿の上に角砂糖一個を置き、アンゴスチュラ・ビター五六滴をたらしてシャンパン・グラスの中に、形を崩さぬよう気をつけて挟み入れ、壜のまま冷たくしたシャンパンをつぎ入れてすすめます。注意:このカクテルの角砂糖はわざと形を崩してはいけません。又、シャンパンばかりですすめるのです。 シャンパン・カップ(Champagne Cup) 鉢か甕(かめ)に壜のまま冷やしたシャンパン一壜をつぎ入れ、アーモンチラド【注2】を赤葡萄酒盃で一杯と、マラスキノ一ポニー、及びオレンジかレモンの搾り汁を加え、その搾り殻を砂糖でまぶして入れ、胡瓜の薄くそぎ切ったものを少し加え、甘味を少し試してから冷たいゼルツェル・ウォーター一壜をつぎ入れ、カップにつぎ分けてすすめます。 シャンパン・フラペ(Champagne Frappe) シャンパンを壜のまま氷桶の中に立てて、その周囲に、岩塩【注3】を混ぜた砕き氷を詰め、充分に、凍る位まで冷やしてすすめます。 シャンパン・パンチ(Champagne Cobbler) 鉢か甕(かめ)に、砂糖大匙で五杯、レモン十個の搾り汁、キュラサオ一ジガー、及びマラスキノ一ポニーを入れ、静かに充分かき混ぜ合わせて後、プレーン・ソーダ一壜とシャンパン一壜をつぎ入れ、大きい氷の塊一個を入れ、季節の果実を薄切りにして浮かし、もし好みなればジャマイカ・ラム或いはブランデー一注乃至(ないし)三注を加え、冷たく冷やしてすすめます。 サイダー・カップ(Cider Cup) 鉢か甕に、シェリーとブランデーおよびキュラサオ砂糖大匙で五杯、レモン十個の搾り汁、キュラサオ一ジガー、及びマラスキノ一ポニーを入れ、静かに充分かき混ぜ合わせて後、プレーン・ソーダ一壜とシャンパン一壜をつぎ入れ、大きい氷の塊一個を入れ、季節の果実を薄切りにして浮かし、もし好みなればジャマイカ・ラム或いはブランデー一注乃至(ないし)三注を加え、冷たく冷やしてすすめます。 クラレット【注4】(ホット)(Claret, Hot) 水呑に四分の三位まで熱湯をつぎ入れ、角砂糖二個を加えて溶かし、赤葡萄酒を水呑の九分目までつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせ、レモンの輪切り一片を浮かし、ナッツメグごく少しをおろしかけてすすめます。 クラレット・エンド・シャンパン・カップ(Claret and Champagne Cup) 鉢か甕に、赤葡萄酒一壜、レモン四個とオレンジ二個の搾り汁、砂糖大匙で四杯、薄荷(はっか)の若芽五つ六つ、ジャマイカ・ラム一ポニー、およびブランデーとマラスキノ二ポニーを入れ、一度かき混ぜ合わせして、風味を試してから、プレーン・ソーダ一壜か、またはシャンパン一壜を入れます。 更にライン・ワイン【注5】一壜をつぎ入れ、胡瓜のそいだものを少しと、生(なま)又は缶詰のパインアップルを扇の地紙形に薄く切ったもの適宜な量を加え、なおオレンジ一個か二個を輪切りにして加え、大きい氷の塊一個を入れ、冷たくしてすすめます。 クラレット・コッブラー(Claret Cobbler) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、砕き氷を二分の一位まで入れて、次に赤葡萄酒を八分目までつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせ、苺(いちご)または季節の果実を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 クラレット・パンチ(Claret Punch) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水大匙で二杯を加えて溶かし、次にレモン一個の露を搾りこみ、砕き氷を二分の一位まで入れ、赤葡萄酒を八分目までつぎ入れ、静かにかき混ぜ合わせて季節の果実を浮かし、麦稈をさしてすすめます。 