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〈しゃばけシリーズ〉の番外編となっている絵本を読んだ。○ストーリー大店の孫・一太郎は,身体が弱く,同い年の子供たちと遊ぶことが出来ない。いつも1人で寝てばかりの毎日だった。そんなある日,天井の隅から,不思議な小鬼たちが現れる。一太郎は,彼らと仲よくなりたいと思うのだが?-------------〈しゃばけ〉ファンのために作られた絵本で,幼少の一太郎が主人公だ。どうやらまだ佐助,仁吉とも出会う前らしく,1人で寝てばかりで寂しい毎日を過ごしており,そこで小鬼〈鳴家(やなり)〉と遭遇するという物語だ。シリーズの狂言回しの〈鳴家〉らしい破天荒な行動も描写され,絵本らしいファンタジックな部分もある。とは言え,あっと読めてしまうし,内容は他愛無いので,作品としての評価はしづらい。-------------当然だが,シリーズでずっと扉絵を描いている柴田ゆうが絵を担当している。これも読者としてはうれしいのだが,個人的にはシリーズ扉絵にはあるかすかな毒がこの絵本では消えていて,そのために魅力が薄れているように感じた。-------------〈鳴家〉以外の怪がこっそりと登場しているね。(笑)
2016.04.30
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上野の東京都美術館で開催されていて,話題となっている〈若冲展〉に行った。-------------入場が9時半から,ということで,9時10分頃に現地に着いたが,地下にある入館入口から,1階,そして敷地外まで伸びる長い行列が出来ていた。覚悟はしていたけれど,ここまでとは!!9時半からゆっくりと列は動き始め,建物に入ったのが10時,そして入場は10時10分頃。1時間待ちとなった。-------------〈ロビー階 画遊人、若冲(1)〉:若冲と言えば鶏の絵,となるほど有名だが,その元となった絵画が並んでいて冒頭から圧倒される。「雪中雄鶏図」「旭日鳳凰図」「孔雀鳳凰図」などがあり,その時代を超越した写実的なリアリティと優美な構図に驚く,なぜか美しさよりも畏れを感じる。そうしたものとは別に,チカラの抜けた可愛さのある「竹虎図」,三角定規のようにモデル化された鳥が描かれた「月に叭々鳥図(つきにははちょうず)」なども並んでいた。小ぶりだが,形,色などが近代美術のようだった「花鳥版画」も面白かった。多才だ。-------------〈1階 《釈迦三尊像》と《動植綵絵》〉:1階に上がると間仕切壁を取り払って大空間にしつらえてある。奥の壁に「釈迦三尊像」が並び,その両側を「動植綵絵」が囲んでいる。相国寺で「釈迦三尊像」は観たことがあったが,相国寺から宮内庁へと所有者が代わった「動植綵絵」は初めて観た。しかも30幅が全部揃っている。こんな贅沢な展覧会だったとは!!30幅もあり,目移りしてしまうが,「老松白凰図」の優美さ,「梅花群鶴図」「向日葵雄鶏図」「南天雄鶏図」の超絶技巧,「雪中鴛鴦図」「雪中錦鶏図」の情感が気に入った。素晴らしい。-------------〈2階 画遊人、若冲(2)〉:晩年の若冲の,より自由な作風が楽しめるコーナーだ。前の階と比べると小ぶりのようだが「果蔬涅槃図」「三十六歌仙図屏風」「象と鯨図屏風」と,これだけで美術館の目玉になる作品が平然と並んでいる。-------------〈2階 米国収集家が愛した若冲〉:なんとプライスコレクションの若冲作品まで呼び寄せていたとは!!わざわざ仙台まで観に行った「鳥獣花木図屏風」と再会できた。あの時の展覧会の白眉だったのだけれど,扱いがやや下になっていて可哀相だ。大好きな作品なんだけどなあ。-------------例によって「連休だ。美術展に行こう」というおきまりの思考パターンに従って,姉と2人で出かけた。テレビや新聞で大きく扱っているということもあって,久々の大行列だった。大人気のイベントで,日ごろは美術展に来ない人も来ているらしく,中で小走りになったりする人も多かった。入場直前に行列のさばき方は,東京都美術館なので,まだもう1つというところ。けれども展示,説明パネルの掲示などは,混雑していても見やすい高い位置になっていて助かった。とは言え,どんな嫌なことも忘れてしまえる予想を超越した内容の展示だった。どんなに忙しくても,これだけは行くべき!オススメだ。
2016.04.29
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今週は,恵比寿,千駄ヶ谷,銀座,上野と実によく出かけることが多い。木曜日は,取引先との打合せで,はるばる中央林間まで車で行った。まずは首都高速の湾岸線をお台場,大井,羽田を通り,そこから神奈川県に入り,横浜,保土ヶ谷へと抜けた。それから保土ヶ谷バイパスをひたすら走った。打合せは3時半からだったが,工場見学もさせてもらったこともあり,以外と長引き6時近くに終了。中央林間駅まで乗せて行ってもらい解散した。きれいな東急線の駅の向こう側に,くすんだ我が小田急線の駅があった。ここから急行に乗れば,買い物をしても,1時間しないで帰宅だ。例によって早めに帰った。仕事はちゃんとしてるんだけどね。結局,夜になるまで小雨がぱらついていた。でも連休中に天候が良ければOKだ。
2016.04.28
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アニメ化,映画化もされたミステリーコミックの第7巻を読んだ。○ストーリー18年間の眠りから覚めた悟は,自分を事故死させようとしていた犯人の記憶を失っていた。幼馴染たちとの再会でも戻らなかった記憶は,女子高生・アイリとの出会いで一気に復活する。だがまだまだリハビリ中の悟に,迫ってくる影があった。------------奇跡の復活を遂げた主人公・藤沼悟,彼の周りに広がるのは幸せに成長した幼馴染たちだったが,彼にはもう1つの不吉な記憶があるのだった。この2つの記憶のギャップは,読者には分かっているのだけれど,残念ながら悟にさえ理解出来ていないので,読んでいてずいぶんイライラする。なので,一気にミステリーとして盛り上がった5巻,6巻だったが,この7巻は物語が停滞している印象が強い。ずっと読んできた読者としては,じーんとする場面は多いのだけれど,展開の遅さは否めない。終盤,犯人が再び迫ってくる緊張感はあるのだけれど,悟たちも成長しているので,大丈夫だろう・・・たぶん。------------おそらくこの展開のスピードは,アニメ化の放映,映画化の封切に合わせて調整をしたものだと思う。製作に要する時間が異なる複数のメディアの発表時期を合わせる,ということは至難の業で,それはそれで評価するけれど,肝心の作品の魅力がそがれるのはどうかと思う。僕自身はアニメ版しか観ていないが,この7巻の場面になった途端,別のストーリーラインとなってしまった。放映当時6巻までしか読んでいなかった僕としては,ネタバレがされなかったと喜ぶべきなのかも知れない。------------この巻の作中で指摘されて気付いたが,6巻でカップルとなっていたのは,あの2人だ。気付くと感慨深い。さて残すところはもう発売となっている8巻のみだ。この物語がどんな結末を迎えるのか,楽しみで仕方がない。
2016.04.27
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最近話題の作家,月村了衛のデビュー作を読んだ。○ストーリー〈無限〉が仕掛けてきた戦により,浦路の国は滅んだ。死に瀕した君主の召還に応じた〈光牙の忍〉・零牙は,真名姫と鷹千代君を安住の土地に送り届けることを約する。〈無限〉に属する〈骸魔六機忍〉の攻撃を,零牙と〈光牙の忍〉たちは,いかにして凌ぐのか?そして〈光牙の忍〉たちの封じられた記憶とは?-------------まるでゲームのような世界設定だ。基本的には日本の戦国時代をベースにして,そこに山田風太郎の〈忍法帖シリーズ〉や,日曜日の朝に放映している特撮番組の要素を加えた,という世界観の物語となっている。正に〈忍法帖シリーズ〉風の時代がかった言葉遣いが最初のハードルだと思う。なんで,現代のSF作品で,べたべたの時代劇の文章を読まされるのか,という低くない試練が待ち受けている。ここさえなんとかイキオイで乗り切ってしまえば,残りはイキオイで楽しめる。-------------作品世界では,殿様,武士,足軽,忍という身分制度が存在している。それに対して,敵方は全てが忍ということで,忍者は卑しいという設定となっている。国が滅んで遠方まで落ちのびる浦路の遺子たちは,当初は護衛たちに守られていたが,すぐに〈光牙の忍〉だけが生き残り,彼らをサポートすることとなる。ひじょうにラノベ的ではるが,身分制度のトップとボトムだけの旅,彼らのゆっくりとした和解が描かれることとなる。-------------SF的要素として,〈光牙の忍〉は,かつて所属していた世界の記憶を持っていることになっている。それゆえに,多層世界を支配する〈無限〉に敵対しているらしい。〈光牙の忍〉が夢で見る世界が,どうやら我々読者が知る現代の日本らしい。ただし,どうしてそれがそれほど美しく見える夢の世界なのか,そして世界の支配者〈無限〉に対抗すべき価値があるものなのかは,今ひとつよく分からない。まあ,作品世界はキッチュで楽しめるから,細かいことはいいのかなあ?-------------山田風太郎の〈忍法帖シリーズ〉の伝統を優等生的に守りつつ,大胆な展開を見せて,物語は終わる。終盤では,もうオープンエンドではないかと心配したが,きちんと複数の伏線をまとめて,きれいに終焉としたのには驚いた。なんで現代にこの作品,なんでこの展開,このまま進む,これできちんと終わるの,と複数の疑問を投げかけつつ,のほほんと作品としてまとめて見せた月村了衛はただものではない。恐ろしい才能だと思う。実に面白い作家の,面白い作品だった。今後も読んでみたい。
2016.04.26
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取引先と打合せのために恵比寿に行った。山手線を降りて恵比寿駅を出ると何やら見慣れた風景に思えた。姉とこの間,うどんを食べた店を探してしまい,しばらくして,「あ,あれは目黒だった」と思い出した。すぐ隣の駅,ということもあるけれど,目黒駅の東口の風景と,今回降り立った恵比寿駅の西口がよく似ていた。都心の駅なのに,駅前から雑居ビルや商店街が並ぶ雑然とした感じ,とでも言えばいいのだろうか?------------打合せそのものは長引いてしまったが,6時前には終わったので,それから帰宅したら7時前だった。それなのに就職したばかりの姪はすでに帰っていて,さらに7時半には甥も帰ってきた。うちの社会人たち,帰宅早過ぎだろう。給料日なのに・・・給料日だから???
