論文は2000年4月に米国がん学会(AACR)で発表され、実際の科学と一般認識とのずれを初めて示した予備的な研究に基づく。それによると、サメ軟骨の人気は、サメががんにかからないという前提、William Lane氏による1992年の著書「Sharks Don't Get Cancer」、高名な米ハーバード大学医学部の研究者Judah Folkman 博士が腫瘍に栄養を供給する血管の発生(血管新生)に対するサメ軟骨の阻害能を調べたことなどに端を発する。
しかし、実際には、サメとその仲間は良性および悪性腫瘍のいずれをも生じる。論文著者で米ジョンズ・ホプキンズ大学の生物学および比較医学部門研究教授Gary K. Ostrander氏は、軟骨の販売者はサメががんになることは稀であると主張しているが、実際のがん罹患率は不明で、また、サメが他の生物に比べてがんにかかりにくいとしても、それが天然の軟骨抽出物をヒトのがんに使用する根拠にはならない、とコメントしている。