コーヒー・カクテル(Coffee Cocktail) 調合器に鶏卵の黄身だけ一個分とクレーム・ド・カカオ一ポニー、ポート・ワイン一ジガー、およびコギャク一注を入れ、砕き氷を四分の三位まで入れ充分に振蕩してハイボール・グラスに漉してうつし、ナッツメグ少しをおろしかけてすすめます。 このカクテルには、コーヒーはもちろんビターさえも加えられぬので、「コーヒー・カクテル」と呼ぶはおかしく思われますが、実際調合して振蕩されたものは、紛れもないコーヒーと見られるので、この名が冠(かぶ)せられたのであります。 コロラド・ブレーサー(Colorado Blacer) 調合器に砂糖大匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、レモンかまたはライム一個の露を搾りこみ、次にアブサント一ジガーと、スコッチ・ウイスキー二分の一ジガーを加えます。砕き氷を二分の一位まで入れて充分にかき混ぜ合わせ、ソーダ水呑に漉してうつし、冷たいゼルツェル・ウォーターか、サイフォン・ソーダ水を九分目までつぎ入れ、麦稈をさしてすすめます。 コムモドル(Commodore) 調合器に砂糖小匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次にライム半個分の搾り汁、ウイスキー一ジガー、およびオレンジ・ビター二注を加え、砕き氷を四分の三まで位加えて充分に振蕩し、グラス・ゴブレットに漉しうつしてすすめます。 クーラー・シカゴ(Cooler Chicago) ソーダ水呑に砕き氷を二分の一位まで入れ、レモン半個分の露を搾りこみ、ジンジャー・エール一壜をつぎ入れ、赤葡萄酒一注を加え、麦稈をさしてすすめます。 キュラサオ・パンチ(Curacao Punch) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水大匙で二杯を加えて溶かし、レモン半個分の露を搾りこみ、次にレッド・キュラサオ【注6】一注と、ジャマイカ・ラム一ジガーとを加え、充分にかき混ぜ合わせ、苺または季節の果実を浮かし、麦稈をさしてすすめます。【注1】言わずもがなだが、有名な薬草系リキュール「シャルトリューズ」のこと。【注2】「アーモンチラド」とは辛口系(一部甘口系もある)のシェリーの一種のこと。今日では「アモンティリャード」という表記が一般的。【注3】氷に塩を加えると、温度が下がり、溶けにくくなるという化学的原理はこの頃すでに一般的だったようだ。電機冷蔵庫のない時代、先人たちの苦労がしのばれる。【注4】「クラレット」とはボルドー産赤ワインの異名。【注5】ライン川流域の地方で造られるワインのこと。やや甘口系のフルーティなワインが多い。【注6】「キュラサオ」は、言うまでもなく甘口・果実系リキュールの「キュラソー」のことだが、「レッド・キュラサオ」が何を指すのかは不明。フランボアーズかチェリー系のキュラソーか。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/28
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【Bの項からの続き】 ブランデー・フリップ(Brandy Flip) これは熱いもの「ホット・ブランデー・フリップ」と、冷たいもの「コールド・ブランデー・フリップ」とがありまして、熱い方は「ホット・ブランデー・トッディ」に、クラッカー・ビスケット一枚を焙(あぶ)って加えてすすめ、冷たい方はソーダ水呑に砕き氷を二分の一位まで入れて置きます。 別に調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水二匙を加えて溶かし、次に鶏卵一個を割って落とし、ブランデー一ジガーと氷の塊二つ三つを入れて、充分に振って混ぜ合わせ、前に用意して置いたソーダ水呑の中に漉してうつし、ナッツメグほんの少しをおろしかけてすすめます。 