2016.04.25
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姉と千駄ヶ谷にお出かけをし,歩き疲れたので,お茶をすることにした。寄ったのは〈Laitier〉という小さな店で,フランス風ソフトクリームを売りにしているようだった。姉はマスカルポーネ風味のソフトクリームを選んだが,僕は冷たいものが苦手だ。するとガレットがあったので,それにした。ガレットは本来はそば粉のクレープだが,この店では玄米粉で作っている。カウンターから中が見えていて,くるりと回して焼いていた。ガレットには鳥の胸肉とほうれん草が入っていて,お茶というよりは食事風の内容だったけれど美味しかった。店員さんが1人でお店を回している状況だったので,ソフトクリームの行列を止めてしまって,微妙に視線が痛かった(笑)。Laitierとはフランス語で牛乳屋のことだ。店先,カウンター台,そしてカウンターの上部が,それぞれ牛乳が垂れている意匠でデザインされていて,あまりフランスらしくはなかったが,面白かった。小さい店なのにとても頑張っていると思った。
2016.04.24
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西澤保彦の〈腕貫探偵シリーズ〉の新作短編集を読んだ。○ストーリー夫の不在中にこっそりと男性と会っていた妻は,わざわざ結婚指輪を取りに帰宅した。そのために妻は姑と鉢合わせとなり,姑を殺害することになってしまった。事件のきっかけとなった結婚指輪の回収はなぜ必要だったのか?事件の真相は意外なところにあった!!-------------相変わらず西澤保彦の豪腕っぷりが発揮される作品だ。もともとミステリー作家の中でも,不可思議な状況をロジックで整理する,というタイプの作風だが,どんどん状況と感情のもつれ方が尋常ではなくなって来ている気がする。おかげで西澤保彦作品では,事件が解決しても,相談者や容疑者に日常が戻るということは少ない。読者視点では,”もつれた状況”の理由が解き明かされてスッキリとするのだが,下手をすると知りたくなかった事実を憑き付けられただけで終わる相談者たちにとっては,謎はそのままとしておいた方が良かったのかも知れない。そんなことさえ考えさせられてしまう,西澤保彦の作風だ。-------------このシリーズの探偵は,相談者の話を数十分聞いただけで,ずばり真相を解き明かすのが櫃洗市の市役所の〈一般苦情係〉の男性,通称〈腕貫探偵〉だ。早くも5作目?となるシリーズだが,探偵の素性は一切不明だ。市役所の職員で,それっぽい腕貫とメガネといういでたちで,市内の様々な場所に”相談窓口”として机と椅子を並べて待っているらしい。基本無表情,無口で,最低限の会話しかしない。それなのに,ちょっとしたヒントから真相を見抜いてしまう。人知を超えたような洞察力を持つキャラ。でもこれってある意味,名探偵の基本条件だよな。-------------この〈腕貫探偵シリーズ〉は;「腕貫探偵」「腕貫探偵 残業中」「必然という名の偶然」「モラトリアム・シアター produced by 腕貫探偵」「探偵が腕貫を外すとき 腕貫探偵、巡回中」「帰ってきた腕貫探偵」と,現状で6作目となっている。ただし「必然という名の偶然」と「モラトリアム・シアター」は番外編的な要素が強いので,〈腕貫探偵〉の聖典(笑)としては,まだ4作目と数えるべきなのだと思う。-------------各編について簡単に感想を述べる。「氷結のメロディ」:櫃洗大学の学生バンド〈ヒッツ・セイント〉のメンバーが1年の間に次々と墜落死を遂げる。これは何かの呪いなのか?最後に残った〈おれ〉・鳥遊葵は,仲間の後を追おうとする。だがその時・・・西澤保彦は西澤保彦だなあ,というのが最初の感想だ。まずは登場人物の名前が難解で奇妙,次に犯人となる人物の精神的な振れ幅が大きい,そしてロジックの積み上げによる驚異的なエンディング。ぶれない,というより,切れ味落ちないものだ。感心した。この短編は読後感も悪くないのがさらに良い。「毒薬の輪廻」:〈わたし〉・新田目ミエは,実母の入院先で,かつて婚約していた男性・粥川孝紀の母親・育子と再会する。だが2度目に会った時,育子はミエをナイフで殺害しようとする。それにはまた20年前の孝紀が毒入りワインで死んだ事件がからんでいた・・・さらなる西澤保彦の特徴・呆れるほど奔放な男女関係が2つ目の短編で重要な要素となる。閉口するほどドロドロな生活を描きつつも,それが遠い過去のこととして語られるので,なんとか我慢できる。だがそれがこの事件の動機となるのは,西澤ワールドの中だけだろう。「指輪もの騙り」:砦山サトシが仕事の旅行から戻ると,彼の新婚生活のマンションに,母親・トシコの刺殺死体があった。行方をくらましており容疑者となったサトシの妻・マサミは2日後,他殺死体で発見された。そしてマサミの指には無いはずの結婚指輪がはまっていた。迷宮入りとなった事件に,主人公たちが挑む。・・・やや日本の警察の捜査能力を過小評価しているように思えるが,なかなか面白いパズラー短編に仕上がっている。腕貫探偵登場せず?!(笑)「追憶」:1週間ほど前に死んだ〈わたし〉・越沼霞巳は,夜のアーケードに机と椅子を並べている櫃洗市一般苦情係の男に相談を始める。果たして50年前の東京で死んだベストセラー作家・越沼霞巳事件の真相は?そして〈わたし〉とはいったい誰なのか?・・・またまた性的に自由奔放な西澤ワールドの事件だ。それでも2つ目の短編とは異なり,憎悪の先に互いへの思いやりが残っているので救われている。
2016.04.23
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今週も頑張った,フムフム,といつも通り自己満足して帰宅したら,姉がテレビ朝日のミュージックステーションを観ている。理由を聞いたら,姪が映るかも知れないからだ。22日は欅坂46がミュージックステーションにライブ出演することが話題になっていた。4月から就職した姪は,欅坂のメンバーであるワケはなく,抽選で当たってMステの観客席に座っているだけだ。先週は握手会に並ぶほどのファンではあるけれど。そもそも彼女がどこに座っているかが分からないので,テレビ放映を観ている限りでは全く探しようがない。でも一緒に観ている気になって,久々にMステを観ていた。観終えた今では,欅坂とBaby Metalのパフォーマンスに圧倒されてしまった。どちらもきれいな少女が演じているのだけれど,(欅坂の歌はちょっとだったが)パフォーマーとしての実力は高いし,何よりも共通して必要以上に媚びない強い意志を表現していることに感銘を受けた。日本のアイドルがすごいのは,ガラパゴス進化をしたおかげで,オリジナリティを得ていることだよな。その中でも,様々な分化をしているけれど,今回の2組のツンツンした強気なスタンスは良いと思った。なんだこの日記(笑)。
2016.04.22
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若竹七海の最新作品である,この連作短編集を読んだ。○ストーリー長野県警から〈連携調整役〉として東京の警視庁に出向している御子柴刑事の悩みは,実際の調整業務よりも両方の組織のあらゆるレベルの人々からの甘味の調達の依頼が多過ぎることだった。だがそんな中でも事件は起き,困った御子柴はかつての上司の小林に相談をする。すると???-------------「暗い越流」と比べると,あるいはこれまでの若竹七海の作品と比べても,ライトにまとめられていて,ひじょうに読みやすかった。ある意味「毒気のない若竹七海作品」であり,これが読みたかった作品かと問われると,さすがに逡巡してしまう。「ライトに見えて,ブラック&ヘビー」が若竹七海作品の特徴だったので,それをすっかり打ち消した作品を読まされても,ほぼ全作読破しているファンとしては困ってしまう。「この作品の読後感は苦い」と繰り返してきた僕としては言い辛いが,「この作品の読後感は甘過ぎる」。作者の狙い通りかも知れないけれど。-------------冷静に考えてみれば,作家が作品を発表するかどうかも本人の判断なので,新作が刊行されないからと言って憤りを覚えるいわれはない。けれどもなんとなく,年に3作くらいは発表してくれると思ってしまうのは,勝手な気持ちなのかな?一時期は作品を多く発表していたのに,すっかりこの作者は寡作になってしまった。-------------各編について簡単に感想を述べる。「哀愁のくるみ餅事件」:上田市の郊外で車から身元不明の死体が発見された。その人物が東京都民だったため,長野県警から警視庁に出向していた御子柴が2つの組織の〈連絡調整役〉として刈りだされる。その人物はニートで,父親が行方不明になっていた。果たして彼が長野県に行った理由とは?・・・一見ほのぼのとした物語なのに,かなり現代的でビターなテーマで薄ら寒い気持ちになる。さすがは若竹七海だ。「根こそぎの酒饅頭事件」:小布施市の農家で土蔵破りがあった。その犯人は東京調布の便利屋だったらしい。便利屋の店に乗り込んだ御子柴たちは,犯人を確保するが,そこには不審な点があり・・・面白そうな設定なのに空振り感が強い。なんだか不自然に複雑にしていて,うまくまとめられなかった印象だ。「不審なプリン事件」:殺人事件の容疑者は7年間逃亡生活を送っている。だが彼の娘の結婚式が軽井沢であり,そこに容疑者が現れる可能性は高い。警視庁と長野県警は軽井沢の教会を見張るが,事件の真相は?・・・かなりコミカルな短編で読みやすい。女性は強いなあ。「忘れじの信州味噌ピッツァ事件」:調布で記憶喪失の男が保護される。彼の妻として名乗り出たのは,駒ヶ根市のペンションのオーナー,そして新宿の店のオーナーだった。逃亡してしまった男はやがて・・・これまたコミカルな短編で,女性たちが強い強い。最後は以外と大きな事件へとつながった。「謀略のあめせんべい事件」:長野の宗教団体で拉致監禁・暴行致死事件が発生した。どうやらこの団体は東京の暴力団に乗っ取られていて,悪質な行動が多発していた。この事件の真相を知る男は,暴力団に狙われたために,秩父の山中に逃げてしまう。彼を保護するために,警視庁と長野県警は山狩りを行うが・・・これまでと雰囲気が異なり,御子柴も真剣に自分と向き合っている。東京での上司も身体を張って彼を守ってくれる。せっかくの良い展開なのだけれど,またまた事件を無駄に多重構造にしていて,スッキリ感が台無しとなっている。-------------「暗い越流」でも語られていたが,作家としての若竹七海は半分引退状態であるようだ。この作品も刊行は2014年6月とほとんど2年経っていて,それ以降新作は途絶えている。ファンとしてはひじょうに残念だ。がんばれ若竹七海!!
2016.04.21
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僕は朝起きるとテレビを点けてニュースを見る。この時間帯のニュース番組は,トップニュース,天候,交通について,短いサイクルで情報をくれる日本テレビを視聴している。だからマスコミの報道の有益性は理解しているつもりだ。日常的に最新情報を伝えてもらってありがたいと思っている。けれども今回の熊本震災に関しては,テレビ局をメインとしたマスコミの人々の横暴が目立つ。目立つと言っても,こうした情報はネットでしか流れないので,僕の親とかは全く知らないのだろうけれど。ネットベースの情報なので,真偽が分からないものもあるが; 徹夜でガソリンスタンドの給油の列に割り込んだ関西テレビの中継車 補給物資の中継場所に車あるいは人を置いて邪魔をするテレビスタッフ 被災者のための食料をもらって食べる記者,被災者のための椅子を利用して記事を作成する記者 夜間休んでいる被災者を撮影のために照明で照らすテレビスタッフというのが挙げられている。思想的に偏向したものばかりを流すというマスコミも問題だが,今回の問題は,ハゲタカ的に現地に乗り込んで,”マスコミ様王族特権”を振りかざした行動が目立つことだろう。平均年収何千万円の人々が経営している企業では,その末端,子会社,協力会社まで完全に人としての気持ちが麻痺してしまって,大災害であっても,ニュースバラエティーのネタとしか思っていないのが見えてきて腹が立つ。
2016.04.20
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週末のおでかけの筋肉痛が出るだろうから,ということで,月曜日は朝から作業服を着て,事務所の引越し準備をしていた。デスクの電話を集め,デスクパネルを外し,不要になった配線を抜き取り,電源のタップと通信のモジュラーローゼットは床開口まで戻しておく。あちこちで予想外のことが起きるので,1日かかったけれど,完全には終わらなかった。もうその晩から全身が悲鳴を上げていた。火曜日の午前中は設計打合せなのだけれど,途中で身体が痛くなる。午後も,予算と実行の比較を計算していたが,もうばったり床に寝て休みたくなる。まあ,でも翌日に筋肉痛が出るなんて,僕らの年令ならば喜ぶべき症状なんだろう。うれしい???
2016.04.19
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幼稚園に勤める熱血保育士を主人公にした中山七里の連作短編集を読んだ。○ストーリー平等を理由に,全員が均等にセリフを語るだけの『白雪姫』。その不自然さを指摘した凛は,結局自分で新しい脚本を書くことになる。果たしてうるさい保護者会が見守る中,お遊戯会での『白雪姫』の出来上がりは?------------中山七里の単行本ならば,きっと楽しめるミステリーだろうと,何の下調べもなく借り出したのがこの作品だ。だが読み始めて驚いた。主人公は新米の保育士の女性・喜多嶋凛,舞台は埼玉県秩父市のベッドタウンにある神室幼稚園。並外れて主張が強いモンスターペアレントばかりの保護者たち,頼りない園長の間に挟まって,新米で年少組新担任の主人公が,周りと軋轢を起こしつつも少しずつ園の姿を変えていく物語だ。このままお仕事アドベンチャー物語が続くのかと思いきや,後半は全く違う展開を見せる。------------主人公・凛が就職していきなり任されたのは年少組だ。3才児と考えると,2才児の不思議なこだわりワールドからは卒業している子もいれば,動物のままのような子までいろいろだと思う。残念ながら,この作品に登場するのは,『クレヨンしんちゃん』や『名探偵コナン』に登場するような,大人から見て分かりやすい,あるいは都合が良い子供たちばかりだ。ここの部分の物語に厚みが欠けているし,20人いるはずの凛のクラスの子供たちから,5人くらいが繰り返し登場するだけだ。あまり正面切って幼稚園問題と取り組もうとは思っていないのが感じられる。------------この作品は中島みゆきの『ファイト!』にインスパイアされたとのことだ。一番有名なのは『ファイト!闘う君のことを,闘わない奴らが笑うだろう』というフレーズだろう。中島みゆきの歌詞は,闘い続ける人,努力し続ける人を礼賛しているのだが,この作品の主人公はちょっと違う人のようだ。前半と後半のギャップもあり,主人公が前半で行っていた努力は,後半では維持されていないようにも感じられる。この作品は,ほのぼの系でも良かったんじゃないのかな?消去法で考えれば,犯人はあの人しかいないので,意外性は全く感じられなかった。いつもの作品をまたいだリンクは,音大でオーボエを吹いていた神尾舞子と埼玉県警の渡瀬刑事に任せられている。------------各編に着いて簡単に感想を述べる。「一. 闘いの出場通知を抱きしめて」:新任の凛が知ったのは,神室幼稚園では保護者会の意見は絶対ということだった。様々なトラブルを経て,凛がたどり着いた境地とは?・・・新卒新任がいきなり年少の担任ということもあり得ないが,子供たちの物分りの良さに驚いてしまう。「二. こぶしの中 爪が突き刺さる」:お遊戯会の平等を前面に出した劇に反対した凛は,新しい脚本を書くことになる。果たして凛の『白雪姫』は?・・・おそらく一番バランスの取れた短編だ。凛の『白雪姫』が本当に優れているかどうかは疑問だが,主人公が複数いる現代の子供たちの劇には大いに疑問だから。「三. 勝つか負けるか それはわからない」:凛のクラスの子供が2人,続けて野犬に咬まれた。だがその真相は?・・・真相にぽかーんだ。これは意表をつかれた。脱帽はしないけれど。園児たちが仲良くて何よりだ。「四. 私の敵は私です」:新年度の保護者への説明会の場で,ある人物の過去が暴かれる。幼稚園は騒然とするが・・・いきなり前半とは異なるプロットで後半が始まる。意図的なんだろうけれど,ひじょうにイライラさせられる短編だ。「五. 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ」:15年前の事件の真相は?行方不明になった担任の生徒を求めて,凛が到達した場所とは?・・・事件の結末は明らか過ぎて語る気にもならない。埼玉県警の渡瀬刑事が登場だ。
2016.04.18