ブランデー・パンチ(Brandy Punch) グラス・ゴブレットに氷の塊一つ二つと、コギャク一ジガーを入れて置き、別に小さい調合器に砂糖大匙で一杯、レモン二個の搾り汁、キュラサオ一注(つぎ)、及び水かゼルツェル・ウォーターを丁度ゴブレットにうつして一杯になると思われるだけつぎ入れ、充分にかき混ぜ合わせて前のゴブレットの中へ漉してうつし、更に静かにかき混ぜ合わせ、扇の地紙形に薄く切ったパインアップル一片を浮かし、好みなれば、その上からジャマイカ・ラム或いはシャンパンのいずれかを一注加えて、すすめます。 ブランデー・サンガリー(Brandy Sangaree) 大きい調合器に砕き氷を二分の一位まで入れて、コギャク一ジガーと砂糖大匙で一杯を加え、充分に振蕩して小さいグラスに漉してうつし、ナッツメグほんの少しをおろしかけてすすめます。 ブランデー・スカッフェ(Brandy Scaffa) シェリー・グラスに、その二分の一までマラスキノ【注1】をつぎ入れ、次にブランデーを九分目まで静かにつぎ入れ、アンゴスチュラ・ビター一滴をたらし、別に氷水をそえてすすめます。 ブランデー・スリング(Brandy Sling) 水呑に角砂糖一個を入れ、水少し加えて溶かし、ブランデー一ジガーを加え、夏期は氷の塊一つ二つと水を九分目までつぎ入れてかき混ぜ合わせ、ナッツメグほんの少しをおろしてかけてすすめ、冬期には熱湯をつぎ入れ、同じくナッツメグをおろしかけてすすめます。 ブランデー・スマッシュ(Brandy Smash) カクテル・グラスかまたはパンチ・グラスに、砂糖大匙で一杯を入れ、ゼルツェル・ウォーター大匙で二杯ほどを加えて溶かし、次に薄荷(はつか)【注2】の若芽三つ四つを細かに摺(す)り潰して加え、氷の塊一つ二つとコギャク一ジガーを入れ、充分にかき混ぜ合わせ、更にゼルツェル・ウォーターをつぎ入れ、匙をさしてすすめます。 ブランデー・サァワル(Brandy Sour) 小さい調合器にガム・シロップ大匙で一杯か、または砂糖大匙で山盛一杯を入れ、レモン二個の搾り汁とコギャク一ジガー及び氷の塊二つ三つを入れ、充分にかき混ぜ合わせてソーダ水呑か、パンチ・グラスに漉してうつします。サイフォン・ソーダ水または他の冷たい沸騰水を八分目までつぎ入れ、オレンジ、ベリー或いはオレンジとベリー又は季節の好みの果実を浮かしてすすめます。 ブランデー・ストレイト(Brandy Straight) これは、簡単に給仕するには水呑に、氷の塊二つ三つと水を七分目までつぎ入れ、別にブランデーを壜(びん)のままそえてすすめ、丁寧に給仕するには水呑、氷、水及びブランデーをそろえて客の前に運び、好みにより調合してすすめます。 ブランデー・トッデー(Brandy Toddy) 水呑に砂糖小匙で一杯を入れ、水小匙で二杯を加えて溶かし、冬期は熱湯とブランデーを壜のままそえてすすめ、夏期は氷、水およびブランデーをそえてすすめます。 バーガンデー・カップ(Burgundy Cup) 鉢か甕(かめ)にレモン二個の露を搾りこみ、搾り殻(から)の皮を掃除して加え、次にゼルツェル・ウォーター一壜とバーガンデー二壜をつぎ入れ、好みによって砂糖味(あまみ)をつけ、充分かき混ぜ合わせて大きい氷の塊一個を入れ、冷たく冷やして後、つぎ分けてすすめます。【注1】「マラスキノ」(Maraschino)は、マラスカ種のサクランボを原料としたリキュールのこと。イタリアやクロアチア、スロベニアなどで生産・販売される製品が有名。製造過程で種子を破砕するため、アーモンドにも似た独特の香りがする。なお、今日では「マラスキーノ」と表記するのが一般的。【注2】「薄荷」とは言うまでもなく、シソ科の多年草「ミント」のこと。ペパーミント、スペアミント、アップルミントなどの種類がある。ここで言う「薄荷」は日本ハッカで、ペパーミント系。薄荷は日本でも在来種があり、江戸時代後期から栽培されていた。明治以降は主に北海道、北東北などで主に香料、医薬品の原料として栽培されてきたが、このように生葉を使うのは日本ではおそらく、カクテルが普及して以後だろう。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/25