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友人たちと「のぼうの城」の現地を訪問して来た。高崎線行田駅で待ち合わせをして,東口の観光案内所で自転車を借り出した。------------まずは中山道沿いに東南へ走り,〈仙道〉という食堂で,焼そばと〈フライ〉を食べる。〈フライ〉あるいは〈行田フライ〉とは,薄っぺらお好み焼きで,チヂミのような食感のものだった。味は・・・ソース味。------------そこから少し北に方向を変えながら進んで着いたのが〈石田堤跡地〉だ。石田三成が〈忍城(おしじょう)〉を水攻めにするために構築した土手の遺構で,全長30キロ近くあるという。大事業だ。またいくら広大な平地だとは言え〈忍城〉から10キロ近く離れたところに構築しているのに驚いた。スケール大き過ぎだよ。------------さてさきたま緑道という快適なサイクリングロードを利用し,〈さきたま古墳公園〉に到着した。博物館に入る手前から,惜しげもなく前方後円墳が2,3個並んでいる。僕自身は大阪や九州の古墳に行っているけれど,初めて古墳を訪ねる人は,このあっけなさに驚くと思う。博物館は入場料が200円なのに,大量に国宝が展示されていて衝撃を受けた。とは言え,目玉は金で文字が象嵌されている〈金錯銘鉄剣〉だろう。ぼろぼろに錆びているのに,金の文字だけは今でもくっきりと読める。歴史の不思議だなあ。〈古墳公園〉は広大なので,その中から〈丸墓山古墳〉だけは登った。石田三成もここに陣を構えたと言われていて,今でもここから〈忍城〉を望むことが出来る。でも遠い。------------いよいよ行田市の中央に移動し,かつての〈忍城〉の場所に建てられている〈行田市郷土資料館〉に行った。ここも入場料200円なのに,展示は充実しているし,再建されたやぐらに登ることも出来る。〈浮き城・忍城〉はほとんど残っていないけれど,一所懸命に模型などでそれを再現しようとしていて好感を持てた。〈忍城〉そのものは残念な結果になってしまったけれど,石田三成の軍師としてのダメさ加減は浮き彫りに出来たので,歴史には大きな意義があったのだと思う。------------お城からほど近い食堂〈たかお〉で,〈ゼリーフライ〉を食べた。謎の駄菓子だと思っていたが,これは〈銭フライ〉がなまったらしく,コロッケの素揚げのようなものだった。小皿に2枚で200円と安く,昔は足袋工場の女工さんたちのおやつだったらしい。僕らはビールを飲みながらいただいた。これは美味しかった。------------1日の行田市めぐりは,行田駅から始まり,行田市駅で終わった。なかなかの強行軍だけど,それだけ見所があったということだ。楽しめた。
2016.04.17
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友人と埼玉県の〈暑い町〉熊谷で飲んだ。帰りの新幹線を気にしながらゆるゆると飲み始めたが,スイッチが入ってしまうと止まらなくなり,なんだかんだで3時間近く飲んでいた。とは言え,単価は低い普通の居酒屋なので,請求はそれほど行かないだろうと思っていた。ただし,レジでぽちぽちと電卓を叩いているのを見てしまって不安になった。そう言えば,注文の際に携帯端末に入力するのでも,複写式用紙に追記するのでもなく,その都度メモ紙に書いていた。オーダーの間違いも多かったしなあ,と思ってしばらくすると,「21,000円です」と,その金額だけを書いた紙を出してくる。「内容明細をください」と突っ返すと,また電卓を叩き出す。その感に友人が検算をして,「おおよそ15,000円じゃないかな?」と耳打ちしてきた。3人だったので,僕もそんなものだと思う。すると店員が,「すみません,1万円間違えてました。11,000円でーす」と言ってくるので,それで支払い,念のため領収書をもらっておいた。たぶん,21,000円でも11,000円でもないけれど,ほんとにいい加減な店だった。トラブルも多そうだなあ。
2016.04.16
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鯨統一郎のあの主人公が帰ってきた。シリーズ再開ということだろうか?○ストーリー江古田の商店街で話題になっているのは,盗難事件への対策だった。商店街に2人の営業ウーマンが現れ,1人は損害保険の,もう1人は防犯カメラの契約を次々と成立させる。しっかりとしてハキハキした一丁田めぐみ,口下手だが熱意がある福本愛。いっそ喫茶店に商店主たちを呼び,その前で2人がそれぞれの商品をアピールする営業対決を行ってはどうか?この企画に対して,2人が取った行動の意味とは?--------------頼りなく見えるが,優秀なサイコセラピストという設定の波田を主人公にした〈なみだ事件簿シリーズ〉が,だいぶ設定を変更して再開だ。この作品は6つの日常ミステリーの連作短編集となっている。新しい舞台は江古田商店街にある日本茶専門の喫茶店〈ひとつぶの涙〉だ。主人公はこの喫茶店のアルバイト店員で,彼の目を通して,客たちが持ち込む様々な相談事を解決する不思議な女性・ママが描かれる。あちらはだいぶ不自然な設定が目立ってしまったが,今度の舞台は謎解きのスケールも小さいし,店の客の相談に乗るというパターンも普通で,シリーズリセットとしては,ひじょうに上手く行っている印象を持った。あまりオフザケに走らないで,このまま続けてもらいたいものだ。--------------海江田真央,峰俊哉,下村奈緒など,鯨統一郎の別の作品からのゲスト出演も多いのも楽しめる。マンガのような表紙イラストも良いが,お茶と和菓子が並べられた中心のお盆が明らかにパースが合っておらず,今にも滑り落ちそうで心配になった。--------------各編について簡単に感想を述べる。「星影のワルツ」:希衣子は,付きあっているケンゴが父親と和解することを望んでいた。だがすべて準備をしたのに,ケンゴは父親の家に寄らずに海外へと旅立ってしまう。彼との別れを考えている希衣子に,〈ひとつぶの涙〉のママが告げたこととは?・・・そもそもこの女性はなぜ青年と父親の仲を取り持とうとしているのか?それが絶対的に正しいこととして行動する人々がちょっと不気味だ。謎解きはひじょうに単純。「子犬のワルツ」:大学の映画研究会の新人・曽我は,2年生で今回の作品の主演女優のみつきにあこがれていた。今回撮影中の作品がホラー映画であるためか,不思議な現象が連発し,メンバーたちは動揺する。説明を聞いた〈ひとつぶつの涙〉のママが見抜いたこととは?・・・話の流れが不自然で,入って行きづらい。ミステリー要素も薄いし,女は傲慢だし,作品として失敗では?「乙女のワルツ」:江古田の商店街に,損害保険を勧める一丁田めぐみ,そして防犯カメラを勧める福本愛の2人の営業ウーマンが現れる。長い髪でテキパキとしためぐみ,メガネで不器用だが熱心な愛,2人の営業対決を提案した〈ひとつぶの涙〉のママだが,それは断られてしまう。その裏に隠された事情とは?・・・いかにもミステリー的な展開で,この短編は意表をつかれた。きちんと伏線も張られていたし,良い作品だと思う。「うぬぼれワルツ」:〈モリノ電気〉の美人の妻が,男のアパートに入って行った。妻と男との複数回の目撃情報を知り,夫の守野保は彼女の浮気を疑い悩む。彼から事情を聞いた〈ひとつぶの涙〉のママが取った行動とは?・・・あまりにも露骨にクロな状況なので,逆に安心してしまうのだけれど,疑われてしまうような行動を取る妻は本当に軽率で迷惑だと思う。男が立ち直るとも思えないし。「スケーターズ・ワルツ」:佐山れいなは,大学の講師・田山に交際を申し込まれた。美人のれいなと普通以下の田山とでは,一見不釣合いに思えた2人だが,2人の趣味と価値観は一致し,れいなは男と付き合うことにする。話を聞いた〈ひとつぶの涙〉のママが出した結論とは?・・・珍しく話を聞いただけでは足りず,店員が探偵じみたことをすることになる。それにより正しい結果が出てきて,ハッピーエンドで良かった。珍しくダークな展開になりかけていたなあ。「別れのワルツ」:公民館でBS放送を観ようとしていた老女・林田美津子のことを,友人だったはずの絹澤かつらが邪魔をする。かつらの嫌がらせのような一連行動の原因は,認知症か,それとも妬みなのか?〈ひとつぶの涙〉のママがくれたアドバイスとは?・・・なかなか難しい問題に切り込んできた。現実的には困難な解決方法だと思うなあ。
2016.04.15
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九州で地震があり情報が流れてくる。報道は胸を潰されるような気持ちになるものが多く。5年前を思い出す。僕は1年足らずとは言え福岡に住んでいて,全域に出張を繰り返していたので,多くの場所に思い出がある。熊本は高速道路を使えば福岡からもすぐに行けるので何回も行った。インターチェンジを降りて,57号線を何回も信号につかまり,左手に水前寺公園を見ながら市内中心部へと向かったものだ。当時世話になった人に電話やメールを送っているけれど,返事がない。心配だ。
2016.04.14
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新施設の本業への引継ぎは終了した。・・・いくつか問題は残っているのだが,僕としては旧施設の設備撤去,設備更新の方に気持ちは切り替わっている。1ヶ月前に本業が移転して行った施設で,かなりきれいにしていってくれて感心した。けれども15年間使用した施設なので,ある程度の作業を行わないと取り外し撤去が出来ないものも存在する。もちろん本当のプロが行わないと手も足も出ないものもあるが,素人が時間をかけて頑張ればなんとかなるものもある。今日は朝から作業着で,いくつかの機器の撤去にチャレンジをした。1個目,ダメ。通常のドライバー,レンチ,六角とは異なる特殊工具がないと取り外しが出来ない。2個目,重かったけれど成功。ホコリだらけだったので,雑巾で拭きつつ移動。3個目,大きい割りに重くなくて成功。垂直に設置されていたので,ホコリも少ない。この後,細かい配線関係を大量に撤去。午後になり4個目,手馴れてきて簡単に成功。ただしタッピングビスは大量に打ってあって,ドライバー1本なので手が疲れた。-------------明日はあちこち痛いんだろうけれど,満足だ。
2016.04.13
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連続ドラマも放映された有栖川有栖の〈火村英生シリーズ〉の最新長編を読んだ。○ストーリー大阪の中心・中之島の小さなホテルに5年間滞在していた男・梨田が死んだ。県警の調査により,死因は自殺として片付けられたが,ホテルのオーナー,そして親しくしていた作家はそれに疑問を持ち,犯罪学者・火村&推理小説作家・有栖川のコンビに事件の調査を依頼する。入学試験関連の業務で時間が空かない火村を待ちながら,有栖川は単身ホテルに泊り込み,梨田についての調査を始める。遅々として進まない調査の果てに見えてきたこととは?-------------有栖川有栖については批判も賞賛も述べてきたと思う。とは言え,この作家が日本の本格ミステリーの旗手として,名実ともに活躍して来たことは間違いないし評価している。これも以前述べたことだが,有栖川有栖の作品には品格がある。大阪人らしい,不思議な脱力系に逃げたこともまれにあったが,雰囲気,ホラー,サイコに逃げないで,また派手な演出は一切しないで,本格ミステリーを長年発表し続けている。小説は読むが,作家には興味のない僕としても,この人がいい人で人望がある,と言われると納得してしまう。-------------さてこの作品は,〈火村英生シリーズ〉の久々の長編なのに,火村がきちんと現場に入るのは,全9章のうち,第7章になってからだ。その代わりにアリスこと有栖川が調査を続け,地道だがきちんと〈鍵の掛かった男〉梨田の過去に迫って行く。ここから分かるように,この作品は2つの特徴がある。 -警察から依頼されて火村が事件に関わることがシリーズのパターンだったのに,個人から依頼され,警察の決定を覆す方向に捜査を進めること。 -火村が捜査を行い,アリスがそれを記録する,という関係だったのに,アリスが調査を行い,火村がそれを検証する,と比重が変わったこと。残念ながら,アリス1人で事件解決とはならず,火村が乗り込んでから,いくつもの発見があり,一気に物語は結末へと向かう。この展開には読者の多くは複雑な感情を抱くと思う。一方で,我々に身近なアリスがさらなる発見をすることを願い,シリーズ読者としては火村の大活躍を願っている。とは言え,バランスの取れた2人の活躍が楽しめる良い作品に仕上がっていると思った。-------------シリーズ読者へのサービス的要素として,第2の〈鍵の掛かった男〉として,火村英生が何回か話題に上る。女性に対して冷淡な態度なのに,「ミステリアス」と受け取られるという典型的な男の敵だが,少しは過去を穿鑿されて慌てればいいのに・・・って,完全にイケメンへの嫉妬だね。酔ったイキオイで,火村の過去を探ると宣言する有栖川だが,実際は2人の友情を保つためにはそんなことはしてはいけないと理解している。なにしろ”品格の有栖川有栖”だから。火村自身のミステリーは永遠に謎のままで良いような気がする。-------------さてぽっかりと空いた穴のような謎の男・梨田とは別に,この作品のもう1つの大きなカラーは,大阪の中之島という土地だ。物語の舞台となる〈銀星ホテル〉はここの中央付近にあり,最終的にはアリスも火村もこのホテルに泊まり,〈島民〉としての生活を送る。リゾートホテルでも,乗り合わせた豪華客船や寝台列車でもないが,大都会の真ん中の島にあるホテルって,それだけでも旅情を掻き立てられるし,この作品ではさらに魅力的な場所として〈銀星ホテル〉は描かれている。-------------長逗留をしていた謎の男と,彼を失った後のホテル,それを巡る物語として,ゆっくりと味わいのある物語を堪能できた。〈火村シリーズ〉あるいは〈作家アリスシリーズ〉としては,ベストな作品かも知れない。典型的なミステリーとは違うけれども,大人のミステリーとしてオススメだ。
2016.04.12
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春らしい気候を満喫した週末だったが,いきなり週明けから寒の戻りとなった。今週からはジャケットだけかな,と思っていたのに,春コートで出勤。それも帰りには寒いと思うほどの風と気温だった。明日はもっと寒いらしいし,その後もぐずぐずした天気が続くので,今週はまだコートを手放すことは難しそうだ。春休みが理由でネズミの国行きの中高生でずっと混んでいた早朝の電車も,先週の水曜日以降はパタッと空くようになっている。皆さん,新学期なんだろう。代わりに4月からは,現代の若者らしくお互いにもたもたと顔色を見て,行動が遅い新入社員さんが帰りの電車に現れて混乱を招いている。まあ,これも季節の風物詩なんだろうなあ。
2016.04.11
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4月から始まったサスペンス作品を観た。○ストーリー日ノ本の国は,不死の化物〈カバネ〉がはびこり,人々は〈駅〉と呼ばれる城砦に籠もり,その間を装甲蒸気機関車が行き交っていた。そんな〈駅〉の1つで暮らす青年・生駒は,平民なのに自分が開発した〈ツラヌキ筒〉で〈カバネ〉を倒すことを目指していた。その計画を実行に移す日は突然訪れた。〈カバネ〉に乗っ取られた機関車が,〈駅〉に突入したのだった。〈カバネ〉に蹂躙され城砦は崩壊するが,その中で人々は?そして生駒は?--------------ちょっとした予告映像から,濃厚な世界観が伝わってきて,てっきり小説やマンガに原作があるものだと思っていたが,これはオリジナル作品らしい。驚いた。ゾンビによって崩壊した世界を舞台にしているのだが,さらにそこはパラレルな幕末で蒸気機関が突出して発達した,というスチームパンクな江戸ワールドだ。あちこちで見たような設定が多いけれども,この設定の融合だけでもワクワクさせてくれる。--------------物語は疾走する〈甲鉄城〉で始まり,主人公・生駒が暮らす城砦が〈カバネ〉に襲われるところで終わる。ロボットアニメのように性急な展開で,最近の作品の第1話としては盛り込み過ぎという気がした。小学生に分かるようなバカ丁寧な物語展開は不要だとは思うけれど,日常生活と大きく異なる世界なのだから,まずはそこをきっちりと描いても良かったと思う。主人公でなくてもここの住人は〈カバネ〉に親戚知人を奪われたことがあるではないか?主人公たち鍛冶職人の身分はどれくらいなのか?どうして主人公は職場から遠い一軒家で暮らしているのか?動物はどうなっているのか?石炭の採掘はどこで行っているのか?・・・気になることは実に多い。--------------と,不満はいろいろあるが,それをねじ伏せるチカラのある映像で圧倒された。「え?これって映画で公開されたのを再構成したの?」と思うほどの高品質で,毎週放映の作品としては観たことがないレベルだった。これに近いレベルが続いたら,もう異次元の世界だろう。それ位驚いた。--------------謎だらけ,不安だらけ,そして期待だらけだが,とても楽しみな作品だ。
2016.04.10