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B バルチモア・キッセス(Baltimore Kisses) 鉢か甕(かめ)に、鶏卵の白身ばかり六個分を入れ、メープル・シロップかメープル・シュガーを適宜な量だけ加えて甘みをつけ、充分にかき立てて泡雪に仕立て、別に壜(びん)のまま冷やしたカーラント・ワイン【注1】一壜を、泡雪をなほかき立てながら、初めの間は少しずつ加えて行って全部を混ぜ合わせ、四個の水呑につぎ分けてすすめます。 ビショップ(Bishop) ソーダ水呑に砂糖小匙(さじ)で一杯を入れ、水小匙で二杯を加えて溶かし、次にレモンの輪切二片(きれ)か又は搾り汁小匙で一杯を加え、氷の塊一個を入れ、ソーダ水を四分の三位までつぎ入れ、更にジャマイカ・ラム二注(つぎ)と、赤葡萄酒か或いはレッド・バーガンデー【注2】一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせて氷をとり除き、麦稈(むぎから)をさしてすすめます。 ブラック・ストライプ(Black Stripe) ソーダ水呑に、ニュー・オルレアン・モラッセス【注3】を大匙で一杯とクロアクス・ラム【注4】一ジガーとを加え、冬期は熱湯をつぎ入れ、かき混ぜ合わせてすすめ、夏期には氷水をつぎ満たし、よくっかき混ぜ合わせ、麦稈をさしてすすめます。 ブラックソーン・カクテル(Blackthorn) 調合器に砕き氷を入れ、フレンチ・ヴェルモットとイタリアン・ヴェルモット、およびスロージンの三種を各一ジガーずつ加え、次に香料としてオレンジ・ビター二滴とアンゴスチュラ・ビター一、二滴をたらし、充分にかき混ぜ合わせカクテル・グラスに漉してつぎ分け、レモンの皮一そぎずつを押しつまみ、浮かしてすすめます。 ブルー・ブレーヅァー(Blue Blazer)【注5】 銀鍍金(ぎんめっき)をかけた耳付盃(マグ)二個を用意して、その一個に砂糖小匙で一杯を入れ、熱湯で小匙で二杯位の量を加えて溶かし、次にスコッチ・ウイスキー一ジガーを加え、かき混ぜ合わせてマッチで火を付け、ぱっと火焔(かえん)が燃え上がったらば直ぐに、手早く別のマグにうつし、更に前のマグにうつし替え、この方法を四五回くり返している間に、酒精分がすっかり燃えつくしますから、そしたらナッツメグ少しをおろしかけ、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 ブランデー・エンド・ガム(Brandy And Gum) 水呑にガム・シロップ大匙で一杯を入れ、氷の塊二つ三つを入れ、別に、氷水と、ブランデーを壜のまま添えてすすめます。 ブランデー・エンド・ソーダ(Brandy And Soda) 水呑に氷の塊二つ三つを入れ、ブランデー一ジガーを加え、ソーダ水を九分目までつぎ入れてすすめるか、または水呑に氷を入れ、別にブランデーとソーダ水を添えてすすめます。 ブランデー・ブァント(Brandy Burnt) 小皿の中央に角砂糖二個を置き、ブランデー一ジガーをつぎかけ、マッチで火を付けて酒精分を燃やしつくし、炎が消えたらば直ぐ水呑にうつし、熱湯を八分目までつぎ入れてすすめます。 ブランデー・シャンペレル(Brandy Champerella) シェリー・グラスに(一)レッド・キュラサオ四分の一、(二)アニゼット四分の一、(三)シャルトルーズ四分の一、(四)コギャク【注6】四分の一を、プース・カフェの場合と同様、静かに段々とつぎ入れ、別に氷水を添えてすすめます。