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小路幸也の〈東京バンドワゴン・シリーズ〉の第6巻を読んだ。○ストーリー古書店を舞台にしたミステリーの映画の撮影に〈東京バンドワゴン〉が使用されることになった。しかもその監督は,我那人や青の知人で,青を準主役に使いたいとのことだった。堀田家は一時的に隣のアパートへと引越しを行い,映画の撮影が始まったのだが,そこで?!!-------------堀田家の2人の曾孫・かんなと鈴花が2才になる。産まれた日まで同じで,まるで双子のように育っている2人だが,徐々に性格や見た目の差が出てきて面白い。・・・という親戚のおじちゃん的視点も楽しめる〈東京バンドワゴン・シリーズ〉の第6巻だ。-------------前巻と異なり,歴史秘話要素はほとんどない。伝説のロッカーがジイチャンがいるのはかなり特殊だけれど,大家族ドラマとしてシンプルに楽しめる。この程度のバランスの方が良いなあ。ただしこの巻のミステリー要素は,薄味だ。巻を重ねて人間ドラマパートだけで十分お腹いっぱいになれるという状況で,やや無理やり押し込みましたという印象のミステリーを入れられてしまうと,その粗が気になってしまう。日常ミステリーはもう要らないのかも?・・・4つの短編を通じた連鎖ミステリーとかだったら読みたいけれどね。-------------ジイチャン・ロッカー・我那人のワールド・ツアーへの参加で,堀田家の財政は救われたと思っていたんだけれど,まだまだギリギリみたいだ。紺がエッセイを書いても,藍子が絵を描いても,青が映画に出演しても赤字だった家計を救ったのは,スーパー○○○の?????だった!!!もう主人公だね。(笑)-------------各編について簡単に感想を述べる。「春・林檎可愛やすっぱいか」:中学生に進んだ研人は,従姉の花陽を待たずに誰よりも早く登校する。楽しく中学生活を送っていたはずの彼が,小学生からの友人・光輝とケンカをして泣かせてしまったという連絡が来る。その晩,光輝の両親が,〈東京バンドワゴン〉を訪れるが,光輝の父親が言ったことは?・・・前巻の終わりから,急に研人が輝きだした。モテモテだし。林檎のミステリー部分はガッカリ感が強いが,研人パートはなかなか読ませる。「夏・歌は世につれどうにかなるさ」:花陽の学費を捻出するために,青は旅行添乗員に復職することを提案していた。その矢先に,古書店を舞台にした映画のロケハンに来ていた知人の監督から,青はその映画の準主役へと抜擢される。しかも撮影には〈東京バンドワゴン〉を使いたいとのこと。話は順調にまとまり,花陽の学費問題は解決したかに思えたが・・・うーん,映画製作の人々って,そんなに乱暴なのだろうか?事前にいろいろ打合せ済みだと思ったのに。驚くほど盛り沢山の短編だ。スーパー中学生・研人,またも輝く!!「秋・振り向けば男心に秋の空」:2人の曾孫・かんなと鈴花の2才の記念に,堀田家は珍しく一家で温泉旅行に出かけることにする。ただし〈東京バンドワゴン〉は閉めずに,常連たちがウキウキと店番をすることになる。だが,そこに怪しげな男たちが大量の古書の買い取りを依頼しに来て・・・お客が店を任されるなんて,驚きの交代劇だが,常連たちは本当にうれしそうにしていて微笑ましい。ちょっと羨ましいなあ。怪しい男たちの正体は○○○の○○。2重のどんでん返しがこのシリーズらしい。「冬・オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ」:常連の藤島が堀田家の隣に引っ越してきた。朝や週末に,よく花陽と堀田家の犬の散歩をしてくれる藤島だが,彼をストーキングしている男女がいた。その驚きの正体とは?そしてついに堀田の家からある人がいなくなる・・・堀田家のお庭番(笑)・木島記者登場。このミステリー部分は,不自然でさすがに無理があった。永遠のお別れにシーンにはぐっと来てしまった。上手いなあ。新しい生命の話題で次への希望を語って終わり。これも上手い。
2016.04.09
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たまたま姉と下の姪がニューバランスのウォーキングシューズを買っていた。姪は160センチを超えようとしていて,足のサイズが25センチある。試しに履かせてもらったら,なかなかフィットする。「貸して,いや,ちょうだい」と言ったら,「ダメ,絶対」と全力で拒否された。今月は週末に2回お出かけを予定しているので,ちゃんとしたウォーキングシューズが欲しかったのだ。仕方が無いので,隣の街に行って,A○Cマートに入った。ブランドをニューバランスに決めていると,選ぶのも楽。けれどもどうせなら通勤にも使える地味に黒いモデルを買うことにした。なにしろ年令とともに関節が弱ってきているのか,ホーキンスの靴を履いていても,ヒザが少し痛くなる。せっかく自由な空気の会社なので,健康のためにもこれで出社させてもらおう。思い付きだけど,ついでに朝顔,ヒマワリ,ゴーヤの種も買った。春だね。
2016.04.08
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江戸ファンタジー小説〈しゃばけシリーズ〉の第5巻を読んだ。○ストーリー身体の弱い長崎屋の跡取りの若だんな,一太郎をなんとか人並みの健康にするために,両親は若だんなを箱根へ湯治に行かせる。誰もがガチガチに守られた旅だと思っていたそこで,若だんなは人さらい,天狗,そして山の神に襲われる。果たして,ひ弱な若だんなは,生き残れるのか?-----------第1巻は長編だったものの,それ以来3巻連作短編集が続いていた。久々に長編で,しかも箱根への旅行を語る作品ということで,旅路姿の主人公たちも勇ましく,ひじょうに期待していた。けれども残念ながら物語は,ぶすぶすと不完全燃焼な流れへ進んでしまう。それはなぜだろうか?-----------若だんな一行は,若だんな本人,仁吉と佐助の2人の保護者,腹違いの兄・松之助,の4人だ。たかが箱根への旅なのに,小田原まで船で移動してしまう。この時点で,既に旅物語ではない。しかも小田原に着いた時に,いつもの仁吉と佐助はいなくなっている。通常の旅をすっ飛ばして,最初が特殊な状況,というのは物語の導入として下手だ。長崎屋の離れで療養しているのが若だんなの通常の姿だ。それが普通の人と同じ旅をしているだけで,特別なイベントで楽しいことだろう。そこがすべて省略されて,慣れない旅先で仲間とはぐれてしまう,という状況からスタートしてしまう。これはいつものシリーズから,何ステップも遠ざかり過ぎている。とにかくまずは普通の旅物語が描かれるのを期待していたので,それが無いのが残念だった。-----------箱根へと向かった若だんなは,人さらい,天狗の襲撃,地元の人々の襲撃と,矢継ぎ早にトラブルに巻き込まれる。人さらい,天狗,地元の人々,それぞれの理由で若だんなを狙うのだけれど,どうもそれが不自然だ。この時代とは言え,それだけの理由で徒党を組んで襲撃をする???別の解決方法は無かったのだろうか?話の展開が強引な気がしてしまって,読んでいて「ちょっと待って!」と言いたくなる。今回,怪しい雲助が登場するのだけれど,最後で解説された彼の過去という説明には呆れた。そんなにまで多方面に都合が良いキャラクターが存在するはずが無かろうが!!!この存在がこの作品を象徴しているかも知れない。-----------この作品で登場する比女というキャラクターは,若だんなと対比させられる。彼女の成長物語がこの作品のサブテーマかも知れない。が,ほんの少しの特殊な能力と引替えに病気がちな毎日を送る若だんなと比べて,比女が出来ていることはとても限定的だ。そもそも彼女の幼稚な精神が,この作品の多くのトラブルの要因となっている。若だんなは18才,比女は○○才。いい加減に成長しようよ。-----------この作品が,〈しゃばけ〉の世界の中で,ジェットコースター冒険物語として成立しているのは理解する。けれども江戸の大店で大人しく暮らしていても病気になる若だんなだったら,普通の旅路であっても大冒険だったはずだ。それをすっ飛ばして,いきなりレベルを5つくらい上げた冒険で,それでも若だんながなんとかなっている姿を描写されても,これまでの読者としては戸惑ってしまう部分がある。普通の旅路での小さな逸話の方が,かえって十分堪能できた気がする。まるで他の作品のプロットを持ってきて,このシリーズに無理やりつなげたような不自然さがあって不満が残ってしまった。残念。
2016.04.07
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家から駅に向かって歩いて数分の最初の交差点で,3月に入ってから工事を行っている。専門用語を交えながら言えば,縁石から歩道部分の敷石更新,交差点から100m程度の表層再舗装,その他関連工事,と言ったところだろうが,これが実に荒っぽかった。------------何よりも交差点なので歩行者が行き交うワケだが,その誘導や養生がおざなり。夜間工事メインで日中は誰もいないのに,歩行面の養生がベニヤ板を置いただけ。風が吹いて飛んだり,雨が降って滑ったりしたらどうするんだろう?車道と歩道を区切る縁石の敷設が,実は一番大事な部分なのだけれど,既存ギリギリでロードカッターを入れて,それをやり直しているだけ。当然変な隙間が出るのだけれど,モルタルを埋めただけ。どうやら植栽は工事範囲外なのだけれど,これだけ周囲の縁石に手を加えていれば,影響が出てくる。地盤ごと植栽が浮いていたり,縁石と隙間が空いていたりしても,気にしないで放置。いかにも年度末に合わせられる,という条件だけで発注された品質の悪い工事だ。------------プライドや誠意が少しも感じられない工事を見るのはイヤだ。どうしてもそっち系が分かるエンジニアとして,許せない気持ちが前面に出てしまう。いきおい通常の経路である駅の西口を使わずに,中央口を使うようになった。中央口を目指すと,街で有名な桜並木を通ることになる。基本,朝も夕もそこを歩いているので,例年になく桜の保全状況(?)をずっと監視している。普通の言葉で言えば,毎日桜を満喫している。明日の風と雨でいよいよ散ってしまうかな?どこかの会社の最低な工事のおかげで,今年の桜は楽しんでいる。
2016.04.06
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品格の高い日常ミステリーを発表し続けている北村薫の新作の連作短編集を読んだ。○ストーリー美希が勤めている出版社のミステリー新人賞で,「夢の風車」という作品が一次選考に残った。だが彼女が応募者に連絡をしたところ,「今年は応募していない,一昨年には送った」という怪訝な返事だった。大賞を取りそうなこの作品の行方はどうなるのか?-------------北村薫は〈ベッキーさんシリーズ〉の「鷺と雪」で直木賞を受賞した。けれども僕らにとっては圧倒的に〈円紫さんシリーズ〉の印象が深い。この作品はシリーズ化されるのかも知れないが,大枠の部分では〈円紫〉に近い味わいだ。若い女性が日常の謎を物知りの男性に解いてもらう,という枠組みでは同一だ。けれども2人の関係が同門の未婚の男女というのと,親子というのでは,全く緊張感が異なる。表紙イラストの益田ミリは好きなマンガ家だが,この作品のゆるい感じが体現出来ていて適任だったと思う。〈お父さん〉が北村薫本人によく似ているのはご愛嬌だろう。かつて,北村薫が若い女性ではないかと噂されていた〈円紫〉の頃から考えると,苦笑してしまうポイントだろうけれど。-------------さて〈円紫〉からリセットして,お気楽な日常ミステリーが展開されるかと思いきや,そこは北村薫,どうしても品格の高い方へと行ってしまう。この連作短編集でも,いくつかはあまりにもブンガク的過ぎて,ミステリー作品の議題ではない気がした。NHKの番組で取り上げる分には良いと思うけれど,日常ミステリーにしては敷居が高過ぎなレベルが混ざっている。中野のお父さんの設定は,高校の国語の教師なのだけれど,ある分野の研究者じゃないの,という知識をいくつも持っているのが,やはりリアリティを薄めているし,短編同士のバランスを乱しているように感じた。-------------ついでに意地悪っぽいことを言えば,大手出版社の正社員というのは,学歴・知識を含めて狭い門を通り抜けた人だけがなれる。だからこの作品に登場する,のんびりした様に見える人々は,間違いなくその競争をくぐり抜けてきた圧倒的な勝者だ。全員,国立旧帝大,早稲田,慶応出身の,その中でもトップの頭脳の人々だろう。そうした実情を知ってしまうと,主人公・美希の日常も,「甘えるな,給料分働け」とか思ってしまう僕は,本当に心が狭い。-------------各編について簡単に感想を述べる。「夢の風車」:〈文宝推理新人賞〉の最終選考に残った作品『夢の風車』は素晴らしい作品だった。けれども応募者に連絡をしても「今年は応募していない,一昨年に送った」という返事だった。この謎は?・・・主人公と〈中野の父〉との関係と,この応募者の家庭事情,さらに作者自身も重なってしまう。謎解きとしては分かりやすく,印象に残る。最初の短編だけれど,傑作だと思う。「幻の追伸」:主人公は神田の古本街で,作家同士の書簡を見せられ困惑する。師弟関係にあったと思われる男女は,もっと違う関係だったのか?・・・この短編も親しみやすかった。僕もいろいろ解読を試したけれど,○○○だったとは!「鏡の世界」:イラストも描く作家の未発表の作品が見つかった。その資料を見た父親は,それが左右逆転しているのではないか?と言い出した。・・・うーん,説得力がビミョー。「闇の吉原」:人気落語家へのインタビューの中で,〈闇の吉原〉という句の解釈が話題となる。中野に帰った美希は,父親からそれについて講釈を受け・・・これも,うーん,だ。日常の謎では全くない。ブンガク上の謎だ。それを平然と投じてくるのは,バランスを欠く気がする。「冬の走者」:ある作家の要望で出版社の社員たちは,地方のマラソン大会に出場する。だがその中で不思議な出来事が生じ・・・日常ミステリーに戻ったのは良いと思うが,”作家大先生”の思い付きで,会社の複数の人々がプライベートを犠牲にするって,本当に気持ち悪い。「謎の献本」:「尾崎一雄が志賀直哉への献辞を書いた『留女』」というのがテーマの短編。・・・さすが大出版社の人々。会話が知的だ,って,そんな奴ら実在しないだろうに。これまたブンガクブンガクな短編で,つまらない。「茶の痕跡」:文芸雑誌の定期購読者は,さまざまな思い出を持っていた。その1人にインタビューに行った美希は,過去の殺人事件について聞かされる。その謎を解いたのは?・・・歴史的な事実としてはひじょうに面白いし,ビジネスとしても今でも通じるものがある。ただ途中で紹介される本マニアの話が多くて,真相を聞いてもインパクトが薄れている。「数の魔術師」:美希の会社の週刊誌で,長年宝くじを購入している人物を紹介したところ,その人の自宅にに強盗が入り,ハズレが確定している前年のくじを奪われた。それは?・・・ようやく日常ミステリーに戻ったのに,やはりギャンブルや強盗が起きていると,殺伐としていてダメだ。これが巻末短編とは残念だ。
2016.04.05
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4月1日に合わせて放映された1年前の映画を観た。○ストーリーある4月1日に語られた嘘。それはある人を傷付け,けれども別のある人を勇気付ける。そうして歯車は回り人々は・・・-------------フジテレビと東宝の資本の映画で,『リーガル・ハイ』のスタッフが製作していることも話題になった。そちらは全く知らないが,『キサラギ』の脚本の古沢良太と聞くと,なるほど,と思う。2015年では,わざわざ4月1日に公開したらしい。なにしろ”4月1日,エイプリルフール”をテーマにした,嘘が嘘を呼ぶ群像劇だからだ。-------------物語は,複数のエピソードに分かれていて,それが並行して語られていく。「42年ぶり涙の生還」:42年間行方不明になっていた男が発見された。それは幼馴染の女性が捜索を続けていたからだった。だが・・・「僕は宇宙人」:いじめで不登校になっていた中学生の少年が,「やり残したこと」をするために登校する。彼はいじめていた同級生を殴り倒し,好きだった同級生にキスをする。そして・・・「ある大学生の行く末」:ルームシェアをしていた2人の男子大学生。1人がエイプリルフールのギャグで相手に告白をする。すると・・・「不器用な誘拐犯」:小学生の女の子が誘拐される。一度は警察が子供の家に詰め,誘拐対策本部を設立するが,誘拐犯の似顔絵から,犯人が離婚した実の父親のヤクザ者であることが分かると解散となる。父親が誘拐に踏み切ったワケは・・・「占い老婆の真実」:不吉な占いをして,除霊のお札を売りつける商法の老婆を,刑事が取り調べる。だが,その老婆の能力の真相は?・・・「ロイヤル夫妻の休日」:庶民の生活を体験しようとタクシーで都内を観光する櫻小路夫妻。だが彼らは逆に騒動を起こしてしまい。さらに・・・「イタリアンレストランでの大惨事」:ハンサムな医師と美人のCAが食事をしているところに,パジャマを着た妊婦が現れ,子供を認知しろと迫る。医師が断ったので,妊婦は拳銃を取り出して乱射を始める。そしてついに・・・-------------さて僕が『リーガル・ハイ』を観ていなかったからだろうか?キャストに有名俳優が驚くほど起用されているのは分かるけれど,だから???という印象で,盛り上がりに付いていけない。そして『キサラギ』でも気になった,過剰な演技。まあ,特に両方に出演している俳優さんだけれど,その漫才のような演技にゲッソリしてしまった。いつもは平気なんだけど,あまりにもくどかった。群像劇と言うから,きっとそれぞれのエピソードが密接に関わっていて,ドミノ倒し,バタフライエフェクトのように,最後に衝撃の事実がーーーっ,と期待したのだけれど,実はそれぞれがあまり関わらない。たぶん豪華キャストを起用した反動で,スケジュール調整が難しくて,それぞれのパートを別々に撮っているんだろうなあ。悲しいほどぶつ切りだった。観終えると,やはりそこが不満だ。最後にきゅっとまとめてもらいたかったのに,全く別のオチに逃げている,という印象ばかり残った。-------------勝手な感想ばかり述べたが,ちゃんと小学生に見える子役を起用したら,〈ロイヤル夫妻〉をここだけ浮いたエピソードにしなければ,〈イタリアンレストラン〉をもうちょっと落ち着いた物語にしたら,そしてそれ以外をばっさりと切り捨ててスリム化したら,けっこういい映画になった気がする。うーん,まだまだ三谷幸喜には勝てないね。