もし好みなれば、初めにシェリー・グラスの中へアンゴスチュラ・ビター一二滴をたらし、グラスの内部に流してから四種の酒をつぎ入れてすすめます。 ブランデー・カクテル(Brandy Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、トッディ・ウォーター小匙で一杯、オレンジ・ビター二注、アンゴスチュラ・ビター二滴およびコギャク一ジガーを加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまんで浮かし、別に氷水を添えてすすめます。 ブランデー・クラスタ(Brandy Crusta) まづカクテル・グラスの内側の縁(ふち)をレモンの薄切りで、むらのないようになでまわし、砂糖の中に伏せてレモンの露で湿らせた部分に砂糖をまぶしつかせて置き、別に調合器の中へ二つ切りにしたレモンの中身を除けて皮ばかりを起こして置きます。 その皮の中へガム・シロップ三注、オレンジ・ビター一注、ブランデー一ジガー、キュラサオ二注及びレモンの露半個分を入れ、静かによくかき混ぜ合わせて、前に用意して置いたカクテル・グラスの中へ、まぶし付けた砂糖のしずくを垂らさぬよう、グラスの中央を目がけてつぎ入れ、静かに持ち運んですすめます。 ブランデー・デイジー(Brandy Daisy) 中位の調合器に砕き氷を半分位まで入れて、レモン一個の搾り汁、オレンジ・コーディアル【注7】三注、及びブランデー一ジガーを加え、よくかき混ぜ合わせてパンチ・グラスの中へ漉してうつし、冷たいサイフォン・ソーダ水【注8】を九分目までつぎ入れてすすめます。 ブランデー・フィックス(Brandy Fix) ソーダ水呑に砕き氷を二分の一位まで入れて置き、別に中位の調合器に砂糖中匙で一杯を入れ、水中匙で二杯を加えて溶かす。次にレモン一個の搾り汁とウイスキー一ジガー、及びソーダ水呑に丁度一杯になると思われるだけの水をつぎ入れ、充分にかき混ぜ合わせて前のソーダ水呑の中へ漉してうつし、パインアップルの薄切り一片を浮かせ、麦稈をさしてすすめます。 【Bの項<下>へ続く】【注1】「カーラント」とはカシスやブルー・ベリーなどのスグリ類の木種のこと。従ってこのカーラント・ワインもスグリ類の実でつくったワインのことであろう。【注2】「バーガンデー」(Burgundy)とは、フランス・ブルゴーニュ(Bourgogne)地方またはブルゴーニュ地方産ワインのこと。「レッド・バーガンディー」とは、ブルゴーニュ産の赤ワインのことを指すのだろう。【注3】「ニュー・オルレアン」とは米国南部「ニュー・オーリンズ」のこと。「モラッセス」(「モラセス」とも表記する)は「廃糖蜜」のことで、砂糖を精製する時に発生する糖分以外の成分を含んだ黒褐色の液体。米国の一般家庭ではよく食用に利用する。【注4】「クロアクス・ラム(Croix Rum)」とは、カリブ海の米領ヴァージン諸島の「セント・クロイ(St.Croix)島」産のラムを指す。【注5】 現代の一般的表記なら「ブルー・ブレイザー」。カクテルの父とも言われるジェリー・トーマス(1830~1885)が生んだ代表的なオリジナル・カクテル。【注6】ご推察の通り、「コギャク」とは「コニャック」のこと。【注7】「コーディアル」とは身体を元気づけ、刺激する強壮作用のある食品、主に飲み物のこと。英米では、コーディアルは極めて甘い、(たいていは人工的に)濃縮されたノンアルコール飲料を指し、水で薄めて味わう。オリジナルのカクテル「ギムレット」は、生ライムジュースではなく、ライム・コーディアルを使用することで有名。「オレンジ・コーディアル」とは従って、薄めて飲む濃縮オレンジ・ジュースのような甘口飲料か。【注8】「サイフォン」とはコーヒー・サイフォンのように文字通り、器具・装置のことである。この「サイフォン・ソーダ水」という表現は、天然ソーダ水との比較として、秋山氏は用いているのかもしれない。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/23
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さて、いよいよ「カクテル(混合酒調合法)」の本文です。24頁分の目次の後、本文ではアルファベット順に、125種類のカクテルが掲載されています。では、順番に紹介していきましょう。*************************************** 御家庭でたやすく出来、街で酒場も経営される カクテル --混合酒調合法-- 宮内省大膳寮厨司長 秋山徳蔵編 A アブサント・カクテル(Absinthe Cocktail) 小さい調合器【注1】に砕き氷を入れ、アンゴスチュラ・ビター一滴を落とし、オルジェート・シロップ【注2】一注(つぎ)【注3】とアブサント一ジガー【注4】を加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉(こ)してうつし、レモンの皮一そぎを押しつまみ、浮かしてすすめます。 アブサント・フラッペ(Absinthe Frappe) 中位の調合器に砕き氷を四分の三位まで入れ、アブサント一ポニー【注5】を加え、充分に振蕩(しんとう)【注6】してカクテル・グラスに漉(こ)してうつし、凍りそうに冷たいところをすすめます。これは「アブサント・アメリカン・スタイル」とも呼ばれます。 アブサント・イタリアン・スタイル(Absinthe Italian Style) 調合器に砕き氷を入れ、アブサント一ポニー、マラスキーノ二注、及びアニゼット二分の一ポニーを加え、充分にかき混ぜ合わせてカクテル・グラスに漉しうつしてすすめます。 アブサント・ヴェイリューズ(Absinthe Veilleuse) ソーダ水呑【注7】に角砂糖1個を入れ、水少しを加えて溶かし、氷水を四分の三位までつぎ入れ、アブサント一ポニーを加え、かき混ぜ合わせてすすめます。 アギナルド・パンチ(Aguinaldo Punch) ソーダ水呑に砂糖大匙(さじ)で一杯を入れ、水又はソーダ水大匙で二杯を加えて溶かし、次にレモンジュース四注、フレンチ・ヴェルモット四注、ラム四注、及びウイスキー一ポニーを加え、充分にかき混ぜ合わせて、砕き氷を二分の一位まで加え、ソーダ水を八分目までつぎ入れ、季節の果実を浮かし、麦稈(むぎから)【注8】をさしてすすめます。 エール・サンガリー(Ale Sangaree) ソーダ水呑に砂糖大匙で一杯を入れ、水大匙で二杯を加えて溶かし、別の壜(びん)のまま冷やしたエールを九分目までつぎ入れ、ナッツメグほんの少しをおろしかけてすすめます。このエールには、新しいものと、古いものとがありますから好みな方を用います。 アーフ・エンド・アーフ(Alf and Alf) これは、英国風ではポーターとエールとを半々に合わせ、米国風では新しいエールと古いエールとを同じく半々に合わせてすすめます。したがって、いずれか好みの方を調合してすすめるのでありますが、いずれの場合でも、あらかじめ壜のまま冷やして置いて用います。 アップル・ブランデー(ホット)(Apple Brandy, Hot) 水呑に四分の三位まで熱湯をつぎ入れ、角砂糖一個を入れて溶かし、アップル・ブランデー一ジガーを加え、かき混ぜ合わせてすすめます。注意:普通、「ブランデー・ホット」或いは「ウイスキー・ホット」と言えば、大抵この方法で調合されますが、好みによりブランデーの量は増減します。 アップル・パンチ(Apple Punch) 林檎(りんご)とレモンを別々に薄切りにして鉢か甕(かめ)の中へ、砂糖をふりかけながら、段々に半分位まで入れて、赤葡萄酒を八分目までつぎ入れ、きれいな布巾(ふきん)をかぶせ、紐(ひも)でまき結(ゆわ)へて、およそ五六時間寝かして置きます。 