2016.04.04
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姉と前から約束していたので,目黒川沿いに咲く桜を花見に出かけた。池尻大橋から歩く,というのも提案したが却下され,中目黒からJR目黒駅まで歩くことにした。中目黒まで30分くらいなので,10時半くらいに到着した。少し早めだったけれど,既に屋台も出ていた,人は出始めていた。まずはやはり日の出橋の上から,川の両側に連なる桜を見る。目黒川は深くてちょっと怖い。それから南下を始めると,少し雨がぱらついてきた。駒沢通りを渡ると人が少なくなってきて歩きやすい。それでも外国の観光客もいる。日本の桜は人気だ。イングリッシュアベニューや田道広場公園で,それぞれイベントを行っていた。目黒通りを越え,雅叙園に入って一休み。この時点で11時半。和風のトイレを利用した後に,目黒駅前へ移動した。駅の向こう側の〈こんぴら茶屋〉でうどんを食べた。僕は鳥ねぎうどん,姉はカレーうどんだった。これが美味い。かつお,昆布のだしが,優しく鳥にしみ込んでいる。温まる。出る頃には行列だった。半日もかからないお出かけだったけれど,満喫した。
2016.04.03
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DCコミックスの2大ヒーローが激突するという大作映画を観た。○ストーリーゾッド将軍が地球を改造しようとし,それをスーパーマンは阻止した。だがその際にいくつものビルが倒壊し,甚大な被害が生じていた。その中に,ブルース・ウェインの会社もあった。幼い頃,街角で両親を暴漢に目の前で射殺された過去を持つウェインは,ウェイン財閥を経営する一方で,バットマンとして犯罪と戦っていた。彼は,スーパーマンの神のようなチカラは,いつか人類にとって脅威となると考えていた。天才科学者・レックス・ルーサーは,さまざまな謀略を巡らせ,2大ヒーローの対立を煽る,さらに切り札として?!-------------前作となるスーパーマン映画『マン・オブ・スチール』も重たい映画だったが,それにダークナイトことバットマンの世界観を加えるのだから,ますます暗く重たい内容になっている。輝ける救世主のはずのスーパーマンでさえ,都市の破壊,テロリストの殺害を罪に問われ,公聴会へと呼び出されてしまう。さらに怪物を宇宙に飛ばそうと飛んでいると,一緒に核ミサイルで迎撃されるという始末。これでは眉間のしわが深くなってしまうわけだ。一方のバットマンは,最初からスーパーマンを危険視して,「奴を倒す」と息巻いている。こうして決め付けるメンタリティには,ちょっと付いていけなかった。チカラを持つものが危険って,他から見れば自分自身だってかなり不気味な存在だろうに。不安定となっている2人の対決をプロデュースするのが,天才レックス・ルーサーだ。なかなかの存在感で,説得力があった。-------------この映画は2時間半と長尺だが,最初の1時間半は2大ヒーローの対決に向けて,否応なく盛り上がっていく。ルーサーの謀略に絡め取られ,孤独と対立を深める2人の姿は偏執狂じみていてかなり怖い。スーパーマンはバットマンのことを私刑めいたことをする危険な男,バットマンはスーパーマンのことを神として人類を支配しかねない存在,と思っている。あるいは思わされている。ルーサーが天才的な頭脳を持っているとは言え,すんなりと対決が実現したのは,やはり2大ヒーローが相手に対して最初からそれに近い考えを持っていたからだろう。スーパーマンは”世界の警察”としての表のアメリカを象徴しており,一方でバットマンは闇に隠れて犯罪者やテロリストを撲滅するCIA的な裏のアメリカを象徴している。その2つが相容れるはずがない。神のチカラに対抗するために,バットマンはアイ○○マンみたいな(汗)パワードスーツに身を包み,スーパーマンを弱体化する複数の手段を準備して戦う。この辺りの展開はひじょうに盛り上がる。最後にあることが起きて,決着は○○○○となる。その後の更なる展開は,前作以上の迫力で,しかも分かりやすいアクションで,進化を感じた。スピーディなのに,まとまりがあり,各キャラクターの活躍がきちんと描かれている。素晴らしい。-------------前作から引き続きスーパーマン,ことクラーク・ケントを演じているのは,ヘンリー・カヴィルだ。相変わらず太ももに筋肉が付いてしまっていて,スラリとした感じが薄いのが残念。今回からバットマン,ことブルース・ウェインを演じているのは,ベン・アフレックだ。かなり年配のウェインなのに,心に余裕がない。でも好きな俳優なのでうれしかった。突然の助っ人外人を演じているのは,ガル・ガドットだ。うーん,世の中にはきれいな人っていっぱいいるんだなあ。見とれた。この映画の立役者とも言えるレックス・ルーサーを演じているのは,ジェシー・アイゼンバーグだ。ザッカーバーグの演技そのままじゃん,とも言われているが,現代の経営者としての新しい悪役像を演じて見せた。最後どうなったんだろう?-------------この映画を基点としてDCコミックス版の〈アベンジャーズ〉である,〈ジャスティス・リーグ〉を映画化するらしい。マーベル・コミックの映画戦略に完全に出遅れたのは明白なのに,今から追いつけ追い越せ,って絶対無理なような気がする。同じ路線で攻めてもダメだろう。いっそ『vsシリーズ』として,世界観をクロスオーバーしたイロモノ系の方に逃げてはどうだろう?手始めに,『バットマン vs 仮面ライダー1号』はどうだろう?なんだか体型が似ているし。
2016.04.02
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綾辻行人が殺された,という舞台劇のノベライズを読んだ。○ストーリー推理作家・綾辻行人と〈ミステリーナイト〉がコラボレーションをした〈主たちの館〉の舞台では,幻の作品『蜃気楼館の殺人』が語られようとしていた。ところがその時,観客が見守る中,舞台の上で殺人事件が起きた。さらに綾辻行人本人が死体で発見され?あなたは綾辻行人の担当編集者として,事件の謎解きに挑む!!---------------島田荘司がリードし,有栖川有栖,綾辻行人などが支えた本格ミステリーという推理小説のムーブメントはもう下火になっていると思っていたのだが,まだまだファンのイベントは開催されていたらしい。この作品は2012年に東京のホテルで行われた〈ミステリーナイト〉という推理イベントで行われた舞台のノベライズになる。確かに自分の身体を使ったイベントは独特の楽しさがある。僕自身がひんぱんに1人で日帰りや1泊の旅行に行くのも,「あの○○」を体験する,という要素が大きい。美術展に行って,実物作品を観るのもたぶんそれと同じだ。個人的にはスタンプラリーは何回か参加したが,高いお金を払って,それでも解決出来ず,フラストレーションが溜まるだけかも知れないミステリーツアー系のイベントには参加したことがない。この作品を読んでいると,やはり目の肥えたファンを対象にした高い難易度としているようで,ますます足が遠のいてしまいそうだ。---------------さてこの作品は,「綾辻行人」「館」というタイトルが付いているが,物語も小説も綾辻行人ではない。別の企画会社のアイディアを,別の小説家が作品に仕上げている。僕自身もすっかり勘違いしていた。それでも物語の中だけでなく,インタビューを通じて〈館シリーズ〉への言及が多いので,ファンは外せない作品だろう。番外編としても弱いし,〈館シリーズ〉解説本としてもまったく資料的価値は低い。けれども2010年代にもなって,本格ミステリーの作家をここまで礼賛し続ける刊行物は他に見当たらない気がする。あのブームを思い出すために,この作品を読んでもよいかも知れない。---------------インタビューの中で,「伏線の出し方」という部分があったけれど,この小説の伏線は唐突過ぎて,分かりやすかった。ま,それで犯人が分かったワケじゃないんだけどね。(涙)
2016.04.01
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