そして後、別の鉢か甕の中へ、きれいな漉し袋かまたは布巾で漉してうつし、大きい氷の塊一個を入れて充分につめたく冷やし、パンチ・グラスにつぎ分けてすすめます。 アラック・パンチ(Arrack Punch) パンチ・グラスに小さい氷の塊一個を入れ、その中へバタヴィア・アラック【注9】を四分の三、ジャマイカ・ラムを四分の一の割合で入れて置き、別の調合器の中へ砂糖大匙一杯を入れて、ゼルツェル・ウォーター【注10】大匙で二杯を加えて溶かし、次にレモン一個の露を搾りこみ、充分にかき混ぜ合わせる。 前に用意して置いたパンチ・グラスの混合酒をうつしかえ、更にシャンパン一注を加え、再び充分にかき混ぜ合わせてパンチ・グラスにつぎ分け、薄く扇の地紙形に切ったパインアップル一片ずつを浮かしてすすめます。 オートモビル・カクテル(Automobile Cocktail) 調合器に砕き氷を入れ、ガム・シロップ二注、オレンジ・ビター二注、イタリアン・ヴェルモット【注11】とスコッチ・ウイスキー、およびオールド・トム・ジン【注12】の三種を各一ジガーずつを加えてかき混ぜ合わせ、カクテル・グラスに漉してつぎ分け、オリヴかチェリー一個ずつを浮かしてすすめます。【注1】「調合器」とはこの連載の2回目でも紹介したが、シェーカーやミキシング・グラスのこと。【注2】「オルジェート(Orgeat)・シロップ」とはビター・アーモンド・シロップのこと。オルゲート・シロップとも呼ばれる。現在でも「MONIN(モナン)」社のシロップ・シリーズで入手可能。【注3】「一注(いちつぎ)」とは、現代における1Dash(約1ml)のことか。【注4】「一ジガー(Jigger)」とは、英国式の場合2オンス(約60ml、米国式だと45ml)のこと。秋山氏が用いている「ジガー」が英国式なのか米国式なのかは、現時点ではよく分からない。【注5】「一ポニー(Pony)」は、連載2回目でも紹介したように、1オンス(約30ml)に同じ。【注6】「振蕩」とは、シェイキングのこと。【注7】「ソーダ水呑」という表記は、連載2回目にも登場するが、秋山氏は「8オンス以上の大形の切立形グラス(脚付きでないもの)」と説明しており、10~12オンスくらいのタンブラーのようなグラスと推察される。【注8】「麦稈」とはストローのこと。【注9】「アラック(Arrack)」とは、中近東からアジアにかけて幅広く造られている蒸留酒。原料は米やサトウキビ、ナツメヤシ、ジャガイモ、ヤシの花穂など。バタヴィアとはオランダ植民地時代のジャカルタの呼び名。インドネシアでもアラック造りは盛んで、バタヴィア・アラックは現在でも流通している。【注10】「ゼルツェル(Seltzer)・ウォーター」とは、要するに炭酸水のこと。19世紀以降、ヨーロッパでは、「薬効がある」と信じされたこともあって富裕階級を中心に広く飲まれるようになった。【注11】この当時は、現在のスイート・ヴェルモットはイタリアン・ヴェルモットと呼ばれ、ドライ・ヴェルモットはフレンチ・ヴェルモットと呼ばれた。【注12】「オールド・トム・ジン」とは、ドライ・ジンに1~2%の糖分を加えた英国生まれの甘口ジンのこと。18世紀、ロンドンにあったジンの販売機は猫の形をしていて、ジンを買うと猫の足の部分からボトルが出てきた。俗語(スラング)で雄猫のことを「トム・キャット」と言うことににちなみ、新製品に「オールド・トム」という名前が付けたと伝わる。 ちなみに20世紀前半までは、「トム・コリンズ」などジンを使うカクテルでは、オールド・トム・ジンでつくるのが多かったという。なお、最初に製造・販売した英国のボーズ社はその後、米国ミズーリ州セントルイスに拠点を移し、生産している。他にもカナダのメーカーでも製造・販売している。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/21
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